2015年度 居住環境デザイン 『第一章 近代の建築』 澤田研究室 修士 2 年 牟田 万里奈 修士 1 年 高橋 昇平 学部 4 年 柳 直登 環境と向き合うとは ■はじめに フランク・ロイド・ライト 落水荘 建築設計を学びはじめたころ、手つかず 渓谷に沿って木々が生い茂り、美しい滝 の自然や、美しい風景のなかに建築を建て が流れる上に建築が置かれている。大きな ることで、すでにある理想的な環境を壊し 外部空間が環境を受け入れ、ちらちら揺れ てしまうのではないかと思ったことはない る森の木漏れ日や水のせせらぎに対する人 だろうか。しかし優れた建築行為は、時代を の意識を高めることで、常に変化を意識さ 超えて幾度もその課題を乗り越え、建築を せるものになっている。 取り巻く環境と有意義な関係を築いてきた。 ここでは近代建築を取り上げて、どのよ 近代建築を配置図から紐解くと、建築とそれ うに環境と応答しながら建築設計が行われ を取巻く周辺環境が常に応答することで、人々 てきたのかを見ていきたい。 の生活空間が成り立っていることが分かった。 つまり、近代建築は環境を人間の意識的感 ■図面から読み取る環境 配置図とは「周囲のものの存在を認め、それらと 覚と結びつける手法を確立していったので ある。だからこそ、いつの時代も親しまれる の関係の中で自らを定位し、関係を築こうと試み 空間を実現することが出来たのではないか。 ることが配置するという行為である。」 ■おわりに (サイト 建築の配置図集より) 図面を読み解いていくことで環境との応 建築行為とは、人々の生活における営みを周 囲の環境と結びつけることである。建築設計者 答、建築家の意思を明らかにできると考え は、流動的に変化する環境と、人々が快適に暮 た。今回は図面から読み取れることができ らす居住空間との調和をはからなければならな る敷地の周辺環境と建築空間、形との関係 い。 を見て考察していく。 ※別紙参照 "環境と向きあうこと" ■考察 ル・コルビュジエ それは、建築を取巻く多様な環境情報を捉え、 サヴォア邸 この建築は近代の五原則の考えを基本と そこで生活する人々のふるまい、生活そのもの をデザインすることである。 してつくられたものである。空間の要素を 分解しながら、環境と空間を結び付けるこ ※参考文献 とで良質さを演出し、シームレスに建築の 「テキスト建築意匠」-平尾和洋・末包伸吾 要素一つ一つの統合を行いながら建築の全 「図説 体像を作り上げている。 「サイト 建築の配置図集」-松岡聡・田村祐希 建築の歴史」-西田雅嗣・矢ヶ崎太郎
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