健康いけだ 21(第 2 次)

池田町健康づくり計画
健康いけだ 21(第 2 次)
「二十一世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本 21(第 2 次)
)
」
平成27年3月
池 田 町
目
序
次
章
計画策定にあたって
第1節
第2節
第3節
第4節
計画策定の趣旨 ………………………………………………………………2
計画の位置づけ ………………………………………………………………5
計画の期間 ……………………………………………………………………5
計画の対象 ……………………………………………………………………5
第1章
池田町の概況と特性
第1節 池田町の概要 …………………………………………………………………7
第2節 健康に関する概況 ……………………………………………………………7
第2章
課題別の実態と対策
第1節 前計画の評価 ………………………………………………………………18
第2節 生活習慣病の予防 …………………………………………………………21
1 がん ……………………………………………………………………………21
2 循環器疾患 ……………………………………………………………………26
3 糖尿病 …………………………………………………………………………32
第3節 生活習慣の改善 ……………………………………………………………36
1 栄養・食生活 …………………………………………………………………36
2 身体活動・運動 ………………………………………………………………40
3 休養 ……………………………………………………………………………43
4 飲酒 ……………………………………………………………………………44
5 喫煙 ……………………………………………………………………………46
6 歯・口腔の健康 ………………………………………………………………48
第4節 社会生活に必要な機能の維持・向上 ……………………………………52
1 こころの健康 …………………………………………………………………52
2 次世代の健康 …………………………………………………………………54
3 高齢者の健康 …………………………………………………………………62
第5節 目標の設定 …………………………………………………………………65
第3章
計画の推進
第1節 健康増進に向けた取り組みの推進 ………………………………………69
1 活動展開の視点 ………………………………………………………………69
2 関係機関との連携 ……………………………………………………………69
第2節 健康増進を担う人材の資質の向上等 ……………………………………70
<資
料>
平成25年度池田町健康づくりアンケート調査結果 ………………………72
序
章
1
計画策定にあたって
第1節
計画策定の趣旨
平成 12 年度より展開されてきた国民健康づくり運動「健康日本 21」は、壮年期死亡の減少、健康寿命
の延伸、生活の質の向上を目的として、健康を増進し発症を予防する「一次予防」を重視した取組が推
進されてきました。
今回、平成 25 年度から平成 34 年度までの「二十一世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本
21(第2次))」(以下「国民運動」という。)では、21 世紀の日本を『急速な人口の高齢化や生活習慣の変
化により、疾病構造が変化し、疾病全体に占めるがん、虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病等の生活習
慣病の割合が増加し、これら生活習慣病に係る医療費の国民医療費に占める割合が約 3 割となる中で、
高齢化の進展によりますます病気や介護の負担は上昇し、これまでのような高い経済成長が望めないと
するならば、疾病による負担が極めて大きな社会になる』と捉え、引き続き生活習慣病の一次予防に重
点を置くとともに、合併症の発症や悪化などの重症化予防を重視した取組みを推進するために、下記の 5
つの基本的な方向が示されました。
(1)健康寿命の延伸と健康格差の縮小
(2)生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCD(非感染性疾患)の予防)
(3)社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
(4)健康を支え、守るための社会環境の整備
(5)栄養・食生活、身体活動・運動、休養、喫煙、飲酒及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び
社会環境の改善
また、これらの基本的な方向を達成するため、53 項目について、現状の数値とおおむね 10 年後の目標
値を掲げ、目標の達成に向けた取り組みがさらに強化されるよう、その結果を厚生労働大臣告示として
示すことになりました。
池田町では平成 18 年 3 月に、
「健康日本 21」の取組みを法的に位置づけた健康増進法に基づき、町の
特徴や町民の健康状態をもとに健康課題を明らかにした上で、生活習慣病予防に視点をおいた池田町健
康づくり計画「健康いけだ 21」を策定し、取組を推進してきました。
今回、示された「国民運動」の基本的な方向及び目標項目については、別表 1 のように考え、これま
での取組の評価、及び新たな健康課題などを踏まえ、健康いけだ 21(第2次)を策定します。
2
参考
「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方向」の概略
(1)健康寿命の延伸と健康格差の縮小
生活習慣病の予防及び社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上により、健康寿命(健康上の
問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)の延伸を実現する。
また、あらゆる世代の健やかな暮らしを支える良好な社会環境を構築することにより、健康格差(地
域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状態の差)の縮小を実現する。
(2)主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCD(非感染性疾患)の予防)
がん、循環器疾患、糖尿病及びCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に対処するため、合併症の発症や症状の
進展などの重症化の予防に重点を置いた対策を推進。
国際的にも、これらの疾患は重要なNCD※として対策が講じられている。
(3)社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
若年期から高齢期まで、全てのライフステージにおいて、心身機能の維持及び向上に取り組む。
(4)健康を支え、守るための社会環境の整備
個人の健康は、家庭、学校、地域、職場等の社会環境の影響を受けることから、国民が主体的に行う
ことができる健康増進の取組を総合的に支援していく環境を整備する。
(5)栄養・食生活、身体活動・運動、休養、喫煙、飲酒及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境
の改善
対象ごとの特性やニーズ、健康課題等の十分な把握を行う。その上で、生活習慣病を発症する危険度
の高い集団や現在の青壮年期の世代への生活習慣の改善に向けた働きかけを重点的に行うとともに、地
域や職場などを通じて健康増進への働きかけを進める。
※NCDについて
がん、循環器疾患、糖尿病およびCOPDを中心とする非感染性疾患(NCD)は、人の健康と発展に対
する主な脅威となっている。
これらの疾患は、共通する危険因子(主として喫煙、不健康な食事、運動不足、過度の飲酒)を取り除く
ことで予防できる。
この健康問題に対処しない限り、これらの疾患による死亡と負荷は増大し続けるであろうと予測し、世
界保健機関(WHO)では、
「非感染性疾病への予防と管理に関するグローバル戦略」を策定するほか、国
連におけるハイレベル会合でNCDが取り上げられる等、世界的にNCDの予防と管理を行う政策の重要
性が認識されている。
今後、WHOにおいて、NCDの予防のための世界的な目標を設定し、世界全体でNCD予防の達成を
図っていくこととされている。
3
別表1 「健康日本21(第2次)」の基本的方向性と目標項目
□
「乳幼児から高齢者まで~ライフステージに応じた計画を考える」
全
体
目
標
□健康寿命の延伸
□健康格差の縮小
次世代の健康
高齢者の健康
死亡
胎児(妊婦)
0歳
18歳
20歳
40歳
□がん検診の受診率の向上
(子宮頸がん)
がん
生
活
習
慣
病
の
予
防
75歳
□75歳未満のがんの年齢調整死亡率の減
少
□がん検診の受診率の向上
(胃・肺・大腸・乳がん)
□脳血管疾患・虚血性心疾
患の年齢調整死亡率の減
少
□メタボリックシンドローム予備群・該当者の減少
□高血圧の改善(収縮期血圧の平均値の低下)
□脂質異常症の減少
□糖尿病有病者の増加の抑制
□血糖コントロール指標におけるコントロール不良
者の割合の減少(HbA1c がNGSP値8.4%以上の
者の割合の減少)
糖尿病
□合併症(糖尿病性腎症による
年間新規透析導入患者数)の
減少
□適切な量と質の食事をとる者の増加
ア 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日が
ほぼ毎日の者の割合の増加
イ 食塩摂取量の減少
ウ 野菜と果物の摂取量の増加
栄養・食生活
□共食の増加(食事を1人で食べる子どもの割合の減少)
□利用者に応じた食事の計画、調理及び栄養の評
価、改善
身体活動・運動
□治療継続者の割合の増
加
□慢性閉塞性肺疾患(COPD)の認知度の向上
□食品中の食塩や脂肪の低減に取り組
む食品企業及び飲食店の登録数の増加
□住民が運動しやすいまちづくり・環境
整備に取り組む自治体数の増加
□適正体重を維持している者の増加
(肥満、やせの減少)
□日常生活における歩数の増加
□運動習慣者の割合の増加
(
N
C
D
リ
ス
ク
の
低
減
休養
)
歯・口腔の健康
飲酒
喫煙
こころの健康
社
会
生
維活
持に
・ 必
向要
上な
機
能
の
65歳
□特定健診・特定保健指導の実施率の向上
循環器疾患
COPD
(慢性閉塞性肺疾患)
生
活
習
慣
・
社
会
環
境
の
改
善
目標項目 (53項目)
□睡眠による休養を十分とれていない者の減少
□週労働時間60時間以上の雇用者の割合の減少
□妊娠中の飲酒をなくす
□未成年者の飲酒をなくす
□妊娠中の喫煙をなくす
□未成年者の喫煙をなくす
□生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者(1日あたり
の純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上の者)
の割合の減少
□成人の喫煙率の減少(喫煙をやめたい者がやめる)
□受動喫煙(家庭・職場・飲食店・行政機
関・医療機関)の機会を有する者の割合
の減少
□乳幼児・学齢期のう蝕のない者の増加
□過去1年間に歯科検診を受診した者の割合の増加
□歯周病を有する者の割合の減少
□小児人口10 万人当たりの小児科医・児
童精神科医師の割合の増加
□歯の喪失防止
□気分障害・不安障害に相当する
心理的苦痛を感じている者の割合
の減少
□メンタルヘルスに関する措置を受
けられる職場の割合の増加
次世代の健康
□自殺者数の減少
□健康な生活習慣(栄養・食生活、運動)を有する子どもの割合の
増加
ア 朝・昼・夜の三食を必ず食べることに気をつけて食事を
している子どもの割合の増加
イ 運動やスポーツを習慣的にしている子どもの割合の増加
□適正体重の子どもの増加
ア 全出生数中の低出生体重児の割合の減少
イ 肥満傾向にある子どもの割合の減少
□ロコモティブシンドローム(運動器症候群)を認知
している国民の割合の増加
高齢者の健康
健康を支え、守るための社会環境の整備
□口腔機能の維持・向上(60歳代における
咀嚼良好者の割合の減少
□地域のつながりの強化
□健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国民の割合の増加
□健康づくりに関する活動に取り組み、自発的に情報発信を行う企業登録数の増加
□健康づくりに関して身近で気軽に専門的な支援・相談が受けられる民間団体の活動拠点数の増加
□健康格差対策に取り組む自治体の増加
4
□介護保険サービス利用者の増加の抑制
□足腰に痛みのある高齢者の割合の減少
□就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合の増
□低栄養傾向(BMI20)の高齢者の割合の減少
□認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上
第2節
計画の位置づけ
この計画は、池田町第 4 次総合計画を上位計画とし、町民の健康の増進を図るための基本的事項を示
し、推進に必要な方策を明らかにするものです。
この計画の策定にあたっては、国の「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」
を参考とし、医療保険者として策定した高齢者の医療の確保に関する法律に規定する池田町特定健康診
査等実施計画と整合性を図ることで、医療保険者として実施する保健事業と事業実施者として行う健康
増進事業とを効率的に推進します。
同時に、今回の目標項目に関連する法律及び各種計画との十分な整合性を図るものとします(表1)
。
表1
法
律
北海道が策定した計画
健康増進法
すこやか北海道 21
次世代育成対策推
進法
北の大地☆子ども未来づくり北海
道計画
北海道食育推進計画(第3次)
「どさんこ食育推進プラン」
食育基本法
池田町が策定した計画
健康いけだ 21(第 2 次)
池田町次世代支援行動計画
(健康いけだ 21)
高齢者の医療の確
保に関する法律
北海道医療費適正化計画
池田町特定健康診査等実施計画
がん対策基本法
北海道がん対策推進計画
(健康いけだ 21)
歯科口腔保健の推
進に関する法律
北海道歯科保健医療推進計画
(池田町次世代支援行動計画)
介護保険法
北海道高齢者保健福祉計画・介護
保険事業支援計画
池田町高齢者福祉計画・介護保険
事業計画
第3節
計画の期間
この計画の目標年次は平成 36 年度とし、計画の期間は平成 27 年度から平成 36 年度までの 10 年間と
します。なお、5 年を目途に中間評価を行います。
第4節
計画の対象
この計画は、乳幼児期から高齢期までライフステージに応じた健康増進の取組を推進するため、全町
民を対象とします。
5
第1章
6
池田町の概況と特性
第1節
池田町の概要
池田町は、北海道の東部、十勝地方の中央やや東に位置し、面積は 371.91 ㎢です。地勢は平たんで、
十勝川と利別川を有しています。気候は、夏は 30℃を超え、冬は氷点下 20℃を下回ることから、1 年の
寒暖の差は 50℃以上になります。降雨量、降雪量共に十勝管内では少ない方で“十勝晴れ”と呼ばれる
爽やかな晴天に恵まれることが多いのも特徴です。基幹産業は、農業を主体とした第一次産業が中心で
すが、産業別人口で見ると第三次産業が最も多くなっています。
第2節
健康に関する概況
表1 社会保障の視点で見た医療保険者(池田町)の特徴
北海道より課題
項 目
人口構成
1
2
H22年
国勢調査
総人口
0歳~14歳
15歳~64歳
65歳以上
(再掲)75歳以上
男 性
79.6
79.2
女 性
86.4
86.3
(H23年人口動態)
3
早世予防からみた
死亡(64歳以下)
(H23年人口動態調査)
死亡原因
死亡率
(10万対)
1位
悪性新生物
2位
心疾患
3位
介護保険
4
H24年度
介護保険事業状況報告
後期高齢者医療
5
H24年度後期高齢者
医療事業状況報告
国保の状況
平成24年度
KDB帳票№1
人数
7,527
827
4,104
2,596
1,392
割合
11.0%
54.5%
34.5%
18.5%
79.8
87.0
原因
原因
死亡率
(10万対)
283.2
悪性新生物
329.7
悪性新生物
470.2
154.5
心疾患
170.8
心疾患
274.3
肺炎
98.9
肺炎
100.2
脳血管疾患
117.6
4位
脳血管疾患
98.2
脳血管疾患
96.2
肺炎・老衰
65.3
5位
合 計
不慮の事故
47.1
14.7%
不慮の事故
30.6
14.9%
14 人
10 人
4人
13.5%
男 性
女 性
1号認定者数/1号被保険
者に対する割合
2号認定者数/2号人口に対
する割合
184,547 人
122,749 人
61,798 人
18.7%
10.4%
5,610,950人
8,487 人
5,464 人
3,023 人
18.0%
11.3%
273,330人
18.2%
8.2%
495人
5,457,084人
17.6%
266,537人
18.6%
490人
18.0%
153,866人
0.35%
6,793人
0.35%
5人
0.20%
第5期保険料額(月額)
4,972 円
加入者(年度平均)
14,904,992 人
706,307人
1人あたり医療費
919,452 円
1,081,083 円
医療費総額(千円)
13,704,425,633
人数
21,830,573 人
4,631 円
4,075 円
1,505人
全国
3位
763,576,332
人数
909,303 人
861,748 円
1,113,389,470 円
人数
2,817 人
65~74歳
40~64歳
37.4%
38.3%
37.9%
~39歳
30.2%
27.3%
28.2%
加入率
26.6%
29.2%
37.5%
被保険者数
1人あたり医療費(円)
特定健診
H24年度
特定健診・特定保健指導
実施結果集計表
特定保健指導
出生
出生数(出生千対)
低体重児出生率
(出生百対)
22,429
割合
34.4%
全道
149
位
割合
ー
32.4%
特定健診
特定保健指導
(H24年人口動態調査)
池田町
割合
11.9%
63.2%
24.7%
12.2%
死亡率
(10万対)
認定者数(H24年度末)
8
北海道
人数
5,506,419
657,312
3,482,169
1,358,068
670,118
平均寿命
死亡
7
割合
13.2%
63.8%
23.0%
11.1%
(H22年厚生労働省)
死亡原因
6
全国
人数
128,057,352
16,803,444
81,031,800
29,245,685
14,072,210
26,217
割合
34.0%
21,992
受診者数
7,589,536人
受診率
33.7%
受診者数
231,507人
受診率
24.0%
受診者数
537人
受診率
29.0%
終了者数
実施率
終了者数
実施率
終了者数
実施率
32.5 %
199,576人
19.9%
8,434人
28.7%
26人
1,050,806人
8.30
39,292人
7.2
43人
5.8
100,378人
9.55
3,804人
9.68
3人
6.98
7
(1)
人口構成
池田町の総人口は毎年減少しており、平成 17 年と平成 22 年の国勢調査を比較すると 666 人減少
しています。平成 22 年の国勢調査で比較すると、池田町の高齢化率 34.5%は全国の割合より 10%
以上高く、平成 26 年 1 月現在では 37.3%と十勝管内 19 市町村の中で 1 番高くなっています。生産
年齢人口(15 歳~64 歳)・年少人口(0 歳~14 歳)ともに総人口に占める割合が全国・北海道より低く、
少子高齢化がますます進んでいます(表1)。今後はさらにその傾向が強まると予測されます(図1)。
図1 人口の推移と推計(平成 25 年 3 月推計)
資料:将来推計人口~国立社会保障・人口問題研究所「日本の市区町村別将来推計人口」
(2)
平均寿命
池田町の平均寿命は、男女ともに全国及び北海道と比べて高くなっています(表1)。
(3)
死亡の状況
池田町の主要死因は、1 位悪性新生物、2 位心疾患、3 位脳血管疾患となっており、全国や北海道
と比べて脳血管疾患の順位が高くなっています(表1)。主要死因の5年間の変化では、心疾患の死
亡率が上昇しています(表2)
。
また、標準化死亡比※では、男女の悪性新生物、男性の腎不全、女性の自殺が全国よりも高くなっ
ています(表3)。特に、男性の腎不全は十勝管内でも高い状況です。
早世(64 歳以下)死亡の人数及び割合は、全国、北海道と比べて低くなっています(表1)。
8
表2 主要死因の経年変化
(
)内は人口 10 万対の人数
平成 19 年
悪性新生物
27 人(327.9)
平成 20 年
悪性新生物
40 人(512.8)
平成 21 年
悪性新生物
40 人(502.8)
平成 22 年
悪性新生物
32 人(425.6)
平成 23 年
悪性新生物
36 人(470.2)
第2位
肺炎
11 人(133.6)
心疾患
18 人(230.8)
心疾患
17 人(213.7)
心疾患
20 人(266.0)
心疾患
21 人(274.3)
第3位
心疾患
9 人(109.3)
脳血管疾患・肺炎
13 人(166.7)
脳血管疾患
10 人(125.7)
脳血管疾患・肺炎
11 人(146.3)
脳血管疾患
9 人(117.6)
第4位
脳血管疾患・老衰
6 人(72.9)
老衰
9 人(115.4)
肺炎
9 人(113.1)
老衰
8 人(100.6)
第1位
第5位
肺炎・老衰
5 人(65.3)
老衰
6 人(79.8)
資料:十勝地域保健情報年報(平成 19~23 年実績)
表3 標準化死亡比(SMR)
悪性新生物
※
脳血管疾患
虚血性心疾患
自殺
腎不全
肺炎
男
102.6
96.6
95.2
95.6
138.2
69.1
女
110.4
64.8
55.5
118.6
87.2
70.3
計
105.6
80.4
77.4
102.6
112.0
69.6
資料:北海道における主要死因の概要8(資料:平成 15 年~24 年北海道健康づくり財団調べ)
※標準化死亡比(SMR): 地域の年齢構成を均一にした死亡率で、全国を 100 とし、それより大きい場合は全国に比
べ死亡率が高いことを意味する。
(4)
介護保険
平成 24 年度における池田町の介護保険の第1号被保険者の要介護
(支援)認定率は 18.0%であり、
全国(17.6%)よりやや高いものの北海道(18.6%)よりは低くなっています(表1)
。池田町の平
成 26 年 3 月の要介護
(支援)
認定者数は 486 人であり、平成 21 年 3 月の 424 人と比べて 62 人、
14.6%
増加しています。また、平成 20 年~25 年の 6 年間で介護給付費は 4.7 億円から 7.2 億円へと、約
2.5 億円、53.2%増加しています(図2)。
図2 要介護(支援)認定率及び介護給付費の推移
資料:介護保険事業状況報告
9
池田町の介護保険で要介護(支援)認定を受けた人の状況は、軽度者は全道より若干低いものの
全国より高く、重度者は全道より若干高いですが全国より低くなっています。
また、第2号被保険者の認定者は北海道・全国よりも軽度者は低く、重度者が高くなっています
(表4)
。
表4 介護度別認定者数(平成 24 年度末)
総数
合計
池田
北海道
全国
人
数
%
人
数
%
人
数
%
要支援 1
要支援 2
要介護 1
要介護 2
495
81
72
96
78
100%
16.4%
14.5%
19.4%
273,330
43,265
38,055
100%
15.8%
13.9%
5,610,950
764,060
要介護 3
要介護 4
要介護 5
327
72
50
46
168
15.8%
66.1%
14.5%
10.1%
9.3%
33.9%
57,746
46,656
185,722
30,532
28,846
28,230
87,608
21.1%
17.1%
67.9%
11.2%
10.6%
10.3%
32.1%
989,397 3,564,639
743,276
691,749
100%
13.6%
13.6%
18.6%
17.6%
13.2%
12.3%
10.9%
要支援 1
要支援 2
要介護 1
要介護 2
20.0%
9.1%
8.5%
0.0%
14.7%
13.9%
0.0%
18.8%
16.5%
20.0%
22.6%
21.7%
要介護 3
要介護 4
要介護 5
20.0%
12.4%
14.0%
20.0%
9.9%
11.8%
20.0%
12.4%
13.7%
765,566 1,045,616
軽度
63.5%
重度
611,286 2,046,311
36.5%
第 2 号被保険者
合計
池田
%
北海道
%
全国
%
100%
100%
100%
軽度
40.0%
65.2%
60.6%
重度
60.0%
34.8%
39.4%
資料:介護保険事業状況報告
第 2 号被保険者の原因疾患は、脳血管疾患が半数以上を占めており(図3)、発症予防のためには、
検診受診及び生活習慣の見直し等、予防行動をとることが大切になります。
10
図3 第 2 号被保険者要介護(支援)認定者の原因疾患
100%
90%
脳梗塞
20.0%
脳梗塞
25.0%
脳梗塞
33.3%
80%
70%
脳梗塞
20.0%
脳梗塞
40.0%
脳梗塞
41.7%
脳出血
20.0%
脳出血
40.0%
脳出血
33.3%
60%
脳出血
クモ膜下出血 8.3%
50%
40%
脳出血
50.0%
脳腫瘍
20.0%
10%
0%
脳血管疾患
原
因
疾
患
クモ膜下出血
16.7%
関節リウマチ
20.0%
30%
20%
脳出血
20.0%
20.0%
認知症
20.0%
脳梗塞
42.9%
がん
8.3%
がん
16.7%
認知症
クモ膜下出血脳出血
42.9%
10.0%
がん
10.0%
関節リウマチ 16.7%
認知症
16.7%
10.0%
呼吸器
後縦靭帯骨化症
20.0%
がん
20.0%
関節リウマチ
関節リウマチ
呼吸器 14.3%
後縦靭帯骨化症 8.3%
16.7%
10.0%
8.3%
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H19~25 計
60.0%
83.3%
60.0%
66.7%
58.3%
70.0%
85.7%
78.0%
脳梗塞
20.0%
33.3%
20.0%
41.7%
25.0%
40.0%
42.9%
38.0%
脳出血
40.0%
50.0%
20.0%
8.3%
33.3%
20.0%
42.9%
32.0%
クモ膜下出血
0.0%
0.0%
20.0%
16.7%
0.0%
10.0%
0.0%
8.0%
がん
0.0%
0.0%
0.0%
8.3%
16.7%
10.0%
14.3%
10.0%
認知症
20.0%
0.0%
0.0%
0.0%
16.7%
10.0%
0.0%
8.0%
関節リウマチ
0.0%
16.7%
20.0%
16.7%
8.3%
0.0%
0.0%
10.0%
後縦靭帯骨化症
0.0%
0.0%
20.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
4.0%
脳腫瘍
20.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
2.0%
呼吸器
20.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
10.0%
0.0%
4.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
計
資料:池田町地域包括支援センター
11
(5)
後期高齢者医療
後期高齢者の 1 人あたりの医療費は 861,748 円で、全国・北海道と比較して低い費用になってお
り、北海道で 149 位に位置しています(表1)。
(6)
国民健康保険
池田町の国民健康保険加入率は 37.5%で、全国(26.6%)や北海道(29.2%)と比較して、加入
率が高くなっています。また、1 人あたりの医療費は、21,992 円で全国や北海道と比べて低くなっ
ています(表1)
。
国保加入者のうち、およそ 3 割が前期高齢者(65~74 歳)ですが、今後は高齢化の進展により、
高齢者の占める割合が大きくなることが予測されます。一般的に高齢者になるほど、受療率は高く
なり、医療費も増大するため、予防可能な生活習慣病の発症予防と重症化予防に努める必要があり
ます。
池田町国民健康保険生活習慣病等受診状況では、入院でかかる医療費が高い傾向にあることがわ
かります(表5)
。その中でも、予防可能な生活習慣に関わる疾患の順位が高い傾向にあります。北
海道全体においても、全国からみると入院医療費が高く、
「面積が広大で、積雪、寒冷といった自然
的要因」
「高齢者の単身又は夫婦のみの世帯の割合も高いことなどの社会的要因」が入院医療費を押
し上げているとみられており、本町においても同様の状況が言えることから、予防可能である生活
習慣病を発症させない・重症化させない取り組みが非常に重要です。
また、医療費の割合では、道・国と比べて池田町は平成 24 年、平成 25 年ともに「高血圧症」が
占める医療費の割合が大きいことがわかります(図4)。これは、放置せずに治療につながっている
ことが評価できる一方で、生活習慣の乱れによって引き起こされ、発症を防ぐことができなかった
結果であることも看過できません。
表5 池田町国民健康保険生活習慣病等受診状況(1 件当たりの入院・外来単価と総保険者中の順位)
H24年度
糖尿病
高血圧症
脂質異常症
脳血管疾患
心疾患
腎不全
精神
悪性新生物
入院
単価
順位
559,712
61
606,662
66
547,611
65
766,401
11
616,914
97
860,408
31
401,222 150
495,256 148
入院外
単価
順位
31,274 159
25,837 158
26,253 145
32,500 130
32,480 152
77,598 154
25,968 145
41,906 125
(総保険者数 174)
H25年度
糖尿病
高血圧症
脂質異常症
脳血管疾患
心疾患
腎不全
精神
悪性新生物
入院
単価
順位
559,924
73
646,463
41
617,326
31
644,127
71
772,401
20
1,018,236
15
418,043 140
550,240 112
入院外
単価
順位
32,014 157
25,608 161
25,991 155
32,325 142
33,304 150
70,671 158
26,321 146
40,643 147
(総保険者数 181)
資料:KDB 帳票「健診・医療・介護データからみる地域の健康課題」より
12
図4 医療費の割合(平成 24 年度及び平成 25 年度)
平成 24 年度
平成 25 年度
資料:KDB 帳票「健診・医療・介護データからみる地域の健康課題」より
13
(7)
健康診査等
生活習慣病の発症予防、重症化予防の最も重要な取組みである、医療保険者による特定健康診査・
特定保健指導は、平成 24 年度の法定報告で、受診率 29.0%、保健指導実施率は 32.5%で、北海道と
比べると高いですが、国の目標値には遠い状況です(表1)
。
池田町国保特定健康診査年代別受診率の推移では、特に 40~44 歳の受診率が男女ともに低い傾向
であることがわかります(図5)
。
平成 24 年度池田町国保特定健康診査健診有所見状況の結果については、十勝・北海道と比べて「摂
取エネルギーの過剰」に関する項目(腹囲・BMI・GPT・HDL)の割合が上回る結果となっ
ています(表6)
。また、北海道と比較すると十勝は血糖値に関する項目が高いと言われていますが、
池田町は十勝よりもさらに割合が高い状況です。
図5 池田町国保特定健康診査年代別受診率の推移
資料:特定健診・特定保健指導実施結果報告(平成 20 年度~平成 24 年度)
14
表6 平成 24 年度池田町国保特定健康診査 健診有所見状況(北海道・十勝・池田町)
北海道
十勝 池田町
受診者数
A
236,267 20,541
557
B
71,099
6,487
203
腹囲
B/A
30.1%
31.6%
36.4%
C
66,909
6,431
204
BMI
摂取エネルギー
C/A
28.3%
31.3%
36.6%
の
E
37,461
3,558
100
過剰
ALT (GPT )
E/A
15.9%
17.3%
18.0%
F
12,195
1,173
42
HDL
F/A
5.2%
5.7%
7.5%
G
54,121
6,332
151
血糖
G/(*1)
28.8%
31.8%
36.4%
H
127,384 12,583
383
HbA1c
H/(*1)
54.5%
62.0%
68.8%
I
15,552
1,017
59
血管を傷つける
尿酸
I/(*1)
8.9%
10.1%
10.6%
J
107,167
8,480
216
収縮期血圧
J/A
45.4%
41.3%
38.8%
K
44,953
3,310
95
拡張期血圧
K/A
19.0%
16.1%
17.1%
内臓脂肪症候群
L
128,429 11,135
270
以外の
LDL
動脈硬化要因
L/A
54.4%
54.2%
48.5%
M
9,445
954
21
尿蛋白
M/A
4.0%
4.6%
3.8%
臓器障害
N
1,711
108
10
ク レア チニン
N/(*1)
0.9%
1.1%
1.8%
資料:北海道国保連合会「様式 6-2 健診有所見者状況(総数)
」より
15
(8)
出生
池田町の出生率は、全国や北海道と比べて低くなっています(表1)。近年の報告によると、出生
の時の体重が 2,500g 未満の低出生体重児は、神経学的・身体的合併症の他、成人後に糖尿病や高血
圧等の生活習慣病を発症しやすいことがわかってきました。池田町の低出生体重児の出生率は、全
国、北海道と比較して低めではありますが(表1)
、毎年数%の児が低体重の状態で出生しているこ
とから、妊娠前・妊娠期の心身の健康づくりを行う必要があります(図6)。
図6 出生数及び出生時の体重が 2,500g 未満の出生割合の年次推移
資料:十勝地域保健情報年報(平成 19~23 年実績)
16
第2章
17
課題別の実態と対策
第1節
前計画の評価
前計画の達成状況は、指標を計画の策定時(平成 17 年 3 月)及び中間評価時(平成 20 年 3 月)の値
と現状値を比較し、評価を行いました。
その結果、56 項目のうち、Aの「目標値に達した」とBの「目標値に達していないが改善傾向にある」
を合わせ、全体の 5 割で一定の改善がみられた一方、Dの「悪化している」が約 3 割ありました(表1)
。
表 1 前計画の評価
分
野
指標
項目
肥満者の減少
朝食を欠食する人の減少
味付けが濃いと感じている人の減少
食
生
活
運
動
た
ば
こ
が
ん
糖
尿
病
・
循
環
器
疾
患
池田町の現状値
達成状況 H24目標値 データソース
H17
H20
H24
39.1%
28.8%
29.2%
B
28%以下
28.5%
25.5%
20.0%
A
24%以下
40.9%
―
35.3%
B
35%以下
39.1%
―
14.3%
A
35%以下
39.4%
―
0%
A
35%以下
47.3%
25.0%
47.7%
C
25%以下
30.9%
29.0%
32.8%
C
25%以下
区分
20~60代男性
40~60代女性
20代男性
20代女性
30代男性
男性
女性
ばら肉、ひき肉、ソーセージ、ベーコン
などを週2回以上食べる人の減少
洋菓子や菓子パンを週2回以上食べる 男性
人の減少
女性
男性
砂糖入りの飲み物を毎日飲む人の減少
女性
男性
間食を毎日する人の減少
女性
野菜を毎日350g以上食べる人の増加
緑黄色野菜を毎日食べる人の増加
牛乳、ヨーグルト、小魚などを毎日食
べる人の増加
男性
女性
運動習慣のある者の増加
20~30代男性
20~30代女性
就業者
男性
女性
意識的に身体を動かしている人の増加
20~30代男性
20~30代女性
男性
1日の歩数が3,000歩以上の人の増加
女性
男性
喫煙率の減少
女性
妊婦
男性
禁煙希望者の増加
女性
胃がん
肺がん
大腸がん
がん検診受診率の増加
乳がん
子宮がん
前立腺がん 胃がん
肺がん
大腸がん
がん検診精密検査受診率
乳がん
子宮がん
前立腺がん
特定健診受診率の増加
特定保健指導実施率の増加
該当者
内臓脂肪症候群の該当・予備軍の減少
予備群者
男性
高血圧者の減少
女性
男性
高脂血症者の減少(LDL)
女性
男性
高血糖者の減少(HbA1C)
女性
メタボリックシンドロームの概念を知っている人の増加
評価区分
A 目標値に達した
B 目標値に達していないが改善傾向にある
C 変わらない
D 悪化している
E 評価困難
合 計
該当項目(割合)
18(32.1%)
10(17.9%)
9(16.1%)
19(33.9%)
0( 0.0%)
56(100%)
42.5%
57.0%
59.8%
D
40%以下
40.3%
44.1%
35.8%
19.1%
38.7%
64.3%
31.7%
35.0%
51.9%
53.6%
32.7%
11.6%
36.5%
66.7%
30.6%
40.5%
50.8%
55.2%
29.2%
16.4%
33.8%
70.1%
33.3%
43.2%
D
D
A
B
B
D
C
A
40%以下
40%以下
30%以下
11%以下
33%以下
60%以下
40%以上
41%以上
34.8%
54.4%
62.1%
A
55%以上
21.4%
17.3%
14.5%
5.9%
15.2%
46.9%
48.5%
34.5%
20.6%
39.5%
44.9%
46.1%
18.0%
10.0%
―
―
24.1%
24.7%
26.3%
11.4%
11.9%
4.6%
82.8%
84.8%
72.1%
100%
100%
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
19.6%
13.0%
-
-
16.5%
43.1%
42.0%
-
-
49.1%
33.3%
48.1%
13.0%
7.7%
44.0%
44.4%
20.7%
21.4%
22.4%
22.0%
20.2%
3.5%
87.0%
83.3%
81.3%
100%
66.7%
66.7%
27.2%
46.2%
18.2%
11.1%
55.1%
44.2%
52.2%
51.5%
66.4%
67.2%
77.7%
24.6%
22.4%
28.6%
0%
19.8%
36.9%
41.8%
28.6%
5.9%
43.1%
38.8%
33.8%
4.5%
10.3%
45.5%
33.3%
20.5%
21.9%
26.0%
33.5%
26.4%
2.8%
90.0%
85.7%
78.9%
94.4%
100%
100%
29.0%
32.5%
20.9%
10.2%
45.2%
36.9%
55.2%
46.8%
75.4%
63.4%
75.0%
B
A
A
D
B
D
D
D
D
B
D
A
A
D
C
D
D
D
C
A
A
D
B
B
C
D
A
A
B
D
C
C
A
A
D
A
D
A
C
25%以上
20%以上
20%以上
10%以上
20%以上
50%以上
50%以上
40%以上
40%以上
50%以上
50%以上
43%以下
13%以下
5%以下
50%以上
50%以上
30%
30%
30%
20%
20%
5%
93%
95%
82%
100%
100%
100%
65%
45%
10%減少
10%減少
減少
減少
減少
減少
減少
減少
80%
①
②
①
③
④
③
④
⑤
⑥
①
①平成25年度池田町健康づくりアンケート
②平成24年度保健事業評価
③平成24年度地域保健・健康増進事業報告
④平成24年度がん検診結果
⑤平成24年度特定健診・特定保健指導実施結果報告
⑥平成24年度池田町国保特定健診結果
18
これらの評価を踏まえ、次期運動を推進するための「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための
基本的な方針」で示された目標項目を、別表2のように取り組む主体別に区分しました。健康増進は、
最終的には個人の意識と行動の変容にかかっていると捉え、それを支援するための池田町の具体的な取
り組みを次のように推進します。
19
別表2 取組主体別の目標項目
生涯における各段階 ( あらゆる世代)
取り組み主体
妊娠
乳幼児期
出生
学童
若年期
高齢期
中年期
死亡
働く世代(労働者)
胎児(妊婦)
0才
18才
母子保健
食育
20才
40才
精神保健
65才
健康づくり対策
75才
介護予防
□特定健診・特定保健指導の実施率の向上
□適正体重の子どもの増加
ア 全出生数中の低出生体重児の割合の減少
イ 肥満傾向にある子どもの割合の減少
個
人
で
達
成
す
べ
き
目
標
池
田
町
・
医
療
保
険
者
個人
□適正体重を維持している人の増加(肥満、やせの減少)
□メタボリックシンドロームの該当者及び予備群
の減少
□高血圧の改善(収縮期血圧の平均値の低下)
□脂質異常症の減少
□適切な量と質の食事をとる者の増加(主食・主
菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日
がほぼ毎日の者の割合の増加、食塩摂取量の減
少、野菜と果物摂取量の増加)
□健康な生活習慣(栄養・食生活、運動)を有する子どもの割合の増
加
ア 朝・昼・夜の三食を必ず食べることに気をつけて 食事を
している子どもの割合の増加
イ 運動やスポーツを習慣的にして いる子どもの割合の増加
□共食の増加(食事を1人で食べる子どもの割合の減少)
家庭
□乳幼児・学齢期のう蝕のない者の増加
□過去1年間に歯科検診を受診した者の割合の増加
□妊娠中の飲酒をなくす
□妊娠中の喫煙をなくす
□治療継続者の割合の増加
□糖尿病有病者の増加の抑制
□血糖コントロール指標におけるコントロール不良者の
割合の減少(HbA1cがNGSP8.4%以上の者の割合の減少)
□日常生活における歩数の増加
□運動習慣者の割合の増加
□歯周病を有する者の割
合の減少
□未成年者の飲酒をなくす
□未成年者の喫煙をなくす
□歯の喪失防止
□脳血管疾患・虚血性心疾患の
年齢調整死亡率の減少
□合併症(糖尿病性腎症による
年間新規透析導入患者数)の減少
□介護保険サービス利用者の増加の抑制
□低栄養傾向(BMI20以下)の高齢者の割合の増加の
抑制
□足腰に痛みのある高齢者の割合の減少
□口腔機能の維持・向上
□生活習慣病のリスクを高める量を飲酒して いる者の割合の減少
□成人の喫煙率の減少
□75歳未満のがんの年齢調
整死亡率の減少
□がん検診の受診率の向上
□睡眠による休養を十分とれていない者の減少
□気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を
感じている者の割合の減少
地
域
コミュニティ
ボランティア等
□自殺者数の減少
□認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上
□地域のつながりの強化
□健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国
民の割合の増加
□就業または何らかの地域活動をして いる高齢者の割
合の増加
□受動喫煙(家庭・職場・飲食店・行政機関・医療機関)の機
会を有する者の割合の減少
□メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合の増加
□週労働時間60時間以上の雇用者の割合の減少
社
会
環
境
に
関
す
る
目
標
職
域
企 業
飲食店
特定給食施設
民間団体
(栄養ケア・ステーショ
ン、薬局等)等
□健康づくりに関する活動に取り 組み、自発的に情報発信
を行う企業登録数の増加
□食品中の食塩や脂肪の低減に取り組む食品企業及び飲
食店の登録数の増加
□利用者に応じた食事の計画、調理及び栄養の評価、改善
を実施している特定給食施設の割合の増加
□健康づくりに関して身近で気軽に専門的な支援・相談が
受けられる民間団体の活動拠点数の増加
□小児人口10万人当たりの小児科医・児童精神
科医師の割合の増加
□住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に
取り組む自治体数の増加
□健康寿命の延伸
□健康格差の縮小
都道府県
□健康格差対策に取り組む自治体の増加
□COPD(慢性閉塞性肺疾患)の認知度の向上
国・マスメディア
20
□ロコモティブシンドローム(運動器症候群) を認知
している国民の割合の増加
第2節
1
生活習慣病の予防
がん
(1)はじめに
人体には、遺伝子の変異を防ぎ、修復する機能がもともと備わっていますが、ある遺伝子の部分
に突然変異が起こり、無限に細胞分裂を繰り返し、増殖していく、それが“がん”です。たった一
つのがん細胞が、倍々に増えていき、30 回くらいの細胞分裂を繰り返した 1cm 大のがん細胞が、検
査で発見できる最小の大きさといわれています。30 回くらいの細胞分裂には 10~15 年の時間がかか
ると言われています。がんの特徴は、他の臓器にしみ込むように広がる浸潤と転移をすることです。
腫瘍の大きさや転移の有無などによってがんの進行状況を表し、早期とは 5 年生存率が 8~9 割のこ
とをいいます。
がんは遺伝子が変異を起こすもので、原因が多岐にわたるため予防が難しいと言われてきました
が、生活習慣の中にがんを発症させる原因が潜んでいることも明らかになってきました。
(2)基本的な考え方
ア 発症予防
がんのリスクを高める要因としては、がんに関連するウイルス(B型肝炎ウイルス<HBV>、C型肝
炎ウイルス<HCV>、ヒトパピローマウイルス<HPV>、成人T細胞白血病ウイルス<HTLV-Ⅰ>)や細菌(ヘ
リコバクター・ピロリ菌<HP>)への感染、及び喫煙(受動喫煙を含む)、過剰飲酒、低身体活動、肥
満・やせ、野菜・果物不足、塩分・塩蔵食品の過剰摂取など生活習慣に関連するものがあります。
がんのリスクを高める生活習慣は、循環器疾患や糖尿病の危険因子と同様であるため、循環器疾
患や糖尿病への取り組みとしての生活習慣の改善が、結果的にはがんの発症予防に繋がってくると
考えられます(表1)
。
イ 重症化予防
生涯を通じて、2 人に 1 人は何らかのがんに罹患すると言われています。
進行がんの罹患率を減少させ、がんによる死亡を防ぐために最も重要なのは、早期発見であり、
自覚症状がなくても定期的にがん検診を受けることが必要です。このため、有効性が確立している
がん検診の受診率向上施策が重要になります。
21
表1 がんの発症予防・重症化予防
発症予防
生活習慣 68%
部位
タバコ
30%
科
学
的
根
拠
の
あ
る
が
ん
検
診
胃
◎
肺
◎
大腸
△
子宮
頸部
◎
乳
△
前立腺
そ
の
他
肝臓
重症化予防 (早期発見)
食事 30%
高脂肪
塩分
○
運動
5%
○
その他
飲酒
3%
肥満
○
○
家族歴
ホルモン
○
○
○
○
胃X腺検査
Ⅰ-b
胸部X腺検査
喀痰細胞診
Ⅰ-b
(胸部X腺検査と高危険群に対する喀
痰細胞診の併用)
便潜血検査
Ⅰ-a
子宮頸部擦過細胞診
Ⅰ-a
高身長
良性乳腺疾患の既往
マンモ高密度所見
視触診とマンモグラフィの併用
Ⅰ-a(50歳以上)
Ⅰ-b(40歳代)
加齢
PSA測定
Ⅲ
カビ
糖尿病罹患者
肝炎ウイルスキャリア検査
Ⅰ-b
環境汚染
△
◎
HPV
△
○
△
○
成人T細胞
白血病
(閉経後の肥満)
○
○
○
○
○
◎
HBV
HCV
○
◎
HTLV-1
◎確実 ○ほぼ確実 △可能性あり 空欄 根拠不十分
評価判定
△可能性あり
◎
Hp
△
結核
がん検診
他
感染
評価判定 Ⅰ-a:検診による死亡率減少効果があるとする、十分な根拠がある
Ⅰ-b:検診による死亡率減少効果があるとする、相応な根拠がある
[参考] 国立がん研究センター 科学的根拠に基づくがん検診推進のページ 予防と検診
Ⅲ:検診による死亡率減少効果を判定する適切な根拠となる研究や
「がんはどこまで治せるのか」 「がんの正体」 「がんの教科書」
報告が、現時点で見られないもの
22
(3)現状と目標
ア がんによる死亡の減少
高齢化に伴い、がんによる死亡者は今後も増加していくことが予測されています。
国は、高齢化の影響を除いた 75 歳未満の年齢調整死亡率を、がん対策の総合的な推進の評価指標
としていますが、年齢調整死亡率は人口規模が小さい町では信頼性が低いため、池田町では地域の
年齢構成を均一にした標準化死亡比(SMR)※を評価指標とします。
池田町ではがんの標準化死亡比を部位別でみると、男性では肺がん、食道がんが全国と比べて死
亡率が高く(表2)
、女性では胃がん、肺がん、大腸がん、食道がん、膵臓がんの死亡率が高く課題
となっています(表3)
。
表2 標準化死亡比(SMR)※:男性
北海道
池田町
胃がん
94.1
97.6
肺がん
114.1
123.9
大腸がん
107.4
79.6
食道がん
112.2
128.1
膵臓がん
126.4
98.7
資料:北海道における主要死因の概要 8
表3 標準化死亡比(SMR)※:女性
北海道
池田町
胃がん
93.7
101.4
肺がん
119.7
152.3
大腸がん
109.6
118.2
食道がん
110.9
188.6
膵臓がん
126.4
145.5
乳がん
105.4
86.7
子宮がん
99.5
85.0
資料:北海道における主要死因の概要 8
※標準化死亡比(SMR)
:地域の年齢構成を均一にした死亡率で、全国を 100 とし、それより大きい場合は全国に比べ
死亡率が高いことを意味します。
今後も、循環器疾患や糖尿病などの生活習慣病対策と同様、生活習慣改善による発症予防と、健
診受診率を維持又は向上していくことによる重症化予防に努めることで、がんの死亡者数の減少を
図ります。
イ がん検診の受診率の向上
がん検診受診率と死亡率減少効果には関連性があり、がんの重症化予防は、がん検診により行わ
れています。がん検診の受診率は、胃がん・肺がん検診が横ばい、大腸がん・子宮頸がん・乳がん
検診が、がん検診推進事業の開始により向上したものの、目標値には届いていない状況です(表4)
。
現在、有効性が確立されているがん検診の受診率向上を図るための対策を推進します。
23
表4 がん検診受診率の推移
(%)
H20
20.7
21.4
22.4
20.2
22.0
胃がん
肺がん
大腸がん
子宮頸がん
乳がん
H21
20.8
23.3
23.0
24.0
29.7
H22
22.2
24.9
24.9
28.7
37.7
H23
20.2
21.8
25.0
27.0
36.5
H24
20.5
21.9
26.0
26.4
33.5
資料:平成 20~25 年度
H25
20.0
21.4
25.4
27.0
33.0
目標値
40%以上
(当面)
50%以上
地域保健・健康増進事業報告
がん検診で、精密検査が必要となった人の精密検査受診率は、がん検診に関する事業評価指標の
一つとなっています。
池田町の精密検査受診率は、近年は許容値※を超えていますが、目標値である 90%を超えていない
ものもあります。がん検診受診者から、ほぼ毎年がんが見つかっているため、今後も精密検査受診
率の向上を図っていく必要があります(表5)
。
表5 がん検診の精密検査受診率とがん発見者数
※
胃がん検診
肺がん検診
大腸がん検診
子宮頸がん検診
乳がん検診
前立腺がん検診
精密検査受診率
がん発見者数
精密検査受診率
がん発見者数
精密検査受診率
がん発見者数
精密検査受診率
がん発見者数
精密検査受診率
がん発見者数
精密検査受診率
がん発見者数
H20
H21
H22
H23
H24
事業評価指標
許容値
目標値
87.0%
90.9%
82.3%
72.7%
90.0%
70%以上
0人
0人
0人
0人
1人
83.3%
100.0%
100.0%
100.0%
85.7%
0人
0人
1人
0人
0人
81.3%
73.8%
71.1%
71.8%
78.9%
0人
0人
0人
0人
0人
66.7%
100.0%
100.0%
―
100.0%
0人
0人
0人
0人
0人
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
94.4%
0人
3人
0人
1人
1人
66.7%
100%
100%
100%
100%
1人
1人
0人
0人
0人
資料:平成 21~25 年度
70%以上
70%以上
90%以上
70%以上
80%以上
地域保健・健康増進事業報告、池田町保健事業評価
※「今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について」に精密検査受診率の許容値・目標値が示され
値が高いとがん発見を高める
(4)対策
ア がんの発症予防の施策
・子宮頸がん予防ワクチン接種(中学 1 年生から高校 1 年生に相当する年齢の女性)
※平成 25 年 6 月 14 日に厚生労働省から積極的な接種の勧奨を差し控えるよう勧告あり
・肝炎ウイルス検査(妊娠期・40 歳以上)
、HTLV-1 抗体検査(妊娠期)の実施
・がんの発生リスクを高める喫煙、食事(高脂肪・塩分)
、運動不足、飲酒、肥満等の生活習慣の
改善に関する普及啓発
イ がんの重症化予防の施策
・胃がん検診(40 歳以上)、肺がん検診(40 歳以上)、大腸がん検診(40 歳以上)
、子宮がん検診
24
(妊娠期・20 歳以上の女性)
、乳がん検診(40 歳以上の女性)
、前立腺がん検診(50 歳以上の男
性)の実施
・がん検診対象者及び未受診者への個別案内、広報やホームページなどを利用した受診勧奨
・がん検診の評価判定で「検診による死亡率減少効果があるとする、十分な根拠がある」とされ
た、子宮頸がん検診・乳がん検診・大腸がん検診について、一定の年齢に達した方に、検診手
帳及び検診無料クーポン券を配布
・がん検診要精検者に対して、訪問や電話による精密検査の受診勧奨
25
2
循環器疾患
(1)はじめに
脳血管疾患と心疾患を含む循環器疾患は、がんと並んで主要死因の大きな一角を占めています。
これらは、単に死亡を引き起こすのみでなく、急性期治療や後遺症治療のために、個人的にも社
会的にも負担は増大しています。
循環器疾患は、血管の損傷によって起こる疾患で、予防は基本的には危険因子の管理であり、確
立した危険因子としては、高血圧、脂質異常、喫煙、糖尿病の 4 つがあります。
循環器疾患の予防は、これらの危険因子を健診データで複合的、関連的に見て、改善を図ってい
く必要があります。
なお、4 つの危険因子のうち、高血圧と脂質異常については、この項で扱い、糖尿病と喫煙につい
ては別項で記述します。
(2)基本的な考え方
ア 発症予防
循環器疾患の予防において重要なのは危険因子の管理で、管理のためには関連する生活習慣の改
善が最も重要です。
循環器疾患の危険因子と関連する生活習慣としては、栄養、運動、喫煙、飲酒がありますが、町
民一人ひとりがこれらの生活習慣改善への取り組みを考えていく科学的根拠は、健診の受診結果に
よってもたらされるため、特定健康診査の受診率向上対策が重要になってきます。
イ 重症化予防
循環器疾患における重症化予防は、高血圧症及び脂質異常症の治療率を上昇させることが必要に
なります。
そのため、どれほどの値であれば治療を開始する必要があるかなどについて、自分の身体の状態
を正しく理解し、段階に応じた予防ができるための支援が重要です。
また、高血圧症及び脂質異常症の危険因子は、肥満を伴わない場合にも多く認められることから、
肥満ではないが危険因子を持つ人に対しても保健指導が必要になります。
(3)現状と目標
ア 脳血管疾患発症数の減少
高齢化に伴い、脳血管疾患の死亡者は今後も増加していくことが予測されています。
国は、高齢化の影響を除いた 75 歳未満の年齢調整死亡率を、循環器疾患対策の総合的な推進の評
価指標としていますが、年齢調整死亡率は人口規模が小さい町では信頼性が低いため、池田町では
年齢構成を均一にした標準化死亡比(SMR)を評価指標とします。
脳血管疾患の標準化死亡比は、全国よりも死亡率が低く北海道と比べても低くなっています(表
1)
。しかし、脳血管疾患の年齢別死亡数をみると(図1)、75 歳未満の死亡者数は平成 19 年から平
26
成 23 年の 5 年間で 7 名おり、また、前述(9 ページ)の「第 2 号被保険者の要介護(支援)認定者
の原因疾患」においては脳血管疾患が半数以上を占める実態があります。死亡数を国や北海道と比
較すると多くはありませんが、とくに働き盛りの世代の脳血管疾患発症は、本人や家族の経済的損
失や心理的負担も大きいと言われており、今後も生活習慣病対策などから脳血管疾患の発症数を減
少させていくことは大変重要です。
表1 脳血管疾患における標準化死亡比(SMR)の比較
北海道
池田町
男性
95.6
82.6
女性
93.5
63.1
資料:北海道における主要死因の概要8
図1 池田町の脳血管疾患死亡の状況
資料:十勝地域保健情報年報(平成 19 年度~平成 23 年度実績)
イ 虚血性心疾患発症数の減少
虚血性心疾患についても、国は高齢化の影響を除いた 75 歳未満の年齢調整死亡率を、循環器疾患
対策の総合的な推進の評価指標としていますが、脳血管疾患と同様に標準化死亡比(SMR)を評
価指標とします。
虚血性心疾患の標準化死亡比は、全国より死亡率が低く北海道と比べても低くなっています(表
2)
。虚血性心疾患の年齢別死亡数をみると(図2)
、平成 19 年から平成 23 年の 5 年間で、75 歳未
満の死亡は 8 名です。虚血性心疾患は突然死につながるケースも少なくなく、働き盛りの世代の発
症は脳血管疾患同様、家族の経済的損失や心理的負担が大きいものと考えられます。生活習慣の改
善によって予防できる疾患であるため、対策を講じていくことが重要と言えます。
表2 虚血性心疾患における標準化死亡比(SMR)の比較
北海道
池田町
男性
89.0
84.4
女性
92.0
59.4
資料:北海道における主要死因の概要8
27
図2 池田町の虚血性心疾患死亡の状況
資料:十勝地域保健情報年報(平成 19 年度~平成 23 年度実績)
ウ 高血圧の改善
高血圧は、脳血管疾患や虚血性心疾患などあらゆる循環器疾患の危険因子であり、循環器疾患の
発症や死亡に対しては、他の危険因子と比べるとその影響は大きいと言われています。
池田町では、特定健康診査の結果に基づき、肥満を伴う人のみでなく、高血圧治療ガイドライン
2014 に記載されている「血圧に基づいた心血管リスク階層」などに基づき、対象者を明確にした保
健指導を実施しています(表3)。
表3 保健指導の取り組み経過
年度
20
21
22
23
24
25
積極的支援
動機付け支援
治療無し
情報提供で保健指導
判定値以上・受診勧奨
値以上
治療中
70~74歳は初回者、
昨年より悪化した者
①糖 Hb A1C7.0以上
(JDS値)
②血圧 Ⅲ度血圧
(180/110以上)
③CKD 腎専門医紹介
に該当
④その他 リスクが高い
と思われる方
①糖 Hb A1C7.4以上
(NGSP値)
②血圧 Ⅲ度血圧
(180/110以上)
③CKD 腎専門医紹介
に該当
④メタボ3項目該当
⑤その他 リスクが高い
と思われる方
特定健康診査受診者の高血圧の状況としては、Ⅰ度高血圧(収縮期 140-159/拡張期 90-99)の割
合が受診者のおよそ 2 割を占め、Ⅱ度高血圧(収縮期 160-179/拡張期 100-109)以上の割合は近年、
受診者の 5%未満となっている状況にはありますが、治療状況の内訳を見るとそのうち約半数が未治
療です。さらにⅢ度高血圧(収縮期 180 以上/拡張期 110 以上)にあっても未治療の方が毎年数名お
り、治療につなげていくことで重症化予防を図ることが必要です(図3)
。
28
図3 池田町国保特定健康診査受診者の高血圧の状況
資料:平成 20~25 年度池田町国保特定健康診査結果(資格喪失者含)
エ 脂質異常症(総コレステロール 240mg/dl(LDL コレステロール 160mg/dl)以上)の割合の減少
脂質異常症は冠動脈疾患の危険因子であり、とくに総コレステロール及び LDL コレステロールの
高値は、脂質異常症の各検査項目の中で最も重要な指標とされています。
冠動脈疾患の発症・死亡リスクが明らかに上昇するのは LDL コレステロール 160mg/dl に相当する
総コレステロール値 240 ㎎/dl 以上からが多いと言われています。
LDL コレステロール 160 ㎎/dl 以上の割合は例年、受診者の1割程度を占めており、治療状況の
内訳を見るとそのほとんどが未だに治療につながっていないという現状があります(図4)。
平成 24 年 7 月に発行された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2012」の中では、動脈硬化性疾患
の予防・治療において、関連疾患をふまえた対応は不可欠であることから、生活習慣病関連の 8 学
会とともに「動脈硬化性疾患予防のための包括的リスク管理チャート」が作成され、発症予防のた
めのスクリーニングからリスクの層別化、各疾患の管理目標値、治療法などが一元化されました。
今後は、
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2012」に基づき、検査項目や保健指導対象者の見直し
等を行い、対象者の状況に合わせた指導を実施していくことが重要になります。
29
図4 池田町国保特定健康診査受診者の LDL-C の状況
資料:平成 20~25 年度池田町国保特定健康診査結果(資格喪失者含)
オ メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少
メタボリックシンドロームと循環器疾患との関連は証明されており、平成 20 年度から始まった生
活習慣病予防のための特定健康診査では、メタボリックシンドロームの減少が評価項目の一つとさ
れました。
池田町では平成 20 年から平成 24 年度まで、メタボ該当者及びメタボ予備軍の割合はほぼ横ばい
に推移しています。保健指導においてメタボリックシンドロームを減少させる取り組みをさらに強
化していくことが必要です(表4)
。
表4 メタボリックシンドロームの予備群・該当者の推移
年度
対象者数
(B)
健診受診者数
(E)
受診率
(F)
メタボ該当者
(Q)
割合
(Q/E)
メタボ予備軍
(R)
割合
(R/E)
H20
2,022
549
27.2%
100
18.2%
61
11.1%
H21
1,989
549
27.6%
113
20.6%
60
10.9%
H22
1,943
578
29.7%
93
16.1%
61
10.6%
H23
1,889
542
28.7%
111
20.5%
58
10.7%
H24
1,851
537
29.0%
112
20.9%
55
10.2%
資料:北海道国保連合会 平成 20~24 年度特定健診・特定保健指導実施結果報告
カ 特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上
平成 20 年度から、メタボリックシンドロームに着目した健診と保健指導を医療保険者に義務付け
る、特定健康診査・特定保健指導の制度が導入されました。
特定健康診査・特定保健指導の実施率は、生活習慣病対策に対する取り組み状況を反映する指標
として設定されています。
30
池田町の平成 24 年度の国保特定健康診査受診率は 29.0%、保健指導実施率は 32.5%であり、道の
平均より高い状態ではありますが、十勝管内では平均より低い状況となっています。今後は、未受
診者対策と併せて、健診受診につながりにくい通院中の方のデータ受領体制も整備していく必要が
あります。
図5 健康診査受診率と保健指導実施率の散布図・・・十勝総合振興局(平成 24 年度)
(4)対策
ア 池田町国保特定健康診査受診率向上の施策
・対象者への個別案内、広報やホームページなどを利用した啓発
・地区担当保健師による未受診者への訪問・電話による勧奨
・医療機関との連携
イ 保健指導対象者を明確にするための施策
・池田町国保特定健康診査の実施
・各種ガイドラインに沿った、保健指導対象者以外への保健指導の取り組み
ウ 循環器疾患の発症及び重症化予防のための施策
・健診結果に基づく町民一人ひとりの自己健康管理の積極的な推進
特定保健指導及び発症リスクに基づいた保健指導(高血圧、脂質異常症、糖尿病のみでなく、
慢性腎臓病(CKD)も発症リスクに加える)
家庭訪問や健康相談、結果説明会、健康教育など、多様な経路により、それぞれの特徴を生
かしたきめ細やかな保健指導の実施
31
3
糖尿病
(1)はじめに
糖尿病は心血管疾患のリスクを高め、神経障害、網膜症、腎症、足病変といった合併症を併発す
るなどによって、生活の質(QOL:Quality of Life)に多大な影響を及ぼすのみでなく、脳血管疾患
や心疾患などの循環器疾患と同様に、社会経済的活力と社会保障資源に多大な影響を及ぼします。
糖尿病は、現在、新規透析導入の最大の原因疾患であるとともに、心筋梗塞や脳卒中のリスクを 2
~3 倍増加させるとされています。
全国の糖尿病有病者数は 10 年間で約 1.3 倍に増えており、人口構成の高齢化に伴って、増加ペー
スは加速することが予想されています。
(2)基本的な考え方
ア 発症予防
糖尿病の危険因子は、加齢、家族歴、肥満、身体活動の低下(運動不足)、耐糖能異常(血糖値の上
昇)で、これ以外にも高血圧や脂質異常も独立した危険因子であるとされています。
循環器疾患と同様、重要なのは危険因子の管理であるため、循環器疾患の予防対策が有効になり
ます。
イ 重症化予防
糖尿病における重症化予防は、健診によって、糖尿病が強く疑われる人、あるいは糖尿病の可能
性が否定できない人を見逃すことなく、早期に治療を開始することです。
そのためには、まず特定健康診査の受診者を増やしていくことが非常に重要になります。同時に、
糖尿病の未治療や、治療を中断することが糖尿病の合併症の増加につながることは明確に示されて
いるため、治療を継続し、良好な血糖コントロール状態を維持することで、個人の生活の質や医療
経済への影響が大きい糖尿病による合併症の発症を抑制することが必要になります。
(3)現状と目標
ア 合併症(糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数)の減少
近年、全国的に糖尿病性腎症による新規透析導入患者数は、増加から横ばいに転じていま
す。
増加傾向が認められない理由としては、糖尿病患者総数の増加や高齢化よりも、糖尿病治
療や疾病管理の効果が高いことが考えられ、少なくともこの傾向を維持することが必要です。
池田町の糖尿病性腎症による透析導入者数は、平成 21 年度の 7 人を最高に、その後も全
透析者数の 3 割を占める割合で横ばい傾向にあります。
糖尿病の発症から糖尿病性腎症による透析導入に至るまでの期間は、約 20 年間と言われ
ていることから、健診受診の勧奨とともに、糖尿病の重症化を防ぐための保健指導のあり方
を確認していく必要があります(図1)
。
32
図1 池田町人工透析患者の推移
資料:身体障害者手帳交付状況
イ 治療継続者の割合の増加
糖尿病における治療中断を減少させることは、糖尿病合併症抑制のために必須です。
池田町の糖尿病有病者(HbA1c(NGSP 値)6.5%以上の者)の治療率は、最も受診者数が多い平成
25 年度において 6 割を超えていますが、未だに 4 割弱が未治療です(図2)
。
糖尿病は「食事療法」も「運動療法」も大切な治療で、その結果の判断をするためには、医療機
関での定期的な検査が必要です。
今後は、糖尿病でありながら未治療である者や、治療を中断している人を減少させるために、適
切な治療の開始・継続が支援できるよう、医療機関と連携を取りながら、より積極的な保健指導が
必要になります。
図2 池田町国保特定健康診査受診者の HbA1c(NGSP 値)の状況
年度
HbA1c
5.4以下 5.6~5.8 5.9~6.4
測定
576
191
33.2%
194
33.7%
142
24.7%
576
182
31.6%
178
30.9%
164
28.5%
621
184
29.6%
213
34.3%
175
28.2%
564
191
33.9%
190
33.7%
137
24.3%
574
179
31.1%
189
32.9%
155
27.0%
226
33.4%
247
36.5%
122
18.0%
H20
H21
H22
H23
H24
676
H25
6.5以上
再掲
治療
再)7.4以上 未治療
49
8.5%
14
2.4%
52
9.0%
10
1.7%
49
7.9%
14
2.3%
46
8.2%
11
2.0%
51
8.9%
9
1.6%
81
12.0%
38
5.6%
29
20
59.2% 40.8%
5
9
35.7% 64.3%
29
23
55.8% 44.2%
3
7
30.0% 70.0%
23
26
46.9% 53.1%
4
10
28.6% 71.4%
25
21
54.3% 45.7%
0
11
0.0% 100.0%
26
25
51.0% 49.0%
4
5
44.4% 55.6%
31
50
38.3% 61.7%
9
29
23.7% 76.3%
資料:平成 20~25 年度池田町国保特定健康診査結果(資格喪失者含)
33
ウ 血糖コントロール指標におけるコントロール不良者の割合の減少
(HbA1c(NGSP※値)8.4%以上の者の割合の減少)
「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 2013」では、血糖コントロール評価指標として
HbA1c(NGSP 値)8.4%以上が「血糖コントロール不可」と位置づけられています。血糖コントロールが
「不可」である状態とは、細小血管症への進展の危険が大きい状態であり、治療法の再検討を含め
て何らかのアクションを起こす必要がある場合を指し、HbA1c(NGSP 値)8.4%以上を超えると明らかに
網膜症のリスクが増えるとされています。
平成 25 年度までの HbA1c(NGSP 値)8.4%以上の者の割合は、受診者中の1%未満で推移していまし
たが、受診者数が増加した平成 25 年度においては割合が高くなっています。
(図8)
。HbA1c(NGSP
値)8.4%以上を超える者の中に、未治療や治療中断のケースもあり、この場合においては確実に医療
につなげていく必要があります。
池田町では平成 25 年度より、国保特定健康診査の結果 HbA1c(NGSP 値)が 7.4%を超える場合には、
治療中の人にも保健指導を実施しています。今後も、医療関係者と、池田町の糖尿病治療等に関す
る課題の共有などを図りながら、コントロール不良者の減少を図ることに努めていくことが必要で
す。
※NGSP:国際標準で定めた HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値。平成 24 年度から日本でも JDS(日本糖尿病学
会で定めた HbA1c 値)と併記で使用され、平成 25 年度からは NGSP のみ使用されている。NGSP 値=JDS 値+0.4
図3 HbA1c(NGSP 値)が 8.4%以上の者の割合(池田町国保特定健康診査受診者)
資料:平成 20~25 年度池田町国保特定健康診査結果(資格喪失者含)
エ 糖尿病有病者(HbA1c(NGSP 値)6.5%以上の者)の増加の抑制
健康日本 21 では、
糖尿病有病率の低下が指標として掲げられていましたが、
最終評価においては、
糖尿病有病率が改善したとは言えないとの指摘がなされました。
糖尿病有病者の増加を抑制できれば、糖尿病自体だけでなく、さまざまな糖尿病合併症を予防す
ることにもなります。
池田町の糖尿病有病者の割合は、十勝と比較すると低い位置にありますが、北海道と比較すると
いずれの年度も高いことがわかります(図4)
。池田町も含めた十勝全体の健康課題として糖尿病対
策に取り組むことが重要です。
34
図4 池田町の糖尿病有病者割合 HbA1c(NGSP 値)6.5%以上の推移
資料:北海道国保連合会
平成 22~24 年度特定健康診査受診結果
60 歳を過ぎると、インスリンの生産量が低下することを踏まえると、今後、高齢化が進むことに
よる、糖尿病有病者の増加が懸念されます。
正常高値及び境界領域は、食生活のあり方が大きく影響しますが、食生活は、親から子へつなが
っていく可能性が高い習慣です。
町の食生活の特徴や町民の食に関する価値観などの実態を把握し、ライフステージに応じた、か
つ長期的な視野に立った、糖尿病の発症予防への取り組みが重要になります。
(4)対策(循環器疾患の対策と重なるものは除く)
ア 糖尿病の発症及び重症化予防のための施策
・健診結果に基づく町民一人ひとりの自己健康管理の積極的な推進
特定保健指導及び HbA1c 値に基づいた保健指導
家庭訪問や結果説明会等による保健指導や集団で学習できる健康教育の実施
・医療関係者との連携
35
第3節
1
生活習慣の改善
栄養・食生活
(1)はじめに
栄養・食生活は、生命を維持し、子どもたちが健やかに成長し、また人々が健康な生活を送るた
めに欠くことのできない営みであり、多くの生活習慣病の予防の観点から重要です。
生活習慣病予防の実現のためには、池田町の特性を踏まえ、栄養状態を適正に保つために必要な
栄養素を摂取することが必要です。
(2)基本的な考え方
ア 発症予防
がん、循環器疾患、糖尿病などの生活習慣病の発症予防には、適正体重を維持することが重要で
あり、そのためには適切な量と内容(質)の食事をとることが重要です。食べたものが体の中で代
謝され、その結果は健診データにつながります。そのため、代謝等の身体のメカニズムと生活習慣
(食)との関係を理解し、適正な改善を自らが選択し、行動変容につなげることができるよう支援
することが必要です。
イ 重症化予防
生活習慣病における食事療法は治療の基本であり、薬物治療導入後も食事療法の継続は重要です。
病気に応じた食事の量と質の選択ができるように支援することが必要です。
(3)現状と目標
個人にとって、適切な量と質の食事をとっているかどうかの指標は健診データです。健診データ
についての目標項目は第2章第2節生活習慣病の予防の項で掲げているため、栄養・食生活につい
ては、適正体重について目標設定します。
ア 適正体重を維持している者の増加(肥満の減少)
ライフステージにおける肥満は、20~60 歳代男性及び 40~60 歳代女性に、最も多く認められるた
め、この年代の肥満者の減少が健康日本 21 の目標とされていましたが、最終評価では、20~60 歳代
男性の肥満者は増加、40~60 歳代女性の肥満者は変わらなかったため、引き続き指標として設定さ
れました。
池田町では、20~30 歳代のデータは継続して把握できるものがないため、男女とも池田町国保特
定健康診査 40~60 歳代のデータを用いることとします。池田町の 40~60 歳代の肥満者の割合は男
女とも横ばいとなっており、国と比較すると、平成 34 年度の国の目標値を大幅に超えています(図
1、図2)
。
体重は生活習慣病や健康状態との関連が強いため、自分の適正体重を知り維持していくことがで
きるよう支援することが必要です。
36
図1 40~60 歳代男性の肥満(BMI25 以上)の割合の推移
国
:国民健康栄養調査 20~60 歳代
道
:健康づくり道民調査 20~60 歳代
池田町:池田町国保特定健康診査 40~60 歳代
図2 40~60 歳代女性の肥満(BMI25 以上)の割合の推移
国
:国民健康栄養調査
道
:健康づくり道民調査
池田町:池田町国保特定健康診査
イ 適切な量と質の食事をとるものの増加
①炭水化物のとり方
糖尿病患者は近年増加してきており、当町も糖尿病の有病者の増加の抑制等が課題となってい
ます(
「第2章 第2節 生活習慣病の予防 2循環器疾患」参照)。
糖尿病では、膵臓から分泌されているインスリンというホルモンが関係します。体内で唯一血
37
糖を下げることができるインスリンによって、炭水化物(糖質)は分解されてブドウ糖になり、
肝臓や筋肉、脂肪細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。
健康づくりアンケートによると、砂糖入りのコーヒー、ジュース、炭酸飲料等(単純糖質が多
く含まれる)を毎日飲む人は 22.7%、間食を毎日 1 回する人は 52.3%となっています。
炭水化物の摂取が多いことで高血糖が引き起こされるため、これらの食品に含まれている糖質
の種類や量、自分の基準量を知り適正量を摂取することが必要です。
炭水化物(糖質)の種類
複合糖質
単純糖質
含まれている食品
特徴
ごはん、パン、麺類、いも、
分子がいくつにも繋がっている糖質で、消化に時
とうもろこし 等
間がかかるため、血糖の上昇がゆっくり
砂糖、お菓子類、清涼飲料水、 分子がばらけていて、すぐに吸収されるため血糖
果物 等
が急上昇し、複合糖質に比べ、インスリンの分泌
が多くなる
②野菜の食べ方
私たちの体が元気で生き続けているのは、体のひとつひとつの細胞が順調に新しく生まれ変わ
っているからです。そのひとつひとつの細胞に必要な材料(栄養素、水分、酸素)を入れるため
には、特にビタミンAやC、葉酸が必要で、それらが効率よく含まれているのが野菜です。また、
食物繊維が含まれていることが「1日 350g以上の野菜を食べましょう」という目標に繋がってい
きます。食事に野菜が入り噛むことで満腹中枢が刺激されます。胃袋の満足感にも繋がり、腸で
は油や糖の吸収を抑えてくれます。がん予防の視点や胎児や子どもの成長にも必要で、大変重要
な食材です。
健康づくりアンケートによると、池田町で野菜を毎日 350g以上食べている人は 33.3%となっ
ています。夏は家庭菜園をしている方が多く、野菜は比較的とれていますが、冬になると不足す
る(特に緑黄色野菜が不足)傾向も見られます。
野菜の必要性について普及啓発し、食生活に取り入れやすい簡単な調理法やレシピ等を示して
いく必要があります。
(4)対策
ア 生活習慣病の発症予防のための取り組みの推進
ライフステージに対応した栄養指導の実施
①妊産婦
・母子健康手帳交付、妊娠後期面接、パパママ教室、産婦訪問などでの栄養指導
②乳幼児期
・新生児訪問や乳幼児健康診査、乳幼児相談での栄養指導、離乳食指導
・保育園や幼稚園と連携した食育指導
③学齢期
・学校と連携した食育指導
38
④壮年期・高齢期
・特定健康診査結果に基づいた栄養指導
⑤すべてのライフステージ
・健康教育、健康相談、家庭訪問
イ 生活習慣病の重症化予防のための取り組みの推進
管理栄養士による専門的な栄養指導の実施
・糖尿病や慢性腎臓病など、食事療法が重要な生活習慣病の重症化予防に向けた栄養指導の実施
39
2
身体活動・運動
(1)はじめに
身体活動とは、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する全ての動きをいい、運動
とは身体活動のうち、スポーツやフィットネスなど健康・体力の維持・増進を目的として行われる
ものをいいます。
身体活動・運動の量が多い人は、不活発な人と比較して循環器疾患やがんなどの非感染性疾患の
発症リスクが低いことが実証されています。
世界保健機構(WHO)は、高血圧(13%)、喫煙(9%)、高血糖(6%)に次いで、身体不活動(6%)を全世界
の死亡に関する危険因子の第 4 位と認識し、日本でも、身体活動・運動の不足は喫煙、高血圧に次
いで非感染性疾患による死亡の 3 番目の危険因子であることが示唆されています。
身体活動・運動の重要性が明らかになっていることから、多くの人が無理なく日常生活の中で運
動を実施できる方法の提供や環境をつくることが求められています。
(2)基本的な考え方
健康増進や体力向上のために身体活動量を増やし、運動を実施することは、個人の抱える多様か
つ個別の健康課題の改善につながります。
主要な生活習慣病予防のためには身体活動・運動が重要になってきます。
(3)現状と目標
ア 日常生活における歩数の増加
歩数は比較的活発な身体活動の客観的な指標です。歩数の不足ならびに減少は、肥満や生活習慣
病発症の危険因子であるだけでなく、高齢者の自立度低下や虚弱の危険因子でもあります。
健康づくりアンケートでは、1 日の歩数が 30 分未満(3,000 歩未満)であると答えた人が 47.7%
を占めており、国の現状値の約半分の歩数となっています。
また、池田町では、国保特定健康診査受診者に対して、身体活動の状況を確認していますが、日
常生活においてよく身体を使っていると意識している人は、男女ともに 50%未満であり、60 代以上
と比べて就労世代の 40~50 代の身体活動量が少ない状況となっています(図1)。
40
図1 性別・年代別の身体をよく使っている人の推移
資料:池田町国保特定健康診査質問票
身体活動量を増やす具体的な手段は、歩行を中心とした身体活動を増加させるように心掛けるこ
とですが、池田町は道路の凍結等により冬期間の歩行は、転倒などの危険を伴うことが多くなるた
め、年間を通して安全に歩行などの身体活動ができる環境整備が必要になります。
イ 運動習慣者の割合の増加
運動は余暇時間に取り組むことが多いため、就労世代(40~59 歳)と比較して退職世代(60 歳~74
歳)では明らかに多くなりますが、池田町も同様の傾向です(図2)。
また、運動習慣者の割合を北海道、全国と比べると、60~74 歳の女性を除いた他の年代・性別で
は、全国及び北海道より大きく下回っています(図3)
。しかし、健康づくりアンケートの結果を計
画立案時と比べると、運動習慣者の割合は増加しており、運動への意識は向上してきているものと
思われます。
図2 性別・年代別の運動習慣者の割合の推移
男性
40.0
女性
45.0
36.9
36.8
42.0
38.4
40.0
35.0
35.0
28.3
30.0
30.0
25.0
20.0
42.0
19.5
19.2
15.3
40~59歳
60~74歳
15.0
25.0
40~59歳
20.0
14.9
15.0
10.0
10.0
5.0
16.4
60~74歳
9.9
5.0
0.0
0.0
H23
H24
H25
H23
H24
H25
資料:池田町国保特定健康診査質問票
41
図3 性別・年代別の運動習慣者の割合の比較
男性
女性
50
50
47.0 47.0
45
45
40
35
32.2
30
40.5
25.9
池田町
25
北海道
19.2
30.1
30
池田町
25.2
25
20
44.4
40
36.8
35
42.0
北海道
20
国
15
15
10
10
5
5
国
9.9
0
0
40~59歳
40~59歳
60~74歳
60~74歳
資料:平成 23 年国民健康・栄養調査、平成 23 年度健康づくり道民調査、
平成 23 年度池田町国保特定健康診査質問票
健康づくりアンケートの自由記載には、町の運動施設の充実や若い世代を対象とした運動事業の
推進を希望する意見が記載されていました。今後は教育委員会などの関係機関との連携を強化し、
あらゆる世代が身近な場所で年間を通じて運動ができるよう環境を整えることが必要です。
(4)対策
ア 身体活動量の増加や運動習慣の必要性についての知識の普及・啓発の推進
・国保特定健康診査の結果に基づいた運動指導の実施
・各種健康教室での運動指導の実施
イ 身体活動及び運動習慣の向上の推進
・十勝管内のウォーキングロードの紹介
・町内ウォーキングマップの活用の推進
・町の各部局や関係機関が実施している事業への参加勧奨
ウ 運動をしやすい環境の整備
・体力づくり、健康増進、生活習慣病や運動器疾患の発症及び重症化予防など、様々な健康課題
に応じた運動が、誰でも気軽に通年で行える環境整備の検討
42
3
休養
(1)はじめに
こころの健康を保つために、心身の疲労の回復と充実した人生を目指すための休養は重要な要素
の一つです。
十分な睡眠をとり、ストレスと上手につきあうことは、こころの健康に欠かせない要素であり、
休養が日常生活の中に適切に取り入れられた生活習慣を確立することが重要です。
自分なりの休養が実現されることで、生活の質の向上が図られ、健康で豊かな人生が築かれるこ
ととなります。
(2)基本的な考え方
さまざまな面で変動の多い現代は、家庭でも社会でも常に多くのストレスにさらされ、ストレス
の多い時代であるといえます。
労働や活動等によって生じた心身の疲労を、安静や睡眠等で解消することにより、疲労からの回
復や、健康の保持を図ることが必要になります。
(3)現状と目標
ア 睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少
睡眠不足は、疲労感をもたらし、情緒を不安定にし、適切な判断を鈍らせ、事故のリスクを高め
るなど、生活の質に大きく影響します。
また、睡眠障害はこころの病気の一症状としてあらわれることも多く、再発や再燃リスクも高め
ます。
さらに近年では、睡眠不足や睡眠障害が肥満、高血圧、糖尿病の発症・悪化要因であること、心
疾患や脳血管障害を引き起こし、ひいては死亡率の上昇をもたらすことも知られています。
池田町健康づくりアンケートの結果、
「睡眠で休養が十分とれていますか」の質問項目で睡眠に関
する実態把握をしましたが、28.8%の人が「いいえ」と回答しています(表1)
。また、池田町国保
特定健康診査質問票でも、休養が十分にとれていないと感じている人の割合が 20.9%となっており、
国の 18%と比べて高くなっています。
表1 「睡眠で休養が十分とれていますか」の問いに「いいえ」と回答した人の割合
全体
28.8%
20 代
28.8%
30 代
29.2%
40 代
25%
50 代
30.4%
60 代
30.0%
資料:平成 25 年度池田町健康づくりアンケート
今後は睡眠による休養を十分に取れていない人を減らし、睡眠・休養の正しい知識の普及を図る
ことが目標となっていきます。
(4)対策
ア 睡眠と健康との関連等に関する教育の推進
・さまざまな保健事業の場での健康教育や情報提供
43
4
飲酒
(1)はじめに
アルコール飲料は、生活・文化の一部として親しまれてきている一方で、陶酔性、慢性影響によ
る臓器障害、依存性、妊婦を通じた胎児への影響等、他の一般食品にはない特性を有します。
健康日本 21 では、アルコールに関連した健康問題や飲酒運転を含めた社会問題の多くは、多量飲
酒者によって引き起こされていると推定し、多量飲酒者を「1 日平均 60g を超える飲酒者」と定義し、
多量飲酒者数の低減に向けて努力がなされてきました。
しかし、がん、高血圧、脳出血、脂質異常症などは、1 日平均飲酒量とともにほぼ直線的に上昇す
ることが示されています。
また、全死亡、脳梗塞及び冠動脈疾患については、男性では 44g/日(日本酒 2 合/日)
、女性では
22g/日(日本酒 1 合/日)程度以上の飲酒でリスクが高くなることが示されています。
同時に一般に女性は男性に比べて肝臓障害など飲酒による臓器障害をおこしやすいことが知られ
ています。
世界保健機構(WHO)のガイドラインでは、アルコール関連問題リスク上昇の域値を男性 1 日
40gを超える飲酒、女性 1 日 20gを超える飲酒としており、また、多くの先進国のガイドラインで
許容飲酒量に男女差を設け、女性は男性の 1/2 から 2/3 としています。
健康日本 21(第 2 次)においても、生活習慣病のリスクを高める飲酒量について、男性で 1 日平
均 40g 以上、女性で 20g 以上と定義されました。
(2)基本的な考え方
飲酒については、アルコールと健康の問題について適切な判断ができるよう、未成年者の発達や
健康への影響、胎児や母乳を授乳中の乳児への影響を含めた、健康との関連や「リスクの少ない飲
酒」など、正確な知識を普及する必要があります。
(3)現状と目標
ア 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者(1 日当たりの純アルコールの摂取量が男性で
40g、女性で 20g以上の者)の割合の減少
池田町の飲酒状況を正確に把握できるデータはないため、国保特定健康診査の質問票を用いるこ
ととします。
飲酒の頻度は、男性で「毎日」
「時々」とも 3 割となっていますが、女性は男性に比べ飲む頻度は
少なく、ほとんど飲まないが 7 割となっています。
44
図1 国保特定健康診査受診者の飲酒頻度(平成 25 年度)
資料:池田町国保特定健康診査質問票
標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)の標準的な質問票では、清酒 1 合(180 ㎖)の目安
について、ビール中瓶1本(500 ㎖)
、焼酎 35 度(80 ㎖)、ウイスキーダブル 1 杯(60 ㎖)、ワイン
2 杯(240 ㎖)と示しており、これは純アルコール約 20gに換算できます。そこで、池田町では、質
問票において、男性で 2 合(約 40g)以上、女性で 1 合(約 20g)以上を毎日飲んでいる人を多量飲
酒者として見ていくこととします。
多量飲酒に該当する人は、男性 7.8%、女性 2.2% となっています。
図2 国保特定健康診査受診者で毎日飲む人の1日の飲酒量(平成 25 年度)
※( )内は純アルコール量を示す
資料:池田町国保特定健康診査質問票
飲酒は肝臓のみならず、肥満や高血糖、高血圧、高尿酸血症をも引き起こし、その結果、血管を
傷つけるという悪影響を及ぼします。健診結果と飲酒との関連を本人が理解し、適切な判断ができ
る支援が重要です。
(4)対策
ア 飲酒のリスクに関する教育・啓発の推進
・種々の保健事業の場での教育や情報提供
イ 飲酒による生活習慣病予防の推進
・健康診査、特定健康診査の結果に基づいた、適度な飲酒への個別指導
45
5
喫煙
(1)はじめに
たばこによる健康被害は、国内外の多数の科学的知見により因果関係が確立しています。
具体的には、がん、循環器疾患(脳卒中、虚血性心疾患等)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)
、糖尿
病、周産期の異常(早産、低出生体重児、死産、乳児死亡等)の原因になり、受動喫煙も、虚血性
心疾患、肺がんに加え、乳幼児の喘息や呼吸器感染症、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因に
なります。
たばこは、受動喫煙などの短期間の少量曝露によっても健康被害が生じますが、禁煙することに
よる健康改善効果についても明らかにされています。
特に長期の喫煙によってもたらされる肺の炎症性疾患で、咳・痰・息切れを主訴として緩徐に呼
吸障害が進行するCOPDは、国民にとってきわめて重要な疾患であるにもかかわらず、新しい疾
患名であることから十分認知されていませんが、発症予防と進行の阻止は禁煙によって可能であり、
早期に禁煙するほど有効性は高くなる(「慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防・早期発見に関する
検討会」の提言)ことから、たばこ対策の着実な実行が求められています。
(2)基本的な考え方
たばこ対策は「喫煙率の低下」と「受動喫煙への曝露状況の改善」が重要です。
喫煙と受動喫煙は、いずれも多くの疾患の確立した原因であり、その対策により、がん、循環器
疾患、COPD、糖尿病等の予防において、大きな効果が期待できるため、たばこと健康について
正確な知識を普及する必要があります。
(3)現状と目標
ア 成人の喫煙率の減少(喫煙をやめたい人がやめる)
喫煙率の低下は、喫煙による健康被害を確実に減少させる最善の解決策であることから指標とし
て重要です。
池田町では、男性の喫煙率は平成 22 年度から年々減少しており、平成 24 年度には全国と比べて
も低くなっています。女性の喫煙率は全国より低めで、横ばい傾向といえます(図1)。
46
図 1 喫煙率の推移
資料:国民健康栄養調査、平成 20~25 年度池田町国保特定健康診査結果
健康づくりアンケートで喫煙者の禁煙希望を確認したところ、喫煙者の 44%が禁煙したいと思っ
ているという結果でした。たばこに含まれるニコチンには依存性があり、自分の意思だけでは、や
めたくてもやめられない人が多いのですが、今後は喫煙をやめたい人に対する禁煙支援と同時に、
健診データーに基づき、より喫煙によるリスクが高い人への禁煙支援が重要になります。
(4)対策
ア たばこのリスクに関する教育・啓発の推進
・種々の保健事業の場での禁煙の助言や情報提供
イ COPDの認知度の向上
・広報、健康相談、健康教育等でCOPDが予防可能な生活習慣病であること等の知識の普及
ウ 禁煙支援の推進
・池田町国保特定健康診査の結果に基づいた、禁煙への個別指導
・禁煙外来の紹介
47
6
歯・口腔の健康
(1)はじめに
歯・口腔の健康は、口から食べる喜び、話す楽しみを保つ上で重要であり、身体的な健康のみな
らず、精神的、社会的な健康にも大きく寄与します。
歯の喪失による咀嚼機能や構音機能の低下は多面的な影響を与え、最終的に生活の質(QOL)に
大きく関与します。
従来から、すべての国民が生涯にわたって自分の歯を 20 本以上残すことをスローガンとした
「8020(ハチマルニイマル)運動」が展開されているところですが、北海道では平成 21 年に「北海道
歯・口腔の健康づくり 8020 推進条例」を制定し、平成 22 年に北海道歯科保健医療推進計画を策定
しています。平成 23 年 8 月に施行された歯科口腔保健の推進に関する法律の第 1 条においても、歯・
口腔の健康が、国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしているとされ
ています。
超高齢社会の進展を踏まえ、生涯を通じて歯科疾患を予防し、歯の喪失を抑制することは、高齢
期での口腔機能の維持につながるものと考えられます。
歯の喪失の主要な原因疾患は、う蝕(むし歯)と歯周病で、歯・口腔の健康のためには、う蝕と歯
周病の予防は必須の項目です。
幼児期や学齢期でのう蝕予防に加え、近年のいくつかの疫学研究において糖尿病や循環器疾患等
との密接な関連性が報告されている、成人における歯周病予防の推進が不可欠と考えます。
(2)基本的な考え方
ア 発症予防
歯科疾患の予防は、
「う蝕予防」及び「歯周病予防」が大切になります。これらの予防を通じて、
生涯にわたって歯・口腔の健康を保つためには、個人個人で自身の歯・口腔の状況を的確に把握す
ることが重要です。
イ 重症化予防
歯・口腔の健康における重症化予防は、
「歯の喪失防止」と「口腔機能の維持・向上」になります。
歯の喪失は、健全な摂食や構音などの生活機能に影響を与えますが、喪失を予防するためには、よ
り早い年代から対策を始める必要があります。
口腔機能については、咀嚼機能が代表的ですが、咀嚼機能は、歯の状態のみでなく舌運動の巧緻
性等のいくつかの要因が複合的に関係するものであるため、科学的根拠に基づいた評価方法は確立
されていません。
(3)現状と目標
ア 乳幼児・学齢期のう蝕のない者の増加
池田町の乳幼児期のう蝕有病状況は近年改善傾向にあり、3 歳児でう蝕がない児の割合は、国の目
48
標値である 80%を超えています。全国や北海道、十勝圏域と比べても高めに推移している状況です
(図1)
。
乳幼児期は生涯にわたる歯科保健行動の基盤が形成される時期であり、乳歯咬合の完成期である 3
歳児のう蝕有病状況の改善は、乳幼児の健全な育成のために不可欠です。
「平成 24 年度十勝圏域 3 歳児歯科健康診査結果報告書」によると、おやつの摂取時間が不規則で
あったり、清涼飲料水の摂取頻度が多い児や夕食後の甘味飲食の頻度が多い児は、1 人平均う歯数が
多い傾向があり、日常の食生活習慣がう蝕の罹患状況に影響を与えていることが示されています。
また、フッ化物塗布の経験回数が多い児ほど 1 人平均う歯数が少ない傾向も認められています。幼
児期の適切な食習慣の確立とフッ化物応用による予防の勧奨を行うことが必要です。
図1 3 歳児でう蝕がない者の割合の推移
資料:H19~23 年度池田町保健事業評価、平成 24・25 年度 3 歳児歯科健康診査結果報告書
永久歯う蝕の代表的評価指標である12歳児の1人平均う歯数は、年によってばらつきはあるものの、
近年は全国と比べて高めに推移しています(図2)。
「平成24年十勝圏域学校定期歯科健康診査結果報
告書」によると、中学生の1人平均う歯数は過去10年間継続した減少傾向にあるが、歯肉炎のある者
の割合については減少傾向にはないことが示されており、中学生に対しては、う蝕予防対策の他、
歯肉炎にも焦点をあてた健康教育やセルフケアの具体的な指導が必要です。また、永久歯のう蝕予
防に効果的なフッ化物洗口について、保育所や幼稚園、学校での継続した実施に向けて、更なる普
及啓発を行います。
49
図2 12 歳児の 1 人平均う歯数
資料:十勝圏域学校定期歯科健康診査結果報告
イ 過去 1 年間に歯科検診を受診した者の増加
定期的な歯周疾患検診による継続的な口腔管理は、歯・口腔の健康状態に大きく寄与します。
健康づくりアンケートの結果より、歯科検診の受診率は 20 代で低く、30 代から増加している状況
です(図3)
。定期的な歯科検診の受診により、自身の歯・口腔の健康状態を把握することができ、
個人のニーズに応じて、歯石除去や歯面清掃ないしは個別的な歯口清掃指導に繋がることから、今
後は定期的な歯科検診の受診勧奨を行うことが必要です。
図3 年代別歯科検診受診率
資料:平成 25 年度池田町健康づくりアンケート
(4)対策
ア う蝕の予防
・乳幼児健診での歯科健診(1 歳半、3 歳)と歯科保健指導(1 歳、1 歳半、3 歳)の継続
・保育園、幼稚園におけるはみがき教室の継続
50
・フッ化物塗布事業の継続(1 歳半健診、2 歳~6 歳)
・保育園におけるフッ化物洗口の実施継続
・幼稚園、小学校、中学校におけるフッ化物洗口の実施体制の推進
イ 歯周疾患の予防
・妊娠期の歯科保健指導の実施
・歯周疾患に関する健康教育の実施
・成人期の歯科検診の受診勧奨
51
第4節
1
社会生活に必要な機能の維持・向上
こころの健康
(1)はじめに
社会生活を営むために、身体の健康と共に重要なものが、こころの健康です。
こころの健康とは、人がいきいきと自分らしく生きるための重要な条件です。
こころの健康を保つには多くの要素があり、適度な運動やバランスのとれた栄養・食生活は、身
体だけでなくこころの健康においても重要な基礎となります。
これらに、心身の疲労回復と充実した人生を目指すための休養が加えられ、健康のための 3 つの
要素とされてきました。特に、十分な睡眠をとり、ストレスと上手につきあうことはこころの健康
に欠かせない要素となっています。また、健やかなこころを支えるためには、こころの健康を維持
するための生活や、こころの病気への対応を多くの人が理解することが不可欠です。
代表的なこころの病気であるうつ病は、多くの人がかかる可能性を持つ精神疾患です。自殺の背
景にうつ病が多く存在することも指摘されています。
こころの健康を守るためには、社会環境的な要因からのアプローチが重要で、社会全体で取り組
む必要がありますが、個々の健康的な生活習慣による、こころの健康を維持するための取り組みに
焦点をあてます。
(2)基本的な考え方
現代社会はストレス過多の社会であり、価値観の多様化が進む中で、誰もがこころの健康を損な
う可能性があります。
そのため、一人ひとりが、こころの健康問題の重要性を認識するとともに、自らのこころの不調
に気づき、適切に対処できるようにすることが重要です。
(3)現状と目標
ア 自殺者の減少
池田町の平成 14 年から平成 23 年の 10 年間における自殺数合計は 21 人(30 歳代から 80 歳
代)で、60 歳代がピークになっており、約 7 割が男性です。
表1 自殺者数(平成 14 年~平成 23 年の累計)
30 歳代
40 歳代
50 歳代
60 歳代
70 歳代
80 歳代
計
男性
3
2
3
4
2
0
14
女性
1
0
2
2
1
1
7
計
4
2
5
6
3
1
21
資料:十勝地域保健情報年報
自殺の原因としては、うつ病などのこころの病気が占める割合が高いため、自殺を減少させるこ
52
とはこころの健康の増進と密接に関係します。厚生労働省の統計では、自殺の原因の 6 割以上が健
康問題であり、中でもうつ病の割合が高くなっています。うつ病は有効な治療法が確立しており、
早期発見早期治療を行うことにより、自殺を減少させることができるとされています。
体の病気の診断は、血液検査などの「客観的な」根拠に基づいて行われますが、うつ病などのこ
ころの病気は、本人の言動・症状などで診断するほかなく、血液検査、画像検査といった客観的な
指標・根拠がありません。このことが、周囲の人の病気への理解が進まず、偏見などに繋がってい
る現状もあります。
(4)対策
ア こころの健康に関する健康教育の推進
・さまざまな保健事業の場での健康教育や情報提供の実施
・講演会の開催
イ こころの健康相談事業の推進
・電話、家庭訪問等による個別相談の実施
・帯広保健所と連携し、精神科医などによる「こころの健康相談」の紹介
・各専門機関の相談窓口の周知
ウ ゲートキーパー(自殺予防支援者)の養成について関係機関と検討する
53
2
次世代の健康
(1)はじめに
生涯を通じて健やかで心豊かに生活するためには、妊娠中や子どものころからの健康、次世代の
健康が重要です。妊娠前・妊娠期の心身の健康づくりを行うとともに、子どもの健やかな発育とよ
りよい生活習慣を形成することで、成人期、高齢期等の生涯を通じた健康づくりを推進してゆくこ
とができます。また、子どもが成長し、やがて親となり、その次の世代を育むという循環において
も子どもの健やかな発育や生活習慣の形成は、その基礎となるものです。
今回、健康いけだ 21 計画の対象が乳幼児期からライフステージに応じた全町民であることから、
これから父母になる思春期世代から胎生期(妊娠期)を含め、生まれてから成人するまでを次世代
と位置付けています。
(2)基本的な考え方
子どものころからの生活習慣病対策の重要性については、日本学術会議(2008 年)も提言している
ところですが、健やかな生活習慣を幼少時から身につけ、生活習慣病予防の基盤を固め、生涯にわ
たって健康な生活習慣を継続できるようにすることが重要です。
子どもの健やかな発育や生活習慣の形成の状況については、子どもの体重(全出生中の低出生体
重児の割合、肥満傾向にある子どもの割合)や生活習慣(朝・昼・夕の三食を必ず食べることに気
を付けて食事をしている子どもの割合、食事を一人で食べる子どもの割合)
、う蝕有病状況、運動や
スポーツ習慣などで確認できます。
また、子どもの健やかな発育のためには、妊娠前・妊娠期の心身の健康づくりと基本的な生活習
慣が重要であり、適正体重の維持(20 歳代の女性のやせ、肥満の減少)や妊娠中の喫煙や飲酒をし
ないことが必要です。
(3)現状と目標
ア 適正体重の子どもの増加
(ア)全出生数中の低出生体重児の割合の減少
低出生体重児については、神経学的・身体的合併症の他、成人後に糖尿病や高血圧等の生活習
慣病を発症しやすいとの報告もあります。
妊娠期から適切な生活習慣で自分の体に合わせた体重増加を図り、妊娠高血圧症候群などの異
常を予防することは、低出生体重児の予防につながります(図1)
。
池田町では、低出生体重の状態で生まれる子どもは少ないのですが(図2)、やせ・肥満の妊婦
が増加傾向にあることから、低出生体重児の出生率を下げる対策とともに、低出生体重で生まれ
てきた子どもの健やかな発育、発達への支援や、将来の生活習慣病の発症予防のための保健指導
も必要になります。
54
図1 低出生体重児の予防の流れ
低出生体重児の発症予防
妊娠前
妊娠中
妊娠中の体重増加
食習慣
妊娠前 やせ
BMI 18.5 未満
胎
が目標より少ない
妊
娠
高
血
圧
症
候
群
飲酒
喫煙
対
象
妊娠中の体重増加
ストレス
者
妊娠前 肥満
の
BMI 25 以上
が目標より多い
睡眠不足
妊
娠
糖
尿
病
明
確
〈既往・遺伝あり〉
化
腎疾患
の
高血圧
視
糖尿病
点
<35 歳以上>
児
低
栄
胎
盤
の
働
き
が
低
下
血
管
損
傷
養
低
出
生
体
重
早
産
児
巨大児
胎児期に低栄養状態であると、
少ない栄養に見合った代謝を
作る(インスリン抵抗性の増
加)
胎児期に作られた代謝は、生ま
れた後も変わらない
生後、栄養状態が良くなり、胎
児期との差が大きいと、生活習
慣病になりやすい(低出生体重
児は、差が大きくなりやすい)
図2 池田町の低出生体重児の割合の推移
10.0%
8.1%
5.9%
7.0%
6.9%
5.0%
2.9%
3.1%
0.0%
H20
H21
H22
H23
H24
H25
資料:十勝地域保健情報年報(平成 20 年~22 年実績)
・出生台帳(平成 23 年~25 年)
①母親の妊娠前の体重
妊娠・出産期、子育て期にある女性の心身の健康づくりは、子どもの健やかな発育に繋がりま
す。
低出生体重児は、妊娠前の母親のやせ・肥満が要因の1つと考えられています。池田町では、
55
妊娠中の適切な体重増加の目安とするために、妊娠直前のBMIを把握し、保健指導を行ってい
ます。平成 24 年度の痩せの妊婦は 35.0%と、全国・全道的にもかなり高い割合となっています。
また、平成 25 年度では、肥満の割合が 22.6%とやせよりもかなり高い割合となりました(図3)
。
池田町における低出生体重児の出生割合は毎年 10%以下と少ない割合ではありますが、低出生
体重児は将来的に生活習慣病の発症リスクが高くなると言われています。そのため、今後も低出
生体重児の出現動向の把握と、妊娠期・出産期、子育て期にある女性の適切な体重管理を行って
いく必要があります。
図3 妊娠前のやせ・肥満の人(やせ:BMI18.5 未満、肥満:BMI25 以上)の推移
40%
35.0%
35%
30%
28.1%
20%
15%
10%
9.4%
10.5%
肥満
11.1%
15.0%
H21
9.4%
2.5%
7.1%
H20
やせ
16.1%
15.8%
5%
0%
22.6%
国の目標値
(やせ、20代)
25%
H22
H23
H24
H25
資料:妊婦アンケート(全妊婦対象)
②妊婦の生活習慣
妊婦の生活習慣の実態を把握し、それぞれの妊婦に合った支援を行っていくことは、子どもの
健やかな発育に繋がります。
池田町では、母子健康手帳交付時に栄養に関するアンケートをとっています。妊婦の中には野菜
やたんぱく質を毎食とっていない方もおり、そのような食生活では適切な栄養摂取ができていな
いことがうかがわれます(表1)
。
また、妊娠中の飲酒・喫煙は胎児発育不全の危険因子と言われており、食生活とともに見直して
いくべき生活習慣のひとつです。池田町の妊婦の喫煙率・飲酒率は、以下の通りとなっています
(図4)
。平成 22 年乳幼児身体発育調査によると、全国の妊婦の飲酒率は 8.7%、喫煙率は 5.0%
となっており、池田町は全国と比べると飲酒率は低い傾向、喫煙率は年度によって差はあるもの
の、高い傾向となっています。また、配偶者の喫煙率も毎年 35%以上と高い傾向にあり、受動喫
煙防止のためにも対策を強化していく必要があります。
これらの生活習慣改善のためには、胎児への影響を妊婦やその家族にも伝えていくことが重要と
言えます。今後も、妊娠前、妊娠期の健康は、次の世代を育むことに繋がることの啓発とともに、
ライフステージ及び健診データに基づいた保健指導を行っていくことが必要と考えます。
56
表1 妊娠中の食生活(平成 25 年度)
食べる頻度
1日3
回
1日
2回
1日1
回
20
0
0
1
0
1
1
1
0
0
0
0
9
4
0
1
1
6
5
2
0
0
0
1
0
13
9
12
9
15
18
13
5
5
4
16
3.ごはん・パン・めん
4.肉
魚
卵
大豆・大豆製品
5.緑黄色野菜
6.淡色野菜
7.果物
8.いも
9.海藻
10.きのこ
11.牛乳・乳製品
週6
回
1
0
1
0
0
1
0
0
0
0
0
週5
回
週4
回
2
0
2
1
1
1
0
1
0
2
3
週3
回
1
1
5
3
3
3
1
3
2
3
1
7
9
2
5
2
1
3
7
5
4
1
週2
回
1
5
3
6
1
0
2
9
4
5
5
週1
回
0
4
0
1
0
0
3
1
7
4
1
食べ
ない
0
1
2
2
1
0
5
4
7
8
2
無回答
2
1
1
1
3
0
0
0
0
0
0
0
資料:妊婦栄養アンケート(全妊婦 31 名対象)
図4 妊娠中の飲酒率・喫煙率
37.5%
H25
3.0%
0.0%
H24
5.9%
2.9%
36.4%
喫煙率(配偶者)
喫煙率
飲酒率
36.0%
7.8%
H23
0.0%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
資料:新生児訪問台帳
57
(イ)肥満傾向にある子どもの割合の減少
子どもの肥満は、将来の肥満や生活習慣病に結びつきやすいとの報告があります(図5)。
学校保健統計調査では、肥満傾向児は肥満度 20%以上の者を指すものとされており、さらに肥
満度 20%以上 30%未満の者は「軽度肥満傾向児」、肥満度 30%以上 50%未満の者は「中等度肥満
傾向児」
、肥満度 50%以上の者は「高度肥満傾向児」と区分されています。
国の指標の設定となっている小学校 5 年生(10 歳)の、北海道の肥満傾向児は、平成 25 年度で
は男子で全国 6 位、女子で 19 位と、特に男子において非常に高い出現率になっています(表2)
。
しかし、池田町ではこれらの情報の詳しい把握はできていません。今後は、学齢期の子どもの体
型や栄養、食生活の内容なども把握する必要があります。そして生活習慣改善が必要な児を明確
にするための、実態把握を小中学校等の教育関係機関と検討していく必要があります。
図5 出生から生活習慣病予防の流れ
生活習慣病予防
乳幼児期 幼児期 学齢期
成人期
低
出
生
不適切な食習慣
肥満
生
体
慣
・運動(あそび)
喫煙
病
・睡眠
ストレス過剰
・食習慣
標
発
症
睡眠不足
準
肥満
体
重
習
適量以上の飲酒
重
児
活
運動不足
不適切な生活習慣
胎児期、腎臓が成熟する前に生ま
れると腎臓は早く傷みやすい
児
胎児期に作られた代謝は、生まれた後も変わらない
生後、栄養状態が良くなり、胎児期との差が大きい
と、生活習慣病になりやすい(低出生体重児は、差
が大きくなりやすい)
58
表2 平成 25 年度 都道府県別 肥満傾向児の出現率
小学校5年生
男子
女子
1
福 島
21.27 岩
手
13.34
1
2
岩 手
18.60 宮
城
12.53
2
3
栃 木
17.39 宮
崎
11.82
3
4
青 森
17.30 群
馬
11.43
4
5
茨 城
16.82 茨
城
10.99
5
6
北 海 道
15.40 青
森
10.85
6
7
山 梨
15.17 沖
縄
10.69
7
8
山 形
14.56 山
形
10.51
8
9
宮 城
14.00 熊
本
10.41
9
10
宮 崎
13.54 福
島
10.28
10
11
佐 賀
12.44 秋
田
10.12
11
12
鹿 児 島
12.27 鹿
島
9.99
12
13
千 葉
11.81 高
知
9.51
13
14
高 知
11.79 大
分
9.51
14
15
大 阪
11.73 佐
賀
9.27
15
16
群 馬
11.53 福
岡
9.22
16
17
愛 媛
11.30 千
葉
8.95
17
18
熊 本
11.22 埼
玉
8.86
18
19
大 分
11.04 北 海 道
8.70
19
20
東 京
10.98 徳
島
8.61
20
21
★全 国
10.90 神
川
8.32
21
22
石 川
10.73 新
潟
8.02
22
23
新 潟
10.52 ★
国
7.96
23
24
富 山
10.35 栃
木
7.96
24
25
愛 知
10.01 広
島
7.91
25
26
福 井
9.90 大
阪
7.91
26
27
長 野
9.84 山
口
7.71
27
28
岡 山
9.73 香
川
7.64
28
29
福 岡
9.59 山
梨
7.62
29
30
神 奈 川
9.48 三
重
7.30
30
31
徳 島
9.44 静
岡
7.20
31
32
岐 阜
9.40 和
山
7.11
32
33
沖 縄
9.37 島
根
6.99
33
34
秋 田
9.16 長
野
6.63
34
35
三 重
8.83 愛
知
6.53
35
36
兵 庫
8.79 愛
媛
6.45
36
37
奈 良
8.62 長
崎
6.23
37
38
静 岡
8.59 奈
良
6.17
38
39
埼 玉
8.56 岡
山
6.15
39
40
長 崎
8.46 岐
阜
5.90
40
41
広 島
8.23 石
川
5.84
41
42
京 都
8.07 富
山
5.78
42
43
島 根
7.73 東
京
5.76
43
44
香 川
7.70 滋
賀
5.51
44
45
和 歌 山
7.57 鳥
取
5.43
45
46
山 口
6.95 福
井
5.28
46
47
滋 賀
6.47 京
都
5.02
47
48
鳥 取
6.38 兵
庫
4.97
48
児
奈
全
歌
資料:H25 年度
学校保健統計調査
(注) 肥満傾向児とは、性別・年齢別・身長別標準体重から肥満度を求め、肥満度が 20%
以上の者である
肥満度=(実測体重-身長別標準体重)/ 身長別標準体重 × 100(%)
59
イ 健康的な生活習慣(栄養・食生活、運動)を有する子どもの割合の増加
健やかな生活習慣を幼少時から身につけ、生活習慣病予防の基盤を固め、生涯にわたって健康な
生活習慣を継続できるようにすることは喫緊の課題であり、非常に重要な生活習慣病対策です。
学校関係者と肥満傾向児の動向など、子どもの健康実態について、共通認識を形成することが重
要です。
①子どもの食生活
池田町の小中学校で平成 24 年度に実施された給食アンケートでは「朝食の欠食が約 10.0%」、
同じく平成 24 年度に池田中学校で実施された食生活アンケートでは、朝食の内容が「ごはんや食
パンのみが 25.0%、菓子パンのみが 15.0%」とおかずがない状況があり、望ましい食生活を送る
ことができていないと考えられます。
②未成年者の飲酒
未成年者の飲酒が好ましくないのは、未成年者の身体は発達過程にあるために体内に入ったア
ルコールが身体に悪影響を及ぼし健全な成長を妨げること、臓器の機能が未完成であるためにア
ルコールの分解能力が成人に比べて低く、アルコールの影響を受けやすいためです。
平成 24 年厚生労働科学研究費による研究班では、
「調査前 30 日間に 1 回でも飲酒したものの割
合」の結果を出しています。その調査によると、全国で飲酒していたのは中学生 男子 7.2%、女
子 26.0%・高校生 男子 12.4%、女子 44.8%という割合でした。この調査結果を経年的に見ると
減少しているようですが、特に高校生女子の 40%以上が飲酒有という結果はかなり高い状況にあ
ると言えます。
池田町では未成年者の飲酒に関して実態を把握することができていませんが、未成年者飲酒禁
止法や未成年者に対する飲酒の悪影響を踏まえ、未成年者の飲酒を防止することが必要です。
③未成年者の喫煙
未成年者の喫煙は健康への影響が大きく、かつ成人期を通した喫煙継続につながりやすいこと
が分かっています。また、家庭や学校での受動喫煙防止対策も重要です。
平成 24 年厚生労働科学研究費による研究班によると、全国で喫煙経験のあるのは、中学生男子
7.7%、女子 5.5%・高校生男子 12.9%、女子 7.5%という割合でした。飲酒と同様に、経年的に
見ると減少傾向にあるようです。
喫煙についても、池田町では実態を把握することができていませんが、子どもの健やかな発育
のために、町全体として禁煙に取り組んでいくことが重要と言えます。
(4)対策
ア 妊産婦
・妊婦健康診査の実施と健診結果の実態把握
・母子健康手帳交付、妊娠後期面接、パパママ教室、産婦訪問などでの保健・栄養指導
・ハイリスク妊婦への家庭訪問
・飲酒、喫煙の実態把握を続け、妊娠、授乳時における飲酒や喫煙のリスクに関する教育、啓発を
60
実施
イ 乳幼児期
・新生児訪問、乳幼児健康診査、乳幼児相談などでの保健・栄養指導
・肥満傾向児の実態把握と個人の状況に合わせた保健・栄養指導
・関係機関と連携した食育の推進
ウ 学齢期
・教育機関が把握している栄養・食生活についての情報を共有することで実態把握し、小中学校等
の関係機関との課題の共有を図り、食育を推進する
・関係機関と連携して未成年者の禁酒、喫煙の予防活動を推進
61
3
高齢者の健康
(1)はじめに
急速に人口の高齢化が進んでおり、今後 75 歳以上の方が増加していくことが予想されています。
高齢者の健康寿命のさらなる延伸、生活の質の向上、社会参加や社会貢献等が重要となります。
(2)基本的な考え方
健康寿命の更なる延伸に向けて、健康度の高くなっている高齢者については就労や社会参加を促
進する一方で、疾病等による虚弱化を予防することが重要な課題です。
町では、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるように高齢者福祉計画・介護保
険事業計画を策定しています。介護予防を目的とした地域支援事業と連動し、対策を推進します。
(3)現状と目標
ア 適正な体重の維持、管理をすすめる
肥満の割合は、平成 23 年度健康づくり道民調査によると、65 歳以上の男性では 38.1%、女性で
は 37.3%であり、池田町の健診結果をみると、男性・女性とも北海道を上回っています(表1)
。
高齢者においても健康を維持するため、適正な体重の維持、管理が大切です。
表1 65 歳以上の肥満の割合
男
女
北海道(平成 23 年度健康づくり道民調査)
38.1%
37.3%
池田町(平成 23 年度池田町国保特定健康診査・後期高齢者健康診査結果)
43.8%
36.8%
池田町(平成 25 年度池田町国保特定健康診査・後期高齢者健康診査結果)
40.6%
39.1%
イ 介護保険要介護(支援)となる時期を遅らせる
平成 24 年度における池田町の第1号被保険者の要介護(要支援)認定者数は 495 人、認定率は
18.0%となっており、全国(17.6%)よりやや高いものの全道(18.6%)よりは低くなっています。
認定者数は増加傾向でしたが、平成 25 年度は前年度を下回っています。
平成 25 年度に要支援認定を受けた方の原因疾患をみると、整形系疾患(腰痛症・脊柱管狭窄症等)
が 39.6%と最も多く、次いで循環器疾患(15.4%)
、脳血管疾患(13.6%)、認知症(8.9%)となっ
ています(表2)
。
全国的にも、要介護となる理由として運動器疾患が重要になっていることから、日本整形外科学
会は 2007 年に、要介護となる危険の高い状態を示す言葉として「ロコモティブシンドローム」を提
案しました。
運動器の健康が長寿に追いついていないことを広く社会に訴え、運動器の健康への人々の意識改
革と健康長寿を実現することを目指しています。
62
参考 ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の定義
・運動器(運動器を構成する主な要素には、支持機構の中心となる骨、支持機構の中で動く
部分である関節軟骨、脊椎の椎間板、そして実際に動かす筋肉、神経系がある。これらの
要素が連携することによって歩行が可能になっている。)の障害のために自立度が低下し、
介護が必要となる危険性の高い状態をいう。
運動器の機能低下が原因で、日常生活を営むのに困難をきたすような歩行機能の低下、あ
るいはその危険があることを指す。
・ロコモティブシンドロームはすでに運動器疾患を発症している状態からその危険のある状
態を含んでいる。
表2 要支援1・2の主な疾患
(平成 25 年 4 月~平成 26 年 3 月 要介護認定審査会 実人数)
割合
H24 年(%)
H23 年(%)
順
位
疾
患 名
(%)
人数
1
整形系疾患(腰痛症、脊柱管狭窄症など)
67
39.6
58(35.8)
50(32.5)
2
循環器疾患(心疾患、高血圧、腎不全)
26
15.4
23(14.2)
21(13.6)
3
脳血管性疾患
23
13.6
22(13.6)
25(16.2)
4
認知症
15
8.9
10(6.2)
14(9.1)
5
その他(視覚障害、消化器疾患、など)
8
4.7
14(8.6)
10(6.5)
6
呼吸器疾患
7
4.1
7(4.3)
5(3.3)
6
特定疾患(パーキンソン病、関節リウマチ、など)
7
4.1
7(4.3)
9(5.8)
8
糖尿病
5
3.0
5(3.1)
7(4.5)
9
認知症以外の精神科系疾患(うつなど)
4
2.4
7(4.3)
5(3.3)
9
事故
4
2.4
3(1.9)
3(1.9)
11
がん
3
1.8
6(3.7)
5(3.3)
169
100.0
162(100
154(100)
計
資料:池田町地域包括支援センター
ウ 運動器の機能低下の予防
介護予防事業においてスクリーニングで用いられている「基本チェックリスト」で、運動器の機
能低下(運動器に関する5項目のうち、3項目以上該当)がみられる高齢者は 15.8%となっていま
す(表3)
。
高齢者の腰や手足の痛みは変形性関節症や骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折によって生じることが多
いようです。痛みの発生には身体活動・運動不足や体力低下などの生活習慣が関係しており、肥満
の改善や生活習慣改善に取り組むことが大切です。
63
表3 二次予防事業対象者把握事業
基本チェックリスト実施数
二次予防事業対象者数
内訳
(延数)
549 人(平成 25 年度)
196 人(35.9%)
運動器の機能低下
口腔器の機能低下
低栄養
87 人(15.8%)
102 人(18.6%)
7 人(1.3%)
内、認知機能低下 72 人、
閉じこもり 14 人、うつ 80 人
資料:池田町地域包括支援センター
エ 口腔機能の低下の予防
高齢者に於いて、口腔機能(咀嚼機能等)の低下は食生活への影響だけでなく健康観や運動機能
との関連性を有するといわれており、口腔機能の低下を防ぐことが大切です。
基本チェックリストにおいて、口腔機能低下(口腔機能に関する3項目のうち、2項目以上該当)
がみられる高齢者は 18.6%となっています(表3)
。
口腔機能の低下を予防するために、歯(義歯)の手入れや嚥下体操等の啓発を進めます。
オ 認知症の予防
高齢社会の進展に伴い、認知症高齢者は確実に増加すると推定されます。血管リスクの是正が認
知機能障害の進展予防につながると言われており、脳血管疾患等の予防により、脳細胞を守ること
が重要です。また、運動や趣味など様々な介入が認知機能低下を抑制できることが明らかになって
おり、脳の活性化を図る活動も重要です。
基本チェックリストにより認知機能の低下(認知機能に関する3項目のうち、1項目以上該当)
がみられる高齢者は 13.1%(72/549 人)となっています(表3)
。
(4)対策
生活習慣を改善し、生活習慣病の発症予防・重症化予防を推進することが、要介護状態を遅ら
せ、健康寿命の延伸につながります。壮年期からの生活習慣病予防や運動機能の向上・維持が高
齢期の健康に深く関与することから、壮年期から介護予防の取り組みを推進することが重要です。
ア 脳血管疾患の発症予防・重症化予防のために、生活習慣病予防対策の推進を図る
・各健診の受診勧奨及び、生活習慣改善に関する健康教育、健康相談の実施
イ 運動器の機能低下、口腔機能低下、認知症予防対策の推進
・老人クラブ等における健康教育・健康相談の実施
・ロコモティブシンドロームについての知識の普及
・地域活動、社会参加の促進
64
第5節
目標の設定
国民運動では、目標の設定に当たっては「科学的根拠に基づいた実態把握が可能な具体的目標の設
定」
、
「実行可能性のある目標をできるだけ少ない数で設定」、
「目標とされた指標に関する情報収集に
現場が疲弊することなく、既存のデータの活用により、自治体が自ら進行管理できる目標の設定」が
示されています。
特に、自治体自らが目標の進行管理を行うことができるように、設定した目標のうち、重要と考え
られる指標については、中間評価を行う年や、最終評価を行う年以外の年においても、政策の立案に
活用できるよう、既存の統計調査で毎年モニタリングすることが可能な指標とすることが望ましいと
されています。
そのために、目標項目として設定する指標について、既存のデータで自治体が活用可能と考えられ
るものの例示もされました。
これらを踏まえ、池田町でも、毎年の保健活動を評価し、次年度の取り組みに反映させることがで
きる目標を設定します(表1)
。
65
表1 池田町の目標
分
野
項目
①国:75 歳未満のがんの年齢調整
死亡率の減少(10 万人当た
り)
町:悪性新生物の標準化死亡比
(SMR)の減少
②がん検診受診率の向上
が
ん
・胃がん
・肺がん
・大腸がん
・子宮頸がん
循
環
器
疾
患
・乳がん
①高血圧の改善
国:収縮期血圧の平均値の低下
町:収縮期血圧 160 ㎜ Hg 以上又
は、拡張期血圧 100 ㎜ Hg 以上
の未治療者の割合の減少
③脂質異常症の減少
(LDL コレステロール 160 ㎎/dl 以
上の者の割合の減少)
④メタボリックシンドロームの該当者
及び予備軍の減少
⑤特定健康診査・特定保健指導の
実施率の向上
・特定健康診査の実施率
・特定保健指導の終了率
①合併症(糖尿病腎症による年間新
規透析導入患者数)の減少
糖
尿
病
②治療継続者の割合の増加
(HbA1c が NGSP 値 6.5%以上の者
のうち治療中と回答したもの)
③血糖コントロール指標におけるコ
ントロール不良者の割合の減少
(HbA1c が NGSP 値 8.4%以上の者
の割合の減少)
④糖尿病有病者の増加の抑制
(HbA1c が NGSP 値 6.5%以上の者
の割合の減少)
こ
こ
ろ
①自殺者の減少
(人口 10 万人当たり)
国の現状値
84.3
H22 年
町の現状値
男性
102.6
女性
110.4
H15
~24 年
国の目標値
町の目標値
73.9
H27 年
減少
40.0%
当面
40.0%
50.0%
H28 年
50.0%
データ
ソース
H36 年
①
H36
年度
②
男性 34.3%
女性 26.3%
男性 24.9%
女性 21.2%
男性 27.4%
女性 22.6%
32.0%
31.4%
H22 年
男性 138
女性 133
(㎜ Hg)
H22 年
53.3%
H25
年度
男性 134
女性 129
(㎜ Hg)
H34
年度
減少
H36
年度
③
男性 8.3%
女性 11.7%
H22 年
8.7%
H25
年度
男性 6.2%
女性 8.8%
H34
年度
減少
H36
年度
③
1,400 万人
H20
年度
該当者
20.9%
予備軍
10.2%
H24
年度
H20 年度と
比べて 25%
減少
H27
年度
減少
H36
年度
③
H29
年度
③
H36
年度
④
41.3%
12.3%
20.0%
21.4%
25.4%
H25
年度
27.0%
33.0%
H21
年度
29.0%
32.5%
H24
年度
60.0%
60.0%
H29
年度
60.0%
60.0%
維持
又は
減少
16,247 人
H22 年
2人
H25
年度
15,000 人
H34
年度
63.7%
H22 年
61.7%
H25
年度
75%
H34
年度
増加
H36
年度
③
1.2%
H21
年度
1.5%
H25
年度
1.0%
H34
年度
減少
H36
年度
③
890 万人
H19 年
12.0%
H25
年度
1,000
万人
H34
年度
維持
又は
減少
H36
年度
③
23.4
H22 年
21 人
H14 年
~23 年
の累計
H28 年までに H17 年と比
べて 20%以上減少(自
殺総合対策大綱より)
減少
H36
年度
②
9.6%
H22 年
3.1%
H25 年
減少傾向
へ
H26 年
減少
H36
年度
⑤
H25
年度
20.0%
H34
年度
減少
H36
年度
⑥
①適正体重の子どもの増加
・全出生数中の低出生体重児の割
合の減少
次
世
代
・国:20 歳代女性のやせの人の割
合の減少
町:妊娠前のやせ、肥満の人の割
合の減少
29.0%
H22 年
やせ
9.4%
肥満
22.6%
・妊娠中の飲酒をなくす
8.7%
H22 年
0%
・妊娠中の喫煙をなくす
5.0%
H22 年
3.0%
66
H25
年度
H25
年度
0%
0%
H26
年度
H26
年度
0%
0%
H36
年度
H36
年度
⑦
⑦
分
野
高
齢
者
栄
養
・
食
項目
国の現状値
町の現状値
国の目標値
H37
年度
H36
年度
⑧
減少
(北海道)
H34
年度
減少
H36
年度
③⑪
H25
年度
28%
H34 年
減少
H36
年度
H25
年度
19%
H34 年
減少
H36
年度
③
H34
年度
増加
H36
年度
③
H34
年度
増加
H36
年度
③
452 万人
H24
年度
17.3%
H25
年度
657 万人
②肥満(BMI25 以上)の高齢者(65 歳
以上)の割合の減少
男性 38.1%
女性 37.3%
(北海道)
H23
年度
男性
40.6%
女性
39.1%
H25
年度
31.2%
H22 年
45.0%
22.2%
H22 年
31.4%
・40 歳~60 歳代女性の肥満者の割
合の減少
データ
ソース
介護保
険計画
の推計
値より
減少
①国:介護保険サービス利用者の増
加の抑制
町:要介護認定者の増加の抑制
①適正体重を維持している者の増加
((肥満の減少)
・国:20 歳~60 歳代男性の肥満者の
割合の減少
町:40 歳~60 歳代男性の肥満者の
割合の減少
町の目標値
③
①国:日常生活における歩数の増加
町:日常生活において歩行又は同
等の身体活動を 1 日 1 時間以
上実施する者の割合の増加
・国:20 歳~64 歳
身
体
活
動
・
運
動
・国:65 歳以上
町:40 歳~59 歳
町:60 歳~74 歳
男性
7,841 歩
女性
6,883 歩
男性
5,628 歩
女性
4,584 歩
H22 年
H22 年
男性
26.0%
女性
25.4%
男性
45.9%
女性
40.6%
H25
年度
男性
9,000 歩
女性
8,500 歩
男性
7,000 歩
女性
6,000 歩
②運動習慣者の割合の増加
・国:20 歳~64 歳
町:40 歳~59 歳
男性 26.3%
女性 22.9%
・国:65 歳以上
町:60 歳~74 歳
男性 47.6%
女性 37.6%
H22 年
H21 年
H22 年
男性
19.5%
女性
16.4%
男性
36.9%
女性
38.4%
H25
年度
男性 36%
女性 33%
H34
年度
増加
H36
年度
③
H25
年度
男性 58%
女性 48%
H34
年度
増加
H36
年度
③
20.9%
H25
年度
15%
H34
年度
減少
H36
年度
③
H25
年度
男性 13%
女性 6.4%
H34
年度
減少
H36
年度
③
H25
年度
12%
H34
年度
減少
H36
年度
③
H34
年度
H34
年度
現状
維持
1.0 歯
未満
H36
年度
H36
年度
休
養
①睡眠による休養を十分とれていな
い者の割合の減少
18%
飲
酒
①生活習慣病のリスクを高める量を
飲酒している者(国:1 日当たりの
純アルコール摂取量が男性 40g 以
上、女性 20g 以上の者、町:男性で
2合以上、女性で1合以上を毎日
飲んでいる人)の割合の減少
男性 15.3%
女性 7.5%
H22 年
男性
7.8%
女性
2.2%
喫
煙
①成人の喫煙率の減少
(喫煙をやめたい人がやめる)
19.5%
H22 年
17.4%
・3 歳児でう蝕がない者の割合の増
加
77.1%
H21 年
83.9%
・12 歳児の一人平均う歯数の減少
1.3 歯
H21 年
1.11
歯
歯
・
口
腔
H25
年度
①乳幼児・学齢期のう蝕のない者の
増加
H25
年度
H25
年度
80%以上
1.0 歯
未満
データソース
①北海道における主要死因の概要(北海道健康づくり財団発行)
③池田町国保特定健康診査結果
⑧介護保険事業状況報告
④身体障害者手帳交付状況
②十勝地域保健情報年報
⑤出生台帳
⑨3歳児歯科健康診査結果報告書
⑪池田町後期高齢者健康診査結果
67
⑥親子の健康記録
⑦新生児訪問記録
⑩十勝圏域学校定期歯科健康診査結果報告
⑨
⑩
第3章
68
計画の推進
第1節
1
健康増進に向けた取り組みの推進
活動展開の視点
健康増進法では、第 2 条において個人が生活習慣への関心と理解を深め、自らの健康状態を自覚
して、生涯にわたって健康増進に努めなければならないことを国民の「責務」とし、第 8 条におい
て自治体はその取り組みを支援するものとして、計画化への努力を義務づけています。
住民の健康増進を図ることは、急速に高齢化が進む町にとっても、一人ひとりの住民にとっても
重要な課題です。
したがって、健康増進施策を池田町の重要な行政施策として位置づけ、健康いけだ 21(第2次)
の推進においては、住民の健康に関する各種指標を活用し、取組みを推進していきます。
取り組みを進めるための基本は、健診結果を切り口にして個人の身体をよく見ていくことです。
一人ひとりの身体は、今まで生きてきた歴史や社会背景、本人の価値観によって作り上げられて
きているため、それぞれの身体の問題解決は画一的なものではありません。
一人ひとりの、生活の状態や、能力、ライフステージに応じた主体的な取り組みを重視して、健
康増進を図ることが基本になります。
町としては、その活動を支えながら、個人の理解や考え方が深まり、確かな自己管理能力が身に
つくよう支援を進めます。
同時に、個人の生活習慣や価値観の形成の背景となる、ともに生活を営む家族や、地域の習慣や
特徴など、共通性の実態把握にも努めながら、地域の健康課題に対し、住民が共同して取り組みを
考え合うことによって、個々の気づきが深まり、健康実現に向かう地域づくりができる、地域活動
をめざします。
これらの活動が、国民運動の 5 つの基本的な方向を実現させることであると考えます。
2
関係機関との連携
ライフステージに応じた健康増進の取組みを進めるに当たっては、事業の効率的な実施を図る観
点から、関係機関との連携が必要です。
町民の生涯を通した健康の実現を目指し、町民一人ひとりの主体的な健康づくり活動を支援して
いくために、関係機関、関係団体、行政等が協働して進めていきます。
69
第2節
健康増進を担う人材の資質の向上等
地域では、医師、歯科医師、保健師、管理栄養士、歯科衛生士等様々な職種が、栄養・食生活、
身体活動・運動、休養、こころの健康づくり、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康等生活習慣全般につい
ての保健指導や相談に応じています。
町においては、保健師、管理栄養士等が中心になり、健康状態を見る上で最も基本的な健診デー
タを見続けていきます。健診データは生活習慣の現れですが、生活習慣は個人のみで作られるもの
ではなく、社会の最小単位である家族の生活習慣や、その家族の生活する地域などの社会条件の中
で作られます。そのため、地域の生活背景も含めた健康実態と特徴を明確化し、地域特有の文化や
食習慣と関連付けた解決可能な健康課題を抽出し、町民の健康増進に関する施策を推進します。
また、最新の科学的知見に基づく研修等に積極的に参加し、効果的な保健活動が展開できるよう
資質の向上に努めます。
70