Nagoya Institute of Technology 「環境エネルギー材料合成特論(4)」 ~ 排ガス浄化触媒について ~ 名古屋工業大学 大学院工学研究科 未来材料創成工学専攻 先進セラミックス研究センター 羽田政明 1 Nagoya Institute of Technology ガソリン自動車用三元触媒 2 ガソリンエンジンの仕組み Nagoya Institute of Technology ガソリンの燃焼反応 (ガソリン+空気(O2+N2)) C8H18 + O2 + N2 理想的な反応 CO2 + H2O + CxHy + CO + NOx 有害成分 (酸性雨、光化学スモッグの原因) “化学のはたらきシリーズ3「自動車がわかる」“より引用 3 Nagoya Institute of Technology ガソリン自動車からの排ガス成分 空燃比と排出ガス成分 燃料が多い条件 ¾不完全燃焼の生成物である未燃燃料や COが多い 空気が多い条件 ¾酸化生成物である窒素酸化物(NOx)が 多い 実際の運転条件 ¾燃料と空気が過不足なく反応できる 理論空燃費付近に制御されている NOx: 3.07g/km (約500ppm) HC: 3.74g/km (約600ppm) CO: 20.5g/km (約3000ppm) 燃料が多い 空気が多い (空気中のCO2濃度:380ppm) 4 空燃費-出力ー排ガス成分 (http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa197901/hpaa197901_2_005.html) Nagoya Institute of Technology 5 Nagoya Institute of Technology ガソリン乗用車の排ガス規制の推移 規制値の削減率 (%) 100 昭和48年度規制 ’73 Regulations HC 80 昭和53年度規制 ’78 Regulations CO: 2.10g/km HC: 0.25g/km NOx: 0.25g/km NOx 60 40 平成12年規制 (新短期規制) CO: 1.27g/km HC: 0.17g/km NOx: 0.17g/km 平成17年規制 (新長期規制) CO: 1.15g/km HC: 0.05g/km NOx: 0.05g/km 20 0 CO ‘70 ‘80 ‘90 ‘00 ’10(年) 三元触媒の開発 CO + 1/2O2 CO2 HC + O2 CO2 + H2O NO + CO + HC CO2 + H2O + N2 主な三元触媒反応 6 Nagoya Institute of Technology ガソリン車排ガスの浄化:三元触媒 空燃比と触媒の浄化効率 ¾ 酸化反応 CO + 1/2O2 HC + O2 CO2 CO2 + H2O ¾ 還元反応 2NO + CO + HC N2 + CO2 + H2O 酸化反応と還元反応が、ガス成分のある バランス点(理論空燃費)で同時に起こる 触媒が開発された 三元触媒 酸化アルミニウム(Al2O3)を基盤として 白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウ ム(Pd)を活性金属とする触媒 (Pt-Rh-Pd/Al2O3) 7 Nagoya Institute of Technology 三元触媒反応 ¾ 還元反応(Rh) ¾ 酸化反応(Pt、Pd) CO + 1/2O2 HC + O2 H2 + 1/2O2 ¾ その他の反応 CO + H2O HC + H2O CO2 CO2 + H2O H2O 2NO + 2CO 2NO + HC 2NO + H2 N2 + 2CO2 N2 + CO2 + H2O N2 + H2O CO2 + H2 CO2 + H2 自動車触媒とは、 ¾ これらの反応により有害な成分を無害化し、 ¾ 常に変動する温度、SV、反応成分濃度に対して幅広く対応でき、 ¾ 定められた時間または自動車の走行距離が経過した後でも、その機能を果た さないといけない。 ¾ 物理的な破壊がなく、環境や人体への悪影響がなく、副生成物の発生がない 8 三元触媒の構造 Nagoya Institute of Technology Pt-Rh-CeO2/Al2O3 ハニカム(セラミックス、メタル) 活性貴金属:Pt-Rh(Pd) 助触媒:CeO2(酸素吸蔵剤) 担体:Al2O3 9 三元触媒を用いる排ガス浄化システム Nagoya Institute of Technology 三元触媒の前後に酸素センサを装備し、常にフィードバックをかけることにより、 三元触媒が効果的に作用する理論空燃費(A/F=14.7)での燃焼を制御している。 (www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/2007_10_03.pdf) 10 三元触媒のなかの元素の働き Nagoya Institute of Technology ○ Pt、Pd、Rh (Platinum Group Metal: PGM) HC、COの酸化、NOxの還元 ○ La アルミナの焼結抑制 ○ Ba fuel lean (O2 rich)条件でのNOxの吸蔵 ○ Ce 酸素吸蔵・放出 (Oxygen Storage Capacity: OSC)、 PGMの焼結抑制 ○ Zr CeのOSC能の向上 11 Nagoya Institute of Technology 三元触媒の性能(1):貴金属 Pt, Pd, Rh単成分触媒のエンジン排気中の三元触媒特性 Pt 0.05g/L Pd 0.05g/L Rh 0.05g/L 白金(Pt) 空燃費(A/F)に関係なく、三元触媒活性があまり高くない。 パラジウム(Pd) リッチ条件(A/F<14.6)でのHC酸化活性が高く、また白金と比較してNOx還元活性が高い。 種々のHC成分の中で、オレフィンや芳香族の酸化に対して白金よりも高い活性を示す。 ロジウム(Rh) 白金、パラジウムと比較して極めて高いNOx還元活性を示す。ロジウムは三元触媒における必 須の成分と考えられている。 (村木秀昭、触媒、vol.34 (4), p.225 (1992)) 12 Nagoya Institute of Technology 三元触媒の性能(1):貴金属 Pt触媒とPt/Rh触媒の性能比較 Pt/Rh触媒とすることで性能向上 (岩本正和監修 “環境触媒ハンドブック”より引用) 13 Nagoya Institute of Technology 三元触媒の性能(1):貴金属 Pt/Rh触媒とPt/Pd/Rh触媒の性能比較 Light-off性能 車輌によるモード評価においてもPt/Pd/Rh 触媒とすることで浄化性能の向上を実現 Pt/Pd/Rh触媒とすることでLight-off活性を約30°C改良 (岩本正和監修 “環境触媒ハンドブック”より引用) 14 三元触媒の性能(2):酸素吸蔵剤(OSC) Nagoya Institute of Technology CO, HC, NOxの三成分を同時に 高効率で除去できるウィンドウの存在 ウィンドウの拡大が性能向上の ための開発ポイント 助触媒としてCeO2を添加するこ とにより性能向上 ⇒ ウィンドウの拡大 酸化セリウムの酸素貯蔵能(OSC: Oxygen Storage Capacity)によるもの CeO2 CeO2-x + (x/2)O2 ( 0<x<0.5) 15 三元触媒の改良研究 Nagoya Institute of Technology • 触媒活性種の改良 – Pdの利用、活性種配置の工夫 – インテリジェント触媒(ダイハツ) – 酸素吸蔵剤(OSC)の改良 • コールドスタート対応 – 触媒温度上昇の高速化 • 熱容量低減(ハニカム高セル密度化・薄壁化) – 電気ヒーター加熱触媒 – 多段触媒システム • HC吸着型三元触媒(HC吸着剤の利用) 16 Nagoya Institute of Technology 三元触媒の改良研究(1) 三元触媒の組成と構造の進化 下層にHC酸化能の高い活性種を配置 Pt/Pd/Rh系開発による性能向上を実現 (岩本正和監修 “環境触媒ハンドブック”より引用) 17 三元触媒の改良研究(2) Nagoya Institute of Technology ハニカム担体の改良による三元触媒性能の向上 T=150°C 高セル密度化により低温触媒性能 が向上。高セル密度のハニカムを 使用し、貴金属量を多くすること で低温活性の更なる向上を実現。 (岩本正和監修 “環境触媒ハンドブック”より引用) セル形状を四角形から六角形にするこ とでウォッシュコートの均一性が大幅 に改善され、触媒性能の向上も実現 18 Nagoya Institute of Technology 三元触媒の改良研究(3) インテリジェント触媒(ダイハツ) ・ 貴金属のシンタリングが起こらない。 ・ 従来触媒と比較して、触媒の性能 劣化が抑制されており、高活性な状 態が維持されている。 ゾルゲル法の活用 (http://www.daihatsu.co.jp/company/craftsmanship/tech_dev/environment/i-topaz.htm) 19 Nagoya Institute of Technology 三元触媒の改良研究(4) 酸素吸蔵剤の改良(トヨタ自動車) より酸素吸蔵能の高いCeO2-ZrO2とする ことで活性向上(ウィンドウ拡大)を実現 CeO2-ZrO2の耐久性向上(Al2O3への 分散)による性能向上を達成 20 Nagoya Institute of Technology NOxトラップ触媒 21 Nagoya Institute of Technology リーンバーンガソリンエンジン 空気過剰率とエンジンの特性 酸素雰囲気排ガス NOx除去に三元触媒が適用できない 三元触媒システム 22 NOx吸蔵還元触媒システム(トヨタ) Nagoya Institute of Technology 【特長】 •空燃比リーン時にNOを酸化して硝酸塩として 吸蔵、リッチ時に吸蔵されたNO2をHCやCOと の反応で還元浄化 •従来の三元触媒にNOx吸蔵剤として塩基性金属 酸化物を添加 •リッチによる燃費損失は1%以下 •トヨタ自動車で1994年から実用化 •ディーゼルにも適用(DPNR) 【課題】 •燃料に含まれる硫黄成分による活性低下 (http://www.cataler.co.jp/prod/pr01.html) 23 NOx吸蔵還元触媒の特性評価 Nagoya Institute of Technology 最適なNOx吸蔵物質の選択 Pt/Rh/La2O3/CeO2/Al2O3触媒の過渡的なNOx浄化挙動 A/F=18 A/F=14.6 A/F=18 BaやKが最適 A/Fを18に切り替えた直後の1分間はNOx浄化率 が高い状態で推移(触媒出口NOx濃度が低い) (「もうクルマは空気を汚さない」(石油学会編)) (松本伸一、触媒、vol.39 (3), p.210 (1997)) 24 Nagoya Institute of Technology NOx吸蔵還元触媒の特性評価:硫黄被毒 2ndステップの硫黄脱離温度 と浄化率の回復割合 S付着量とNOx浄化率との関係 Pt/Rh/Ba/M/γ-Al2O3 Pt/Ba/γ-Al2O3 Li添加が有効 (873Kで還元処理) 表 TiO2を添加したγ-Al2O3との混合担体を用いた触媒(耐久後)のNOx吸蔵量(kmol/m3) TiO2とLiを添加したγ-Al2O3のTi/Alモル比 耐久試験温度 1/6 1/4 1/2 1/1 873 K 2.3 2.8 3.5 4.8 973 K 4.2 4.0 3.8 3.5 (「もうクルマは空気を汚さない」(石油学会編)) 25 Nagoya Institute of Technology HCトラップ触媒 26 三元触媒の性能改良に向けた課題 Nagoya Institute of Technology • コールドスタート対応 – 触媒温度上昇の高速化 • 熱容量低減(ハニカム高セル密度化・薄壁化) – 電気ヒーター加熱触媒 – 多段触媒システム コールドエミッション • HC吸着型三元触媒 (HC吸着剤の利用) 触媒が作動しないエンジン始動直後 に排出される炭化水素の浄化が課題 (全炭化水素量の90%以上に相当) ハイブリッド車では コールドスタートが多くなる 27 HC吸着型三元触媒 Nagoya Institute of Technology 三元触媒+HC吸着剤(ゼオライト) コールドスタートのHCを吸着剤で保持 コールドHC成分の組成例 100種類以上のHC種が含まれており、高効率 でHC種を吸着できる吸着剤の開発が必要 (山本伸司、触媒、vol.45 (3), p.230 (2003)) 28 Nagoya Institute of Technology HC吸着型三元触媒の改良 吸着剤の改良 ・Agの担持 ・最適ゼオライト種の選択と組合せ HC吸着型三元触媒: 触媒構造の影響 ゼオライト種によるHC吸着特性の違い (酸型ゼオライト) 触媒構造の最適化による 吸着性能の向上を達成 (岩本正和監修 “環境触媒ハンドブック”より引用) 29 Nagoya Institute of Technology ディーゼル排ガス浄化触媒 30 ディーゼルエンジンの仕組み (http://www.isuzu.co.jp/semi/truck/04_2.html ) Nagoya Institute of Technology 31 Nagoya Institute of Technology ディーゼル車からの排ガス有害成分 排ガス中の有害成分 黒いものの正体: 粒子状物質(PM) 固体 気体 窒素酸化物(NOx) 未燃燃料(炭化水素HC) 一酸化炭素(CO) 粒子状物質と他の有害成分とでは浄化方法が異なる! 32 Nagoya Institute of Technology ディーゼル排ガス対策技術 • 燃焼改善 → エンジン改良 粒子状物質と窒素酸化物(NOx) の同時除去は困難 • 排気ガス浄化(後処理) – フィルター(PM): トラップ – 触媒(NOx): 有害物質(NO)→無害物質(N2) • (燃料改質) 33 ディーゼル車排出ガスの処理 Nagoya Institute of Technology • PM(粒子状物質)の処理 – DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター) • NOxの処理 – 高い空燃比(リーンバーン)で運転→ 排ガス中の酸素濃度が高い → 三元触媒でNOxを除去できない – 酸素共存下でNOxを除去するNOx還元触媒 • ディーゼル排ガス浄化触媒システム(複数の触媒を使用) – 酸化触媒(DOC): HC, CO, SOFを酸化除去 – DPF: PMを除去するフィルター • 再生のために通常触媒を使用 – NOx還元触媒: 酸素共存下でNOxを還元除去 34 Nagoya Institute of Technology ディーゼル排ガス浄化触媒システムの構成(1) NOx除去 日本:大型ディーゼル車 欧州:ディーゼル乗用車 NO還元 NO + 還元剤 PM除去 HC/COの酸化 ディーゼル酸化触媒上での反応 CO + O2 HC + O2 SOF + O2 NO + O2 N2 CO2 CO2 + H2O CO2 + H2O NO2 (DPF再生用) DPF再生 C + O2 C + NO2 CO2 CO2 + NO HC:Hydrocarbon(炭化水素) SOF:Soluble Organic Fraction (日経Automotive Technology, 2007 Winter, p.76) 35 Nagoya Institute of Technology ディーゼル排ガス浄化触媒システムの構成(2) 日本:ディーゼル乗用車、小型ディーゼル車 NOx除去 PM除去 DPF再生 C + O2 C + NO2 (http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2007/_STORY/070806-01-j.html) CO2 CO2 + NO 36 Nagoya Institute of Technology ディーゼル排ガス浄化触媒システムの構成(3) 日本:ディーゼル乗用車、小型ディーゼル車(三菱自動車:パジェロ) コモンレール VGターボ チャージャー NOxトラップ (http://www.mitsubishi-motors.co.jp/pajero/performance/per_04.html) (http://www.mitsubishi-motors.com/jp/spirit/technology/library/clean_diesel.html) DPF 酸化触媒 37 Nagoya Institute of Technology ディーゼル用酸化触媒 38 Nagoya Institute of Technology ディーゼル酸化触媒について ディーゼル酸化触媒に必要な機能 •SOF(Soluble Organic Fraction)成分の酸化 •未燃燃料(HC)、COの酸化 •DPF再生用熱源となるポスト噴射燃料の酸化 •DPF再生に必要なNOのNO2への酸化 •PMとなるサルフェート(硫酸塩)生成が少ないこと 39 Nagoya Institute of Technology ディーゼル酸化触媒について ディーゼル酸化触媒に関する基礎的な研究例 Pt/Al2O3 Pt Pd SOF成分の酸化に対してはPt触媒が 高い活性を示す 硫黄濃度が高い軽油を使用すると、 サルフェートが生成し、PMが増加 (笠原、平田、触媒、vol.36 (8), p.601 (1994)) (岩本正和監修 “環境触媒ハンドブック”より引用) 40 Nagoya Institute of Technology ディーゼル酸化触媒について Johnson Matthey発行の「PLATINUM2009」の特集記事 (http://www.platinum.matthey.com/publications/pgm-marketreviews/archive/pgmreviewarchive.html) (日本語版:http://gold.tanaka.co.jp/statistics/index.html) ディーゼル酸化触媒にPtとPdを複合化することで Ptの熱的安定性が向上 Pt単独 欧州 日本 Pt-Pd 米国 中国 軽油中の硫黄 濃度が低下し てきており、 Pdの硫黄被 毒も軽減 41 Nagoya Institute of Technology ディーゼルパーテュキュレート用触媒 42 Nagoya Institute of Technology 我が国における発生源別SPM排出量(2000年) 車種別PM排出量割合 SPM発生源別寄与濃度割合 自動車 44% 粒子状物質(SPM)は自動車からの排出が44%も占める。 そのうちほとんどがディーゼル車に由来する。 (環境省・国土交通省 「自動車NOx・PM 法の手引き」 より) 43 Nagoya Institute of Technology ディーゼルパーティキュレート(PM) (http://app2.infoc.nedo.go.jp/kaisetsu/evm/evm06/index.html#elmtop) すす(soot) 固体の炭素粒が結合して形成された凝集粒子 SOF(Soluble Organic Fraction) 凝縮して液相になっている炭化水素成分 (軽油成分:高沸点化合物) 都市域で採取された粒子状物質の電子顕微鏡写真 (http://www.nies.go.jp/kanko/news/21/21-5/21-5-04.html) 44 PM(粒子状物質)後処理技術 Nagoya Institute of Technology PM除去フィルター (http://www.isuzu.co.jp/technology/d_databook/tech/tech_04.html) Wall-flow型DPF 45 Nagoya Institute of Technology 実用化技術の例(1) DPRシステム(日野自動車, 04年) (Diesel Particulate Active Reduction System) (http://www.hino.co.jp/j/brand/cleansafety/index1-2.html) フィルターで捕集したPM(捕集率95%以上)を連続再生と強制再生モードにより酸化除去する。 超低硫黄燃料、低アッシュ潤滑油が必要。 46 Nagoya Institute of Technology 実用化技術の例(2) CRTシステム(ジョンソンマッセイ) (Continuously Regenerating Trap) 前段のPt触媒で排気中のNOをNO2に変換 後段のフィルターに捕集したすすをNO2で酸化する。 ⇒ PM再生にNOx/PM比が影響する。 47 Nagoya Institute of Technology 実用化技術の例(3) 触媒付DPF(マツダ) 【旧材料】 【新材料】 触媒 サポート材 旧タイプはスス(PM)周辺の表 面の酸素(O2)しか反応しない。 新タイプはスス(PM)周辺の表面の 酸素(O2)に加え、サポート材の中か らも酸素が多く供給される。 エンジン制御の精密化とともに、ススを燃焼処理するためのDPFの 再生インターバルを従来品の約2倍にし、再生時間を約3分の1に短縮 (http://www.mazda.co.jp/corporate/publicity/release/2008/200809/080909b.html) 48 Nagoya Institute of Technology 実用化技術の例(4) 触媒付DPF(三井金属鉱業) Pt触媒(従来品) 従来型のPt触媒では、PM酸化 にはNO2を利用 Ag触媒(開発品) 開発品のAg触媒では、Agの表面 に存在する活性酸素を利用 Pt触媒が入口温度が520℃程度でススを燃焼されるのに対して、Ag触媒 では340℃で燃焼が可能。貴金属コストを90%以上削減。 (http://www.mitsui-kinzoku.co.jp/news/pdf/2008/topics_080423.pdf) 49 Nagoya Institute of Technology 触媒表面でのPM酸化のメカニズム 酸素によるPM酸化除去のメカニズム NO2によるPM酸化除去のメカニズム 触媒表面に吸着し、活性化された酸素 種が触媒表面をmigrationし、すすに spilloverすることですすを燃焼する Pt触媒により生成したNO2がすすと接触 し、NO2の高酸化作用により酸化される (J.A. Moulijn et al., Catal.Rev., 43, 489 (2001)) 50 Nagoya Institute of Technology PM燃焼用触媒の性能比較 すすと触媒をtight contactさせる とCu/K/Mo系触媒では300°C台 ですすを燃焼できるが、実条件に 近いloose contactやin-situでは すす燃焼には400°C以上が必要 (J.A. Moulijn et al., Catal.Rev., 43, 489 (2001)) loose contact in 3% O2/He (R. Matarrese et al., Catal.Today, 136, 11 (2008)) loose contact in 10% O2/He (高見明秀、触媒、vol.49 (4), p.297 (2007)) 51 Nagoya Institute of Technology 実用化技術の例(5) 燃料添加剤(Rhodia) ¾CeO2 nanoparticles in organic medium (vector : diesel) ¾Intimate and homogeneous dispersion of CeO2 ¾Complete regeneration of the filter 52 Nagoya Institute of Technology NOx浄化触媒 53 NOx除去触媒技術の分類 Nagoya Institute of Technology • NOxの吸収・吸着 – 湿式NOx除去 (e.g. オゾン酸化+水への吸収) – 吸収剤/吸着剤による除去 → 吸収剤や吸着剤などを処理するための後処理が必要 • 触媒によるNOxのN2への変換 → 現実的に実現可能な手法 – NO還元法: NO + 還元剤 -(触媒)→ N2 + 還元剤酸化物 • 酸素の共存状況による分類 – 非選択的還元(NSCR):酸素非共存下でのみNOを還元 ← ガソリン自動車三元触媒 – 選択的還元(SCR):酸素共存下でもNOを還元 ← ディーゼル排ガスNOx除去触媒技術 – NO直接分解: 2NO -(触媒)→ N2 + O2 • その他 – 光・電気・プラズマ等、物理的方法によるNOx除去技術 54 Nagoya Institute of Technology ガソリン車排ガスとディーゼル車排ガスの比較 ディーゼル車とガソリン車の排ガス性状 三元触媒によるNOx浄化 成分 ディーゼル ガソリン 空燃比 20~60 14.6 NOx 400~1300ppm 500~1500ppm CO 300~1000ppm 300~3000ppm HC 40~200ppm 300~800ppm PM 20~500mg/m3 --- SO2 <1ppm <1ppm O2 6~16% 0~0.5% CO2 4~11% 約13% H2O 4~11% 約13% 空気過剰率とエンジンの特性 ディーゼル車は酸素濃度が非常に高い! → 三元触媒を使用することができない 55 Nagoya Institute of Technology 実用化技術の例(1) 尿素選択還元法 【特長】 • エンジン側は高温燃焼 燃費向上とPM低減 CO(NH2)2+H2O→2NH3+CO2 1 2NH3+2NO+ — 2 O2→2N2+3H2O 3 2NH3+ — 2 O2→N2+3H2O • SCR触媒はV2O5-TiO2系、 ゼオライト-ベースメタル系 • 大型トラックで一部実用化 • 定置式エンジン用 【課題】 • 乗用車搭載には小型化 • 尿素供給のインフラ整備 NOのNO2への酸化 http://www.bosch.co.jp/jp/diesel/environment/part-03.asp# アンモニア選択還元 尿素の加水分解 56 Nagoya Institute of Technology 実用化技術の例(1) 尿素選択還元触媒システム:大型トラックの例 尿素水を排気管中に噴射し、加水分解により発生するア ンモニアとNOxを反応させてN2に還元する (http://www.jsae.or.jp/autotech/data/11-3.html) 57 Nagoya Institute of Technology 尿素SCRに使用されている触媒種 触媒種 耐熱性 耐硫黄性 耐HC 被毒 低温活性 高温活性 備考 V2O5/TiO2 × ◎ ○ △ ○ ・固定発生 源用 ・指定6元素 を使用 Cu-zeolite ◎ △ △ ◎ △ ・指定6元素 を使用 Fe-zeolite ○ ○ △ ○ ◎ ・日本での現 行触媒 *指定6元素: V, Cr, Mn, Co, Ni, Cu (国交省ガイドラインにより排出してはならない元素) (2009 JSAE Symposium資料より) 58 Nagoya Institute of Technology 尿素SCRにおけるNO2の重要性 (V2O5/TiO2系触媒) (酸化触媒) (尿素SCR触媒) 前段の酸化触媒でNOを酸化 2NO + O2 → 2NO2 (NH3スリップ触媒) Fast SCR: NOとNO2の混合物が早く還元 NO + NO2 + 2NH3 → 2N2 + 3H2O UDトラックス(FLENDS(Final Low Emission New Diesel Sytem)) 59 Nagoya Institute of Technology 尿素SCRシステムの問題点 試験車 A B C D E 排気量 (L) 13.1 13.1 13.1 9.2 12.9 走行距離 (km) 319,791 151,636 595,670 248,118 308,873 5.78 3.93 6.18 6.60 6.38 NH3排出値 (g/kWh) 1.35 0.66 0.97 0.83 0.24 N2O排出値 (g/kWh) 0.72 1.23 0.63 1.61 0.22 310N2O/CO2 注2) (%) 34 59 30 60 11 NOx排出値 (g/kWh) 注1) 注1) 規制値は単体で2.7g/kWh、車種平均で2.0g/kWh 注2) N2O生成による温室効果ガス排出量の増加分 規制値を大幅に上回るNOxやNH3、N2Oが排出 (第十一次答申資料より) 60 Nagoya Institute of Technology 尿素SCRシステムの問題点 ・排ガス中の高沸点HCが吸着し各触媒の 働きを阻害。 →被毒回復運転(高温再生処理)で解消 可能。 ・高温再生処理でも活性は完全回復せず。 触媒表面の含有成分分析 NOx除去率 (%) 被毒回復運転(高温再生処理)の効果 長期 使用後 回復運転 回復運転 30分後 60分後 新品 ・SやPの付着が確認 → 劣化原因の可能性 → 対策が急務 (第十一次答申資料より) 61 Nagoya Institute of Technology 実用化技術の例(2) DPNRシステム(トヨタ自動車) (Diesel Particulate NOx Reduction) DPNRの浄化メカニズム DPNR触媒の構造 【特徴】 触媒担体にAl2O3に加えてCeO2を利用して、PtとCeO2のシンタリングを抑制 DPNRの前に設置したLNT(Lean NOx Trap) の硫黄被毒からの回復性能は、LNTの前段に 酸化触媒を設置し、触媒担体にTiO2を含有させることにより向上 還元剤の軽油を排気管内に噴射する制御と燃焼制御での排気中の酸素低減の組み合わ せにより、排気温度が低温(330℃)においても高いNOx還元率を達成 62 Nagoya Institute of Technology 実用化技術の例(3) アンモニア生成型NOx浄化触媒システム (1)リーンバーン運転時に下層のNOx吸着層に排出ガス中のNOxを吸着。 (2)必要な時期にシステムが空燃比をリッチバーンに制御し、NOx吸着層のNOxを 排気ガス中から得られる水素と反応させてアンモニア(NH3)に転化。上層の NH3吸着層にNH3を一時的に吸着。 (3)再度リーンバーン運転になった際に、上層に吸着されたNH3が排気ガス中のNOx と反応し、無害なN2に浄化。 (http://www.honda.co.jp/news/2006/4060925b.html) 63 Nagoya Institute of Technology 実用化技術の例(4) HC・NOxトラップ触媒システム 1)NOを酸化してNOxをトラップ層 に吸着させる 2)HCをHCトラップ層に吸着させる (http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2007/_STORY/070806-01-j.html) 3)HCと共に排出量をコントールされた 微量のO2を供給することで、NOx還 元剤としてより効果的なH2とCOを生 成し、高効率でNOxを還元浄化する 64 Nagoya Institute of Technology 炭化水素類によるNO選択還元 NO + CxHy(Oz) + O2 → N2 + H2O + CO2 • 1985以前 – 「酸素雰囲気下でNOを選択還元できるのはNH3のみ」 • 1980年代後半 – 特許出願(Volkswagen、トヨタ) • 1990(本反応を学術的に確認) – 金属イオン交換ゼオライト触媒(岩本ら、Heldら) – プロトン型ゼオライト触媒(産総研 浜田ら) – アルミナ等酸化物系触媒(産総研 浜田ら) • 1993 – 担持貴金属触媒 65 Nagoya Institute of Technology 炭化水素類によるNO選択還元の特徴 • 共存酸素によるNO還元の促進 – 低温で酸素がNO還元を促進する • 温度ウインドウの存在 – NO還元が進む特定の温度領域が存在 • 還元剤の効率 Al2O3 酸素の反応促進効果 – メタン<飽和HC<不飽和HC<含酸素化合物 • NOxの反応性 温度ウインドウの存在 (NO還元が進む温度範囲) – NO<NO2 NO=1000ppm, C3H8=650ppm, O2=0-9.5%, W/F=1g/s/cm3 66 Nagoya Institute of Technology ゼオライト系、アルミナ系触媒の活性 金属イオン交換ZSM-5 NO=1000ppm, C2H4=250ppm, O2=2%, W/F=0.2g/s/cm3 金属担持アルミナ NO=1000ppm, C3H8=330ppm, O2=10%, W/F=1.0g/s/cm3 金属をイオン交換したゼオライトや金属担持アルミナが高いNO還元活性を示す。 触媒担体としてゼオライトやアルミナが有効。 67 Nagoya Institute of Technology 炭化水素類によるNO選択還元に活性な触媒 貴金属系 ゼオライト系 酸化物系 100 Maximum NOx conversion to N2 / % In-Fe2O3/H-MFI 80 Au/Al2O3+Mn2O3 Fe2+-MFI Sn/Ga2O3-Al2O3 Ga2O3-Al2O3 Co-BEA Au/Al2O3 In/Co-Al2O3 Ag/Al2O3 Co3(PO4)2 Mn2O3+Sn-MFI Co-MFI In/Ga2O3-Al2O3 Ag/TiO -ZrO 2 2 In/Al2O3 Pt/SiO Pt/MFI 2 Pd-In/TiO2-ZrO2 Cu-P-MFI Co-MOR Al2O3 Cu-SAPO34 Pd/H-MOR In/CoAlOx Pt/MOR Ni/Al2O3 Pt+Zn-MFI(IAR) Co/Al2O3 Cu-MFI In/Ga2O3-Al2O3 Pt/WO3 Ag/Al O 2 3 Pt/Al2O3 Pt-silicate Ir/Al2O3 Co-silicate Pt-B/YPO4 Ga/H-MFI CoAlOx Fe3+-MFI In/TiO2-ZrO2 Pt-B/LaPO Ag/Co-MFI 60 40 4 20 Pd/Al2O3 Sn/Al2O3 Pt/SiO2 Pt/Co-silicate Pt/Al2O3 Co/Al2O3 Al2O3 AlPO4 Rh/Al2O3 0 100 200 300 400 500 600 Temperature giving maximum NOx conversion / °C (M. Iwamoto, Stud.Surf.Sci.Catal., 130, 23 (2000)) 68 Nagoya Institute of Technology 炭化水素によるNO選択還元の実用化研究 • 定置式ディーゼルエンジン – 純アルミナ触媒(当グループ、コスモ等) – 銀アルミナ触媒(旧資環研、リケン) • ガスエンジン・ガス燃焼器 – アルミナ、コバルトアルミナ触媒(大阪ガス) – コバルトベータゼオライト(大阪ガス) – 銀アルミナ触媒(東京ガス) • リーンバーンガソリン車 – イリジウム含有三元触媒(マツダ) – イリジウム系触媒(三菱-日本触媒) • ディーゼル車 – 一部実用化!(日野自動車) 69 固定発生源への実用化研究(1) Nagoya Institute of Technology アルミナ触媒を用いる定置式ディーゼルエンジン脱硝システム ~ 純アルミナ触媒・メタノール還元剤 ~ 4000時間までの耐久性評価を実施し、実用的 に十分な性能を有すことを確認 200kW級コジェネディーゼルエンジン 純アルミナ触媒 物質研-コスモ-堺化学-ヤンマー 70 固定発生源への実用化研究(2) Nagoya Institute of Technology 定置式ディーゼルエンジン脱硝システム ~ 銀/アルミナ触媒・エタノール還元剤 ~ エタノールやDMEを還元剤とするこ とで高いNO除去性能を発揮 固定発生源用 NOx除去システム Ag/Al2O3のNO除去性能に 及ぼす還元剤種類の影響 資環研-リケン NO浄化率は触媒温 度に敏感であるが、 温度制御を厳密にす ることで長期耐久性 があることを確認 耐久試験結果 71 固定発生源への実用化研究(3) Nagoya Institute of Technology 高温ガス燃焼器用脱硝触媒 ~ アルミナ触媒・プロパン還元剤 ~ 16000時間まで性能劣 化がなく、十分な実用性 能があることを確認 大阪ガス 72 Nagoya Institute of Technology リーンバーンガソリン自動車への実用化研究(1) イリジウム含有三元触媒(マツダ)(1994) リーン条件におけるNOx 除去率が大きく改善 73 リーンバーンガソリン自動車への実用化研究(2) Nagoya Institute of Technology イリジウム系触媒(三菱-日本触媒)(1994) Ir/BaSO4触媒:SO2被毒なし アイシーティー開発 三菱自動車GDIエンジン搭載 (1996) 74 ディーゼル自動車への実用化研究(1) Nagoya Institute of Technology 75 ディーゼル自動車への実用化研究(2) Nagoya Institute of Technology 尿素を使わないNOx除去対応「新DPRマフラー」(日野自動車) (http://www.hino.co.jp/j/airloop/kankyo.html) F-DOC:軽油還元剤によるNO選択還元触媒 (白金系触媒) R-DOC:低温でのNOx低減とHC酸化の性能を 合わせ持った白金/パラジウム系の触媒 ¾ JE05モードでの排ガス温度域で 高いNOx浄化性能 ¾ 400時間経過後でもNOx浄化性 能は安定 NOx浄化率 NOx浄化のメカニズム (平林ら、自動車技術会学術講演前刷集20105682) 76 ディーゼル車対応触媒としての課題 Nagoya Institute of Technology • 開発上の問題点 – 高い活性と耐久性 • 100℃~550℃の広い温度範囲での活性 • 耐SO2性 – 還元剤供給の問題 • Passive SCR:排ガス中の残存HCを利用 – NOx低減率が低い • Active SCR:積極的に軽油等を還元剤として添加 – 燃費低下の問題 • システム的な対応 • HC、NOx吸着剤の利用 77
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