電気エネルギーと宇宙が作る明るい未来 九州工業大学 工学部電気工学科 趙孟佑(ちょう めんう) http://laplace.ele.kyutech.ac.jp http://laseine.ele.kyutech.ac.jp 1 夜の地球 Space Solar Power Developments at Boeing Mark Henley The Boeing Company, 2002 2 人口増加とエネルギー問題 2000年の世界人口 60億人 2050年には? 87〜112億人 2050年に使ってるエネルギーは今の何倍? 2倍〜3倍 3 国民1人あたりに使っているエネルギーの量 A B C D アメリカ、ロシア、中国、インドはどこ? http://www.fepc.or.jp/thumbnail/zumen/1-03.html 4 国民1人あたりに使っているエネルギーの量 http://www.fepc.or.jp/thumbnail/zumen/1-03.html 5 国民1人あたりに使っているエネルギーの量 中国とインドの人口:世界の3分の1 中国とインドで同じように電気を使いだしたら? 6 http://www.fepc.or.jp/thumbnail/zumen/1-03.html エネルギーの将来 石油の埋蔵量 新たな油田の発見がないと 30年 新たに油田が見つかっても 80年 7 原油価格 原油価格のうつりかわり 年 • 2005年7月1日 58ドル/バレル 8 太陽発電衛星 エネルギーは地球の外から 無限の量 エネルギー問題の解決 環境問題もOK もしかしたら、 貧困や戦争もなくなる明るい未来 人類の宇宙への進出 9 10 Credit:京都大学臼井 太陽発電衛星の原理 太陽光 太陽 太陽電池 送信アンテナ 受信アンテナ (レクテナ) 電気 マイクロ波 (電磁波) 電気 家庭 宇宙 地上 11 マイクロ波 • 人工衛星との信号のやりとり – 宇宙空間で伝わりやすい電磁波 – 波長は10cmから1mm – 1秒に30億回から3兆回振動 12 電磁波のいろいろ 100nm=1万分の1ミリ ガンマ線(原子の崩壊など) 400nm 波長が短い X線(レントゲン写真) 紫外線(日焼けする原因) 500nm 可視光線(レーザー) 赤外線(リモコン・ヒーターなど) 波長が長い マイクロ波(電子レンジ) 600nm 電波(ラジオ・TV電波など) 波長が違うと、色や性質も違う 13 宇宙太陽光発電の利点 有害廃棄物(CO2含)が少ない 埋蔵資源に依存しない 学問的未知数が少ない 14 太陽光発電所 地上 宇宙 稼働時間 昼間の晴天時のみ 地上施設 専用 需要地へ の距離 大 大 大 ? ○ ? 建設費 安全性 24時間OK 他にも使える 15 宇宙vs地上 宇宙 太陽光強度 (ワット/m2) 地上(夏) 地上(冬) 時刻 16 宇宙vs地上 地上太陽光発電が 代替できるところ 宇宙太陽光発電が 代替できるところ 17 地上施設 Credit: Space Studies Institute http://www.ssi.org/assets/images/SPS_wi_rectenna.jpg 18 地上施設の設置箇所 アメリカの40%の土地が太陽発電衛星の地上施設に適している silver.neep.wisc.edu/~neep533/FALL2001/lecture34.pdf 19 地上施設の設置箇所 プランA:電気を直接送る プランB:水を電気分解して、水素を送る 20 太陽発電衛星の応用 レーザ光送電によるロケット推進 21 Credit:Space Studies Institute 太陽発電衛星の応用 月面でのエネルギー伝送 22 http://www.ista.jaxa.jp/res/b05/ssps/11.html 太陽発電衛星の歴史 • • • • 1968年 – Peter Glaser(米国)が提唱 1970年代 – オイルショック – アメリカで紙上設計 • リファレンスシステム 1990年代 – 日本での研究 • SPS2000 – 地球環境問題(地球温暖化)、エネルギー危機 • 新たな注目 – NASA fresh look study – NASDA及び経済産業省での検討 2003年 – 原油価格再び高騰 23 NASAリファレンスシステム 1977~80年にアメリカで検討 2000年のアメリカの送電力需要(原子力発電所300個分)を 全て太陽発電衛星でまかなう 縦16kmx横5km 総重量30,000ton 静止軌道上(高度36000km)に60個 出力500万キロワット (原子力発電所5個分) 建造期間30年 総額200兆円 24 16kmx5km 16km 5km 25 SPS(Solar Power Satellite)2000 リファレンスシステムの反省 巨大過ぎて、現実味を欠く 国家的、社会的な合意が必要 Credit: 宇宙科学研究所 2000年の時点で実現可能な太陽発電衛星 技術的概念設計 経済的環境的検討 赤道上高度1000kmの円軌道で1万キロワットの衛星 26 太陽発電衛星研究の現状(日本) • 宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構:JAXA) – 宇宙についての仕事 • 経済産業省 – エネルギーについての仕事 • 学界 – 太陽発電衛星研究会に100名程の研究者が参加 – 宇宙科学研究所、北海道大学、京都大学、慶応大学、神 戸大学、静岡大学、九州工業大学、東北大学、etc • マイクロ波送電・受電 • 発電 • 軌道上展開組立 • 環境影響評価 • 経済社会性評価 27 太陽発電衛星研究の現状(日本) 1GW=100万キロワット 経済産業省における検討モデル http://www.usef.or.jp/f4_cyousa/frame_4.html 宇宙開発事業団&京都大学に よるマイクロ波送電実験設備 28 http://giken.tksc.nasda.go.jp/seika/gaiyou/H12/51files/ 太陽発電衛星研究の現状(日本) 経済産業省での検討モデル 29 太陽発電衛星研究の現状(日本) マイクロ波による伝送 レーザによる伝送 JAXAにおける検討モデル 30 太陽発電衛星研究の現状(日本) 2010年頃迄に打ち上げを予定している実証衛星の概念図 31 太陽発電衛星研究の現状(米国) 1995-97年 SPS フレッシュルックプログラム 1998年 NASAにおいて予算$2M(3億円)で 概念設計 1999-2000年 NASAは予算$15M(18億円)(単年 度)で先行研究及び技術開発プログ ラムに着手 現在 秘密 NASAのサンタワー構想 Credit: NASA artwork by Pat Rawlings/SAIC 32 太陽発電衛星の今後 33 太陽発電衛星実現への課題 打ち上げコストの低減 -> 現在の100分の1 マイクロ波の環境への影響解明 マイクロ波機器の高効率化 宇宙空間での大型建造物の組立て 宇宙環境に耐える 34 打ち上げ費用の削減 打 ち 上 げ 価 格 ( 億 円 ) 100万円/kg 0 高度200kmへの打ち上げ能力 5トン 35 打ち上げ費用の削減 Space-X社 Falcon-1 SpaceShipONE DC-X 1993~1996 6ton を15億で200kmに 25万円/kg 36 電磁波の安全性 電磁波の安全基準は1mW/cm2の桁(例:電子レンジ) 1mW/cm2=1平方センチメートルに千分の1ワット 100万キロワットのマイクロ波電力を10km四方の面積で 受けると1mW/cm2 これからの調査で上がることもあるし、下がることもある。 電磁波は目に見えない 社会からの理解を得ることが重要 マイクロ波ガーデン、マウス実験(日本) 37 宇宙組立 組立てはロボットで 38 宇宙環境に耐える • • • • 普通の人工衛星の寿命は最大15年 国際宇宙ステーションは20年 地上の発電所は30年 太陽発電衛星は人工衛星ではなく、発電所 と同じ • 30年間宇宙環境で動かないといけない 39 宇宙環境の難しさ • 空気がない – 熱が逃げにくい。極端な高温と低温(300度を超える 温度差) • 電気を帯びたプラズマ(電子やイオン)に覆われている – 高い電圧(100V以上)を出すと、放電しやすい • 放射線や紫外線が強い – 材料がすぐに傷む • 超高速(秒速8km,音速の25倍)で飛び交う微粒子 – 大きいもの(1cm以上)があたると致命傷 • 壊れても、直しに行けない – 長期間(10年超)故障しないことが求められる 40 宇宙環境の難しさ • 宇宙で長い間故障せずに動き続けるものを作るのは、チャレンジである。 大型化 長期化 有人化 www.gifu-keizai.ac.jp/ news/soccer_place.jpg www.toysrus.co.jp/ images/6/8/9/689173000M.jpg スプートニク1号 1957年10月 3週間 1W 国際宇宙ステーション 2010 15年〜20年,75kW 41 選択講座の内容 • 太陽発電衛星に関連した4つのテーマ 1. 2. 3. 4. 5. 6. 宇宙環境での帯電・放電 衛星周辺のプラズマ環境 光エネルギー伝送 イオンエンジンロケット 宇宙エレベータ クイズ大会 42 宇宙環境での帯電・放電 • 本物の宇宙用太陽電池を使って、どのような放電 が起きるかを観察する 43 宇宙環境での帯電・放電 • 本物の宇宙用太陽電池を使って、どのような放電 が起きるかを観察する 44 衛星周辺のプラズマ環境 • 衛星のまわりの宇宙環境がどうなっているかを調べる • プラズマ:電子とイオンの集合 45 光エネルギー伝送 • 光によるエネルギー伝送の実験 • 太陽電池の出力測定 46 イオンエンジンロケット • 太陽発電衛星を高い軌道まで運ぶイオンエンジン ロケットの原理を体験 47 宇宙エレベータ • 100年後には打ち上げロケットが要らなくなる!? 48 クイズ大会 選択講座で勉強した内容について、クイズ大会を開催 一等賞は JAXA純正、野口宇宙飛行士スペースシャトル飛行記念プレミアワッペン 49 宇宙に関連した仕事をするには? • 国内派 – – – – 工学部に進んで航空宇宙関連の企業に就職する JAXAに就職する 大学で研究する 宇宙ベンチャービジネスを立ち上げる • 海外派 – 海外留学して航空宇宙関連の企業に就職する – 海外留学して宇宙ビジネスを始める 50 宇宙に行くための3つの方法 1.宇宙飛行士になる – パーフェクトな日本人を演じる。理系の博士号と英語 – 海外に行って帰化するのも一つの手段 2.お金を儲ける 1週間20億円 30分 2000万円 3. 誰もが簡単に宇宙に行けるように、宇宙開発を担う1人と 51 して頑張る
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