アースライン用 ノイズフィルター イーエムシー株式会社 ○アースラインノイズの現状 ノイズ発生機器から発生したノイズ は、電源ラインやアースライン、或い は空間等を伝搬し、精密機器に影響 を与える事があります。 これらの対策品として、電源ライン には電源ライン用フィルターがあり、 空間を伝搬する放射ノイズには電磁 波シールドがありますが、アースライン には対策品がなく、また安全上の理由 からアースラインにはフィルターを入 れてはいけないという思い込みがあ り、手をつけられないのが現状です。 電磁波ノイズ 電磁波シールド 放射ノイズ 精密電子機器 ノイズ発生機器 ノイズフィルター 放射ノイズ ノイズフィルター 伝導ノイズ 電源部 電源部 伝導ノイズ ○アースラインの目的 ① 装置内部での短絡・漏電が発生した際に、 ・ 装置の破損・損壊 ・ 作業者の感電事故 を防ぐために、安全・保安上必ず必要。 ② 装置内部の各回路やケーシングをアース線で接続することにより、それらを皆同 電位とすることで電流の流れ込みをなくし、ノイズの流入や誤動作を防ぐ。 これらの目的のために、アースラインはできるだけ「低インピーダンス」になるよう より太いケーブルでしっかりと接続されています。 ○アースラインの規格 A種: DC抵抗値 10Ω以下 D種: - 〃 - 100Ω以下 以上のように、DC抵抗値での規定しかありません。 そこで、アースラインの高周波インピーダンスを考えてみます。半導体工場等では、 アース線を100m以上、動力線と一緒にケーブルラックで配線するのは普通のことです。 例として、床面から高さ2mのケーブルラックでアースラインの長さを100mとした場 合を考えてみると、10kHzで14.4Ω、100kHzで106.4Ω、500kHzで862Ωとなり、高周波 では非常に高いインピーダンスになっています。 以上の事から、アースラインには(大地間やケーブル間の)電磁誘導電流が重畳し易 くなっている事がわかります。 ○アースライン経由でのノイズ流入に起因する「ノイズトラブル」の特徴 ① ② 恒常的なトラブルではなく、突発的であることが多い。 再現性があまりなく、トラブルの発生頻度も一定ではない。 頻度 : 場合により1ヶ月~数ヶ月に一度の事もある。 ③ トラブルの発生場所はノイズ発生機器周辺のみではない。アースラインを経由し て、同じ建屋内の遠く離れた場所でもトラブルが発生する事がある。 ④ この「トラブル」は、装置メーカーの製造工場では殆ど発生せず、客先に納入し た途端に起こる事が多い。(ノイズ環境の違い) ○現状の対策 電源ラインであれば、「ノイズフィルター」による対策が考えられますが、 「商用周波数 ~ 200kHz」 の低周波域に有効な「電源ライン用ノイズフィルター」はありません。 アースラインに関しては、アース本来の「安全・保安」上の機能が第一優先される為、 単なるノイズフィルター(インダクター等)を挿入することはできません。 そこで、電源ライン周りの「ノイズ対策の強化」と「ケーブルの引廻し経路の変更」 等で一時的にしのいだり、場合によってはアース線を外すといった、究極の方法で対策 をしている場合もあるのが現状です。 ○EMC 製アースライン用ノイズフィルターの特徴 ① 従来からある電源ライン用フィルターと異なり、ノイズを反射せずに熱に変換し消費します。 (ノイズの浄化作用があります。) ② 商用周波数(50Hz、60Hz)から数 MHz で大きな減衰効果があります。 ○電気特性 アースライン用フィルターの減衰性能 100 アースラインの インピーダンスにより 減衰性能は異なる。 90 80 2. 減衰性能 : ~90dB(右図参照) 70 3. 周波数域 : 商用周波数~10MHz 60 4. 最大抵抗値 : 0.06Ω 5. 最大定格電流 : 20A (AC 60Hz) 減衰(dB) 1. 型名 : EF-NT 1027 アースラインの インピーダンス 0.1Ω 1Ω 10Ω 100Ω 50 40 30 20 10 0 0.01 0.1 1 10 100 周波数(kHz) 1000 10000 100000 ○規格、安全試験 ① 規格 2003 年 1 月に「Ground filter」として UL 規格を取得しています。 UL 規格取得済み ② 安全試験 (1)絶縁性能試験 試験電圧:200V 試験電流:1500A 通電時間:20.5ms 異常なし 電気安全環境研究所試験済み (2)雷インパルス耐電流試験(試験電流波形:正極性 8×20μs 雷インパルス波形) 試験電流 2000A 異常なし ○測定データ フィルター取り付け前後のアース電流 デジタルオシロスコープにて解析(0~100kHz) スペクトラムアナライザーにて解析(10kHz~30MHz)
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