次世代閉鎖型搾乳牛舎における省力・精密飼養環境制御

新しい搾乳牛舎システムの誕生!
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次世代閉鎖型搾乳牛舎における省力・精密飼養環境制御、
バイオセキュリティ向上技術の実証-
酪農生産においては、温暖化による暑熱負荷による乳量の低下、受胎率の低下や白
血病、乳房炎等の疾病による生産の低下及び悪臭拡散による地域住民の苦情、作業
の省力化が大きな課題であり、これらに総合的に対応できる酪農生産システムの開
発が必要である。
畜産における課題を網羅的に解決するため、舎内環境が制御しやすく、環境要因
の平準化と面積速度の速い気流で高い防暑効果が、鳥獣や吸血昆虫などの侵入防止
ができ、バイオセキュリティの向上等が期待できる閉鎖型プッシュ&プル横断換気
牛舎システム を開発する。
 乳量の10%増、夏季における受胎率の改善
 畜舎内空気中微生物濃度を約30%低減。
 悪臭の拡散を約30%抑制。
 生乳熱回収による高温水(85ºC)の生成
クラウド
閉鎖型プッシュ&プル横断換気牛舎システム
脱臭装置
ソーラパネル
搾乳ロボット
パネル2へ
脱臭装置
生乳熱回収
システム
光触媒空気清浄
システム
パネル4へ
バイオセキュリティ
パネル3へ
1.次世代閉鎖型搾乳牛舎の環境制御システムの開発
3.飼養管理の自動化と個体別乳情報の取得システムの開発
1.(1) 閉鎖型プッシュ&プル横断換気牛舎システムの開発
3.(1)搾乳ロボットを利用した個体別情報収集管理システムの開発
農研機構
パナソニック環境エンジニアリング
1.(2) マルチセンシングによる環境制御法の開発
1.(3) 臭気拡散抑制技術の開発
宇都宮大学
栃木県畜産酪農研究センター
2.バイオセキュリティ向上技術の検証
2.(1) 牛白血病抑制効果の検証
農研機構
釜石電機
動物衛生研究所
2.(2)光触媒空気清浄機等による舎内微生物濃度低減効果の検証
畜産草地研究所
3.(2)生乳熱回収システムの開発と利用技術の検討
オリオン機械
グリーンハートティーアンドケイ
宇都宮大学
3.(3)乳牛個体別情報の解析
4.データ融合システム開発と評価
4.(1) クラウドシステムの開発
パナソニック環境エンジニアリング
4.(2) 経済性、エネルギー、LCAによる環境影響の評価
宇都宮大学
農研機構生研センター「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術展開事業(うち産学の英知を結集した革新的な技術体系の確立)」
次世代畜舎コンソーシアム(研究代表機関:宇都宮大学)
パネル2 LPCV方式と脱臭
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次世代閉鎖型搾乳牛舎における省力・精密飼養環境制御、
バイオセキュリティ向上技術の実証-
トンネル換気より利点多い
 牛舎内の温度・湿度・気流の平準化と
面積速度の速い気流で防暑効果
 横断セクションごとの局所環境制御が可能
Low Profile Cross Ventilation
 棟高さを低くし建設コストの低減
 従来の温熱指標(THI)に加え、風速、放射も加味したHeat Load Index(HLI)
および搾乳ロボットからの情報も制御指標
 横断ユニット毎の局所環境制御
臭気拡散抑制技術の開発
臭気濃度
高中低
脱臭装置1
臭気拡散抑制室構造
牛
舎
内
ガラリ
水のミストによる
脱臭
ハニカムフィルター
による生物脱臭
脱臭装置3
脱臭装置2
ノズル
ミスト
栃木県の未利用資
源を充填物に使用し
た生物脱臭
臭気拡散
抑制室
ー
空気の流れ
充填物
ー
排気
換気扇
循環水
循環水
循環水
※充填物としては剪定枝、麦わら、大谷石 の粉などを検討
農研機構生研センター「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術展開事業(うち産学の英知を結集した革新的な技術体系の確立)」
次世代畜舎コンソーシアム(研究代表機関:宇都宮大学)
パネル3 バイオセキュリティの向上
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次世代閉鎖型搾乳牛舎における省力・精密飼養環境制御、
バイオセキュリティ向上技術の実証-
① 牛白血病抑制効果の検証
②光触媒空気清浄機等による舎内微生物濃度低減効果の検証
 光触媒空気清浄機(図1)を畜舎内に設置することにより、空気中微生物濃度の低減によ
る、疾病防除効果が期待できる。
 落下細菌数(図2)やエアサンプラー(図3)で回収した空気中浮遊微生物(細菌やウイ
ルス)を定量的に測定し、微生物低減効果を検証する。

4
5
一般の開放型牛舎では、エアサンプラーによる採材で、10 CFU~10 CFU程度の細菌が検
出される(表)。
表 開放型牛舎内浮遊細菌数の経時的変化
A
B
C
図1 光触媒換気装置
0
1hr
2hr
3hr
4hr
12400
5000
8650
11000
5200
9200
5500
5800
8500
19500
6400
9500
4700
3120
8800
図2 落下細菌測定
図3
エアサンプラーによる採材
農研機構生研センター「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術展開事業(うち産学の英知を結集した革新的な技術体系の確立)」
次世代畜舎コンソーシアム(研究代表機関:宇都宮大学)
パネル4 生乳熱回収システム
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次世代閉鎖型搾乳牛舎における省力・精密飼養環境制御、
バイオセキュリティ向上技術の実証-
生乳冷却時の乳熱を利用し酪農家で使用する温水を生成する給湯システムで酪農経
営に貢献する。(回収した熱をCO2冷媒のヒートポンプにより冷却と同時に温水を
生成するシステム)
■ 酪農家の需要
1) 生乳冷却と保冷用の冷却媒体
2) 搾乳器とバルククーラー洗浄用の60-80℃の温水
現状
・ボイラ- (灯油とガス)
・冷凍機 (HFC 冷媒)
40頭の牛舎を想定
<生乳>
冷却
35℃
・⊿T=31℃
・生乳量=1,600L/日
4℃
熱交換
<温水>
80℃
表
排熱
58kW/日
・⊿T=64℃
・温水量=780L/日
16℃
回収
40-120頭の牛舎における熱収支とエネルギー自給率
*35℃から4℃までの生乳冷却, 給水温度 : 16℃
30~50L/min
35℃
25℃
牛舎
給湯システム図
バルククーラー
処理室
温水タンク
80℃
不凍液タンク
1℃
生乳冷却器
80℃
急速冷却システム
ヒートポンプ
4℃
1℃
27℃
80℃
ミルクタンク
40-70L/min
1℃
4-8L/min
16℃
1-3L/min
16℃
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