自動車の軽量化と衝突安全性向上の ための高張力

自動車の軽量化と衝突安全性向上の
ための高張力鋼板のプレス成形技術
1.高張力鋼板
2.スプリングバック
豊橋技術科学大学 森謙一郎
3.伸びフランジ
4.割れ
5.焼付き
6.しわ
7.ホットスタンピング
1) 高張力鋼板の冷間プレス成形
2) ホットスタンピング
自動車用板材の比較
自動車の重量構成
板材
その他 26%
エンジン
12%
シート 4%
ホイール,ハブ
燃料タンク
4%
4%
比 比強度
重
7.8 126~
188MPa
7.8 63~
101MPa
7.8 44MPa
2.7 115MPa
パワートレイン
サスペンション
7%
7%
自動車車体への高張力鋼板の適用
1.高張力鋼板
スバルレガシィ
材料比率
ハイテン
36.4%
スチール
46%
2.スプリングバック
3.伸びフランジ
4.割れ
5.焼付き
ウルトラハイテン
12.8%
コスト(1kg 生産量
当り)
100円程 鉄:12億
度
ton
ウルトラハイテ 980~
ン
1470MPa
従来ハイテン
490~
790MPa
軟鋼板 SPCC 340MPa
アルミ合金板
310MPa
500円~
A6061(T6処理)
600円
マグネシウム
270MPa
1.8 137MPa 3000円程
合金板 AZ31
度
PAN系炭素繊 2000MPa~ 1.6
2000円程
維
5000MPa
度
車体
30%
窓ガラス 3%
タイヤ 3%
引張強さ
アルミ
4.8%
トヨタ クラウン,骨格部
材の45%が高張力鋼板
骨格部材:36%
6.しわ
7.ホットスタンピング
アルミ:
3400万ton
マグネ:60
万ton
炭素繊維:
2万ton
超高張力鋼板のスプリングバック
超高張力鋼板の形状凍結性
超高張力鋼板
σ
角度変化
スプリングバック:大
形状凍結性:低
負荷
普通鋼板
ねじれ
ε
引張り
圧縮
弾性回復
圧縮
除荷
壁そり
稜線そり
引張り
高張力鋼板の曲げにおけるスプリングバック
有限要素シミュレーションを用いた
スプリングバックを考慮した金型形状の修正
FEMシミュレーション
SPCC, 440, 590, 780, 980, 1180MPa
製品との差
NG
金型形状の修正
OK
パンチ形状
(a) シミュレー
ション結果
しわ押え力制御によるスプリングバックの防止
(b) 1回目修正
(c) 2回目修正
鈴木工業㈱
フォーム成形によるスプリングバックの防止
(a) 絞り成形
(b) フォーム成形
プレス成形におけるフランジ割れ
1.高張力鋼板
曲げ
せん断
2.スプリングバック
板材
3.伸びフランジ
引張り
せん断切り口面
4.割れ
5.焼付き
フランジ割れ
6.しわ
7.ホットスタンピング
780MPa級 プレス成形部品
フランジ割れ
板材端部で発生する
引張応力による割れ
部分逐次接触パンチによる
伸びフランジ成形性の向上
平坦
17.2
実験における部分逐次接触パンチによる
最大製品高さの向上
W/W0=0.2, =45o
(a) JSC980Y
引張低減
(b) 逐次接触パンチ
平坦
傾斜角度45o
W/W0=0.2, =45o
(b) JSC1180Y
1.高張力鋼板
各種鋼板の深絞り成形性
50
2.スプリングバック
4.割れ
5.焼付き
6.しわ
7.ホットスタンピング
40
伸び /%
3.伸びフランジ
13.7
o
傾斜角度10
18.0
(a) 平坦パンチ
21.9
引張集中
30
20
10
0
200 400 600 800 10001200
引張強さ /MPa
(a) 270 MPa, 55 mm (b) 590 MPa, 40 mm (c) 980 MPa, 25mm
各種鋼板の成形限界線
1.高張力鋼板
2.スプリングバック
390MPa
440MPa
490MPa
3.伸びフランジ
4.割れ
290MPa
790MPa
5.焼付き
6.しわ
7.ホットスタンピング
各種コーティングにおける摩擦係数
焼付き性
焼付き
0.8
ダイスの肉盛り
窒化
チッピング
摩擦係数
0.6
補修時間
金型補修時間,センターピラー
590MPa
980MPa
RL
1mm
RL
RL
0.4
CVD
TiC
0.2
RL
RL
RL
a
RL
b
RL
c
RL
0
RL
e
d
1000
月
しごき絞り加工後のダイスR部表面性状
(SPFC1180YN ,v=8.3mm/s,r=15%)
2.スプリングバック
R部
3.伸びフランジ
焼付き
なし
TiN(CVD)
2500HV
TiN(PVD)
3000HV
VC
2700HV
4.割れ
焼付き
(a) コーティングなし
コーティング
(b) TiN(CVD)
0.03
0.19
0.43
0.06
0.84
0.02
0.12
5.焼付き
6.しわ
平均高さ 最大高さ
/μmRa /μmRz
0.03
3000
2000
硬さ /HV
1.高張力鋼板
観察位置
ダイス
PVD PVD
TiN TiAlN
PVD
CrN
7.ホットスタンピング
5mm
焼付き
(c) TiN(PVD)
(d) VC
4000
各種鋼板のプレス成形におけるしわ
(a) 270 MPa
(b) 590 MPa
プレス成形におけるしわの予測
(c) 980 MPa
(a) 実験
しわと割れ
(b) シミュレーション
1.高張力鋼板
2.スプリングバック
3.伸びフランジ
4.割れ
5.焼付き
6.しわ
7.ホットスタンピング
板厚1.2mmにおけるフォーム成形の
スプリングバック
ホットスタンピング
下死点保持
トリミング,
穴抜き
冷間プレス成形
590MPa
780MPa
板材
加熱
プレス成形
後加工
980MP
1180MP
ホットスタンピング
22MnB5
ホットスタンピングにおける
ダイクエンチによる硬さの上昇
AP&T社のホットスタンピング
600
硬さ /HV20
500
400
300
素板
金型急冷
による焼
入れ,
1.5GPa級
200
100
0
700
硬さ測定部
750
800 850
加熱温度 /℃
900
ドイツ ベンテラー社における
ホットスタンピング成形品
フォルクスワーゲン,パサート
フォルクスワーゲン パサート,骨格
部材の16%が熱間プレス成形
ホンダN BOXのセンターピラー
トヨタにおけるホットスタンピングの適用
プリウス(2009年)
室外
レクサスIS
室内
超高強度スティフナー
ホットスタンピングの長所
Parts per year (in millions)
ホットスタンピング成形品の生産量
550
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
450 million
per year
(2013)
3 million
per year
(1987)
8 million
per year
(1997)
1987
1997
95 million
per year
(2007)
142 lines in 2011,
around the world
Year
2007 ’08
’09 ’10
’11

成形荷重低下

スプリングバックなし

成形性増加

1.5GPa級成形品
’12 ’13
Ref: Hund 2011, Belanger 2011.
980 ºCにおける通電加熱ハット曲げ成形
現行熱間プレス成形の問題点
高額な設備
低い生産性
狭い適用範囲
油圧プレス
1段成形
下死点保持
強大な加熱炉
長い加熱時間
高価な板材
酸化防止材
板材
加熱
プレス成形
レーザー
加工
自動車の
骨格部材
後加工
適用範囲
電極
連続通電加熱ホットスタンピング
通電加熱ホットスタンピング成形品
(a) 高温炉加熱
成形品排出装置
板材投入部
成形型
板材搬送装置
銅電極
(b) 通電加熱
板材搬送
通電加熱, 成形+ダイクエンチ
材料取出し
現状ホットスタンピング
ホットスタンピング装置の実用化
プレス成形+ レーザ切断
ダイクエンチ
現状板鍛造
炉加熱
板材
曲げ
大型部品
穴抜き
トリム
多工程プレス成形
窒化, 浸炭焼入れ 中・小型部品
1ショットホットスタンピング
電流
急速通電加熱
プレス機械メーカーとの共同開発:㈱アミノ
1ショットホットスタンピング
増肉・穴開け
パンチ
カウンター
パンチ
1ショットプレス
+ダイクエンチ
中・小部品
1ショットホットスタンピング
電極押え
板材
銅電極
プレート
ホットスタンピングによるビード加工
をされた自動車シート用部品
200
B’
(a) 正面
(c) B-B’断面
成形荷重 /kN
10.5
B
450HV
500
165kN
150
230HV
100
(b) 側面
5.2
2.6
300
200
50
100
19kN
34
400
0
熱間加工
冷間加工
0
成形品ビッカース硬さ /HV20
ビード部の成形荷重とビッカース硬さ
部分通電加熱を用いたギア部品の
順送ホットスタンピング
局部通電加熱打抜き
現状板鍛造, 順送成形
穴あけ トリミング
打抜き
パンチ
焼入れ
穴あけ
トリミング
歯の打抜き
通電加熱 ダイクエンチ
電極
板押え
ダイス
焼入れ工程省略,
部分加熱
試験片
電極
成形されたギア部品
スマートホットスタンピングの開発
通電加熱+サーボプレス
•
•
•
コンパクトな装置
低コスト
高生産性
(a) 正面図
課題:矩形板材,安定加熱,加熱と成形サイク
ル,金型,冷却,潤滑,後加工,強度と遅れ破
壊,酸化防止,チタン,アルミニウム
(b) ギア部