平成8年度電気関係学会東北支部連合大会 321 1112フラクタル構造を持つディジタル回路網に関する考察 小野寺聡↑川又政征廿樋口龍雄↑ (↑東北大学大学院情報科学研究科,↑↑東北大学大学院工学研究科) 1.まえがき フラクタル構造に基づいてアナログ回路網を構成する と,遷移域でUα(0<α<1)に比例する傾きを持つ振幅 特性を得ることができる{11.特に図1のような回路網で は,(4ノ1/2に比例する傾きを持つ[21.本稿では,“1/2に比 例する傾きの振幅特性を持つディジタル回路網の構造の 再帰性について考察する. 2.アナログフラクタル回路網 図1のように,再帰的な構造をしたRC無限回路網(本 稿ではフラクタル回路網と呼ぶことにする)について考 えると,この回路網において,電流はフラクタル構造で 分岐する.また,この回路網のアドミタンスY(s)は, Y ( s ) = , / 石 7 瓦 / 5 となる.この伝達関数から,振幅特性は10dB/decの傾き を持つことがわかる. 3.ディジタルフラクタル回路網 2節のアナログ伝達関数を双一次z変換することによっ v ( t ) 図1:RC無限回路網 山 噸’一櫛砦 ( b ) ( ( a )a ) . VAB 噸 0 D V D O o ( ( c ) c ) ( d ) 図2:アナログフラクタノレ回路網の構造 て,10dB/decの傾きを持つディジタル伝達関数を求める 竜一 ことができる.この特性を持つディジタル回路網の持つ 構造について考える.その方法としては,まずアナログ フラクタル回路網のブロック図の構造を求め,その構造 に双一次z変換を施すことによってディジタルフラクタ ル回路網の構造を導くことにする. まず,図2(a)に示すような1段回路網において,電圧 を入力信号,電流を出力信号として考えると,アドミタ ンスはY=Cs+1/Rとなり,ブロック図は図2(b)のよ うに求められる. 次に,図2(c)のような2段回路網について考える.CB 間とDB間のアドミタンスはCs+1/Rで1段と同じ構造 図3:デイジタルフラクタル回路網の構造 となる.また,AC間とAD間を流れる電流をそれぞれ求 こ これらの問題に対して対処を施す必要がある.まず, れらの問題に対して対処を施す必要がある.ます,1の めると, 極に対しては,極を単位円の中にいれるために,点線内 の部分を1未満の値を持つ乗算素子で置き換える.また, デイレイフリーループに関しては,このループを等価変 伽 = 可 壬 鵠 ( c 叶 会 ) , 伽 = , + 器 ) 1 ( c ・ + 会 ) となり,AC間とAD間の構造を導くことができる.全体 の構造は図2(d)のようになる.この構造に注目すると,1 段回路網の構造をその内部に再帰的に含んでいることが わかる. こうして計算していくと,再帰性を持つ多段のブロッ ク図の構造を導くことができる.この求めたブロック図 の構造に双一次z変換を施すことで,ディジタル回路網 の構造を得る(1段と2段のディジタルフラクタル回路網 の構造を図3(a)と図3(b)に示す). しかし,求めたディジタル回路網は,その内部に不安 定な1の極を含むために,安定して動作しない(図3の 点線内).また,2段以上のディジタル回路網では,計算 のできないデイレイフリーループを含むため(図3(b)の 太線部)実現は不可能である.回路網の実現のためには, 換を用いて置き換えることで解決できる.これらの対策 によって,ディジタル回路網は安定して動作することが 確認できる. 4.むすび 今回は,フラクタル構造を持つディジタル回路網の構 造および問題点とその対策について考察した.その結果, 回路網の持つ再帰性を確認することができた. 参考文献 {11S、H、Liu,"恥ctalmodelfbrtheacresponseofa roughinterface,',Phy8・ReU.Lett.,vol、55,no、5,pp、 529-532,Ju1.1985. I21HFurukawa,“1/fnoisespectrumonselfsimilar c a s c a d e o f b i f U r c a t i o n p r o c e s s e s , ' ' P h Z ノ s ・ L e t # . , v o l l l O A , no、6,pp、316-318,Au9.1985.
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