研究期間:平成7~27年度(継続) 研究区分:経常研究 建築材料の耐久性に関する調査 光沢度保持率(%) 120 長期にわたり良好な状態で使用できる優良な建物 の普及促進に向けて、長寿命化や維持保全技術の評価 方法の確立が求められています。本研究では、その年 代における主要な建材を取り上げて屋外暴露試験な らびに促進試験を行い、耐久性に関するデータを収集 するとともに暴露試験と促進試験との対応関係を確 立することを目的とし、これまで窯業系サイディング や外断熱用外装材、窯業系サイディング用シーリング 材、屋根用・外壁用金属材料について試験を行ってき ました。ここでは、屋根用・外壁用金属材料の耐久性 について、屋外暴露試験 6 年経過後の劣化状況と促進 耐候性試験の結果について報告します。 ポリエステル 100 フッ素 80 旭川 札幌 留萌 北斗 陸別 60 40 20 0 高耐候アクリル 01234567 01234567 01234567 暴露年数(年) 光沢度保持率(%) 120 ポリエステル 100 80 60 40 20 フッ素 高耐候アクリル 0 0 図1 2000 0 2000 0 キセノン照射時間(時間) 2000 暴露試験と促進試験における塗膜の光沢度保持率 キセノン照射時間(h) この研究では、亜鉛-55%アルミ合金めっき塗装 2,500 色差 鋼板(GL:ガルバリウム鋼板)を主な試験対象とし、 2,000 光沢度保持率 y = 274x 1,500 塗装溶融亜鉛めっき鋼板(Zn)や亜鉛-5%アルミ合 1,000 金めっき塗装鋼板(SZ) 、高耐久塗装鋼板(SD) 、塗 500 y = 306x 装アルミ合金板を加えました。塗装の種類は、一般的な 0 ポリエステルとフッ素、高耐候アクリルです。屋外暴 0 1 2 3 4 5 6 7 0 1 2 3 4 5 6 7 暴露年数(年) 暴露年数(年) 露試験は、旭川、札幌、留萌、北斗、陸別の5カ所で 図2 塗膜の耐候性に関する暴露年数とキセノン照射時間の関係 行っています。暴露方法は、南面 30 度の傾斜暴露と 雨掛りのない下向き暴露で、外観変化、色調・光沢、 質量変化を測定しています。また、促進試験はキセノ ンアークランプ式促進耐候性試験 300 時間と塩乾湿 複合サイクル試験(塩水噴霧、湿潤、高温)56サイ クルの組み合わせを1セットとして行っています。 Zn 鋼板(308 サイクル) GL 鋼板(1148 サイクル) SD 鋼板(588 サイクル) 写真1 塩乾湿複合サイクル試験における無塗装鋼板の腐食状況 暴露試験体の外観観察ではいずれの試験体にも明瞭な塗膜の膨れや腐食の兆候などは見られません が、ポリエステル塗装や高耐候アクリル塗装に光沢や色調の変化が見られます。フッ素塗装には変化 は見られません。光沢度と色差の測定結果から、現時点で暴露試験と促進試験(キセノン)を比較す ると、概ね促進試験 300 時間が暴露 1 年に相当する結果となっています。 無塗装鋼板についての塩乾湿複合サイクル試験では、亜鉛めっき鋼板と高耐久塗装鋼板、亜鉛-55% アルミ合金めっき鋼板の腐食速度は、概ね1:2:3(以上)となっています。 今後、暴露試験および促進試験を継続し、劣化状況の測定を行う予定です。 北方建築総合研究所 環境科学部構法材料グループ 共同研究機関 なし 59
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