第2回 知財マネジメントの3要素と活用

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第2回
知財マネジメントの3要素と活用
• 出願・権利化、秘匿、公開のバランスと組み
合わせ
• これらで形成される知的財産を活用する知財
契約
Toshiya Watanabe
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技術独占の知財マネジメントが
特に必要な背景
Toshiya Watanabe
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30 degree
Self-cleaning
Invention A TiO2
5 degree
antifogging
Invention B (TiO2 + SiO2)
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Invention A (patent by Company A )
Invention B (patent by Company B)
30 degree
Self-cleaning
Invention A TiO2
5 degree
antifogging
Invention B (TiO2 + SiO2)
Invention C (TiO2 + Pt)
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特許の役割 Role of Patent
• A patent provides its owner a ‘right to exclude’
others but not a ‘right or freedom to use” the
patented invention.
• So, a patent gives its owner only an exclusive
right to prevent or stop others, from making,
using, offering for sale, selling or importing a
product or process.
• 特許の本質は排他権
事例
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New Prescription numbers(1,000)
600
lisinopril
(Zestril®,
AstraZeneca 社)
enalapril
(Vasotec®,
Merck
400
quinapril
(Accupril®,
Pfizer 社)
benazapril
(Lotensin® Novartis 社)
200
fosinopril
(Monopril®,BMY 社)
captopril
(Capoten®,
BMY 社)
lisinopril
(Prinivil®,
Merck 社)
0
Source:
ramipril (Altace®,
旧HMR/King/AHP )
81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01
IMS US prescription market. (Retail only)
(出典:日興ソロモン・スミス・バーニー証券)
米国ACE阻害剤新規処方箋枚数
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新薬の研究開発期間と成功確率
臨床試験
前臨床試験 5~10年
3~5年
創薬研究
2~3年
リード
薬物標的
化合物
の同定
発見
リード
化合物
最適化
非臨床試験
臨床試験
(治験)
申請
承認
化合物の数
5000~
10000化合物
10
5~10化合物
1化合物
10,000
10,000
10~15年の長期間と多額の投資が必要
上市確率は極めて低い
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R&D expenditure ratio per sales (%)
研究開発投資の比較
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9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
Toshiya Watanabe
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直木賞受賞「下町ロケット」
下町ロケット 主人公・佃航平は宇宙工学研究の道をあきらめ、東
京都大田区にある実家の佃製作所を継いでいたが、突然の取引
停止、さらに特許侵害の疑いで訴えられるなど、大企業に翻弄さ
れ、会社は倒産の危機に瀕していた。
一方、政府から大型ロケットの製造開発を委託されていた帝国
重工では、百億円を投じて新型水素エンジンを開発。しかし、世
界最先端の技術だと自負していたバルブシステムは、すでに佃
製作所により特許が出願されていた。宇宙開発グループ部長の
財前道生は佃製作所の経営が窮地に陥っていることを知り、特
許を20億円で譲ってほしいと申し出る。資金繰りが苦しい佃製作
所だったが、企業としての根幹にかかわるとこの申し出を断り、
逆にエンジンそのものを供給させてくれないかと申し出る。
帝国重工では下町の中小企業の強気な姿勢に困惑し憤りを隠
せないでいたが、結局、佃製作所の企業調査を行いその結果で
供給を受けるかどうか判断するということになった。一方、佃製作
所内部も特に若手社員を中心に、特許を譲渡してその分を還元
してほしいという声が上がっていた。
そうした中、企業調査がスタート。厳しい目を向け、見下した態
度をとる帝国重工社員に対し、佃製作所の若手社員は日本のも
のづくりを担ってきた町工場の意地を見せる。
Toshiya Watanabe
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島精機
自動編み機で世界市場の80%を占める
Toshiya Watanabe
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Overseas sales ratio is over 80%
Toshiya Watanabe
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島精機の特許
特許権数
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
2003
2004
2005
2006
2007
World wide patent applications are over 4000
特許だけでなくノウハウも重視
Toshiya Watanabe
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テフコ青森株式会社(青森県)
• 中山社長は、大手商社に10年間勤務し鉄鉱
貿易を担当。その後、1971(昭和46)年電気
成型メーカーに入社し電着(電気メッキ)技術
を習得。17年間勤務後、同社を退社。昭和63
年、テフコ青森(株)を創立。
• 電気カミソリ外刃やネームプレートの生産を
開始するとともに、シチズン時計(株)との委
託加工契約を締結し平成元年から時計組立
を開始した。
• 同年、長年アイディアをあたためていた独自
の電気分解成形法による電着画像技術で時
計文字盤の試作方法を確立
Toshiya Watanabe
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三菱レイヨン プラスチックロッドレンズ
ホンダの二輪車
No. 1 world share of motorcycles
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模倣品
Real Honda
Toshiya Watanabe
Counterfeit
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模倣品の輸出
Europa
Shanhai
南西アジアルート
Middle East and Africa
Middle South Ameria
★
Asia
★
UAE
South America
Panama
Oceania
Singapore
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10
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中国二輪車売上げ
Million
Recovery to original share
70 %
Honda’ s Share 70%
20%
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
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ケース討論
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特許の要件
第29条 産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除
き、その発明について特許を受けることができる。
一 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
二 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
三 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載さ
れた発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明
2 特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有す
る者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたとき
は、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることがで
きない。
発明の新規性の喪失の例外
第30条 特許を受ける権利を有する者の意に反して第29条第1項各号のい
ずれかに該当するに至つた発明は、その該当するに至つた日から6月以内
にその者がした特許出願に係る発明についての同条第1項及び第2項の規
定の適用については、同条第1項各号のいずれかに該当するに至らなかつ
たものとみなす。
2 特許を受ける権利を有する者の行為に起因して第29条第1項各号のい
ずれかに該当するに至つた発明(発明、実用新案、意匠又は商標に関する
公報に掲載されたことにより同項各号のいずれかに該当するに至つたもの
を除く。)も、その該当するに至つた日から6月以内にその者がした特許出
願に係る発明についての同条第1項及び第2項の規定の適用については、
前項と同様とする。
3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を特許
出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第29条第1項各号のいずれかに
該当するに至つた発明が前項に規定する発明であることを証明する書面を
特許出願の日から30日以内に特許庁長官に提出しなければならない。
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• http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/ha
tumei_reigai.htm
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次回のケース
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日亜化学工業の創業
•
日亜化学工業(以下、日亜化学)は、徳島県阿南市
に本社をおき、発光ダイオード(LED)などの電子デバ
イスや蛍光灯などに使われる蛍光体を製造・販売す
る化学会社である。創業者・小川信雄(故人)が設立
した協同医薬研究所を母体とし、ランプ用蛍光材料の
リン酸カルシウムの製造・販売を目的として1956年に
設立された。
• 1960年代には蛍光灯用蛍光体の製造を開始、さら
に70年代にはTVブラウン管用蛍光体やX線増感紙な
どに事業領域を拡大していった。なかでも、カラーTV
向けのブラウン管用蛍光体では世界シェア50%を握
るなど、日亜化学の主力事業として1970年代後半か
ら80年代における同社の成長の原動力となってきた。
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特許に関する考え方
• 「特許というのは権利行使するのが正論で、
自社の生産を守るのが特許の本来の役割で
す。ライセンス・オファーをしてきた会社は、も
ともと蛍光体をやっている時からのお客さまも
含まれていたわけですから、ライセンスしてく
れと言われれば普通はするんでしょうけど、
トップの考えでそれをしなかった。」(芥川・取
締役兼法知部長)
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職務発明改正
職務発明の対価をめぐる最近の主な訴訟例
提訴
控訴
上告
判決日
被告
対象技術
特許
による利益
原告の
貢献度
企業の
評価額
請求額
認容額
オリンパス
光ディスクの
読み取り技術
5,000
万円
5%
21万円
第一審:
2億円
第二審:
5,200万円
228万
9,000円
(最高裁)
12億円
14%
238万円
第一審:
97,000万
第二審:
25,000万
3,489万円
(東京地裁)
16,300万円
(東京高裁)
1995
1999
2001
1999年4月16日
(東京地裁)
2001年5月22日
(東京高裁)
2003年4月22日
(最高裁)
1998
2002
-
2002年11月29日
(東京地裁)
204年1月29日
(東京高裁)
日立製作所
光ディスクの
読み取り技術
2001
2003
-
2004年1月30日
日亜化学
工業
青色発光ダイ
オード
1,209億円
50%
2万円
200億円
200億円
(東京地裁)
2002
2003
-
2003年8月29日
日立金属
窒素磁石
12,324万
8,637円
10%
103万円
9,000万円
1,128万円
(東京地裁)
2002
-
-
2004年2月24日
味の素
人口甘味料
80億円
2.5%
1,000
万円
20億円
18,935万円
(東京地裁)
2003
-
-
-
キヤノン
レーザービー
ムプリンター
-
-
86万円
10億円
地裁係争中
-
-
500万円
2億円
地裁係争中
-
-
-
10億円
-
2003
-
-
-
三菱電機
フラッシュ
メモリー
2004
ー
-
ー
東芝
フラッシュ
メモリー
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特許法35条
•
使用者、法人、国又は地方公共団体(以下「使用者等」という。)は、従業者、法人の役員、
国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性資上当該使用者等の業
務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の
現在又は過去の職務に属する発明(以下「職務発明」という。)について特許を受けたとき、
又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けた
ときは、その特許権について通常実施権を有する。
•
2 従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめ
使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ又は使用者等のため専用実施権
を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。
•
3 従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより、職務発明について使用者等に特許
を受ける権利若しくは特許権を承継させ、又は使用者等のため専用実施権を設定したとき
は、相当の対価の支払を受ける権利を有する。
•
4 契約、勤務規則その他の定めにおいて前項の対価について定める場合には、対価を決
定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況、策
定された当該基準の開示の状況、対価の額の算定について行われる従業者等からの意見
の聴取の状況等を考慮して、その定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められ
るものであつてはならない。
•
5 前項の対価についての定めがない場合又はその定めたところにより対価を支払うことが
同項の規定により不合理と認められる場合には、第三項の対価の額は、その発明により使
用者等が受けるべき利益の額、その発明に関連して使用者等が行う負担、貢献及び授業
者等の処遇その他の事情を考慮して定めなければならない。
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