日本の空をめぐって JALとANA

日本の「空」をめぐって
~JALとANA~
14070563
信江 一輝
目次







1章:序文
2章:JAL(日本航空)とは?
3章:最近の業績
4章:JALとANA
5章:JALの問題
6章:JALの今後
7章:航空業の今後
1章.序文


この研究では、JAL(日本航空)についていろんな情報を
収集し、その限界や問題点を洗い出して、それらを克服
すべき経営戦略を提案する。
この経営戦略の目標は、
ライバル社であるANA(全日本空輸)との比較を研究
し、日本航空が、日本、アジア、そして世界の空をめ
ぐる闘いに打ち勝つことである。この目標は達成で
きると思うが、そのためにJALに必要な戦略を考えて
いきたい。
2章 JAL(日本航空)とは?

社名(2009年3月末現在)
株式会社日本航空
(英語表記Japan Airlines Corporation)

本社

設立 1951年8月1日

資本金 2510億円

http://www.jal.com/ja/corporate/gaiyo/より
〒140-8605
東京都品川区東品川二丁目4番11号
社長
西松 遙
概要
JALグループは、
総合力ある航空輸送グループとして、
お客さま、文化、そしてこころを結び、
日本と世界の平和と繁栄に貢献します。
私たちは、交流の時代である
21世紀の旅行・観光・輸送を支える基幹産業の一員として、
総合力ある航空輸送グループとして
日本と世界の空にネットワークを拡げます。
私たちは、お客さま、貨物を安全、確実に
目的地にお運びするのにとどまらず、
その背景にある文化、さらにはお客さま、貨物に託されたこころまでも
大切にお届けして、世界を結び、
日本と世界の平和と繁栄に貢献します
http://www.jal.com/ja/corporate/rinen.htmlより
企業理念
(1) 安全・品質を徹底して追求します
(2) お客さまの視点から発想し、行動します
(3) 企業価値の最大化を図ります
(4) 企業市民の責務を果たします
(5) 努力と挑戦を大切にします
http://www.jal.com/ja/corporate/rinen.htmlより
ブランド・ステイトメント
日本の空に、世界の空に、
よろこびを限りなくひろげるため、
商品やサービスを通じて新たな価値を
次々と生み出したい。
Dream Skyward
-空に限りない夢とよろこびをhttp://www.jal.com/ja/jals_brand/より
JALの現状



空運で売上高世界5位級
国際線が主力。
国内線はANAと二分。
実質政府監督下で経営再建中
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/profile/?code=9205.Tより
株式

時価総額

発行済株式数
363.407百万円
(2009/10/8)
2,732,383,250株
(2009/10/8)
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=9205.Tより
大株主(2009/3/31現在)
http://www.jal.com/ja/corporate/gaiyo/より
株式名
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社
(信託口4G)
所有株式数(千株)
持株比率(%)
136,423
4,99
東京急行電鉄株式会社
80,428
2,94
東京海上日動火災保険株式会社
70,188
2,56
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社
(信託口)
51,744
1,89
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託
口)
46,769
1,71
ニッセイ同和損害保険株式会社
43,076
1,57
日本航空グループ社員持株会
37,302
1,36
株式会社みずほコーポレート銀行
35,303
1,29
株式会社三菱東京UFJ銀行
34,772
1,27
日本生命保険相互会社
29,339
1,07
株価チャート
最近のJALは
不況のため、
株価が大幅に
下落しているこ
とが分かる。
売上と利益状況
(百万円)
有価証券報告書より
2007年度
2008年度
事業収益
16,595
18,495
事業費
13,061
12,803
営業総利益
3,533
5,691
広報宣伝費
36
29
人件費
226
241
1,092
3,394
営業外収益
521
1,030
営業外費用
602
907
1,011
3,517
433
-
1,445
3,517
法人税、住民税及び事業税
282
570
法人税等調整額
△4
△12
法人税等合計
277
557
1,167
2,959
営業利益
経常利益
特別利益合計
税引前当期純利益
当期純利益
JAL’s history


1951~1960
「プロペラ時代」
JALのはじまり。
1961~1970
「ジェット時代」
66年に世界一周への第一歩としてニュー
ヨーク線新開設。翌67年には待ちに待った世
界一周線がついに開設された。


1971~1980
「ジャンボ時代」
新東京国際空港完成。
いよいよ本格的な大量輸送の時代へ突入。
1981~1990
「ハイテク時代」
87年に完全民営化し、90年にはロゴ、制服
を一新。


1991~2000
「ネットワーク時代」
海外の航空会社とコードシェア提携を結ぶこ
とで、ネットワークの拡充とお客様の利便性
の向上に努める。
2001~2004
「メガキャリア時代」
従来からの航空会社の再編成が進み、大航
空会社間の競争が熾烈化。
http://www.jal.com/ja/history/history/より
3章 最近の業績
2009年3月期決算:売上高1.9兆円、
営業利益△509億円、当期利益△631億円
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/economy/japan_air_line/より
売上高の推移
NEED-CD ROM「日経財務データ」
売上高
2000000
売上高は
順調に増加
1800000
1600000
1400000
1200000
1000000
JAL
800000
600000
400000
200000
0
日本の国際化と
ともに増加してい
る
売上総利益の推移
2008年に売上総利益が
急増している。
しかし、リーマンショックに
よる大不況の影響がまだ
出ていないデータと考えら
れる。
売上総利益
400000
350000
300000
250000
200000
JAL
150000
100000
50000
0
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008
NEED-CD ROM「日経財務データ」
SARSや原油高騰などで、
利益の落ち込む時期も見
られた。
株価の分析:推定結果
推定係数
P値
切片
-5.57210
[.000]
KEIKI
8.16355
[.000]
MONO
-.759159
[.453]
HITO
1.33575
[.191]
分析期間は2003年1月から2005年12月
KEIKI:景気動向指数
MONO:航空貨物
HITO:旅客数(航空)
データ:株価はhttp://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=9205.t
マクロデータはNEEDS-CD ROM『日経マクロ経済データ』
TSP プログラム







OPTIONS CRT;
FREQ M;
SMPL 2003:1 2005:12;
READ(FILE='JALマクロ.csv') Y keiki mono hito;
READ(FILE='JAL株価.csv') Y2 kabu;
OLSQ kabu C keiki mono hito;
END;
4章 JALとANA
国内線ならJALかANA
 国際線はJAL


日本の空を担う2大航空企業JALとANAは
サービスの質やマイレージなど、多少の違い
はあるものの、消費者の好みによって使い分
けられている。
JALとANAの
売上高比較
NEED-CD ROM「日経財務データ」
売上高・営業収益
JAL>ANA
2000000
1800000
1600000
1400000
1200000
1000000
ANA
JAL
800000
600000
400000
200000
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
0
どちらも売上高の
伸び方や伸び率は
あまり変わらない
が、
JALが有利な立場
である。
JALとANAの
売上総利益比較
NEED-CD ROM「日経財務データ」
JAL > ANA
売上総利益
400000
350000
300000
250000
200000
ANA
直近1年前にJALが
ANAを抜き返す。
現在は不明。
JAL
150000
ANAは順調な伸び
JALは凹凸が激しい
100000
50000
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
0
JALとANAの
人件費・福利厚生費比較
人件費・福利厚生費
NEED-CD ROM「日経財務データ」
JAL > ANA
70000
60000
50000
40000
ANA
JAL
30000
JALが大きく差をつけ
ている。
2003~06を除いて
全てJALが高い。
20000
しかし、高すぎる人件費・福利
厚生費はJAL経営の重荷とな
りうる。
10000
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
0
JALとANAの
負債合計比較
負債合計
JAL > ANA
2000000
1800000
1600000
JALがANAを大きく
上回っている。
1400000
1200000
1000000
800000
600000
400000
200000
0
NEED-CD ROM「日経財務データ」
ANA
JAL
JALは売上高も多い
が、負債はもっと多
いことがわかる。
JALとANAの
長期借入金比較
JAL >> ANA
長期借入金
800000
700000
600000
500000
ANA
400000
NEED-CD ROM「日経財務データ」
JALがかなりの長期借入金を
抱えていることがわかる。
今回のJAL危機の原因と考え
られる。
JAL
ANAも増加傾向だか、経営が
成功している。
300000
200000
100000
0
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008
5章 JALの問題

日経BPデータベースより
現在、日本航空(JAL)の再建問題が正念場を迎えている。
もともと高コスト体質など構造問題を抱えていたところに、昨年
秋の世界的な経済危機が重なり、不振が深刻化した。
なぜJALは
ここまでなってしまったのか

①人件費の問題
日本航空の退職年金の額は桁外れに大きい。

②放漫経営
採算が取れない地方に路線を拡充しすぎた。

③その他の失敗
大きな飛行機の購入、燃料代の失敗
など、多くの要因が影響している。
日本航空の経営再建


日本航空の経営再建は、前原誠司国土交通相直属の
「JAL再生タスクフォース」によって、進められ、金融支援と大
幅なリストラを柱とする再建案をまとめた。
日航の社内事情に目を向けると、
企業年金の減額問題が最大の難所で、実効
性が問われている。
再建案


公的資金注入も含め、3000億円の資本増強。
金融機関には
・2200億円の債権放棄
・300億円の債務の株式化
・2000億円のつなぎ融資を要請。

日航本体には、
・役員の総退陣
・9000人弱の人員整理
・企業年金の給付額を5割超カットという厳しいリストラ。
どうして、
JALは政府に救われるのか?

鳩山首相は、

なぜ、JALは救われる??
「日本の上空の6割は日航機が飛んでいる現実がある」
として、「企業再生支援機構」の活用を認可。
・ナショナルフラッグ
・交通機関や物流面での大きな影響
・日本の航空会社が実質ANAのみになり、独占禁止法に抵触。
Etc…
外国航空からの援助

航空世界最大手のデルタ航空とアメリカン
航空がそれぞれ出資に名乗りをあげた。
※背後には、日本の空を巡る大きな構造変化が見え隠れしている。

また、アジアの格安航空会社(LCC:ローコ
スト・キャリア)との事業統合も検討されて
いる。
6章 JALの今後


参考文献:伊藤元重「日本の空を問う」2007 日経新聞社
JALは今回の経営再建を乗り越えたとしても、厳しい戦い
が待ち構えているだろう。
しかし、
政権交代をきっかけに、日本の空は大きく
変化しようとしている。

この変化をうまく利用すればJALの復活も
実現可能であると考える。
世界の空にあって
日本の空にないもの

オープンスカイ政策(航空自由化)

LCC(ローコスト・キャリア)

ハブ空港
オープンスカイ政策

世界に比べると、日本の空はかなりの遅れを取っている。

いま、世界では
オープンスカイ政策(航空自由化)が進めら
れている。2007年には、EUとアメリカがオープン
スカイ締結をしたように、世界的に規制緩和が進
んでいる。

つまり、日本の空も規制緩和をすることで、世界の
航空会社がライバルになり、競争力が上がる。

しかし、規制緩和をしたときに、日本の航
空会社は生き残れるのか??
LCCの脅威
LCC(ローコスト・キャリア)

格安航空会社。
代表的なものにサウスウエスト航空がある。食事を出さない簡素な
乗客へのサービス、単一機材の使用、座席指定なしといった戦略を
用いることで低コストを実現。
世界航空市場の競争の熾烈化
LCCの戦略

ポイント・トゥ・ポイント
ハブ空港を経由せずに第二・第三空港を利用した直行便を駆
使したシステム。空港使用料が安いことや、混在していないた
め頻度の高い信頼性の高いスケジュールを組める。
地方空港の活性化
他の交通機関からの顧客の誘致
ハブ空港

空港の数が多いとき、空港間で相互に直行便を張り巡らすと大変な
数になる。そこでハブ空港からローカルの空港への便を飛ばすこと
で巨大なネットワークを構築できる。
日本の成田空港
をハブ空港にすれ
ば、南北アメリカと
アジア間の乗り継
ぎ点として、活躍
できる。

国際線ネットワークの充実
http://www.kokuitten.com/travelbyair/kaiteki/airport/hubgateway.htmlより
JALが競争に勝ち抜くには


日本がオープンスカイ政策を実行した場合、LCCやハブ空港が日本に訪れる日
がくるだろう。そうすると、日本の空をめぐる激しい競争がはじまるだろう。
JALが世界との競争で生き残るには、
①国内線のLCC化(価格競争)
②ハブ空港を利用した国際線の充実
③価格差別化による多様な航空プラン
を整える必要がある。
7章 航空業の今後


日本の航空会社はJALとANAの2大企業が占めているが、
世界には数多くの航空会社が存在する。
日本がオープンスカイ政策の規制緩和をすれば、日本の
航空会社には、厳しい状況が待ち構えている。
しかし、今のように、
日本の空のみを巡る闘いでは、世界
からますます取り残されていくだけ
だ。
日本→アジア→世界

日本の航空会社はこれから、
日本のみならず、アジアの空、そして世界の空へと、
競争をし、独自のブランドを押し出して、より一層成長していく会社に
なっていく必要がある。


航空業は、我々にとって不可欠なものとして将来もまだま
だ発展していくであろう。
そして、その舞台は、、、
世界の「空」をめぐって
おわり