実験テキストPDF ファイルは - 千葉工業大学工学部|生命環境科学科

5S 生命環境科学科
遺伝子工学実験テキスト
平 成 27 年 度 版
―担当教員―
坂本泰一
河合剛太
滝口泰之
根本直樹
橋本香保子
黒崎直子
1
目次
学生実験に関する注意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
「 予 習 レ ポ ー ト 」、
「 実 験 ノ ー ト 」お よ び「 実 験 報 告 書 」の 作 成 ・・・
7
ス ケ ジ ュ ー ル ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 10
実 験 1 : RNA の 試 験 管 内 合 成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ I-1
(坂本泰一)
実 験 2 : RNA の 二 量 体 調 製 実 験 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ II-1
(河合剛太)
実 験 3 : 大 腸 菌 の 増 殖 と 抗 生 物 質 の 効 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ III-1
(滝口泰之)
実 験 4 : 微 生 物 形 質 転 換 実 験 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ IV-1
(根本直樹)
実 験 5 : 磁 気 結 合 抗 体 を 用 い た 細 胞 の 分 離 ・・・・・・・・・・・・ V-1
(橋本香保子)
実 験 6 : DNA の 抽 出 ・ 遺 伝 子 型 決 定 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ VI-1
(黒崎直子)
2
学生実験に関する注意事項
1.実験を始める前の注意事項
1) 実 験 計 画 を 立 て る
学 生 実 験 は 限 ら れ た 時 間 の 中 で 行 わ れ る の で 、各 自 が 一 連 の 作 業 を ス
ム ー ズ に 進 め な け れ ば い け な い 。そ の た め に は 、事 前 に 実 験 テ キ ス ト を
よ く 読 み 、目 的 と 方 法 を 十 分 に 理 解 し 、し っ か り と 実 験 計 画 を 立 て る 必
要がある。
2) 実 験 に 適 し た 身 支 度 を す る
実験内容によっては、薬品やサンプルの付着によって衣服が汚染し
たり損傷したりするので、各実験担当者の指示に従い、白衣を着用す
る。また、裸足でサンダル履きはしない、長髪の場合は束ねる、指輪
やネックレスなどの装飾具は外す、ヒールの高い靴は履かない、爪は
のばさない、ネイルの装飾は控えるなど、実験に適した身支度をして
おく。安全メガネを携行し、必要に応じて着用する。
3) 安 全 確 保 の 確 認
火 災 等 、万 一 の 事 故 に 対 処 す る た め 、消 火 器 の 設 置 場 所 や 避 難 経 路 な
ど を 事 前 に 確 認 し て お く 。 遺 伝 子 工 学 実 験 室 は P2 仕 様 に な っ て い る た
め 、非 常 の 場 合 以 外 は 、遺 伝 子 工 学 実 験 室 か ら 直 接 廊 下 へ の 出 入 り は で
きない。
3
2.実験中の注意事項
1) ま じ め な 態 度 で 取 り 組 む
学 生 実 験 時 間 中 は 、担 当 教 員 の 説 明 や 指 示 を よ く 聞 き 、集 中 し て 実 験
に 取 り 組 ま な け れ ば な ら な い 。不 真 面 目 な 態 度 は 、実 験 が う ま く 進 ま な
いだけでなく、周りの学生に迷惑をかけ、大きな事故につながるので、
各 自 が 責 任 あ る 行 動 を 取 る こ と が 求 め ら れ る 。こ の こ と を 守 れ な い 学 生
に 対 し て は 、す ぐ に 実 験 を 中 止 さ せ 、以 後 の す べ て の 実 験 に 参 加 さ せ な
い措置をとる場合がある。
2) 周 辺 の 整 理 ・ 整 頓
各 自 が 使 用 す る 実 験 台 、器 具 類 、装 置 類 は 、常 に き れ い に し 、整 理 ・
整 頓 す る 。ま た 、実 験 室 に 持 ち 込 ん だ カ バ ン 類 は 、各 担 当 教 員 の 指 示 に
従って、適切な場所に置いておく。
3) 飲 食 ・ 喫 煙 の 禁 止
実験室内では、絶対に飲食・喫煙をしてはいけない。
4) 火 気 お よ び 危 険 薬 品 類 に 対 す る 注 意
火 気 を 扱 う と き 、お よ び 引 火 性 ・ 発 火 性 の 危 険 薬 品 を 扱 う と き は 、そ
れ ら の 取 り 扱 い に 十 分 注 意 し 、火 災 を 発 生 さ せ な い よ う 細 心 の 注 意 を 払
わなければならない。
5) ケ ガ ・ 火 傷 に 対 す る 処 置
実験作業中は、各自ケガや火傷には十分に注意しなければならない。
・
刃 物 な ど で ケ ガ を し た 場 合 、お よ び ガ ス バ ー ナ ー な ど 高 温 の 装 置 を
使用中に火傷をした場合は、応急手当をすると同時に、担当教員に
知らせる。
・
酸やアルカリなど危険な薬品類が皮膚や目などに直接かかったと
きは、すぐに流水で洗い流し、担当教員に知らせて応急手当を受け
る。
・
ケ ガ や 火 傷 の 症 状 が 重 い 場 合 は 、す ぐ に 保 健 室 ま た は 病 院 に 行 っ て
手当を受ける。
4
6) 薬 品 類 を こ ぼ し た と き
実 験 中 に 薬 品 類 を こ ぼ し た と き は 、す ぐ に 備 え 付 け の 雑 巾 や ペ ー パ ー
タ オ ル な ど で き れ い に 拭 き と る 。と く に 多 く の 学 生 が 共 用 す る 機 器 ・ 装
置 類 は 、常 に き れ い に 保 っ て い な け れ ば な ら な い 。こ れ を 怠 る と 事 故 の
原因になりかねないので、各自が常に気をつける必要がある。
7) 器 具 類 を 破 損 し た と き の 処 置
実 験 中 に ガ ラ ス 器 具 を 破 損 し た と き は 、す ぐ に 備 え 付 け の ほ う き 類 で
破 損 し た ガ ラ ス を 回 収 し 、担 当 教 員 の 指 示 を 受 け て 、適 切 な 場 所 に 廃 棄
す る 。ま た 、装 置 類 を 破 損 し た 場 合 は 、す ぐ に 担 当 教 員 に 知 ら せ て 、処
置の指示を受ける。
8) 機 器 ・ 装 置 類 の 異 常 に 気 づ い た と き
機 器 ・ 装 置 類 が 正 常 に 作 動 し て い な い こ と に 気 が つ い た ら 、作 業 を 中
止し、すぐに担当教員に報告して指示を受ける。
9) 実 験 記 録 の 作 成
各 自 が 実 験 時 間 内 に 行 っ た こ と は 、必 ず 実 験 ノ ー ト に 書 き 込 み 、あ と
で 行 う 実 験 報 告 書 の 作 成 に 活 用 す る 。ま た 、実 験 時 間 内 に す べ て の 作 業
を 終 了 し 、や り 残 し た こ と が な い よ う に 注 意 す る 。実 験 に 関 し て 不 明 な
点 が あ る と き は 、担 当 教 員 に 質 問 し 、必 ず 実 験 時 間 内 に 解 決 す る よ う 心
がける。
5
3.実験が終わった後の注意事項
1) 廃 棄 物 の 処 理
実験で出た廃棄物は、次のように処理する。
・
有機溶媒、無機溶液、酸・アルカリ溶液、菌懸濁液などは、担当教
員 の 指 示 に 従 い 、一 旦 所 定 の 廃 液 容 器 に 貯 蔵 す る 。勝 手 に 流 し な ど へ 廃
棄 し て は い け な い 。ま た 廃 棄 す る 液 体 を 入 れ て い た 容 器 に つ い て も 、担
当教員の指示に従い、洗浄または廃棄する。
・
特 に 危 険 性 の な い 廃 棄 物 は 、可 燃 ゴ ミ や 不 燃 ゴ ミ に 分 別 し て 廃 棄 す
る。
2) 器 具 の 洗 浄 お よ び 機 器 ・ 装 置 類 の 清 掃
繰 り 返 し 使 用 す る 器 具 に つ い て は 、丁 寧 に 洗 浄 し 、所 定 の 位 置 に 戻 す 。
また、使用した機器・装置類およびその周辺をきれいに清掃する。
3) 実 験 台 お よ び 床 の 清 掃
各 自 が 使 用 し た 実 験 台 を き れ い に 清 掃 す る 。ま た 、周 り の 床 も き れ い
に清掃する。
4) 電 気 、 ガ ス 、 水 道 の 確 認
使用した装置類の電源、ガスの元栓、水道の蛇口を確認する。
5) 実 験 終 了 の 報 告
す べ て の 作 業 が 終 了 し 、退 室 す る 際 は 、そ の 旨 を 担 当 教 員 に 報 告 す る 。
6
「 予 習 レ ポ ー ト 」、「 実 験 ノ ー ト 」 お よ び 「 実 験 報 告 書 」 の 作 成
学 生 実 験 の 成 績 は 、 各 自 が 作 成 し た 「 予 習 レ ポ ー ト 」、「 実 験 ノ ー ト 」
および「実験報告書」などから総合的に判断され、採点される。
予習レポート
予 習 レ ポ ー ト を 作 成 す る 目 的 は 、行 う 実 験 の 目 的 と 内 容 、お よ び そ の
周 辺 知 識 を 事 前 に よ く 理 解 し 、実 験 当 日 の 作 業 を 円 滑 に 進 め ら れ る よ う
にするためである。
予 習 レ ポ ー ト に 記 載 す る 内 容 の 詳 細 と そ の 形 式 、提 出 期 限 等 に つ い て
は、各実験担当教員の指示に従う。
予習レポートを作成する際には、次のポイントを参考にするとよい。
・
行 う 実 験 の 基 本 原 理 や 理 論 、具 体 的 な 実 験 方 法 が 書 か れ て い る 文 献
をよく読んで、それらの内容を分かりやすく要約する。
・
実 験 に 関 連 す る 周 辺 知 識 、初 め て 目 に す る 学 術 用 語 、意 味 を 忘 れ た
用語などを丁寧に調べ、予習レポートのなかにまとめておく。
実験ノート
学生実験を行うときは、必ず大学指定の実験ノートを持参する。
実 験 ノ ー ト に は 、予 習 し た 内 容 、実 験 の 手 順 と 注 意 点 、実 験 の 経 過 、測
定 結 果 、実 験 中 に 受 け た 指 示 、各 自 が 気 づ い た こ と な ど 、学 生 実 験 に 関
わ る あ ら ゆ る こ と を 記 録 す る 。記 録 し た 内 容 は 、後 述 す る「 実 験 報 告 書 」
の作成や、再実験において活用する。
ま た 、試 薬 の 濃 度 計 算 、器 具・装 置 類 の 取 り 扱 い 方 法 、実 験 手 順 な ど 、
実 験 当 日 に 行 う 作 業 に 関 し て あ ら か じ め 準 備 を し て お き 、実 験 ノ ー ト に
記載し、当日の作業を円滑に進められるように努める。
実験ノートのでき具合がその実験の成否を大きく左右するといえる
の で 、こ ま め に ノ ー ト を と り 、内 容 を よ く 整 理 す る こ と を 習 慣 づ け る こ
とが大事である。
7
実験報告書
実 験 が 終 了 し た ら 、行 っ た 内 容 や 結 果 お よ び 考 察 を 整 理 し 、そ れ ら を
実験報告書としてまとめ、指定の期日までに各担当教員に提出する。
実験報告書は、以下の要領で作成する。
・ 報 告 書 を 作 成 す る と き は 、見 る 側 の 立 場 に 立 っ て 、文 章 や 図 表 を 順
序よく構成し、丁寧に書くことを心掛ける。
・ 報 告 書 は 、「 実 験 課 題 名 お よ び 実 験 者 名 」、「 緒 言 ( ま た は 目 的 )」、
「 実 験 方 法 」、「 結 果 」、「 考 察 」、「 ま と め 」、「 参 考 文 献 」 の 順 に 記 載
するのが一般的である。
・ 「実験課題名および実験者名」などは、指定の表紙に記載する。
・ 「 緒 言 ( ま た は 目 的 )」 で は 、 行 っ た 実 験 の 目 的 、 意 義 、 基 本 原 理
などを整理して、分かりやすく記載する。説明に際して参考文献を
利用した場合は、後述する「参考文献の書き方」に習って、その出
典を明確にする。
・ 「 実 験 方 法 」で は 、行 っ た 実 験 を 手 順 通 り に 分 か り や す く 記 載 す る 。
このとき、実験テキストに書かれていることをそのまま写すのでは
なく、テキストに書かれていない細かな事柄まで記載する。
・ 「 結 果 」で は 、実 験 で 得 ら れ た 結 果 を 図 や 表 を 使 い な が ら 文 書 で 分
かりやすく説明する。図を使う場合、その表題を必ず図の下に明記
する。また、表を使う場合、その表題を必ず表の上に明記する。
・ 「 考 察 」で は 、実 験 結 果 か ら 明 ら か に な っ た こ と や 推 察 さ れ た こ と
を説明する。その際に参考文献を利用した場合は、後述する「参考
文献の書き方」に習って、その出典を明確にする。
・ 「 ま と め 」で は 、実 験 の 内 容 、得 ら れ た 結 果 と 考 察 に つ い て 、そ れ
らの要点を簡潔に記載する。
・ 「 参 考 文 献 」で は 、実 験 報 告 書 を 作 成 し た 際 に 利 用 し た す べ て の 文
献を明記する。文献の引用は、つぎの方法で行う。
1 .引 用 し た 文 献 は 、著 者 名 、論 文 タ イ ト ル 、雑 誌 名 、巻 、ペ ー ジ 、出
版年の順に明記する。
(書き方の例)
1) Hikida, Y., Kimoto, M., Yokoyma, S., Hirao, I., Site-specific
fluorescent probing of RNA molecules by unnatural base-pair
transcription for local structural conformation analysis. Nature
Protocols 5, 1312-1323 (2010).
2) 木 川 隆 則 、 無 細 胞 系 を 用 い た タ ン パ ク 質 の 大 量 合 成 、 生 物 物 理 40,
8
391-394 (2000).
ま た 、本 の 場 合 は 、著 者 名 、書 名 、出 版 社 、引 用 し た ペ ー ジ 、出 版 年 の
順に明記する。
3) Sambrook, J., Russell, D.W., Molecular Cloning: A Laboratory
Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, p.128( 2001) .
4) Alberts, B., Johnson, A., Lewis, J., Raff, M., Roberts, K.,
Walter, P.著 、 細 胞 の 分 子 生 物 学 第 5 版 、 ニ ュ ー ト ン プ レ ス p.358
( 2 0 1 0 ).
2 . 文 献 を 引 用 し た ら 、 本 文 中 で 文 献 番 号 を 用 い て 、「 現 在 ま で に 、 ○
○ は 、 ××で あ る こ と が 知 ら れ て い る
9
1)
。」のように必ず明示する。
H27 年 度 遺 伝 子 工 学 実 験 ス ケ ジ ュ ー ル
週
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
日
4/8
4/15
4/22
5/13
5/20
5/27
6/3
6/10
6/17
6/24
7/1
7/8
7/15
7/22
7/29
実験1
(坂本)
実験 2
(河合)
実験 3
(滝口)
実験 4
(根本)
実験 5
(橋本)
実験 6
(黒崎)
予習レポートは、各実験の 1 回目に提出。実験報告書は、各実験で指定された日に提出。
3 回目の週には講評を行う。
10
I-1
I-2
I-3
I-4
I-5
遺伝子工学実験
RNA の 二 量 体 調 製 実 験
1.目的
RNA の 機 能 や 構 造 を 解 析 す る た め に , コ ン ホ メ ー シ ョ ン が 整 っ た RNA 試 料
を調製することは重要なステップである.
本 実 験 で は , H I V- 1 の ゲ ノ ム R N A の 二 量 体 化 開 始 部 位 ( D I S ) に 由 来 す る 3 9
残 基 の R N A を 用 い て ,2 種 類 の コ ン ホ メ ー シ ョ ン に な る よ う 試 料 の 調 製 を 行 い
( 第 1 週 ), PA G E 法 に よ り 分 析 す る ( 第 2 週 ). な お , 第 3 週 で は , 実 験 結 果
の解説を行う.
2.実験方法
2.1. 注 意 事 項
汗 や 唾 液 に は R N A の 分 解 酵 素 が 含 ま れ て い る .実 験 の 際 に は ,必 ず ポ リ ビ ニ
ル手袋を着用し,必要な内容であっても試料に向かって話さないこと.
重合前のアクリルアミドは神経毒である.試薬が皮膚に付着しないように注
意 す る こ と .ま た ,舞 い 上 が っ た 試 薬 を 吸 い 込 ま な い よ う 十 分 に 注 意 す る こ と .
2.2. 試 薬 お よ び 器 具
2.2.1. 器 具 お よ び 装 置
マイクロピペット,ピペットチップ,マイクロチューブ,チューブラック,
ア イ ス ボ ッ ク ス , ゲ ル 染 色 用 ト レ イ , 恒 温 槽 , 泳 動 プ レ ー ト ( 2 枚 ), コ ー ム ,
U 字型シリコンパッキング,電気泳動装置,微量遠心分離機,シリンジ,ゲル
写真撮影装置
2.2.2. 試 薬
R N A 溶 液 , 1 0 % ア ク リ ル ア ミ ド 溶 液 ( T B M お よ び T B E ), 1 0 % A P S 水 溶 液 ,
T E M E D , 電 気 泳 動 用 緩 衝 液 , 色 素 溶 液 , ト ル イ ジ ン ブ ル ー O( 和 光 純 薬 工 業 製 )
II-1
2.3 実 験 方 法
2.3.1. RNA の コ ン ホ メ ー シ ョ ン の 調 製
1 ) 配 付 さ れ る RNA 試 料 を , 10 µl ず つ 2 本 に 分 取 す る . な お , 液 体 試 料
を分取する際には,必ず遠心して試料をチューブの底に集めること(ス
ピ ン ダ ウ ン ).
2 ) つ ぎ の い ず れ か の 方 法 で コ ン ホ メ ー シ ョ ン を 調 製 す る .奇 数 番 号 の 班
は ( A ),( B ) を , 偶 数 番 号 の 班 は ( A ),( C ) を 行 う .
( A ) 95℃ の 恒 温 槽 で 5 分 間 保 温 し た の ち , 氷 水 で 急 冷 す る .
( B ) 95℃ の 恒 温 槽 で 5 分 間 保 温 し た の ち , 室 温 放 置 で 徐 冷 す る .
( C ) 55℃ の 恒 温 槽 で 30 分 間 保 温 し た の ち , 室 温 放 置 で 徐 冷 す る .
3) フリーザーに保管する.
2 . 3 . 2 . PA G E 用 ゲ ル の 作 成
※ 実 験 台 ご と に , TBE の ゲ ル と TBM の ゲ ル の ど ち ら か を 1 枚 作 成 す る .
実 験 室 の 前 方( ス ク リ ー ン 側 )の 実 験 台 の 班 は TBE の ゲ ル を ,後 方( 入
口 側 ) の 実 験 台 の 班 は TBM の ゲ ル を 作 成 す る こ と と す る .
1) 泳動プレート,コーム,U 字型シリコンパッキングをエタノールでよ
く 拭 き ,2 枚 の 泳 動 プ レ ー ト の 間 に U 字 型 シ リ コ ン パ ッ キ ン グ を は さ み ,
クリップでとめ,コームを挿す.
2 ) 10%ア ク リ ル ア ミ ド 溶 液 10 ml に , 10% APS 水 溶 液 100 µl を 加 え て よ
く 混 ぜ る . さ ら に , TEMED 5 µl を 加 え て よ く 混 ぜ た の ち , 速 や か に ,
泳 動 プ レ ー ト の 間 に 注 ぎ 込 み , コ ー ム を さ し , 10〜 20 分 静 置 す る .
3) ゲル が 固 まっ た ら ,泳動 プ レ ート を 湿ら せ た 紙で 包 み ,さら に ラ ップ
で包んでクリップでとめ,次週まで冷蔵庫に保存する.
II-2
2 . 3 . 3 . PA G E
1) 前週に作成したゲルのコーム,U 字型シリコンパッキングを外し,超
純 水 で ゲ ル 片 を 洗 い 流 し て か ら 電 気 泳 動 装 置 に セ ッ ト し ,泳 動 用 緩 衝 液
を 注 ぎ 込 む .も し 気 泡 が 入 っ て い た ら ,シ リ ン ジ な ど で 取 り 除 く .
( TBE
の ゲ ル と T B M の ゲ ル を 組 み 合 わ せ て セ ッ ト す る .)
2 ) 前 週 に 用 意 し た RNA 試 料 10 µl と 色 素 溶 液 10 µl を 混 合 す る ( 2 組 .
色 素 は T B E の ゲ ル 用 と T B M の ゲ ル 用 で 異 な る の で 注 意 す る ).
3 ) ウ エ ル を シ リ ン ジ で 掃 除 し た の ち ,各 試 料 を 2 種 類 の ゲ ル の 各 レ ー ン
に 10 µl ず つ ロ ー ド す る .
4 ) 150 V で 約 30 分 間 ,泳 動 す る .こ の 間 に 電 気 泳 動 結 果 を 予 測 し ,ノ ー
トに書く.
5 ) 泳 動 後 ,泳 動 プ レ ー ト か ら ゲ ル を 丁 寧 に は が し ゲ ル 染 色 用 ト レ イ に 入
れ,トルイジンブルーO をゲルがつかるように加え,染色する.染色液
は,ゲルをまんべんなく浸したらすぐに元の容器に戻す.
6 ) ゲ ル 染 色 用 ト レ イ に お 湯 を 入 れ ,目 的 の バ ン ド が 見 え や す く な る ま で
ゲ ル を 脱 色 す る . お 湯 は 適 時 交 換 し , 手 で 振 り な が ら 約 25 分 間 脱 色 す
る.
7 ) RNA の バ ン ド を 観 察 で き た ら , 写 真 を 撮 る .
補足
ゲル
TBE
8 9 m M T r i s , 8 9 m M ホ ウ 酸 , 2 m M E D TA ・ 2 N a
TBM
89 mM Tris, 89 mM ホ ウ 酸 , 5 mM MgCl2
色素溶液
TBE 用
グ リ セ ロ ー ル , キ シ レ ン シ ア ノ ー ル ( X C ), ブ ロ モ フ ェ ノ ー ル ブ ル ー ( B P B )
TBM 用
1 mM MgCl2, グ リ セ ロ ー ル , XC, BPB
II-3
予習レポートの課題
① RNA の 化 学 構 造 に つ い て 調 べ る .
② RNA の 二 次 構 造 お よ び 立 体 構 造 に つ い て 調 べ る .
③ RNA の 非 変 性 条 件 で の 電 気 泳 動 に つ い て 調 べ る
※引用文献を示すこと.できるだけ教科書や文献を引用すること.
報告書の課題
① 非 変 性 PA G E の 各 バ ン ド は 何 を 示 し て い る か .
② 3種類の条件での処理によって二量体のコンホメーションはどのよう
になったか.
③ もとの試料のコンホメーションはどのようであったか.
※報告書は,文章で分かりやすく作成すること.
発展的な課題
① 3種類の条件での処理によって,それぞれどのようなことが起きたと考
えられるか.
② H I V- 1 ゲ ノ ム R N A の 二 量 体 化 に つ い て 調 べ ,今 回 の 実 験 と の 関 連 を 説 明
する.
DIS に 由 来 す る 39 残 基 の RNA の コ ン ホ メ ー シ ョ ン
参考文献
・
河 合 ・ 清 澤 編 , 機 能 性 RNA の 分 子 生 物 学 , ク バ プ ロ
・
その他,生化学あるいは分子生物学の教科書等
・
Structural
Requirement
Immunodeficiency
Vi r u s
for
the
Ty p e - 1
Tw o - S t e p
Genome,
Dimerization
Ta k a h a s h i ,
K.,
of
Human
Baba,
S.,
C h a t t o p a d h y a y, P. , K o y a n a g i , Y. , Ya m a m o t o , N . , Ta k a k u , H . , a n d K a w a i , G. ,
RNA 6, 96-102 (2000).
(河合剛太)
II-4
遺 伝 子 工学 実 験
大腸菌の増殖と抗生物質の効果
1. 目
的
抗 生 物 質 の 存 在 下 で 大 腸 菌 を 振 と う 培 養 し 、 最 小 発 育 阻 止 濃 度 (MIC)を 測 定 す
る。この実験を通じて微生物の基本的な取り扱い方を習得する。
2. 予
習
以下のことを調べて予習レポートを作成する。予習レポートは自筆とする。
(1)
大腸菌の形状、大きさと主な性質
(2)
細菌濃度の測定方法
(3)
細菌の増殖曲線(図に誘導期、対数期、定常期、死滅期を書き込み,それ
ぞれの期を説明する)
(4)
大腸菌の世代時間
(5)
世代時間の計算式
G = 0.301(t- t 0 )/(log 10 N t - log 10 N 0 )を 誘 導 す る 。
( G: 世 代 時 間 、 N 0 : 測 定 開 始 時 t 0 に お け る 菌 濃 度 (cells/ml)、
N t : 測 定 時 t に お け る 菌 濃 度 (cells/ml))
(6)
抗生物質の定義
(7)
最小発育濃度の定義と測定方法
(8)
ス ト レ プ ト マ イ シ ン の 化 学 構 造 、 作 用 機 構 と 大 腸 菌 に 対 す る MIC 値
(9)
肉エキスとペプトンの主な成分
(10)
リン酸緩衝液と生理食塩水
3.実験方法
3.1 試 薬 お よ び 器 具
3.1.1 器 具
滅 菌 ピ ペ ッ ト (全 量 1 ml) 20 本 、試 験 管 20 本 、試 験 管 立 て 1 個 、L 型 試 験 管( L
字 管 ) 8 本 、 シ リ コ 栓 8 個 、 ア ル ミ 栓 20 個 、 300 ml 三 角 フ ラ ス コ 1 個 、 ガ ス バ
ー ナ ー 1 個 、 100 ml メ ス シ リ ン ダ ー 1 個 、 10 ml メ ス ピ ペ ッ ト 1 本 、 ビ ー カ ー 、
ガ ラ ス 棒 、 BTB 試 験 紙 、 軍 手 、 油 性 ペ ン 。
3.1.2 試 薬 お よ び 培 地
III-1
塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリ
ウ ム 12 水 塩 、ペ プ ト ン 、エ ル リ ッ ヒ 肉 エ キ ス 、ス ト レ プ ト マ イ シ ン 硫 酸 塩 、70%
エタノール水溶液、逆性石鹸溶液。
3.1.3 装 置
高 圧 滅 菌 装 置 ( オ ー ト ク レ ー ブ )、 試 験 管 用 吸 光 度 計 (測 定 波 長 660 nm)、 試 験
管ミキサー、インキュンベーター、振とう培養機、化学天秤。
3.1.4 使 用 菌 株
大 腸 菌 ( Escherichia coli NBRC 3301 株 ): 前 培 養 し た 大 腸 菌 懸 濁 液 と し て 用
意してあるものを用いる。
3.2 実 験 操 作
3.2.1 培 地 の 調 製 と 高 圧 蒸 気 滅 菌
リ ン 酸 緩 衝 化 生 理 食 塩 水( phosphate buffered saline,PBS,表 1 )100 ml を
調 製 し 、 試 験 管 に 分 注 す る 。 液 量 は 2.0 ml を 6 本 、 5.0 ml を 3 本 と す る 。 こ れ
らにアルミ栓をし、栓の上部に液量と班番号を記入する。普通ブイヨン培地(表
2)100 ml を 調 製 し 、1 N NaOH 水 溶 液 ま た は 1 N HCl 水 溶 液 で pH を 7.0~ 7.2
に 調 整 す る ( BTB 試 験 紙 )。 こ れ を L 字 管 7 本 に 8.9 ml ず つ 分 注 し 、 シ リ コ 栓
をする。シリコ栓の部分はアルミ箔で覆う。アルミ箔の上に班番号を書く。食塩
水 お よ び 培 地 に つ い て は 高 圧 蒸 気 滅 菌 を 行 う 。滅 菌 条 件 は 121℃ ,20 分 間 と す る 。
3.2.2 最 少 発 育 阻 止 濃 度 の 測 定
ス ト レ プ ト マ イ シ ン 硫 酸 塩 を 10.0±0.5 mg 秤 量 し 、 こ れ を 滅 菌 PBS 5.0 ml を
含 む 試 験 管 に 加 え 、 試 験 管 ミ キ サ ー で 撹 拌 し 、 溶 解 さ せ る (2000 µg/ml)。 こ の 溶
液 の 一 定 量 を 滅 菌 ピ ペ ッ ト で 滅 菌 PBS 5.0 ml を 含 む 試 験 管 に 加 え て ス ト レ プ ト
マ イ シ ン 硫 酸 塩 の 濃 度 を 160 µg/ml と す る 。 こ の 溶 液 2.0 ml を 滅 菌 PBS 2.0 ml
を 含 む 試 験 管 に 加 え て 濃 度 80 µg/ml と す る 。 同 様 に 2 倍 希 釈 を 繰 り 返 し 、 40,
20 µg/ml の ス ト レ プ ト マ イ シ ン 硫 酸 塩 の 溶 液 を そ れ ぞ れ 作 成 す る 。滅 菌 し た 普 通
ブ イ ヨ ン 培 地 8.9 ml を 含 む L 字 管 に 20~ 160 µg/ml の ス ト レ プ ト マ イ シ ン 溶 液
1000 µl を そ れ ぞ れ に 加 え ,最 終 ス ト レ プ ト マ イ シ ン 濃 度 2,4,8,16 µg/ml を 含 む 培
地 溶 液 を 作 成 す る 。ま た 、滅 菌 し た 普 通 ブ イ ヨ ン 培 地 8.9 ml を 含 む L 字 管 1 本 に
滅 菌 し た PBS 1000 µl を 加 え 、ス ト レ プ ト マ イ シ ン 硫 酸 塩 濃 度 を 0 µg/ml と す る 。
さ ら に 、 吸 光 度 測 定 の 0 合 わ せ 用 と し て 濃 度 2000 µg/ml の ス ト レ プ ト マ イ シ ン
を 1100 µl を 滅 菌 し た 普 通 ブ イ ヨ ン 培 地 8.9 ml を 含 む L 字 管 1 本 に 加 え る 。 こ
III-2
の 高 濃 度 ス ト レ プ ト マ イ シ ン を 含 む L 字 管 を 基 準 と し て ,5 本 の L 字 管 の 660 nm
吸 光 度 を 測 定 す る .さ ら に 、前 培 養 し た 大 腸 菌 培 養 液 100 µl を ス ト レ プ ト マ イ シ
ン 濃 度 0~ 16 µg/ml の 5 本 の L 字 管 そ れ ぞ れ に 加 え 、吸 光 度 を 測 定 す る 。大 腸 菌
を 接 種 し た 5 本 の L 字 管 を 37℃ で 振 と う 培 養 す る 。高 濃 度 ス ト レ プ ト マ イ シ ン を
含 む L 字 管 に は 大 腸 菌 を 接 種 せ ず 、振 と う 培 養 機 に 入 れ な い 。大 腸 菌 を 接 種 後 に
振 と う 培 養 機 に セ ッ ト し た 時 刻 を 開 始 時 と し て 、そ の 後 30 分 毎 に 660 nm の 吸 光
度を測定し、発育曲線を作成する。振とう培養機から出して測定している時間も
培養時間に含める。吸光度測定は培養開始時から 3 時間行う。
3.2.3 消 毒 お よ び 後 処 理
菌 の 付 着 し た ガ ラ ス 器 具 、 培 地 は す べ て 高 圧 蒸 気 滅 菌 ( 121℃ , 20 分 間 ) を 行
う .高 圧 蒸 気 滅 菌 で き な い プ ラ ス チ ッ ク 製 品 な ど は 逆 性 石 鹸 溶 液 に 1 日 浸 す 。机
の 上 , 白 衣 , 手 な ど は 70% エ タ ノ ー ル 水 溶 液 を 噴 霧 す る 。
4.結
果
・ 大腸菌に対するストレプトマイシンの最少発育阻止濃度を決定する。
・ ストレプトマイシン無添加の発育曲線から大腸菌の世代時間を算出する。
・ ストレプトマイシンの化学構造と作用機作について調べておくこと。
5.考
察
得られた結果より何が言えるか、を簡潔な文章で記す。また、関連する文献な
どを参考にし、実験で得られた結果と比較検討してみる。
課 題 ① 最 小 発 育 阻 止 濃 度 ( MIC) を 決 定 す る 。 図 表 な ど の デ ー タ を 使 っ て MIC
決定の根拠を示す。
課題② 抗生物質無添加の増殖曲線から世代時間を求める。
6.まとめ
実験結果を項目別に簡潔な文章にまとめる。
参考文献
日 本 生 物 工 学 会 編 : 生 物 工 学 実 験 書 , 培 風 館 (1992).
日 本 生 化 学 会 編:新 生 化 学 実 験 講 座 17 巻 ,微 生 物 実 験 法 ,東 京 化 学 同 人 (1992).
堀 越 弘 毅 ら: ビ ギ ナ ー の た め の 微 生 物 実 験 ラ ボ ガ イ ド ,講 談 社 サ イ エ ン テ ィ フ
ィ ッ ク (1993).
東 京 大 学 医 科 学 研 究 所 学 友 会 編 : 微 生 物 学 実 習 提 要 , 丸 善 (1985).
III-3
杉 山 純 多 ら : 新 版 微 生 物 学 実 験 法 , 講 談 社 (1999).
表1
リン酸緩衝化生理食塩水
KCl
0.20 g
KH 2 PO 4
0.20 g
Na 2 HPO 4 ・ 12H 2 O
2.90 g
NaCl
8.00 g
1000 ml
イオン交換水
pH 7.0-7.2
表2
普通ブイヨン培地
肉エキス
3.0 g
ペプトン
10.0 g
NaCl
5.0 g
1000 ml
イオン交換水
pH 7.0-7.2
(滝口 泰之)
III-4
遺伝子工学実験
微生物形質転換実験
1.目的
プラスミドを用いた遺伝子操作は,遺伝子工学実験の基本技術である.生物
が行う反応やその機能を産業や医療に応用するために今日発展した, タンパク
質 工 学 , RNA 工 学 , ゲ ノ ム 工 学 , 細 胞 工 学 と い っ た バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー ( 生 命
工学)分野の実験では,プラスミドの取扱いが欠かせない.
本実験では,第 1 週にプラスミド取込み能力(コンピテンシー)をもたせた
大腸菌(コンピテントセル)を作成し,プラスミドの導入(形質転換)と抗生
物質耐性による選択を行う. 第2週は,プラスミドの制限酵素処理とアガロー
ス 電 気 泳 動 に よ る DNA の 分 離 を 行 う . こ れ ら の 実 験 を 通 し て , プ ラ ス ミ ド 取
扱いの基礎について学ぶ.なお,第3週では,実験結果の解説を行う.
2.実験方法
2.1. 注 意 事 項
本 実 験 で は , 物 理 的 封 じ 込 め レ ベ ル P1 の 遺 伝 子 組 換 え 実 験 を 行 う の で , 遺
伝子組み換え大腸菌の取扱いに注意すること.
実験で使用する高速冷却遠心分離機と電気泳動層は,危険を伴うので注意し
て扱うこと.遠心分離機は,ローターの対角線上にサンプルを配置し,バラン
スを確認すること.電気泳動層は,通電中は蓋を空けないこと.
大腸菌を取扱う操作では,他の雑菌による汚染(コンタミネーション;通称
コンタミ)が発生しやすいので,実験台や手指の雑菌をアルコールで殺菌し,
清潔に保つこと.
2.2. 試 薬 お よ び 器 具
2.2.1. 器 具 お よ び 装 置
マイクロピペット,ピペットチップ,マイクロチューブ,チューブラック,
アイスボックス,コーンラージ棒, ビーカー, ガスバーナー,恒温槽,電気泳
動装置,高速冷却遠心分離機,ゲル写真撮影装置
2.2.2. 試 薬 お よ び 微 生 物
プ ラ ス ミ ド 溶 液 ,5 0 m M 塩 化 カ ル シ ウ ム 溶 液 , 抗 生 物 質 入 り L B 寒 天 培 地 , L B
IV-1
液 体 培 地 , エ タ ノ ー ル , 制 限 酵 素 , 制 限 酵 素 反 応 用 緩 衝 液 , DNA 電 気 泳 動 用 ロ
ー デ ィ ン グ 緩 衝 液 ,分 子 量 マ ー カ ー ,1 % ア ガ ロ ー ス ゲ ル( D N A 染 色 材 入 り ),
TA E 緩 衝 液 , 大 腸 菌 培 養 液 ( E s c h e r i c h i a c o l i D H 5 α 株 )
2.3 実 験 方 法
2.3.1. コ ン ピ テ ン ト セ ル の 作 成 ( 1 班 あ た り 2 サ ン プ ル 分 ず つ 調 製 す る こ と )
1 ) 予 め 用 意 さ れ た 対 数 増 殖 期 に 達 し た 大 腸 菌 の 培 養 液 ( 37℃ の LB 液 体
培 地 で 培 養 )を 1 . 5 m L ず つ マ イ ク ロ チ ュ ー ブ に 分 取 し , 氷 上 で 急 冷 す る .
2 ) 高 速 冷 却 遠 心 分 離 機 で , 6,000 rpm, 4℃ , 5 分 間 遠 心 し , 集 菌 す る .
3) 上清を捨て, 氷冷した 1
ml の 50 mM 塩 化 カ ル シ ウ ム 溶 液 を 加 え て ,
温めないように注意しながら優しく懸濁する.
4 ) 再 度 , 高 速 冷 却 遠 心 分 離 機 で , 6,000 rpm, 4℃ , 5 分 間 遠 心 し , 集 菌 す る .
5) 上清を捨て, 再度氷冷した 1
ml の 50 mM 塩 化 カ ル シ ウ ム 溶 液 を 加 え
て, 温めないように注意しながら優しく懸濁する.
6 ) 高 速 冷 却 遠 心 分 離 機 で , 6,000 rpm, 4℃ , 5 分 間 遠 心 し , 集 菌 す る .
7 ) 上 清 を 捨 て , 氷 冷 し た 100 µL の 50 mM 塩 化 カ ル シ ウ ム 溶 液 を 加 え て ,
温めないように注意しながら優しく懸濁する.
2.3.2. 形 質 転 換
1 ) コ ン ピ テ ン ト セ ル が 入 っ た マ イ ク ロ チ ュ ー ブ に 1 µL の プ ラ ス ミ ド 溶
液 (200 ng)を そ れ ぞ れ 加 え て , チ ッ プ の 先 で 混 ぜ る .
2 ) 氷 上 に 15 分 間 置 く .
3 ) 42℃ で 1 分 間 , 熱 処 理 す る .
4) 氷上に 2 分間置く.
5 ) 500 µL の LB 液 体 培 地 を 加 え て , 37℃ で 45 分 間 培 養 す る .
6 ) ガ ス バ ー ナ ー の 下 で , マ イ ク ロ チ ュ ー ブ 内 の 溶 液 の う ち 100 µL を 抗
生 物 質 入 り LB 寒 天 培 地 に の せ , エ タ ノ ー ル を 付 け て 炙 っ た コ ー ン ラ ー
ジ棒を使って寒天培地全体に塗布する.
7 ) プ レ ー ト を 逆 さ ま に し て , 班 名 , サ ン プ ル 名 を 記 入 し , 37℃ で 一 晩 培
養する.
2.3.3. プ ラ ス ミ ド の 制 限 酵 素 処 理
1 ) 1.5 mL チ ュ ー ブ に , 反 応 液 全 体 が 10µL と な る よ う に , 5 µL の 滅 菌 水 , 3
µL の プ ラ ス ミ ド 溶 液 , 1 µL の 10x 制 限 酵 素 反 応 用 緩 衝 液 , お よ び 1 µL
の制限酵素をこの順で加えて, 優しく混ぜる.このとき, 制限酵素反応
用緩衝液と制限酵素の組み合わせに注意すること. また, 制限酵素を 2
IV-2
種類加える場合は, 滅菌水の量を減らすこと.
2 ) 37℃ で 30 分 間 保 温 す る .
2.3.4.制 限 酵 素 処 理 済 み サ ン プ ル の 電 気 泳 動
1 ) 電 気 泳 動 層 に TA E 緩 衝 液 と ア ガ ロ ー ス ゲ ル を セ ッ ト す る .
2 ) ゲ ル 左 端 の レ ー ン に 5 µL の 分 子 量 マ ー カ ー , そ れ 以 外 の 各 レ ー ン に
1 µL の ロ ー デ ィ ン グ 緩 衝 液 を 加 え た サ ン プ ル を 全 量 ロ ー ド す る .
3 ) 100 V で 20 分 程 度 泳 動 す る .
4 ) ゲ ル 写 真 撮 影 装 置 で DNA 断 片 の バ ン ド を 確 認 し , 写 真 を 撮 る .
予習レポートの課題
(実験方法を良く読み,必要な情報を調べること)
① “物 理 的 封 じ 込 め レ ベ ル P1 の 遺 伝 子 組 換 え 実 験 ” と は ど う い う 意 味
か 調 べ , 実 験 環 境 や 操 作 上 の 注 意 点 , P2, P3 と の 違 い を ま と め る .
②
塩化カルシウム法による形質転換の方法と原理について調べる.
③
プ ラ ス ミ ド pBR322 を 制 限 酵 素 BamHⅠ と SalⅠ で 切 断 し た と き に
得 ら れ る DNA 断 片 の サ イ ズ は い く つ か .
④
ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 に よ る DNA 断 片 の 分 離 と DNA 検 出 の
方法について調べる.
報告書の課題その1(結果と考察の中で触れること)
①
実験で得られたコロニーの数から, 作成したコンピテントセルの
形質転換効率を計算する.用いたプラスミドによる違い, プレート
による違いについて理由を考察する.
②
実験で用いた制限酵素による切断個所をプラスミド地図上に図示
し ,予 想 さ れ る DNA 断 片 の 長 さ と 電 気 泳 動 し て 得 ら れ た バ ン ド サ イ
ズを比較する.切断なしのバンドについても考察する.
③
実験に用いた制限酵素の認識配列を調べて書く.
④
手渡されたプラスミドが何であったか, そのように考えた根拠と
共に示す.
報告書の課題その2(調べて報告書の最後にまとめること)
①
高 効 率 (108 cfu 以 上 )の コ ン ピ テ ン ト セ ル が 市 販 さ れ て い る 。 ど の
ようなときに高効率のコンピテントセルが必要か。また,効率を上
げるためにどのような注意が必要か.
②
実 験 に 用 い た 抗 生 物 質( ア ン ピ シ リ ン ,テ ト ラ サ イ ク リ ン )の 作 用
機序と抗生物質耐性機構についてまとめる.
IV-3
参考文献
・
田村隆明
著 : 基 礎 か ら 学 ぶ 遺 伝 子 工 学 , 羊 土 社 ( 2012)
・
田村隆明
編 : 遺 伝 子 工 学 実 験 ノ ー ト ( 上 ), 羊 土 社 ( 2 0 0 9 )
・
柳田充弘, 西田栄介, 野田 亮
・
野島 博
補足1
編 : 分 子 生 物 学 , 東 京 化 学 同 人 ( 2009)
著 : 遺 伝 子 工 学 ・ 基 礎 か ら 応 用 ま で , 東 京 化 学 同 人 ( 2013)
形質転換効率
1 µg の プ ラ ス ミ ド ( 通 常 は pBR322) の 形 質 転 換 で 得 ら れ る コ ロ ニ ー の 数 を
コ ロ ニ ー 形 成 単 位 (colony forming unit : cfu)と い い , 形 質 転 換 効 率 の 指 標 に 用
いられる.報告書では, 本実験で用いた全てのプラスミドについて, プラスミ
ド の 量 , LB 寒 天 培 地 に 塗 布 し た コ ン ビ テ ン ト セ ル の 量 , お よ び 得 ら れ た コ ロ ニ
ーの数から形質転換効率の計算を行うこと.
補足2 分子量マーカー
1 k b l a d d e r, B i o n e e r 製
補足3
プラスミドの制限酵素地図
本実験で用いるプラスミドの制限酵素地図は,
初日に配布するが, 予習する際には以下の手順で
New England BioLabs (NEB)社 の ホ ー ム ペ ー ジ を 参
考にすること.
1. NEB 社 の ホ ー ム ペ ー ジ を 表 示
( h t t p s : / / w w w. n e b . c o m / )
2 . To o l s & R e s o u r c e s の メ ニ ュ ー バ ー か ら , D N A
sequences and Maps tool を 選 択
3. 登 録 さ れ て い る プ ラ ス ミ ド の 表 が 表 示 さ れ る
4 . Ve c t o r s 欄 か ら プ ラ ス ミ ド 名 を 探 し , M a p s ( p d f )
と Sites(pdf)を そ れ ぞ れ ク リ ッ ク し て 制 限 酵 素
地図と切断場所の情報を得る。
本 実 験 で 使 用 す る プ ラ ス ミ ド は , pACYC184,
pBR322, pUC19 で あ る .
補 足 4 LB( Luria-Bertani) 培 地
1%ア ガ ロ ー ス ゲ ル を
使用して泳動
L B 培 地 は 細 菌 用 富 栄 養 培 地 の 一 種 で ,1 L あ た り
の 組 成 は , ト リ プ ト ン 10 g, 酵 母 エ キ ス 5 g, NaCl
10 g で あ る . 本 実 験 で は 調 製 し た も の を 配 る が ,
前回の実験で使用した培地と組成を比較すること.
(根本直樹)
IV-4
組 換 え DNA( 組 換 え 体 作 製 ・ 増 殖 実 験 ) 実 験 計 画 申 請 書
No.
1
実験責任者
所属部局の所在
地
番 号
所属機関・部
局・職
氏
便
275- 0016)
千葉工業大学・工学部生命環境科学科・助教
名
根本
連絡者
名称・所在地
直樹
実験責任者に同じ
職・氏名
(郵
)
-
便 番 号
実験責任者に同じ
課 題 名
実験実施期間
(郵
千葉県習志野市津田沼2-17-1
大腸菌由来プラスミドの形質転換実験
平成27年4月1日
(注 3 )
から
平成27年8月31日
実験の目的
生 命 環 境 科 学 科 遺 伝 子 工 学 コ ー ス 5S 科 目 の 学 生 実 験 ( 科 目 名
遺伝子工学
実験)で, 遺伝子工学の基本となる遺伝子操作を習得させるために, プラス
ミドを用いた形質転換実験を行う。
DNA 供 与 体
作製実験
供与体生物及
クローン化し
び DNA の 種
ようとする
類
ク ロ ー ン 化
ラ
は行わない
ミ
ベクター
蛋白毒
めレベ
素産生
ル
能
DNA の 種 類
(注 5 )
大腸菌由来プ
ス
宿主
封じ込
ド
DNA
増殖実験・大量
培養実験
ク ロ ー ン 化 す る DNA の 由
来
大 腸 菌
株
JM109
DH5α
宿主
IV-5
pUC19
pACYC184
pBR322
ベクタ
ー
全
て
備考
全て無
P1
封じ込
蛋白毒
めレベ
素産生
ル
能
備考
遺伝子工学実験
磁気結合抗体を用いた細胞の分離
1.目的
日常の中の免疫現象,たとえば花粉,ハウスダスト,食物に対するアレルギ
ー,または慢性的な病気である自己免疫病,治療の妨げになる臓器移植の際の
拒絶反応などの現象は,生体が『自分自身のからだを構成する物質』とそれ以
外の細菌やウイルス,花粉などの異物,他者からの臓器などのような『自分自
身のからだとは異なる物質』を区別する働きが原因である.ヒトの生体内では
2種類の免疫細胞が細胞性免疫というメカニズムの主役となって,他の多くの
免疫細胞とネットワークを構成して機能している.今回注目する細胞の一つは
B 細胞で,もう一つが T 細胞である.
それぞれの細胞の表面には、特有の分子が存在する.いわゆるマーカー(目
印)分子である.マーカー分子の多くはタンパク質と糖鎖から構成される物質
である.マーカー分子にはそれぞれに特異的な抗体が結合できる.本実験では
この性質を利用して,細胞表面分子に対する抗体を用いると多様な細胞が混在
する細胞溶液から 1 種類の細胞を,生きたまま短時間で分離・精製できること
を学ぶ.その手法の原理,および生きた細胞の取扱いについて理解を深めるこ
とを目的とする.
2.実験方法
2.1. 注 意 事 項
生きている細胞は生理的な環境の外に置かれる(培養液から出る,生体組織
から分離されるなど)と,長時間存在することが難しい.実験の操作は迅速に
行う.
細胞だけでなく各種抗体や抗体に標識している磁気ビーズ,蛍光色素も,室
温で不安定である.遮光にする,氷上に置くなど実験前に説明される取り扱い
の注意に従う.
2.2. 試 薬 お よ び 器 具
2.2.1. 器 具 お よ び 装 置
マ イ ク ロ ピ ペ ッ ト , ピ ペ ッ ト チ ッ プ , コ ニ カ ル チ ュ ー ブ , 1.5 mL マ イ ク ロ チ
ューブ,チューブラック,チューブスタンド,遮光できるアイスボックス,細
V-1
胞計算板とカバーガラス,細胞カウンター,廃液用ビーカー,セルストレーナ
ー(細胞分離用メッシュ)付チューブ,微量高速遠心機,光学顕微鏡,磁気カ
ラ ム 細 胞 分 離 装 置 ( M A C S ™ ) , 磁 気 カ ラ ム ( カ ラ ム 本 体 , プ ラ ン ジ ャ ー ), 細 胞 解
析 装 置 ( セ ル ソ ー タ ー ).
2.2.2. 試 薬
細 胞 用 培 地 , 生 理 的 緩 衝 液 ( P B S ),
用 バ ッ フ ァ ー( P B S ,
%トリパンブルー溶液,抗体染色
% BSA,
% ア ジ 化 ナ ト リ ウ ム ),抗 B 細 胞 マ ー
カー分子抗体,抗 T 細胞マーカー分子抗体,磁気結合抗体,ブロッキングバッ
ファー,エタノール.
2.3 実 験 方 法
* 実 験 の 条 件 は 当 日 の 指 示 を 聞 い て , 下 線 部 に 記 入 す る .
2.3.1. 細 胞 の 調 製
1) 細 胞 が 入 っ て い る チ ュ ー ブ 内 の 細 胞 を 、 ピ ペ ッ ト を 用 い て 均 一 に す る ( ピ ペ
ッ テ ィ ン グ 操 作 と い う ).
2) そ こ か ら
を
µL を 別 の マ イ ク ロ チ ュ ー ブ に と り ,
%トリパンブルー液
µ L を 加 え ,マ イ ク ロ チ ュ ー ブ を 指 で 軽 く 叩 い て 混 合 す る( タ ッ ピ ン グ
操 作 と い う ).
3)
細胞計算板にカバーガラスを合わせる.細胞計算板とカバーガラスの間の楔
形の溝から,2)の混合溶液を少量滑りこませる.計算板とカバーガラスの
間から混合液がはみ出ないよう、カバーガラスが浮き上がらないように注意
す る .*
注 意:カ バ ーガ ラ ス を き つ く 押 す 必 要 は な い .圧 着 さ せ な く て も 一 定 の 容 積 の 空 間
が 出 来 る よ う に 工 夫 さ れ て い る 計 算 板 を 使 用 す る .
4) 光 学 顕 微 鏡 で 細 胞 計 算 板 を 観 察 す る . 視 野 の 内 部 の 16 区 画 全 体 の 中 の 細 胞
数 を 数 え る ( セ ル カ ウ ン ト 操 作 と い う ). 計 算 式 に し た が っ て , 1 m L あ た り
の細胞濃度を計算する.細胞液全体の細胞数を算出する.
5) 必 要 細 胞 数 (
x 10
µL( 斑 に よ っ て 異 な る ) を , 新 し い
細胞)/
マイクロチューブに移しかえる.
6) 微 量 高 速 遠 心 機 で ,
℃,
回転,
分間遠心する.
7) 遠 心 後 , マ イ ク ロ チ ュ ー ブ の 底 に 細 胞 の 沈 殿 が で き て い る こ と を 確 認 し , 上
清(細胞以外の液体部分)を,マイクロピペットを使って吸い取り,廃液ビ
ーカーに捨てる.
2.3.2. 抗 体 反 応
1) 遠 心 後 に 得 ら れ た 細 胞 沈 殿 物 を タ ッ ピ ン グ 操 作 で ほ ぐ し た 後 , ブ ロ ッ キ ン グ
V-2
µL 加 え ,
バッファーを
2)
分間氷上におく.
さらに細胞に抗体溶液(抗 B 細胞マーカー分子抗体と,抗 T 細胞マーカー分
子抗体)を加え遮光し,アイスボックスの中で
分間反応させる.実
際 に
使 用 す る 抗 体 の 種 類 や 名 称 , 反 応 時 間 は , 当 日 の 指 示 に し た が う .
µL 加 え て , 微 量 高
3) 反 応 後 そ の チ ュ ー ブ に , 抗 体 染 色 用 バ ッ フ ァ ー を
速遠心機で
℃,
回転,
分間遠心する.遠心後,上清はマ
イクロピペットを使って取り除き,廃液ビーカーに捨てる.
4) 3) の 操 作 を も う 1 度 行 う .
5) 遠 心 後 , 細 胞 沈 殿 物 を タ ッ ピ ン グ 操 作 で ほ ぐ し , そ れ に 抗 体 染 色 用 バ ッ フ ァ
µL 加 え , さ ら に 磁 気 結 合 抗 体 を
ーを
クスの中で
µL 加 え 遮 光 し , ア イ ス ボ ッ
分間反応させる.
6) 3)と 同 じ 操 作 を お こ な う .
7) 細 胞 沈 殿 物 を タ ッ ピ ン グ 操 作 で ほ ぐ し ,
µL の 抗 体 染 色 用 バ ッ フ ァ −
を 加 え て 、 ピ ペ ッ ト を 使 っ て 均 一 に 混 ぜ る ( = 細 胞 溶 液 ).
2.3.3. 磁 気 カ ラ ム に よ る 抗 体 結 合 細 胞 の 分 離
1 ) M A C S ™ に 装 着 さ せ た 磁 気 カ ラ ム に ,抗 体 染 色 用 バ ッ フ ァ ー を
µL 滴 下 し て ,
カラムを平衡化する.
2 ) 2 . 3 . 2 の 7 )で 調 製 し た 細 胞 溶 液
µL を 磁 気 カ ラ ム に 滴 下 し な が ら 加 え る .
3) 磁 気 カ ラ ム へ の 非 特 異 的 な 結 合 細 胞 を , 抗 体 染 色 用 バ ッ フ ァ ー を 滴 下 し て 取
り除く.約
µL の 抗 体 染 色 用 バ ッ フ ァ ー を 用 い て 洗 い 流 す . 廃 液 用 ビ ー
カーをカラムの下に設置する.細胞の洗浄は
〜
回 行 う .( 詳 細 は 当
日指示)
4) 磁 気 カ ラ ム を ス タ ン ド の 磁 場 か ら 外 し ,
µL の 抗 体 染 色 用 バ ッ フ ァ
ー を 磁 気 カ ラ ム に 滴 下 し ,プ ラ ン ジ ャ ー ( 注 射 器 の 内 筒 の よ う な 形 を し た も
の ) を 磁 気 カ ラ ム に 差 し 込 み , ゆ っ く り と 押 し 出 し , 別 の 新 し い 1.5 mL の
マイクロチューブに細胞を集める.
5) 微 量 高 速 遠 心 機 で
℃,
回転,
分間遠心する.
6) 遠 心 後 , マ イ ク ロ チ ュ ー ブ の 底 に 細 胞 の 沈 殿 が で き て い る こ と を 確 認 し , 上
清(細胞以外の液体部分)を,マイクロピペットを使って吸い取り,廃液ビ
ーカーに捨てる.
7)
µL の 抗 体 染 色 用 バ ッ フ ァ ー を 加 え て ,マ イ ク ロ ピ ペ ッ ト を 使 っ て ゆ る
やかにピペッティングしながら均一に混ぜる.
8) セ ル ス ト レ ー ナ ー 付 き チ ュ ー ブ ( 細 胞 分 離 用 メ ッ シ ュ が つ い て い る ) に , マ
イクロピペットを使ってマイクロチューブから細胞溶液を移す.
V-3
2.3.4. セ ル ソ ー タ ー を 用 い た 解 析
1) セ ル ソ ー タ ー を 用 い た 解 析 を 行 う . セ ル ソ ー タ ー の 操 作 に は 熟 練 が 必 要 で あ
る た め ,オ ペ レ ー タ (TA や 教 員 )の 補 助 の も と で 行 う .解 析 に つ い て 説 明 を 聞
き,ディスカッションをしながら解析を進める.
2) 解 析 デ ー タ を 受 け 取 り , 結 果 を 検 討 す る .
3. 結 果 と 考 察
結果の解析:セルソーターによる解析のデータを配布する。そのデータから
細胞精製度(B 細胞または T 細胞の“純度”のこと)を解析する。精製度が良
かった場合と悪かった場合ともに,その理由を考察し,考察した内容をレポー
トに書き出す.
実験の結果についての考察:複数の細胞群から,抗体を用いて1種類の細胞
を分離する操作の結果、分離前と分離後で,どのような細胞の種類がどのよう
な比率で分離・精製されたのか検討する.またその理由について検討する.こ
れらの考察をレポートにまとめる.実験実施日にレポートの作成のポイントを
説明する.
4. 参 考 文 献
1)
Roitt 著 , 多 田 富 雄 監 訳 : 免 疫 学 イ ラ ス ト レ イ テ ッ ド , 第 3 刷 南 江 堂
( 2003)
2)
笹 月 健 彦 監 訳 : 免 疫 生 物 学 , 第 5 版 南 江 堂 ( 2003)
3)
P. Parham 著 , 笹 月 健 彦 監 訳 : エ ッ セ ン シ ャ ル 免 疫 学 , 第 1 版 , メ デ ィ カ
ル ・ サ イ エ ン ス ・ イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル ( 2007)
4)
谷 口 克 ・ 宮 坂 昌 之 :標 準 免 疫 学 , 第 2 版 医 学 書 院 ( 2002)
5)
上野川修一 監訳:免疫学キーノート,シュプリンガー・フェアラーク東
京 第 5 刷 ( 2005)
*上 記 の多 くは図 書 館 にあります。研 究 室 でも貸 し出 しますので,適 宜 相 談 のこと。サイエンスは年 々
進 歩 しているのであまり古 い参 考 書 は用 いない.
5. 参 考 ウ エ ブ サ イ ト
①GE ヘルスケア・ジャパン
 h t t p : / / w w w. g e l i f e s c i e n c e s . c o . j p / n e w s l e t t e r / b i o d i r e c t _ m a i l / t e c h n i c a l _ t i p s / t i p s 6 3 . h t m l
②ミルテニーバイオテク
 h t t p : / / w w w. m i l t e n y i b i o t e c . c o . j p / j a - j p / p r o d u c t s - a n d - s e r v i c e s / m a c s - c e l l - s e p a r a t i o n . a s p
x
V-4
③メルクミリポア
 h t t p : / / w w w. m e r c k m i l l i p o r e . c o m / J P / j a / l i f e - s c i e n c e - r e s e a r c h / c e l l - a n a l y s i s / m u s e - c e l l - a
n a l y z e r / h b 2 b . q B . l I 0 A A A E _ v z l k i f K v, n a v
 h t t p : / / w w w. m e r c k m i l l i p o r e . c o m / J P / j a / l i f e - s c i e n c e - r e s e a r c h / c e l l - a n a l y s i s / g u a v a - e a s y c
y t e - f l o w - c y t o m e t e r s / z L W b . q B . 7 e A A A A E _ 1 r F k i f K v, n a v
④ベックマンコールター
 h t t p : / / w w w. b e c k m a n c o u l t e r. c o . j p / p r o d u c t / p r o d u c t 0 1 / C y t o m i c s F C 5 0 0 . h t m l
⑤BD バイオサイエンス
 h t t p : / / w w w. b d b i o s c i e n c e s . c o m / j p / i n s t r u m e n t s / a c c u r i / i n d e x . j s p
 h t t p : / / w w w. b d b i o s c i e n c e s . c o m / j p / a p p l i c a t i o n s /
* Web site の み の 参 考 資 料 の レ ポ ー ト は 受 け 付 け な い . 専 門 書 か ら 関 連 す る 部 分 を 読 み
取 り 、 ま と め て 文 章 に す る 力 を つ け る ( 卒 業 論 文 の 時 に 役 立 つ ).
6. 予 習 レ ポ ー ト の 課 題 *
に 適 宜 。
課題①
-5 課 題 を A4
提 出 日 は 実 験 第 1 日 あ る い は そ れ 以 前 の 分 子 免 疫 学 の 講 義 の 時
4〜 7 枚 以 内 に ま と め る .
B リ ン パ 球 細 胞 の 構 造 上 の 特 徴 ,そ れ ぞ れ の 細 胞 の お も な 働 き ,免 疫 シ ス
テムにおける重要性について調べる.
課題②
T リ ン パ 球 細 胞 の 構 造 上 の 特 徴 ,そ れ ぞ れ の 細 胞 の お も な 働 き ,免 疫 シ ス
テムにおける重要性について調べる.
課題③
抗体の基本構造や,種類,生体内にはどのくらい存在しているか,その
機能の特徴について調べる.
課題④
セルソーターや磁気結合抗体(磁気ビーズという表現もある)を用いた
細 胞 の 分 離 法 と ,そ の 原 理 に つ い て 調 べ る .
課題⑤
抗原と抗体の反応が日常の中で(医療の場や,わたしたちが受ける検査
な ど の 中 で ), ど の よ う に 利 用 さ れ て い る か に つ い て 調 べ る .
(注 意 点 )以 上 に つ い て , 参 考 文 献 を 全 文 書 き 写 す の で は な く , 要 点 を ま と め る . 必 要
に 応 じ て 図 な ど も 示 す ( 複 雑 な 図 以 外 は 手 書 き で 示 す こ と ).
手 書 き を 推 奨 , パ ソ コ ン の 使 用 す る 場 合 は , レ イ ア ウ ト の 一 般 的 ル ー ル (授
業 支 援 サ イ ト 参 照 )に 従 っ た も の を 受 け 付 け る .
(橋本香保子)
V-5
遺伝子工学実験
DNA の 抽 出 ・ 遺 伝 子 型 決 定
1.目的
現 在 ,非 常 に 多 く の 品 種 の お 米 が 流 通 し て お り ,お 米 の 品 種 を 正 確 に
知 り た い 場 合 は DNA 鑑 定 す る 必 要 が あ る .
本 実 験 で は お 米 か ら DNA を 抽 出 し , 遺 伝 子 増 幅 技 術 PCR(Polymerase
Chain Reaction)で 増 や し た 遺 伝 子 の 遺 伝 子 型 を 決 定 す る 。 一 連 の 手 法
の 原 理 お よ び DNA の 取 扱 い に つ い て 理 解 を 深 め る こ と を 目 的 と す る .
2.実験方法
2.1. 注 意 事 項
エ チ ジ ウ ム ブ ロ マ イ ド は 突 然 変 異 誘 起 剤 で あ る .取 り 扱 う 際 は ,必 ず
使い捨ての手袋を装着すること.
2.2. 試 薬 お よ び 器 具
2.2.1. 器 具 お よ び 装 置
ミルサー,マイクロピペット,ピペットチップ,マイクロチューブ,
チ ュ ー ブ ラ ッ ク ,ア イ ス ボ ッ ク ス ,ゲ ル 撮 影 装 置 ,ボ ル テ ッ ク ス ,恒 温
槽,電気泳動装置,微量高速遠心機
2.2.2. 試 薬
DNA 抽 出 試 薬 , プ レ ミ ッ ク ス PCR 溶 液 , ポ ジ テ ィ ブ コ ン ト ロ ー ル 溶
液 , 0 . 5 X TA E 緩 衝 液 , エ チ ジ ウ ム ブ ロ マ イ ド 溶 液 , L o a d i n g D y e ,
100bpDNA サ イ ズ マ ー カ ー , エ タ ノ ー ル , 滅 菌 水
VI-1
2.3 実 験 方 法
2.3.1. DNA の 抽 出
1) お 米( 精 白 米 )約 50g を ミ ル サ ー で 約 30 秒 間 粉 砕 し ,均 質 か 処 理 を
行い調整する.
2) サ ン プ リ ン グ ス プ ー ン 大 サ イ ズ 面 で 試 料 を ス リ 切 り 3 杯 採 取 し ,
D N A 抽 出 試 薬 チ ュ ー ブ に 入 れ る 。そ の 後 ,チ ュ ー ブ の 蓋 を し っ か り と
閉 め , 10 回 程 度 転 倒 混 和 す る .
3 ) 約 5 分 間 静 置 し ,上 澄 み を P C R 用 試 料 と す る 。浮 遊 物 過 多 の 場 合 は ,
遠心分離をする。
2.3.2. PCR
1) プ レ ミ ッ ク ス PCR 溶 液 が 入 っ て い る チ ュ ー ブ を
本用意し,1本
に ポ ジ テ ィ ブ コ ン ト ロ ー ル 溶 液 を 5µL 添 加 し , 別 の チ ュ ー ブ に は
PCR 用 試 料 溶 液 を 5µL 添 加 す る .
2) チ ュ ー ブ の 蓋 を し っ か り と 閉 め , 試 薬 を 混 ぜ る .
3) そ れ ら を PCR 条 件 を 設 定 し た サ ー マ ル サ イ ク ラ ー に セ ッ ト し , 高 速
PCR を 行 う .
<PCR 条 件 >
94℃ 5 秒
55℃ 1 秒
35 サ イ ク ル
68℃ 5 秒
↓
4℃ Hold
2.3.3. ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動
1) 2.5%ア ガ ロ ー ス ゲ ル を 作 成 す る .
2) PCR 産 物 に Loading D ye を 3µL 加 え る .
3) ボ ル テ ッ ク ス で 数 秒 間 撹 拌 す る .
4) 軽 く 遠 心 す る .
5 ) 電 気 泳 動 装 置 に 0 . 5 X TA E 緩 衝 液 を 3 0 0 〜 4 0 0 m L 入 れ ,ゲ ル を 沈 め る .
6) ゲ ル の ウ ェ ル に マ イ ク ロ ピ ペ ッ ト で サ ン プ ル を 10µL ア プ ラ イ す る .
7 ) サ ン プ ル の 隣 の 空 き レ ー ン に ,1 0 0 b p D N A サ イ ズ マ ー カ ー を ア プ ラ イ
する.
VI-2
8) 100V で 電 気 泳 動 す る .
9) BPB が ウ ェ ル か ら ゲ ル の 2/3 位 ま で 移 動 し た ら , 泳 動 を 止 め る .
10) 泳 動 槽 か ら ゲ ル を 取 り 出 し , エ チ ジ ウ ム ブ ロ マ イ ド 溶 液 に 約 10 分
間 浸 し て 染 色 し , ゲ ル 撮 影 装 置 で DNA を 確 認 す る .
参考文献
・ 柴 忠 義 : 遺 伝 子 工 学 , 生 物 研 究 社 (2001)
・中山広樹: バイオ実験イラストレイテッド3
本当にふえる
PCR(1996)
・ 田 村 隆 明 :遺 伝 子 工 学 実 験 ノ ー ト 〈 上 〉DNA 実 験 の 基 本 を マ ス タ ー
す る , 羊 土 社 ( 2009)
・ Joseph Sambrook , David W. Russell : Molecular Cloning, A
Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)
<予 習 レ ポ ー ト の 課 題 >
・
マイクロサテライトについて調べる.
・
P C R の 原 理 に つ い て 調 べ る ( プ ラ イ マ ー .ポ リ メ ラ ー ゼ な ど の 用
語 に つ い て も 調 べ る ).
・
DNA 鑑 定 の 原 理 と 実 用 例 に つ い て 調 べ る .
(黒﨑 直子)
VI-3