第7章 複合材料 7.1 複合材料とは(複合材料の定義) 技術の進歩 使用材料の傾向 ・高強度化 ・高級化 ・多様化 単一材料の限界 2種以上の混ぜ合せ [ 複合材料の定義 ] 複合材料とは、材料の特性を向上させることを目的として2種類以上の材料を混ぜ合せ、 それらが材料内で成形中も含めて明確な境界を有している材料のことである。 材料の複合化 ① 弱点を補う ② 新しい機能を発現させる 原子レベルよりも十分大きいサイズ (通常μのオーダー) 例.複合材料とそうでないもの ○ 炭素繊維をプラスチックで固めた ⇒ 強化プラスチック × 炭素を混ぜ合せた鉄(炭素鋼)、 球状黒鉛鋳鉄 複合材料とは = + 複合材料(Composites) 母材 (matrix) 強化材 比強度/105in 図7.1 複合材料 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 ケプラ4 S-ガラス ボロン E-ガラス 炭素 グラファイト Al 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 比弾性率/107 図7.2 代表的な材料の比強度、比弾性率 複合材料(例1) 強化繊維プラスチック(FRP) 特徴 軽くて丈夫。 単位質量あたりの強度や剛性が金属に比べて10倍以上 用途 家庭用バスタブ、車のエアロパーツ など EADS(欧州航空宇宙防衛株式会社) 複合材料(例2) ガラス繊維強化プラスチック(GFRP) 特徴 耐腐食性がよい。 用途 小型船舶、タンク など 複合材料(例3) 炭素繊維強化複合材料(CFRP) 特徴 比強度、比剛性が極めて高い。 用途 スポーツ用品、航空宇宙機器 など 強化繊維プラスチック (FRP) 熱硬化性樹脂 ポリエステル エポキシ フェノール ポリイミド 熱可塑性樹脂 ポリアミド ポリカーボネート ポリエーテルスルホン ポリエーテルエーテルケトン ポリフェニレンスルフィド FRP形成用樹脂 図7.3 FRP形成用樹脂 FRP形成法 ハンドレイアップ スプレーアップ レジンインジェクション RTM フィラメントワインディング 連続形成法 図7.4 繊維強化複合材料の形成法 7.2 複合材料の力学 複合材料の強度と弾性率の複合則 σc=σfVf+σmVm ・・(7.1) Ec = EfVf+EmVm σc:複合材の応力 Ec:複合材の弾性率 Vf ,Vm :繊維、母材の体積割合 複合則から ・複合材料の物性値が近似的に予測できる 強化繊維、母材(樹脂)および複合材の 応力ーひずみの関係 7.3 短繊維強化複合材料の破壊特性 7.3.1 引張特性 短繊維強化複合材料 繊維端 応力集中源 繊維 ・破壊現象が複雑 ・比強度、比弾性率が高くない 製造過程の欠陥 切欠半径が小さい場合 繊維 切欠半径が大きい場合 τ 応力集中部 安定き裂主導型破壊 損傷主導型破壊 7.3.2 疲労特性 ポリエーテルエーテルケトンPEEK(母材) 全寿命 ・・き裂発生寿命 脆性 短炭素繊維強化PEEK(繊維強化) 全寿命 ・・き裂伝ぱ寿命 疲労特性 ポリアミド(繊維強化) き裂発生(回転曲げ、ねじり疲労) ・・主応力方向に配向された繊維から、繊維方向に沿って発生する き裂進展(回転曲げ) ・・軸と直角方向に折れ曲がって伝ぱする き裂進展(ねじり疲労) ・・発生したき裂は成長しなくなる しかし、応力振幅が大きいとき 主せん断応力方向に配向する繊維に沿ってき裂が発生する 7.4 繊維強化複合材料の界面せん断強度特性 および圧縮強度特性 7.4.1 界面せん断強度特性 界面・・不連続性のある異なる二つの相の間 低 界面せん断強度 高 低 全体強度 高 高 全体靭性 低 7.4.2 一方向繊維強化複合材料の圧縮強度特性 圧縮破壊 ・・せん断座屈によりおこり、キングバンドが見られる 圧縮強度 マトリックスの剛性が低いので、繊維の高強度が活かせないため 引張強度>圧縮強度 まとめ ※ 第七章のキーワード 強化繊維プラスチック(FRP) ガラス繊維強化プラスチック(GFRP) 炭素繊維強化複合材料(CFRP)
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