都道府県サービス管理責任者研修 演習企画・運営のポイント (2012年度介護分野:療養介護・生活介護) 1.演習事例の選定について ○使用する事例のねらいを確認・明確にすることが大事。 ○事例にタイトルつけると、事例のイメージがつきやすい。 ・国指導者研修演習:「親の高齢化により、在宅生活の継続が困難な通所の利用者 を支援する事例」 ○選定事例の大まかな傾向 ①介護者の高齢化に伴う、生活状況の変化のケース。 ・・・通所系では今後増える。 ②入所から、または、在宅からGH/CH等に地域移行のする 事例・・・今後増える。 ③支援に困難を要するケール。⇒施設内のケース検討になり がちにあるかも・・・。 ④在宅で医療的ケアの度合いが高いケース。 ⑤相談支援専門員から事業所に依頼があったケース。⇒特別 支援学校等からの新卒者のケース・在宅生活に課題がある ケース。 ⑥などなど ☆書式は、国研修等を含めたものの活用・各事業所の活用。 2.演習の運営について (1).個別支援計画の演習・研修企画運営のポイント □ 演習がスムースに進行できるよう、アイスブレイク(話 し合いや研修、ワークショップなどの冒頭などで、場が 進むよう雰囲気作り)も疎かにしない □ 事前課題の事例選定等、十分な準備を行い実施する。 □ 演習の目的・手順を明確にして演習に入る。 □ツールの有効活用 ⇒?さん・ニーズ整理表・個別支援計画書など ⇒ツールの使い方に慣れない受講生がいるかも。記入 例の提示。ツールの関連性の説明。 (2).グループ演習・討議の運営の工夫 □適切なGrの人員は、6~8名程度が理想。 □ホワイトボード・模造紙の活用。議論の内容がはっきり 分かるようにする。(話し合いの空中戦を防ぐ) 3 (3).会議法の活用 □事前の説明・資料が必要かも。 □ブレンストーミング・KJ法の活用 ・参加者全員の意見がポストイット上に反映される。大人数でファシ リテーターが少ない場合は効果。 □ロールプレイの活用 ・受講生の気づきに機会になる。指示書・役をはずす儀式は大事。 □発表の形式 ・発表は大事だが、全Grが発表すると時間が掛かる。これを 解消 するために、Grを分ける(今回演習)ポスターセッション方式が良 い。 (都道府県研修で想定されるグループ発表の場面) ・演習1日目の事例演習後の個別支援計画 ・演習2日目のモニタリング後の個別支援計画 ・演習2日目のサービス内容のチェックとマネジメントの実際 □時間配分・・・臨機応変な対応が必要。 □国のpptに演習資料はあるが、コンパクトな進行表があ ればファシリテーター間で共有しやすい。 4 (4).ファシリテーター ☆どの都道府県も苦戦している。 □国研修受講者が、その年度の県研修のすべてを コーディネートするには、困難である。過去の国研 修受講者との協力体制が重要と思われる。 □確保にあたっては、過去のファシリテーター経験 者や受講生で適当と思われる人に早急に声を掛ける。 □行政に協力は不可欠。 □各サービス事業所の団体に協力要請する方法もあ る。(例:各県知的障害者福祉協会・身障施設協 会・精神関係連絡会・セルプ協など) □演習当日まで、最低一回の演習の打ち合わせが必 要。 □研修の質を担保するには、演習グループに一人が 配置が望ましい。 5 3.ファシリテーターの基本知識:グループ運営のポイント (1)ファシリテーションとは・・・。 • 会議、ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、話の 流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行 為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、 組織や参加者の活性化、協働を促進させる手法・技術・行為 の総称 • コミュニケーションスキル以外にも、グランドルールが必要 な場合の内容設定や補助、プロセスデザイン、ミーティング 自体の進め方や、さらに会議の場所や参加者の選択、日程の デザインなど、オーガナイザー(まとめ役)やリーダーの役割 を含む場合もある • 会議の場に限定せずとも、日常での組織コミュニケーション 全般において、ファシリテーション技術は活用することがで きる。また、会議の場などでコンテンツ(議論の内容)に対 して公平な立場にたち、話し合いのプロセス(流れ)に介入 してファシリテーションを行う者のことをファシリテーター (Facilitator)という。 ・ファシリテーターにはファシリテーション 技術もさることながら、参加者または組織 に対して良心に基づいた、達成イメージへ の情熱と信念も合わせて必要とされる。 ・ファシリテーションの現場では次のものを 使うことが多い。 • 模造紙 ・マーカー ・フェルトペン ・ポス トイット ・ホワイトボード ・ホワイト ボードマーカー ・セロハンテープ ・キッ チンタイマー • など・・・話し合いが視覚的に確認できるよう (空中戦を防く)上記の道具を有効に使う。 4.会議法グラフィック・ファシリテーション:BS法とKJ法 ・ブレーンストーミングは、新たなアイディアを生み 出すための方法の一つ。 ・KJ法は、ブレーンストーミングなどによって得ら れた発想を整序し、問題解決に結びつけていくた めの方法です。KJ法という呼び名は、これを考案 した文化人類学者、川喜田二郎氏のアルファベッ ト頭文字からとられています。 以下の説明は、主として氏の著作(『発想法』中公 新書、1967年;『続・発想法』中公新書、1970年) によっています。 ○ブレインストーミングとは、集団でアイデアを出し合うことによって、相互交錯の 連鎖反応や発想の誘発を期待する技法である。 人数に制限はないが5~7名、場合によっては10名程度が好ましく、議題は予 め周知しておくべきである。 ○ブレインストーミングの過程では、次の4原則(ルール)を守ることとされている [1]ブレインストーミングの4原則 [編集] (1)批評・批判をしない(批判厳禁) 各人のアイデアに対して、批評・批判することは慎む。個々のメリット・デメリッ トなどの評価は、ブレインストーミングの次の段階で行う。批評・批判については、 各自メモをとるなどしておく。 (2)粗野な考えを歓迎する(自由奔放) 誰もが思いつきそうなアイデアよりも、奇抜な考え方や、ユニークで斬新なアイ デアを重視する。新規性のある発明は、たいてい最初は笑いものにされる事が 多く、そういった提案こそを重視すること。 (3)量を重視する(質より量) 様々な角度から、多くのアイデアを出す。一般的な考え方・アイデアはもちろん、 一般的でなく新規性のある考え方・アイデアまで、あらゆる提案を歓迎する。 (4)アイディアを結合し発展させる(結合改善) 別々のアイデアをくっつけたり、一部を変化させたりすることで、新たなアイデ アを生み出していく。他人の意見に便乗することが推奨される。 9 ○KJ法(-ほう)は、文化人類学者川喜田二郎(東京工業大学名誉教授)が データをまとめるために考案した手法である。データをカードに記述し、 カードをグループごとにまとめて、図解し、論文等にまとめてゆく。 ○KJとは、考案者のイニシャルに因んでいる。共同での作業にもよく用い られ、「創造性開発」(または創造的問題解決)に効果があるとされる。 フィールドワークで多くのデータを集めた後、あるいはブレインストー ミングにより様々なアイディア出しを行った後の段階で、それらの雑多 なデータやアイディアを統合し、新たな発想を生み出すためにKJ法が行 われるのが一般的である。 ○ KJ法は4ステップからなる。 1・カードの作成 2・1つのデータを1枚のカードに要約して記述する。 3・グループ編成 ○数多くのカードの中から似通ったものをいくつかのグ ループにまとめ、それぞれのグループに見出しをつける。 4・図解化(KJ法A型) 叙述化(KJ法B型) 様々な用途に合わせて色々なサイズのカードが用意され ている。 10 (例) ・課題についてのコメント。 ・一つずつ、箇条書き。 ・ケアマネジメント技法を 深める ・頑張る。青木・・・・ ○話し合いにあたって ○話し合いにあたって ・一人一枚カードを出す。 ・同じ内容のがあれば続いて 出す。 ☆同じ内容ごとにカードをまと める。 ☆まとめた分野ごとにタイトル をつける。 そしてKJ法でまとめて行きます! 例えば:お題「あなたの好きなものは?」 Aさんの答え:「テニスと読書」 この場合、1枚のカードに「テニス」、 もう1枚の紙に「読書」と書く。1枚の紙 に複数の答えを書かない。 答えがいくつもあれば、その答えの 数だけカードに書く。 例えば:お題「あなたの好きなものは?」 シンキングタイムを数分とり、その後 グループでまとめて行きます。 1、まず一人が書かれたカードを口に出しながら中 央に置きます。1枚だけ! 2.他のメンバーは、その内容が同じなら上に重ね、 似通っているのなら近くに置きます。みんなで相談し ながら・・ 3.そして次の方も同じように、1枚出し、2と同じよう な作業を行います。 例えば:お題「あなたの好きなものは?」 置かれたカードがこんな風になりました! テニス テニス テニス コンビニの スィーツめぐり 読書 読書 食べ歩き ジョギング 水泳 映画鑑賞 お菓子作り 例えば:お題「あなたの好きなものは?」 それぞれのグループのタイトルを考えましょう スポーツに関すること テニス テニス テニス 食べ物に関すること コンビニの スィーツめぐり 教養に関すること 読書 読書 食べ歩き ジョギング 水泳 映画鑑賞 お菓子作り ちょっとアイデア! 参加者のカードの色を変えて行ってみる Aさんは テニス 読書 Bさんは テニス ジョギング Cさんは テニス コンビニの スィーツめぐり Dさんは 水泳 読書 Eさんは お菓子作り 食べ歩き 映画鑑賞 カテゴライズされた分野と 自分のカードの関わりを見てみましょう! 全ての分野に自分のカードが入っていたり、・一つの所に集まっていたり、いろ いろですよね? この気づきを利用して、職場でも事例検討などに使ってみてください! スポーツに関すること テニス テニス テニス 食べ物に関すること コンビニの スィーツめぐり 教養に関すること 読書 読書 食べ歩き ジョギング 水泳 映画鑑賞 お菓子作り 5.ロールプレイ 役割演技(やくわりえんぎ)とは、現実に起こ る場面を想定して、複数の人がそれぞれ役 を演じ、疑似体験を通じて、ある事柄が実際 に起こったときに適切に対応できるようにす る学習方法の一つである。ロール・プレイン グ(英 role playing または roleplaying、日本 語では略称でロープレなどとも言う)という。 ロールプレイについて(概要) 1.ロールプレイとは ・ 現実に起こる場面を想定して、複数の人がそれぞれ役を演じ、疑似体験を通じて、ある 事柄が実際に起こったときに適切に対応できるようにする学習方法の一つである。 ・ 学習者は、役割を演じなければならないが、演じ方はたいてい演者の自由である。 ・ 対人関係や態度・行動を通して行われる学習に用いられる。 2.ロールプレイのメリット ・ 意志決定過程にみられるような物事のプロセスについて学ぶ可能性が高くなる。 3.ロールプレイの方法 1)事前準備 ・ シナリオ:準備の段階でシナリオを作成するか、役割だけを決めて自由に行うか、目的 に よって決定する。 ・ 時間:決まっているわけではない ・ オリエンテーション:実施する前に学習者にその目的を十分に説明する。 2)実施 ・ 実施中にロールプレイをビデオに録画しておけば、後で見直すことができる。 3)フィードバック ・ ロールプレイ終了後、気づきや学びを話し合うことで、学習を深め、広げることが大切 19 ロールプレイ(ロールプレイイング)の目的 日常生活の中で、人は必ず様々な役割を背負って暮らしていることを考えますと、人生は まさにドラマと言えます。その中で、常に同じような役割ばかりをこなしていますと、新たな人 間関係を作り出すことは大変難しくなります。 ロールプレイとは、参加者が自由な雰囲気の中で、あるテーマについて即興的に役割を演 じ、協同して、役割行動の変容を図るもので、日常生活におけるそれぞれの役割を見直し、新 しい状況に応じられるようになることを目的としています。 (1) 日常生活における自分の役割を見直し、日常生活での課題を解決する手がかりを得る。 (2) 参加者全員が、感情の解放をします。 (3) 新しい、突発的な状況に応ずることができます。 したがって、ロールプレイは日常生活のリハーサルとも言えるでしょう。参加者はうまく演ず る必要はありません。大切なのは、いかに自分なりに自発性を発揮して演ずるかです。 自発性が回復されれば、ロールプレイでの新鮮な役割体験は、新しい役割を日常生活に 取り入れる原動力となります。 自発性とは、新しい状況においても、周囲と自分自身にとって、より適切な、望ましい対応 ができるということです。一般に、人は、新しい状況に対しては、他人の意見や自分の既有の 体験をよりどころとして対応してしまいがちです。自発性は、そのような自分の外側から規制し てしまうのではなく、自然に自分の中から自分を動かしていくことです。 自発性は、まず役割をとること(役割取得)から、自発的に個性的に演ずること(役割演技)、 さらに、新しい役割を創造すること(役割創造)へと段階的に高まっていきます。 20 ロールプレイを行う上での注意 1) ロールプレイを理解しているファシリテーターをグループごとに配置すること 2) 事前準備(オリエンテーション):参加者が主体的に関われるように情報や知識の整理 3) 役割別の準備:各役割ごとに自分たちの役作りを行い,場面設定を話し合う 4) 役割演技・討議:役になりきって演ずる。時間内で場面を変えて複数回実施しても良い 5) 誰か一人が時間を占領しないこと 6) 振り返り(フィードバック):必ず自分の役やほかの役について感じたこと、考えたこと を振り返る時間をとり、ロールプレイの後,他の人へ感情・しこりが残らないよう配慮 〈時間配分の参考例〉 1) 知識の整理(5分) 2) ロールプレイの実施 ①役割別の準備(5分) ②1回目の演技(15分):個別支援会議の準備の支援者だけの話し合い 振り返り(5分) ③2回目の演技(15分):本人や家族も含めた関係者が参加した個別支援会議 振り返り(5分) 21
© Copyright 2024 ExpyDoc