PDF 閲覧 - 日本計量振興協会

日計振情報
平成27年度事業計画
Japan Association for Metrology Promotion
Spring/2015
第13回全国計量士大会
計量行政活動
東京都の計量技術講習会について
計量TOPICS
Vol.35-1
一般社団法人 日本計量振興協会
中小企業・小規模事業者向け
専門家派遣事業
(ミラサポ)
への
参画について
計量
ジャーナル
Japan Association for Metrology Promotion
Spring, Vol.35-1 / 2015
CONTENTS
4
日計振情報
4
6
7
7
8
8
9
10
16
◆平成27年度事業計画
◆理事会概要報告
◆第5回自動はかりの計量管理に関する調査検討委員会
◆第3回計測管理システムの調査研究委員会
◆第2回中小企業向け測定基礎研修運営委員会
◆認定事業者部会
◆ISO/TC12国内委員会・JIS原案作成委員会
◆第13回全国計量士大会
◆平成27年度「何でもはかってみようコンテスト」
・
「計量啓発標語」募集のお知らせ
17
17
20
22
24
28
計量行政情報
◆官報情報
◆平成26年度全国計量行政会議
◆全国特定市計量行政協議会について
計量行政活動
◆東京都の計量技術講習会について
計量TOPICS
◆中小企業・小規模事業者向け専門家派遣事業(ミラサポ)への参画について
OTプランニング株式会社 代表取締役 小野 威(計量士)
30
計量業界動向
◆台湾専門家招聘セミナー概要
一般社団法人日本計量振興協会 村松 德治
33
計量エッセイ
経済産業大臣表彰を受賞して
一般社団法人青森県計量協会 会長 西 秀記
35
産総研コーナー
計量標準総合センター(NMIJ)の近況報告
前 独立行政法人 産業技術総合研究所 計量標準管理センター 計量標準計画室 西川 一夫
38
編集後記
計量ジャーナル Vol.35-1
3
平成27年度事業計画
総務部
1.事業方針
日本経済はアベノミクス効果により円安、株高が
進み、大企業においては好決算が相次いでいるが業
績向上の持続性に関しては不安要因が多く、また地
区や中小企業への波及という観点では回復にはまだ
程遠い状況にある。本年は、官民一体となった活動
による本格的な景気回復が望まれている。
一方、計量界は、100有余年の間その使命・役
割は一貫しており、脈々とその活動が継承されてい
ることは誇りにすべきことであるが、昨今はやや停
理専門コースの各研修講座の強化を図る。
②企業内の校正技術者の育成のための研修講座を
継続実施する。
③販売事業者対象計量器コンサルタント資格認定
制度を充実する。
⑸ 計量管理の推進
①自動はかりの計量管理に関する調査検討を行
い、課題への対応策を立案する。
②ISO/JIS Q 10012 計測管理規格の活用・導
滞感があるのは否めない。特に、地方公共団体の執
入支援し認証体制を構築する。
行体制や計量団体の事業体制の低下傾向及び全国的
⑹ 計量制度の課題の対応策の調査検討
な計量技術者の不足、更には、計量制度のグローバ
ル化対応の遅れ等が課題になっている。
今後は、経済社会の変化に対応した計量体制の見
計量を巡る諸課題を抽出し、今後の対応策を調
査・検討し提言する。
⑺ 経済産業省委託事業の実施
直し・再構築とそれに伴う人材育成が急務であると
経済産業省委託事業であるISO/TC 12(量及
考える。当会では、計量制度の課題について3年前
び単位)国内委員会及びJIS原案作成委員会の事
に調査・研究を行ったが、再度検討委員会を立ち上
務局業務を推進する。
げ掘り下げた調査・検討を行う予定である。
2.各事業別実施項目
当会の事業としては、主軸の郵政計量管理受託事
2.1 計量の普及啓発
業、試験校正事業、普及啓発事業を確実に実施して
2.1.1 計量記念日関連事業
いくほか、教育研修や計量管理の推進等に引き続き
・計量記念日全国大会の開催
取り組む方針である。
・
「何でもはかってみようコンテスト」及び計量
具体的な調査研究テーマとしては、1つ目は、自
啓発標語の募集、表彰
動はかりの計量管理の課題抽出と具体策の検討、2
・全国統一ポスターの作成・配布
つ目は、計量管理の国際規格ISO 10012の活用・
・広報誌「計量のひろば」の作成・配布
導入支援及び認証体制の推進、3つ目は、各分野に
2.1.2 計量普及
おける計量関係者の力量の向上のための取り組みの
・出版物の発行
強化である。
・会報誌「計量ジャーナル」の発行
「平成27年度 重点事業実施方針」
⑴ 郵政計量管理事業の継続実施
・技術誌「計測標準と計量管理」の発行
2.1.3 計量管理教材の最新版の作成
計量管理受託事業を的確に実施し、研修の徹底
適正計量管理事業所(流通部門)向け教材の見
と管理体制の強化を図る。
直し修正及び最新版の作成
⑵ 試験・校正事業体制の確保
2.1.4 計量士国家試験受験者のための計量管理に
JCSS校正事業の推進及び品質システムの確保
関わる新教科書の作成準備
を図る。
計量士国家試験における計量管理概論受験のた
⑶ 計量普及啓発事業の推進と充実
①計量記念日事業の活動を通し計量の普及啓発を
継続実施する。
②中小企業向けのものづくりのための計量計測支
援事業を拡充する。
③放射線・放射能の測定の信頼性確保のための施
策を進める。
⑷ 各方面の計量関係者向け研修事業の継続実施と
充実
4
①計量士向け 基礎コース、実務コース、計測管
日計振情報
めの教科書を見直し・作成するため、準備委員会
を編成し実施する。
2.1.5 中小企業向け ものづくり支援計量計測事業
の推進
⑴ 地区中小企業対象の計量普及啓発の実施
中小企業向け測定基礎研修会の実施及び研修の
実施方法、内容の見直し強化を図る。
⑵ 計量計測専門家の登録と現場指導業務の推進
中小企業庁が運営している「中小企業ビジネス
日・計・信・情・報
日計振情報
創造等支援事業に係る専門家の登録派遣制度」を
2.4 計量の情報調査・交流
活用して、測定の基礎、計測管理及び校正等の計
2.4.1 計量士交流
量計測専門家を育成登録し、計量士による中小企
・計量士部会の活動
業向けの計量計測現場指導業務の実施体制を構築
部会の開催、計量士の諸課題の検討
し推進する。
2.2 計量管理の推進
2.2.1 自動はかりの計量管理課題の調査と対応策
の立案
・第14回全国計量士大会の企画・開催
2.4.2 認定校正事業者交流
・認定事業者部会の活動(運営委員会/全体会議
の開催、諸課題の検討)
自動はかりの計量管理に関する調査検討委員会
・計測器校正技術者研修講座の開催
を編成し、現状の自動はかりの計量管理の課題を
・測定の不確かさの活用に関する報告会の開催
抽出し、今後現場において計量士が取り組むべき
・企業見学研修会の企画・開催
業務を検討・提言する。
・計測標準フォーラム活動への参画
・自動はかりに関する欧州計量器規制、国際勧告
及びJIS規格を調査する。
・自動はかりに関する情報収集と管理事例を調査
研究する。
・現状の自動はかりの計量管理に関する課題を抽
出し、対応策を検討・立案する。
・計量管理ガイドラインの作成及び説明会の実施
2.2.2 ISO 10012規格の普及・活用と認証制度
の推進
(計量計測のグローバル化対応の調査研究)
・ISO/JIS Q 10012計測管理規格を企業内に広
く普及・活用するための技術講習会、意見交換
会等の開催及び企業への導入支援の実施。
・ISO 9001とISO 10012の組み合わせ認証体
制の構築(JQAと協業)
2.3 計量の教育・訓練
2.3.1 計量管理者養成教育
・品質管理推進責任者養成コースの開催
・ISO/IEC 17025内部監査員研修講座の開催
2.4.3 国際交流
日本・韓国・中国3国の計量制度及び計量事情
に関する相互情報交換の実施。
平成27年度は韓国にて実施予定。
(期日等詳細
未定)
2.4.4 計量課題の抽出とその対応策の調査検討
現在の計量制度を巡る現状と諸課題を調査し、
時代に沿った今後の対応策を検討し、提言する。
「重点ポイント」
・検定/検査制度の現状の課題とその対応策の立
案
・計量士の将来像と計量士(研修)制度のあり方
の検討
・自動はかり及び放射線量計等の計量器規制方法
の検討
・事業者制度、適正計量管理事業所、量目制度等
の見直し
2.4.5 経済産業省委託事業の実施(平成25年度か
ら実施)
2.3.2 計量担当者教育
ISO/TC12 基本分野(量及び単位)国内委員
・計量管理技術基礎講座の開催
会及びJIS原案作成委員会の事務局
2.3.3 計量士の育成
・計量士技術講習会リフレッシュ基礎コース(通
信講座を含む。
)の実施。
・実務コース(はかり・分銅校正・量目検査)の
継続実施。
・計測管理専門コースの実施
・計量士国家試験準備講習会及び計量士国家試験
直前対策講習会の開催
2.3.4 校正技術者の育成
・計測器校正技術者認定研修講座の開催
2.3.5 計量器コンサルタント資格認定制度の充実
計量器販売事業者向け計量器コンサルタント資
格認定講習会を継続実施する。
2.3.6 放射能・放射線の測定の信頼性確保のため
の取り組み
放射能・放射線測定の信頼性を確保するために
「放射線・放射能の測定に関する基礎講習会」を
全国拠点にて開催する。
(地区計量団体等と協業)
⑴ ISO/TC12 基本分野(量及び単位)国内委
員会
ISOの専門委員会である「量及び単位」の標準
化委員会の動向把握とISO提案案件の審議、投票
を行う。
⑵ JIS原案作成委員会
ISO/TC 12で改定が進められる国際規格ISO
80000sに 適 合 す るJIS Z 8000s( 現 行JIS Z
8202s)に改正する。
平成26年12月から1年間で審議し作成する
JIS原案は次の通り。
・JIS Z 8000-11 量及び単位―第11部:特性
数
・JIS Z 8000-12 量及び単位―第12部:固体
物理学
2.5 計量管理受託事業
⑴ 適正計量管理事業所である日本郵政グループの
逓信病院、健康管理センター及び郵便局の計量管
計量ジャーナル Vol.35-1
5
月実施予定)
理業務(はかりの定期検査、計量管理主任の指導
及び分銅校正)を的確に実施する。
・試験・校正設備の老朽化に伴う保守及び更新の
計画立案と推進(低温槽の更新)
⑵ 受託業務を円滑・効率的に推進するため登録計
量士、補助者の研修として計量管理講習会を実施
・技能試験に参加(ガラス製温度計の比較校正、
4月実施予定)
し業務の徹底を図る。
2.6 試験・校正センター
2.6.1 校正事業の推進(力計、一軸試験機、ガラ
ス製温度計、分銅等、他)
2.6.2 JCSS校正事業の品質システムの確保
2.6.3 力、温度、質量の分野の情報収集及び意見
の発信
・日本試験機工業会の力学量部会等に参加
・力学量トレーサビリティ・ワークショップ等に
参加
・一軸試験機校正課員の認定更新講習
(約10名が該当、平成27年10月~平成28年3月
実施予定)
・JCSS登録申請(4年に一度:力計、一軸試験
機、分銅等)5月に受検の予定
・JCSS定期検査(中間検査:ガラス製温度計)
登録更新審査と同時期
・一軸試験機校正課員の新人認定技能試験(7~
8月実施予定)
・一軸試験機校正課員の新人認定講習(9~ 10
・その他(JIS原案作成委員会、NITE力分科会等)
2.6.4 材料試験機校正事業の拡大のための調査検
討をおこなう。
2.7 その他
2.7.1 総務委員会等委員会の開催
2.7.2 顕彰事業の実施
2.7.3 地区活動の支援
2.7.4 全国計量器販売事業者連合会事務受託
2.7.5 会館管理
理事会概要報告
総務部
(一社)日本計量振興協会の理事会が平成27年3
た。
月26日㈭日本計量会館に於いて、副会長、専務理事、
第3号議案 試験・校正センター低温槽の更新(案)
常務理事、理事、監事、41名中32名の出席(事務
について
局3名)で開催された。
試験校正センターの低温槽は、購入から17年に
楠副会長を議長とし、第1号議案「平成27年度
もなり、老朽化と修理部品の生産中止により修理が
事業計画(案)について」
、第2号議案「平成27年
困難な状況のため更新が必要との説明があり、審議
度収支予算(案)について」
、第3号議案「試験・
の結果第3号議案は原案通り承認された。
校正センター低温槽の更新(案)について」、第4
第4号議案 資産の振替(案)について
号議案「資産の振替(案)について」の付議事項に
検査校正事業の検査設備の破損、老朽化や計量会
ついて審議がなされた。
館設備の破損老朽化等に備えるためそれぞれの引当
第1号議案 平成27年度事業計画(案)について
預金に積み立てたい(平成26年度中)との説明が
平成27年度当会の事業は、主軸の計量管理受託
あり、第4号議案は原案通り承認された。
事業、試験校正事業、研修事業等を確実に実施して
いくほか、計量人材育成と計量管理の推進に取り組
(承認後の積立合計の金額は検査設備の引当預金
3,600万円、会館設備の引当預金1,000万円)
む方針である。とくに、①自動はかりの計量管理の
6
課題の抽出と具体策の検討、②ISO 10012 国際規
今後の日本計量振興協会主な行事予定
格の活用・導入支援及び認証体制の推進、③各分野
1.定時総会
における計量関係者の力量の向上のための取組を強
平成27年 5月28日㈭ 化すること、また、各事業別実施項目の説明があり、
インターコンチネンタル東京ベイ
審議の結果、第1号議案は原案通り承認された。
2.理事会
第2号議案 平成27年度収支予算(案)について
1)決算理事会 平成27年度の収支予算(案)について説明がな
平成27年 4月23日㈭ 日本計量会館
され、審議の結果、第2号議案は原案通り承認され
2)中間理事会 日計振情報
日・計・信・情・報
日計振情報
平成27年11月12日㈭ メルパルク京都
平成28年1月8日㈮ 11:00~12:30
3. 平成27年度計量記念日全国大会
グランドアーク半蔵門
平成27年11月 2日㈪
5. 第14回全国計量士大会
ホテルインターコンチネンタル東京ベイ
平成28年2月26日㈮ 4. 計量団体・業界・機関合同賀詞交歓会
ホテルインターコンチネンタル東京ベイ
第5回自動はかりの計量管理に関する
調査検討委員会
事業部
2月10日㈫日本計量会館において開催した第5
動充填機並びに製薬工場のタンクスケールの報告が
回委員会では、自動はかりの計量管理に関するアン
それぞれあった。また、自動はかりの計量管理に関
ケート調査(案)作成に向けての討議を行った。ア
する課題と対応及び今後の取り組みについて討議を
ンケート実施時期は、4月~7月を予定している。
行った。次回の委員会開催は平成27年7月頃を予
次に、自動はかりの計量管理事例について、製粉工
定。
場及び製鉄工場のホッパースケール、飲料工場の自
第3回計測管理システムの調査研究委員会
事業部
2月23日㈪に日本計量会館において、第3回委
JIS Q 10012規格との条文別比較、(付表2)ISO
員会を開催した。委員会では、測定プロセスの設計
10012:2003 計測マネジメントシステムの評価用
の事例研究として、
「測定プロセスの設計ゲーム」
チェックシート事例、から成る。 [(公財)JKA補
及び「測定プロセスの設計マニュアル解説」につい
助事業]
て、担当委員から説明の後に討議を行った。次に、
ISO/JIS Q 10012技術講習会(2月27日@名古
屋、3月3日@東京)の配布用資料について講師担
当者(委員、JQA様及び事務局)から説明の後、
資料通り了承された。また、ISO/JIS Q 10012規
格の認証審査体制について、JQAの内田様及び小
林様から説明の後に討議を行った。その後、
「平成
26年度計測管理システムの調査研究報告書」の構
成と担当(案)に基づき各執筆担当委員(委員長含
む)から提出された原稿(案)について討議を行っ
た。ここでの討議結果を反映した最終原稿を3月初
めに取りまとめ、報告書の刷り上がりは、3月下旬
とすることになった。なお、報告書の構成は、第1
章 ISO/JIS Q 10012計測管理規格の概要と動向、
第2章 ISO/JIS Q 10012規格の要求事項と要点
解説、第3章 ISO/JIS Q 10012の企業内普及活
用事例、第4章 製造業における「計量確認」と「測
定プロセスの実現」
、第5章 製造業における測定の
不確かさの活用事例、第6章 ISO 10012の認証審
査体制、(付表1)適正計量管理事業所制度とISO/
計量ジャーナル Vol.35-1
7
第2回中小企業向け測定基礎研修運営委員会
事業部
3月9日㈪日本計量会館において、第2回運営委
県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、及び京都府
員会を開催した。委員会では、資料に基づき先ず事
の参加者アンケート集計結果と課題について委員
務局より、1府9県16箇所、計307名(192社)
長、担当委員などから説明があり、討議を行った。
が参加した「中小企業向け測定基礎研修の地区実施
その後、資料に基づき、中小企業向け事業の今後の
一覧(27/3/9現在)
」及び「平成23年度~26年
取り組みについて討議を行った。なお、三重県の研
度の研修会開催状況(27/3/9現在)
」について説
修が、3月27日に開催された。
明があった。また、岩手県、福島県、群馬県、埼玉
認定事業者部会
事業部
運営委員会を3月2日㈪日本計量会館において開
運営委員会
催し、①(独)製品評価技術基盤機構認定センター
部会長・運営委員長
の村田浩美氏からJCSSの動向等について説明の
服部 晉
副会長
後、討議を行った。②事務局から平成26年度計測
器校正技術者研修の実施結果、及び平成26年度全
運営委員
体会議次第(案)について、それぞれ説明の後、討
野口 泰弘
日本電気計器検定所
議を行った。③その他事務局から、平成26年度お
中本 文男
一般財団法人日本品質保証機構
よび27年度の見学研修会の予定について説明の後、
小堺 克巳
コニカミノルタ株式会社オプティク
運営委員会での討議に基づき、平成26年度全体
田中 孝弘
ジャパンファインプロダクツ株式会社
会議を3月27日㈮日本計量会館において開催し、
白鳥 慎治
株式会社オーバル
①経済産業省の松井洋二氏から「計量標準の利用促
高橋 泰弘
株式会社ミツトヨ
進について」
、②事務局から「
(一社)日本計量振興
渡部 新一
元メトラー・トレド株式会社
協会の事業実施状況と今後の取り組み」
、③(独)
アドバイザー
製品評価技術基盤機構認定センターの村田浩美氏か
田代 直人
経済産業省産業技術環境局
ら「JCSS等の動向について」
、のそれぞれ報告が
松井 洋二
経済産業省産業技術環境局
あった。引き続き、企業・団体におけるJCSS校正
岸本 勇夫
独立行政法人産業技術総合研究所
事業の活動事例として、①日本電気計器検定所の堤
村田 浩美
独立行政法人製品評価技術基盤機構
晋太郎氏から「ひずみ測定器類の校正について」、
事務局
②㈱ミツトヨ テクノサービス事業本部の増子俊一
河住 春樹
スカンパニー
討議を行った。
氏及び沼山博志氏から「三次元測定機のJCSS認定
校正について」
、③日本計器㈱の宮野功勝氏から
財)日本品質保証機構の曳地貴之氏から「JQAに
おける校正事業」
、の各発表があった。
日計振情報
一般社団法人日本計量振興協会 専務理事
倉野 恭充
「JCSS校正室における校正事業について」
、④(一
8
一般社団法人日本計量振興協会 一般社団法人日本計量振興協会 事業部長
溝上 秀司
一般社団法人日本計量振興協会 事業部
日・計・信・情・報
日計振情報
ISO/TC 12国内委員会・JIS原案作成委員会
平成27年2月9日㈪午後2時から計量会館会議
ら、修正等のコメントをいただき、これを事務局で
室で両委員会を開催した。
コメント集として整理、対応可能な範囲について整
1 ISO/TC 12 基本(量及び単位)分野 国内
理した原案をVer1として審議をお願いした。委員
会での原案に対する質問、意見及び修正・確認事項
委員会 第二回委員会
第一回委員会で概要を中間報告した、
「ISO/TC
等については、次回委員会までに再整理する。また、
12“量及び単位”WG19,“規格の改訂”
:第3回
第3回委員会を5月に予定するが、委員会に併せて
会合 参加報告」及び「金属の力学試験(ISO/TC
引き続き委員からのコメントを求めることとした。
164委員会)に関する不確かさ評価」に関連した
なお、“特性数”とは、「レイノルズ数」、「オイラ
国際規格の改定に関する海外動向調査結果を取り纏
ー数」、「マッハ数」、「ストローハル数」及び「フー
めた「ISO/TC 12(量及び単位)分野の国際動向
リエ数」などが知られている。全体では、26の“量
調査報告(案)
」を審議いただいた。この結果を更
(名称)”、“記号”、“定義”及び“説明”が規定され
に整理して最終報告書として契約先に提出した。
ている。一方、“固体物理学”については、「格子ベ
2 第二回JIS原案作成委員会
クトル」、「近距離秩序パラメータ」、「角波数」、「ホ
第 二 回 委 員 会 は、ISO 80000-11及 びISO
ール係数」及び「トムソン係数」など、固体物理学
80000-12の英文を翻訳してJIS規格体裁に置き換
で使用される“量”について単位記号を付加した規
えたJIS Z 8000-11(特性数)及びJIS Z 8000-
格、全体で67量である。
12(固体物理学)の草案(Ver0)を元に各委員か
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計量ジャーナル Vol.35-1
9
第13回全国計量士大会
推進部
平成27年2月20日㈮、第13回全国計量士大会
が「リーガロイヤルホテル京都」において開催され
た。メインテーマは、
「これからの社会が求める品
質管理と計量管理」と題して意見交換を行った。百
貨店と計量
器製造業の
現場実務者
に講演をお
願いし、企
業が時代の
要請を積極
的に、迅速
会場全景
に取り込み
事業に活かしている事例を紹介していただき、計量
士が一歩前を向いて今後の職域拡大を目指しチャレ
ンジするに有用な助言をいただいた後、多くの計量
士から活発な意見が交わされた。大会の概要は、以
下のとおりである。
Ⅰ 第1部 大会
万福計量士部会委員(大阪計量
士会)の総合司会で開会、吉村計
量士部会長の開会の辞に続いて、
大会が進行された。
1部総合司会:
万福 良秋委員
◆開会の辞 吉村良次計量士部会長
(大阪計量士会)
第13回全国計量士大会を、この京都の地で開催
いたしましたところ、ご来賓をはじめ、各地から多
くの会員のご出席をいただきありがとうございま
す。
私からは、開会に先立ちまして、
計量士部会で検討してまいりまし
た大会テーマの趣旨説明をさせて
いただくことといたします。
皆さんご承知のとおり、新しい 開会の辞:計量士部会長
計量法がスタートしてから20年 吉村 良次
余りとなりますが、ウインドウズ`95が登場し、一
般にもネットやメールの世界が開かれてから今年で
20年になります。以来、急速に、世界の隅々にま
でIT社会が広がり、情報化とともに経済のグローバ
ル化がますます進展し、我が国の企業等の多くが、
その経営において、激しい競争と厳しい対応が求め
られている現状にあると思います。
このような時代に、私ども計量士はいかにあるべ
きかが問われています。計量管理に関する高い専門
10
日計振情報
性だけでなく、他分野への理解力を持ち、リスクを
恐れずチャレンジすることが必要ではないかといっ
た声も聞かれます。
今回の計量士大会は、
「これからの社会が求める
品質管理と計量管理」をテーマとし、計量管理と関
係の深い品質管理まで範囲を広げた内容で、百貨店
とはかりメーカーの現場実務者の講演をいただきま
す。企業が、時代の要請を積極的かつ迅速に取り込
み事業に生かしている事例をお話しいただけると思
います。
本日ご出席の計量士の方々は、流通業をはじめ多
岐にわたる業種の計量管理に携わっておられると思
いますが、この大会で、今後の業務に何らかの活路
を見つけていただけるかもしれません。講演の後に
意見交換会を予定しております。
それでは、この大会が、私どもにとって有意義な
ものとなることを祈念いたしまして、第13回全国
計量士大会の開会を宣言いたします。
◆主催者挨拶 加島淳一郎会長
日本計量振興協会の加島です。
昨年12月、宮下前会長に代わり
会長に就任いたしました。
皆様、本日はご多用の中、また
多くの方々が遠路からご出席いた 日本計量振興協会
会長 加島 淳一郎
だき誠にありがとうございます。
また、公務ご多忙の中、経済産業省計量行政室 三
浦室長様をはじめ関連機関から多数のご来賓のご臨
席を賜り厚く御礼申し上げます。計量士の皆様方に
は、日ごろ郵政計量管理業務や試験校正事業及び各
種の当会の事業にご支援ご協力をいただいておりま
すことをこの場をお借りしまして御礼申し上げま
す。
我が国の経済は、足踏み状態が続いていますが、
大企業は好決算が相次いでおり、本年は正念場、官
民一体となった活動による本格的な景気回復が望ま
れます。計量界は100有余年間その使命は一貫し
て変わらず、脈々と活動が継承されていることは誇
りにすべきことでありますが、咋今の計量界にはや
や停滞感がみられています。
地方公共団体の執行体制の低下及び計量技術者の
不足、更には計量のグローバル化対応の遅れ等が課
題になっております。今後は、その課題の解決のた
め、計量体制の見直し・再構築とそのための人材育
成が急務であり、また、それに伴って計量士の力量
の一段の向上と活動範囲の拡大が求められてくるも
のと思われます。これからの計量士は、世の中の動
きに対応した新たな活動の場を自ら開拓していくこ
日・計・信・情・報
日計振情報
とが必要になると考えます。本日の意見交換会のメ
インテーマもその辺の話題が中心になるものと推察
いたします。
当会の事業としては、後ほど、河住専務理事から
説明があると思いますが、郵政事業、校正事業、研
修事業等 計量士に係るものが大半であり、計量士
の問題は運命共同体である当会の問題でもあります
ので、本日のような意見交換会や討議の場を通して
今後のより有効な対応策を検討していきたいと考え
ております。
引き続きご支援ご協力の程よろしくお願い申し上
げます。
◆来賓挨拶 経済産業省 三浦裕幸計量行政室長
昨年7月就任以降、多くの皆様
からいろいろと話を伺い、様々な
課題があることも十分理解してい
ます。
昨年、計量士から昭和25年の当
経済産業省 計量行 時の通産省が出した通達をいただ
政室長 三浦 裕幸氏
いた。この通達は、計量研究会を
日本に立ち上げようということを謳っており、計量
に関して3つの管理(計量器の管理、計量方法の管
理、計量制度の管理)が大事だと書かれていた。こ
の3つを関係者がきちんと確保することで、戦後復
興間もない日本の産業競争力を欧米に追いつかせよ
うとしたものと考えます。
今の計量法に書かれていることもこの3つの管理
そのままであり、その意味では戦後間もない頃の計
量管理となんら変わっていません。しかし時代は流
れ世の中が発展し、いろいろな技術が出てきていま
す。IT社会になり、計量器の中で使われている技術
も全く違ったものになってきました。そういう時代
の中で計量管理をどうやって実現していくかはたや
すいことではありません。この3つの管理をきちん
とやっていかないと、日本の将来はどうなるかと危
惧する。本日、お集まりの計量士の皆さんは、この
一翼を担う大事な方々です。計量器メーカー、ユー
ザー、都道府県、特定市の方々様々な立場の方のお
力添えにより、計量は確保されています。様々な課
題を皆さんと一緒にどうやって解決し実現していく
か、具体的に考えていきたい。この第13回全国計
量士大会の場でいろいろな意見が出て、有意義な方
向に向かうことを期待します。
◆状況報告
【一般社団法人 日本計量振興協会の計量士関係事業
取り組み状況】専務理事 河住春樹
⑴ 日本郵政計量管理受託業務の
実施
⑵ 試験・校正事業の実施
⑶ 計量担当者育成のための研修
日本計量振興協会
事業
専務理事 河住 春樹
◇計量士の業務拡大のための技術
講習会
①リフレッシュ基礎コースの実施(平成18年度
から実施)
・実施回数13回、全受講者数 552名(日計振登
録計量士の53%)
・平成25年度新設の通信講座の受講者(25年度
18名、26年度20名、計38名)
②実務コースの実施(平成20年度から実施、26
年度は東京で実施)
・はかり校正(7回155名)、量目検査(5回84
名)、分銅校正(5回99名)、受講者計338名
③計測管理専門コースの実施(平成24年度から
実施、26年度は東京で実施)
・ 平 成24年 度23名、 平 成25年 度13名、 平 成
26年度12名、受講者計48名
◇校正技術者研修会
・計測器校正技術者研修講座の開催(平成21 ~
26年度 受講者計267名)
◇計量技術者、計量管理者養成教育
・計量管理技術基礎講座の開催
・品質管理推進責任者養成コースの開催
・ISO/IEC 17025内部監査員研修講座の開催
・計量士国家試験準備講習会及び計量士国家試験
直前対策講習会の開催
◇計量器コンサルタント資格認定講習会の実施
・平成26年11月18日 講習会実施(日本計量
会館:参加者32名)
◇放射線・放射能の測定に関する基礎講習会の開催
(地区計量団体等と協業)
・放射線・放射能の測定に関する基礎講習会を全
国拠点において開催
・平成25年度:福島県 受講者100名
・平成26年度:福島県、京都府、埼玉県、愛知県、
受講者4会場計230名
◇中小企業向け測定基礎研修会の実施
・平成23 ~ 26年度の4年間、毎年全国約20か
所、受講者計約400 ~ 500名
⑷ ISO 10012規格の普及・活用と認証制度の実施
計量管理のグローバル化対応調査研究委員会の開
催「JKA補助事業」
・ISO/JIS Q 10012計測管理規格普及セミナ
ー・意見交換会の開催
・企業への規格導入のための予備調査
・ISO 10012認証審査体制の構築準(日本品質
保証機構と協業)
⑸ 自動はかりの計量管理に関する課題調査と対応
策の検討
⑹ 計量士交流
・計量士部会の活動(部会の開催、計量士の諸課
題の検討)
・第13回全国計量士大会の企画・開催
・校正事業者(認定事業者)交流
・校正事業者部会の活動(運営委員会/全体会議
の開催、諸課題の検討)
・計測器校正技術者研修講座の開催
計量ジャーナル Vol.35-1
11
・企業見学研修会の企画・開催
⑺ 経済産業省委託事業の実施(平成25年度から
実施)
・ISO/TC 12基本分野「量及び単位」国内委員
会(事務局)
・JIS原案作成委員会(事務局)
⑻ 今後の取り組み(予定)
・自動はかりの計量管理に関する調査検討
・計測管理規格ISO/JIS Q 10012の普及導入
支援及び認証審査制度の構築(日本品質保証機
構と協業)
・中小企業測定基礎研修の拡大とものづくり支援
計量計測事業の推進
・計量制度の課題とその対応策の調査検討
◆講演・意見交換の部
メインテーマ「これからの社会が求める品質管理と
計量管理」コーディネータ 吉川 勲委員(京都府
計量協会)
<吉川コーディネータ主旨説明>
これから講演が2題、その後、皆
様とデスカッション、意見交換を
行っていきます。
本日のメインテーマについてだ
が、
「品質管理」という言葉は社 コーディネータ:
吉川 勲委員
会に広く浸透している。昭和25
年アメリカのデミング博士が統計的品質管理を提唱
して以来、
発展普及している。一方「計量管理」は、
社会にほとんど知られていない。計量士だけに使わ
れている。昭和25年通産省通達の2年後、日計振
の前進にあたる計量管理協会が発足、日本化薬社長
(原安三郎氏)が会長を務めた他、メンバーには後
の総理大臣や外部大臣、超一流企業の経営者等、日
本の国家プロジェクトとして計量管理を推進するべ
く発足した。それから60年経ち、計量管理は、社
会からフェードアウトして行った。一方の品質管理
と比較するとその差は歴然としている。果たして計
量管理は必要なのか。計量士が計量管理を進めよう
としているが計量士が行うという資格自体、立場自
体どうなのか。何が足りなくて衰退したのか、実際
に品質管理を担当されている企業の方からお話を伺
い、もう一度考える機会とした。
【第13回全国計量士大会】の以下の講演について
は、当協会ホームページに掲載しているので参照
されたい。
講演1「百貨店の品質管理と計量士への期待」
㈱髙島屋 MD本部 品質管理室 木谷一成氏
講演2「計量器製造業界から見た計量士への期待」
㈱イシダ 技術統括部技術管理課担当課長 田尻祥子氏
◇フリーディスカッション
○吉川 勲コーディネータ:先月、TBSで、灯油
12
日計振情報
巡回訪問販売の担当者が量をごまかしていたという
報道があった。18ℓ入れるところ常に17ℓ入れて
売り、差額を着服した総額は、月4、50万になる
とのことだった。そのような報道でもないかぎり市
民は内容量(量目)に関心を持たないと思うが、髙
島屋さんは、内容量について特別な活動をされてい
るか。
◎木谷講師:百貨店においてご購入いただくお客様
は、関心の高いお客様が非常に多
い。対面販売で、水平、ゼロ点等
ずれていると、販売員に連絡ある。
購入後、お客様が測り直して、不
足があると違っていたとの連絡が
講演1:
来たりする。結構関心は高いと認
木谷 一成氏
識している。
○吉川コーディネータ:ご講演で売れた、売れなか
った商品の話だが、メーカーの場合反応が分かり易
い。計量士の場合それが分かりにくい。田尻さんは、
商品以外の部門でアドバイスをしたり求められたり
することはあっただろうか。
◎田尻講師:食品工場等に修理や
稼働状況調査に行くと「ちゃんと
こういうしているのに、うまくい
かない」ということが多い。計量
管理というか計量器管理について
講演2:
は、きちんとやられていると感じ
田尻 祥子氏
ている。
○塩崎吉康計量士(富山)
:高島
屋さんの商品量目の検査で、週1
回、年間1万点実施しているとの
ことだが、それに関しての不良率
と、不良を発生させないための策
は ど う い う ふ う に さ れ て い る の 塩崎 吉康計量士
か。
◎木谷講師:大阪店の場合、1万点の検査の中で、
公差内であるが、量が多いものが1%。量目公差を
外れているもの(欠量)は0.3%位。過量は、社内
的に自主管理として10g、10%で対応しているも
のが0.3%、当社としては、品質管理室と計量士さ
んで協力して“0”を目指してやっている。年2回、
6月と11月を強化月間とし、売り場を巡回し、こ
の期間は1日200点ではなく500点検査している。
不足量があったときには、社として適正計量の推進
という観点から取引先に、こういう事案が発生した
ことを伝え、正確な計量と正しい表示をする、従事
者の教育、日常管理の点検を行うよう注意している。
○塩崎吉康計量士」(富山):0.3%についてだが、
年による数字の推移はあるのか
◎木谷講師:年によって違う。平成24年の量目不
足は0.7%だったが平成26年は、0.3%だった。
○塩﨑利平計量士(富山)
:不良になった商品は、
グロッサリーなのか生鮮食品なのか。検査は生鮮も
グロッサリーもしているのか。全国14店舗あると
のことだが、地域差はあるのか。
日・計・信・情・報
日計振情報
◎木谷講師:量目表示がされている商品は、すべて
検査している。グロッサリーは変化が少ないが、生
鮮関係については水分も日々変わってくるため、毎
日再計量ということで対応している。1日で減量す
る量を加味して計量している。直輸入商品はヨーロ
ッパから入ってきているが、事前にメーカーさんに
はくれぐれも対応をお願いし、欠量は以前よりかな
り減ってきている。新商品については、全商品の量
目を関連会社で実施している。それでも一部には抜
けやすい。地域別に関しては、全店で統一した管理
をしており、基本的には、不良率が1%を越えない
ように指導している。
○塩﨑利平計量士(富山)
:
・品質管理というと、非常に幅が
広く奥も広い。どういう組織で
構成されているのか。危機管理
の組織図、委員会の構成なども
資料をいただく等指導いただき
たい。
塩﨑 利平計量士
・また、法定計量管理業務の推進ということだが、
髙島屋の従業員の方が日常点検をされているとい
うことか、計量に関し相当高い知識がないとでき
ないと思うが。
・外から入る催しの場合、売り場での計量器は、持
ち込みなのか、店舗でお貸ししているのか。
◎木谷講師:新入社員であれば基本教育がある。入
社前の部長面談で説明し、初日にも説明。部門朝礼
などを使い指導。
適正計量管理マニュアルを作成し、
初心者にもわかるような形のものをマネージャに配
布している。計量器の水平等、零点の確認、清掃等
日々実施している。朝のチェック項目としている。
新人のため専任の教育トレーナーがいる。祭事やア
ルバイトなど、朝10分か15分しか時間がないなか
で指導している。昼や休憩のときに補う。
◎木谷講師:催しの場合、基本的に髙島屋で保留し
ている計量器をお貸ししている。店内で使用する前
に計量士が検査して合格した計量器にはシールを貼
ったものを使用する。
○小野威計量士(神奈川):計量士は、計量の資格
を持ったスペシャリストであるが、計量士の資格で
仕事ができる範囲は、非常に限られている。しかし
計量士の知識を生かして、幅広い場で活躍していく
必要がある。工程管理、品質管理は資格がなくとも
できる。資格を持った人がそこまでできるようにな
っていかなければならない。残念なことに資格だけ
で生きている計量士さんが非常に多い。田尻さんに
端的にお伺いしたい、計量士さんにどういう印象を
もたれているのか。
◎田尻講師:若い計量士さんにお目にかかったこと
がない印象である。知識を持って長年計量士をやっ
ている方はいる。計量士だけでやっていくのは難し
い職業なのかなと思っている。
○小野威計量士(神奈川)
:計量士の資格だけで生
きていくことは幅が狭まってきているので、
我々は、
それを拡大する努力をしているが
計量士は重要であるがマイナーな
仕事に見える。若い人にいかに魅
力を発信するかこれからやってい
く必要がある。計量士が幅広い知
識をもって計量管理、工程管理、 小野 威計量士
品質管理を含めて、計量士は知識をもっていること
をアピールしていかねばならない。もっと魅力ある
資格としていくためにも計量士に会ったら、今後も
そういう話をしていただきたい。
◎田尻講師:ありがとうございます。
○廣瀬幸造計量士(愛知)
:吉川コーディネータから、
灯油販売偽証の件で消費者は質量
については厳しいが、容量につい
ては関心が薄いとの的確なご指摘
があった。
・髙島屋木谷氏からお客様は質量
については厳しいとの話があっ 廣瀬 幸造計量士
た。大手スーパーさんには、計量器を置いており、
シビアな奥さんは測っている。しかし、ドラム缶
に入れた内容量について確認する消費者はない。
1リットルの牛乳、30mlの乳飲料にメスシリン
ダーで量って確認する消費者はいないと思う。髙
島屋さんは容量系で行っている事例はあるか。
・JIS改訂に関して、状況を教えて欲しい。自分は、
自動はかり(ホッパー)を扱っている。田尻さん
への質問だが、自動はかりの区別は、検査や精度
を確認するときは比較的に静止状態で行ってい
る。コンベアスケール、オートチェッカー等はゴ
ム室の回転部分があり、それらの自動運転時の精
度というのは、どの程度縛られるのか、OIMLの
ある部分しかJIS化しないのか、充填用自動はか
り、重量選別機はかなりの精度が出るから問題な
いかと思うが、検討状況を教えて下さい。
◎木谷講師:国産品・輸入品で区別。輸入品は容器
自体のばらつきが多く、国産と違う。国産品は5本
位で重量のばらつきの有無、高さをチェック、おか
しいときは開封。当社オリジナルや新製品の場合は、
事前に容器を調達し、容量を計測している。量り売
りは、ml売りを実際には、g表示で販売している。
◎田尻講師:自動はかりのJISは本年度で充填用自
動はかりと選別機に関する調査研究が終わった。来
年度に原案作成の予定。OIML勧告をそのままもっ
てくることを検討中、例えば重量選別機では、同じ
も の を 流 し て 平 均 偏 差 と 標 準 偏 差 を 指 定 す る。
OIMLとまったく同じにするかどうかは来年度の話
であるが日本になじまない部分があれば変えるとい
う意見も出ている。そうならない可能性もある。
○渡邉正廣計量士(京都):自動
はかりのJIS化作業が進んでいる
とのことだが、ゆくゆくは計量法
の中の対象とするということか。
田尻さん個人としてどのような考
えであるかお聞きしたい。ヨーロ 渡邉 正廣計量士
計量ジャーナル Vol.35-1
13
ッパではロット単位で検査するが、日本では、個々
の商品を検査する規定であるが、その辺をどうする
のか。
◎田尻講師:ヨーロッパの規格をそのまま持ってく
るのが日本の量目の規制として正しいのかどうかは
検討事項。日本の規制は厳しい。不足を絶対許さな
い。個人的意見では、あまり規制してほしくないと
思っている。
何かで保証できる担保は必要であるが、
それは下流でやればいいことであって、上流からす
べて規制していく必要はあるのか。どこで押さえる
かは考えさせてほしいと思っている。
○髙德芳忠計量士(東京都)
:従来から自動はかり
について考えてきた。計量士をも
っと育てたい、計量法をもっと有
効なものであってほしいという観
点から詮索している。ホッパース
ケールの解説編に計量法では特定
の対象を直接、取引するものに限 髙德 芳忠計量士
定する。自動はかりは、専門技術者が調整管理しな
がら使用するものであるから、
取引証明の他に移す、
(取引・証明は、
特定計量器で行う。
)
書いてある。「特
定の計量士、専門技術者が検討して検査する」とい
うなかに私自身も含まれていると考えるが、JISの
方は、任意規格であって対象にならないとも聞いて
いる。自動はかりもやって欲しい。規定の方でどの
ように出てくるのか。
○吉川コーディネータ:自動はかりの検査その他、
計量士の業務拡大につながるものではないかという
ご意見であった。日計振としては 自動はかりの調
査検討委員会を設けており、その委員長である金井
さんからコメントをお願いします。
○金井一榮計量士(埼玉)
:
「自動はかりの計量管理
に関する調査検討委員会」の委員
長をしている金井です。自動はか
りに計量士がどの部分で関われる
かということを今委員会で話し合
っている。
規制するかしないかは別問題と 金井 一榮委員
して、田尻さんのお話にあるようにシステムの中に
組み込まれて使われているので、計量士がそこに単
体の機種だけ持ち込んでというのはもう古い。計量
士がもっと幅広く企業の利益につながる仕事をして
いくことが必要で、その面から自動はかりを考えて
いくことと思っている。
自動はかりは容器に詰める、チェッカーで選別す
る、或いは金属検出機等システム一体になっている
が、できた商品は消費者のところに直接いくわけだ
から、何らかの量の管理が行われている。その管理
は国際的にはORML R 87という量目規格がある。
それは行政機関が取締りのために使用する規格。も
ちろん企業がそれを厳しくすることで利用すること
はいいことだと思う。その辺も含めて、ハードから
ソフトも含めて管理ができる計量士をめざそうと思
っている。状況については、計量ジャーナルその他
14
日計振情報
でお知らせしていく。
現在、計量士が自動はかりにどのくらい関わって
いるのかが分からない。以前JIS化にあたり調査企
画をしたが、日計振の自動はかり検討委員会でもア
ンケート調査を考えており内容を検討中。4月頃に
お願いするかもしれない。是非ご回答いただけたら
と思う。
○吉川コーディネータ:法規制の中で上流下流とい
う話があったが、ウェイトチェッカーは、その意味
では最後の砦という認識があるが。
◎田尻講師:ウェイトチェッカーは、最後の砦とは
思っていない。重量選別機に関しては、最後の砦だ
と思っているし、そこに関してはある程度規制が必
要かと考えるが、OIMLをそのままもって来ること
がいいのかどうかに関しては、日本の量目を管理す
るのに適切な計量器の管理を考える必要があるだろ
うと思っている。
○横須賀健治計量士(神奈川):計量士は、法解釈
が1つの仕事。
「計量士さん、こ
れは法的にどうなのですか」と聞
かれることが大きい。決まるまで
は、公式な見解はこうであるとい
う場が欲しい。メーカーであった
り、市民の代表であったり、いろ 横須賀 健治計量士
いろな性格を持っているからそれに惑わされずこれ
からの時代、どういう計量管理制度が良いのかとい
う視点で実施して欲しい。
川崎に計量検査所がある。ここ半年ほど、近くの
学校帰りの小学生がその検査所に寄ってはかりを使
って遊んでから帰る。カバンの重さや鉛筆の太さが
これくらいなのだねと子供たちが認識していく、こ
れは素晴らしいことだと思っている。なかなか事例
を発表する機会がないので紹介した。市場の動きを
伝えることも大事な仕事ではないかと思う。
○塩﨑利平計量士(富山):計量器製造業の使命に
ついてだが、作る側も使うものも双方が損をしては
いけない。モノづくりは社会の利益に貢献できるも
の、また社会的損失を考えて作らなくてはならない。
積極的な計量士の働きの場は、そういうところにも
あるかと思う。
計量法第10条では、他の条文「適正な計量」と
異なり「正確に」という言葉を敢えて使っているが
特別な意味があるのか、三浦行政室長にお伺いした
い。
◆講評・助言◆
◎独立行政法人産業技術総合研究所 小谷野法定計
量科長:本日は様々な意見をお伺
いした。計量士という資格、今回、
品質管理と計量管理に関しての講
演で、従来の枠を越えた計量士の
役割や自動はかりに関して、いろ
い ろ な ご 意 見 を 伺 う こ と が で き 産業技術総合研究
た。こういうご意見を活かし、今 所 法定計量科長
度とも情報提供であるとか、産総 小谷野 泰宏氏
日・計・信・情・報
日計振情報
研で行っている教習において、計量士の皆さんのお
役に立てるように努力していきたい。
◎経済産業省 三浦計量行政室長:
“はかり”の性
能をどうやって維持していくかと
いう観点で様々な計量器に対する
規制がある。特に特定計量器とし
てその性能を義務化するという厳
しいところまでやっているものも
ある。一方で計量器を使って商売
計量行政室長
三浦 裕幸氏
をしている、取引についても規制
をしている。10条について、私の理解は、正に“は
かり”の性能をどうやって担保するかと言うところ
なので「正確な計量」
、
“はかり”の質を確保すると
いうことを規定しているのが第10条であって、
「適
正な計量」と他のところに書かれているのは、先ほ
ど灯油の販売の話があったが、商売している人がき
ちんと18ℓなら18ℓで売っているのかどうか、を
きちんと確保するのが適正な計量であると理解して
いる。
特定計量器の範囲はどんどん狭まってきており、
自動はかりが普及しているがこれをどうするか未だ
議論が不足している。無線を飛ばす等まったく違う
技術で計るものも出てきており、こういったものを
どうするかの議論も必要。
計量法のなかで一番力を入れているのは 上流で
計量器の性能をどうやって維持し管理していくかだ
と思っている。産総研でも試験をたよりに様々な性
能基準を細かく設置し、定期的に検査していくこと
に力点を置いてきたと思う。
一方で消費者の方は、どこに関心があるのかとい
えば、量目を満たしているか、計量法でいうところ
の適正な取引をどうやって確保していくかも大事で
ある。
品質管理の言葉が再三出てきているように、計量
だけで商品の価値が決まるという時代ではなくなっ
て来ている。様々な計量以外にも目を向けて、どこ
に関与していけるのかそれぞれで具体的に考えてい
かなくてはいけない。
はかりの定期検査の在り方、産総研が細かく規定
しているはかりの性能基準の在り方、JISの任意の
規格でずっと進めていくのがいいのか、どの部分を
特定計量器として規制していかなくてはいけないの
か、議論をしつつ前に進めていきたい。計量士大会
のような場で意見を言っていただくのは大事。それ
をさらに日計振で立ち上げる勉強会などの具体的な
取り組みに繋げていくことが肝要。行政室もその一
因を担っていると思うので今後とも皆様と一緒に進
めて行きたい。
●意見交換まとめ
○吉川コーディネータ:ご講評ありがとうございま
した。うまくまとまらなかった部分もあるが、意見
があればメール等で日計振に届けていただきたい。
これでフリーディスカッションの部を終わらせてい
ただく。二人の講演者の方々には誠実に回答してい
ただき、ありがとうございました。
<閉会挨拶>
桑山重光副部会長(東京都)が閉会の挨拶を行っ
た。
閉会の辞:計量士
部会副部会長
桑山 重光
Ⅱ 第2部 懇親会
末﨑 繁委員(福岡県)の司会
で進行した。
始めに主催者側として、楠 輝
雄副会長から挨拶があり、続いて
小中富雄京都府計量検定所長から
来賓のご挨拶をいただいた。
2部司会:末﨑 繁
委員
乾杯は、髙橋夏樹大阪計量士会
会長のご発声に
より全国各地か
ら参集した計量
士の懇談が進み
和やかな雰囲気
で大変盛況であ 来賓挨拶:京都府
主催者挨拶:日本
計量振興協会 副会長 った。
計量検定所長 小中
楠 輝雄
富雄氏
中締めは、小田勝造委員(山口県)が締めた。
乾杯:大阪計量士
会会長 髙橋 夏樹氏
中締め:小田 勝造
委員
(文責:推進部 計量士部会事務局 写真:日本計
量新報社提供&事務局)
計量ジャーナル Vol.35-1
15
平成27年度「何でもはかってみようコンテスト」
・
「計量啓発標語」募集のお知らせ
平成27年度計量記念日全国大会は、経済産業省、
審査及び各賞:「何でもはかってみようコンテス
計量記念日組織委員会の主催により、11月2日㈪
ト」審査委員会で審査し、以下の賞を選定します。
に開催する予定です。
○最優秀作品賞… 1点(賞状、賞品)
計量記念日組織委員会では、今年度も一般消費者
○優秀作品賞… 2点(賞状、賞品)
への計量教育と情報提供の拡大を図るべく、昨年度
○奨励賞…10点程度(賞状、他)
に引き続き下記の要領で「何でもはかってみようコ
発表:11月2日開催予定の計量記念日全国大会
ンテスト」及び「計量啓発標語」の募集を行います。
(東京)において、最優秀作品賞及び優秀作品賞の
皆様奮ってご応募ください。
何でもはかってみようコンテスト募集要項
小学生のみなさんへ
学校や生活周辺にある身近なものをはかって(計
受賞者の発表並びに表彰式を開催します。
主催:計量記念日組織委員会
後援:経済産業省(予定)
計量啓発標語募集要項
る、量る、測る)みると、意外な事実や発見に気付
計量記念日組織委員会では多くの方々に正確な計
くことがあります。そこで
「計量記念日組織委員会」
量への意識を高めていただくことを目的に、計量啓
では、全国の小学生の皆さんから「何でもはかって
発標語を募集します。
みよう」というアイディアを募集することで、
「は
応募対象:どなたでも応募できます。
かる」ことの楽しさや、その大切さを広げていきた
応募数:1名につき、1作品。
いと考えています。まずは、「はかってみたいと思
テーマ:正しい計量の大切さをアピールするもの
う物」を選び出して、いろいろと観察や工夫をして
応募方法:作品の他、郵便番号・住所・氏名・年
みてください。その「アイディア」と「実験の記録」
齢・職業(学校名など)
・電話番号・e-mailアドレ
を応募方法にしたがってお寄せいただくと、審査の
ス( お 持 ち の 方 ) を 記 入 し、 郵 送、FAXま た は
結果、優秀な作品には、下記の賞が贈られますので、
e-mailで応募してください。当協会のホームペー
多くの方からの応募を待っています。
ジより応募できます。
応募対象:日本全国の小学校の生徒。個人または
①書式は自由、未発表作品に限ります。
グループ(3名以内)
。
②応募作品は原則として返却しません。
応募数:1名又は1グループにつき1作品。
応募締切:平成27年9月7日㈪必着
テーマ:自由なテーマで、さまざまな方法や、考
審査及び各賞:計量記念日実行委員会で審査し、
え方によって、あるものをはかったことを表す作品
以下の賞を選定します。
とします。長さ、重さ、量、面積、時間、速さ、温
○最優秀作品賞…1点(賞状、賞品)
度、形、明暗、音の大小など、はかれるものは何で
○優秀作品賞…2点(賞状、賞品)
も対象として考えてください。昨年度の受賞作品例
○佳作…10点(賞状、他)
と、その具体的な内容については、当協会ホームペ
発表:11月2日開催予定の計量記念日全国大会
ージを検索して、ご覧いただけます。
応募方法:写真、図画、作文等によって、はかっ
(東京)において、最優秀作品賞及び優秀作品賞の
受賞者の発表並びに表彰式を開催します。
たもの、その方法、その結果、感想等をまとめ、紙
に書いて提出してください。当協会指定の応募用紙
計量記念日全国大会事務局/
さい。
一般社団法人日本計量振興協会 事業部
①未発表オリジナル作品に限ります。
〒162-0837 東京都新宿区納戸町25- 1
②応募作品は原則として返却いたしません。
TEL:03-3269-3259 FAX:03-3268-2553
③A 1サイズ以下の用紙を使用し、模造紙の場合は
e-mail:[email protected]
1枚以内にまとめてください。
協会ホームページ:http://www.nikkeishin.or.jp/
応募締切:平成27年9月7日㈪当日消印有効
16
〈応募先・お問い合せ先〉
に必要事項を記入のうえ、作品と一緒にお送りくだ
日計振情報
計量行政情報
─ 官 報 情 報 ─ 「平成26年12月1日~平成27年2月28日」
〇平成26年12月1日 独立行政法人産業技術総合研究
〇平成27年1月6日 日本電気計器検定所公告第26-19
所公告第37号
号
計量法第89条第1項の規定に基づく特定計量器の型式
電気計器の型式承認(平成26年12月15日承認)
承認(平成26年12月1日付)
【第3949号 普通電力量計 X2B-S1R アトラクト株
【第D1419号 seca GmbH & Co.KG 非自動はかり】
式会社 交流三相3線式 100, 200 30 50, 60】
〇 平 成26年12月3日 日 本 電 気 計 器 検 定 所 公 告 第
【第3950号 普通電力量計 X2B-S1R アトラクト株
26-18号
電気計器の型式承認(平成26年11月18日承認)
【第3946号 普通電力量計 ZJ1W-TA 細田貿易株式
会社 交流単相2線式 100 30 50, 60】
【第3947号 普通電力量計 M5AM-R 三菱電機株式
会社 交流単相2線式 100, 200 30 50, 60】
【第3948号 普通電力量計 B1MA-TAL 北海道計器
工業株式会社 交流単相2線式 100 30 50】
〇平成26年12月4日 独立行政法人産業技術総合研究
所公告第38号
計量法第76条第1項の規定に基づく特定計量器の型式
承認(平成26年12月4日付)
【第D1420号 株式会社デジアイズ 非自動はかり】
【第Q1418号 株式会社イマムラ アネロイド型血圧
計】
〇平成26年12月8日 独立行政法人製品評価技術基盤
機構公告第328号
計量法第143条第1項の規定に基づく同法第159条第1項
第21号の登録(平成26年10月23日登録分)
【0144 株式会社コスモス・コーポレーション 松阪
事業所 時間 時間・周波数測定器等】
〇平成26年12月12日 独立行政法人産業技術総合研
究所公告第39号
計量法第76条第1項の規定に基づく特定計量器の型式
承認(平成26年12月12日付)
【第K148号 株式会社竹中製作所 ガスメーター】
〇平成27年1月6日 独立行政法人産業技術総合研究所
公告第40号
計量法第76条第1項の規定に基づく特定計量器の型式
承認(平成27年1月6日付)
【第Q1419号 フクダ電子株式会社 アネロイド型血
圧計】
〇平成27年1月6日 独立行政法人産業技術総合研究所
公告第41号
計量法第89条第1項の規定に基づく特定計量器の型式
承認(平成27年1月6日付)
【第H148号 泰尓茂医療産品(杭州)有限公司 抵抗
体温計】
式会社 交流三相3線式 100, 200 120 50, 60】
【第3951号 普通電力量計 X2A-S1R アトラクト株
式会社 交流単相3線式 100 30 50, 60】
【第3952号 普通電力量計 I-210+n-R 日本高圧電気
株式会社 交流単相3線式 100 60 50, 60】
【第3953号 普通電力量計 I-210+n-R 日本高圧電気
株式会社 交流単相3線式 100 120 50, 60】
【第3954号 普通電力量計 I-210+n-R 日本高圧電気
株式会社 交流三相3線式 200 60 50, 60】
【第3955号 普通電力量計 I-210+n-R 日本高圧電気
株式会社 交流三相3線式 200 120 50, 60】
【第3849-1号 精密電力量計 WP3EP-R 三菱電機株
式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
【第3850-1号 普通電力量計 WP3EP-R 三菱電機株
式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
【第3851-1号 無効電力量計 WP3EP-R 三菱電機株
式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
【第3852-1号 最大需要電力計 WP3EP-R 三菱電機
株 式 会 社 交 流 三 相 3 線 式 110 5 50, 60 30, 60】
【第3853-1号 普通電力量計 WM3EM-R 三菱電機
株式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
【第3854-1号 無効電力量計 WM3EM-R 三菱電機
株式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
【第3855-1号 最大需要電力計 WM3EM-R 三菱電
機株式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60 30, 60】
【第3849-2号 精密電力量計 WP3EP-R 三菱電機株
式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
【第3850-2号 普通電力量計 WP3EP-R 三菱電機株
式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
【第3851-2号 無効電力量計 WP3EP-R 三菱電機株
式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
【第3852-2号 最大需要電力計 WP3EP-R 三菱電機
株 式 会 社 交 流 三 相 3 線 式 110 5 50, 60 30, 60】
【第3853-2号 普通電力量計 WM3EM-R 三菱電機
株式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
計量ジャーナル Vol.35-1
17
【第3854-2号 無効電力量計 WM3EM-R 三菱電機
株式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
【第3855-2号 最大需要電力計 WM3EM-R 三菱電
機株式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60 30, 60】
〇平成27年1月8日 経済産業省告示第2号
承認(平成27年1月19日付)
【第S142号 笠原理化工業株式会社 ガラス電極式水
素イオン濃度検出器】
〇平成27年1月23日 独立行政法人製品評価技術基盤
機構公告第334号
計量法第16条第1項第二号ロの規定に基づく同法第
計量法第143条第1項の規定に基づく同法第159条第1項
159条第1項第2号の指定(平成26年12月22日指定)
第21号の登録(平成26年12月11日登録分)
【28CN13 血圧計第1類 欧姆龍(大連)有限公司 第二工場】
〇平成27年1月8日 独立行政法人産業技術総合研究所
公告第42号
計量法第76条第1項の規定に基づく特定計量器の型式
承認(平成27年1月8日付)
【第D1421号 株式会社デジアイズ 非自動はかり】
【0273 島津システムソリューションズ株式会社 流
量計校正試験所 流量・流速 液体流量計】
【0047 株式会社東京精密 計測社 土浦工場 品質
保証部 校正業務室 長さ 形状測定器】
【0064 一般財団法人日本品質保証機構 中部試験セ
ンター 圧力 真空計】
【0140 菊水電子工業株式会社 品質保証部品質保証
【第D1422号 株式会社デジアイズ 非自動はかり】
課 電気(直流・低周波) 直流・低周波測定器等】
【第L148号 柏原計器工業株式会社 水道メーター】
【0140 菊水電子工業株式会社 品質保証部品質保
〇平成27年1月16日 独立行政法人製品評価技術基盤
機構公告第332号
証課 時間 時間・周波数測定器等】
〇平成27年1月28日 独立行政法人産業技術総合研究
計量法第143条第1項の規定に基づく同法第159条第1項
所公告第45号
第21号の登録(平成26年11月13日登録分)
計量法第89条第1項の規定に基づく特定計量器の型式
【0039 日本電気計器検定所 電気(直流・低周波)
直流・低周波測定器等】
【0096 株式会社共和電業 生産本部 標準器室 電
気(直流・低周波)
直流・低周波測定器等】
【0064 一般財団法人日本品質保証機構 中部試験セ
ンター 体積 液体体積計】
【0170 株式会社小野測器宇都宮 品質管理ブロック 流量・流速 液体流量計】
【0201 山陽機器検定株式会社 水島工場 流量・流
速 液体流量計】
【0029 一般財団法人日本品質保証機構 計量計測セ
ンター 電気(高周波)レーザーパワー測定器等】
【0029 一般財団法人日本品質保証機構 計量計測セ
ンター 温度 接触式温度計】
【0055 沖エンジニアリング株式会社 計測事業部 時間 時間・周波数測定器等】
【0317 株式会社センサスヤマモト 校正室 圧力 圧力計】
【0318 有限会社小林サイエンス 校正室 質量 は
かり】
【0268 株式会社新興度量衡製作所 校正部 質量 分銅等】
〇平成27年1月19日 独立行政法人産業技術総合研究
所公告第43号
計量法第89条第1項の規定に基づく特定計量器の型式
承認(平成27年1月19日付)
【第H149号 欧姆龍(大連)有限公司 抵抗体温計】
【第D1423号 seca GmbH & Co.KG 非自動はかり】
〇平成27年1月19日 独立行政法人産業技術総合研究
所公告第44号
18
計量法第76条第1項の規定に基づく特定計量器の型式
計量行政情報
承認(平成27年1月28日付)
【第H151号 VEGA TECHNOLOGIES INC. 抵抗体
温計】
〇平成27年1月28日 独立行政法人産業技術総合研究
所公告第46号
計量法第76条第1項の規定に基づく特定計量器の型式
承認(平成27年1月28日付)
【第D151号 大和製衡株式会社 非自動はかり】
〇平成27年2月3日 独立行政法人産業技術総合研究所
公告第47号
計量法第89条第1項の規定に基づく特定計量器の型式
承認(平成27年2月3日付)
【第Q151号 ZOLL Medical Corporation アネロイ
ド型血圧計】
〇平成27年2月4日 独立行政法人製品評価技術基盤機
構公告第335号
計量法第168条の5第1号の規定に基づく同法第121条の
2の認定(平成27年1月8日認定分)
【N-0060-02 公益財団法人ひょうご環境創造協会 ・
大気中のダイオキシン類 ・水又は土壌中のダイオキ
シン類 認定期限2018年1月7日】
〇 平 成27年2月17日 日 本 電 気 計 器 検 定 所 公 告 第
26-20号
電気計器の型式承認(平成26年1月22日承認)
【第3956号 普通電力量計 S1PS-RS17V 東光東芝
メーターシステムズ株式会社 交流単相2線式 100, 110, 200, 240 5 50, 60】
【第3957号 普通電力量計 S2PS-S17V 東光東芝メ
ーターシステムズ株式会社 交流単相3線式 100 5 50, 60】
計量行政情報
【第3958号 精密電力量計 SP3PS-RS17V 東光東芝
メーターシステムズ株式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
【第3959号 普通電力量計 S3PS-RS17V 東光東芝
メーターシステムズ株式会社 交流三相3線式 100, 110, 200 5 50, 60】
【第3960号 無効電力量計 SV3PS-RS17V 東光東芝
メーターシステムズ株式会社 交流三相3線式 110 5 50, 60】
【第3761-2号 特別精密電力量計 FH3EG-R GE富
士電機メーター株式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60】
【第3762-2号 普通電力量計 FH3EG-R GE富士電
機メーター株式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60】
【第3763-2号 無効電力量計 FH3EG-R GE富士電
機メーター株式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60】
【第3764-2号 最大需要電力計 FH3EG-R GE富士
電 機 メ ー タ ー 株 式 会 社 交 流 三 相 3 線 式 110, 5 50, 60 30, 60】
【第3741-2号 精密電力量計 FP3E14-R GE富士電
機メーター株式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60】
【第3742-2号 普通電力量計 FP3E14-R GE富士電
機メーター株式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60】
【第3743-2号 無効電力量計 FP3E14-R GE富士電
機メーター株式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60】
【第3744-2号 最大需要電力計 FP3E14-R GE富士
電 機 メ ー タ ー 株 式 会 社 交 流 三 相 3 線 式 110, 5 50, 60 30, 60】
【第3745-2号 普通電力量計 FM3E14-R GE富士
【第3853-3号 普通電力量計 WM3EM-R 三菱電機
株式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60】
【第3854-3号 無効電力量計 WM3EM-R 三菱電機
株式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60】
【第3855-3号 最大需要電力計 WM3EM-R 三菱電
機株式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60 30, 60】
〇 平 成27年2月17日 日 本 電 気 計 器 検 定 所 公 告 第
26-21号
電気計器の型式承認(平成26年1月26日承認)
【第3961号 普通電力量計 S43S-TL 東光東芝メー
タ ー シ ス テ ム ズ 株 式 会 社 交 流 単 相 3 線 式 100, 120 50, 60】
【第3962号 普通電力量計 S43S-TL 東光東芝メー
タ ー シ ス テ ム ズ 株 式 会 社 交 流 単 相 3 線 式 100, 120 50, 60】
【第3963号 普通電力量計 S43WS-TL 東光東芝メ
ーターシステムズ株式会社 交流単相3線式 100, 120 50, 60】
【第3964号 普通電力量計 S43S-TL 東光東芝メー
タ ー シ ス テ ム ズ 株 式 会 社 交 流 三 相 3 線 式 200, 120 50, 60】
【第3965号 普通電力量計 S43S-TL 東光東芝メー
タ ー シ ス テ ム ズ 株 式 会 社 交 流 三 相 3 線 式 200, 120 50, 60】
【第3966号 普通電力量計 S43WS-TL 東光東芝メ
ーターシステムズ株式会社 交流三相3線式 200, 120 50, 60】
〇 平 成27年2月26日 日 本 電 気 計 器 検 定 所 公 告 第
26-22号
電気計器の型式承認(平成26年2月9日承認)
【第3967号 普通電力量計 D23WD-TA 大同日本株
式会社 交流単相2線式 100, 30 50】
【第3968号 精密電力量計 SP4PS-RS17V 東光東芝
電 機 メ ー タ ー 株 式 会 社 交 流 三 相 3 線 式 110, 5 メーターシステムズ株式会社 交流三相4線式 110
50, 60】
/√3 110, 240 5 50, 60】
【第3746-2号 無効電力量計 FM3E14-R GE富士
【第3969号 普通電力量計 S4PS-RS17V 東光東芝
電 機 メ ー タ ー 株 式 会 社 交 流 三 相 3 線 式 110, 5 メーターシステムズ株式会社 交流三相4線式 110
50, 60】
/√3 ,100, 110 240 5 50, 60】
【第3747-2号 最大需要電力計 FP3E14-R GE富士
電 機 メ ー タ ー 株 式 会 社 交 流 三 相 3 線 式 110, 5 50, 60 30, 60】
【第3749-3号 精密電力量計 WP3EP-R 三菱電機株
式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60】
【第3750-3号 普通電力量計 WP3EP-R 三菱電機株
式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60】
【第3751-3号 無効電力量計 WP3EP-R 三菱電機株
式会社 交流三相3線式 110, 5 50, 60】
【第3752-3号 最大需要電力計 WP3EP-R 三菱電機
株 式 会 社 交 流 三 相 3 線 式 110, 5 50, 60 30, 【第3970号 無効電力量計 SV4PS-RS17V 東光東芝
メーターシステムズ株式会社 交流三相4線式 110
/√3, 110 240 5 50, 60】
【第3830-3号 普通電力量計 M5KM-RAL 三菱電機
株式会社 交流単相3線式 100, 60 50, 60】
【第3831-3号 普通電力量計 M5KM-RL 三菱電機株
式会社 交流三相3線式 200, 60 50, 60】
【第3856-4号 普通電力量計 M5KM-RL 三菱電機株
式会社 交流単相3線式 100, 120 50, 60】
【第3857-4号 普通電力量計 M5KM-RL 三菱電機株
式会社 交流三相3線式 200, 120 50, 60】
60】
計量ジャーナル Vol.35-1
19
計量行政情報
─平成26年度全国計量行政会議─
平成26年2月5日㈭、経済産業省本館地下2階講堂に
おいて、経済産業省、
(独)産業技術総合研究所、(独)
製品評価技術基盤機構、都道府県計量検定所、特定市計
量検査所、(一財)日本品質保証機構、日本電気計器検
はかり、ガスメーター、騒音計等、計7器種について
JISを引用予定。
JISの整備で、平成27年度に公示予定のものは、「大
気中及び排ガス中のガス濃度計」他1件の制定であり、
定所、当協会が出席し、上記会議が開催された。
これらのJISの検則への引用をもって全特定計量器が
JIS化される。その他、「家庭用はかり」及び特殊容器
製造事業に関するJISが平成27年度に改正公示予定。
また、自動はかりのホッパースケールのJISが平成27
年度に公示予定。
②独立行政法人通則法の一部改正に係る整備政令の施
行に伴うハネ改正
第1部:報告事項
1 各委員会における審議事項及び活動報告につい
て(抜粋)
⑴ 3委員会に関する計量行政室の取り組み
①古紙回収システムに対する行政指導について
②電気式はかりの消費税計算機能の変更について
③届出製造事業者データベース化の整備状況及び今後
の予定
他 2件
⑵ 法令解釈委員会
①経済産業省組織改編に伴う「計量法関係ガイドライ
ン集」改訂
②地方自治法による計量行政の事務の委託
③届出製造事業者の届出略号に係る関係機関への通知
廃止
他 9件
⑶ 技術委員会
①体温計に係る非法定計量単位の表示について
②検則改正及び関連法令等の整備に係る概要及び今後
の予定
③JISの整備状況及び今後の予定
他 20件
⑷ 適正計量委員会
①平成26年度全国一斉商品量目立入検査の実施につい
て
②商品量目制度の円滑な運用について(適正計量委員
会分科会設置関係)
他 3件
2 経済産業省からの連絡・報告について
⑴ 計量行政審議会の開催状況等
①本審議会、②基本部会、③計量標準部会
開催なし。
④計量士部会
平成26年6月18日、11名(一般10名、振動・騒音0
名、濃度1名)
、平成26年12月18日、17名(一般14名、
振動・騒音1名、濃度2名)を計量士として認定。
⑵ 計量法関係法令の最近の動きについて
①JISの整備及び関連省令への引用改正について
これまで、特定計量器のJISを順次検則等に引用す
る省令改正を行ってきているが平成26年度は、非自動
20
計量行政情報
現在の「独立行政法人産業技術総合研究所」は、
「国
立研究開発法人産業技術総合研究所」に名称が変更さ
れる。施行日は、平成27年4月1日を予定。
③地方自治法施行令の一部を改正する政令の試行に伴
うハネ改正
現行制度の特例市は、中核市と統合され、廃止され
る。これに伴い、計量法上の特定市の要件が変更とな
る。特例市の廃止に関する事項は、平成27年4月1日
に施行予定。
⑶ 計量行政室の取組について
①計量行政機関で実施される会議体のあり方の見直し
常設3委員会(法令解釈、技術、適正計量)のあり
方を見直すことを提案。例えば各委員会の開催時期、
各委員会の設置要領、迅速対応のメール会議等導入な
ど、見直しの完了は6月を目途に設定し、検討を行う。
また、都道府県協、特定市協においても、全国計量
行政会議と各地区ブロック会議を結びつけ、連携する
仕組みの導入を検討する。
②関係機関との連携強化
計量行政をより円滑に執行していくため、都道府県
や特定市、他省庁、(独)産業技術総合研究所や(独)
製品評価技術基盤機構、(一財)日本品質保証機構等
の計量法業務執行機関を始め、(一社)日本計量振興
協会や(一社)日本計量機器工業連合会、
(一社)日
本環境測定分析協会等の業界団体、農林水産消費安全
技術センター等の他省庁所管団体とも相互の連携を図
る。
③事後規制の取組み
海外輸入品の増加に伴い、計量法に違反している事
例について、是正措置を講じるための取組を行う。
④その他
計量記念日式典における大臣表彰・局長表彰の基準
の見直し他。
⑷ 国際関係
計量行政情報
①第48回国際法定計量委員会(CIML)年次委員会 オ
ークランド(ニュージーランド)
新規加盟、開発途上国支援、地域法定計量機関との
連 携、 勧 告 文 書 の 承 認(R35、R50、R117、R139)、
MAA制度等。次回会合、2015年パリで予定。
②CIML包装商品技術委員会(TC6)ソウル(韓国)
R79の6次案審議、R87の4次案審議、包装商品認
証制度の制度要件ガイドライン1次案審議等。次回会
合、2015年予定(場所未定)
。
③第25回国際度量衡総会(CGPM)ベルサイユ(フラ
ンス)
国際単位系(SI)の将来の改訂、CIPM委員の選出、
国際度量衡局の年金準備基金、2016年~ 2019年の分
担 金、CIPM相 互 承 認 協 定 の 重 要 性 等。 次 回 会 合、
2018年パリで予定(国際単位定義改訂の決議が予想さ
れる)
。
④第20回アジア太平洋法定計量フォーラム(APLMF)
ウェリントン(ニュージーランド)
6つの作業部会(WG)の報告。次回会合、2015年
米国で予定。
⑤日中計量標準会合
中国側事情により、開催延期。次回会合、2015年日
本で予定。
⑥第36回日韓計量計測標準協力委員会 ソウル(韓国)
参加機関の年次報告・意見交換及び法定計量分野で
の協力の可能性の意見交換。
⑦インド法定計量関係者の研修受入れ(予定)
2015年2月22日~3月14日にインドの法定計量責任
者を招聘する。
⑧海外調査(水素ガス、圧縮天然ガス等)
(予定)
2015年2月8日~ 13日に米国で、燃料電池自動車
の普及、水素ガスステーションの整備状況、水素ガス
及び圧縮天然ガス取引の計量規制の実態調査。
⑸ 計量法における事業者の指定・認定
①指定製造事業者の指定状況
平成26年1月15日時点 国内123件、外国29件
②MLAP(特定計量証明事業者)の認定状況
平成27年2月現在 101件
③JCSS(校正事業者)の登録状況・JCSS校正証明書
の発行件数
平成26年9月末現在 262登録事業者
平成25年度 約48万件の校正証明書発行
⑹ 平成26年計量士国家試験の実施について
平成27年3月1日、全国9地区において実施。出願者
数8,056名(一般1,485名、
濃度5,149名、
騒音・振動1,422名)、
前年比96.1%
⑺ 計量法上の特定市町村について
(平成27年2月現在)
政令指定都市20市、中核市42市、特例市41市、その他
22市の合計125市
3 (独)産業技術総合研究所からの連絡・報告に
ついて
⑴ 計量標準総合センター(NMIJ)報告
平成26年度は、産総研の第三期中期計画(平成22年度
より5年間)の最終年度にあたり、計量の信頼性を通し
て中期計画が目標とするグリーンイノベーションやライ
フイノベーションの推進を達成すべく、計量標準の開発
と関連業務を進めている。
グリーンイノベーション分野では、水素エネルギー、
燃料電池などの新グリーンエネルギー源の開発及び評価
に必要な計測標準の開発を進めた。ライフイノベーショ
ン分野では、高出力、高音圧を利用した医療用超音波診
断・治療機器効果および安全性評価に必要な強力水中超
音波標準の開発などを進めた。
産業の国際展開に資する標準整備の分野では、超高周
波帯電力国家標準器の開発、90°以上の垂直側壁測定が
可能な測長AFMの開発、300 mmの測定範囲で10nmの
不確かさを実現した平面度測定など、世界に先駆けた標
準を整備し、産業界を支援した。
法定計量分野では、基準器検査、型式承認試験等、計
量法に基づく諸業務を進める一方、OIML MAA制度に
基づく適合証明書を発行するとともに、OIML適合証明
書あるいはNMIJ依頼試験証明書を活用した非自動はか
りの型式承認が効果的に実施されるよう活動している。
平成26年4月から、関西センターにて実施していた法
定計量業務をつくばセンターに集約して実施し、法定計
量業務の内容やサービス向上に繋げている。
⑵ 計量研修センター報告
平成26年度は、計量教習等検討特別委員会での議論と
計量教習等の運営に関するアンケート結果に基づき「新
任所長教習」と「幹部職員教習」を廃止し、代わりに「新
任管理職教習」を来年度に新設する。また、特定市向け
に2週間程度の短期計量特定教習(仮称)を計量行政機
関に対し提案中である。
計量研修センターが実施する計量教習等については、
平成27 年度計量教習計画(案)に基づき実施する予定
である。
4 都道府県計量行政協議会からの協議会活動報告
平成26年度の都道府県計量行政協議会総会、地区世話
人会等の開催状況。事業内容(都道府県計量関係職員名
簿の作成、アンケートによる情報収集等)。
5 全国特定市計量行政協議会からの協議会活動報
告
平成26年度の全国特定市計量行政協議会全国会議、役
員会議、地区会議等の開催状況。その他の主な事業等。
第2部:全体でテーマごとの自由討議
昨年に引き続き自由討議を実施。参加者(184名)は、
事前の希望に基づいて5つのテーマ(①検査業務のあり
方、②計量制度の普及・啓発のあり方、③人材育成、④
全国計量行政会議及び常設3委員会と各自治体における
地区ブロック会議のあり方、⑤地方自治体間の連携)ご
とにグループを構成して、全員参加で約1時間にわたり
討議を行った。討議終了後に、各テーマの代表者が、担
当テーマの討議の内容を報告した。
以上
計量ジャーナル Vol.35-1
21
計量行政情報
─全国特定市計量行政協議会について─
「全国特定市計量行政協議会」は
計量行政に関し、都市相互間において緊密な連携を保
ち適正な計量の実施を確保し、経済の発展及び文化の向
上に寄与することを目的として、全国125の特定市で組
織しています。
当協議会は、昭和27年に21市が特定市の指定を受けた
ことから始まり、全国会議も翌年から毎年開催されてい
ます。規約が整ったのは昭和36年、会長が選出されたの
は昭和37年度以降(昭和36年度までは世話人)となって
います。
事業
⑴ 都市計量行政の緊密かつ円滑な連絡
⑵ 計量に関する指導及び取締の調査及び知識の交換並
びに広報活動
項を各地区の正幹事市を通じて全特定市に連絡します。
⑶ 計量器検査の技術等の研修
⑶ 表彰
⑷ その他本会の目的を達成するために必要な事業
当該年度の7月1日現在に、満10年以上、計量職員と
組織構成
して勤務していた者等を対象に全国会議の場において表
計量法上の特定市は現在
(平成27年2月)
125市です。
「政
彰を行います。
令指定都市」
(政令で指定する人口50万人以上の都市)
⑷ 予算・決算・会費の徴収及び配分
20市、
「中核市」
(人口30万人以上)42市、
「特例市」(人
1市あたり年1万8千円の会費を徴収し、うち1市あた
口20万人以上)41市、その他「特定市の計量権限を自ら
り8千円を地区活動費として配分し、残りの金額を協議
実施するため指定を受けた都市」が22市あり、これら特
会の運営費に充てます。
定市が「全国特定市計量行政協議会」を組織しています。
⑸ 「全国特定市名簿」「特定市情報」の発行
役員
副会長市が作成します。
「全国特定市名簿」には特定
会長・副会長を出す担当地区が、順次、2年度ごとに
市の連絡先、計量関係関職員の職氏名及び計量行政機関・
回ります。平成26・27年度は南部地区が担当地区にあた
関係団体の連絡先等が記載されています。
り、会長市が福岡市、副会長市が長崎市と下関市で努め
「特定市情報」には、地区会議を始め、各会議の議事
ます。
録や特定市だより、投稿記事などが記載されます。
また、各地区の正・副幹事市及び会計幹事市も2年周
⑹ 「全国計量行政会議常設委員会」等への委員の派遣
期で変わっていきます。
会議の種類
各地区の正・副幹事市については各地区で協議され、
⑴ 全国会議
(概ね輪番で)選出されています。
22
協議会内部の連絡等並びに計量行政室等からの連絡事
全国会議は年1回(例年2月)開催され、平成15年度
会計幹事市については担当地区から1市、次期担当地
までは各地区の持ち回りで開催しておりましたが、平成
区から1市を選出されるのが慣例になっています。
16年度以降は開催地を東京都内に固定しています。
役員の業務
⑵ 役員会議
⑴ 全国会議及び役員会議の実施
役員会議は、年1回以上開催とされ、会長が必要に応
平成26年度の全国会議及び役員会議は平成27年2月4日
じて召集します。
㈬に千代田区の都市センターホテルにおいて実施しまし
⑶ 地区会議(ブロック会議)
た。
地区会議は、各地区会により運営され、会議は年1 ~
⑵ 連絡・調整
2回で概ね輪番で開催されています。
計量行政情報
計量行政情報
地区会
務か、職員か嘱託職員か再任用であるか)、業務内容
(計
地区会は、全国6地区(北海道、東北、関東甲信越、
量器の定期検査が直営か外部委託か)
、研修受講体制
中部、関西、南部)に分割し、会長市及び副会長市の選
(長期研修か短期研修か又は研修無しか)の違いが顕
出に関する事項、全国会議等に選出する議題の選定及び
常設委員会委員の選出等について、各地区で要領を定め
著で議論がかみ合わない場合があります。
⑶ 計量行政が機関委任事務から自治事務に移行されて
運用することとされています。
から、全国に影響するような課題に対して、統一した
課題
解釈が困難になる事が生じております。
⑴ 昭和27年に21市で発足したのが、約60年間で特定市
⑷ 各市とも予算が毎年切り詰められ、研修費、出張費
の数は6倍に増加し、連絡調整だけでも相当の事務負
が削られて全国会議にも出席できない市も出てきてい
担がかかります。
る状態です。
⑵ 特定市ごとの人員体制(配置人数の多少、専任か兼
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計量ジャーナル Vol.35-1
23
計 行 活 量 政 動
東京都の計量技術講習会について
東京都計量検定所
東京都計量検定所では、
適正計量管理事業所の計量士、
でした。
計量管理主任者及び実務担当者等を対象とした計量技術
この度、講習内容の概要について、お忙しい中、高栁
講習会を毎年開催しています。
講師及び吉野講師にご執筆いただきましたので掲載いた
適正計量管理事業所における計量管理意識の高揚・計
します。
量管理の推進及び計量管理体制の強化を図ることを目的
としています。
「電子式はかりの点検と管理」
メトラー・トレド株式会社 一般計量士
この講習会の歴史は古く、旧計量法時代の計量器使用
高栁 庸一郎
事業場制度であった昭和56年から事業を開始し、平成9
年までは計量基礎技術講習会として、主として経験が浅
い計量担当者を対象として実施していました。
1.はじめに
以降、計量技術講習会に名称を変え、受講対象を非適
質量計としての電子式天びん(以下、天びんと云う)
正計量管理事業所の品質管理部門の計量担当者などに広
の精度管理プロセスは、“実際的な計量『値』を検証作
げるとともに、一般社団法人東京都計量協会計量管理研
業により管理基準と照合”、“機器仕様に見合った達成可
究部会様や東京計量士会様などを通じて周知を依頼し現
能な自主管理基準(プロセストレランス)の設定”
、
“質
在に至っております。過去5年の講習内容は表のとおり
量標準に相当する分銅を用い、点検・検査SOPによる計
です。
量『器』の評価”、そして“トレーサブルな記録”によ
って構築され不適合な計量結果(生産現場では不適合品
表 計量技術講習会の開催状況
年度 開催日
内 容
場 所 人数
22
H22.
10.10
①JIS B7611-2:2009試験方法 東京都
②適正計量管理事業所の手引き 計量検
(改定)解説
定所
23
H24.
1.19
①基礎的な実用基準分銅の作成 〃
手順
②天びんの日常点検
③実用基準分銅の作成実演
38
24
H25.
1.24
①はかりの制度と計量管理
②はかり用語JISについて
〃
31
25
H25.
11.21
①非自動はかりのJIS改正
②最近の計量行政
〃
35
26
H27.
1.22
①電子式はかりの点検と管理
②量目制度の展望について
〃
25
40
の管理)を予防するためのシステム、さらに定期的なプ
ロセス改善の機会も盛り込まれていることが望ましい。
本稿では、本会の講習の概要を示すとともに、精度管
理プロセスを安定的な運用にするために関わる方々の技
能維持を目的として教育訓練プログラムのサポートにつ
いても最後に言及したい。
さて、平成26年度は、メトラー・トレド㈱計量標準ビ
ジネスマネージャーの高栁庸一郎氏(一般計量士)
、㈱
大丸松坂屋百貨店及び㈱新興度量衡製作所の吉野博氏
(一般計量士)両氏を講師にお招きし、それぞれ「電子
式はかりの点検と管理」
、
「量目制度の展望について」に
ついてご講義いただきました。
受講者の主な業種は、流通業では、百貨店、スーパー、
市場など、生産業では、食品製造、医薬品製造、運送業
など幅広い業種でご活躍されている皆様に受講いただき
ました。受講者数は、19社25人(適管17人、非適管8人)
24
計量行政活動
2.計量管理のポイントレビュー
・使用環境~外部規制、計量関連法令
・メンテナンス~スキーム、検査周期
・計量ガイドライン~管理基準・方法
製造及び研究開発など質量評価に対する精度管理プロ
では、“精密さ”におけるバラツキ評価)』の双方を根拠
セスは、不適合な測定結果に対するリスクベースアプロ
とする必要がある。その効果は例えば、微小な正味重量
ーチを前提とし、その運用はPDCAサイクルにより測定
を測定する際の特徴的な計量リスクに対する点検項目な
結果の重要度に見合った必要最低限の規定化を想定して
どを設定するための有効な要因となる。質量値の標準供
いる。また計量計測トレーサビリティが確保され、計量
給の観点から、この点検に使用する分銅はプロセストレ
アプリケーションに見合った検査・校正の実施、現実的
ランスに対して適正な精度と公称値を選定し、根本の分
なデータに基づいて設定された周期(日間または月間、
銅自身の精度管理のための保管方法も必ず運用規定に定
四半期間)による、天びん使用者が行う日常的不具合検
めておく必要がある。
出のための自主点検の実施、それに伴い自身の要求事項
に対して適合判断の記録を行い、定期的にプロセス全体
4.質量比較器(マスコンパレータ)の自主管理
の最適化を図る。
・計量特性~計量器・計量値の評価・要因
ユーザーが参照すべき計量ガイドラインの適用につい
・分銅検査~校正、実用基準作成・調整の概要
ては、単純に参照可能なもの以外、例えば最小表示が
・質量比較器の自主管理・点検方法~繰り返し性、感
1㎎未満の天びんなど公知の参照規格として該当しない
度や偏置誤差の評価
型式に対しては、妥当な管理方法を構築するためのポイ
天びんを検査するため、質量値参照用の標準分銅とし
ントとして、計量アプリケーションに対する外的要因の
て厳密な評価を必要とする実用基準の作成・調整、また
把握、正味量を想定とした測定結果の適合性判断となる
はJCSS校正に使用される機器としての質量比較器は、
基準の設定、機器のメンテナンスシフトの確立、機器仕
環境変動に対する感度ドリフト、置換ひょう量法による
様の最適な選択(既存型式であれば導入に至る動機)を
比較測定の繰り返し性の安定精度が特に重要であり、点
明確にすることが必要と考える。
検項目は実際のアプリケーション(ここでは、分銅検査)
に対してSOPを定めることが適切である。実際の分銅検
3.天びん・はかりの自主管理
査プロセスに関しては、機器仕様によっては再現性の確
・質量計の計量特性
保として、実際の比較測定の反復にも適切な回数の規定
・点検方法
・管理基準~プロセストレランス
不具合な質量結果を得てしまうリスクを最小限にする
計量プロセスは、不適合な結果を展開したことによるコ
ストと予防にかかるコスト(管理基準に十分満足する測
定技能の維持にかかるコストを含む)の相関関係、そし
てその工数の対業務インパクトも配慮し構築されるべき
である。リスクベースアプローチにおける天びんの管理
は、機器の計量特性(ここでは、
”正確さ”からのカタ
ヨリ)と外乱を含めた要因群に対して、理想的な推定値
に対する曖昧さを数値化に置き換えた『不確かさ(ここ
計量ジャーナル Vol.35-1
25
が必要ある。分銅検査結果の信頼性の確保や計量計測ト
玉県及び神奈川県で開催された農林水産省主催の講習会
レーサビリティの確保などグローバルスタンダードを意
「平成23年度 食品事業者表示適正化技術講座」で配布
識した運用方法に対して、技術要員に対する要求や測定
されたメインテキスト(農林水産省 消費・安全局 表
方法の妥当性確保、表明する結果の品質保証が網羅され
示・規格課発行)の中の計量法に関係する部分(抜粋)
ているISO/IEC 17025を参照することを推奨する。
を記しました。
5.最後に
【資料1】
外部規制に応じた精度管理に対する要求と機器の理想
的なパフォーマンス、そして携わる方々の技能維持、こ
れらがより良い相互関係を保てるようこれからも積極的
な情報共有に努めたいと考えております。そのような背
景をもとに現在、当社のサポート活動の一環として、基
礎から応用まで目的別講習プログラムを設け、関連計量
技術のみならず最新の規制動向や盛り込んだコンテンツ
を各業界分野に合わせて提供しております。是非、教育
訓練の場としてこのような機会を活用し理想的な計量プ
ロセスの構築に役立てていただければ幸いと思います。
○食品事業者が知っておくべき食品表示の基本(メイン
テキスト6頁下段)
【計量法に基づく表示規制】
目的
適正な計量の実施
規制対象
密封をした特定商品の販売に係る計量に関する政
令第5条に定める商品(食肉、野菜、魚介類、灯
油など28種類)※1
表示すべき
事項
内容量、表記する者の氏名または名称および住所
表示方法
販売事業者がその特定商品を密封するときは、量
目公差(政令で定める誤差)を超えないように内
容量を計量しなければならない。
罰則等
所管府省
勧告、公表、命令、50万円以下の罰金
経済産業省が所管、勧告等は都道府県知事または
特定市町村(政令で定める市町村または特別区)
の長が行う。
※1の表現では、「計量法第13条第2項」が表記されていないため、計
量法を知らない受講者(大多数)に、
「政令第5条に定める特定商品」
以外は内容量、表記する者の氏名または名称および住所の規制を受
けないと解釈されてしまう可能性があります。この表現を、規制対
象を政令でなく、計量法第13条と書き改めれば間違いは起きないと
考えられます。
ちなみに、東京都では毎年、「食品の適正表示推進者
育成講習会」テキスト(編集・発行 東京都 福祉保健
局健康安全部食品監視課)を独自で作成しています。
【資
料2】にその抜粋を記しました。ここでは、政令第5条
の商品だけが表記規制の対象でないことを丁寧に説明し
ています。
【資料2】
○計量法に基づく表示(テキスト74頁)
⑴ 商品量目に関する法規制
ア 密封販売する特定商品の内容量表記義務
計量法(以下、
「法」という。)第13条第1項において、
「特定商品の販売に係る計量に関する政令(以下、
「政
令」という。)で定める特定商品の販売事業を行う者が、
「量目検査手法の確立に向けて」
その特定商品をその特定物象量に関し密封するとき
株式会社大丸松坂屋百貨店 一般計量士
は、量目公差を超えないように計量をして、その容器
吉野 博
又は包装に特定商品の販売に係る計量に関する省令
近年、密封された生鮮農産物を計量単位で販売してい
る商品に計量法違反が疑われるものが目に付きます。な
ぜ今、このような状況が生じているのかを食品表示に関
する規制の動きと共に考えてみました。
【資料1】に埼
26
計量行政活動
(以下、
「省令」という。
)で定めるところにより、こ
れを表記しなければならない。」とされています。
特定商品の販売に係る計量に関する省令では、
・見やすい箇所に
・見やすい大きさと色で
・1万以上とならないような法定計量単位・記号
(例:10000g→10㎏)
注2 量目公差は、実際の量が表示量より少ない場合
(量目不足)に適用されます。また表示量が5
で表記すると規定されています。
グラム(ミリリットル)以上(5g以下は規制外)
、
イ 政令で定める内容量を表記すべき特定商品
政令別表第1第4欄の上限値以下に適用されま
法に基づき内容量の表示が必要な食品は、密封され
す。
たものであって、政令別表第1にあるものでかつ政令
第5条で指定された食品(物象量標記義務商品と呼ば
法第13条第3項に基づく届出方法は政省令、解釈集を
れている特別な特定商品)です。
見ても全く見当たりません。拠り所は関係条文(旧法第
ウ 政令で定める内容量を表記すべき特定商品以外
77条と現行法第13条)が同じ内容であることから旧法通
政令で定める特定商品以外の特定商品の販売事業を
達集からその解釈を読み取ることが出来ます。
行う者が、その特定商品をその特定物象量に関し密封
昨年来、内閣府消費者庁において食品表示の一本化を
をし、かつ、その容器又は包装にその特定物象量を法
進めています。群馬県内で起きた冷凍食品農薬混入事件
で定める計量単位により表記するときは、量目公差を
(アクリフーズ食品関係)以来、消費者庁では製造所固
超えないように計量をし、かつ、その表記は省令で定
有記号運用について改革を名言しています。まさしく旧
めるところによらなければなりません(法第13条第2
法第77条関連通達に記載のある委託工場での記号(計量
項)。
法では氏名等の付記)使用見直しが議論されて本年6月
までに府令(新食品表示基準)が公布されます。
エ 表記する事項
内容量のほか、表記する者の氏名又は名称及び住所
計量法第13条第3項の解釈運用との整合性をどう図る
です(法第13条第3項)
。
のか注目されるところです。
(いわゆる、製造者固有記号に相当する計量法規制
(氏名の付記)
)
オ 輸入販売する特定商品
輸入の事業を行う者に対し、法第13条第1項、第2項
及び第3項が準用されます(法第14条第1項~第3項)。
カ 正確な計量等
法で定める計量単位(グラム、ミリリットル等)に
より取引又は証明における計量をする者は、正確に計
量をするよう努めなければなりません(法第10条第1
項)
。
(以下法第11条説明省略)
キ 特定商品と量目公差
政令第1条で定める特定商品の販売事業を行う者が
その特定物象量(質量、体積等)を法で定める計量単
位により示して販売するときは、政令第3条で定める
誤差(量目公差)を超えないように計量をしなければ
なりません(法第12条第1項)
。
(量目公差)政令第3条
法第12条第1項の政令で定める誤差は、表示量(当
該特定商品の特定物象量として法定計量単位により示
されたものをいう。
)が当該特定商品の真実の特定物
象量を超える場合について、次の各号に掲げる特定商
品ごとに当該各号に定めるとおりとする。
(以下略)
注1 誤差とは下記のとおりです。
実際の(内容)量 ― 表示(内容)量
または
{
(実際の(内容)量―表示(内容)量)/
表示(内容)量}×100%
計量ジャーナル Vol.35-1
27
計量
TOPICS
中小企業・小規模事業者向け
専門家派遣事業(ミラサポ)への
参画について
OTプランニング株式会社
代表取締役
小野 威(計量士)
中
28
小企業庁が委託事業として行っている「中小
私の場合は、計量士としての専門家の支援を必要
企業・小規模事業者向け専門家派遣事業(ミ
としている企業が地元の商工会議所と懇意にし、良
ラサポ)
」におけるモノづくり支援への計量士の業
い関係を築いておりましたので、私の紹介を兼ねて
務について紹介します。本事業は、中小企業や個人
共に商工会議所を訪問することになりました。そこ
事業主の方々の経営課題や相談ニーズに応じたきめ
で中小企業・小規模事業者専門家派遣事業の説明を
細かな支援を専門家が実施するものです。専門家と
受け、ミラサポでの支援事業のシステムの活用方法
しての登録には、
ミラサポというサイト(次頁参照)
の相談を行ないました。同時に企業と共に面談が行
があります。私は、既に本専門家派遣事業に登録し、
なわれ、まず最初に、商工会議所の皆様に「計量士
計量士として事業活動を実施していますので、私の
とは何か、どのような仕事をしているのか」を説明
経験に基づいてミラサポの活用について述べてみた
し理解してもらうことから始めることになります。
いと思います。
計量士の資格は一般的に認識度が非常に低いため、
私は計量士の国家資格としての認識度を高めるた
支援を必要としている企業から支援の必要性を説明
め、ミラサポで計量士としての専門家登録を行ない
する必要があります。さらに、後日、支援を必要と
ました。ミラサポでは専門家として多くの業種が登
している企業はミラサポから伝えられた商工会議所
録されておりますが、国家資格である計量士は専門
の指摘を含めて必要事項を入力しますが、これら一
家として登録されておりませんので、新たに専門家
連の作業が行われた後に、中小企業支援機関が専門
として計量士としての登録を行うため、少々面倒で
家及び企業の必要事項をミラサポ上で確認し、専門
はありますが多くの項目に答えなければなりませ
家の派遣が決定されます。次にスケジュールの確認
ん。今後、多くの計量士がミラサポの専門家として
が行われ、派遣日が決定されます。私の場合は、初
登録していくことで、計量士の資格が中小企業経営
めてのケースなのか商工会議所の担当者が立会いた
者や個人事業主の方々に認識され、中小企業におけ
いとの意向から、企業への派遣日が決定されました。
る計量士の業務が可能になりますので、計量士の皆
当日、商工会議所の担当者と企業を訪問し、支援
様の積極的な登録をお薦めいたします。
事業をスタートさせました。支援事業の内容は支援
ミラサポのサイトでの必要項目の入力が終わりま
企業の要望に基づいて支援活動を行い、かつ、計量
すと専門家としてミラサポに登録されます。登録が
士としての経験からアドバイスを行うと共に企業か
完了したら、計量士の知識・業務を必要としている
抱えている問題点等に解決策を含めたアイディアを
中小企業等モノづくりに係る計量計測の課題やニー
提供しております。今回は約6~7時間の支援事業
ズに計量士の専門家として何を支援するのか打ち合
を行ないました。支援事業を行なった後、ミラサポ
わせを行い、支援する内容が確認された後、中小企
を使って支援事業の内容等の詳細なレポートの作成
業等がミラサポに必要事項を入力し、計量士を必要
を行います。ミラサポ上で多くの質問項目や確認項
としている理由を明確にします。ここで「専門家と
目があり全ての項目に答えていくことになります。
しての計量士」と「支援を必要としている中小企業
また、支援を要望した企業もミラサポ上でレポート
等」が存在することになりますが、この二つを結び
の作成や確認項目に答えることになります。これら
つける地域プラットフォームと呼ばれている中小企
全ての項目がミラサポ上で確認され、最後にミラサ
業支援機関(商工会議所地域金融機関等)に相談す
ポを運営している㈱パソナから支援事業の最終確認
ることになります。
のメールが送られてきますのでさらに必要事項に返
計量TOPICS
答し、
㈱パソナが詳細事項を確認した後、交通費(上
会議所と懇意にしておりラッキーでしたが…!!)
限あり)
、支援事業手当てが㈱パソナから支給され
等は全て自分自身が行う必要があり、計量士として
ることになります。
の専門家の派遣事業を行ない、計量士としてミラサ
私は計量士を専門家として認識してもらうため及
ポに専門家登録することは、将来の計量士の活動範
び支援事業を行なうためミラサポに登録し、実際に
囲を広げる上からも重要であると思っておりますの
支援事業を行ないました。私の感想としては、ミラ
で、計量士の皆様も奮ってミラサポに登録しては如
サポへの登録、支援を必要としている企業の発掘、
何でしょうか?
中小支援機関への働きかけ(私の場合は企業が商工
◆ミラサポをご存じでしょう
か。中小企業・小規模事業者
のビジネスをサポートするた
めに中小企業庁が平成25年7
月 よ り 開 設 し たwebサ イ ト
(www.mirasapo.jp)です。
【ミラサポの主な機能】
1.施策情報提供
国や公的機関の施策情報
(補助金等)をわかりやすく
提供します。
2.コミュニティ機能
中小企業・小規模事業者等
のユーザーが先輩経営者や専
門家と情報交換ができる場
(コミュニティ)を提供しま
す。ユーザーが自らの課題に
応じて、新たなコミュニティ
のグループを作ることもでき
ます。
3. 専門家相談
分野ごとの専門家データベ
ースが整備されており、ユー
ザーが自らの課題に応じた専
門家を選択し、オンライン上
で派遣を依頼することができ
ます。
◆計量士のみなさん!今号で
実際に利用された実例をご紹
介していますので、参加登録
をしてみてはいかがでしょう
か。
計量ジャーナル Vol.35-1
29
計量
業界
動向
t
r
e
n
d
s
台湾専門家招聘セミナー概要
2014年11月10日㈪から14日㈮の間、
中華民国
(台湾)
(経
今回、台湾に伺ってから分かったことであるがこの年に
済部標準検験局BSMI)からの専門家招聘を受けて、台
来日派遣された研修生は、専門技正ほか3名で、経済部
北BSMI本部において「法定計量セミナー」を行ったの
の中でもそうそうたるメンバーであった。
で、その概要を紹介します。
この時、筆者は、当会が受託して取り組んでいる適正
1 は じ め に( 台 湾 国 と の 接 点 )
計量管理事業、国内の適正計量管理事業の状況及び計量
関係法令等について説明を行った。その日は、午後であ
2012年7月、当会に台湾BSMIから派遣職員技術協力
ったこともあり、当初、2時間のところ、質問が集中、
研修を受け持ってもらえないかという相談があった。研
研修生の熱心さに応えて結果大幅に時間をオーバーし
修目的は、日本の計量士にかかる法令や政策について理
た。
解し、行政組織の運営体制を学ぶことで、台湾における
研修生は、日本国、全体に関する多くの情報を得て大
民間計量士に関する法令整備や能力活用に応用すること
変満足げで機会があったら訪台をして計量談義をとの話
が主な目的であった。
もあった。
この時は、少し、慎重過ぎる対応を取ったことを今に
なっては、やや恥ずかしい気がしている。しかし、緊張
2 招聘の理由
感を持った対応は、当然のことであったかもしれない。
招聘理由は、概ね次のとおりと考えている。
その理由は、当時、日本国と中国、台湾の間で国際紛争
⑴ アウトソーシングできる計量行政の範囲を明確にし
に発展しかねない尖閣列島を巡る占有権という大変な出
来事が続いていたからである。研修のコーディネータと
たい。
⑵ 中華民国では、3年前から計量士国家試験を実施し
通訳を担当する(一財)日本国際協力センター(JICE)
て約1,600名の合格者がいる。この有資格者の活用を
の方からの話で日程がほぼ決まった来日への対応という
図りたい。国の機関だけに近い現状の計量行政の一部
点、目的に叶った研修先かという点で、スタートから課
を担当させて市民に近いところで適正な計量を充実し
題があったため、具体的な研修先の決定には多くの問題
て進める具体的な施策、方針を検討する。
を有していた。調整の結果、最終的な受け入れ先は、計
⑶ 従来から日本の計量に関する体制を学んできてお
量行政室、産総研、東京都、日計振他となり、研修生が
り、現行、台湾計量法を運用する中で改正すべき規定
訪日した。
や最新実務を再確認し、活かせる内容を選択していき
次の2013年7月、2年続いて、日台計量技術交流の申し
たい。
入れがJICEを通じてあった。この年の課題は、自主管
⑷ 先に国会議論まで起こった、燃料油メーターに関す
理を進める「適正計量管理事業所」の現状と課題につい
る不正事件等、現場における計量行政が十分であると
て1週間の研修が予定された。
は言い難い面もあるため早急に改善を図ることを国策
この年の研修生を受け入れるに当たっても、また、大
として検討せざるを得ない。
変、
困難なプログラムが事前に計画されていた。それは、
短期間のうちに目的を達成しなければならない任務を負
った研修生をどのように、どこで、誰に、何を、講義し
てもらえば良いかについて、十分な下準備が不足してい
⑸ 日本の計量システムの現状と課題を学び今後の計量
政策に活かしていく。というものである。
3 セミナ ー の 概 要
たことである。そのため、予定された希望研修先の紹介
組織パンフレットを見るとBSMIは、日本では、経済
要望を横目でみつつ対象としての選定の是非、受け容れ
部に位置することから、経済産業省計量行政室、産総研
の可能性等を含めて、研修がスムース、且つ、成果が上
及び都道府県計量検定所の機能を併せ持った組織で台湾
がるものとするため事前調整を行わざるを得なかった。
国の計量に関する事務の全てを管轄する機関と受け止め
研修終了後、受け入れをお願いした、東京都、横浜市、
られる。
及び適正計量管理事業所製造業、流通業の皆様には大変
セミナーは、中心的に「計量士の活用」
「型式承認制度」
ご多忙中、日台技術協力、研修目的にご理解とご尽力を
30
一般社団法人日本計量振興協会 村松 德治
「自主計量管理」を進めるための課題を講演して欲しい
いただけたので、何とか円滑に研修が進み大きな成果を
というものであった。
得たとの御礼文が届いた。
筆者は、BSMIからの招聘の期待の応えられるかどう
計量業界動向
計量業界動向
trends
かは別に、これまでの長年の経験を元に要請項目に対し
の方法、日本でいう装置検査については、安全性の確保
て、訪台までの短期間ではあったが可能な限りの情報を
対策として車輪止めの形状、ストッパー性能を自らの経
盛り込んだパワーポイントを作成して望んだ。
験から設計改善したことなど。また、職員の使命感の高
初日の11月11日は、
緊張気味で劉局長にご挨拶した後、
揚と受検者の安全確保に向けた「宣言」を場内の柱に掲
局長のセ
げるなど多くの技術的、精神的改善を図ってきた様子が
ミナー開
目の当たりにできその指導力と力量の高さに敬意を表さ
場宣言と
ざるを得なかった。
講師紹介
4 台湾の法定計量事情
では、筆
者の提出
招聘の理由にも書いたように、台湾の計量法は、国土
し た 経
歴・事績
の大きさ(九州とほぼ同じ面積)からか、全土10市11県
初日セミナー会場
の行政区があるが計量に関しては、1999年に台湾省、台
を丁重に紹介していただいた。会場の雰囲気が好意的で
北市、高雄市及び金門県の検定所機関等を合併させた後
あったこともあり、大変和やかに用意した資料で講演す
は、国だけで全ての事業を進めているといっても過言で
ることができた。セミナーは、実質、丸2日間で、朝9
はない。
時から午
世界的な経済がグローバル化する中、台湾政府は、多
後4時ま
くの法令を常に見直し、1912年の建国から2009年までの
で、途中、
96年間で6次に亘り改正を行っている。特に「商品検験
休憩10分
法」についても6回の改正が行われているなど、お国柄、
をとりな
国民の生活に密着した法律を強く意識した改正のように
がら進め
受け止められる。
た。1日
5 日本との計 量 情 報 交 換 の重 要 性
目 の 午
後、私の
年齢を再
中華民国と日本は、現在も貿易、商業、観光等多くの
2日目セミナー終了後
場面で強い共同・協力関係にあることが現地に行くこと
確認した通訳の陳先生と皆さんから講演を着席して進め
で更に強くイメージすることができる。例えば、台湾か
てくださいとの話があった。しかし、これまで4時間の
らの観光客は、230万人(国民の10%)/年間、日本か
講師を何度も経験しているが着席して行うなどの経験は
らは、約120万人(東京都の10%、国の1%)と圧倒的に
なく問題なく講演を続けた。しかし、確かに2日目の終
日本贔屓で、且つ、日本人以上に規律正しい生活を守っ
了時には、少々疲れてはいた。
ている。
2日間の講演では、受講者が質問を求めるポイントを
こうした面を見るだけでも計量法の運用で日本の現状
事前に準備した話方に気がついたBSMIのある高名な博
と課題を相互に検証して更に適正、妥当な計量行政を目
士から、高い評価をいただき少し安心した。2日間のい
指そうとするのは、誰が見ても至極当然である。これを
ずれも聴講者は、BSMI及び電力、電話会社等の関係者
具現化しようとする政府及び経済部幹部始め標準検験局
含め、80名であった。
の現場の姿勢であることを強く感じた。ISO、OIML等
セミナー最終日は、BSMIの中でも実際の検定、検査
の国際機関にも積極的な参加を行っており、APLACで
及び校正を行っている第七組を訪問した。組長は、筆者
の活動の状況などもパンフレットで紹介されている
と同様に、この道40年になろうかという台湾一の計量技
術者である。組長が全館をくまなく、また、細部に亘っ
6 講 演 を 終 えて
て、これでもかという位に事細かく説明していただいた
セミナーでは、公演中及び終了後も多くの質問が集中
ことは、今も脳裏
した。セミナー資料が台湾語に翻訳されて製本された時
に深く刻まれてい
点で用意されていたものに更に追加された。また、帰国
る。
後、追加質問が届き対応したが旺盛な情報収集と課題解
細かくは割愛す
決への端緒をという努力に誠意を持って対応している。
るが、特にタクシ
7 お ま け( 市 内 観 光 )
ーメーターの検定
装置については、
筆者は、単独で3ヶ月間の欧州海外研修の経験から現
時計と距離機能を
地入りに全く不安は無かった。飛行機は、羽田からビジ
有する「本体検査」
3日目第7組玄関前で
ネスクラスで往復した。現地、松山空港に到着すると、
計量ジャーナル Vol.35-1
31
BSMIの経済部標準検験局第四組副組長、実務担当と陳
り、最後の日に向
通訳に迎えられ、公用車でホテルへ着き、セミナーの事
けて、資料の確認
前打ち合わせを行った。夕食までの間、初めての地下鉄
と準備を行った。
(MTR)に乗り、
「中正記念堂」を訪問、台北市内散策
3日目は、検定・
を行って、蒋介石総統の偉大さと国民からの崇拝の状況
検査及び校正を行
を回間見ることができた。このあとホテルの推薦した新
う第七組の訪問と
光三越内の高級レストランで外食、
台湾料理を堪能した。
意見交換の終了
90歳近くにはなると思われる大層地位の高い努めをされ
たと思われるご老人が、ややなまりのある日本語を流ち
後、
「故宮博物院」
台湾料理居酒屋で
に案内していただ
ょうに話しているのを聞いて、日本国内にいるのとほと
いた。「故宮博物院」は、中国の王朝歴史を余すことな
んど変わりない雰囲気があり、大変落ち着いた。
く後世に伝え、世界の民に見せつける、他の国の博物館
第1日目、セミナー終了後、BSMIから徒歩圏である、
に見られないすばらしいセンスをいまに伝えている。来
「台湾総統府」を周ったが、
その前の芝生敷きの広場(一
館者は、中国本土の方があまりにも多く少しモラルの低
部軍の駐
い世界も間の当たりにして残念な思いもあった。最も残
車場)が
念だったことは、計量の世界では、かの有名な「新莽嘉
旧台北市
量」が展示のため外
計量検定
遊中であったことで
所跡であ
ある。しかも、その
ったこと
国は、日本、九州太
が 分 か
宰府であったことが
り、計量
分かったときは言葉
が国にとって重要な位置にあることを強く感じた。続い
にならなかった。ま
て、タクシーで台湾最高層のビジネスビルである「台北
た、太宰府で展示が
101」に案内していただいた。508mの高さから台北市内
終了した直後に九州出張が重なるなど筆者としてはたま
中心の素晴らしい夜景を見ることが出来た。
このビルは、
らなく残念至極の経験であった。(当会にレプリカ有り)
東京のスカイツリーの634mには及ばないもののエレベ
最終日、黄氏と黃さん(訪問全体の秘書役:女性で英
ーター速度は現在では世界最速1,000mで発停に係る速
語堪能)と中山駅で待ち合わせ、帰国時間までの間、誰
度調整があっても40秒台で最高階までに到着する。また、
もが台湾に行く目的のひとつであると聞く「士林官邸」
スカイツリーは電波塔であるがこの101は商業ビルであ
を案内していただくこととなった。蒋介石総統(中正先
る。通勤で毎日見上げるスカイツリーが今は貧弱な感が
生)が大統領を務めていた時代にその活動拠点とした士
禁じ得ない。
林官邸跡は、美齢婦人との生活拠点としてゆったりとし
この夜は、有名な五星中国料理店である「鼎泰豊」で
た、あわただしい世情を離れて読書する、そしてその間
第4組組長他と夕
に国の第一人者としての英知を養うために多くの外国
食をいただいた。
人、知識人、世界的な経営者等と歓談する広い応接間は
小籠包の皮が薄い
他ではあまり見ることが出来ない。すばらしいことには、
タイプのものを箸
日本人であっても65歳以上の人は、入邸料金が割安にな
でうまくつかみ食
る点も気に入った。謝 、謝 (完)
台湾総統府
新莽嘉量
すにはちょっとし
たコツが有ると言
うことで昨年来日
した陳氏から直伝
中国料理店「鼎泰豊」
され、奮闘のすえ漸く口に入れることができた。
次の日の講演終了後は、一端、ホテルに戻った後、身
支度をして黃氏(男性:日本語が堪能)と地下鉄(MTR)
に乗り、昨年度、来日したBSMIの陳氏他の待つ大衆酒
場へ出陣、かに料理から台湾料理と台湾ビール、紹興酒
をいただいた。台湾の居酒屋の雰囲気は、日本とは又違
い暖かいもてなしを受け感謝、感謝。この日ばかりは、
帰路に雨が降って来たため黃氏とタクシーでホテルに戻
32
計量業界動向
児童の計量記念日作品
故宮博物院
経済産業大臣表彰を受賞して
一般社団法人青森県計量協会 会長
西 秀記
受賞御礼
去る平成26年11月4日の計量記念日式典にお
子計測器メーカーに就職しました。配属先は開発室。
当時の上司の「センサーを制する者は業界を制す
いて、計量関係功労者として栄えある経済産業大臣
表彰を受賞しました。私は、これまで計量計測業界
に身を置く一人として、社会の基盤を支える正しい
る。」という掛け声の下で、主に計測センサーの開
発の仕事に従事しました。この時点では、私は「は
かり屋の三代目」よりも開発エンジニアとして生き
計量計測の確保がいかに重要であるかをひたすら申
し上げ続け、計量思想の普及啓発に努めて参りまし
た。そのことが、このような形で計量関係功労者と
して認めていただいたのは、ひとえに日頃からお世
話になってきた関係各位のご指導ご鞭撻の賜物であ
り、改めて深く感謝の意を表します。この度の受賞
を契機に、これまでの私の計量計測業界での歩みを
振り返ってみたいと思います。
はかり屋の三代目
私は、青森市に古くからあるはかり屋の三代目と
して生まれ育ちました。祖父西正長が明治39年に
創業し、私が生まれた時には祖父は他界しており、
父西正夫が後を継いでいました。父は、いわゆる技
術屋タイプではないもののアイデアマンであり、
様々な特許を取得するなどして、積極的にものづく
ようと思っていました。開発の仕事は面白く、今の
時代であれば問題にされるのではないかと思えるほ
どの残業をしても苦になりませんでした。ある時の
展示会で、私が所属する開発チームが担当した新製
品を発表する予定だったのですが、前日になっても
完成せず、夜通し試行錯誤を繰り返して、当日の朝
に展示会場に持ち込んだということもありました。
その時は、展示会当日の説明員も努めなければなら
ず、結局フラフラになりながら36時間ぶりに帰宅
しました。また、海外のあるスポーツカーの日本で
の第一号車が輸入されるに当たって、雑誌の取材で
スピード計測をするのをお手伝いしたこともありま
した。時速300kmを超える計測は、当時製品化
されていた自社製品ではできなかったため、特別な
レーザーセンサーを利用して計測するシステムを組
りに取り組んでいました。また、父は青森県計量協
会の会長や日本計量協会の理事も務め、計量思想の
普及啓発に力を注ぎ、その他に社会奉仕活動にも精
力的に取り組んでいました。私は、そのような環境
み上げました。場所は、茨城県谷田部町(当時)の
テストコースで、早朝の真っ暗な内にコース入りし
てセッティングをして、明け方近くに計測を開始し
ました。「とにかく車が見えたら、絶対にコースを
で生まれ育ったことから、当然のごとく計量計測に
興味を持つと同時に、自分のことだけではなく、常
横断しないでください。」と言われ、恐る恐る車が
来るのを待ちました。この時の最高速度は、たしか
に「世のため、人のため」という意識を持つように
なりました。
「三つ子の魂百まで」なのか「門前の
小僧習わぬ経を読む」なのかわかりませんが、今の
私の基本的な人格が、この頃に形成されていたよう
時速324kmだったと記憶しています。どれもこ
れも今となっては良い思い出の一つです。
このような生活の中、結婚をし、その後第一子と
なる長男を授かりました。妻が初めての子育てに奮
です。
エンジニアの夢
闘しているのをよそ目に、朝出勤したら深夜まで帰
らない生活が続きました。当時は、「仕事が忙しい
私は、父とは違って技術屋タイプで、元々理数科
目が得意だったことから、大学も理工学部に進みま
した。そこでも計測制御研究室に入り、計測制御の
基礎を学びました。
のだからしょうがない。」と思っていましたが、実
は内助の功があって仕事を頑張ることができたのだ
と言えます。改めて家族に対して、感謝したいと思
います。
就職に当たっては、一度も父に相談することなく、
すべて自らの考えで就職活動をして、都内のある電
人生の転換期
開発エンジニアとして数年が経過し、何とか一人
計量ジャーナル Vol.35-1
33
前になろうかという頃、父から青森の会社を手伝っ
てほしいという話がありました。私の最初の返事は
惑しましたが、せめてもの救いが、1年数ヶ月だけ
でも一緒に仕事ができたことだと思います。この期
ノーでした。やっとエンジニアとして一人前になっ
てきたところで、また別の仕事に就くことは私には
考えられませんでした。
間で、父が生前お世話になった主だった方々の顔と
名前は覚えていたし、その方々には「あなたのお父
さんに世話になった。」と言われ、私とも父の生前
しかし、父も必死だったのでしょう。何度も根気
強く事業継承の話をされ、またものづくりという意
味では仕事の内容も大きく違うものではないという
同様のお付き合いしてもらうことができました。こ
のことは、仕事上だけでなく、計量関係団体やその
他の諸団体においても同様でした。
ことも言われ、私の気持ちも少しずつ変化しました。
今思うと、父の方が一枚上手だったということでし
ょうか。
計量協会のこと
その後、数年経って私が社長となり、企業経営に
汗をかく傍らで、青森県計量協会の会長も仰せつか
結局、家内とも相談した上で、父の会社を手伝う
ことを決心しました。しかし、しばらくの間は、父
の会社の取引メーカーで修業をさせてもらうことと
し、そこに転職しました。その会社は、計量計測の
りました。ちょうどその頃、計量協会では、将来的
に指定定期検査機関として県や特定市の定期検査業
務を受託する検討が始まった頃でした。行政機関か
らは、これまでの任意団体から社団法人化(当時)
中では少々異色となる測量機メーカーでした。当時、
ちょうどGPSを利用した測量機が市販され始めた
頃で、これまで伊能忠敬の時代から原理的にはあま
り変わってこなかった測量業界において、まったく
新しいGPS測量機が普及する大変革期でありまし
た。従来の測量機には詳しいお客様方でも、GPS
となると勝手が違い、まずそれがどういうものなの
かという所から説明しなければなりませんでした。
私は、営業と技術の中間のような立場で、全国各地
で講習会の講師を務めたり、客先でのデモンストレ
ーションを行ったりしました。以前の職場では、残
業、残業の毎日でしたが、今度の職場では出張、出
張の毎日となりました。第二子となる長女が産まれ
たばかりにも関わらず、1週間の内5日出張という
ことや、週の前半は九州出張で、後半は北海道出張
してほしい旨の要請もあり、社団法人化の作業と、
定期検査業務を行う検査員の確保と養成に同時進行
で取り組むことになりました。
青森県において、計量士は非常に少なく、その多
くが企業の転勤組か行政OBという状況で、近年に
おいては行政の職員も計量士の資格を持たなくなっ
てきているため、計量士の確保に非常に苦労しまし
た。
結局、人がいないのであれば育てるしかないとい
うことで、計量協会の職員を募集して、採用者に資
格を取得してもらうということにしました。最初に
採用した3名は、1名は国家試験に合格し、2名は
つくばの計量研修センターに通いました。
こうして、少しずつ準備が整っていく中で、社団
法人化も認められ、(社)青森県計量協会として新
ということも珍しくありませんでした。こうして、
まったく新しいGPS測量機を全国に広めることに
しいスタートを切りました。人を雇うにはお金が必
要、お金のために業務を受託するには人が必要とい
努めました。しかし、海外メーカーに少し遅れを取
っていたこともあり、当初はなかなか成約に結びつ
かずに苦労しました。それでも製品の他にはない特
長を説明し続ける内に、少しずつ販売実績が上がっ
う「鶏が先か卵が先か」にも似たようなジレンマに
陥りながらも、何とか前に進もうとすれば道は開け
て行くものです。多少綱渡り的な経験もしながら、
何とか青森県、青森市、八戸市の指定検査機関とし
ていきました。ここでの仕事を通して、お客様と接
して技術的な相談に乗り、商談を進めることも経験
しました。この職場で数年間の修行を終え、その後、
て検査業務を行えるようになりました。
その途中で、社団法人を一般社団法人に変更する
作業も加わり、これも限られたマンパワーで何とか
父が経営する(株)西衡器製作所に入社しました。
最初は、技術部長としてトラックスケールの設置
や、計量計測機器の修理などの仕事を受け持ちまし
乗り越えました。
このように、まだまだ道半ばでやらなければなら
ないことだらけですが、今回の受賞を励みとして、
た。それに併せて、経営者としての帝王学も父から
叩き込まれるつもりでした。しかし、父と仕事がで
きたのは1年と数ヶ月だけで、帝王学を叩き込まれ
改めて正しい計量計測の確保と計量思想の普及啓発
のために日々精進、努力を重ねる所存です。
る前に父は急逝してしまいました。これには少々困
34
計量エッセイ
産総研コーナー
計量標準総合センター(NMIJ)の近況報告
前 独立行政法人 産業技術総合研究所 計量標準管理センター 計量標準計画室
西川 一夫
■2014年度計量標準成果発表会
(SI)の今後の改定について質量、電流、温度、物理量
の4単位の改定案の解説がありました。他のトピックス
例年1月に開催しています、計量標準成果発表会が
では「自動車衝突試験用加速度計における衝撃校正と遠
2015年1月22日(木)~ 23日(金)の2日間、産総研つ
心校正のラウンドロビンテスト」、「超伝導光検出器を用
くばセンターの共用講堂にて行われました。初日は小雨
いた超微弱光計測技術の開発」、「高エネルギー中性子フ
の降る寒い1日にも関わらず両日とも100名を超える来
ルエンス率標準の開発」、「分子の長さがそろった高分子
場者があり、盛況な開催となりました。計量標準成果発
標準物質:ポリエチレングリコール23量体」が紹介され
表会の詳細については、下記NMIJホームページURLで
ました。
確認することができますのでご参照ください。
(https://www.nmij.jp/public/seika/2014/)
【研究室見学】
【ポスターセッション】
計測標準研究部門に所属する16科が、1日目99テーマ、
2日目94テーマのポスターを展示し、担当研究者が対応
午前の時間を利用して、各研究室をAからDのコース
しました。
を1コース2グループで見学をして頂きました。1日目は
両日を通じて、220名の来場者があり盛況の内に終了
時間周波数科3室、音響振動科3室、温度湿度科3室、2日
しました。ご来場頂きました皆様、並びにアンケートに
目は電磁波計測科2室、量子放射科2室、無機分析科2室、
ご協力頂きました皆様にこの場をもって御礼申し上げま
有機分析科3室、計量標準システム科1室を各コース毎に
す。
巡回しました。研究室では最新の研究成果等の紹介と共
に実際の研究設備を見てもらいました。2日間の参加者
数は64名で、研究成果や設備について積極的に質問をさ
れる方もおり、予定の時間を過ぎるグループもありまし
た。次の開催に向けては見学時間を見直すなど改善を図
っていきたいと考えています。
【研究トピックス紹介】
研究トピックスでは、両日で第25回国際度量衡総会報
告を行いました。メートル条約の成り立ちから、過去の
主要決議を紹介した後、注目を集めている国際単位系
《1日目ポスターセッション》
■Klaus von Klitzing教授講演会
Klaus von Klitzing教授(マックス・プランク研究所
固体物理研究部ディレクター)の講演会が2015年1月30
日に産総研つくばセンターの共用講堂で開催されまし
た。教授が発見した量子ホール効果で1985年にノーベル
物理学賞を受賞されており、量子ホール効果は多くの先
進国において、電気抵抗の一次標準として利用されてい
ます。講演では量子ホール効果のみならず、関連する研
究成果やSI定義改定の動向についても紹介がありまし
た。産総研訪問期間中は研究設備の見学、懇親会を通じ
《研究トピックスの紹介:第25回国際度量衡総会報告》
て交流を深めました。
計量ジャーナル Vol.35-1
35
は製造・修理事業者等を対象とした説明会でした。特定
計量器検定検査規則の施行予定日である平成27年7月1日
(公示予定日は平成27年4月1日)を前に、関係機関及び
事業者への周知を兼ね、主な改正内容について型式承認
技術室、質量計試験技術室の担当者より説明がありまし
た。質疑応答では検定・検査に係る質問に加え、型式承
認手続きに関する質問もありました。
第1部が29機関45名、第2部が35事業者47名と多くの皆
様が参加されました。
非自動はかりJIS B7611-2:2015の改正に伴う説明会に
《Klaus von Klitzing教授》
つきましては、施行予定日の7月1日までに各地域での開
催を予定しています。5月以降の開催となりますが、複
数の地区での開催準備をしていますので詳細が決まりま
■法定計量関連報告
【法定計量セミナー 12月開催報告】
昨年12月11日(木)に大阪市計量検査所で開催しまし
したら改めてご案内をいたします。なお、執筆日の関係
上、3月4日及び5日に西日本地域を対象とした説明会は
次号で報告させて頂きます。
た、法定計量セミナー「分銅の検査(基準器検査及び実
用基準分銅について)
」について報告します。当日は12
機関19名の方が参加しました。セミナーでは公的質量標
準供給制度、質量標準マニュアルについて説明がありま
した。また、
参加者から分銅の磁化について質問があり、
計量現場で問題となっている課題について意見交換がで
きました。
《NMIJ法定計量クラブ第2回はかり研究会》
【平成26年度法定計量セミナーについて】
法定計量業務つくば集約化に伴い西日本地域へのサー
ビス向上の一環として開催してきました法定計量セミナ
ーですが、平成27年3月5日(木)の産総研関西センター
での開催を最後に本年度の開催は終了となります。新た
《12月開催法定計量セミナー》
【平成26年度NMIJ法定計量クラブ第2回はか
り研究会開催】
平成27年2月27日(金)に秋葉原UDXビルにおいて平
成26年度NMIJ法定計量クラブ第2回はかり研究会が開
催されました。今回のはかり研究会は、非自動はかり
JIS B7611-2:2015(平成27年1月20日改正)の改正に伴う
説明会として、2部構成で開催しました。
「第1部:法定
計量セミナー」は都道府県、特定市、指定定期検査機関
などの行政機関を対象とし、
「第2部:事業者向け説明会」
36
産総研コーナー
な試みとして合計5回のセミナー開催とNMIJ法定計量
クラブを活用した説明会を開催致しました。開催実績と
参加機関数、参加者数につきましては別表1の通り、多
数の方に参加頂きました。参加名簿の登録漏れ、ホーム
ページからの申込ができないなどのトラブルもありまし
たが無事に開催することができました。運営に関してご
協力頂きました経済産業省計量行政室、都道府県、特定
市、
(一社)日本計量機器工業連合会の皆様に感謝申し
上げます。特に共同開催で、会場借用、運営に多大なご
協力を頂きました大阪市計量検査所の皆様には改めて深
謝申し上げます。
産総研コーナー
【今後の法定計量セミナー・技術相談会】
おりますが、改めて紹介致します。昨年まで実施してい
平成27年度も引き続き、法定計量セミナー及び技術相
ました、「都道府県・特定市新任所長教習(6月初旬実施、
談会の開催を計画しています。これまでの開催で寄せら
対象者:新任所長等)
」、「都道府県・特定市幹部職員教
れた意見、要望等を検討し、関係者の皆様が参加しやす
習(7月下旬実施、対象者:幹部計量公務員)」を廃止し、
く、日々の業務の一助となる開催を目指していきます。
都道府県・特定市新任管理職員教習を新設し、6月初旬
法定計量セミナーでは、西日本開催だけなく、東日本
の実施を予定しています。受講対象者は新任所長を含め
開催、さらには地区での開催も検討しています。なお、
た、新任計量公務員管理職となります。昨今、地方自治
法定計量業務に支障のない範囲での開催が前提となりま
体の計量行政従事者の減少に伴い、担当部署の縮小が進
すので、複数日開催、連続開催は難しい状況です。また、
んでいます。その中で管理職者が所長の役割を担ってい
テーマを絞らせて頂いたうえで、各地域開催を想定して
る自治体が増えており、複数の自治体から教習実施の改
います。技術相談会につきましては、今後も関西圏での
善要望がありました。計量研修センターでは計量教習等
開催が中心となりますが、平成27年4月に開催できるよ
検討特別委員会を開催し、2つの教習を廃止した上で「都
う調整を行っています。一部の技術相談会は募集事業者
道府県・特定市新任管理職員教習」を新設しました。計
がなく、開催を見送ったケースもありました。相談件数
量教習の詳細につきましては計量研修センターのホーム
がわずかな特定計量器等につきましては開催を見送らせ
ページ(下記URL)でご確認ください。(https://www.
て頂きますので、ご理解の程よろしくお願いします。な
nmij.jp/~metroltrain/)
お、法定計量セミナーを5月開催、技術相談会は4月開催
で準備を進めていますが、開催の詳細に関しましては
最後になりますが、平成27年4月1日より、独立行政法
NMIJホームページ(https://www.nmij.jp/)での案内、
人産業技術総合研究所は、国立研究開発法人産業技術総
関連団体を通じた告知でご確認ください。
合研究所となり、それに合わせて計量標準総合センター
(NMIJ)も新たな体制でスタート致しました。詳細につ
【平成27年計量教習について】
平成27年度計量教習につきまして、一部プログラムの
変更があります。既に受講対象となる都道府県及び特定
市の皆様には、全国計量行政会議、全国特定市計量行政
きましては次号で紹介できればと思います。また、ホー
ムページhttps://www.nmij.jpでも適宜関連情報をアッ
プデートしていく予定です。引き続きNMIJをどうぞよ
ろしくお願い申し上げます。
協議会全国会議、その他行政協議会等の場でお伝えして
別表1:平成26年度NMIJ法定計量セミナー・NMIJ法定計量クラブ開催実績
セミナータイトル
燃料油メーター等に係る省令改正説明及びガラス製体積計セミナー
新基準燃料油及び液化石油ガスメーター型式承認について(クラブ開催)
開催日
7月25日
開催場所
大阪市計量検査所
参加数
20機関30名
9月3日
経済産業省別館
17機関26名
9月5日
秋葉原UDXビル
12機関26名
26機関33名
電気式はかりの定期検査
10月21日
大阪市計量検査所
分銅の検査:基準器検査及び実用基準分銅
12月11日
大阪市計量検査所
12機関19名
秋葉原UDXビル
(第1部)
29機関45名
(第2部)
35事業者47名
3月4日
新大阪丸ビル別館
24事業者40名
(申込数)
3月5日
産総研関西センター
21機関37名
(申込数)
非自動はかりJIS改正に伴う説明会
(クラブはかり研究会開催)
2月27日
非自動はかりJIS改正に伴う説明会
(事業者向け)(クラブ開催)
非自動はかりJIS改正に伴う説明会
(行政機関等向け)
計量ジャーナル Vol.35-1
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
好評図書案内
測定の不確かさを知っていますか?
不確かさの事例集
従 来、 測 定 に お い て は、
その結果を誤差やかたより、
バラツキ等であらわしてい
た。測定結果を評価する方
法が分野や国により異なっ
ていたため、測定に関する
国際的なルールが設けられ
た。これが「不確かさ」で、
測定結果がどれくらい信頼
できるかを表す指標である。
この教本は、現場で働く
技術者を対象とする不確かさの入門解説であり、ま
た、不確かさ評価のための統計的手法についてもやさ
しく解説している。
編集後記
つくばの研究所に勤務する人間ではマイナリティなの
ですが、私はバスと電車を使って通勤しています。バス
停を降りてつくばの事業所にある自分の机まで、徒歩で
約10分です。最近は、春を感じさせる少し暖かい風を心
地よく思う一方で、それに乗ってきた花粉(!)を少々
持て余しているところです。今号が出る頃には一層暖か
くなり、花粉は収束に向かっているかもしれませんが、
時折初夏の気配が漂い始めていることでしょう。
ところで、2月20日より東京ミッドタウン内にある
21_21 DESIGN SIGHTという美術館にて「単位展─あ
れくらい それくらい どれくらい?─」が始まりまし
たので、見に行って来ました。この美術館では、定期的
に企画を練り、身の回りの様々なデザインを手がける作
家さんたちが、そのテーマに沿って作品を作り、それら
が展示されます。今回のテーマは“単位”で、私自身は
約1年前にこの企画の相談を、当該美術館を運営する事
務局から相談を受け、資料提供という形でお手伝いしま
した。順路の最初のほうには、東京都計量検定所さんが
貸し出したメートル原器のレプリカも展示されていま
す。1mや1kgなどを感覚的に、そして身近に感じても
らうために、洗練されたビジュアルで表現されていて、
アートとして楽しく見てまいりました。単位展の開催は
5月31日までです。東京ミッドタウン内の散歩できる庭
に面しており、初夏の空気を味わいながら、ブラっと覗
いてみても良いかもしれません。
(注:入場料有。)
平成27年4月1日より独立行政法人産業技術総合研究
所は、国立研究開発法人産業技術総合研究所として、4
期目の中長期計画期間に入りました。その下に設置され
た7領域の一つとして計量標準総合センターもまた、新
たな体制で計量に係る業務と研究開発を推進することに
なりました。気持ちも新たに業務に取り組んでまいりた
いと思いますので引き続きご指導、ご鞭撻賜われれば幸
いです。
《竹歳尚之》
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編集後記
計測器の校正における不
確かさを見積もるには、標
準器の条件・校正条件・環
境条件を考慮しなければな
りません。この教本は現場
で使用する長さ計・質量計・
温度計・圧力計・電気計器
の不確かさの見積もりの事
例を分かりやすく解説した
ものである。
編集委員
竹歳 尚之(国立研究開発法人産業技術総合研究所)
金子 啓三(東京都計量検定所)
吉野 博(株式会社新興度量衡製作所)
関口 基(前橋市計量検査所)
竹添 雅雄(一般社団法人東京都計量協会)
〈事務局〉
倉野 恭充(事業部長)
鶴㟢由美子(事業部課長)
機関誌に関するご意見、ご感想をお待ちしております。
日本計量振興協会のホームページアドレス
http://www.nikkeishin.or.jp
総務部:[email protected]
推進部:[email protected]
事業部:[email protected]
試験・校正センター:[email protected]
計量ジャーナル 第137号
Spring, Vol.35-1 / 2015
発 行 日 平成27年4月15日
発行責任者 河住春樹
発 行 所 一般社団法人 日本計量振興協会
〒162-0837 東京都新宿区納戸町25-1
TEL:03-3269-3259
FAX:03-3268-2553
印 刷 所 第一資料印刷株式会社
〒162-0818 東京都新宿区築地町8-7
TEL:03-3267-8211