CANoe/CANalyzer Ver.7.6 クイックマニュアル

Ver7.6 クイック マニュアル
ベクター・ジャパン株式会社
〒140-0002 東京都品川区東品川 2-2-20
天王洲郵船ビル 16F
TEL: 03-5769-7800 (代) FAX: 03-5769-6975
http://www.vector-japan.co.jp/
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このマニュアルに記載されている情報およびデータは予告なく変更される場合があります。このマニュアルのいかなる部分も、方法や
電子的または機械的手段にかかわらず、発行者からの書面による許可なく、いかなるかたちでも複製することはできません。技術的
情報、図面など、すべて著作権保護法の対象です。
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目次
1 はじめに ........................................................................................3
2 モニタリングに必要なもの ...................................................................3
3 デモを用いた通信チェック ...................................................................4
3.1 ハードウェアの接続 ......................................................................4
3.2 デモ用ファイルの読み込み .............................................................5
3.3 ハードウェア 設定 ........................................................................5
3.4 作業モードの設定 (CANoe のみ)...................................................8
3.5 デモの実行 ................................................................................9
4 測定 および 機能の設定 ................................................................... 10
4.1 ハードウェアの接続 .................................................................... 10
4.2 コンフィギュレーションの作成 ........................................................ 10
4.3 チャンネル数の設定 ................................................................... 11
4.4 ハードウェア設定 ....................................................................... 12
4.5 dbc ファイルの割り当て ............................................................... 14
4.6 測定設定 ................................................................................ 16
4.6.1 機能ブロック ....................................................................... 17
4.6.1.1 チャンネルフィルター ................................................... 18
4.6.1.2 イベントフィルター ....................................................... 19
4.6.1.3 変数フィルター ........................................................... 25
4.6.1.4 トリガーブロック ......................................................... 26
4.6.1.5 プログラムノード ......................................................... 30
4.6.2 各種 Window や ログ ブロック の 設定 ...................................... 31
4.6.2.1 トレース window ........................................................ 32
4.6.2.2 データ window .......................................................... 34
4.6.2.3 グラフィック window .................................................... 35
4.6.2.4 CAN Statistics window ............................................. 36
4.6.2.5 バス統計 window ...................................................... 37
4.6.2.6 ステートトラッカー window ............................................ 38
4.6.2.7 ログブロック window................................................... 40
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1
4.7 シミュレーション用のノードの配置・設定 ............................................ 41
4.7.1 CANoe の場合 ................................................................... 41
4.7.2 CANalyzer の場合 .............................................................. 42
4.7.3 ノードの設定 ....................................................................... 43
4.8 ビジュアルシーケンサー............................................................... 46
5 補足 ........................................................................................... 49
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2
1
はじめに
CANoe/CANalyzer は、CAN 通信等のモニタリング・シミュレーションツールです。
本書は、CANoe/CANalyzer を初めて導入しようとする方が、モニタリング・シミュレーションを
行うまでの手順をまとめたものです。
また、本書では CAN 通信を前提として説明しておりますが、他のプロトコルにおいても同様の
手順でモニタリング・シミュレーションして頂くことが可能です。
2
モニタリングに必要なもの
ネットワークのモニタリング・シミュレーションを行なうためには、以下の製品が必要となります。
(1) CANoe/CANalyzer を インストールしたパソコン
(2) インターフェイスドライバをインストールしたパソコン
(3) CANoe/CANalyzer のライセンス
(4) インターフェイス
弊社製品の一例となります。その他にも「PCIe」「ExpressCard54」などがあります。
A.
C a r d タ イ プ : C A N c a r d XL + C A N c a b ( P C M C I A 接 続 )
B.
USB タイプ:CANcaseXL + CANpiggy (USB 接続)
ECU
C.
B o a r d タ イ プ : C A N b o a r d XL + C A N p i g g y ( P C I 接 続 )
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3
デモを用いた通信チェック
3
デモ用コンフィギュレーションファイルを用いて通信チェックを行います。
これにより、接続機器のハードウェアに問題が無いことを確認します。
3.1
ハードウェアの接続
高速 CAN(CANcab/piggy 251/1050/1041)の場合の接続例です。
ループ接続には、CANcable1(抵抗入り)を使用します。
【必要な製品】
CANcab/piggy : ループ接続するため、2 つ必要です。
CANcable 1 : 高速 CAN 用に 120Ωの抵抗が装着されています。
CANcable 0 : 低速/Single Wire CAN 用に抵抗が装着されておりません。
A.
CANcardXL の接続例
CANcab
CANcable 1
CANcardXL
B.
CANcaseXL の接続例
CANpiggy
USB ケーブル
CANcable 1
CANcaseXL
C.
C A N b o a r d XL の 接 続 例
CANpiggy
CANcable 1
CANboardXL
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4
3.2
デモ用ファイルの読み込み
動作確認用のコンフィギュレーションファイルを読み込みます。
(x.x には、お使いのバージョンとなります 例: CANoe 7.6 など)
【CANoe の場合】
スタート → すべてのプログラム → CANoe x.x → Demos → CANoe.CAN – Easy
【CANalyzer の場合】
スタート → すべてのプログラム → CANalyzer x.x → Demos → CANalyzer.CAN – Easy
3.3
ハ ードウェア 設定
CANoe/CANalyzer から、使用するハードウェアの割り当てを行う必要があります。
今回は、2 チャンネル使用するための設定を行います。
(1) ネットワークハードウェア画面の表示
CANoe/CANalyzer のメインメニューから[設定] – [ネットワークハードウェア設定]を
選択します。
(2) Vector Hardware Config の呼び出し
ネットワークハードウェア設定 Window 上の 「ドライバ」 ボタンをクリックします。
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5
(3) Vector Hardware Config の設定
インストールされているハードウェアのドライバ一覧が表示されます。
① 正常にハードウェアが認識されている場合、シリアル番号が表示されます。
② 未接続のハードウェアや認識できていない場合は、進入禁止マークが表示されます。
①
②
用語解説Ⅰ
「Vector Hardware Config」 とは?
「Vector Hardware Cofig」とは、Vector 製インターフェイスのドライバをインストールすることで
同時にインストールされ、CANoe/CANalyzer などのアプリケーションと CANcardXL などのイン
ターフェイスドライバ間で仲介的役割をします。
インターフェイス
アプリケーション
Vector
Hardw are
Config
CANoe/CANalyzer で測定を行うためには、Vector Hardware Config で「アプリケーションの
割り付け設定(※1)」 が行われていないと測定ができません。
(※1 アプリケーションの割り付け方法については次頁でご説明します)
そのほかにも、インターフェイスやチャンネル数の変更、CAN/LIN/FlexRay の追加など、環境を
変更した場合に再設定をする必要があります。
「Vector Hardware Config」 は、Windows のコントロールパネルから 「Vector Hardware」
アイコンを ダブルクリックしても同様に設定が可能です。
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6
(4) Application channel の確認
ここでは、デモを実行するために 「CANoe/CANalyzer を CANcardXL のチャンネル 1、2
を使用する」ための設定を行います。その他インターフェイスを使用する場合にも操作は同様
ですので、ご使用インターフェイスに読み替えて下さい。
①
Application の "+” を展開し、CANoe または CANalyzer を選択します。
②
右の window に「Application CAN channels」が “2” であることを確認します。
②
①
③
チャンネル数が違う場合は、Application CAN channels の上で右クリックし、
[Modify] を選択し、表示された Edit Value ダイアログの値を “2” と変更します。
③
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7
(5) Application の割り付け
CAN1、CAN2 を選択し、使用するチャンネルを設定します。
①
CANoe または CANalyzer を選択します。
②
CAN1 を右クリックし、割り当てるインターフェイスを設定します。
次に、CAN1 に割り当てるインターフェイスのチャンネルを設定します。
③
CAN2 に関しても、CAN1 と同様の操作を行ないます。
②
③
①
設定完成図
3.4
作 業モードの設定 ( CANoe のみ)
CANoe では、作業モードを選択できる機能があります。
これを使用することにより、作成した環境の動作チェックを行うことができます。
(例:CAPL プログラムが設定された周期や値で出力されているか、など)
今回はハードウェア動作チェックのため、ツールバー上で作業モードを「実バス」に設定します。
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8
3.5
①
デモの実行
ツールバー上の測定開始ボタンをクリックします。
メインメニューの下にあるアイコンをクリックすると、測定の開始/停止となります。
また、F9 キーで 「開始」、Esc キーで 「停止」 となります。
開始ボタン
停止ボタン
or
or
F9 キー
ESC キー
トレース Window にタイムスタンプが表示され、更新されていれば通信チェックは成功です。
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9
測定 および 機能の設定
4
ここからは、実 ECU に対して CANoe/CANalyzer を接続し、CAN メッセージの送受信を行う設
定や各機能(トレースやグラフィックなど)について紹介します。
4.1
ハードウェアの接続
インターフェイスの CH1(チャンネル 1)のみを使った通信についての説明となります。
ECU3
ECU4
ECU1
ECU2
CANcardXL
4.2
コンフ ィギュ レーションの 作成
ここでは、CANoe/CANalyzer のコンフィグレーションを選択します。
(1)
メインメニューの操作
メインメニューの[ファイル] – [新規コンフィギュレーション] を選択して下さい。
(2)
テンプレート ダイアログ の操作
[テンプレート] ダイアログから、” CAN_500kBaud ”を 選択します。
(ターゲットの通信速度が異なる場合には、後からハードウェア設定で変更できます。)
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10
4.3
チャンネル数の設定
ここでは、CANoe/CANalyzer で使用するチャンネル数を設定します。(1ch となります)
(1)
オプションの選択
メインメニューの[設定] – [オプション]を選択します。
(2)
チャンネル数の設定
[コンフィギュレーションの設定] – [チャンネルの利用状況] を選択し、CAN の
チャンネル数を ”1” に設定し [OK] を押下します。
※ 複数チャンネルを使用する場合は、使用するチャンネル数を入力して下さい。
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11
ハ ードウェア設定
4.4
測定するボーレートやサンプリングポイントを設定します。
(1)
ネットワークハードウェア設定の呼び出し
メインメニューの[設定] - [ネットワークハードウェア設定] を選択します。
(2)
ボーレートの設定
ネットワークハードウェア設定 Window の左側[CAN1]の+を展開し、[設定]を選択します。
①
ボーレートをターゲットの通信速度に設定します。
②
ボーレート選択後、バスタイミングレジスタ 0,1 を設定します。
または、”サンプリングポイント”、”BTL 周期”、”SJW” を一覧から選択します。
表に設定値がない場合は、近似値を選択してください。
③
「肯定レスポンス オン」の設定をします。
③
①
②
②
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12
用語解説Ⅱ
「肯定レスポンス オン」 とは?
CAN プロトコルの「Acknowledge」(Ack)のことです。CAN の仕様では、CAN コントローラーがメッセ
ージを正しく受信した場合に「Ack スロット」にドミナントを上書きします。
■ 肯定レスポンス オフ
受信のみ(モニタリング)の環境となり、「Ack スロット」への上書きは行われないため、バスに影響
を与えません。受信のみとなり、メッセージの送信はできません。
■ 肯定レスポンス オン
送受信が可能な設定となります。CANoe/CANalyzer は 1 ノードとして扱われるため、各 ECU が
送信したメッセージの「Ack スロット」へ上書きが行われます。
(3)
アクセプタンスフィルターの設定
①
「すべてブロック」のチェックを外します。
コードとマスクの設定により、指定 ID をブロックすることができます。
コードとマスクについて
コードとマスクにより、受信する ID を設定することができます。
0 = dominant, 1 = recessive, × = don’t care
ID
×
×
1
×
1
1
1
×
1
1
0
コード
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
0
マスク
0
0
1
0
1
1
1
0
1
1
1
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13
dbc ファイルの割り当て
4.5
dbc ファイル(データベース)を割り当てなくてもメッセージの内容を見ることは可能です。
その場合、受信した CAN メッセージの ID やデータが数字のみで表示される為、
何を意味するものかは全くわかりません。
dbc ファイルを割り当てることで、ID やデータをシンボリックに表示されるようになります。
(1) CANoe の場合
①
メインメニューの [ビュー] – [シミュレーション設定] を選択します。
②
[データベース] を右クリックして、[追加] を選択します。
ファイルを開く Window から、目的の dbc ファイルを選択して [開く] を押下します。
CANdb ファイルを選択します
③
下図のように、選択した dbc ファイルが追加されます。
追加された
データベースファイル
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( 2 ) C A N a l yz e r の 場 合
①
メインメニューの [ファイル] – [データベースを関連付け ]を選択します。
②
データベース管理 window から、[チャンネル 1] を右クリックし、[追加] を押下します。
③
目的の dbc ファイルを選択して [開く] を押下します。
CANdb ファイルを選択します
④
下図のように、選択した dbc ファイルが追加されたことを確認後、OK で閉じます。
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15
4.6
測 定設定
メインメニューの[ビュー] – [測定設定] を選択すると、測定設定 Window が表示されます。
メッセージを受信すると、下図の赤矢印のようにデータが流れ、各評価ブロックに情報が
表示されます。
下図は CANalyzer の測定設定 Window ですが、CANoe も基本的な流れは同様です。
評価ブロック
また、下図のように 同種 Window の複数作成や、フィルター、トリガー、プログラムノードを置く
ことができます。
プログラムノード
複数のトレース Window
イベントフィルター
を作成した例
チャンネルフィルター
トリガー
ホットスポット
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16
4.6.1
機能ブロック
ホットスポットには、機能ブロックを追加することができます。これらを使用することにより、
特定のメッセージのみを表示するなど、解析用途に便利な機能となっています。
■機能ブロックの挿入操作
データを制御したい Window の前に、所定のフィルターやトリガーやノードを挿入します。
①
挿入したい“ホットスポット”を右クリックします。
右クリック
②
挿入すべき項目を選択します。
4.5.1.5
4.6.1.1
4.6.1.2
4.6.1.3
4.6.1.4
③
プログラム CAPL ノード
チャンネルフィルター
イベントフィルター
変数フィルター
トリガーブロック
下図のように挿入が完了します。
チャンネルフィルター
9
用語解説Ⅲ
「ホットスポット」 とは?
評価ブロックの前にあるホットスポット(■)は、
ダブルクリックする度に アクティブ/非アクティブ に切り替わります。
ホットスポットが切り離されている場合、
後段にデータが行かない
(= 記録されない)
ログが記録されない
ログが記録される
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4.6.1.1 チャンネルフィルター
複数のチャンネルを使用している場合、全てのチャンネル情報が表示されます。
チャンネルフィルターを使用することで、特定のチャンネルのみを表示することが可能です。
特にトレース window で活用する機能です。
①
ホットスポットを右クリックし、[チャンネルフィルターを挿入] を選択します。
②
チャンネルフィルター上で右クリックし、[設定] を選択します。
③
チャンネルを選択し、「通過」 か 「ブロック」 をクリックします。
※
「全て通過」、「全てブロック」 をクリックすると、全チャンネルが通過もしくは
ブロックの設定になります。
④
OK ボタンをクリックします。
③の例では、CAN01 は「通過」となり、CAN02 は「ブロック」となります。
CAN01
CAN02
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4.6.1.2 イベントフィルター
特定のメッセージやノード単位でのフィルター設定を行うことができます。
トレース window で活用することが多く、診断の通信を確認する場合、診断 ID のみを「通過」
することで診断 ID 以外は表示されないため、診断解析時に便利です。
(7.5 から新しいフィルターが追加されており、設定方法は異なりますが機能としては同じもの
となります)
1.旧イベントフィルター (Ver 7.5 まで)
①
ホットスポットを右クリックし[イベントフィルターを挿入] – [すべてのプロトコル] を選びます。
②
フィルター上で右クリックし、[設定] を選びます。
③
フィルター用のダイアログが表示されます。
・ イベント : メッセージ単位でフィルターを設定します。
・ 生値データ : ID の上限、下限を指定してフィルターを設定します。
・ ノード : ノード単位でフィルターを設定します。
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■イベント
対象となるメッセージまたはイベントを選択し、設定後 [OK] を押下します。
■生値データ
対象となるメッセージ ID の範囲を指定し、範囲を設定後 [OK] を押下します。
■ノード
ノードを選択後、受信、送信、送受信して、[OK] を押下します。
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20
④
設定したフィルターが反映されます。
⑤
フィルタータイプによって、フィルターの動作が異なります。
通過フィルター : 設定したイベントを通します
例・・・ABSdata,EngineData のみトレース画面に表示されます
除外フィルターの場合 : 設定したイベントをブロックします
例・・・ABSdata,EngineData はトレース画面に表示されません
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2.新イベントフィルター (Ver 7.6 以上)
①
ホットスポットを右クリックし[イベントフィルターを挿入] – [CAN]を選択します。
②
フィルター上で右クリックし、[Window を表示] を選択します。
③
フィルター用のダイアログが表示されます
・ メッセージフィルター : メッセージ単位、ID のレンジを指定したフィルターを設定します。
・ ノードフィルター : ノード単位でフィルターを設定します。
・ イベントフィルター : エラーフレームの有無を設定します。
フィルターするイベントを追加
フィルターされたイベント情報
④
タブを選択後、フィルター画面を右クリックしイベントを選択します。
イベントフィルター
ノードフィルター
メッセージフィルター
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■メッセージフィルター
【データベースからメッセージを追加】
対象となるメッセージまたはイベントを選択し、設定後 [OK] を押下します。
【メッセージ ID を追加】
対象となるメッセージまたはイベントを選択し、設定後 [OK] を押下します。
【メッセージ ID のレンジを追加】
対象となるメッセージまたはイベントを選択し、設定後 [OK] を押下します。
設定例
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■ノードフィルター
【データベースから追加】
対象となるノードを選択し、設定後 [OK] を押下します。
設定例
■イベントフィルター
イベントの有効、無効を設定します。
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24
4.6.1.3 変数フィルター
環境変数とシステム変数を選択して、「通過」、「ブロック」を設定します。
①
ホットスポットを右クリックし[変数フィルターを挿入] – [パスフィルター or ストップフィルタ
ー]を選択します。
パスフィルター:登録した変数をパスします
ストップフィルター:登録した変数をブロックします
②
フィルター上で右クリックし、[設定]を選択します。
③
表示された window の[追加]を選択します。
CANoe では、環境変数とシステム変数を設定することができます。
CANalyzer では、システム変数のみとなっております。
④
設定した変数が表示されます。
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25
4.6.1.4 トリガーブロック
データを通過させるタイミングを設定します。
設定内容は、ログブロックの設定と同じになります。
①
ホットスポットを右クリックし[トリガーブロックを挿入] を選択します。
②
フィルター上で右クリックし、[設定]を選択します。
③
トリガー設定 window から、モードを選択します。
・ 【測定全体】・・・全ての情報を通過させる設定です。
測定開始
測定終了
全てのデータが流れる
・ 【シングルトリガー】・・・トリガー開始イベントから測定終了まで通過させる設定です。
測定開始
測定終了
トリガー
トリガー条件後、データが流れる
・ 【トグル トリガー】・・・開始イベントから終了イベントまで通過させる設定です。
測定開始
トグル オン
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トグルオン~トグルオフ
の間データが流れる。
26
測定終了
トグル オフ
④
トリガー条件の設定
ここでは、トグルトリガーで説明となりますが、シングルトリガーに関しても同様の手順となり
ます。下図の トグル オン/オフ のトリガー条件設定部分にチェックを入れます。
複数選択が可能なため、複雑なトリガー設定が可能となります。
ユーザー定義メッセージの選択
開始イベントの設定
終了イベントの設定
・ 開始
測定開始と同時に、トグルオン(データ通過)となります
・ 停止
測定停止時に、トグルオン(データ遮断)となります
・ CAPL
trigger 関数をコールすることで、データの通過となります。
もう一度 trigger 関数をコールすることで、データの遮断となります。
・ ユーザー設定
トグルオンのユーザー定義が成立すると、データの通過となります。
トグルオフのユーザー定義が成立すると、データの遮断ブロックとなります。
・トグルモードの組み合わせを使う
チェックを入れることで、開始条件と停止条件を 1 つにまとめることができます。
(例:開始と停止条件に CAPL を使用している)
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27
⑤
ユーザー定義の設定 (記号シグナル)
ユーザー定義を選択後、[定義]をクリックすると下記のようなダイアログが表示されます。
ここで、「新しい条件」 ボタンをクリックすると、開始/終了イベントを設定することができます。
・ 記号シグナルを選択すると、特定のメッセージの設定が可能です。
開始/終了イベントとして
使用するシグナルを選択
生値/物理値 の
どちらで比較するかの設定
シグナルと比較する値
比較演算子
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28
⑥
時間の設定
開始イベントの発生数秒前または、終了イベントの数秒後まで通過する設定を行います。
終了イベントを使用する場合は、「無制限の後トリガー時間」 のチェックを外してください。
・無制限の後トリガー時間
チェックを入れることで、測定終了までトグルオン/トグルオフが有効になります。
・停止
チェックを入れることで、トリガーブロック数(トグルオフの回数)が成立後、自動で測定停
止となります。
・通知 (アクティブ化)
チェックを入れることで、出力 window にトリガーが発生したことを表示します。
・メモリー/バッファ
前トリガー時間の設定に深く関係しております。
「バッファサイズ:1000Msg」 「1 秒間のメッセージ数:2000Msg」の状態で
前トリガー時間 [1000ms] と設定した場合、500ms しか記録されません。
注意! バッファサイズを大きくしてしまうと、書き込み処理に時間が必要となるため
必要最低限のバッファサイズを設定してください。
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29
4.6.1.5 プログラムノード
受信したメッセージのシグナル値の加工や、周期的なイベントを作ることができます。
メッセージの到達後にシグナル値を確認し、通過させるかなどの条件を設定するなど、
フィルターの役目をすることができます。
CAPL ノードは、CAPL にてプログラミングする必要があります。
CAPL プログラミングの詳細については省略します。
※CAPL (Communication Access Programming Language) の略称です。
プログラム例
受信メッセージ[Message100] のシグナル[Sig_100_1] の値が、「10 以上 100 以下」なら
通過させるプログラムです。
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30
4.6.2
各 種 Window や ログ ブロック の 設定
測定設定 Window 右端の各ブロック(評価ブロック)は、メインメニューの 「ビュー」 以下
のメニューと連動しています。
Window の新規作成や、名前変更した場合、ツールバーの表示名も自動的に変更されます。
(1) 評価ブロックの追加 と ログブロック の作成方法
各評価ブロックを複数作成することや、名前を変更することができます。
フィルターと組み合わせることで、メッセージ毎に集計する Window を作成することができ、
開発業務をより正確に行なうことができます。
①
既存のブロックを選択します。
②
右クリックして、作成すべき Window を選択します。
追加したい評価ブロックを選択します
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31
4 . 6 . 2 . 1 ト レ ー ス w i n d ow
トレース Window は、受信したメッセージを数値表示します。
また、dbc ファイルを割り当てることにより、メッセージ名 とシグナル名や、値を生値・物理値も
表示させることができます。
ここでは、一部の機能についてご紹介します。
← dbc ファイルによるシグナル情報
(1) 表示モード(時系列、固定位置)
受信したメッセージの表示モードは 2 通りあり、受信し順番に表示させる「時系列」と、
同じメッセージは 1 行に表示させ、新しい情報に更新して表示させる「固定位置」があります。
固定位置モード
時系列モード
(2) 時間表示(絶対時間、相対時間)
絶対時間 : 測定開始からの経過時間
相対時間 : 前回からの時間差
絶対時間
相対時間
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(3) 詳細ビュー、統計ビュー、差異ビュー
詳細ビュー : 選択したメッセージの詳細情報が表示されます
統計ビュー : 複数選択時、各情報の「最小」「最大」「平均値」が表示されます
差異ビュー : 2 つのイベント情報の差異を表示します
詳細ビュー
統計ビュー
差異ビュー
(4) 解析フィルター(アクティブ/非アクティブ)
トレース window 内で、フィルターを設定することが可能になりました。
そのため、解析中に不要なメッセージをブロックすることで解析が容易になりました。
解析フィルターのアクティブ/非アクティブ
解析フィルター
必ず 2 つのアイコンが有効になっている必要があります
ブロックフィルターの追加は、ドラッグ&ドロップで簡単に追加できます
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4 . 6 . 2 . 2 デ ー タ w in d o w
データ Window は、計測中の「最小値」、「最大値」、「現在の値」を確認するのに便利な
機能です。追加できるのは 「シグナル」 「システム変数」 「環境変数」 「診断パラメーター」です。
追加方法は、右クリックし [シグナルを追加] を選択することで情報が追加されます。
※シンボルエクスプローラからも、追加が可能です
9
用語解説Ⅲ
「シンボル エクスプローラ」 とは?
CANoe/CANalyzer のメインメニューから [ビュー] → [シンボル エクスプローラ]を選択
することでダイアログが表示されます。
データ Window やグラフィック Window へシグナルを「ドラック&ドロップ」して追加できます。
また測定終了後、トレース Window に表示されたシグナルを直接 データ Window や
グラフィック Window へ ドラック&ドロップすると、シンボル エクスプローラを使用するのと
同じようにデータの追加が可能です。
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4.6.2.3 グラフィック window
計測中に値変化を確認することができます。また、拡大、縮小が自由にできるため、解析時に
便利な機能となっております。
グラフィック window の情報はトレース window の情報と同じなため、同期した window として
使用することも可能です。
(1) 測定点、差異の測定
測定停止後、グラフィック window の値を確認するために、「測定点」を表示させます。
表示された測定点をマウスで移動することにより、値の確認を行うことができます。
測定点
差異の測定
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35
4.6.2.4 CAN Statistics window
メッセージ ID の分布を確認することができます。
統計 Window 上で右クリック後、タブビューを選択するか否かによって、エラーフレームの
発生状況も観測可能となります。
(a) タブビューを選択しない画面 (エラーフレーム情報は表示しない)
エラーフレームの発生頻度
バスの選択用タブ
(b) タブビューを選択した画面
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36
4 . 6 . 2 . 5 バ ス 統 計 w i n d ow
バスの統計情報を確認することができます。
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
① 1 秒間のサンプリングにおけるバス負荷
② 2 つの連続するメッセージ間の最小間隔
③ バーストメッセージの合計数、継続時間、数
④ 標準 CAN のデータメッセージ数、合計数
⑤ 拡張 CAN のデータメッセージ数、合計数
⑥ 標準 CAN のリモートメッセージ数、合計数
⑦ 拡張 CAN のリモートメッセージ数、合計数
⑧ エラーフレーム数、合計数
⑨ 個々の CAN コントローラーに関するエラーステータス情報
[ACTIVE] 通常状態(エラーカウント 0 ~ 95)
[WARNING] 警告段階(エラーカウント 96 ~ 127)
[PASSIVE] 送信待機状態(エラーカウント 128 ~ 255)
[OFF] バスオフ(エラーカウント 256~)
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4 . 6 . 2 . 6 ス テ ー ト ト ラ ッ カ ー w i nd o w
各種状態、状態遷移、各種シグナルを解析して時間的な依存関係を可視化するために
ステートトラッカーを使用します。
ステートトラッカーwindow への追加方法は、データ window やグラフィック window と
同様の動作で、簡単に追加できます。
また、色を設定することができるため、よりわかりやすく状態確認が可能です。
シグナルやシステム変数などが確認できるため、以下のユースケースがあります。
・ ECU の通信状態
・ GateWay 通信の状態
・ IOcab を用いたタイミング確認
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(1) シグナルを追加
グ ラ フ ィ ッ ク や デ ー タ w i n d o w と 同 様 に [ シ グ ナ ル を 追 加 ] か ら 、 ス テ ー ト ト ラ ッ カ ー に チ ェ ッ クす
るシグナルを追加します。
(2) 色の設定
色の設定を行うことで、異常値などがわかりやすくなります。
シグナルを右クリックし、[設定] をクリックします。表示された設定ダイアログの「値の定義」、
「色」 を設定します。
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4 . 6 . 2 . 7 ロ グ ブ ロ ッ ク w i n d ow
ログブロックを設定することで、ログ収録が可能となります。
①
ホットスポットが非アクティブの場合は、下図のようにダブルクリックすることで解除され、
アクティブ化できます。
ログ ブロック が アクティブな状態
②
トリガー設定を行ないます。
設定方法は、「4.6.2 各種フィルターやトリガー、ノードの設定」 をご参照下さい。
③
ファイルアイコンを右クリックし、[ログファイルの設定]を選択します。
④
ログファイル設定 window から、保存先のファイルパス等を設定します。
←ファイルパス
←自動インクリメント
←表示形式
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シミュ レーシ ョン用のノードの配置・設定
4.7
4.7.1
CANoe の場合
メインメニュー から、「ビュー」 → 「シミュレーション設定」 を選択して
「シミュレーション設定 Window」 を表示します。
赤と青の二重線の上で 右クリックし、ネットワークノード または、IG を挿入します。
※注意
CANoe は 測定設定 の他に もうひとつ、 「シミュレーション設定」があります。
CANoe の「シミュレーション設定」 は、CANalyzer の SEND ブランチ部分にあたります。
ひとつひとつのノードが独立しているので、相互干渉することはありません。
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4.7.2
CANal yzer の場合
メインメニュー から、[ビュー] → [測定設定] を選択して[測定設定 Window]を表示します。
ホットスポットの上で 右クリックし、[プログラムノードを挿入] または、
[インタラクティブジェネレーターブロックを挿入] を選択します。
実バスに対して送信処理を行なう場合は、「SEND ブランチ」に作成します。
受信データを 変換して表示やロギングする場合には、「評価ブランチ」に作成します。
SEND ブランチ
評価ブランチ
※ 注意
×
複数の CAPL ブロックを直列に配置した場合
上流のメッセージは下流の CAPL ブロックに遮られます。
従って、右図のように SEND ブランチ内に直列配置した場合、
明示的に出力するプログラムを実装する必要があります。
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×
4.7.3
ノードの設定
(1) CAPL ノード
CANoe の場合は、赤と青の二重線の上で 「ネットワーク ノード を挿入」すると
”ECU” と表記されたブロックが追加されます。
CANoe ノード設定画面
CANalyzer ノード設定画面
尚、CAPL ファイルの編集方法については、省略します。
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(2) IG ノード
簡単にメッセージを送信する方法として、IG があります。
また、波形生成を使用することにより、自動でデータを変更することができます。
①
IG を選択して右クリックして、「設定」 を選択します。
・ ページタブの ”CAN” を 選択します。
・ 新規をクリックします。
② データベースファイルがある場合は、下図のようなダイアログが表示されるので、
メッセージ名を選択して下さい。
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③ 図のようにメッセージ名が追加されます。
トリガー : [今すく]を押下することで、メッセージが単発送信されます
周期時間にチェックを入れることで、設定された周期でメッセーが送信されます
データフィールド : 送信するデータ情報
④ 波形生成の定義
周期時間を設定し有効にすると、シグナルの部分で定義した波形が周期送信されます。
定義ボタンをクリックすると、下図のダイアログが表示されます。
波形の選択
波形のパラメータ
波形のイメージ
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4.8
ビジュアルシーケンサー
IG では受信したメッセージにより、データ変更やメッセージ送信を行うことはできません。
このように、メッセージ受信やイベントによる処理は CAPL プログラムが必要でしたが、
簡単なシーケンスであれば、新機能のビジュアルシーケンサーが便利です。
①
メインメニュー項目から [ビュー] – [オートメーションシーケンス] を選択します。
オートメーションシーケンスの設定 window から、[新規] – [ビジュアルシーケンス]を選択
ビジュアルシーケンスの名前を設定し、[OK] を押下します。
②
オートメーションシーケンスに追加された項目をクリック後、[編集] を押下します。
③
シーケンスを作成する設定画面が表示されます。
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④
[コマンド] をクリックし、ドロップダウンから選択します。
⑤
「オブジェクト」、「オペレーター」、「オペランド」、「待ち時間」を設定します。
オブジェクト:シグナル、システム変数、環境変数を選択します
オペレーター: ==, inc, dec, [raw] など、演算子を選択します
オペランド:演算子に割り当てる定数を入力します
待ち時間:待機時間を入力します
⑥
実行開始を押下することで、シーケンスが実行されます。
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ビジュアルシーケンサー関数一覧
シグナル/変数
Set
シグナル、システム変数、環境変数の値を設定
Map
システム変数、環境変数を他の変数やシグナルにマップします
待機コマンド
Wait
指定時間、実行を待機します
Wait For CAN Frame
特定の CAN フレームを受信するまで、実行を待機します
Wait For CAN Raw Frame
特定の(生値)CAN フレームを受信するまで、実行を待機します
Wait For Key
特定のキーが押されるまで、実行を待機します
メッセージ/パラメータ化と送信
Send CAN Error Frame
CAN エラーフレームを送信します
Send CAN Frame
CAN フレームを送信します
Set CAN Raw Frame
データベースを使用せずに、CAN フレームのデータをセットします
Send CAN Raw Frame
データベースを使用せずに、CAN フレームを送信します
Set CAN Cyclic Frame
CAN フレームの周期送信を開始します
Set CAN Cyclic Raw Frame
データベースを使用せずに、CAN フレームの周期送信を開始します
Set LIN Resp
LIN フレームのレスポンスをアクティブ化/非アクティブ化します
Send LIN Frame
LIN フレーム、または LIN ヘッダーを送信します
フロー制御
If
Else If
Else
条件分岐をシーケンスに追加します
End If
Repeat
Repeat End
繰り返し実行するコマンドブロックを定義します
Break
ループから抜けることができます
Exit
シーケンスの実行を終了します
出力コマンド
Check
シグナル、システム変数、環境変数の値をチェックします
Write
シグナル、システム変数、環境変数の値を出力します
Write Text
指定した文字列を出力します
その他
Replay
リプレイファイルの開始、または停止します
Comment
コメント行を定義します
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5 補足
その他 詳しくは、ユーザーマニュアル、または オンライン ヘルプ をご覧下さい。
オンラインヘルプは、メインメニューから、[ヘルプ] → [目次 (または 検索)] を選択します。
(a) CANoe ヘルプ 画面
(b) CANalyzer ヘルプ 画面
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