244号 - 日本森林技術協会デジタル図書館

昭和二十六年九月四日第三種郵便物認可
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1962.7
No.244
日本林業技術協会
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退任のごあいさつ…・…・…・……………松川恭佐…1
就任のごあいさつ・・……・………………石谷憲男・・2
林業技術
森林計画制度改正の方向…・…・…・…・…・・大塚武行・・・3
幹線防風旅没定計画の一例…・……・・・樫山徳治・岩川幹夫・…7
くん煙剤防除の特殊例…・・・………・・……・中野博正…10
テーダマツのミドリつぎの実験…・・・伊佐義明・橋本英二・・・11
1962.7
244
近代林業史観…・・……・・…・…・・・…・・・・……太田男治郎…13
寺崎先生の想い出・・・..…...…・……………・・・田中波慈女…17
モザイク・パーケット・フローリング・・藤繩文明・・・20
目 次
林業雑感……・・…・・・・…・・・・………・・・倉田益二郎…23
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ロッキー山脈見聞記……・……・……・…・青島清雄・・24
9
FAO特報・・………・…・・………...…・・….・松尾兎洋訳・・・28
−表紙写真一
一
第9回林業写真
コンクール佳作
「河辺の木材・」
′綱島盛芳
自由論壇
幼令林の損害額算定・…・……・……・・・・……・・金瀬源一…30
航空測量時代における基本の再検討・…・・・・・中山博一・・32
第一回林業科学技術振興賞を受賞して…高見男・・・34
こだま……・…・…………….………・…。、.…・…−・…・33
総会記事・その他…・・・……・・・….…..…………・・・……………..…・37
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長崎鉄工の最新型ノーIノツ集材機
逆4段複胴エンドレスドラム付
直捲能力2500kg
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使用馬力20IP∼301P
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正逆4段複胴エンドレスドラム付
直捲能力1200kg
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正逆4段単胴エンドレスドラム付
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9粍570米
直捲能力1200kg
捲込容量9粍570米
使用馬力101P∼131P
.使用馬力10IP
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宮崎営業所宮崎市神宮束、丁73TEL6812
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其の他チエンソー・機械工具・林業用器具一般卸小売致して居ります。
代理店
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東京都中央区西八丁掘2の'4電話(551)鰯燃.2865
造林地捲作業は私にお手伝いさせて下さい
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太陽顔斗産彩椎式会社
日鋼実業樹亀式会社
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大阪市西区阿弦座上野通1−17丸勝工業株式会社
仙台市蕊3猛丁15
大膜市北区伊勢町13三洋機ホ戒株式会社
畳・野市北石堂町140株式会社角弘鋼鉄店
盛間市推子'1,路町39
群瀧市釿町30醤
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退 任 の
一﹂
挨 拶
松 川 恭 佐
退任の承認。それは私の公生涯における,至上の終止符であった。感謝以外の何物でもな
毒蒻へ
い。
十余年の大陸生活は敗戦によって終局を告げた。葬られて悔ない体をもって引揚げてきた
私は,破れた協和服をぬぐ暇もなく,早尾先議のあとうけ,昭和23年,理事長に選任された。
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奇しき運命と言わねばならない。
当時の新任の辞をひらいて見ると,
『どうせ一度は死んだ体である。乏しい身だが,捨て身の努力がいくらかでも役立つなら
幸せである。
今日の耐乏生活くらいは,実に甘いものだ。協力の美しさによって,清.く正しく苦しみぬ
いてゆこう。
貧しきを憂える要はない。為すべきことを完全になしとげることによって,資金は産まれ
るのだ。資金の欠乏は,すなわち,会活動の遅鈍を意味する』
などと,経済理論にも合わないような,頑張りかたをしていたものである。そして,来る
日も来る日も楽しく事務所に通った。いま,来し方をふりかえると,大体この初一念の上に
立って,基礎固め優先と方向をつけ,会自体の整燃・強化に重点をおいてきたのであった。
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垂
これより先,興林会事務所は,再三の戦災によって焼き出されたため,会員の実在数など
は,つかめる筈もなかった。昭和23年度予算は61万円。そして焼跡バラックの狭い一室を借
り,二,三の机をならべて,ぽかんとしていたという,どん底時代だったのである。
あとは夢である。溌刺たる常務理事会の推趨幾音と,若さに満ちた会員の大海鳴りが,洋
上を蔽うように聞えてくるだけである。かくして,渕蹴の14年余が過ぎ去った。
私は思う。本会の洋瘤たる対外発展の掴幾は間近かに迫っている。どこからともなく,さ
あ伸びよ’伸びよと啓示されているようだ。
あ‘たかもこのとき,人格と識見および力量ともに秀でた新理事長石谷憲男氏を迎えたこと
は,本会のこの上ない幸福であると言わねばならない。
昭和37年度の新館の建設(林業鋤『センター)・北海道国有林の映画制作の二大事業は,
創立40周年記念事業の総仕上げとなるとともに,必ずや,新段階への進出の快調を表現する
ものとなるであろう。
ここに,新旧迎え退く多幸を祝い,会員諸賢の深い友情に厚くお礼申上げ,併せて,過ち
の多かった自分へのご寛容を,衷心乞い願うものである。(常任顧問)
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簿罐
就 任 の
ど 挨 拶
理事長石谷憲男
夕
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過日の第16回通常総会において,図らずも日本林業技術協会の理事長に選任されました。
当協会が大正]0年林業技術者の純な熱情から自然発生的に生まれた興林会以来40年,常に林
恥田
サ
業推進の中核体として,わが国近代林業の業の建設に果した役割はきわめて大きいものと確
心する次第であります。従いましてこの光輝ある日本林業技術協会の運営責任者に選任され
ましたことは,私の生涯における最大の栄誉とするところであります。
今日の日本林業技術協会を築きあげたものはもとより,多数先輩技術者の林業に対する情
熱であり,また歴代理事長を初めとして理事者各位の卓越した指導力によるものであったと
思いますが,ことに戦後の再建期にあって松川前理事長の長期にわたるご尽粋はまことに大
きなものがあったと思います。
松川先生の高潔なる人格と偉大な雅戯をもってして初めて今日の日本林業技術協会が成り
立ちえたと考えます。わが国林業界の大先澱として偉大な存在である先生の後任者に選任さ
れた私は,いまさらながらその資任の重大さを痛感するとともに,力の足らざるを歎く次第
であります。
ならないことは論をまちません。
私はあくまでも榔肺者としての信義を重んじ一万会員の総意を尊重して,その職責を果す
べく挺身したい所存でありますので,どうか皆様の一層のご支援とご協力をお願いいたしま
す
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−−−2−
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私は現在皆様方のご推挙をいただいて国会議員の職にあ・りますが,私は国会議員である前
に一人の林業技術者であることを誇としているものであります。私は厳正中庸であるべき純
粋技術者団体の運営資任者としての自覚に立って,わが国林業の発展振興に貢献しなければ
乞噛
当って参りたいと存じます。
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私は新理長として,主として前任者の正鴻な方針を踏襲し,これを積極的に発展させるこ
とによって》与えられた職溌を果して行きたいと思います。林業技術者の唯一の職能会団と
しては,専ら技術者の地位向上を図り,林業技術の振興普及に努めつつ林業政策の推進に協
力することを第一義にすべきと考えるのでありますが,そのためには会員の皆様方のさらに
一層強固な結合が必要であることは論をまちません。従いまして会員各位の意向を十分に取
り入れて運営に当るとともにその意志の反映に積極的に努めながら堅実進取な会務の遂行に
ノ
1.森林計画の体系にかかわる事項
森林計画の体系は,従来,森林蕪本計画,森林区施業
計画および森林区実施計画の三段階からなっていたので
森林計・画制度
あるが,今回,これが全国森林計画と地域森林計画の二
段階に改められた。
(全国森林計画の制度化)
改 正 の 方 向
大 塚 武 行 一
一一
一
森林計画制度は,昭和26年に定められてから,ちょう
ど10年を経過したのであるが,この間においてこの制度
を運用した実績と最近における林業事情の変化とにかん
がみて.改正することの必要性が認められ,さる第四-│‐
国会におし、て成立した森林法の一部を改正する法律によ
って,保安林制度および中央森林審議会の組織等ととも
に大巾に改正されることとなった。
なお.改正された制度を具体的に運用するために必要
な政令,省令その他細部の実施要領等については,現在
検討がされつつあるので,ここには,この制度の改正の
方向についての概要を述べて参考に供したい。
森林計画制度は,林産物の生産および国土保全等の面
における国民経済的要請を達成するために,森林の伐
一 吾 一 一
1
従来,股林大臣は,主なる流域によって全国を251の
基本計画区に分け,毎年そのほぼ粥噸豊本計画区ごと
に,国有林と民有林を対象として,森林賓源の造成およ
び開3誹り用ならびに国土保全等に関する施策を総合的に
定めて,5年を計画期間とする森林基本計画を編成して
きた。この森林基本計画をたてる場合において,それを
全国的な関連においてはどのような位瞳に置くべきか,
あるいは,他の基本計画区の計画とはどのように調和を
はかるべきかといったことを定めるためには,全国的視
野において作られるさらに上位の計画が必要であった。
そのために,実際上は,森林基本計画を編成する際には
制度的に定められたものではないが,林野庁において行
政上の参考とするために全国の森林を対象として作成し
た計画(林業長期計画と称する)を目安として利用して
きたのである。今回の改正においては,このような上位
計画を編成することを制度化することとし,森林基本計
圃を廃止して,農林大臣は,全国の森林を対象として,
国有林と民有林との調薙をはかりつつ,今後10年間にと
採,造林,林道の開設改良,保安林の配備および保安施
設事業等について,国がとろうとする施策の青写真であ
る森林計画を農林大臣ならびに都道府県知事が編成し,
国ならびに都道府県がこの計画を通じて,林業経営の基
盤を整備するために必要な治山施設や林道等の事業を推
進し,麦た,個々の林業経営の安定をはかるために必要
森林計画を編成することとなった。この全国森林計画の
計画内容は,従来の森林基本計画とほとんど大差はない
のであるが,ただ,今回の森林法改正により,艇林大臣
は,保安林および保安施設地区を指定する珊合,その指
な造林や機械導入等の事項について助成することによ
伐採跡地の造林について「指定施業要件」を指定するこ
るべき総合的な施策を巨視的に定めて,5年ごとに全国
定と同時に,その地域の森林における立木の伐採および
り,この計画の実行を確保しようとするものである。こ
ととなり,その基準は政令で定められることとなったの
の場合,個々の森林所有者等の協力がなければ計画の実
行を確保することはきわめて困難であるから,農林犬臣
で,森林基本計画において定めていた保安林における施
ならびに都道府県知事は,森林所有者等が森林計画に従
って森林施業を行なうように指導,監督をすることとし
てし、る。このような森林計画の基本的な性格は,今回の
制度改正においても変更はされていない。また,森林計
画の目的は,森林法第1条に定められている「森林資源
の保続培養と森林生産力の増進を図り,国土保全等森林
の持つ嬢能を十分に確保して国民経済の発展に資する」
という国民経済的要請を達成しようとするものであっ
て,この目的も従来と全く変わりはない。それで今回改
正された点を大きく分けると,森林計画の体系にかかわ
る事項と森林計画の実行を確保するための方法にかかわ
る事項に区分することができる。
筆者:林野庁計画課
業要件の指定基準が削除された。
次に森林計画を編成する場合には,種々の事項に関す
る可能性について予測を行ない、将来とるべき施策を検
討して選択のうえ決定するのであるが,この予測された
成果の信頼性は予澗卿間の長いほど低下することとな
る。林業の場合,その期間は10年くらし、が限度であろう
と考えられているのであるが,長期の生産期間を要する
という林業の特殊性があるために,現在ある森林資源か
らの生産量とか造林事業の効果などを測定するために
は,少なくとも一生産期間についての予測を行なわなけ
ればならないこととなる。それで股林大臣は,10年の期
間計画である全国森林計画を編成するに際しては,その
基礎資料とするために,あらかじめ,木材および薪炭の
ごとき重要な林産についての需要と供給の関係および国
− 3 −
大塚:森林計画制度改正の方向
内生産との関連における森林資源の推移について,信頼
性という点についての問題はあるにしても,40年くらい
の長期見通しを行なうこととなった。
馳域森林計画の制度化)
従来,都道府県知事は,全国を2,239に分けた森林区
ごとに,民有林を対象として,森林基本計画に基づき森
林区の地域的特性に適合した具体的な施策を定めて,5
年を計画期間とする森林区施業計画を編成してきた。こ
の計画を編成する単位である森林区は,森林の開発であ
るとか流域保安のための計画等との関連を見ると,狭す
ぎるので,基本計画区くらいの広がりをもったものに拡
大することとし、(森林区の全国平均面積は約7b500ha,
基本計画区のそれは約66,000haである)これに森林計
画区という名称をつけ,その区域は農林大臣が都道府県
知事の意見を聞いて定めることとなった。したがって,
都道府県知事は,森権1個区ごとに,民有林を対象とし
て,全国森林計画において定められた施策の大綱を各森
林計画区の地域的特性に調和させて,具体的な施策を定
め.地域森林計画を編成することに改められた。この地
域森林計画の計画内容で従来の森林区施業計画と異なる
点は,次のとおりである。
区の区域は,国有林の経営計画区の区域と極力一致させ
る方針をとってきたのであるが,今回改正された森林計
画区は,従来の森林区と同じ性格のものであるから,そ
の区域は,民有林に対する指導行政上の便宜を重視し
て,極力都道府県の行政区画に一致させることとなり,
経営計画区との統一は,第二義的にならざるを得ないで
あろう。しかも,国有林と民有林との施業調整は,制度
的には,全国森林計画の段階ではかられることとなって
いるのであるが,具体的な森林施業の協調は,下位計画
の段階においてもきわめて重要であるから,経営計画や
地域森林計画を編成する際はもちろんのこと,計画を実
施する場合であっても,相互に連絡をし十分に協調する
ことを期待している。
(森林区実施計画の廃止)
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沁引
従来都道府県知事が森林区施業計画に基づいて編成し
た年度計画の森林区実施計画は,伐採許可制度が森林計
画箭疲から排除されたことと,造林指定を勧告制度によ
り行なうことに改めた関係から,この計画の内容がなく
なったので,廃止することとなった。
2.森林計画の実行確保の方法にかかわる事項
森林計画の実行を確保するための重要な柱となってい
①伐採許可制度を森林計画制度から排除したために
保安林その他の制限林における伐採立木材積の許容限
度を削除した。
②普通林における伐採許可制度の関連において定め
られていた適正伐期令級を廃止したので,その代わり
④全国森林計画と同じ理由で,保安林と保安施設地
区内の森林について定めていた施業要件を削除した。
ただ,保安林その他の制限林についても,各々の施業
制限の範囲内で、制限の目的と森林生産の増大等の目,
的とを同時的に達成するために最適と認められる施業
方法は明らかにすることとしてし、る。
(国有林の経営計画との関係)
(普通林における立木の伐採許可制度の廃止)
普通林における立木の伐採許可制度とは,民有林の普
通林において,適正伐期令級未満の針葉樹を伐採しよう
とする場合には,都道府県知事の許可が必要であり,都
道府県知事は.森林区ごとにその区域内の普通林に生立
している適正伐期令級未満の針葉樹の成長麓を基準とし
て定めた伐採許容限度の範囲内で,前述の許可をする,
という制度であって,森林資源の保続と森林生産の増大
をはかるための施業制限である。この制度は,次のごと
き理由により廃止されることとなった。
①この制度は,昭和26年に定められたのであるが.
当時は終戦直後であって,日本の森林は荒廃してお
り,森林資源と国土保全の面において異常な危機状態
にあったので,森林の木材生産および国土保全等の機
能を恢復するためには,幼令林の伐採を極力抑制する
必要があった。すなわち,幼令林の伐採が拡大される
林野庁が所管している国有林の経営計画は,国有林野
ことによって,将来ますます森林生産の保続を危うく
経営規程により,森林基本計画に基づいて営林局長が編
するおそれがあるという前提で剃度化されたものであ
成することとなっているが,今後は,全国森林計画に即
る。ところが,この箭暇の実績をみると,伐採につい
して編成することとなるであろう。また,従来基本計画
ての許可申請量が許容限度量を上廻った森林区は,全
− 4 −
一一戸
る必要がある森林とその具体的な施業方法を明らかに
することとした。
の代わりに,森林所有者等の理解と協力によって森林計
画の実行を画するために必要な援助と勧告の間接的手段
をとることが制度的に明確にされた。
ヲ
③森林所有者等に対して,助言指導等の援助あるい
は勧告を行なうために,森林施業について特に留意す
た直接的統制手段である伐採許可制度が排除されて,そ
︽蕪ム
に,林業経営のよりどころとするために,各地域ごと
の樹種別に標準伐期令を定めることとした。この伐期
令は,平均成長量最大の時期を基準とし,生産材の経
済性を考慮した年令である。
、
ュ
、
大塚:森林計画制度改正の方向
国2,239森林区のうちわずかに30%程度にすぎず,
また,設容限度量の全国総計に対する許可申請量の全
国総計の割合は60%程度であって,このような傾向
は,過去9年間ほとんど変わりがないb他方、民有林
におけ:る年平均造林面積は,昭和6∼14年までは約10
万l]a,15∼19年までは約22万ha,20∼24年までは約
おり,また,人工造林地の面積は,昭和26年において
が出ることをおそれるものである。この点については,
497万haであったが,36年においては532万haと増
今回の改正法においては,前にも述べたとおり,従来農
林大臣が定めた適正伐期令級を廃止するが,その代わり
に,都道府県知事が地域森林計画の内容と・して標準伐期
令を決定し,森林施業はこの標準伐期令を考えながら行
雨﹄
のために,造林事業の推進とか立木伐採時期の選定な
どの面で合理的な施業が行なわれていることの現われ
であると考えられる。もちろん,奥地林の開発とか林
種転換の促進等に対する国の積極的施策が、これら森
林所有者の経営意慾を盛り立てた点も見のがすことは
できない。したがって,今後は法律によって個人の権
利を制限するような伐採許可制度の方式を廃止して
も,森林所有者等が合理的な林業経営を行ないうるよ
うに適切な施策を国あるいは都道府県が積極的に推進
することによって,森林計画の目的を達成することは
なわれることを期待して,指導をすることとしている。
(保安林その他の制限林における立木の伐採許可制
度の処理)
普通林における立木の伐採許可制度を廃止したことに
伴って,保安林および保安施設地区内の森林における立
木の伐採に対する許可制度を保安林制度に移されること
となった。すなわち,普通林における立木の伐採許可制
度を廃止したために,その反作用として,国土保全等公
益上の見地から森林施業を制限している保安林において
は,従来以上に適正な施業が行なわれる必要があり,ま
可能であると判断された。
た,林業振興上の一環として,奥地林開発や林種転換等
②木材需要の面とか農林業の経営の面における変化
に適応して林業経営を改善することにより,所得の│可
上をはかるためには,個忽の森林所有者等の意志によ
発展を制約することとなると判断された。
の事業が積極的に進められているために,国土保全等森
林の公益的機能の確保とこれら林業振興施策との有機的
調整が重要となってくるので,保安林の管理の内容を整
備することとなったために,従来保安林制度で実施して
きた土石の採取等の行為を制限する制度の中に立木の伐
採制限を含めることとしたのである。次に,自然公園や
砂防指定地等森林法以外の法令により制限を受けている
森林における立木の伐採についても,森林計画制度にお
③国民経済的に要請される森林資源の保続は,全国
いては都道府県知事の許可をうけることとなっていたの
単位においてはかられることは必要であるとしても,
であるが,保安林における立木の伐採許可制度を移し替
都道府県とか森林区のような単位におし、ては必ずしも
えたこととの関連において廃止することとなった。
りいく通りもの経営の形態が考えられるので,これら
の経営の形態に応じて弾力的にきめの細かい行政指導
桑
きものではないという思想が一般に認識された点につい
9万ha,25∼34年までは約32万haと遂次に増加して
年森林所有者等の林業経営に対する関心が高まり,そ
∼葦毛
とになると判断された。
次に.この伐採許可制度は;適正伐期令級以下の森林
については国民経済的な観点からはつとめて伐採するべ
て,大きな効果があったと考えられる。それだけに,今
後は森林はいつ伐採してもよいのだという反動的な思想
加しており,今後も拡大されていくものと見通されて
いる。これらの現象は,木材需要の増大に伴って,近
一
制は,地域的には木材供給の非弾力性を弾力化するこ
を行なうことが必要である。そのためには,伐採許可
制度のごとき画一的な手段による統制は,個別経営の
(公有林の経営計画の処理)
必要性を認められない。そして,幼壮令金喋樹の伐採
このように,全国単位に見ると,伐採を許しうる限
地方公共団体である市町村がその所有する森林につい
て編成した経営計画を都道府県知事が承認した場合は,
その経営計画に基づいて行なう制限林における立木と普
通林における適正伐期令級未満の針葉樹の伐採について
は,他の森林における伐採許可の取扱いに優先して処理
されることとなっており,また,経営計画の編成に際し
度に相当余裕があるにもかかわらず,2,239森林区の
て市町村から申出があれば,都道府県知事は,その編成
状況を全国的に見ると,さきにも述べたとおり,伐採
しようとする許可申請量は,許容限度量の60%程度
となっているが,さらに実際に伐採されている量は,
不許可処分とかその他の理由によって減少し40%く
らいにしかなっていないのである。
30%程度の地区の伐採量を規制するために,莫大な経
について援助をすることとなっていたのであるが,これ
費と手数をかけることは,行政的に見て,必ずしも適
まで述べてきた伐採許可制度の排除に伴って,意味がな
当であるとは考えられない。のみならず,画一的な規
くなったので,削除されることとなった。
− 5 −
大塚:森林計画制度改正の方向
ただし,市町村の所有する公有林は,地方公共団体の
⑤保全対象が極度に限定されているため,保安林に
基本財産として性格をもっているにもかかわらず,その
は指定されないが,国土保全上伐採を規制する必要
経営が全般に消極的であづて,森林も荒廃している場合
がある場合
が高いので,積極的な経営を推進することの必要性を認
⑥林地の荒廃を招くおそれがある施薬,特に搬出方
め,経営計画の編成につし、て都道府県知事が援助するた
めに必要な経費の国庫補助は,今後も実施している。
暖林大臣および都道府県知事の援助の制度化)
個々の林業経営が活溌にしかも安定して営まれるため
法を規制する必要がある場合
なお,勧告は、機械的に行なうのでは効果がうすいの
で,国民経済上の要請や国民一般の世論等の盛り上りを
慎重に勘案して行なうようにすべきものと考えている。
(伐採の届出の制度化)
に必要な助言,指導、融資のあっせん等の援助は,今ま
でにおいても,農林大臣および都道府県知事が実行して
いままでも,立木の伐採について許可を必要とする以
きたのであるが,これらのことは,森林計画の目的を達
外の森林におし、て,立木を伐採しようとする場合は,森
成するためにもきわめて重要な基礎条件であるので,今
林施薬に対する指導を行なう目的で.都道府県知事に届
回の改正において,森林計画を編成した農林大臣および
け出るべきことを森林所有者等に義務づけていた。今回
都道府県知事は,森林計画との結びつきをも考えて,前
の改正においても,前述の援助や勧告の措置を効果的に
述の援助を行なうように努めることが制度化された。
実施するための機会を作る目的で,保安林および保安施
この援助の具体的内容としては,森林施業や経営計画
に着手する前に都道府県知事へ届け出るべき義務を,森
林道の整備と造林に対する農林漁業金融公庫の融資のあ
林所有者等に課することとなった。なお,この届出は次
っせん,林業経営推持改善資金の融資のあっせん,ある
の場合には行なわなくてもよいこととなっている。
いは木材薪炭の生産資金の融通のあっせん等が考えられ
①森林病虫害防除法第3条および第5条とか道路法
ている。なお,森林施業を行なうために必要な費用の補
第44条等の法令または法令に基づく処分により立木の
助を行なうことについては,すでに定められているの
伐採が義務づけられている場合
で,この援助の中に含まれるものと解釈できる。
②都道府県知事の許可をうけて,測量または実地調
査を行なうための必要から支障木を伐採する場合
(都道府県知事の勧告の制度化)
民主的に森林計画の目的を達成しようとする場合,す
③都道府県庁の職員が森林法の施行上の必要から支
障木を伐採する場合
は限らないのであって,{鰯リの森林施業が地域森林計画
④果実の採取,樹皮の採取等を目的とする特用林に
の枠から逸脱することによって,森林の公益上の効果を
おける立木を伐採する場合
維持するという見地から,地域森林計画の目的の達成に
⑤自家の生活の用にあてる木材その他林産物の採取
支障があると認められる場合に,都道府県知事は,その
を目的とする自家用林において立木を伐採する場合
森林所有者等に対して勧告を行ないうることが新たに制
⑥火災等非常災害に際して緊急の用に供する必要が
函上された。この制度は,伐採許可制度の廃止により森
ある場合
林計画と森林所有者との直接的なつながりが失なわれる
⑦除伐をする場合
ことを避けるために,代替措置として定められたもので
⑧その他省令で定める場合
3.むすび
ある。勧告を行なうべき場合,手段,内容および勧告を
行なった後の措置等につし、ては,今後さらに検討を要す
る点が多いと考えられるが,勧告をすべき場合について
は,し、ちおう次のごとき場合を考えている。
①林種,林相の改良および林地転用以外の目的によ
森林計画を実行する者は,森林所有者等である。
したがって,ただ単に森林のみを見ていては,森林計
画の実行を確保することはできないのであって,森林所
有者等の森林施業に対する意向,林業経営の形態林業労
働の状態あるいは関連産業の状況等いくたの条件因子に
って行なう幼令林の皆伐を抑制する場合
②特殊な立地条件のために伐採跡地の更新が困難と
予想される森林の伐採を抑制する場合
③客観的に伐採利用が可能と判断される老令林の伐
対する配腫をしなければ,森林計画にもられた資源政策
は,実行の可能性がなく,単なる机上計画となってしま
うであろう。これらの条件因子を洗い出すことおよび計
画事項との関連について検討することは非常に困難なこ
とであるが,今後の森林計画制度に課された,大きな,
そして,やらねばならない問題であろうと考えられる。
− 6 −
轡
△
︽︺
べての森林所有者の理解と協力を求めることができると
④林地改良を促進する場合
、凶
設地区以外の民有林における立木の伐採は,すべて伐採
の編成に対する助言と指導,分収造林契約のあっせん,
採を促進する場合
護
一
今ロ
茨城県鹿島南部地区の場
l
幹線防風林設定計画の一例…
樫山徳治・岩川幹夫
茨城県鹿島南部地区では,大規模な総合開発計画が県
また,地区南部寄りの利根川沿レ、では,3月のSWまた
農地と林地の大面積にわたる整理が必要であり,これに
はWの風も強いという。台風被害は比較的少なく,台風
伴って,防風林の計画的配澄が強く要望されてし、る。こ
時の潮風害も少ないとされている。
のため,同県の依頼によって,昭和6年7月に関係地域
現在の防風林一地区の海岸沿いでは,砂地造林事業
の概況を調査し,幹線防風林設定計画を立案した。調査
力錆実に進行していて,小河川の河口部と部落から浜へ
守壼
︽圏
当時は開発計画も調査の段階にあったので,この調査で
の通路付近などを除けば,大体は林帯が連続している。
は,防風林設定のための基本的な考え方について考察
現在はまだ樹高が低いため,海岸防風林としての機能を
し、計画の立案にあたっては,なるべく最小限度で簡明
十分に発揮する段階には達していないが,地区中部以北
な設定基準を定めることにつとめた。
では前砂丘への砂草の進入も多く,飛砂防備林としての
1.鹿島南部地区の概要
効果は全般によく現われている。現在の砂地造拭地の内
地形−この地区は,西側は利根川河口部左岸に沿
陸側には,所所に古い海岸砂防林が見られる,これらの
い,東側は鹿島灘に面してし、て,大野村・鹿島町.神栖
林は,一般にクロマツの立木密度は大きいが,樹高は樹
村・波崎町にわたる南北に細長い地域で,面積は2万ha
令のわりには高くないようである。
をこえている。
鹿島台地上では,クロマツを保残した防風林が見られ
地区の北部は標高36∼38m前後の鹿島台地である。
台地上はほぼ平坦であるが,その東縁部は比職的急傾斜
で海岸に下る段丘崖状の地形を示している。台地は鹿島
町南部まで続き,次第に標高を低めながら終っている。
I
へ舎呈
く,風向は時にNWになるが,一般にはNNEである。
当局によって推進されている。計画の実施には,現在の
るが,造林された立木を残したものであるため,枝下高
が特に高いのが目立っている。
鹿島IIU高松の開拓地(軍用飛行場跡)にば,県施工の
幹線防風林が設けられている。昭和24年植栽のクロマツ
神栖村の神之池東部から波IWnly北部にかけては,古い
林で,・巾20∼30m・樹高3.0∼3.5rn前後に達し,すで
固定砂丘があって内陸砂丘を形成している。この砂丘は
に相当の防風効果を発揮している。この開拓地には,入
南北約8kmにわたって起伏し,標高の最高所は中央部
植者が造成した2∼3列または1列植えのクロマツの耕
の37.9mである。
地防風林があって,耕地区画ごとに密に配置されてい
鹿島灘に面した海岸付近には,低い海岸砂丘が大体は
る。そのほかに,神栖村奥野谷などの内陸砂丘上に,県
連続してならんでいる。海岸線は後退していて,現在の
施工の防風林がある。いずれも,林帯というよりは団地
砂丘形成作用はあまり顕著ではないようである。
状に砂丘付近に造成されていて,N寄りの季節風防ユEを
一
べ
その他の地域は,全般に起伏の少ない平らな砂地地帯
である。
目的としている。植栽は昭和28年前後で,樹種はクロ
マツであり.海岸砂地造林の方式によって造成したとい
土壌について概観すると,鹿島台地は関東ロームによ
う
。
る土壊とみられるが,台地南端に近づくと砂質をまし,
地区の大半を占める平らな砂地地域の耕地防風林は,
神極村・波崎町にかけては,隆起と沈降をくりかえした
きわめて特色のある景観を示している。水田または畑の
砂層による砂質土壌である。
区画に沿って高さ1m'程度の土堤を築き,その上に1∼
風この地区に近い銚子測候所の風に関係する観測
値によれば,年平均風速は4.7m/sであり,10m/s以上
3m列植えのクロマツの防風林が造成されている。樹高
は急∼5m前後のものが多く,巾の狭いわりには大きし、
の暴風日数180EI,15m/s以上41日で,わが国の最強
すき間が少なく,枝下高も低く,天然生の稚樹がよく生
風地域のひとつである。風向は年間を通じてNNEが
多く,春秋のNNE風は特に強く,これについで冬の
育していて巧みな造成法がとられている。1区画は大き
くて0.2∼025haぐらいで,鹿島以南の地区中部では.
NW風が強い。
特に配置が密のようであるh広い地域にわたってこのよ
県当局の調査によれば,この地区では冬の季節風が強
筆者:林業試験場防災部
うにていねいに耕地防風林が設けられているのは,全国
でもまれな状況である。
− 7 −
樫山・岩川:幹線防風林設定計画の一例
2.幹線防風林設定計画
えない。
1配置
海岸線に近い地域では,林帯の間隔を基準よりも多少
大規模な農業開発の場合には,防風林が計圃的に設定
狭くすることが,安全の策と考えられる。また,地区北
されるのが一般である。その計画または実縦については
部の海岸段丘崖地域では,前線側の海岸砂地林帯と台地
あまり発表されていないが,一般に,巾の広い幹線防風
林と巾の狭い耕地防風林とを組み合わせた造成法が行な
われている。したがって,この計画でも同様の方式を採
上との標高差が大きいため,前線林帯の風力減少作用も
用することにした。
ある。その他の地域では,海岸砂地造林地を幹線林帯と
防風林は一般に,良好な閉鎖と最高樹高を維持して,
台地上にはあまり及ばないとみられるので,台地面の前
縁部に幹線林帯が位置するように配置することが必要で
見なして配徹を計画すれば十分である。
常時最大の効果を発揮する状態をたもつように保育更新
が上がりやすいことと更新時の有効巾の減少の点から,
幹線林帯は相当の巾を必要とすることになる。しかし,
クロマッ
ざ
霊
F
〕
樹種の配置と更新区分
林帯の配置は,害風の風向によって左右される。この
地区の営農上問題になるのは,おもにNNEの季節風と
考えられているが,地区南部ではW寄りの風も雌視でき
ないようである。また台風も,一度来襲した場合の被害
の激しさを思えば,その防止を十分に考慮しなければな
らない。この場合に最も危険な風向はSE∼Eである。
これらをあわせ考えて,聯線林帯は正方形配麓を採用す
ることにした。
2造成
a・樹種防風林の造成にあたり特に留意しなければ
ならないことは,設定位置が海岸に近く,全般的に軽蕊
な砂間土壊からなる立地環境においても安全な樹種で
あること,また,防風林設定時には,土地の交換分合に
伴う耕地整理等により、現存する耕地防風林はかなり消
滅するであろうから,できる限り早期に防風効果があが
るような樹種および植栽方法が要望されることである。
林帯の間隔については,耕地狭少化の回避,変化して
ゆく営農方式(特に機械化)の便宜などの現実的な理由
から,これを防風林としての効果距離の面のみからは決
定できないのが一般である。この点と,地区全般に耕地
防風林の造成にきわめて熱心であることから,幹線防風
1
従来,防風林用樹種としてあげられているもののなか
から考臘すれば,主林木としては,現在全地区にわたっ
て植栽されているクロマツが,最も適当と考えられる。
この地方におけるクロマツの成長状態につし、て調査さ
れた資料は得られなかったが,踏査中の観察では,鹿島
台地地域では植栽後約10年で3∼3.5m,約20年で6m
前後の樹高を示し,また,神栖村以南の内陸砂丘地域で
以上の計画による幹線防風林の設定にあたって,正方
は,植栽後約10年で2.5m前後とみられ,必ずしも良好
形配置の一辺は,海岸線の向きに平行に定めるものとす
な生育とはいえないようである。したがって,防風効果
る。幹線林帯の間には,可能ならば5列植え,最小限3
を早くあげるためには,初期の成長を促進するため,植
列植えの耕地防風林を,将来の営農形態に応じて密に造
栽の際には施肥による肥培と肥辮休草の混植などによっ
成することが必要である。
て,環境を良好にすることが大切であろう。
この配置によれば,1km2の区画内の幹線防風林面穣
は’'・4影となり,面積比率として大きいほうの部類に
肥料木としては、オオバヤシャブシ・ニセアカシヤ・
ヤマモモなどがある。ニセアカシヤば成長と肥培効果は
はいるかと思われる。しかしながら,現在の耕地防風林
ともにすぐれているが,クロマツに対する被圧のほか
の密な配置が,過去における飛砂と艇作物の風害の激し
に,保育管理や更新の面でも支障があると思われるの
さを物語っているものとみれば,この配置は決して密に
で,オオバヤシャプシが適当と思われ,初期の成長は劣
過ぎるものではないと考えられる。なお,実施設計の場
合には.農家ユ戸あたりの配分面穣に便宜のように,林
帯の間隔をこの基準よりも多少増減することは差しつか
るが常緑樹であるヤマモモも考えられる。
d.植栽前述の樹種について。ホ鰐内の配置を想
定すれば前図のようになる。すなわち,クロマツを主体
− 8 −
畠ざ、
一望
林の間隔は470mを基準にし,その不足を#蝿防風林の
’
一
モモ
m、
-975m一一」
にすることにした。
積極的造成によって捕うことにした。
蝋
二
二
参
考
三
壽
蒸ト7
.
−
,
ー-975m
50
申
0も3
0
1
耕地面積減少の面を考慮すれば,あまり広い巾は適当で
はなV、。これらの点を考慮して,幹線防風林の巾は30m
諭
鼻
"
亭
"
輔
"
隼
"
隼
"
M
"
亭
妙堅に
することが最も重要である。この計画では,後に述べる
ように,主林木にクロマツを想定しているので,枝下高
樫山・岩川:幹線防風林設定計画の一例
とし,オオバヤシャブシを林帯に平行に列状に混植し,
やして施すのがよい。また,鹿島台地以南の地域では,
また桝縁を保謹し,あわせて防風効果をあげるためにヤ
マモモを椎鍼することが,基本的な形として考えられ
林内にルーピン・エニシダ等の下木草を導入するのが望
る
。
混植することが望まれるが,海岸砂地造林のように広い
c・保育この地方に多い1∼3列植え程度の耕地
防風林は,下枝がよく着生し,またクロマツの更新稚樹
も適宜に下木的に生立している。しかし農用林的林帯で
地域に混植を行なう場合と異なり,主林木が特別の目的
は,枝打ちが綿密に行なわれ,枝下が全くすいているの
をもち,しかも巾が限定される防風林階の場合には,混
が目立つが,現存本数は10年生以上の所でも植栽当初と
植によって防風機能を低下させないことが大切である。
あまり変わらず,林冠は密に閉鎖しているのが一般であ
肥培効果をあげるためには,肥料木をできる限り多く
したがって,この計画のオオバヤシャブシの場合は,お
よそ20%前後の本数を列状に導入するのが適当と考え
シ −
る。
防風林としては,閉鎖が密または疎に過ぎるのは適当
でないので,成長につれて,林帯の閉鎖度が適切に保た
る。
ヨ
ましい。
次に,この地方における植栽密度をみると,海岸砂地
れるように,間伐を早くから少しずつ行なうことが必要
一
植栽ではhaあたり13,750本(1.0m×0.7m)程度で,
に林縁部では枝打ちを行なわないようにしなければなら
た,謝馳防風林および平地林においても10,000本程度
ない。このように保育しても枝下がすいてくるのは避け
の植栽密度のようである。一方,茨城南部の平地林で
られないから,ヤマモモ等の常緑樹を林縁に配置するこ
は,正条植えで4,000∼7,000本,普通6,000本のよう
とが望ましい。
であり,また,本県内陸地方の耕地防風林の例によれ
d.更新この地方におけるクロマツの成長を.海
ば,クロマツ・アカマツ・ヒノキ等を通じて4,500∼
岸砂地造林地および本県内陸の防風林などのクロマツの
8,300本,平均的には6,000本が植栽されている。
1∼2の例,ならびにアカマツ林収穫表等によって推定
鹿島南部地区の立地条件は良好とはいえないから,植
∼ ヘ
すれば.植栽後40∼50年で樹高15m前後に達するも
栽密度は県下他地方よりも多少増加すべきであろうが,
のとみられる。したがって,内陸砂丘地等の潜悪地を除
海岸の飛砂防備林が整備されつつある現在では,内陸部
けば,輪伐期は60∼75年程度に想定してよいと思われ
における幹線防風林としての機能を保持させるため,林
る
。
木ならびに林帯の形態を盤えるには,従来の植栽密度は
更新は,原則として,林帯をこれに平行な3帯に区分
原則として過密であるといえよう。したがって,この地
した3段階とし,害風と反対の側から順次行ない,林帯
方ではできる限り従来よりは疎植にすることが望まれ,
としては15m前後の樹高が常に保たれるようになるこ
内陸砂丘などの繕悪な地域は別として,6,000∼7,000本
とが望ましい。第’回および第2回の更新は,輪伐期の
粥および%に至った時に着手すべきである。
程度を基準とすべきであろう。
塗
である。また,枝打ちはあまり行なう必要はなく,こと
内陸砂丘地の防風林造成もほぼこれに準じており,ま
植栽にあたっては,埋めわらをふやし,肥料もクロマ
(36.10寄樹,
ツには窒素肥料を特に多くし,肥料木には燐酸I畔}をふ
スギ赤枯病の防除には
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一
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の
特殊例
中野博TF
徳島県の松被害は海岸線の防潮保安林に発生すること
が多く,防除のやりにくい林相である。立木はいずれも
80年近い大木で,樹高もしたがって20∼25mのものが
大半を占めている。
ように,謹岸の前方砂浜上に筒を配蔵し,矢印の方向に
徳島県の南部を西から東へ流れる那賀川の河口に近
調査した結果,煙害も関係があるかも知れないが,マ
ツケムシ,アブラムシ類,カイガラムシ類の被害もかな
り激しいことが認められたので,煙害補償対策とはまっ
たく別個に,くん煙剤による防除を1961年5∼6月の間
に実施した。防除実施当日は風がきわめて強かった。そ
の強い風と護岸堤防の壁面とを上手に利用して,かなり
良い結果を納めえたので,特殊な場合の一例としてここ
に紹介しよう。
1.防除地の概要
防除地は,全面積約50ha,南北に伸びる林令50∼80
ようねらったのである。
3.結果
煙は計画図のとおりきわめて理論的に,理想どおりに
林に向って流れた。
道ぶちの最前端のマツを通過した煙は,急に移動速殴
を落とし3m/seCくらいの速さで次の林の層へ流れた。
煙の到達距離は50m付近までは確認できたが,それ
以上は林冠の茂みに遮られて目測できなかった。
ところが,林内の住人が苦情を申し入れてきたので,
調べたところ,100∼150m先までは十分到達しているこ
とが確認できた。この苦情に対しては人畜無害だから心
配はいらないと説明したら,「無償で消毒してくれてあ
りがたい」とお礼をいわれた。
被煙後30分には虫の落下するものを認め,効果は十
分あったと考えられる。なお,他の用務で1961年9月25
日,現地を再度視察する機会を得たが,恢復の様相を呈
生い茂っている。
していたことを付記する。
の砂利道。外側は砂浜つづきで海に接している。
これは試験のために行なったものでなく,したがって
2.筒を配置したねらい
風が意外に強く(5∼7mm/sec),くん煙筒を使うに
はきわめて不利な状況であった。
原則としてはもちろん時刻待ちするか,あるいは防除
の日取りを変更した方がよさそうな条件であったが,仕
事の都合で延期は許されない状況であった。
現地には前面に潮返えしのため弧状に鱈曲した壁面を
もつ護岸堤防があり,筒をこの内側に配置すれば,煙は
強い風におさえられて地面をはうばかりで高い樹冠には
十分到達しないと思われた。また,筒を樹幹高く吊すに
は竹竿等を必要とする。そこで,図の中に示めしてある
筆者:徳島県林業改良指導員
4.むすび
最小限の人数で,防除功程を伸ばすことに重点が置かれ
ていた,観察のための人員や殺虫効果判定のための虫カ
ゴ等も準備されてなく,数字的に表現できないのは遺憾
であるが,くん煙剤の殺虫効果については,もはや疑問
の余地はなく,むしろいかに上手に,むだなく被煙させ
るかということが防除の要点かとも思うのである。
一般に’1∼3m/sec以下のときに使用するよう指示
されているが,この制限はくん煙剤の大きな欠点とも考
えられるので,地形,地物に合わせて工夫をこらし,そ
のつどできるだけこの制限のわくをゆるめるように努力
することも,くん煙剤防除技術に課せられた一つの問題
ではなし、かと愚考するのである。(36.10.寄稲)
− 1 0 −
茸
一一
年,樹高20m前後のクロマツ海岸林である。
林の西側に3軒ほど住宅があり,林内にも4,5粁,
疎開住宅風の木造建物があるが,下木として若令の松の
ほか,潅木性の広葉樹が生え,所によってササが一面に
この林の北詰に護岸堤防があって,その内側は2m巾
︽j
伴って,付近の様相はすっかり一変してしまい,急速に
近代化した。この淡島海岸の防潮保安林に1960年11月ご
ろから松の枯れるのが目立ちはじめ,地元民はこれを工
場から出る廃ガスの煙害だと陳情する騒ぎがおこった。
このためには,風速の大きいほうがむしろやりやすい
わけで,筒から出た煙をいちおう護岸堤防の前壁面へぶ
つつけ,まっすぐ上に向って上昇する煙を北北東(NN
E)の風で繊なぐりに叩かせて,林の樹冠全体に流れる
差、
く,阿南市富岡町豊益の淡島海岸は昔から風光明眉な観
光地として知られていたが,神崎製紙富岡エ場の開設に
煙を流す計画をたてた。
ミドリつ
述べるようにラノリン軟膏塗布区,浸潰区および葉面散
布区の3区を設けた。
A)ラノリン炊膏塗布区
ぎ
唾-ナフタリン酢酸(奄一NAA)10,50ppmのラノリン
伊佐義
橋本英
軟膏を青色セロテープで結束した接部の上部に1個体あ
朗
一一
の実験一
テiダマツの
2)植物ホルモンによる処理方法
植物ホルモン処理はα一ナフタリン酢酸を用い,次に
B)浸漬区
al-NAA,100,200ppmの水溶液に,つぎ穂をつぎ木
緒 言
マツ類特にテーダマツの壮,老令木はつぎ木がはなは
だ困難である。(1)(2)(4)従来から行なわれているテーダマ
ツのつぎ木は,多くは1年生長枝の先端部を用し、,まだ
ロ
吟一
一
たりに約19ずつを塗布した。対照区としてα-NAAを
含まなし)ラノリン軟膏のみを塗布した区を設けた。
前に24時間浸潰した。対照として水のみに浸渡したもの
を用いた。
C)葉面散布区
Qr-NAA,1.10ppmの水瀞夜を,噴鑑器をもって1個
新芽の動かぬものを穂木としてきた。
錨者らは京都大学上賀茂育種試験地で,いわゆるミド
体1回に5∼10ccずつ,崎天の臼を選んでつぎ木当日よ
リつぎ法といわれている方法,すなわち5,6月ごろに
り3∼4日おきに8回散布した。対照区は水のみを散布
すでに伸長しつづけている新芽を穂木として用い,同じ
した。
状態にある台木の新芽につぐ一種の芽つぎ(2)とも名づけ
られる方法を試みたところ,かなりの成果をあげること
ができた。これまでつぎ木が困難であったため,テーダ
マツのクローンや,採種林,交配母樹林などの育成の点
で,育種の進路がはばまれていた折柄,この実験結果が
多小とも役立つことになれば筆者らの幸甚とするところ
である。
このつぎ木実験で植物ホルモンの処理を併わせて行な
ったので,これらの結果についてここに報告したい。
実験計画と材料
つぎ木台木は2回床替のアカマツ,クロマツ苗であっ
へ一一
霞
て,つぎ木を行なう前年の11月に鉢植えとなし,十分根
づいて粥詳の伸長が10cm以上にすすんだものであり,
穂木をとった母樹は,すでに開花緯夷期となっている35
年生(1925年の実生)のものである。伸長しつつある新
芽の先端部を穂木として用いることにしたが,実験に供
したつぎ穂はすべて同一個体から採取したものである。
写真1つぎ木後の管理状態
なお,つぎ木後は全部にポリエチレン袋をかけ,鉢の
管理場所には高さ1.5m上方にヨシズ張りをほどこし,
直射日光をさえぎった。
結果と考察
調査はつぎ木後およそ70日を経過した8月中旬に行な
った。その維深は第1表のとおりで,全体から見てラノ
1)つぎ木方法
台木はすでに新芽が伸長をはじめ10cmく.らいとなっ
ているものとし,その新芽の蕪部3∼4cmを残して先端
を剪除する。穂木はつぎ木母樹からの新芽の先端部4∼
リン軟膏塗布区が最も濡菅率が高く,浸渡区,葉面散布
区はかえって不良であった。
ラノリン軟膏塗布区のうちで,50ppmが良好で40
5cmの部分を用い,安全カミソリの辺を使って穂作り
70%の活菅率を示したが,ラノリン軟獅のみを用いたも
を行なってから,普通の割つぎ法でつぎ木し,ただちに
のも,他の処理区よりは良好であった。綜浩“)が3月に
幅2cmの青色セロテープで接合部を結束した。つぎ木
は,6月13日∼15日の3日間にわたって行なった。なお
椎吻ホルモンの濃度別に,かつアカマツ台,クロマツ台
おのおの20本ずつ計360本につし、て行なった。
アカマツ90年生の1年枝を接穂として同様にⅨ=NAA処
理をしてつぎ木を行なった綺果では,浸潰区,葉面散市
区ともに50∼70影の濁青率をあげてし、るが,本実験では
浸潰区,葉面散市区ともに活着本数がなく,わずかに対
照区にのみ20∼25%の活着率をあげたにすぎず,ホルモ
筆者:京都大学演習林
ンの効果は全く見られなかった。かえって活着率を低下
− 1 1 −
ゴ
伊佐・稿本:テーダマツのミドリつぎの実験
、
文 献
曉1表)テーダマツつぎ木におけるα-NAAの処理方法と活着状況
3
4
5
N.T.MirOv…Testedmethod
ofGreftinginPines・..1944
78
接木の方法は各区とも新芽の割接法で行ない,ポリエチレンバック
・接木の方法は各区とも新芽の割接法で行な
で覆った。
。穂木は35年生テーダマツ1個体よりとる。
させたようにみえる。その原因については,いまだ判然
Jour,Forestry
菊池…果樹園芸学…1953
鳥澗艇及鰯・・・37巻3∼4
台の方が良好であった。
とした理由をあげることはできないが,さし木のホルモ
つぎ木の親和性について,鳥澗(8)は活着がわるくても
ン処理によるホルモン過多⑮)におちいったということと
親和性の良いもののあることを指摘しているし,また菊
も考えられるが,さらに別の実験で追求しなければわか
池のは親和とは活着後発育を維続して完全に結実するも
らない。
のであり,不親和とは活着しても異常発育を呈し,たと
なお,本実験ではアカマツ台木の方がクロマツ台木よ
り活着率が高かったが,これはさきに吉川G),伊佐(1),
︽ゞM
6
◎ツ茨不6誤りノヨュ。'ゴ刀迩ゆり月』Dlゴの○口I剛し一価
接木は6月131ヨから6月15日の3日間に行なった。
ぷ
(溌謂難)
畷
.
2
伊佐,橋本・・・マツ属のツギ木が
栄養生長と開花促進に及ぼす
影響について…1957未発表
斎藤,橋本,伊佐・・・外国産マツ
の枝接と芽接について・・・1957
日,林,関西
橋詰…マツの接木に関する二,
三の実験…1956,鳥取腿学会
報11巻
吉川・・・林木のつぎ木の育種への
応用…..、1958.京都大学艇学
部演習林報告27号
小笠原・・・林木のさし木に関する
研究。.、1958,京都大学雌学部
減劉*報告27号
ぎ
散布区
一m“
本当)7回噴霧
1
FD−,
戸ひの望
1回約1cc(1
葉 面
u 5 五 8 − 7 6 ’ 0 0 − 0 0 4−5−00−0044
浸演区│剰鰯蝋
00000000000000’0000
22222222222222’2222
塗布(1本当)
ツツツツ
マ マ マ マ |録一鍔︾¥︾︸一抄︸録母挿︾私吋
塗布区
約19を接部に
か如一かハアクアクアクーアクアクアクアク
ラノリン
軟 膏
m
p
p
OO
O0
O0100
1
−O。
12 0 1
試験区|処理方法|濃度|台木│接木本数│活着本数│簿謙
え結実しても実用価値のないものであるとしている。
この観点からテーダマツに対する台木との親和性を,
斎藤“の行なった実験結果と異る。しかしつぎ木鐸】1
クロマツ,アカマツに関して比較すれば,その後の生育
カ年をすぎた1962年4月(ガラス室内管勤に,活着し
状態から推測して,傾向としてアカマツよりもクロマツ
たつぎ穂の上長生長を調べたところ,クロマツ台10.3±
の方が親和性が強いといえるように考えられる。
露
写真左活着
約一年目
アヵマツ台
写真右活着
約一年目
クロマツ台
− 1 2 −
︽一
(37.4.寄稲)
2.2cmにたいし,アカマツ台7.6±2.2cmで,クロマツ
■
夛
−
近代林業史観
太 田 勇 次 郎
ま え が き
なのである。
徳川幕藩制崩壊の日に日本の近代林業は始まる。その
日(1867)から今年(1962)まで95年の才月が流れた。
95年の年月はこれを一世紀とし、ってもさしつかえはない
であろうが,その間における日本民族の文化は驚異的な
発達を示し‘大化新政以来1,300年の歴史を通じてもか
つて見たことのないほど高くまた輝かしいものであるこ
コ
レヘ
-
とはまぎれもない事実である。日本の近代への移り行き
の時期は西欧の諸国に比べてかれこれ一世紀内外立ち遅
れた。徳川幕府の鎖国令と地理的関係によって西欧文化
に接する機会を庶断せられ孤立的状態にあったことが,
その主なる要因であろう。古くは大陸文化をとり入れは
なばなしい王朝文化の花を咲かせたのであったが,その
後における海外との交流は消極化した。欧洲との接触は
天文12年(1543)ポルトガル船が大隅の種子島に標蒲し
たのを寄縁として交易が行なわれ,徳川時代に入り当初
家康に平和通商を外交方針として,海外貿易の拡大をき
たしたのであったけれども,寛永13年(1639)に至って鎖
国を断行したので、爾来2世紀余にわたりわが国民は海
外文化,特に世界に雄飛し,近代国家への道を進みつつ
あった時代の西欧文化に接する機会がなかったため,日
本の社会はなんといっても後進的なるを免れなかった。
それがわずか50年にして西欧最先進国の水準に迫るまで
ヘテーへ
に成長したのであるから,まさに驚異的な発展ぶりであ
った。
桑
このようなものすごい日本文化の発展の中において日
本林業はいかなる進化を示したか。それを明かにするの
がこの論文の課題であり,その本質を解くために過去一
世紀にわたる流れの跡を追及するつもりであるが,それ
がまた将来の動向に対するなにがしかの暗示を与えるこ
とになればそれは望外の幸である。
まず政治家や学識者特に農政学者の間にあっては山林
とか林地とかは不生産的な土地または経済的価値の低し、
利用法であるとの概念をいだき,財産権などさえ無視し
て「山林解放」が叫ばれる。他方では衆議院議長を委員
長とする「国土網上推進委員会」が成立し,春ともなれ
また,台風や前線などによる豪雨のため災害が発生す
れば森林の重要I生が朝野の識者によって呼号せられる。
その反面,立木はドシドシ伐採されて森林資源は著しく
幼令化し,資源量ははなはだしく貧弱化して増産の弾力
性はますます低下し,少し需要が強くなればたちまち暴
臓を示す。そこでさらに増伐を強行するのが現実の姿で
ある。この両面はなんといっても矛盾であることは拒み
難いところである。
この矛盾をそれは矛盾でないとする見解が世論を指導
している。その第一は全森林を保安林と普通林とに区分
し,保安林を整備すれば普通林はいかなる伐採をしても
さしつかえはないとの主張である。日本のような高峻急
斜の山岳林にあって国土保安に関係のない部分などのあ
りうるわけはない。故にもし保安林の整附を要すとすれ
ば,おそらくは日本のほとんど全部を保安林に指定せざ
るをえないことになるであろう。第二は造林を行なえば
何ほど伐採してもさしつかえないとする考え方である。
45年生以上の成木と小苗とが同じ機能を現わすとは何と
してもいわれないはずである。伐採面蔽が大きくなれば
裸になり,地面を露出する。たとえ苗木を造林しても幼
令期にあっては豪雨から地面を該ることはできないから
表土は流出する。この土砂は崩壊土砂とともに河床を高
め,堰堤を埋没する。林地は表土一肥土を流失して情悪
化する。さらに森林の大部分が幼令化した場合には,山
に立木はあるが小さくて使いものにならないという事態
にまでおし進められるおそれがある。造林は必要である
ことはいうまでもないことだが,造林をすれば山林はい
くら伐ってもよいということにはならない。
これに関連してさらに不思議なことが行なわれる。そ
れは近ごろ経済政策上経済計画が重視せられ,将来の需
給推算が必要となる。その場合将来の箭要量は果して計
算しうるのであろうか,これは用途別に樹材種および価
格の将来を見通されなければならないはずであるが,そ
れがわかるのであろうか。次に供給量の計算については
技術的に,また採算的に利用可能の林分と不可能な林分
ば「緑の羽」を街頭に売り出し,道ゆく人々の胸にかざ
る。また噸樹祭」なる行事がとり行なわれ,天皇親植
の儀式が執行されているのである。前者は森林を無視す
る見解であり,後者はこれとは逆に森林重視の糀神迎動
との仕分け,さらに利用可能林分からの各年次または期
間別樹種別,材種別数量はいかにして計算しうるのであ
箪者:本会名与●会員
関係なく行なわれた推計が果して現実性滋もちうるだろ
ろうか。自由経済下にあっては個別経営体ごとに自ら計
画をたてたものならばとにかく,その経営主体の意志に
− 1 3 −
太田:近代林業史観
うか。この供給量にして確実でなければ適切な需給対策
けれども,それはいずれもはなはだしく微温的なものに
を誰ずることはできないであろうと思われる。なんとな
れば供給量に必ず一定の砿堺があるからで,この限界を
明らかにすることが先決となるのは当然である。したが
過ぎなかった。そのうち意義を認めうるは火入の制令で
ってもしこの供給量の見通しに狂いがあれば,その識斉
計画の確からしさがはなはだ低いものになるおそれが出
てくるわけである。
日本林業に関し,社会に現われたところを概観したの
であるが,林業の本体は明治維新以降いかなる変遷をた
どってきたかについて考察した結果,過去95年を三つの
段階に分けることにした。すなわち
第一段階職舗雌新から大正9年公有林野官行造林法の
成立に至るまでの期間
第二段階前段に続く大正10年から昭和20年太平洋戦争
終了までの期間
第三段階終戦後現在に至るまでの期間
である。第一段階に属する期間は通騨53年間にわたり,
全期間の払強を占めている。その後半42年間を第二,第
三の二つの段階に分つことになり,いわば戦前と戦後と
いう対照的な期間なのである。
第一段階
日本の近代林業は版籍奉還によって始まる。この時前
時代から継承したものは原始的状態の山野と,古くから
収奪を加えられてきた山野とにとどまり,遺産として承
け継ぐべき投下資本蓄積とてはきわめて微鐙の造林地が
あっただけで,そこには自然そのものがあっただけだと
いっても過言ではあるまい。ただし前代までに発達して
したのである。しかもこの行政は課税問題から発足し,
法理問題がその主体を占めており,林業政策的考慮はほ
とんど介入しなかった。この前期間においても火災防止
に意をそそぎ,また特用樹木の保存,さらに官有地に対
、
する部分林仕付条例を制定するなどの布令は発せられた
林野の一部を売却した代金を資金として国有林野内の未
立木地に植林するほか,近代的経営に必要な装備を行な
うことにした。これと相併行して国有林野法を制定して
国有林野の管理制度を確立した。森林法は森林所有樅の
行使に関する限界を規定した形嘩制度の基本法であり、
国有林野法に国有財産たる国有林野と人民との関係を明
空く
ー
、。‘
示したものであった。森林法の骨絡をなすのは営林の溌
督制度と保安林制度とであった。この法律の制定のため
には明治年代から準備が進められ,特にドイツ,オース
1、ラリヤ,フランスの制度に依存するところが少なくな
い。また,国有林経営の方式もおおむねドイツ林学にそ
の基礎をおくものであった。これによって日本における
林業制度倉腱の基礎を築いたのであるが,それまでに30
年の才月を費しているのである。しかし,この期間は決
して無為に過されたわけではない。明治10年樹木試験場
を設けた。また,長くドイツに留学して林学を攻究した
松野鯛を登庸したのは明治8年であった。さらに6年ド
イツ留学から帰朝した中村弥六を採用して15年11月開設
した東京山林学佼の教授とし,校長松野剛とともに林業
専門家の養成に当らしめ,引き続きドイツ,フランスか
らの帰朝者を採用して林政の調査と林業教育に力をつく
したのであって,これの準備が実って,30年代初頭の制
度確立となったといってもよいであろう。なお,国有林
の管理機構の基礎となったのは明治10年の制定にかかる
大小林区署官制である。国有林管理経営の国家磯柵とし
て行政区と異なる「林区」なる概念を現実の制度として
採用したことはきわめて注目すべきであろう。
日本林業制度の創設について深く関心をひくことは日
本伝統の継承するものなく,その範を主としてドイツ,
フランス両国に発達した制度にとった点である。当時す
でにドイツ林学体系は成立し,輝かしい成果を挙げるに
至っていたので,将来科学的林業経営を日本においても
必要としたのは当然であろう。
林業制度の第二の発展は日露戦争の直後に出現した。
日露戦争は日本の資本主義に対し第二の段階をつくり出
した。すなわち,外には朝鮮・満洲の市場を独占すると
ともに中国および南洋市場に雄飛するに至ると同時に国
− 1 4 −
茸
一一
きた造林技術と流材技術とは民間に温存されていたの
で,実質的にこれがせめてもの遺産であり,日本林業の
伝統はここにかくされていた。
"JII幕藩体制下にあっては林業は幕藩領主によって独
占せられ,人民には原則として林業の経営を公認せず,
人民は自給資料の採灰だけが認められていたのである。
このような制度は世に「領主林業」と呼ばれるものであ
る。この領主林業は詐鍵制の解体と同時に崩域し,山林
官僚もことごとくその姿を没したので,明治林業一近代
林業は何の伝統もない完全なる白紙から出発したわけで
ある。この継承した山野はまだ所有樵さえ定かではなか
ったので,その確定のためにこの期間の半ばに当る明治
32年まで,すなわちこの期間の前半ば所有権問題で終始
あった。わが国の資本主義経済は日清戦争の勝利によっ
て飛躍した。わが林業制度につし、てもこの機運に乗じて
その第一歩を印するに至った。明治30年(1897)森林法
を制定,32年国有土地森林原野下戻法を制定し,土地所
有権に関する明治初期以来の紛争を法制によって打切り
を強行すると同時に国有林野特別経営事業を起し,国有
太田;近代林業史観
内にあっては,樺太の帰属によって洋紙・人絹工業部門
がにわかに進出したほか重工業の発達は目ざましく,産
業の質的転換に向い,経済は一段と拡大してわが国勢の
第二の飛躍期に入ったのであった。林業関係にあって
は,明治40年森林法を改正してその中に森林組合に関す
る条章を追加した。けだし中小民有林の経営を合理化す
るための方策として組合組織を必要と認められたもので
あろう。43年10月「公有林野整理開発二関スル件」を
府県知事に対し農商務・内務両次官名の依命通喋を発し
た。これは旧入会地に由来する「部落有林野」を市町村
司
一 へ
∼
に統一帰属せしめることを目的として,その行政手続を
指令したものである。市町村有として林業経営を行なう
べきものに対しては経営計画を樹立し,また,入会権に
ついて解除または制限もしくは使用区域割当を図らんと
したものである。さらに他方では,44年以降19カ年継続
の治水事業の実施が決定し,これに対する予算が成立し
た。これは43年夏季の関東地方に発生せる大洪水の惨害
に促されたものであり,これによって,当時最も不整術
∼-−
近代化についてはいろいろな難関に逢着して所期の目的
を完遂することができず,今日に至ってもなお不安定性
を解消するに至らないのである。それは整理藩手の時期
が遅きに失したばかりでなく,所有権確実の処腫と相容
れないものがあるためにほかならない。すなわち,旧入
会林野は明治7年(1874)の地所名称区別法により民有地
第二種としてそれぞれの所有者を定め,土地台帳に登録
されてすでに30年前後を経過し,その間には売買・分割
など権利の移動も少なくないのであるから,存続しうる
部落だけがその権利を喪失するような処置に対し抵抗を
感ずることは当然であろう。ドイツの場合には近代行政
町村制の成立した領域国家時代においてAlimendeの帰
趨がほぼ決定し,その一部がRealgemeindとなり,大部
分は新市町村財産として近代化する体制か成立していた
のであるから,近代国家への移行と同時に町村有林とな
ったのであるから,日本の場合と比較すれば全く事階遊
異にするので,かれとこれとを一律に見ることは許され
のままに放任せられている旧入会林野の整理を図ること
が治水上の先決問題と認められたのであるが,また他方
ない。しかし,補助手段および宮行造林制度によって雌
立木地の造林を行なったことは,国存休における艇立木
地の造林とともに経営規模の拡大を意味するものがあっ
においては,日本の市町村自治の健全なる発達を図るた
た
。
一一
めには,市町村内の部落間に財政的懸隔の存談するの否
を認められるに反し,市町村自体は森林を所有すること
によってその自治能力を高めるとする見解がようやく支
配的となりつつあったものと推測せられる。治水事業と
しては,市町村に統一せられた林野中の無立木地に対す
る造林補助・保安林の設定・森林組合の結成による中小
民間林業の振興・荒廃地復旧緑化・水源地帯の気象観測
等を中心として,民有林野を中心とする林業の全般にわ
たって刷新改善を目的とする行政制度が成立したのであ
る
。
この時代における林業の本質はいかなるものであるか
をここに明らかにしなければならない。まず木材・薪炭
は完全自給体制にあった。しかし,おおむね買手市場で
あるため'価格は常に低調であって,日銀調による物価指
数(明治30年を基準)についてみれば木材薪炭の価絡指
数は一般物価指数の下廻わりであった事実に徴しても明
らかであった。当時,木材薪炭の市場ば全国的規模にお
いて自由取引が行なわれ,従来利用の途なく価値の低か
った森林資源が換金可能となったのであるから,活気づ
くのは当然である。したがって道路鉄道業の開設につれ
第三の展開は第一次世界大戦(1914∼18)発生後に現
森林の利用圏は拡大し,その圏内の森林は盛んに伐採さ
われてきた。欧洲の大戦は日本の経済に好影響を及ぼ
れ,沿線から森林の紫茂する姿が没し去ったのである。
その反面にはまた植林も行なわれるようになった。これ
は林業発達史上重要な現象であるけれども,その数量は
僅少のものであり,かつ局地だけの動きに過ぎなかっ
し,大正7年の輸出額は大正3年の3倍強に膨脹し,重
エ業国としてこの基礎を確立し,巨大なる独占資本を形
成した。このような時世を背景として大正6年公有林野
官行造林法が制定せられ,国有林野特別経営事業は,所
定の事業を完了して国有林の経営はここに本格化するよ
うになった。また,国有林野法に制定せられた部分林・
社寺保管林・委託林の整理または設定については必要に
応じて整備し,さらに陸軍大臣の要請により馬産限定地
を画定することになった。(大正5年)
た。これがこの段階における林業一般の概要である。と
ころがこのような情勢の中からきわめて注目すべき現象
が生まれてきた。それは満新なる民間林業地の成立した
ことである。その地域はもとより局地的であるけれど
も,日本林業にとってはその意味するところは決して小
さし、ものではない。その先頭をゆくものは吉野林業であ
わが国林業制度の創設は三次に分けて行なわれ,大正
り,これに続いて尾鷲・天竜・日田・西川・青梅の各林
9年をもって一段落をつげたのである。これによって国
業地である。このほか智頭・小国などはいずれも徳川時
有林の経営はほぼ軌道に乗ったのであるが,旧入会地の
代の領主林業の陰にひそかに萌芽したスギ人工林業であ
− 1 5 −
太田:近代林業史観
って,明治期に入り,さながら水を得た魚のような活気
を示してきた。これらはいずれもスギ林業であるけれど
もこのほかに同じスギ林業ではあるが,北山の台杉林
業,ぷた能登!胤至郡のアテ林業などひろく世に脳炎され
た林業地である。明治以降は新興林業地帯が随所に出現
した。木頭林業を筆頭として芦北・八女・肱川・三河・
鹿沼等々が世に認められるようになってきた。この間政
府の施為したところは明治15年(1882)大日本山会を設
立せしめて民間の林業思想を啓発に当らしめたことと博
礎会または品評会の開催によって指導奨励をした程度に
とどまり,民間林業の興隆は全く自主的であったことを
世紀といってもさしつかえはないであろう。この創設の
推進力となったのは林業専門家であったことは看過する
ことのできない要点である。ドイツ,フランス両国にお
いて林学を履修した人物を登用して調査と教育に当らし
め,ここに養成された専門家が林業行政推進の実質的な
力となったのである。したがってこれら専門学の地位は
高いものではなかったが,常に高い自主性を保持してい
た。この建設期にあって長く専門家の中枢に座したのは
松波秀実であった。この事実から見てこの建設期を「松
波林政」と呼んでよいのではあるまいか。
この時代の林業は総体的に見れば天然資源の収奪林業
に過ぎなかった。しかるにその中に局所的ではあるが企
強調しなければならない。
日本の近代林業の第一段は以上のようにして発足した
業的林業地が生まれ,また住友吉左エ門・森林市左衛門
のである。これによって明らかなように日本の林業は明
治維新によって新たに成立したのであって,少なくとも
制度の上には歴史的伝統はなく,専ら西欧の制度に範を
とり創設したのである。故にこの期間をわが国林業の創
・諸戸清方・古河虎之助・大倉喜八郎・清水礼次郎等々
く
戸
口。
の企業的林業家の出現はそこに清新なる意気の発源にほ
かならなし、のである。
’新 刊 」
=
;
話は聞いたが……
■■”君雪呂弓目■■言孟呂二三■■舌名二二■■
言'".".. ...'.". .…. ."..… ..… ....… …→=一=……. ・…‐.… ……………… .…
読んでみよう.〃
私たちの森林
ヨ
Z
■
A5判
i2.日本の森林のありさま9.森林からとれるもの
140ページ
:3.森林のはたらき10.木材が山から町へ出るまで
写真110
:4.森林のすがた11.木材の使いかた
図90枚
5.木はどのようにして育つか12.進んだ木材の使いかた
6.森林のつくりかた13.木材はまだまだ必要です
i7.森林をそこなうもの
14.私たちの手で美しい豊かな森林を
大変遅れてご迷惑をかけましたが遂に完成〃ご一読下さい。
日本林業技術協会
1
1
振替東京60448
、
2
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『
、−−.16−−−
定価芋200
(〒ぞ60)
■■︼■﹃■|■一四■|■|■﹃日日
:1.私たちの生活と森林8.農家のくらしと調氷
︽一
もくろく内容
のである,ところが間伐木撰定に
熱中してくるとはげ頭から噴き出
す汗を吸収させるため頭にタオル
寺|崎先生の想い出
‐
ぬ
’│
をたたんで乗せておられたので鑑
参観者はその風姿に奇異の思いを
田中波慈
女して目をそば立ててし、た。
欧州留学中にも二,三の逸話が
昭和37年2月16日,朝日の昇るころ,先生の生命はつ
いに大宇宙に融合してしまわれた。
〆 ー
一 ,
先生の祖父寺崎助一郎は江戸の与力同心(検察官)で
あったが,また長崎代官所の勘定奉行(会計部長)にも任
ぜられている。助一郎は渡辺華山に師事して絵を学び,
また蘭学,漢学に熟達していた。その子,遜(ユヅル)
は幕末のころわずか12.3才で彰義隊に加わり官軍と戦
って負傷したほどの佐幕党であったため,維新政府には
用いられず、逆境に陥ってしまった。しかしそれにも屈
せず,英語をよくしたので,後年政府の命を受けロンド
ンに渡りザ電信事業の研究を行ない,蹄朝後は逓信省に
奉職し,横浜東京間の日本最初の電信線架設工事を完成
した。また山県有朋の下で憲政の研究を行ない,自治に
関する多くの英国文献を翻訳し,自治施行50週年には功
労者として墓前に花輪を捧げられた。
先生は遜の長男として,明治6年(1875)8月16日に
を申し出たということである。
家庭では動物飼育に興味を持たれ大正末期ごろまで,
犬と兎はたやしたことはなかった。そしてどの犬にも必
ずネービー(海軍)という同じ呼名をつけ,決して変え
た事がなかったのも常人と違っておもしろいことであ
生まれた。ほかに女子1人,男子3人の兄弟があった
る
。
が,そのうち現存しているのは寺崎武男画伯ただ1人と
先生は男4人女4人の子福者であったが,現在では次
男康正氏と現シンガポール大学建築学教授恒正氏のほ
なってしまった。先生はきわめてやんちゃ坊主で母上か
らよく箒で追い廻わされたといわれていた。母上は栃木
県松沢村の出身で,運動界で有名な松沢一鶴氏等と親戚
である。
− −
ある。下宿の娘が常時誠意を持って世話してくれるの
で,ある時お礼心でチョコレートを買ってきて娘に差し
出したら,たちまち顔を赤らめてしまってモヂモヂして
受け取らない,いかにも変なのでその後噸情に通じてい
る知人に聞いたら,未婚の娘にチョコレートを贈るのは
求婚,靴下を贈るのは変な意味のことを表現するもので
あるといわれ,先生もこれにはまいったそうである。ま
た英国を旅行中靴下が汚れたので,店屋で買ったのはい
いがはき変える場所がないので,レストランの食堂のテ
ーブルクロスの陰で穿きかえていたら,外国人の一挙一
動に注目していた周囲の女客どもがボーイを通じて抗議
先生は開成中学,第一高等学校,東大農学部林学科を
おえ,さらに大学院に学んだが,そのころ父上卒去のた
一二
め中退した。
大正5年(1916)竹林に関する研究論文を提出して林
学博士の学位を授与され,大正13年(1924、依願免官,
従四位に叙せられた。その後も引き続き嘱託となり,さ
らに助手に任命されたが,昭和35年(1960)辞職,それ
より晩年まで造林に関する研究指導のため研究顧問を委
嘱されている。先生は高令をも顧みず,高血圧で病床に
つくまで毎日目黒に通勤されたのでその頑健さには衆人
か,女子2人おられるだけである。
先生の生涯は不幸の連続で,大学院時代早くも父を失
い,一家を扶維する義務を負わされ,その後麻布狸穴に
移瞳れて火災にあい,赤坂に移ってまた大正4年(1915)
類焼の厄に遇われ,さらに聯布笄町に移りこれまた戦災
で家も蔵書も焼かれてしまった。戦禍を避けて一時盛岡
に疎開され,好摩の元林試分場に勤められたが,昭和23
年(1950)再び東京に州られ,当時戦後の物擬窮乏を忍
びながら,笄町の焼かれた屋敷跡を再建して,晩年は不
自由な独身生活で寂びしレ、日を送っておられた。しかし
このような普通人にはめったにない不幸の連統について
なんら愚痴らしいことを一口も漏されたことがなかった
のはさすがに江戸っ子堅気である。
先生は第一高等学校時代ボート選手として活躍し,墨
堤の花と歌われたが,その頃から身長衆に優れ.後年,そ
の偉大なる体躯と,はげ頭に鼻目鏡をかけ,マドロスパ
イプをくわえ,11文半の巨大な長編み上げ靴をはいて,
先生の研究心は人も知るごとくきわめて旺盛で学識は
日進月歩,たえず進んでゆき,著醤を番こうとして執筆
を初めてもまだ原稿を響き終らないのにその知織の方が
先に進んでしまうので原稲がいやになり,ついに著述が
刊行されずにしまうというありさまであったから,著畿
堂々活歩されるのを見て,人はよく外国人と間違えたも
としてはわずかに実験間伐法要綱だけである。
みな目をみはったものである。
筆者:東京農業大学教授
しかし学界に発表された先生の論文は数限りなく無数
− 1 7 −
田中:寺崎先生の思い出
である。これらの論文の大部分は,中村賢太郎博士が年
次的に取りまとめ,現在東大の造林学教室に寄贈してあ
る。これを技莱すれば明治時代以降,わが国育林に関ずき
る科学的の変遷が明瞭となって,斯界に寄与するところ
大なるものがあると思う。
先生は趣味として,動物飼意ピアノ弾奏,煙草,酒
−(大学講師),白河太郎(長野大林区署長),和田瀧正
(同署技師)等諸先薙が実地で論識し,フェフレーは間
伐にはまだ若過ぎるといい.本多は間伐すべきだと対立
したが,とにかくこの15年生のカラマツ林に間伐を行な
うこととし,なお比較のため,さらに5カ年遅らせて施
行する間伐開始の遅速試験地をも設けることになって,
のほかに記すべきものを持たなかった。先生はつねに外
その時随行した山林局蛎託,若冠27才の寺崎波にこの実
国産きざみ煙草を好まれ,終生マドロスパイプを常用し
ておられ,戦時中やむを得なかった時代以外,紙巻き煙
草を吸われたのを見たことがない。先生のお宅を訪門す
験を担当させることになったのである。
ると,いつも「お前の煙草はきな臭くっていけない,こ
れをすえ」といわれたものである。先生は酒を非常にた
ている。
ある。
わが国では周知のごとく,旧藩時代,間伐についての
技術はすこぶる発達していた,特殊な間伐としては樽丸
式,茄子伐り間伐等があった。普通施業林に対して広葉
樹の立て立て伐り樵木材業,針葉樹については二宮尊徳
先生の唱導された間伐方法等があった。
来,各地国有林でスギ・ヒノキ・アカマツ・カラマツ林
の間伐試験地を設定されている。
先生の間伐木撰定の仕方は,ドイツのそれがⅢ級木を
.除くやり方であるのに対し,わが国の絲度における太陽
光線の投射角から考察して,Ⅲ級木をできるだけ残存す
る方針を取られた点がドイツのそれと違っているだけ
で,疎開の程度は二宮翁,シュワッパッハ等のそれと全
く同様である。それは針葉樹の成長を促進する樹冠は,
いずれも陽葉の量最も豊富な梢頭円錐形の部分がその主
体であって、その円錐形は,樹高粥の高さを持ち.斜辺
と底辺のなす角度は,だいたい樹木の生活活動期間(春
から秋まで)太陽光線の射入線と水平線とのなす角度に
等しくなければならなし、,いいかえれば円錐形の射入光
線に反対側の斜辺は投射の方向と平行であり,射入方向
の斜辺は投射角に直角でなければならない。わが国の隷
疫ではだいたいこれの角度が平均して75∼80度前後であ
る。この現象は写真機を水平に保持して,すなわち樹高
苑の高さから撮影したものの印画でその寸法を測ってみ
れば,林木固有の形態がいかなるものであるか明瞭とな
るのである。また円錐体の底面は完全な円をなし,その
直経は樹高に等しい。したがって残存木の幹の距離は,
樹高の舩内外離すべきもので,弧弱の場合がB種,払強
の場合がc種になる。
このように育林の方法はきわめて発達していたのであ
幹の距離を樹高の弘内外離すと,間伐後の林相は非常
るが,明治維新以来社会の騒乱はなはだしく料難技術は
に強い疎開が行なわれたかのように感ぜられ,林木の形
地に堕ちてしまった。しかしその後社会秋序がだんだん
態とその後の林冠の伸長と拡張とを予想できない人々
落ち着くとともに,明治21年(1888}浅間山麓一滞に植
は,うわあ強し、強いとまるでマムシにでも噛みつかれた
栽されたカラマツ林もようやく成長してきたので,明治
ように騒ぎ立てる。筆者はかつて岩村田営林署在勤時
36年(1903)白沢俵美,本多静六,ドクトル.フェフレ
代先生の間伐試験地をお守りしていたので,有名人の見
− 1 8 −
一幻
倹
︽二
さらに先生の生涯を通じて最も遺憾とする点は,間伐
の強さに関する問題で,このことはひとり先生個人とし
てばかりでなく,わが国林業界全般にわたって避憾な事
柄である。すなわち,世間の人には現在でもなお先生の
間伐の真随が全くわかっていないということである。な
んら自らの研究も行なわず,ただ無認険の主観的観念か
ら先生の間伐を強い強いとむやみに非難している向きが
式間伐である。明治時代になってから間伐らしい間伐の
最初のものであるが,先生はその後大正5年(1916)以
︽︺
筆者が随行しなかった時は必ず酒飲みどもに悪じいさ
れて,その悪宣伝が中央にまで伝わってしまう始末であ
った。もし先生に悪い点があったというなら酒飲みの悪
習である他人とともに前後不覚になるまで飲むという人
達の野蛮行為に対し,江戸子特有の無関心だった点であ
ろう。筆者は大正5年(1916)から先生に随行して指導
を受け,寝食を共にした者で,そのへんの事情を熟知し
J匙
しなまれた。しかし決して鯨飲することはなく,チピリ
チビリと味わいながら飲んで楽まれる。試験地調査等に
出張されると,付近営林署の人達が指導を受けるため,
多勢集まって来て,夕食の時は必ず酒が出る。ひどい人
になると林地にまでビールを持ってきて,昼食の時先生
に勧めたこともあった。
ここにおいて先生は既記のようなわが国古来の間伐方
法をくわしく比較検討したほか,さらに1902年ドレスデ
ン市で開催されたドイツ林業試験場連合協離会に提出さ
れた,ローライ,シュワッパッハ両氏の幹級別および間
伐種の区分等を参照して,B種,C種および間伐開始遅
速試験予定地を設置したのである。これが俗にいう寺崎
田中:寺崎先生の思い出
学者を案内するのを常としたが,来る人来る人,1人と
先生は枝打ちに対して最初は,その不可なることを主
して強過ぎると云わない人はいなかった。某氏のごとき
張されていたようで,明治43年(1910)ごろの秋田にお
は学生に対し,諸君これは間伐ではない溌伐である。ド
ける山林会の記録に,枝打論者と論争したような記事が
イツでは決1・てこんな強度の間伐はやっていないと説明
見えている。しかし大正の中ごろからは,強度の枝打ち
していたが,そういう先生こそ自身,はたしてローラ
を行なうという筆者の主張をいれられて,樹高%以下の
イ.シニワッパッハ,クヌッヘル(スイス,テクニッシ
枯枝はもちろん,生枝も全部打たれるようになり,林冠
ニホッホシューレの教授)等の施行した間伐跡地を見て
下の空間利用をますます有利に導き,同時に残存木の幹
こられたのか疑問である。とにかく筆者の知る限りでは
形を著しく改善していられる。
間伐の強さに関して正しく解釈した人はほとんどない。
訂
︽rL
シー
∼亨愛
梁
=
先生はひとり,間伐方法の研究のみでなく,竹林の撫
しかし先生の間伐試験地は,今やいずれも初回の間伐
育に対しても二,三の試験地を設け相当深く研究を進
以来50∼60年を経過して樹高成長もほとんど休止し間伐
め,既記のようにこれを主題として学位を得ておられ
時代を終ったものが多い。記録の正しくかつ詳細なこれ
る。また,択伐論にも優れた見識を持たれ,わが国でば
ら間伐試験地が近ごろむざむざと伐採してしまわれたも
択伐作業と天然更新とは分離して,別個に考えるべきも
のがかなりある。これら試験地における残存木の従来の
のだと主張され,下木植栽の必要性を強く認めておられ
成長量,均等な年輪巾の拡長が間伐方法の正しかったこ
た。秋田の国有林には下木植栽を行なった試験地が多く
とを明瞭に物語っているのに,それにはほとんど無関心
で伐採されている。国有林にはいわゆる参考林と称し
て,なんら林分の成長量や経過の明らかでない雑然たる
老令林が国宝のように永久保存として取扱われているの
に,長い期間の記録の明らかな先生の試験地が無惨に伐
られてしまうのは,林学界のため借みても余りあること
で,1haやそこらの面積を参考林に残したって経営上な
あったが,現在ではほとんど伐採されてしまっている。
また,カヤンダーやモロゾウ等の林型論とは別個の見解
に立って,林型を論ぜられ,材型をα,β,γ’6の4型
に別け,天然生林の変化を観察実験するため,浅間山の
東方にアカマツ,熊本金峯山にヒノキ,霧島山にモミ,
ツガ林を2カ所,秋田にスギ,山形県海岸林にクロマツ
等々数多くの択伐試験地を設置されたが,これらはほと
んの支障があるか,現在の人は小径木生産に血眼になっ
んど全部伐採されてしまって今や記録も残っていないあ
て,30cm前後の大径木は将来不用だと思っているらし
りさまである。
し、が,今後20∼30年も経過して戦災で焼かれた住宅問題
先生の写真に関する研究もまたきわめて進んだもの
や人口増加率がいちおう落ちついたら,木材滞要の趨勢
で,これに関する研究論文は相当たくさん発表されてい
がどう変化するか想像できない。しかも短伐期皆伐を繰
る。元来林内に射入する直射および反射光線の波長がい
り返えし,林地をたびたび直射光に暴露し地力を低下さ
かなるもので,そのうちのいかなる波長が同化作用や稚
せ木材生産鐘を減少し,なおまた土砂を崩壊させたら,
樹の発育に使われるか,それが樹種によってどういうふ
わが国民生活の安定をどうして保持していけるか,瀞え
うに違うか,稚樹の発育にいかなる影響があるか等々の
てもらいたいものである。
研究を先生が磯んに行なわれた時代があった。
間伐時代が終ってもなお残存木で林地を被蓋し,さら
また,浅間山中腹に出現する枝細で,幹形良好,含有
に林間に下木植栽して,樹冠下の空間を利用すれば,わ
樹脂少なく,寒気に対し最も抵抗力の強し、,わが国アカ
が国の恵まれた気候では,単位面機当りの木材生産量を
マツ類の最優良品種に対し『霧上の松」という名称を与
ドイツ,スイス地方のそれよりさらに増加しうるはず
えられ,ヒノキに高野型,京都型の名称を与えられたの
で,わが国の成長量が北綿60度以上でしかも乾燥した気
候である。ドイツのそれの半分だなんていうことは,実
にわが林業技術者の重大なる恥辱であるといわなければ
ならない。間伐時代を終った先生の試験地には,今後進
んで下木植栽試験を行ない,複層林とし残存木は保残木
は周知の話である。
要するに先生は単なる研究室の学究ではなく,あくま
で自身の実験を現実の林地で行ない,その結果に基づい
て結論を得ようと努力されたもので,ちょうど進化論に
対し強い反繋を加えた昆虫学界におけるファーブルのよ
作業の観念で処理していくのが今後林業を発展させるゆ
うな学者であった。しかし,大自然は悠久かつ不可思議
えであることを青年技術官諸氏に対し強く主張するもの
の累穣である。先生の長寿をもってしてもなおその結論
で,かくてこそ先生が多くの理由なき反対を押し倒し苦
に達し得られなかったことを考えれば,林学の進歩が遅
心して長い間の実験で切り開いた困難な道をますます改
々として進まないのもまたそこに原因があるのではなか
善していくゆえんである。
ろうか。
− 1 9 −
こ
その生産量も少なく,加うるに原価高となるため,一般
の用途に供せられるにいたらなかった。ところが,第2
n
D D
モザイク・
パーケット・フローリソグ
次世界大戦直後の戦災復興資材として,一大工業先進国
である西ドイツが,この寄木細工の優秀│生を見逃さず,
機械力による工業化に着目し,その後10数年の研究努力
の結果,つし、に工業生産の方法を確立したのである。
皿□
現在ヨーロッパにおいては西ドイツをはじめスイス,
フランス,スエーデン,イギリス等においても工業生産
に入っており,わが国においても昭和34年に西ドイツ
藤繩文明
から製造機械を輸入するとともにその技術も導入し,工
最近フローリンク市場にモザイク・パーケット・フロ
ーリングという耳新らしい名称の床材料が進出している
が、この床材料はどのようなものか概要を紹介しよう。
モザイク・パーケット・フローリング(以下モザイ
業生産の第一歩をふみだし現在では12社が生産を行なう
にいたった。
モザイク・パーケットの特徴としてあげられているこ
とは,まず第一にこの製品は小さな材片まで活用できる
ク・パーケットと称する)は木質床材料の一種であって
ということで原料の利用率が高いということである。こ
、広葉樹フローリングの日本農材観格、(昭和36年10月
のことは最近のわが国広葉樹の生産事情が年々優良材は
28日,農林省告示第1276号うによると次のように定義
減少し、小径低質材の量が驚勃pしつつあるとき適切な木
材工業として期待されている。その他の特徴としては木
質床材料共通のものであるが床材料として最も大切な条
件とされている,堅さ,弾性,丈夫さ,美しさおよび衛
されている。
、厚さ,幅および長さのそれぞれが等しいひき
板(ピース)の小片を3個以上同一方向に並べて
・正方形または長方形とした小ブロックをモザイク
生的であるという点につし、て原料が広葉樹であり,人工
状に組み合わせ,表面に紙ばりしたフローリング
乾燥を施したものを使用しているので床に使用して満足
(表面に紙ばりしないフローリングであって,裏
されるものである。
面にアスファルト,布その他これらに類する材料
わが国におけるモザイク・パーケットの生産について
を塗布し,またはちょう付したものおよび裏面に
みると前述のごとく現在12社において生産が行なわれ
接着剤を用いて台板,圧締接着したものを含む。)
ている。エ場の分布は北海道に5エ場,岩手県,東京
で,主として素地床の上に張り込むものまたは主
都,長野県,静岡県、愛知県,鳥恥具,鹿児島県に各1
として腰はめ板として使用するものをし、う、
エ場となっており近く奈良県に1工場新設されることと
〆<−
陽4
以上の定義によってモザイク・パーケットのアウトラ
なっている。これ等の工場のうちモザイク・パーケット
インは理解されたものと思うが一口にいって書小さな特
のみを生産するいわゆる専門工場は2エ場で,その他は
定の材片を寄せ集めてある一定の耐資を形成させたも
フローリングあるいは合板等を蕊鎧している。
のミがモザイク・パーケットである。モザイク・パーケ
ットには各種模様のものがあるが標準的なものを図によ
製造機械は各工場とも1セットであるがその型式につ
いてみると輸入機械が9台,国産機械が3台となってお
一
って示せば次のようなものである。
り,輸入機械はすべて西ドイツから輸入したものであ
一
る。その型式についてはシュマルツ社製7台.シュロッ
ダー社製およびワイニッヒ社製各1台となっている。な
お.近く奈良県に設置されるものはシュロッダー社製の
ものである。国産機械については明らかでないが自社で
創意工夫したものおよび菊川鉄工所製であるといわれて
いる。
モザイク・パーケットの製造機は各社によって若干異
なるが,某社製の製造機は次のごとき機械が組合わされ
さて,このようなモザイク・パーケヅトは,わが国を
たものとなっている。
はじめ世界各国とも古くから小さな材片を一枚一枚人手
によって作り,これを寄せ集めたいわゆる寄木細工とし
て生産されていたが,家内工業としての生産であるため
①AutomaticHopperFeeder
②AutomaticSurfacingandEdgingMachme
③SmallParquetryMultipleDrumSaw
④′rurn-OverConveyar
筆者:林野庁林産課
− 2 0 −
翻
L
一
藤棚:モザイク・パーケット・フローリング
⑤
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⑥AutomaticPanellingMachineforMosaic
Parguet
に圧締接着したものは少ない。
が行なわれず,ほぼ能力の50∼60%程度となっている。
モザイク・パーケットに使用される樹種は従来のフロ
に業界の要望によって一般フローリングの規絡改正を行
なった際に新しく追加されたものであり,その内容をみ
ーリングとほぼ同様にブナ,ナラ,アサダ,イタヤ,カ
バ,ミズメ等が多く使用されているが鹿児島県において
は資源的に多いイス,タブ等も使用されている。しかし
該当しないものは不合絡とすると規定されている。品質
にもまた従来から床材料として利用された関係もあって
予、
−
多く利用されている。
次に消養される原木量であるが大体1工場当り年間に
1,500m3∼2,000m3といわれている。この原木の入手区
分をみると原材料が広葉樹であることから2,3の工場
は手山生産材が約50%,残りを国有林生産材を賊入する
という例外的なものを除き大部分の工場では80影以上と
国有林生産材に依頼し,残りを民有林生産材で補なうと
いう状況である。
モザイク・パーケットの形量であるが日本農林規格の
標準寸法および許容限度は次のように規定している。
標準寸法表
−
焉斎ミエi室l材厚│材幅│材長
6mm,8
ピス.nlXn9また
は9mm
へ=
毒
一
ものは厚さ8mm,材幅480mm,材長480mmで台板
生産能力は型式によって若干異なるが大体1カ月(1
日8時間25日稼鋤10,000mgとみられている。ただ現在
の生産実態は後で証明するごとき事情によってフル生産
ながら一般的にはブナ,ナラ,カバ,アサダ等が資源的
司
以上が現在生産されているモザイク・パーケットの主
たる形量で規格ではこれを標準寸法と称しているのであ
る。しかしながらこれ等の形蛍のうち特に生産趣の多い
ると,等級の区分については1等∼3等とし3等までに
については各等級ごとに欠点の種類によってはピースを
単位に程度を規定しさらにモザイク・パーケット全体で
も規定するという方式によって外面品質を規定してい
る。また台板に圧締接着するものについては外面の品賀
を規定すると共に接着程度の良否を判定するため浸せき
はくり試験を行なうよう規定してし、る。次に形量に関し
ては前述のごとく標準寸法および寸法の許容限度も規定
されている。なお,モザイク・パーケットの含水率は各
等級とも13影以下であることが条件とされている。
以上でモザイク・パーケットの生産状況,製造設倣,
規格等について概要を説明したので,次に実際の使用方
法等について説明する。
使用される場所は日本幾林規格の定義にあげられてい
るように主として床に使用されるか.その他腰ばめ板式
はその美麗さが買われてテープルトップ等家具にも使用
される。施工法が従来のフローリングと異なるところは
接着剤を用いて直接素地床に接着する方法によることで
ある。したがって施エするうえに重要なことは,第一に
素地床は凹凸がないよう平担にすること,第二に接着力
│6mm,8
モザイク
・パーヶ
ットフ
ローソン
グ
モザイク・パーケットの規格は前述のごとく昨年10月
のよい接着剤を使用することがあげられる。
nlnl3また
は9mm。
施工法は施工者により若干異なるが韮本的な順序方法
ただし,裏
面に接着材
フローリを用いて台ピースの材 林隔の整数
ング板に圧締接幅の整数倍 倍
着したもの
にあっては
15mm,18
mmまたは
20mm
としては次のようなものである。
1.素地床の平掴上および清掃
撰清すべき素地床はできるだけグラインダー等によっ
て平担とする。もちろん新しく建築された床であれば溌
後のモルタル仕上げのとき水平になるよう海意する。ま
たゴミ,挨等はふき取り清掃する。
2.膠着テスト
許容限度表
一
葱斎∼聖雪材厚│材幅│材長│謝蕊
(±)0.4(±)0.3(±)0.4
モ
ザ
ィ
ル
ュ
鰯
内
柵
内
鰯
内
|
.
"
,
弱
’
│
鰯
撫
砿
捌
綿
鮒
パーケ
ッ1.フーー----
グ
のもののもののもの
素地床の状態と接着剤の固化条件は密接な関係がある
ので膠着テストを行なってみる必要がある。一般に作薬
能率等も考え接蒲剤は10分∼20分程度で半凝固するよ
うになっている。したがってこれ以上の時間を要すると
きは床の乾燥状態がよくない場合が多いので施工を延期
することが好ましい。普通の場合コンクリート誕生10日
すれば施工できるものと思われる。
− 2 1 −
藤繩:モザイク・パーケット・フローリンク
3.墨み出し
墨み出しはモザイク・パーケットを正確,かつ,早く
張付け施エするため必要欠くべからざる作業で墨み出し
に合わせて糸を張る。
以上施エ法の基本的な作業をエ穏'償に概要説明したが
次にモザイク・パーケットの価格ならびに施エ費を某エ
場の例でみると次のとおりとなっている。
1.材料(日農林規格によるもの)3.3m2当り
4.モザイク・パーケットの配列
柵種等鋼」等l2等|s等
Z
ナ
’
2
,
3
5
0
円
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2
,
2
5
0
円
’
2
,
0
0
0
円
モザイク・パーケットを箱(=-・般にダンポールの箱に
防水紙に包装しておさめている。)より取り出して張り
始める位置より約60cm程度ずらした後方に4∼6枚並
ナ
ラ
’
2
,
5
0
0
円
’
2
,
4
0
0
円
’
2
,
1
5
0
円
べておく。
2.施工費賑着剤を含む。)3.3m2当り
5.結合紙の水塗り
−
モザイク・パーケットは製造上ピースをモザイク状に
組合せ表面にクラフト紙を貼付してピースを結合してい
るので結合紙に水を塗って後での接請叩き締めを容易に
しておく.この場合の水の量は1枚当り129∼159が適
量であるとされている。
6.接請剤の塗布
接着剤を素地床に適量ずつ移しギザギザ歯つきへラを
用いて塗付する。塗布する幅はモザイク・パーケットの
巾で長さは4枚∼6枚分に相当したものとする。この接
着剤の量は接着剤の種類,素地床の凹凸等仕上げの状態
によって差異があるが通常500∼1,0009/m3といわれて
いる。
7‐張りつけ
準術したモザイク・パーケットを速かに塗付した接清
剤のうえに順序よく正確に並べ,そのうえを一様に叩き
板を用いて木槌で叩きならして床に密潜させるとともに
側面を目地修正板を用いて目地の不揃いを修正する。
8.結合紙のはぎ取り
張り付け接着施工が終ると5で行なった水塗の作業を
再度行ない結合紙をはぎ取る。
調
蠅
下
│
篠
桑
満
│
撫
議
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…
以
±
1,200円1,000円900円
]
,
4
0
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円
∼
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4
0
0
円
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1
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2
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円
∼
1
,
0
0
0
円
學
と
←
上記の施工饗中接着剤の代金は概ね3.3m雲当り400
円程度とみられサンダ仕上は2回仕上げを標準としてい
る。なお,この価格はあ・くまで標準であり素地床の条件
仕上げ条件によって変動することはいうまでもない。
最後にモザイク・パーケッI、業界の動きあるいは問題
点をみると,まず業界の動きとしては昭和34年12月に日
本SMモザイク・パーケット協会が創立され,生産業者
の団体として創立当時よりきわめて意欲的に活動を行な.
ってきた。この協会はシュマルツ社製の製造機械による
生産を行なう業者を主体に関係業者を含めた会員によっ
て組織されたものであった。しかしながらその後前述し
たようにシュロイダー社製,ワイニッヒ社製等の製造機
が相ついでI愉入され,一方国産機械も完成し生産者の数
も鋤nしてきたため,これ等の機械によって生産する業
者も含めた団体を結成し,業界の発展を図ろうという気ムチ
運が醸成され本年1月に日本SMモザイク・パーケット、一三A
協会は発展的に解散し,新しくモザイク・パーケット生
一
叩き板および目地修正板を用いて木槌で叩き目地を揃・産業
産者
業全
者員
全で
員織
で織
成成
すす
るる
全全
国国
モ
モ
ザ
ザ
イ
イ
ク
ク
・
・
パ
パ
ー
ー
ケ
ケ
ッ
ッ
ト
ト
協
協
会
会
が
が
三
9、接着締付け
えるとともに床に密着させる。接着剤を塗付してよりこ同時に結成され.協会員の親睦をはかるとともにモザイ
の間の作業は5分∼6分で終るよう目標をおき,以上のク・パーケットに関する生産’施エ技術の研究,普及宣
作業を繰返し施工面積を広げていく。伝等熱心な事業活動を続けている。しかしながら新しく
10.張り付後の養生生まれた工業は当然ながら、市場開拓葵という大きな課
一般には24時間経過すれば十分に固着するので,表題を背負わされており,わが国の気象条件,建築様式,
面Hz上げサンデイング加工はこれ以後に行なうようにす生産様式,あるいは嗜好の差異によるわが国独自の研究
る。ただ緊急を要する場合は15時間で大体次の施工エという技術的な問題もある。
程に入ってさしつかえない。
11サンデインク加工
このような諸種な問題を有しているためせっかく優秀
森製造機械を有しながらフル生産できなし、のが現況であ
床板仕上げサンダーを用いて仕上げ面を平滑にする。るが,幸い全国モザイク・パーケット協会会員は全員こ
12°目止め塗装れ等の問題解決には強い熱意をもって対処しつつあるの
吸湿または乾燥による伸縮を最小限に防止し,表面をで,近い将来には木材工業のなかでも健全産業として発
美しく永く保つために目止塗装を行なう。辰するものと期待されている。
− 2 2 −
〃
から校訂を行なっている林業地では,もっと重要な意味
をもっている。つまり.成長をおさえる手段として必要
なのである。優良林業地で,もし,枝打を行なわないな
林業雑感
倉 田 益 二 郎
らば,肥大成長がよすぎて,かえって値段の安い材しか
とれない場合がある。そうすると,枝打を重要な仕立て
技術として採用している林地への施肥は矛盾したことに
しこれからの林業技術
なる。
発展のためにぐ
平一一
一
近ごろ,林学と林業学(あるいは森林立地学と林業立
地学)を区別して考究すべきだという意見によく接す
る。そして,ある人は,これまでの林学は林業学であっ
て森林学ではないといし、,また,逆に林業学(あるいは
林業立地学)とし、うものは全く存在しなかったと説く人
もちろん,林学と林業学の定義が判然としていないの
で,厳密な諦蕊や批判ができる域には達していない。し
かし,大ざっぱにいって,土地生産業としての林業学に
対して,別に,経済。社会的条件と全く切り離しての森
林の本質やあり方に取り組むのが森林学であるとしてみ
近ごろ,話題の多い肥培についても似たような食いち
がいが起る。施肥すれば,多くの場合,木は早く大きく
さらに,肥大木は軟質で品等が下り.値段が安く,結局
は損だということもある。
とかく量さえ増せば林木は有利に処分できるわけでは
ない。あたかも豚,りんご,すいか,いもなどのよう
に。特に売り手より買手の選択力が強い場合,量より質
に重点をおくため,この傾向が強く現われる。
よう。
そうすると,これまでの林学は、あまりにも森林学的
このように考えてくると,たとえば間伐,枝打,施肥
であったと批判されていたくせに、実は純粋な森林学で
もなかった。それゆえ,物理学,地質学などのような,
純粋な学としての林学は存在しなかった。だから,たと
えば,天然林,防災林,森林・林木の生態・生理,植栽
密度と成長,更新理論・技術・・・・..など,森林学的研究を
の施行や時期は,ただ,量の増加のためだけでなく,質
的,経済的成長増加にピントを合わせて探究する必要が
ある。もっと具体的な例をあげていうと.年輪巾が狭ま
すぎる場合は,間伐,施肥などをして広くし,逆に,広
すぎるようであれば,成長抑制のための枝打をしたり,
また,間伐,施肥をさしひかえるなどの必要がある。
必要とするものが沢山ある。
へ
しまう。
なる。しかし,施肥木の雪害,融書多発の事例がある。
もある。
∼ へ
また,林内間作をする場合,あるいは採草通を多くす
る林では,幼樹時代に成長を犠牲にしての強度の枝打が
行なわれる。これを見て,林学的教養の高い技術者は,
「無茶な枝打」といい,やめるよう融撤するが,所有者
は,「この技術者は林業を知っちゃいない」と評mliして
つまり,林学といわれるものは,真の森林学でもな
医者は目くらめっぽうに,手術や投薬をしなし、よう
く,それかといって林業学でもなく,どっちつかずのあ
に,林業者も個々の林木の診断に基づいて,それぞれの
し、まいなものだった。したがって,これからは森林学と
目的に合致した手段をとるべきである。
林業学の両方の,それぞれの基撚に立って探究せねばな
−
ところが,これまでの林学屋は.あたかも原則か謹法
でもあるかのように,画一的に取り扱ってきた。山林所
らないというわけである。
ところで,過去において,森林学的研究がかなりあっ
有目的が判然としていなかった時代は,それでも通用し
たことは事実である。しかし,森林学からの理論や技術
たであろうが,より有利に経営するという今日でば,や
を,それがそのまま林業学の領域でも適用されるとした
はり収益のより上る「林業技術」が要求される。
木材資源の確保を第一とする鯉産顛点主燕の林学や技
ことに大きな誤りがあった。
たとえば,かつての間伐理論・技術に対する考え方
が,今日ではもう著しく変わったことはご承知のとお
術は,国有林は別としても,そろそろ再検討の必要があ
るまいか。そして,別に,経済9社会的条件と切り離し
り。林学屋が間伐と呼ぶものが,密植仕立てをする民間
ての純粋な森林学の発達も促進されねばなるまし、。
林業では,間伐ではなく主伐であり,残った木は,経済
×
×
価値の少ない大径木にすぎない場合もある。
×
また,これまでの造林学での枝打の目的は無節・通直
筆者:東京農業大学教授
×
− 2 3 −
ナ
×
×
…・・・な材を仕立てるためと説かれている。しかし,古く
×
×
ー
一ロッパ系の人々の遺物で,今は荒れ果てた丸太小屋が
マツ林の間に所々見受けられるが,彼らも多数の犠牲者
ロッキー山脈△△
を出したようだ。邦人か冒険をしてまでもアメリカマツ
タケを求めるという気持はアングロサクソン系の人達に
八八八
はとても想像できないことらしい。私はここの菌学者に
見聞記
、日本人は味と香りに観惑で,一度うまいと思ったもの
は一生忘れられない。したがって冒険でも何でも再び手
に入れたいと思うわけだ、と答えたが,彼らにはマツタ
青島清雄
ケの香りは全く理癖できない。あるいは≦そこにマツタ
ケがあるためさ、とでも答えればわかってもらえたかも
中部ロッキー山脈
しれない。試騨易や担当区の人達がこのように広大で終
ロッキー山系の中部で少し調則に位置するデンバー市
りも道もないマツ林の調査にわけ入るには1人ではゆか
から自動車で約3時間の所にフォート・コリンスという
ない。根拠地に1人がピストルを持って居残り,なん時
大学街がある。ここのコロラド州立大学の櫛内にアメリ
カ鰐務省のロッキー山地域林弗識騨湯がある。私は一昨
年6月ここの林業試騨易に約1カ月間瀞在し,雄大な中
なん分までに帰らないときにはピストルを射って居場所
部ロッキーの謬琳蠅端でおもに森林保謹の面から山を
見,試験地を案内してもらった。この付近の森林は大部
分が国有林で,最下部がポンデロザマツ、標高が上るに
山カンはまずないとし、うことだ。このポンデロザマツ地
を教えることになっているそうである。4km四方にら
篭へ
くに音がとどくので,最近では方角を誤っても命を落す
つれてロッジポールマツの森林となり,上部はトウヒ・
モミの類で,森林限界(標高4,000∼4,500m)に至る
まで雄大な針藥樹原生林を形成してI、る。しかし,この
地方の森林は現在まで経済林というよりも国民のレクリ
エーションを目的とする地或としての使命をはたしてき
たわけで,いまでも2.3の例外を除けば林業をみるこ
とはできない。しかし,アメリカ国民および政府は将来
かならずこの未開発資源を利用する時代がくることを信
じており,森林および林業の研究に多額の磯用を支出し
ている。水資源森林保謹,伐採跡地の更新の賭研究など
写真1口ツジポールマツの天然林(約100年生)
柵の水に恵まれた場所にはところどころに担当区宿舎が
は主なものである。
あり、担当区員が駐在している。仕事のおもな内容は山
ポンデロザ,ロッヂポールマツ林は極めて乾燥した地
帯に発達し,山に入って仕事をするといままでに経験し
火聯の発見と消火,昆虫などによる森林被害の発見およ
の比較的粗末な宿舎に比べてなん台もの山火用消防自動
車はまさに壮観であった。自動車道がかなり張りめぐら
アカマツ林などとは比べものにならないほど生長が悪
されてし、るが,岩盤地帯である上に雨量が少ないため,
い。マツ林の林地には日本のマツタケに似たキノコが生
じ、香りも寸分違わない。マツタケに比べて.表面が
やや白っぽく,茎が縦にさけにくいようだ。かつて,
Zeller、富樫両氏がマツタケと比較して別種だとの結論
を出されたが,折をみて私共の研究室でも再検討するこ
砂ぼこりのひどさは日本のそれとひけをとらないが,ぬ
筆者:林業試験場保護部
かって動きがとれないようなことはまずないとのこと
だ。街に近く,比較的平担な地或はほとんど夏には牛の
放牧に使い,貧弱な林内に牛が日蔭を求めて寝そべって
いる。時によると西部劇にでてくるカウボーイが馬にま
たがり、牛を数十頭ひきつれて潤歩しているのに出会
う。この光景はこの国でなければ見られない強烈な異国
情緒である。こんなときには自璽庫は荒祥坐し,牛が通
りすぎるか,よけるまで気長に待たなければならない。
カウボーイは山奥の水の得られる所に小屋を建て,ここ
に寝泊りするわけだが,.時たま街にでてきてバーやダン
− 2 4 −
一二︶
の管理,また放牧地の許可というぐあいである。担当区
コーラを1本ずつあけて,かろうじて生命を保っている
ような状態である。したがって、日本で見られるような
キノコを求めて邦人(二世)がマツ林にわけ入り,道を失
なって行方不明となったり,のどが乾いて遭難したりと
いう例は年々繰返えされる惨事である。かつてアメリカ
大陸で黄金ラッシュの時代に金を求めて歩き廻わったヨ
琴
び報告と.レクリエーション施設が管内にあればこれら
たこともないほどのどが乾いてくる。1時間ごとにコカ
とになっている。学名はTrichplomaponderosa,この
q
青島:ロッキー山脈見聞記
スホールで大騒ぎを演ずる°これらの放牧地はすべて国
有林で,一定期間なにがしかの金をとり,放牧の目的に
なかに住んでいる。まことにあざやかな築堤技術で,わ
れわれ人間も器具なしではちょっと歯がたたないだろ
かぎり,民間に貸与するわけだ。雨が少ないため,草も
う。ビーバーの棲息地帯の河畔林はこの動吻のために乱
まことにお粗末きわまりないもので,これで日本人の間
で酷評をもらっているいわゆる、靴底の牛肉電以上のも
伐され,マツであろうとトウヒであろうと,またアスペ
ンであろうと所かまわず根元から切り倒されてしまう。
のができたらそれこそおなぐさみだ。
私の目からみるとこの盗伐もばかにならない量だと考え
ポンデロザとロッヂポールマツにはヤドリギの一種で
Arceuthobium属のものが寄生し,罹病樹はてんぐ巣症
状を呈する。この被害はこの地方の病害のなかでは最も
激しく,また重要なものであるが,この属のヤドリギは
アジアにはない。駒しも万一・,なんらかの機会に日本に
られるが,賓源の豊富な国柄のこと,全く問題としてい
ない。ビーバーの毛皮は高価なもので,一時乱獲されて
ずいぶん減ったが,政府の保漉攻策のお蔭で,最近では
ロッキー地方至る所に見られるほど繁殖してきたそう
だ。話によると,ビーバーは上流地方にたくさんの貯水
池をつくるため,水資源の調節という大きな役目も果し
堅=
ているということだ。
一
ロッキー山脈中央部の上部亜寒帯はみごとなトウヒ・
モミ林でおおわれている。標高およそ2,500mから森林
限界に至る4,500mまでの間は全く手のついていない原
始林で,雨量も適度を保ち,ポンテロザマツ地帯とはお
よそ別世界の感がある。特別の風衝地や岩盤地帯ば別と
して,森林限界でも樹高30mに達する針葉樹がそびえ,
すぐそこから高山植物帯となっているようすは日本の亜
高山帯では全くみられないものだ。エンゲルマントウヒ
写真2・ポンテロザマツ林地帯の担当区事務所
迷いこみ,しかも針葉樹に寄生しだしたらちょっとおお
の肌は赤く,ちょうどアカエゾマツとアカマツの肌をま
ごとだ。ただ,伝搬と蕊延は遅いから罹病樹を伐倒する
ことで食い止められそうな気もする。
ロッキー地方にはアジアでは見られない動物がいる。
ヤマアラシ(Porcupine)やビーバーはこのうちの最た
るものである。ヤマアラシは夜間活動し,全身が恐ろし
晶一,亀
いほどの鋭い針でおおわれ,もしも自動車でひき殺した
とすればそのタイヤは1マイル以内でパンクしてしまう
袋
∼
という話だ。夜間,体長1m近くもあると思われる大き
な奴が自動車のヘッドライトに照し出され,道をノソノ
ソと歩いているさまは鬼気せまる薄気味悪さだ。自動車
は徐行したり止ったりしてこの動物からのがれる。ヤマ
写真3.エンゲルマントウヒ・サブアルペンモミの
原生林
アラシは自動車の大敵であると同時に重要な森林害獣で
ぜ合わせたようだ。コロラド,ブルースフ目ルスはエゾ
ある。マツの幼令木の頂上に登り,先端から’∼2mも
樹皮を食べてしまう。このような被害地をいたるところ
マツの肌と等しく,まっ青な葉”色は造花の美しさを持
っている。この桜榧はアメリカ北謡Iやカナダー帯に公
でみせられたが,林業にとっても恐ろしい代物だ。ヤマ
園や庭園樹として珍重され,広く植栽されている。サブ
アラシはみつけさえすればピストルや鉄砲でわけなく射
アルペンモミは日本のトドマツによく似ていて,私には
てる。担当区の人達はみつけたときにはなるべく射ち殺
区別がつかなかつ産。ここの試験場の病理学者のRin(Is
すという話だが,肉を食うわけにもゆかず,毛皮や針を
氏と私とアルバイトの大塞の3人が下の山小屋に1週
利用することもないので,一選の人達の関心は全く薄
間ばかり寝泊りして,この針葉嬢淋に通った5穿孔虫で
く,広大なロッキー地帯ではなかなか密度が下らずに困
最近枯れた針葉樹の材から青変菌を分離培養するためで
っているという話だ。ビーバーはロッジポールマツ地帯
から上部のトウヒ・モミ林の小さな川くりに棲息し,川
ある。重い自動鋸をあやつって立乳古木を片っぽしから切
り倒してゆく。研究目的だからいくら倒してもかまわな
岸の木を倒し,土を運んでダムをつくり,この貯水池の
いからと念をおされたが,体の大きなヤンキーの山カン
− 2 5 −
青島:ロッキー山脈見聞記
にはとても太刀打ができない。それにしても少々疲れす
南部ロッキー山脈
ぎるので,体の調子でも狂わしたかなとちょっと心配に
デンバーをロッキー山脈沿いに一路南下するとコロラ
なったが,下の小屋に戻るとまた元気百倍である。どう
もおかしいと思ってよく考えたが,標高4,000mを越え
た所で重労働すれば当然のことだと思い当った。さてひ
る飯ならずひるのサンドイッチを開きはじめると,どこ
ド州最南端部でニューメキシコ州に近いデュランゴとい
の付近では最大の街で,営林署の所在地でもある。営林
署は税務署などほかの国の機関とともに一つの建物の中
からともなく小鳥が寄ってくる。名前は聞きもらした
にある。そうすることによって,よりりっぱな建物がで
が,小さな鳩ぐらいの大きさで羽のまっ青なきれいな鳥
で,そばによってきてパンをねだりにくるのである。小
き,また国民にとっても便利なようだ。このことは営林
局についてもいえることで.小生がおとずれたジョージ
さなかけらを与えると,その場で食べてしまい,大きな
ア州アトランタの営林局はさらにりっぱな東京の丸ピル
のをやるとどこかへ持っていってしまう。土曜・日曜に
う街にゆく。そろそろ砂漠地帯に近くなった所だが,こ
ぐらいの建物の中にあった。南ロッキーの山はなんと
いっても資源に恵まれた所で,至るところ山の中に鉱
山がある。同行4人で,中南部ロッキー森林病理部長
舗声
q r
Andrew氏,フォートコリンス林試病理研究室長Haw-
』
ksworth氏,当地の担当区主任と小生である。私どもの
この地方をおとずれた目的のひとつに煙害調査があっ
た。山の中の精煉所からはき出す煙のため,沢づたいに
2kmほども葉が褐色となり,あるいは落葉して一見煙
害とわかる被害地であった。この煙害調査は営林局の要
請によるもので,報告書を局に提出しなければならない
ということだった。調査は締密をきわめ,中心地から川
写真4.カナダロッキーの樹海
の上。下流それぞれ10マイルの間にわたり,0.5あるい
街からピクニックにくる人達がみんなで長年かかって,
てなづけたものださうだが,ロッキー山脈のどこへ行っ
ても小鳥には人間を恐れるような態度が見えず,人種の
わけへだてもなく仲良く遊んでくれる。私どもがここで
泊った小屋は民間経営で,遠くからピクニックやマス釣
りにきた人達を泊めるものである。丸太を組立て作った
もので,人数により大小さまざまあるが,中央に薪スト
ーブ,周囲にベッド数個というぐあいである。手洗所は
外に一個,水洗でなく日本式であるが,管理が悪く,
そのお粗末さと臭気といったら1分間と中に入っておれ
ない代物である。飯は管理人が経営している小さな食堂
でとるが,小生は晩飯にはいつもマスのバタ焼をたのん
だ。ずいぶん大きし、もので,1匹たべるとほとんど満腹
した。いくら聞いても値段をいわないのでおかしいと思
〃
ってFTihrlR氏に聞くと,この川ではマスの売買は禁じ
られてし、るということだ。ただ単にレクリエーションの
ためにだけ魚釣りが許されており,1人1日のマスの捕
獲量も厳重に定められている。食堂経営者が個人用にと
ってきたものを好意によって客に与えたということで一
定の値段を決めて食べさせてもらった。アメリカはどこ
は1マイルごとにトウヒ・モミ類の1∼3年生の葉を各
年生ごとに採取し,硫黄検出の資料としたこの資料を,
デンバーにある化学分析会社に依託して硫黄の含有量を
決定する分析のために払った金は180ドル(約6万5千
円)でなかなか馬鹿にならない額だった。私の滞在中に
はこの分析結果はできあがらなかったが,後で人を介し
て煙害に間違いなかったといわれたときにはその慎重さ
にちょっとびっくりさせられた。この晩,担当区が持っ
ている山小屋にはじめて泊った。6坪ぐらいの部屋が四
つある。丸太小屋であるが,建付けはきわめて良好でス
キマ風のもれるようなことは全くない。暖房は地下室に
石炭をたくような設備ができているオンドル式で,寝る
前にたくさん燃しておけば朝まで暖かかった。お湯はコ
ックをひねればすぐ出てくるし,大きな電気冷蔵庫が完
備してあって,なかを開けれどなんでも出てきた。私は
お客さんというので担当区の普罎に寝かされた。ベッド
に入る前に担当区はピストルをひき出しからだして私に
見せ,ここに置いておくからと棚の上において,いざと
いう時に使うように私に指示した。ベッドに入ってから
でもそうだが,野生動物の儒護政策が網目をもらさず張
いろいろと話をしたが,この担当区さんは日米戦争のと
りめぐらされ,われわれ日本人にはちょっとかたぐるし
き硫黄島上陸作戦に参加し,終戦時にもその島にいたの
い気分にもなるが,その計画性たるやまさに1日の長を
だと私に語った。こういうことをいわれると,こ・ららも
認めざるをえないであろう。
返答に困り,、ずいぶん危い所にいたが,まあ無事で何
− 2 6 −
銭
一
戸
蓮’
青島:ロッキー山脈見聞記
よりだったね、と答えるよりほかに仕方のないことだっ
山火事の防止や虫・菌害の防除には特別の考臓を払い,
後で人に聞いたところによると担当区が客人を自分の部
淡大な研究饗を投じている。
屋につれてゆき、ピストルの置場まで教えることは客人
に対する最大の敬意ともてなしだといわれた。しかし,
︽︾
シーー
カナダロッキーはアメリカ中・南部ロッキーよりも湿
度にとむために低地帯からすでに針葉樹の美林を形成
し,ポンデロザマツの分布は全く見られなし、。極盛相は
あまり気持のよいものではなかった。
この地方の上部針葉樹林帯の樹種および混合程度は中
部ロッキーのそれと大差がないが.北向きの斜面にのみ
美林を形成し,南向きの斜面は乾燥のためにアスペンを
林あるし、は優占している森林と.トウヒ・モミ類の混合
まじえた比較的貧弱なものである。下部のポンデロザマ
林がいり乱れてこの地方の森林を形造っている。聞くと
ツ地帯になると潅木状のナラ類が繁茂し,むしろナラ優
勢となる。見渡すかぎりの紅葉したナラの樹木林は美し
代の差こそあれ、一度は山火に見舞われたことがあるそ
いというよりも凄まじさを感じさせる。ナラの終る所は
うで,山火対策は徹底している。針葉樹林帯の入口には
ラスベガスと原爆実験地で有名な砂漠地帯へと連なる。
必ず担当区の事務室がある。湿度が低く、山火の危険な
北部ロッキー(カナダロッキー)山脈
林産研究所で有名なマジソンから飛行機で約2時間半
でカナダロッキーの東側にあたるキャルガリー市につ
く,キャルガリーはカナダロッキー地方のアルバータ州
ではいちばん大きな都市で,ここにカナダ林業省(昨年
農務省から独立した)所属の森林病虫害試験場がある。
主にカナダロッキー地方の病虫害を扱っているが,政府
の建物のなかに同居し,研究員約20名,助手あるいはア
トウヒ・モミ類の混合林で.山火跡にはロッヂポールマ
ツの純林が成立する。したがってロッヂポールマツの純
ころによると.カナダロッキー地域の森林の大部分が年
日には白黒のまだら模様の遮断賎を道路上に降して一般
人の入山を許さなし、。また,山火監視の望楼が網目状に
点在して常に監視を怠らない。最近ではマッチや煙草な
どの人鴇的な原因によるものはほとんどなく、大部分が
落雷によるものだとされている。昨年の夏,西側ロッキ
ーのブリティッシュコロンビヤ州に大火があり,これは
日本の新聞やニュース映画で報ぜられたが,私はちょう
どこのとき東側のキャルガリーにいたが,ロッキーの上
ルバイトを含めて50名というスタッフである。造林・土
壌の専門家はおらず,全部が病虫害の専門家であるとは
われわれ保護部門にたずさわっている者にとってはだい
空一面が煙のためにほとんど青空を現わさず,この状態
がすでに3週間も統し、てし、るとし、うことで,この都市の
住民の話題はもっぱらこれに集中されていた観があっ
ぶ羨ましい感じがなきにしもあらずだ。森林資源があま
りにも膨大なために,いままで造林を不必要なものにし
た。山から帰ってきて街の食堂で飯をたべていると,い
てきたためである。一方,ありあまる資源にもかかわら
∼ ▲
けだ。カナダ政府は持てるものの悩みを解決するために
た。あれやこれやでこの晩はよく寝付かれなかったが,
垂︲︶
ず,毎年山火事によって失われる量は漠大なものであ
り,また立木の腐れのためのマイナスの生長量,あるし、
は昆虫の被害によって侵されていく量も無視できないわ
ろいろの人達が話しかけてくるが,私が林業の仕事をし
ていると聞くと,ロッキー山の方を指さして山火事はど
うにかならないかと,欺息とも懇願とも受取れる口調で
よく尋ねられたものだ。
↓ロ皿I】Ⅱユル肥IUlM”
新しい./森林家必携〃
式 測 一
局 器
K
1人で距離も,樹高も,簡単に測れる
式
謹皿釦
樹 高 測 定 , 標 高 測 定 形 式
、m
簡 易 測 量 基 線 長
対空標識見取図,図根点見取図,立木位置図の作成倍率
帯状円形プロットの設定測距範囲
林道,治山,造林その他事業の略測測高範囲
林業関係販売一手取扱
二妬350
高さの測定
距離の測定
見取図の作成
標準地の設定
土木事業の略測
定価15,000円特価9,980円
途
性
一一
能率恥×mm
用
日本林業技術協会
u
Ⅱ
I
Ⅱ
一言
閉
1
0
Ⅱ
Ⅱ
仲
Ⅱ
1
1
1
1
− 2 7 −
1
’
アマゾンの流域は約300万
平方マイルにわたり,アマ
FA◎特報
ソ・ン河自身はアンデス山脈
にその源を発し,赤道に沿
って大西洋にそそぐまで実
松尾兎洋訳
l−T
に4,000マイルの長さに及
んでいることは誰でも知っ
アマゾンの
ていることであるが,この
地或にいかに多くの植物が
ナゾをとく
繁茂し,いかに多くの動物
が生息しているかを知るひ
と催少ない。たとえば,わ
今日までこ
広漠と広がるアマゾンの熱帯林に向って,今日までこ
実に117にも及び樹種が見
ずか半平方マイルの土地に,実に117にも及び樹極が見
の世界での未知の,そして未踏の地帯を少しでも探れよ
られるのである。
うと辛苦を重ねた人はあまり多くはない。
この世界に残された最大の天然林の育つ広大な土地は
植生はきわめて密で,四つの段階に分れている。すな
わち、われわれの立ったまわりには花や嬢生の樹々があ
アマゾン河の両岸にわたって延々と拡がっている。この
り,ときにはアマリリス,ラン,ベゴニヤとし、った目を
原生林は大西洋沿岸線約200マイルにわたるマングロー
ブの沼沢林から扇状に広がり,遠くア才デス山脈の樹木
限界にまで及んでいる。
過去約10年間にわたって,FAOはアマゾン溪谷調査
使節団を組織し,アマゾン流域の開発を目的としたブラ
ジル政府の特別機関であるSPVEAと協力し,この大
森林の面積と性格を探究し,かっこの地域の経済開発の
ため,この森林の実際的利用方法を検討したのである。
FAO林業部次長ヘンリー・ベレスフォード・ペイレ
ス卿は,北,中,南にわたる全アメリカの大旅行をおえ
て,ローマ本部に帰り,次のごとく語った。
、この調査を行なう前は,アマゾン流域のこの熱帯密
林については何も知られていなかった。いままで白人
た、
うばうばかりの美しをたたえたものがある。その上には
潅木や草木類が繁り,さらにその上にはヤシのような陰
樹があり,続レ、ては陽樹の蔓性植物にからまれた,無数
の大木の樹冠に高くおおわれていると.いうありさまであ
る
。
航空測量と現地調査
ヘンリー卿は言葉を続けて,
、この材錆凋査団の主たる目的のひとつは,航空写
真と地上調査によって,森林自体の蓄績を知ることで
ある。アマゾナ州のマディラ河からブラジルの東海岸
にまで広がるアマゾン河の南部,約1,870万haは195Q
年の終りまでに調査を行なった。この調査は,アマゾ ご群
ンの主流をはるかはなれた人跡未踏の地或にまで踏み
こんだ,きわめて苦しいものであった。森林開発,産
業振興に適する保有林として三つの大面積の土地を一
時的に選んだが,その一つはアマゾンにあり,その二
はブラジリア路に,第三はブラジリア路の西部にあ
マホガニーの美林を発見
る
。
卿は続けていわく,
、さて,われわれはこの森林地帯の範囲と樹種につい
ベレム∼ブラジリア路においてさらに森林調査を行
て多少の概念を得ることができ.またわれわれの必要
とする林木を選択し,育成し、これを伐採して林道や
河川を利用して製材工場のあるところまで輸送する方
なった結果,世界の木材のなかで最も貴重とするもの
法を考えた。
また,マホガニーの美林を発見し,ユーカリの有望
な造林地を設定し,そのほか,外国樹種を植栽した。
事実,この全地にわたってどの程度森林開発ができる
か,ようやく知ることができたのである、
訳者:林野庁林政課
一
のひとつである.マホガニーの美林のあることを確認
した。このマホガニーはブラジルのすぐ近く,ボリビ
アにも密生し,これをもって産業発展が十分期待でき
るほどその蓄積は豊富である。開発の可能な大面積の
森林のあることも確実である。ただし,これには経済
開発計画を実行し,輸送網を確立することを前提とす
るものである。林道はなくとも,流送が可能であれ
ば,森林自体は当然開発しなければならない。雲
− 2 8 −
一︽︾︶
の手によってこの大森林は踏査されたことがなく,た
だ原始民族のインディアンが住んでいるだけであっ
型
I
一
松尾:FAO特報
ブラジルに世界ユーカリ会議開かる
と述べた。
FAOの伐木連材と製材センター
1857年以来,FAOの手によってキュルア伐木運材セ
ンターが運営されるようになった。ここではジャングル
のなかに,きわめて簡単かつ安価な方法で道路を建設
し,熱帯樹を伐採する最上の機械と作業が公開されてい
る
。
サンタレム製蛎センターも同じ年に開かれ,1959年ま
でに新しい製材方法を習得したブラジル人は35名にの
ぼった。大規模な製凋工業がこの地方で操業を開始する
と,その土地の材をつとめて利用する.ようになるもので
圃
骸 、
一
善南ブラジルにいろいろな品種のユーカリの造林地が
数千haにわたって設けられ,これは今はブラジルの
自然の景観の一部をなすかに見えるのである。FAO
がサンパウロに第2回世界ユーカリ会議を開催した理
由はこれにある。オーストラリアの林業家はブラジル
を訪れて,ある品種のユーカリはオーストラリアより
一もその成長が秀れていることを知り,いまやユーカリ
の種子はオース1、ラリアがブラジルから購入するとい
う逆現象力現れ,これは全く予期しなかったことであ
る。ユーカリの用途は薪材から鉄道枕永へ,家具から
ある。現在のところ,アマゾン地方の伐木,製材技術は
製紙パルプと実に広範囲にわたっている。
きわめて原始的な,そしてむだの多いものである。
他の専門家は森林政策の確立,アマゾン溪谷に林業
試験場設置の問題,木材の販売と配給の問題などを論
じ,その結果木材生産は今後3倍から4倍増加するこ
ブラジル在来樹種の育成と外国樹種の導入
森林の生産性をいかにして増すかについて,いろいろ
な育林作業が試みられた。林業専門家は最も貴重とされ
るブラジルの樹種の一つか,二つの更新を,またブラジ
ル以外からの樹種の最良の育成方法を見いだしたが,こ
の外国樹種は在来樹種の10倍,20倍の生産量が期待され
るものである。
天然更新を促進し,また10haにわずか1本しかない
という稀少な,たとえばシドレラといった貴重樹種の繁
、アマゾン流域の開発は,この池或内にかくされた
莫大な資源をし、かに緊急にこれを必要とするかどうか
によるものである。ここに特に記憶すべきことは,世
界の木材の需要は今世紀の終りまでには倍増し,この
地域は世界最後の,そして最大の森林となる,とし、う
ことである。しかも,今後何年かはブラジルにはその
、ここにすばらしい成績をあげたもののひとつは,
木材輸出によって得る金よりも多くを林産物の輸入に
費やさねばならない。いうまでもなく,ブラジルは自
分自身の力かまたは外部の機関の協力,そのいずれか
オーストラリアを母国とするユーカリの導入である。
によってこの地域を利用することになろう。そのとき
すでにジャングルのなかにはこの樹種の新しい造林地
が到来したとき,このナゾに包まれた地域の開発方法
はFAO使節団の手によって集められることであろ
殖もいろいろと考えられている。
ヘンリー卿はまた左のごとく報告している。
含西ぞち唖
とができると結論を下してし、る。、
ヘンリー卿は最後に,
が生まれ,わずかに2年半で樹高15mに達している。
一︽︲︶
ということは1日に約1.5cxnずつ,年間を通じて毎
日成長を続けているということである。キューバから
う
。
、
とその言葉を結んでいる。
のカリビアマツも大いに有望視されている。
鬼
は
わ
ら
わ
な
い
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自由
_ ジ は 大 正 4 年 4月18日,の汽船の過失衝突沈没の事案に
壇
うに判示している。「不法行為に因る
対しおよそ次のように判示している。「不法行為に因る
物の滅失の場合において現実損害に対する賠償を得たる
被害者は,将来における通常の使用収益に対鳥する賠償の
請求を為すことを得ないが糸窃Iの使用収益を為し得べか
りしことを不法行為の当時予見し,または予見し得べか
りし場合にありては〃これに対する損害の賠償を請求す
ることを得る。また,不法行為による物の滅失に対する
現実の損害賠償額は,滅失当時の交換価格によりてこれ
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I
幼令林の損害額算定
を定むくきであるが,不法行為に困りて滅失した物の価
・
金 瀬 源 一
格がその後臓資したときは,被害者は不法行為なかりせ
ば,転売その他の方法により騰貴した価格に相当する利
益を確実に取得し得たるべき特別の事情あることを,不
1.損害賠償債権
損害賠償とは,他人の受けた損害を填補すること,す
なわち,いったん損害を生じた悪い状態に変更を加え
法行為の当時予見しまたは予見し得べかりし場合に限
り,これに相当する損害の賠償を請求することを得るも
て,なるべくもとの状態に復旧させることである。その
のとする。」として従前,「民法416条の規定の類推がで
損害填補の方法には金銭支払による方法と,蕊実上原状
きないかの如き見解をもってこれを認容したのは不法で
に回復させる方との二種がある。事実上原状に回復させ
ある」とし従来の判例をくつがえしたものである。多数
方法とは,たとえば破損個所を修繕し,またはそこなわ
説もこれと同様の態度をとっている。(鳩山債権法各
れた名誉を謝罪広告により回復するがご,ときをいう。本
題では盗伐個所に植樹する事であるが,事案が生育過程
論下942頁等)私はもとより本判例学説に同意であるが
における立木である事からして同地区における原状回復
来栖損害賠償の範囲及び方法に関する日独両法の比較研
は不能である。さて,契約上の悩務不履行の場合の損害
究,損害賠償責任の研究において民法416条は不法行為
には適用がないとし,不法行為の場合には債務不履行の
に「損害賠償ノ請求ハ債務ノ不履行二因リテ通常生スヘ
場合と異り,通常損害についてのみならず特別損害につ
キ損害ノ賠徽ヲ為サシムルヲ以テ其目的1,ス」というの
いても予見可能性を要しないと説く積極論もある) 判例
は,損害賠償の範囲を相当因果関係に立つものに限る旨
る損害賠償の範囲
多数説による とすれば不法行為によるj
の原則を示したものであり,第二項の「特別ノ砺情二因
リテ生ジタル損害ト雌モ当事者ガ其事情ヲ予見シ又ハ予
見スルコトヲ得ベカリシトキハ,債椛者は其賠倣ヲ諦求
害者が特に認識した事情を前提とし,社会の互験則に照
スルコ1.ヲ得」というのは,償務不履行と相当因果関係
が生じるであろうと考える範囲に限られる。
は,行為当時通常人なら認識し得べかり し事情および加
らしそのような行為があれば通常一般にそのような損害
さて標題の不法行為により幼令林を伐採された場合賠
起った特別の事情(経験則上自然の成行では起らないの
償さるべき損害の範囲は,行為当時における交換価絡と
が普通である事情)を原因として右損害が増大した場合
すべきか,または将来生育後における価格から定められ
において,それを債務者が予見していたかまたは予見は
るべきか韻害賠償の範囲)は民法典416条の解釈と森
林評価の牽連した真に興味深い問題である。福島地判昭
和27年8月30日下民集3巻1,186ページは山林に植えら
れた杉立木を過失により伐採した事案につき,「立木の
識(すなわち経験則)によれば当然予見し得べかりしも
のなるときは,その増大部分をも賠俊すべき蕊務がある
とする法律規定による賠償範囲の拡張である。しかして
この規定は不法行為による損害賠償債権にも準用される
については,伐採したことによりその後の生育を不可能
というのが通説である。
ならしめたことにより,所有者に得べかりし利益を失わ
ように伐採しないで生育させれば年々生育増量するもの
2.不法行為の損害賠償
した損害も賠償すべきである」とし,一殻に予想されう
ところで不法行為による損害賠償の範囲については特
る伐採期に達した時の価額からホフマン式計算により賠
別の規定は存しない。ひとえに416条をいかに解するか
侭額を算出すべきものとし,東京高判昭和33.7.17下民
が問題となる。まず大聯判大正15.5.22民集5巻386ぺ
筆者:秩父営ホ曙
集9巻,1,297ページは昭和23年から昭和26年に至るま
での間に50年生ないし80年生の杉立木数本を伐採した
− 3 0 −
鞠
一一︶
3.林木盗伐の損害賠償
損害だけであるが,その不履行のほか,これに伴い偶然
していなかったにしても,その取引界における健全な常
一
なお多くの反対があり学説の対立する所である(山田,
賠償の範囲については民法416条に規定があり,第1項
のある損害は,債務不履行のあった場合に通常生すべき
多感
、
金瀬:幼令林盗伐の損害額算定
が,所有者において早急にこれを伐採売却すべき事情が
なく,かつ当事者において立木価絡の騰貴につき予見の
可能性のあったという事案につき,右伐採後である昭和
27年8月当時における推定時価により右損害賠償額を算
定し請求したもので,これを相当とし特別事情による損
害と認めたものである。
また長野地裁諏訪支部判昭和30.7.6下民集6巻1,315
ページは用材用の造林を業とする者の所有幼樹を盗伐し
た事案につき,適正伐採期における価額から管理費用等
を控除し,ホフマン式計算により賠償額を定むくきもの
とした。思うに造林を目的とする立木が盗伐された場合
、の損害賠悩額については,それが適正伐採期令に達して
シ、
一ヤ、るものであるときには,瀧伐時における立木より生産
される素材(利用率を乗じたもの)について市場価稽か
木で人工植栽したものの補償額は次の算式により計算し
た額とする。
①11年生以上の立木
X
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(
A
u
C
)
(
:
二
群
I
C
Auはその立木が適正伐期令級(u年)に達したとき
の推定価額,iは現在林令puはその立木が適正伐期令
級に達したときの林令,Cはmを10としD,D4……Dm
をそれぞれ植栽以後10年までの毎年の造林費を現在の時
価に換算した価額とし,Pを年利率(6知とした場合に
②に掲げる算式により算出される額である。すなわち再
造林饗X=(Au-C)÷+C
②11年生未満の立木
Y=DL(1+P1m+D2(1+P)m-1・.…・Dm(1+P)
ら事業費(伐採饗および運搬量)を控除したものをもっ
てその立木の価額,すなわち損害賠償額と定めてよい。
しかし適正伐採期令未満のものについてもこれによると
すれば,その結果が不当になることがある。立木はその
植栽およびその次年度において比較的多額の資本の投下
を要するにかかわらず,その適正伐期令未満,ことに幼
樹のうちは市場価格がなくたとえあってもきわめて低い
もので市場価額は投下資本額に及ばないことが多く,成
長後の市場価格遊期待するものである。したがってこの
ような場合には損害額を幼樹盗伐時におけるその市場価
額を標準とすることは妥当でない。そこで少なくとも造
林を目的とする立木については,希望価による方法すな
わち盗伐された立木も適正伐期令におし、て伐採するもの
へF桑と予定し,その価額(いわゆる前価を出し,これをホフ
マン式またはライプミッツ式等)により現在価に引き直
堯
す方法により算出された額をもって通常生ずべき損害額
とするのが妥当と思われる。(中川善之助,債権法)
、..・・・現在林令
DID2・・・…Dm│…..、それぞれ植栽してから現在までの
毎年の造林饗を評価時現在の時価に換算した価額,P
は年利率(6分)
右の算定は損害を被りたる物体鱈体は幼令立木)につ
いて通常価格(その立木が何人にも有する価梅.と特別
価格(当該被害者に対し特に有する価格sx①植栽と言
う被害者の特別な資本額@母親の形見の指環)に分類し
た時広穀の特別価格による賠償額であり,幼令林という
特別頚情の認容により算定したものにほかならなし、。そ
こですべて適正伐期令級を予見し希望価を算定するに当
を得ない場合もある。たとえば,当該木が将来除伐,間
伐される予見のある劣勢木であったり,被害者が真の林
業篤志家で伐採された幼令木の経済価値よりも原状回復
を希望し盗伐者に植林を実行させるのごとき場合であ
る。しかしこれらは個々の特殊な事柄で通常は既述の方
法によって擁定するのが適正ではなかろうか。さて右の
ー
4.幼令林の損害額算定法
幼令林を盗伐した者に対する損害賠悩額の算定につい
ては第一;こ前掲のホフマン式数式をもって算出するがよ
Au-C
〃
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と
思
う
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x
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E
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ように算出された損害賠俄額について当該立木(臓伽
が被害者に返還された場合と返還されない場合について
考察してみよう。被害者に返還されない場合は右の算出
どおりの賠俄講求がなされるのは当然であるが,たお臓
Au……適正伐期令(u年)における市場価額から事業
物が返還されても,当該臓物には幼令樹木という特別事
情があるため市場価格がないし,あっても低いものであ
費を控除したもの
る。そこで臓物返還の場合の損害賠侭額は
C…..、管理饗P.。…・利率m…・・・現令
なお近時ホフマン式数式の希望価によるのほか費用価
による方法すなわち現在までに費した経費の合計をもっ
てすること(柵令10年以下の幼樹の場合)および計算の
y=FI-FM
F1・…・・ホフマン式またはグラーゼル式算式による立
木イili(将来の立木価,いわゆる前伽)
比較的容易なグラーゼルの近似式による方法,すなわち
F2……幼樹(臓物)の被害時におけるその市場価絡
次の数式(東京営林局,例規林野整備の項参照)を用
・立木の買受希望者がなし、場合(材価(市場性)
うるがよいと考える。立木の買受希望者がない場合(市
のない時)はy=F1をもって賠償額とする。
場性のないもの)の補俄額,すなわち市場価格のない立
(昭36.11寄稿)
− 3 1 −
航空測量時代における
ー
基本図の再検討
および事業図作成の基礎となるものであって,森林区画
および測量を終ったときに作成される」すなわち,こ
の解説書によれば基本図の目的には二つあって,一つは
「両職算出」であり,他は「経営計画図および事業図の
基悶である。一般に理解されている地物の位置という.
中 山 博 一
ことについては書かれていない。林野庁におけるこの認
識はひとつの重要なる問題であって,国土難本図とのか
はじめに
搾野庁においては,毎年約100万haの国有林が航空
写真から図化されている。これは縮尺5,000分の1の基
本図である。しかし,この基本図の内容は戦前御1s淋で
地上測璽により作られておったものとほとんど変わりな
い。
技術革新といわれる航空測量時代に,また林業の集約
化が必然である時代に,基本図のみが,ただ銃空写真を
使用したというだけに止り,図化の細部が地上測量時代
らみあいにおいて,これがいかに解決せられるのであろ
うか。
規程から見た基本図に記入せられる事項
前述したように,経営規程によればこれに記入せられ
る事項は次の六つである。
1)境界
〃
3)森林区画
となんら変わるところがないということは一体どうした
4)地物
ことであろうか。
5)標高
6)等高線
まず基本図に関する経営規程からみてゆこう。
基本図に関する規程
国有林野経営規程をみると,その第28条に「営林局長
は,経営計画を編成するときは,その付属図として,基
本図,・・・・・・を作成しなければならない」となっており,
さらにその第2項に「基本図は,経営計画区ごとに,縮
尺5,000分の1を標準とし,境界,行政区界,森林区
画,地物,標濁,等高線等を記入して作成するものとす
る」とある。なお,この基本図は次の二つの付属図の縮
図用として用いられることになっている。その付属図と
いうのは,経営計画図(縮尺50,000分の1)および事業
図(縮尺20,000分の1)である。
経営計画については長官通達により細目が定められて
あるが,基本図についてはこれ以上何もない。ただ「国
有林野森林図式および同適用細則というものが昭和35
年同じく長官通達として出されているが,これにも図面
上に記戦すべき事項のあまりくわしいものはのっていな
前述の国有林野森林図式適用細則にはこの記入事項に
つき,もう少し詳細に書いてあるが主要なる点は以上六
つに尽きる。
航空写真を使用して基本図を作製する場合,いちばん
問題となるのは第4項目の地物であろう。
この地物につき国有林野森林図式適用細則を見ると
陸要なる道路・河II.湖沼その他顕著なる地形地物の
形状」となっており,ここにいうところの注要なる」
また「顕著なる」とは何を意味するものであるかという
問題が残る。この表現は多分に主観的なもので客観性に
乏しい。
けれども,写真上に示される豊富なる地物の溌料のうち一
∼
いずれをとりIいずれを捨てるかは単に与えられた予算1
によって決まるといってすますにはあまりに重要な問題
ではなかろうか。
基本図に示されるべき地物
基本図作成の目的は何か
上述の規程からみると基本図は何のために作られるか
ハッキリわからない。ただ経営計画図および事業区を作
る基本になることだけはわかる。しかし,一般に林業的
に基本図の作製の目的は第一に地物の位置,第二に各種
の区分の面穣を明らかにするにあると理解されている。
今,林野庁朧修の「国有林野経営規程の解説」をみる
と,基本図の目的については次のように明記されてい
る。睡本図は経営計画の編成および各種事業の実行に
際して面職算出の基本とするほか,後述する経営計画図
謡
基本図作製者に対していかなる内示があるか分らない
い
。
箪者:名古屋大学教授
く
2 ) 行 政 区 界 戸
国有林事業たとえば調査・収穫・造林等の遂行に当
り’林班をさらに区分する必要が生ずる。この業務に対
し従来は必要に応じコンパス測量によって区分し,これ
を基本図に入れて位置を示し,さらに面談決定も行なう
のである。
しかしながら,航空写真より基本図作成の際できる限
り,谷線・峯線を入れいわゆる地貌を示しておけば,上
述のコンパス測量の手数を大いに省略することができ
る。描写すべきこの谷・峯線の範囲については問題があ
るが'現状においては林班を3∼4haに区画しえるがご
とき程度という意見を当局者より聞いたことがある。
− 3 2 −
〃
中山:航空測瞳時代における基本図の再検討
というのはもう少し具体的に,適用細則にでも譜き改め
は,従来の5万分の1地形図および国有林基本図と同じ
構想によって作られるであろう。しかし,森林計画とし
ての要望はコンターよりもむしろ従来の地貌線をさらに
正確にさらに密に入れたものであろう。地上測量をはぶ
を入れるか,また,これによる諺本図作成の経饗はいか
ここで問題となったのはいかなる精度において地瀦齪
いて榊:目を挿入するには等高線よりも,谷・峯線の方が
に鐘犬するかである。
有効だからである。
これが詳論は本文のよくするところでないが,精度に
立場からのひとつの構想をここに書き.読者のご批判を
シ∼思う。
乞う次第である。(昭37.4.寄櫛
最後に問題が本筋より少し離れるが,ここで一言ふれ
ご憶妻
‐
林業技術振興法
先日、ある話を聞いてこれでは林業技術の振興に何か欠けているのではないかと思ったこ
とがある。それは、ある人が有名な篤林家が永年かかって育て上げた品種のことを聞き、自
分の山に植えたいと思い、それを譲ってもらう相談に行ったところ、みごと断わられたとい
断わられたのは、求めた数量が多すぎて応じきれなかったのか、少なすぎて面倒と考えた
う話である。
のか、値段が合わなかったのか、とにかく理由は承知しないのであるが、もしもである、そ
﹁このわしが、永い間かかってやっと育てあげた品種だ。いわばわしの命だ。それをわし
の篤林家が次のような気持で断わったとしたら皆さんはどう思うか。
の努力も理解できないようなかけ出しの山持ちに譲るなんてとんでもない。﹂
﹁この木のおかげで、やっと今までの苦労も報われ林業家としていちおうの名声もはせる
ことができたのだ。この木をばらまいて殖やしてしまっては、ご本尊のわしの影が薄くな
− 3 3 −
り、永い間の苦労も忘れられてしまうでないか﹂
このように考えたとしても、これをけしからんという人は少ないと思う。誰だって国家大
義のことばかりを思って行動するものではないのだから。しかしこの人の作り出した品種は
が、その人の意地や、趣味に堕して公開されないとすれば問題である。発明は公開され実用
=
有林の森林計画との関係である。おそらく,国土基本図
る必要があるように思われる。
育種事業がこれから先何年か何十年かをかけて求めるものの一つである。このような成果
そこにまた特評椛を持って発明者の椛利を保謹する理由が存するのである。林業の場合、
に供されてこそその意義を持つ。
このような新品種の造出や、新しい方法の案出といったことが法律上どのような取り扱いを
これを案出した人の労苦は報われることなしにずるずると広まっていったようである。そし
受けるのかは知らないが、今までは﹁良い木があるc﹂とか﹁良い方法がみつかった﹂とかで、
てこのような瀬が結果として林業技術の開発に対する意欲を薄らげ、あるいは非公開的なも
技術革新を期待する声はきわめて強い。しかし林業はエ業などと遮って試験場や、大学の
のを生みだす素因になっているのではないだろうか。
一握りの研究者にその資任を負わせるのは、その特殊性からみても酷というものである。む
しろ技術振興上の功労者がその功に応じて報われるような体制11たとえば発明、新案を国
ての林業人が技術の発展に意欲を燃やすことができるようにすることが必要だと思う。研究
で高価に買上げるとか、財貨を望まない人には栄誉でもって報じるとかIを作って、すべ
費を増やすとか、いろいろ方法もあるが、それに加えてこんなことでも拾い上げ、林業界の
進性をいつまでも脱却できな←と思う。林野庁に林業振興法検討のための企画室設置のこと
総力を結集する途を椴じないことには、他産業に伍した技術革新など望めないし、林業の後
蕊
をきき、あえて迷案を披露してご検討を期待する次第である。︵影法師︶
建一
以上を考えるときに,経営規程第28条にある「地物」
ついては従来応用をみている航空測璽ぐらいの穏変でよ
わが国におし、て,画期的な国土基本図の作成に当り,
いではなかろうか。経費について全く不明であるが,築
また林野庁としても多大の予算を組まれるに当り,この
者のトップを使用しての段戸国有林の経験によれば,功
程嫁従来のものに比し3∼4影増位と考えてよかろうと
辺の事情がいかに考えられてし、るか。各種事業にそれぞ
れ役立つということは困難なことではあるが,林業的の
一.
たいことは,やがて作成せらるべき「国土埜本図」と民
一
三四
であります。その後しばらくの間あまりとり扱われなく
第一回
なりましたが,最近になって再び論議されるようになり
林業科学技術振興賞
ました。というのは石油化学がもたらした各種の合成化
学製品によって作られる樅造材料が異方性をもつ場合
を受賞して
に,その強さを研究するとき塑性学やレオロジーと共に
重要な手がかりとして台頭してきたわけであります。ま
高 見 勇
今回日本林諜葺科学技術の振興発展のために設けられ
た,林業科学技術振興賞の第一回受賞の栄を得ましたこ
とは.藤にとってこの上もないよろこびであると同時
に,この方面の研究がきわめて重要なものとして認識さ
れましたことを思い,今後ともますます努力しなければ
ならないと痛感した次第であります。なお今回の受賞に
あたり,いろいろとお世話になりました関係の諸先生方
さて木材を材料的にとり扱うばあい,まず直交異方弾
性体としてあらゆる体系に考察をすすめなければなりま
せん。力学的にどのようなとり扱いかたをするといたし
ましても,その定数的な考え方としては三方向主軸休
材の識生主軸に,L,TそしてR方向の座標をとりま
す。Lは木材のセンイ方向に,T.Rはそれぞれ切線,
半径方向にとるところのいわゆる斜方晶形(Rohmbic
Crigt"りとしてとり扱うわけであります。このことにつ
いては数多くの理論解と,その裏づけとなって立証され
た実験値とが,文献によって出されています。私たちも
日本産鐵種につし、ての一連の実験から,その理論的な正
しさを確めることができました。
一般に木材については,その微少素体讃に起る応力と
歪の成分関係は
その性質を検討するわけです。合板もまた同様にその典
型的な材料となっています。私達はいろいろの描成をも
った合板に対しその直交異方性の理論の適用性を吟味し
、戸
ながら,箱型梁(Box-Beam)をはじめとする各種の合
今後新しい軸材,柱材,板材などに合板が利用されてゆ
くでし襲うが,いずれにしてもこの直交異方性の原則
((1)式の連続魍はくずれることはなく,むしろいかに
して,合板を主材料とする複合材料を等方陸体に近づけ
るかが,これからの一つの課題でありましょう。
木材は人間の生存したその日から,おそらく共にあっ
た,なくてはならない貴重な材料であったはずでありま
す。現在の人間の生活にはあまりにも使いなれすぎたた
めに,そのありがたみが空気や水と同様にわからなくな
ってきいるのではないでしょうか。それだけに,きわめ
て生活にとけこんでいる材料であることは,いうまでも
ありませんし,加工が容易なこと,他の材料にくらべて
軽いわりに強いこと,心理的にも落着きを与える等々そ
の長所は多いのですが,ただその使いかたが経験的に一
たしかにそれはそれなりに良いところもあったわけで
すが,今日となっては溝造材について原始的ともみえる
γ垂R=S;塾でTR,γ歴z=&5rRL,1・LT=46zz.r
添字でしめされた方向の応力成分で,e,γは同じく歪成
分,そしてS"(f,K=1∼6)はその両者を一次の関係
でむすぶ場合の謝生常数であります。このs齢のとり扱
いには直交異方鋼生体としての複雑なもんだいがふくま
れています。むかしの応用数理学のはなやかなりし頃に
は,さかんにこの録の値によって各結晶形の変形,あ
るいは破壊の問題を,いろいろな場合に応じて吟味され
使いかたを続けることは,許されなくなったといえまし
ょう。それは今日の経済が技卿嘩新とし、う名で,木材企
業の改革をよぎなくせしめた,時代的背景の故でもあり
ます。このことは現在,木材に代る材料としてでてきた
総造用型鋼,有機化学合成材料の販売愛や市況価格をみ
れば一目瞭然であり,高度な計算能力で材料が吟味され
るにいたっては.木材の過去の使いかたや,あるいは
ミドンプリ勘定鐘による木材の企業経営はマイナスの要
たものであります。当時は実験的にとり扱われる材料と
素を含むものと云えましょう。まして,ここ数年来の技
しましては,直交異方性体では木材以外にかんたんに入
術難新の波にのって,木材々料に対抗する各企業者はこ
手できるものはありませんでしたので,その学問体系
れにオクれまじと設備を拡狼し,同時に科学的に掘り下
もつまるところ木材を対象にしておしすすめられたわけ
げた技術研究と相まって,合理的経営方式の巾とに木材
筆者:林業試験場木材部木材強度研究室
市場にナダレこまんとしているようにも見受けられま
−34.−
へ
■
︵一一︶
に,今日いろいろの問題がでてきた原因のようです。
(
1
)
の一次式によって示されます。ここでぴ,ではそれぞれ
/
うです。いずれにしましても,木材相互のハリ合わせで
あるために,力学的とり扱いにはやはり(1減の関係で,
種の「カン」や熟練にだけ頼って行なわれてきたところ
sz=s,,"z+&,"z'+&Iぴゑ
喜茂=S13"L+&3"T+s33GR
脂が進歩しましたため,集成木材の企業を生み出したよ
板パネルの設計に必要な基磯資料をもとめております。
に対しまして心から厚くお礼申上げます。
e.Z、=S12"z+&2"r+&2ぴ配
た最近の接蒲剤の進歩によって,特に木材接蒲用合成樹
高見:第一回林業科学技術振興賞を受賞して
す。幸いにも,このことに早くも目ざめて,それに対処
ところに,ことの重大性があるものと思われます。で
し着々と地固めしながら合理的利用面の開拓に努力さ
は,椴造用合板のもっともよい実用例として箱型梁に使
れ,また材料の信頼性のた.めの設計資料および実大試験
った,すなわちそのウエプ材に合板を使うことについて
の依頼等,相当強い意欲が業界にもではじめたことは,
述べてみます。ところで力学的理論の中で,特に板にあ
らわれる性質に座屈現象がありますが,合板には特に初
まことにこのましい限りといえるわけであります。
林業試験場におきましても,相当前からこのことにつ
いては強く力説していましたし,それに対処するために
も本邦産はもちろん各種輸入材の主要樹種につきまして
も,前述しました木材の弾l生基礎常数s雄の測定値によ
って,系統的な強度等級を作りつつあります。また各種
集成材および構造用合板の弾性常数についても測定して
≠,おります。これら測定値は当然設計資料となるものであ
り,また現在までにもいろいろの応用例において成功を
一
おさめた実例もあります。
つぎに構造用合板につきまして述べますと,およそ設
計するとは,わかりやすく云えば,強度的にみて合理的
計算を用いてその材料の断面を決めることと云えきしょ
う。前にも述べましたように,木材,特に構造用材では
遇去においてこれがなされなかったことに,今日の木材
企業の立ちおくれがあったと考えることができます。最
近構造用合板の利用熱が急速に高まってきました。その
大きな理由としましては,利用条件に適するように設計
して,これを計画生産しうる見込みがあること,さらに
合板という特長を生かして使うという点をあげることが
残留応力の、ハタラキ、と解釈して,先程のe=S・ぴの
(1)式に逆換算でき,それから曲げ,振れの初期状態を定
めることが可能なはずであります。そこに,このような
状態に新たな各応力が加わるのでありますから,その初
期状態によってはかなり低い座屈応力値をだす原因にも
なります。とにかく部材をもっとも有効に利用するため
には,影屈応力値→破壊応力値
に近づけることが理想的であることはいうまでもありま
せん。箱型梁の目的に軽くすることと同時に高し測り度を
あたえることであります。すなわち断面を大きくするた
めに,自重を軽くして使われる長大梁の構成には,しば
しば考えられるものであります。したがってフランヂ材
には軽いわりに強い針葉柵を,ウエプ材には合板を使い
ます。しかも合板のセンイ方向は梁のスパン方向に対し
て45°の角度をもった合板(以下LT-45と称す)を,梁
の中央から右側へ順剪断,左側に逆剪断の方向をもった
ます。そしてこれらはすべて断面設計され,量産されて
ヘムー生産原価がハジキだされていることは衆知の通りであり
方法によ・る合板の使いかたが,箱型梁に思いもよらない
ます。一口に云えば設計とコストはとなり合せのもので
大きな剛度を与えるのであります。このGの実験測定値
を第1表にしめします。これをみてわかりますように,
ラワン合板のGLzE46は他のいかなる方向のそれよりも
金属や有機化学合成材料で作られる数多くのものがあり
ー
期条件として,単板の含水率不均一性や収縮率の異方性
などから,必ずといってもよいほど大なり小なりの狂い
が伴っているものであります。この現象は力学的には,
ものにして接着します。これは合板の直交異方性のため
にG(=剪断剛性係数)がでの方向性によって必ず大小
があるために,このようにするのであります。こうした
できます。構造用の「板もの」となれば,合板以外に軽
禽
少
あります。木材々料としての合板の市場に,これらを迎
えその競合に打ち勝つための資料は,何としても,これ
らよりも技術的経済的にみて良い材料でなくてはなりま
せん。強度的には,まず設計によって適正断面をだし,
それに応じて材料の選定を行なうことが必要なわけであ
5倍程以上,大きな値をもってし、ます°
箱型梁では,ウエプ材でこの大きくなった割合のもの
を,逆に断面の減少にふりむけられるということになっ
て(中空にする),すなわち梁を中空にしたための断面
り,そのために構造用合板に関する限り私達は数年前か
ら,研究の主眼をこの点において実施してきたのであり
ます。すなわち構造用合板の力学的性質に対し,理論的
減少を,これは剛性の減少になるが,その分をウエプ材
ならびに実験的険討を加え,さらに構造部材としての基
等以上の剛性を得ることができるというところに着眼し
礎設計のための資料の集積,および種々型式の実大試験
たものです。したがって長大梁になればなるほど,その
またそれらの応用実験などを行なっています。もちろん
単位重蹴の軽減しうるために,材料経済の面でコスト安
現在の構造用合板の製造基準なるものも,今後は使用さ
となりウマみを生じます。しかしながらここにもまた問
れる部材から逆に,その合板の樹種別の樵成法をきめ,
題があるのです。というのは長大梁になって梁丈が大と
それらの性能を考慮して製造するとし、う経済単位を見出
なったり,合板としてもできる限り薄いものがよいので
すようにしなければならないと考えています。しかも,
ありますから,こうなればなるほどウエプ材が不安定に
早急にこれを行なわねばならない現状となってきている
なることが考えられるからです。というのは先程述べま
のGを大きくして,同断面(中空のない)の素材梁と同
− 3 5 −
高見:第一回林業科学技術振興賞を受賞して
第1表剪剛性係数表
の主なものは,箱型染,I型,ダブルI型およびそれら
を組合わしたアーチ樅造のウエブ材,さらにプレファブ
、
雪
陣
繍
溌
に
蹴
一
用屋根・壁・床パネル,またコンクリート型枠用合板パ
樹種、×103kg/cm2
て
あか
幸裏
え
つ
んだん高級にかつじん速化されるにしたがって,新しい
椛造部材が次から次へと要求されるものと考えられま
ま っI5.2
ぶ な 、
ー
ネル等いろいろあります。おそらく,今後生活様式がだ
4.5
4.5
5.6121
5.9
8.2115
す。そこで次に,こうした部材の接合のことが当然問題
−
31.1
Ⅱ
2.6
23.2
1
K
3.0
25.8
−
-
5
ラワン合板
3.3
1
454
みずなら
ルトその他各種のジョインター,接蒲剤によるもの等い
0
夢?
ろいろの方法があげられると思いますが,現在では接着
−
ラワン合板Iは3プライ(1:2:1の構成此) 厚 さ 4 m m
〃Ⅱは5〃(2:2:2:2:2〃)
〃Ⅲは7〃(1:3:3:3:3:3:1〃)
になってきます。単板を接着する合板製造技術はわが国
では相当高いものでありますが,その製造された合板相
互の接合,また他の樅造材との接合となると,この面で
の研究データーは皆無に等しい実状にあります。釘,ボ
〃10〃
〃17〃
剤以外の方法での接合は,いずれもその接手有効率は50
%以下とみられており,接着剤によるぱあいでも80影以
上を期待できるのは,ほんの一部の接着技術によったと
した,ウエブ合板の座屈のキケンが増すからです。実験
によりますと,使用材やディメンシヨン,また荷重条件
にもよりますが,一般には梁の破壊応力の兇から%位で
もう弾性座屈をおこす場合があります。
その状態は,まずウエブ材の45.センイ方向にこれを
きだけで,ことに木口接着の場合になるとその有効率は
0に近いもののようであります。そこでわれわれ木材技
術者としては,これらの接合方法の一つ一つの場合につ
いて実験を行ない,理論体系とあわせてその設計資料の
充実をはからねばなりません。私達の研究室でも近いう
軸として,まず小さな正弦波を作りそれから梁の対角線
ちに実大試験を行なって,その成果をみる予定をたてて
方向に発展するようです。こうなっては,せっかく軽く
おります。
して剛性を大きくしようとも,不安定なものになってし
おわりにわが国の木材の構造材料としての利用動向を
みると,あきらかにこれまでの素材の利用から,合板そ
の他加工材料の利用に変ってきている傾向が一段と強く
まいます。少なくとも80%以上にもってゆかねば意味が
なくなるといえましょう。そこでこのことを解決するた
めにスティフナーを使うことになります。理論的に解析
するとかなり難しくなりますので,簡単に云いますとつ
てし、ます・しかも梁の総重量はそう変らないから一石二
鳥と云えましょう。また集中荷重を受けたり,他の構造
材との連結のことを考えねばなりません。前者にはブラ
ンデ材やウエブ材が局部的に圧縮されなし、ようにロード
また,昨年9月イギリスにおいて世界18カ国147代表
によって開催された,国際木材工学会議においても,そ
の第一の主要議題が,構造用合板パネルの今後の設計と
利用問題にあったことからも,うかがい知ることができ
ます。このような時代的背景のもとにこの方面の研究を
すすめることは,今後の木材なかんずく構造用合板の利
用に対し,まことに重要で意義深いものといわなければ
なりません。現在のところ,このような研究資料はほと
ブロックを入れて防ぐようにし,また後者にはフィラー
を入れて梁自身の補強策をこうずるようにします。この
ようにして箱型梁が作られますが.その際使用される条
件に応じて設計々算され,断面が決められます。このよ
うにして所要材料が計画生産されて,経済単位がださ
構造用材料としてのこれら諸規定,基準の中にとり入れ
れ,したがってコストが決る勘定になるわけです。しか
て確立すべく大いに努力いたしたく思っております。こ
し実際にはまだまだ複雑な問題もあると思われます。い
の種の研究は,各方面の強い提けいと共同がなければ達
んど整備されていないために,建築造飴等における各種
設計基準に構造用合板の適用条項が全く含まれていませ
んが,こうした面での研究資料を一日も早く作って,軽
ずれにしても大綱はこのような方針によって,生産をす
成しえないものであり,私はこの栄ある受賞にさいし,
すめるところにこそ本当の価値がでてくるものと思うの
とくに関係分野の諸先裁および同瞭の方々のご指導とご
であります。なおこれからの椛造用合板としての利用面
協力を切におねがいする次第であります。
− 3 6 −
互言
︵︽︾︶
まり四角な枠木をつくって梁の中にハメ込み,ウエプの
座屈をおさえるものです。これを僅か数個入れるだけで
も座屈応力は相当大きくなることが,実験でも証明され
なっているようであります。
第 8 回 林 業 技 術 賞
本会では毎年(1)林業器具,機械,設備等の発明,考案またはその著しい改良,(2)研究,調査,著作,(3)林業技術実
施の現地業績,の各項について実地に応用または普及されて,林業の振興に貢献し功績が大きかったと認められる業
績に対して,林業技術賞を贈呈して表彰しているが,第8回林業技術賞は5月22日審査員10名により対象業縛3件に
つし、て審査を行なった上,投票により下記のとおり受賞者を決定し,本会総会の席上で授賞式を行なった。
④
司
一
津べ
今.
林業技術コンテストの発表風景
林業技術賞受賞式
氏
布 田
夫雄
秀利
片 岡
名|現
職
東京営林局大子営林署長
宮城県林務課技術吏員
’
|業
’
績
壷
K式測高器の考案
本数自動記録計付輪尺の考案
1
第8回林業技術コンテスト
本会主催,農林省後援,林業新聞社協賛による第8回林業技術コンテストは6月11日午前9時から東京営林局大会
議室で開催された。参加者は各営林局支部から選ばれた担当区主任,苗畑事業所主任,製品事業所主任ならびに各府
割、皇電襲県の林業改良指導員'5名で,体験や研究の成果を競い,’'名の審査員によって次のとおり入選者が選ばれた。なお本
会総会の席上で入選者の表彰および林業新聞社寄贈の参加賞の贈呈が行なわれた。
鍾
賞|氏名|所
一
属
|讃
林野庁長官賞
曽我部塁
愛媛県林業指導所
林地肥培の機械化
〃
相 内 豊
函館営林局今金営林署白石担当区主任
刈払機の下刈用斑型の改良
〃
池田充興
高知営林局大正営林署芳川製品事業所
荷縛索館綱索保護具
長野営林局三殿営林署大原苗畑事業所
カラマツ床替期延長方法
主任
林業技術協会賞
尾崎多喜雄
主任
〃
成田一芳
旭川営林局神楽営林署
中耕除草機の考案
〃
水口尚彦
岐阜県林業改良指導員
野兎の習性と駆除の一考察
〃
内木芳郎
加 藤 潔
名古屋営林局久々野営林署
パワーサイセによる下刈作業
一
」
〆
題
林業科学技術振興賞
既報(6月号39頁)のように昭和37年度林業科学技術賞の受賞者は林業試験場高見勇に決定したが,賞状ならび
に賞金の贈呈が本会総会の席上で行なわれた。
− 3 7 −
ー
字
第16回通常総会
測量指導部10周年記念式典
6月13日(水)午後1時から東京都千代田区平河町,
全国町村会館9階講堂において開催した。来賓として林
野庁吉村長官,大野業務部長,松下指導部長のほか各課
長,林業試験場斎藤場長,旭川営林局甲斐原局長,国土
地理院奥田院長(代理原田企画驍否室長),写真測愛学
いただいた中山博一氏畷名古屋大学教授),原忠平氏
(現全国林業改良普及協会専務理事),堀正之氏(現前橋
営林局作業課長)の3氏に松川理事長より感謝状を贈呈
し,続レ、て吉村林野庁長官,奥田国土地理院々長,森林
測友会々長の祝辞があって式典を閉じた。
会代表丸安東大教授等多数臨席を得て,会員,30名出席
し盛大に行なわれた。
総会は,松川理事長の拶挨についで第8回林業技術賞
の表彰,第8回林業コンテスト入選者に対する賞状なら
訓
声
びに賞品,記念品の授与を行ない,また,あわせて財団
法人林業科学技術振興所の第’回表彰を挙行した。
これら表彰を終った後,総会議事に入り,立石慎氏
幅島県支部長)が選ばれて議長席につき.下記のとお
り予定5議案および追加議案を審議決定した。
なお当日の第5号議案において役員改選が行なわれた
なお式典終了後別室において記念パーティーを開催,
本総会の行事をきわめて盛大に全部終了し散会した。
第16回通常総会決議公告
昭和37年6月13日開催の本会第16回通常総会において
次の通り決議されたので会員各位に公告します。
昭和37年6月13日
社団法人日本林業技術協会
理事長松川恭佐
記
,李乏r
第1号議案昭和36年度業務報告ならびに収支決算報告
の件
結果,松川理事長の後任として本会顧問である石谷憲男
氏が新理事長に選出されたので,松川,石谷両現,新理
事長のそれぞれ拶挨があった。
以上をもって総会関係の行事を終了し,引き続レ、て測
量指導部'0周年記念式典を挙行し,松川理事長の告辞に
始まり,測量指導部の発足育成について多大のご尽力を
一
報告(別記)原案通り承認可決一
一
第2号議案昭和37年度事業方針ならびに収支予算案の
件
原案(別記)通り可決
第3号議案昭和37年度借入金の限度に関する件
本年度借入金の限度を金1,000万円とすること
を議決
第4号議案40周年記念事業に関する報告の件
報告原案(別記)通り承認可決
第5号議案役員任期満了につき改選の件
別記の通り改選議決
第6号議案(追加)顧問推薦の件
前号議案により更迭した前理事長松川恭佐氏を
顧問に推薦する推案を緊急動議により追加上程
し,提案通り議決
− 3 8 −
第16回通常総会・測遡指導部10周年記念
吉田博三井木材工業株式会社
谷藤正三谷藤機械工業株式会社
馳方)佐藤宏旭川営林局経営部長
役員名簿
昭和37年6月13日改選
役 員 氏 名
沢田博帯広営林局〃
勤 務 先
渡辺泰次札幌営林局〃
理事長石谷憲男
岩岡正喜耐館営林局〃
専務理事松原茂
宮脇恒北海道大学教授
仁科正二青森営林局経営部長
福森友久岩手県艇地林務部長
松本守雄前橘営林局経営部長
立石膜福島県刺読監
常務理事成松敏男
鳶、
一
杉下卯兵衛
林野庁研究普及課
牛山六郎
〃業務課
横瀬誠之
〃計画課
鈴木敏男
〃業務課
玉木恭一
〃林産課
松形祐尭
〃造林保護課
竹原秀雄
農林省林業試験場
川床典輝
東京営林局計画課長
佐藤大七郎
東京大学教授
遠藤嘉数
森林資源総合対策協議会
池田伍六
"111製紙株式会社
理 事 小 田 精
(中央)田村栄三
浅野正昭
公平秀蔵
一
三宅博東京営林局経営部長
若林正武山梨県林務部長
川野秀雄長野営林局経営部長
中田幸吉長野県林務部長
大竹利雄大阪営林局経営部長
小竹二郎奈良県林務部長
矢野雅康高知営林局経営部長
福田次郎高知大学教授
鳥巣節雄熊本営林局経営部長
中馬尚宮崎県林務部長
監事奈良英二林野庁監査課
近貞一王子造林株式会社
科学技術庁
林野庁調査課
〃研究普及課
〃監査課
大友栄松
農林省林業試験場
森川通誠
東京都林務課長
備考(1)地方理事については支部連合会の推聴によるも
のとし,未推薦の支部については推薦を待って追
へ︽
南享二
東京大学助教授
夏目正
東京農工大学教授
って登録するものとする。
飯島富五郎
近江太郎
東京教育大学助教授
十条製紙株式会社
(2)地方理蕊については転任等によって任期中に移
動を生じた場合は後嶬を支部の推聴によって補
山村誠治
王子製紙株式会社
充するものとする。
費
饗
料
澱
(13,262,8”
(15,550)
研 究 調 査 饗
支 払 利 息
217,500
原 価 横 却 費
貸倒準備金繰入
価機変動準怖金繰入
雑 損 失
当 期 剰 余 金
1,024,058.
430,000,
98,000,
複 製 作 業
検 訂 作 業
広 告 手 数
受 託 事 業
昭和36年収支決算報告
(')損益計算書皇撫耀罷目
損 金
卸入入入
金
棚収収収
末饗産業
-−39−
益
345.490‘
146,388.
3,824.219
99,020,704
計
期会財事
期首樹卸1,350,187円
期 首 仕 掛 品 2 6 1 , 4 0 0
人件費17,159,679
運 営 費 5 , 3 2 6 , 3 3 3
財 産 費 3 2 3 , 7 5 9
還 元 饗 4 , 6 8 5 , 1 4 5
事業費62,121,612
図書出版費(13,115,371)
斡旋事業費(12,829,919)
受託調査費(6,251,210)
撮影図化作業費(9,370,391)
撮影作業費(6,764,592)
航測事業作業費(5ユ1,771)
362,618
1,3“,316
1,593,697闘
6
,
‘
4
3
2
,
5
5
7
367,900
86,8]6.550
−
−
部 分 林 勘 定
土 地 建 物
什 器 備 品
有 価 証 券
設 備
前 払 費 用
計
借 入 金
未 払 金
支 払 手 形
仮 受 金
計
正 味 資 産
計
301,529門
1,669,“4
591,528
91,684
47,265,458
8,000,000
8,710,588
971,396
9,711,752
27,393,736
19,871,722
、
ー
47,265,458
4,972,285隅
3,824,219
8,796,504
1,000,000PT
1,500,999
2,500,000
3,796,504
8、796,504
昭和37年度事業方針
1会誌「林業技術」は1万有余会員の意向をただし,
一層適切な内容のものとするよう努力する。
2林業技術賞,林業技術コンテスト等の顕彰事業はそ
の成果を高揚するよう更に検討を加える。
3育林技術研究会を設ける。
4図書の出版は林業技術の向上並に普及を目的とし,
本会の重要な事業のとして,積極的に行う。
5林業技術の実行に役立つ優良な機具,器材等はその
普及を図るために積極的に斡旋を図る°
6測量指導部の事業は林業各部門の要請に応えること
を方針として,そのために必要な施設を整備する。
740周年記念事業の達成を期する。
昭和37年度予算
(1)一般会計
収 入
目|金額|摘
会費収入
6,800,000円
財産収入
84,000
事業収入
30,043,000
27,822,782
印税収入
’ (455,000)
3,122,909
出版図曹収入
(14,474,000)
− 4 0 −
要
︽二
金
金
替 貯 金
収 入 金
掛
金
24,300
、■■
◇
現預振未売
財産目録昭和37年3月31日現在
510,000
(4)剰余金処分(案)
繰 越 剰 余 金
当 期 剰 余 金
計
これを次の如く処分する。
納 税 準 備 金
退 職 金 積 立 金
設備拡充積立金
後期繰越剰余金
計
項
(
3
)
1,593.697
1,777.645
1,096.844
4$611,144
4,051,952
棚 卸 品
仮 払 金
円円
切り司り、司りDの9の帥のの0834948297544200480862700005198
4
2
7
5
1
5
3
6
6
4
0
2
0
0
8
2
8
0
9
4
4
4
5
0
0
8
5
0
8
9
5
5
0
0
3
0
8
3
1
5
1
9F
51
0▽
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4
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4巾
07
094
80
72
54
4
0
3
6
4
0
5
3
7
1
分9
30
96
■?
,0
Q1
94
99
95
97
19
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98
11
99
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,
9
0
P
3
1
30
90
94
p0
92
96
92
74
9
“哩蛇卵蝿齢釦鯛以獅銅妬似鏥溺肥鍋別“的虹塑翠”両妬、鉦加型虹錨叩加、、遍兜叩ね叩池配型妬
4
68765540351132036581570605207974509982
擁
備立立余
10
461947211917311144
く
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1
3
日
3
月
7
収鐸収戻和
昭金勘
備建準
積饗当
利備託
貯入
備証
手 稜余
対
格職傭期
入入入入入入入入入入入入息入入入入年金金金金金品金定物品券備用金金形金金金金金金金産金
収収収収収収収収3
表
方
方
与
金
剰
財
又
版旋託訂影化製一幸の告入動受準借替収地器価払払
貸借分貸
印出斡受検撮図複ア広雑受榴罐務倒
2
そ価事貸現預振未売棚仮部土什有設前借未支仮貸価退納設前基当
料 叫悸僻諏峡紳収会準備計照掛卸払林計入払受畔鋤鑑御︾挫本綱計
銅嘩琴蜂
第16回通常総会・測量指導部10周年記念
第16回通常総会・測瞳指導部10周年記念
斡旋事業収入
(4,584,00の
斡旋事業費
(7,950,000)
受託事業収入
(
1
0
,
5
3
0
,
0
0
0
)
一般会計繰入
4,172,000
その他収入
2,074,000
予 備 金
1,170,000
(
1
,
9
4
4
,
0
0
0
)
受入利息
(30,000)
雑 収 入
測量指導部特別
会 計 繰 入
今回
広告料収入
合口
歩、
4,172,000
収 久
計
’
4
3
,
'
7
3
,
0
0
0
1
− L
要
一
9罰274,000円
支 出
2,191,000
会館費・部分林溌・
1,014,000
備品饗
5.650,000
40周年記念事業に関する報告
(
9
,
4
0
0
,
0
0
0
)
201,000
予 備 金
510,000
1募金額収支決算報告(昭和37年3月31日現在)
収.入募金総額9,133,958円i
預金利息155,073
計9,289,031
支出記念碑建設費122,260,
記念出版一部負担金306,280,
募金事務諸経費.217.611I
計 6 4 6 , 1 5 1
汗
|
‘
3
,
1
7
3
,
0
0
0
1
(2)測量指導部特別会計
収 入
金 額
要
│
−
鯉
.
5
2
0
.
0
0
0
1
計
(
3
,
7
3
9
,
0
0
0
)
(201,00町
│
摘
臨識事業費’14,520,000円 映画製作事業
(
1
1
,
1
9
4
,
0
0
0
)
広告手数量
項 . 目
目 金 額
項
24,333,000
その他支出
合
要
園
’ 金額|滴
臨
時
事
業
収
入
|
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製
,
5
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,
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事
業
周
一
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4
,
5
2
0
,
0
0
0
1
項
目|金額|摘
人 件 養
運 営 餐
財 産 費
還 元 費
事 業 費
図書出版費
斡旋事業費
受託事業費
計
’
5
6
,
2
6
5
,
0
0
0
1
(3)臨時事業特別会計
(100,000)
支 出
項
’
〃
摘
薙引残額8,642,880’
婆
2記念事業
事業収入
へ堅さ
へま
ー
検訂事業収入
図化事業収入
撮影事業収入
写真事業収入
判読資料作成
56,165,000円
(1)記念造林
(
7
,
8
8
0
,
0
0
0
)
熱海市泉国有林に部分林(18.67ha)を設定,昭和36
(
6
,
5
0
0
,
0
0
0
)
年度より3カ年計画をもって実施中
(2)記念碑「職場の礎石」
昭和36年6月22日除幕式を挙行
(
8
,
0
0
0
,
0
0
0
)
(
2
4
,
1
3
5
,
0
0
0
)
(650,000)
(3)記念出版
収 入
斡旋事業収入
その他収入
合
100,000
預金利息及び雑入
(4)記念映画
計
’
5
6
,
2
6
5
,
0
0
0
1
支 出
項
目|金額|摘
人 件 費
9,901,000円
運 営 費
財 産 費
研究調査費
4,000,000
事 業 費
作 業 養
外注事業費
付)「林業先人伝」昭和37年3月出版
㈲「私たちの森林」改訂版昭和37年5月出版
(9,000,00⑳
要
映画同上海道の国有林」(仮称)を記念事業として追
加実施する。
(5)林業技術センターの建設
次の案により実施し,目下設計進行中であって,本
年度内に完成の見込み
4,9129000
施設喪. 備品饗
救地・森林記念館敷地内
構造,規模・鉄筋コンクリ・一ト3階建延約45坪
230,000
31,880,000円
工費・約700万円
(7,130,00①
(
1
6
,
8
0
0
,
0
0
⑩
残額約164万円は内部施設,調度,資料の敷備に充
当する。
− 4 1 −
”
最高の権威・最大の内容。未曾有の大著
U 皿 ∼ 壁 ■ 申 … 全 一 椀 1 − 齢 一 … ● も ■ 湾 内 寺 R ー 一
日林協編集
==〒=毎ご理・営5ボー一司宅章理?七口,唾恥*凡
一 一 一 句 = 雪 … 雪 一 一 一 画 一 回 一 一 一 ワ ー
林業百科事典
一
丸善刊行
=E…』一千n画"…・U
一
写
林業のすべて一行政・経済・科学。技術一一を一冊に網羅
日林協が30周年の記念事業として6年の歳月と数百万円の資金を投入して遂に完成
全国200名に及ぶ林業各部門の専門家が分担執筆
け
、
、
、
シ
皇
学究者,教育者林業技術者普及員等はもちろん,およそ林業に
関係のある人は,この一冊を備えなければ大きな損失でし襲う。
B5版上製本約1,100頁
定価]冊3,500円(送料実費)
写真692葉,図版2,712枚
東京都千代田区六番町7珪更日本林業技術協会
ー
清二(岐阜県)飯村武僻奈川駒三浦長一(旭川営林
局)金沢深(前橋営林局)曽我部義(愛媛県)福家一夫
会 務 報 告
(高知営林励臼井茂(東京営林局)鍋島清幸(熊本営
4◇第3回編集委員会
林局)小関隆棋眺海道大学)
松川理事長,松原専務理事,成松常務理事,林職員,
5月31日午後2時から本会和室会議室で開催。
’出席者:倉沢,岩崎,石崎の各委員と本会から橋谷,
八木沢,武田。
6月13日午前10時から全国町村会館6階会議室で開催
5月18日午後1時30分から本会和室会議室で,昭和38
隼版林業手帖の編集方針について打合わせを行なった。
出席者:猪瀬,倉沢,石崎,辻,湯本の各委員と本会
・から松原,橋谷,八木沢,武田。
した。
出席者:検瀬木村,池田の各常務理事,松形,大友
右田,飯島,吉田,尾ケ井,立石,佐藤の各理事と栂ll
理事長,松原専務理事,成松常務理事。
●第3回常務理事会
6月7日本会和室会議室で開催。
出席者:検瀬,鈴木、池田,木村,遠藤,大久保の各
昭和37年7月10日発行
林業技術第2“号
常務理事と本会から松川,松原,成松。
編 集 発 行 人 松 原 茂
◇支部幹事打合わせ会
印刷所大日本印刷株式会社
6月12日午後3時から,本会和室会議室で各支部の事
務担当者の打合わせ会を行なった。
発行所
出席者:入月貞夫(東京都)多田正三(京都獅茂木
栄鰻野営林局)長岐昭男晴森営林局)佐藤与吉飢
幌営林局)上沢軍次(福島県)堀部有三(岐阜県)宮沢
−−−42−−
ー
一
◇第1回理事会
◇臨時編集委員会
謙
久保田職員,藤田職員,成沢職員。.
社団法人日本林業技術協会
東京都千代田区六番町七番地
電話(331)42j4,4215(272)0066,0071
振替頭京60448帯
二
霊
1
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(8.1馬力)
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36
34
33
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全国森林組合連合
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日本モノ株式
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一一︾榊
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3
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,︾輌大
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鱒窯罵蕊襄意蕊一
福岡支店福岡市上蠅町11雌稲岡③2289.6669松山出張所松山市河原町8竃松山3964・
「 3 ノ 8 7
広島支店広脇市西引御錘80睡広脇寧954.3178宮崎出張所宮崎.市江平町3ノ87
1ノ354電④5830
東京麦虐準京都中央区趣nil"1"(55r)7664∼5熊本出張所熊本市春竹町春竹1ノ3
54竃④5830
遡
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索道機械一式工事引請
索道建設登録業者
興国鋼線索株式会社
関西金属製綱株式会社
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ライトニング型8馬力17.21.25.33吋4種類スチールフアルコン型6馬力17.21吋2種類
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⑳ 関東総代理店東京林業索道株式会社
東京都中央区越前堀2の4
電話(551)2523.4978.5588
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発電容量
山間僻地・照明用と
無線機電源用に./
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③ 共和機器枕式會祗
電話(644)2.246(代)∼8
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東京都江東区深川千石町1−3
内陛融?恥叡闇畷罰圏閣馴鬮詞畦騨頂門Ⅲ岬︲1Ⅲ叫馴
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外大型各種
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500W1KW1.5KW
定電圧装置付
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一丁一一=一三万万五=壷一言一一=÷テーェ=ご一‐雪稗理一L…=雪2塁
1
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蝋 裁測篇 器
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改良Z型はポケットに入れられる
ほど小型で堅牢になり、距離の測
定装置の改良、振子遊動ボタン、
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振子停止ボタン等も取付け完成型
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松 岡 産 業 株 式
会 社
本 社 東 京 都 港 区 芝 田 村 町 5 の 1 6 電 話 東 京 (501)7505
エ 場 高 崎 市 堰 代 町 1 1 電 話 高 崎 (2)4705
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・・・ブナ丸太の防腐
…松丸太の青変防止
三井化学工業株式会柵
製造.元
(説明書送呈)
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農林省登録番号第3267号
、
東京都中央区日本橘室町2ノュ(三井西3号館208号〉
電話日本橘〈241)719.720.3831.3966.5067
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森林害虫を煙で
駆除する殺虫煉煙剤.ノ
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『翻鮴戸測」
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’
、
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鐙
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乾板・地図写真。地籍
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秒日
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・
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現代林業研究会
一八○頁・図七一枚
定価三八○円〒八円
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米国最大のエンジンメーカーが
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林木の生理
銅林業害虫防除論︵上︶
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休業害虫防除論︵下二 井上沁川細
林業会計入門
半田良一知
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林業地代論入門
木材価格論
日本林業発展史 磯越昭治伽
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輌林価算法及較利学 吉田正騨鴎
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松島良雄伽
調林政学概要
林業経済学
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林政学をまなぶ学徒にとって
も、実際に林野行政・林業技
術研究にたずさわるものにと
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森林航測概要 中胤厳知
森林測定法
森林測戯学
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東京営案所東京都千代田区神田豊島町1"(866)2196
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発売元日調実業株式会社
っても林業経済条件を総合的
にながめることは必要である
関係者の必読の鱒
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南洋材の知識
砂防工学新諭
林業金融入門
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東京都港区赤坂一ツ木町31
図説
需給/林産物の利用/公共事
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ガイドブック
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紫材生産編
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森林物理学
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あらゆる木寄集材と"エ場作
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