サイボウズ・ラボ 会社紹介

コミュニケーションソフトウェアを
創るということ
サイボウズ・ラボ株式会社
奥 一穂
自己紹介
2008年12月6日
コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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自己紹介
1977年生まれ 31歳
プログラミング経歴
8歳
– LOGO
12歳 – BASIC, C
14歳 – HyperCard
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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本格的なプログラミングは大学から
大学入学と同時にインターネットデビュー
1995年入学
教育用計算機センター
「X端末」が1,000台弱
1台のワークステーションを約10台の端末で使用
OS は SunOS/4.1
NCSA Mosaic という初期のウェブブラウザが動作
後に Netscape Navigator が登場
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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大学の教育用計算機センター
まだケータイが一般的でない時代
自宅からのインターネット接続も高価
通話料:10円 / 3分
教育用計算機センターなら、無料でイン
ターネットし放題
しかも、回線が高速
授業がないときは、いりびたり
授業があるときも、いりびたり
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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大学で友人を探す方法
finger コマンド
ワークステーションを使用中のユーザー一覧を表示
どのX端末からのログインか、わかる
全ワークステーションに finger すれば、計算機セン
ターにいる友人は見つかる
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finger の問題
遅い
100台のワークステーションに問い合わせ
「どこ」にいるのか分からない
「xs034」は、どの建物の、どの部屋にある端末?
負荷が重い
皆が実行するとシステムがダウン
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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friends
全ワークステーションの finger の結果を
キャッシュ
応答が高速 / 負荷が軽い
全端末の地図を作成
自動更新
↓
友人がどこに座っているか、常に把握できる
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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friends (2)
あっというまに普及
数百人が使用
アクティブユーザーの半数近く?
普及した理由
「やぁ」「どうやって見つけたの?」「friends で」
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Palmscape
世界初の Palm OS 用ウェブブラウザ
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注
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注: HTMLレンダラーを搭載したウェブブラウザとして。
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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開発の経緯
Palm Pilot 用モデム発売
1997 年
でもウェブブラウザがない
メールソフトもなかった
じゃあ自作するか
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公開後
インターネットで無料公開
世界中から反響
インターネットに国境はない
ソフトウェアに国境はない
問題:ユーザーからの問い合わせが多い
「モデムの設定がわかりません」
仕事じゃないのに。タダなのに。
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仕事としての Palmscape
大学中退して就職
Palmscape の権利を会社に譲渡
会社の株式と交換
プロの「ブラウザ屋さん」に
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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成功
IBM, SONY がバンドル
NTTドコモと共同研究
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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挫折
携帯端末向けソフトウェアの価格は安い
ハードウェアが安いのに
バンドルされてもダメ
バンドルしてもらうためにお金を払うケースも
ハードウェアが売れなかった
SONY, IBM ともに撤退
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IPA 未踏ソフトウェア
IPA未踏ソフトウェア創造事業 (2004年度)
個人又は数名のグループを対象として、独創的なソフトウェア
技術や事業アイディアを公募しその開発を支援する制度
テーマ
「ウェブアプリケーション (Apache/Perl) 統合
開発環境の開発」
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サイボウズ・ラボへ
自分の長所はなにか、考えた
速いコードを書けること
需要に答える嗅覚があること
短所:好きなこと「しか」やらない点
サイボウズ・ラボはどうか?
お金の心配がない
のびのびとプログラミングができる
新しいテーマに取り組むことができる
2005年8月入社
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Japanize
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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Japanize とは?
ウェブアプリ UI の野良翻訳システム
2006年8月14日公開
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Japanize – 構成
Mozilla Firefox / Internet Explorer の拡張
表示中のウェブサイトを自動で日本語化
厳密にはローカライズ=メニューやボタンの日本語化
翻訳データは皆で共有
人力翻訳
Wikipedia ライク
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Japanize の現状
対応サイト > 800
Flickr, YouTube, Veoh, Twitter, digg, …
翻訳者 > 500人
翻訳データ量 - 約9MB
延べ編集回数 - 約40,000回
アクティブユーザー - 約40,000人
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Japanize – 翻訳画面
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Japanize – 成功の要因
フラットで敷居の低いプラットフォーム
誰でも翻訳に参加できる
簡単な文法
XSS 脆弱性の排除 (vs. Greasemonkey)
意識しないで使える
インストールするだけで、自動的に翻訳
入力した翻訳データは、全て共有される
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Japanize – 問題
mixi が英訳されてしまった
3時間後に、別の翻訳者がデータ削除
コメント欄で、訳者間の意識統一が図られた
どこまで翻訳するのか
例: YouTube のタグを翻訳するのか?
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Pathtraq
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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Pathtraq とは?
インターネットのリアルタイム視聴率調査
「人気ページや話題ニュースをランキング化」
プログラムによる自動処理
自動的に情報を収集し、自動的に統計処理
2007年8月10日公開
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Pathtraq - 画面
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Pathtraq – 構成
Mozilla Firefox / Internet Explorer の拡張
表示したウェブサイトの URL をサーバに送信
ウェブサイトのアクセス情報は皆で共有
アクセス情報は匿名化
収集したアクセス情報をもとに、いま注目されている
情報を自動抽出
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他サービスとの比較
vs. Google
Google は資料検索。Pathtraq は時事検索
vs. Yahoo!
Yahoo! ニュースは公式のみ。Pathtraq はインター
ネット全体から注目情報を抽出
vs. はてなブックマーク
はてなブックマークは、ユーザーの操作に基づく
「お役立ち系」「技術系」が多い
Pathtraq は完全自動
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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Pathtraq の現状
保存URL - 約1億
ログ受信数 - 約100万/日
サンプルユーザー - 約9,000人 (推計)
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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Pathtraq - 問題
増え続けるデータ
高速なアルゴリズムの開発や圧縮手法の適用
新しいハードウェア技術への投資
スケールアウト (複数台のコンピュータを使用)
プライバシー
いかに「共有すべきアクセス情報」のみを抽出するか
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Pathtraq の副産物
Q4M
大量のデータを処理するためのメッセージキュー
処理を遅らせたり、分散させたり
Mixi, Livedoor が採用
本文抽出技術
はてながコピー
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コミュニケーションソフトウェアを
創るということ
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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IT革命は終わったのか
インターネットはもう普及
携帯電話の市場は飽和
技術者としてやることは、もう残っていない?
「これからはバイオの時代」
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コミュニケーションの革新は終わらない
革新は一世紀以上前から続いている
電信 (1844年)
電話 (1876年)
無線 (1895年)
テレビ (1911年)
人工衛星 (1957年)
携帯電話やインターネットは大きな革新の
一部にすぎない
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A.C.クラークの演説より
国連本部にて
1983年5月17日 (世界電気通信の日)
出典: 地球村の彼方 (A.C.クラーク) ISBN 4-8103-8011-4
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A.C.クラークの演説より (2)
電話の発明に対する反応
「アメリカ人には、電話が必要なのです。しかしわれ
われは違う。われわれには、メッセンジャーボーイが
十分にいる」 - イギリス郵政省の主任技師
「今にすべての市町村が一台、電話を持つ日がくる」アメリカの市長
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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A.C.クラークの演説より (3)
その到来が長いこと待たれていたグローバ
ル・ビレッジがもうじき実現することでしょう。
けれども、それは人類の歴史のなかでほん
の一瞬のこととなるでしょう。私たち自身も気
がつかないうちに、さらに新しいグローバル・
ファミリーの時代が訪れることでしょう。
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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The Medium is the Message
メディア(ツール)がコミュニケーション形態
に影響を与えるということ
「グローバル・ビレッジ」を唱えたM.マクルーハンの言葉
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コミュニケーションソフトウェアを創るということ
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サイボウズで働くということ
コミュニケーションソフトウェアを創るという
こと
つまり、コミュニケーションを規定するということ
つまり、世界の進歩に、自分の小さな一押しを加える
ということ
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