保険・年金論(第3回) リスクプーリング

保険論(第6回)
けがと病気の保険
保険の募集組織
生活保障システム
敬愛大学経済学部
2015年5月14日
大塚忠義
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講義資料
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Agenda
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公的保障の補完
損保が多く扱う保険
生保が多く扱う保険
介護保険
保険の募集組織
生活保障システム
公私役割分担
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けがと病気の保険(1)
誰もがさらされているもっとも普遍
的なリスク
国民皆保険:健康保険・介護保険
国が社会保険によってカバーして
いる。
しかし、足らないかも。。。。
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けがと病気の保険(2)
民間保険会社にとっては;
公的保障分野の補完
第3分野の保険:生命保険・損害
保険のどちらにも属さない、また
は両方に属する
人の生死ではない
定額・実損両方の給付がありえる
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公的保障の補完
1.健康保険からの給付を超える費用
•自己負担分(実費の30%)
•保険外の治療(自由診療、高度先進医療等)
•差額ベッド(個室等)など入院費用
2.働けない間の生活費:休業補償、所得補償
3.海外でのけが・病気
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けがと病気のリスクエクスポージャー(1)
1.健康保険からの給付を超える費用
20日入院したらどのくらい必要か?
必要な金額はどのように決まるか?
実損填補?定額給付?
2.働けない間の生活費
勤労者のみが対象
通常、有給休暇は20日以上
自営業者にとっては、収入×不労期間
3.海外でのけが・病気
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けがと病気のリスクエクスポージャー(2)
1.けがと病気による実損額
健康保険の自己負担 (高額医療費は別
の保険給付が存在する)
健康保険の対象外の費用
海外でのけが・病気
2.けがと病気による定額の必要額
働けない間の生活費:失った収入の保障
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代表的なけがと病気の保険(1)
•医療保険
•がん保険
•傷害保険
•旅行保険(海外旅行保険)
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代表的なけがと病気の保険(2)
ニーズがある:誰もがさらされているもっと
も普遍的なリスク
自分に起こりうる:明日死ぬとは思えない
けど、明日けがするかも、入院するかも、
がんと宣告されるかも
加入しやすい:
保険料が安い:月々1~2000円
入院して保険から給付で儲かった人は周
りにいませんか?
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損保が多く扱う保険
•傷害保険
•交通事故傷害保険
この組合せで、「つり保険」「ゴルフ保
険」「登山保険」etc..
•旅行傷害保険
実損填補の色合いが強い
•所得補償保険
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生保が多く扱う保険
•医療保険・特約
•がん保険・特約
定額給付 入院日数比例
病気に対する保障
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主契約と特約(続)
主契約に医療関係特約を付加すること
で「けがや病気に対する保障」を提供し
ている。
入院特約
成人病特約
通院特約
介護保障特約
傷害特約
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介護保障
新規の分野
今後の発展
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保険仲介人(1)
保険契約を締結する際、取引の補助を行う
人
保険代理商:保険代理店、保険ショップ、銀
行、信用金庫、証券会社
保険者の使用人:生命保険の営業職員
保険中立人:保険ブローカー
保険代理店:旅行代理店、自動車販売・修
理、大型小売店も含む
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保険仲介人(2)
保険代理商・保険者の使用人
保険者のために、保険者の代理人とし
て保険契約の販売活動を行う
保険者は管理監督義務を負う
保険中立人
保険者・保険契約者のどちらからも中立
の立場で、最適の保険契約を推奨す
る・・・ベスト・アドバイス・ルール
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保険仲介人(3)
損害保険の保険仲介人
申込書を受領した時点で、契約は成立す
る。・・・契約締結の代理権を有する。
生命保険の保険仲介人
契約締結の代理権を持っていない。
保険者が直接、医者による診査から判断
する。
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保険仲介人の必要性(1)
火災保険
住宅ローン借入の際に火災保険の加入は
必須
銀行、信用金庫
家財保険・賠償責任保険
家財の価値の算定に関する知識の提供
保険代理店、保険ブローカー
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火災保険の保険金額の設定
保険金額:保険の加入の際、契約者が選
設定する金額:支払われる保険金の上限
通常:全部保険:保険金額 =保険価格
損害額と同額の保険金が支払われる
一部保険:保険金額<保険価格
損害額に保険金額と保険価格の割合を乗
じた金額(比例填補)を保険金として支払う
超過保険:保険金額>保険価格
実際の損害額以上の支払はない。
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保険仲介人の必要性(2)
自動車保険
自賠責保険:自動車販売・修理業者:車検
の通過に際して必須
任意保険:自動車販売・修理業者が自賠責
と併せて提供:
自動車事故賠償責任額に関する知識の提
供:多くの人が理解するようになる
インターネット経由(保険料が安い)
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保険仲介人の必要性(3)
生命保険
遺族保障の必要性、重要性の説得
必要額の算出
保険代理店、生命保険の営業職員、保険
ショップ
コンサルティングを必要としない人
インターネット
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保険仲介人の必要性(4)
傷害保険
保険料が安い(数十円)ため、いろいろなと
ころに付帯されている
各種のカード、パック旅行、運動会などのイ
ベント:それぞれの業者が保険代理店を兼
業
海外旅行保険
旅行業者が保険代理店を兼業
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保険仲介人の必要性(3)
医療保険・がん保険
すべての保険仲介人が競合
比較的単純な商品性
明確な顧客ニーズ
比較的低廉な保険料
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生活保障システム(1)
通常の生活のなかでさらされる「生活リス
ク」から個人やその家族を保護・保障する
諸制度を1つのシステムと捉えたもの
3つのサブシステムから構成される
•社会保障:政府の責任により国民の生活
を支える。
•企業保障:企業がその従業員のために
•個人保障:個人が自己責任で
生活保障システム(2)
•社会保障:公的保障
•企業保障、個人保障:私的保障
3つのシステムがそれぞれの機能を果
たすことにより、国民生活の安定や福
祉の維持増進が確保できる
公的保障:強制的制度、政策により保
険料、給付内容、給付水準が定まる
私的保障:公的保障の在り方に根本的
に制約される
生活保障システム(3)
アメリカ
自由と自己責任の国、国家による束縛を嫌
う、低福祉、低い税金、民間保険の普及
健康保険、老齢年金は企業年金か個人加
入、eg. 401K
EU
旧世界、宗教色が色濃く残る
高福祉、高い税金、民間保険は富裕層の
み
国による健康保険、手厚い公的年金
公私役割分担
•どの経済主体がどの程度まで、生活
リスクを保障するか
国?会社?自分?
•どの経済主体がどの程度まで、保険
料を負担するか
自己責任と国による強制
⇔最低限の生活の保障(憲法によって
定められた基本的な人権)
公私役割分担(2)
• 企業にとって、社会保障システムの
めの税金、給料、ボーナスと同じく授
業員のためのコスト
• 個人にとって、社会保障システムの
ための税金、保険料は強制的な保
険加入
国民年金保険料を払っている人?
⇒現在の保険料負担と将来の年金受
給権放棄
どっちを選びますか。
公私役割分担(3)
•充実した社会保障:EU
⇒高い税金(収入の50%↑、消費税2
5%)、社会保険料、高い社会保守、充実
した福祉、勤労意欲の喪失
•自由と自己責任:米国
⇒低い税金、低い社会保障、貧富の差の
拡大、治安の悪化
“大きな政府”vs”小さな政府“
どっちを選びますか???
Question?
お疲れ様でした。
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