第3回英語の教え方教室合宿 in 名張・第 36 回勉強会 報告 第 3 回合宿のテーマ 日本語と英語の発想の違いを認識した文法指導の在り方を通し、 英語教員ということばの指導者としての英語の教え方のスキルアップを図る。 第3回「英語の教え方教室合宿」in 名張・第 36 回勉強会をチーム伊賀の幹事(岡本先生、池田先 生、井海先生)にきめ細かい準備をしていただき、三重県立名張高等学校で行った。名張高校長谷川 博文校長のご配慮で、勉強会の会場はプレゼンテーション・ルームという広い講義室を使わせていた だいた。当日は滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、大阪府、三重県から 30 名集まり、これまでの合 宿同様に白熱した勉強会になった。 盛りだくさんの内容で、僅かの休憩時間しか取れなかったが、研修のみならず交流・親睦に絆が深 まった。参加者同士による小発表や話し合いによる進行が、勉強会への参加意識を高めていると思わ れる。自費で集まってきた皆さんである。一人の英語教育の情熱はまた別の方の情熱と融合し、これ からへの更なる英語教育への情熱へと一回りも二回りも大きくなって参加者の心に残った。 30 名の内 21 名がその後の懇親会でも夜遅くまで和やかに交流を深めた。翌日も 18 名が百地三太 夫屋敷へ訪問、赤目四十八滝を散策と日和に恵まれさわやかな 1 日を過ごした。特に百地三太夫屋敷 は池田先生の尽力で当主の方から直接説明を受けた。 幹事のチーム伊賀、岡本先生、池田先生、井海先生には感謝である。また、幹事の皆様に合宿勉強 会の簡易報告をお願いした。今回もこうして合宿勉強会の報告をまとめることができた。お礼申しあ げたい。 来年度もどこかの地に有志で集って、実りのある勉強会を開催することが出来れば幸いである。 中井 1 弘一 日 1 日目 程 5 月 16 日(土) 12:30∼12:50 受付 持ち寄り資料の受付提出 受付時にグループ討論1・2の座席表も提示 12:50∼13:00 開会行事 司会 岡本 泰 13:00∼16:10 第一部:伝わる英語表現指導としての文法指導 13:00∼14:30「ことばと発想:日本語と英語はどう異なるのか」 伝わる英語表現としての文法指導 大阪女学院大学 中井 弘一 14:30∼14:35 休憩 14:35∼14:40 グループ討論1の進め方説明 14:40∼15:10 グループ討論1「教科書における文法の指導」 15:10∼15:50 「文法指導:私の指導実践の工夫」 15:50∼16:10 MC によるグループ討論報告発表(2 分 10 グループ) 16:10∼16:20 休憩 グループ討論2準備(グループ討論1時に整理) 持ち寄り資料の配布 16:20∼16:25 記念集合写真撮影 16:25∼16:30 第二部:持ち寄り資料による話し合い グループ討論2進行方法説明 16:30∼17:20 グループ討論2「相互相談タイム:私の指導上の工夫・悩み」 《ルール》 1人の相談内容伝達持ち時間は 5 分以内とし、改善案やアドバイス提供等は 5 分以内で行う。 一つの話題に 10 分。5 人で 50 分の時間を想定。 伝わる表現指導として、要領よく短く相 手に伝わる話し方をする訓練もこの活動は兼ねる。 17:20∼17:40 MC によるグループ討論報告発表(2 分 10 グループ) 2分以内で代表者(又は MC)が各グループの討論内容を簡潔にまとめる。 17:40∼17:55 勉強会閉会・連絡・アンケート回収 (井海 18:00∼18:15 移動 車の方は各自移動 崇史) 送迎バスが使えれば 名張高校→名張シティホテル 送迎バスは名張高校玄関前に到着 18:15∼18:30 宿泊者チェックイン 18:30∼18:50 夕食参加者は名張シティホテルロビー集合 夕食会場へ移動 19:00∼21:30 夕食(歓談等) 21:30∼23:00 池田先生による ninjalogy(忍者学)のスペシャルレクチャー(宿泊者限定企画) 2 2日目 8:30 5 月 17 日(日) ロビー集合 (ホテルの朝食:牛すじカレー、牛汁付き) 9:00∼10:10 百地三太夫屋敷(百地当主の解説ガイド) 10:30∼12:00 赤目四十八滝散策(赤目ガイドの解説) 12:30∼14:00 昼食 『伊賀牛』を予定 14:00 解散(名張駅) 第3回「英語の教え方教室」合宿 in 名張 アンケート ・合宿の評価 4 段階評価(20 名回答) 4:よい(十分満足した) 3:だいたいよい(満足した) 2:あまりよくない(あまり満足しなかった) ①中井先生の講演 4:17名 1:よくない(満足しなかった) (3.85) 3: 3名 ②グループ討論①前半「教科書における文法の指導」「現在完了形の指導」 4:15名 3: 5名 ③グループ討論①後半「文法指導:私の指導実践の工夫」 4:15名 3: 4名 2: (3.7) 1名 ④グループ討論②「相互相談タイム:私の指導上の工夫・悩み」 4:15名 3: (3.75) (3.75) 5名 ・本合宿についての感想・意見・アドバイス(当日アンケート及びメール) • 今日来させていただいて本当によかったと思っています。ただ、自分自身が充分な資料を持ってこら れず、申し訳ないと思っています。日常を今一度見直し、次回は私なりによい資料を持ってこられる ような授業をやっていきたいと思っています。今日は本当にありがとうございました。 • 初めて参加させてもらいました。色々な先生の指導法を教えていただいて、大変参考になりました。 また指導法の悩みを教えていただいて嬉しかったです。仕事の関係でなかなか2日間の日程を取るの が難しいのでできれば1日全日の研修にしていただけるとありがたいです。 • 英語教師として1年目でわからないことばかりなので、文法の指導や授業の進め方、プロジェクトに ついて話し合うことができて非常に有意義な時間となりました。加えて現在自分が抱えている不安や 悩みについても現職の先生方に相談でき、助かりました。 • 討論②はテーマを絞ってグルーピングされた方が、共通のテーマでディスカッションが盛り上がるの ではと思います。テーマが違っても十分盛り上がりましたが…学校によってそれぞれ事情がある中ど の先生も工夫されており、大変参考になりました。今後の指導に活かしていければと思います。 • 岡本先生、きめ細やかな準備をして頂き、ありがとうございました。日々の実践を振り返ることがで 3 きましたし、新しいアイディアを頂くことができました。今回のようなグループ討論がある勉強会は より学びが多いと思います。お世話になりました。ありがとうございました。 • 前回は事前課題の負担があり、行きにくかったですが、今回は前向きに参加できました。中井先生の ご講演の時間がもっと欲しかったです。今後ともご指導よろしくお願いします。ありがとうございま す。 • グループ討論では話し合いの内容が明確にされていたので、角度を考えながら文法指導を考えられた とともに、普段の授業の総点検ができた。中井先生の講演は毎回思うのですが、たいへん細かい箇所 まで言及がなされ、授業中に生徒が興味を示しそうな興味深いスライドも豊富にあり、今後とも感謝 の気持ちで活用させていただきたいと思います。 • もう少しゆっくり話し合いたかったので②③④(グループ討論①前半、後半 討論②)の3つの活動 を2つくらいにして欲しかった。自己紹介の時間ももう少し取れるようにしてどのような中学・高校 で教えていらっしゃるのかもっと話をしてから各自が話せるといいと思った。 • 岡本先生長期間に渡ってのご準備、本当にありがとうございました。盛りだくさんの内容だったので ひとつひとつにもう少ししっかりと時間をとりたかったなあというのが正直な感想です。 • 生徒相手に教える同じ立場の先生方と意見交換できてよかったです。現場で工夫されていることで、 自分の現場でも活かせそうなことが多くあり、役立ちそうです。とても有意義な時間を過ごすことが できました。ありがとうございました。 • 新年度が始まってすぐの多忙な時にどうもありがとうございました。疲れる毎日で来られるか心配に なりましたが来てよかったです。MC など決めていただいていたので安心して参加できました。また 事前に引き受けていただいた方ありがとうございました。 • いつも、いつも熱いレクチャーを中井先生から頂き、感謝しています。テキストを教えるのではなく テキストで教えるを改めて感じいっています。自分がどう教えるのか、その技術の向上を日々考えて おりますが、それと同時に生徒自身が自分で動いて何かを産みだしていけるような授業をしていかな ければならないと思います。より生徒が中心となるような授業をこれから模索していこうと思います。 相談タイムでは悩みを共用できるのは良かったのですが、それに対するアドバイスまではいかなくて 不完全燃焼でした。多くの準備と細やかな心遣いを感謝しています。岡本先生、池田先生、井海先生、 本当にありがとうございました。 • ②(グループ討論①前半)の現在完了形の指導について、事前準備ができておらずざっくばらんに話 し合う形式になってしまった。注意不足で申し訳ありませんでした。 (終盤のリマインダーで予習について再度注意喚起して頂けるとありがたかったです。だいぶ早い段 階で送って頂いたものを見落としていたと思うのですが…)昨年度の affirmative, negative 発表当 日での発表形式は緊張感があってよかったと思います。会場準備 etc.などお世話になりありがとうご ざいました。 • 盛りだくさんの内容で、satisfaction いっぱいです。まだまだ自分の授業には納得いきません。色々 なお知恵を聞かせていただける機会があればできるだけこれからも参加させてもらいたいです。 confidence をもって授業にのぞめるように生徒と向きあっていきます。寝させない授業を展開でき るように。 • とても素敵な地で、会場で、そして参加者に恵まれ大変刺激ある時間を送ることができました。!! 岡本先生の細やかな Time Management、そしてお茶菓子などの手配、井海先輩にもお会いでき、 本当にすてきな会でした!!これから始まる忍者 logy も楽しみです!! 4 • このパターンでいいのではないでしょうか。つまり1日目は真剣勉強モード、2日目は現地での観光。 次回は、すなわち奈良か甲賀か和歌山か。All work and no play makes Jack a dull boy.「よく遊 び、よく学べ!」です。 • 色々と事前の準備をしていただき、ありがとうございました。事前にメールで色々と知らせていただ いたおかげで、今日の勉強会がさらに内容の濃いものになったと思います。特に各自の持ち寄り資料 に表紙をつけていただいたことでより振り返りやすくなりました。たくさんのお土産をいただきまし た。是非活用させていただきます!!私も毎年この合宿に参加するのを楽しみにしています。年々内 容が充実し、一年後がまた待ち遠しいです。 • 現場で活躍されている教員の方の声を直接聞くことができてよかったです。自分がわからないことや 不安なことに対して、多くのアドバイスを得ることができてよかったです。先生の悩みも聞くことが できてよかったです。もっとお話ししたかったです。また参加できればいいなと思います。 • ご準備本当にありがとうございました。英語を使う時間が少しあっても良いかなと思いました。 • 現職の先生方とご一緒させて頂き、あくまで具体的に指導を検討させて頂くという貴重な機会でたく さんのおみやげを頂戴しました。ただただもっと時間があればと思いました。本日は本当にありがと うございました。 • Overnight workshop for wonderful English teachers in Nabari. 今年も元気よく参加してきました。今回は滋賀県を飛び出し、会場が、三重県立名張高等学校。グラ ウンドを横切っていると、部活動中の生徒が、元気よく挨拶をしてきてくれました。本当に清々しい 気持ちになります。 開会行事のあと、大阪女学院大学教授の中井弘一先生から、 「ことばと発想」の演題で、熱のこもった 基調講演。カラー印刷された資料に、生徒が興味をもちそうな、あるいは教員が指摘したら授業が引 き締まるようなポイントがどっさり。特に興味深かったのは、「文法の暗示的・明示的指導」と「日 本語に影響されやすい日本人の英語」でした。 休憩をはさんで、グループ討論を 3 セット。 1 つは教科書の 1 レッスンを取りあげ、完了形をどのように指導するか。日本語では、過去形表記で も英語では現在完了形にも過去形にもなる、中高生には不思議のひとつかもしれないやや難解な「時 間の解釈」など、色々と話を深めました。 2 つ目は、選択した文法項目別になり、いかに文法をコミュニケーション活動と絡めて指導するか。 私は、仮定法を選びました。仮定法は「夢を語ったり、後悔したり」を合い言葉に教えてきましたが、 みんなで語り合うと面白いものですね。 3 つ目は、日頃の疑問や悩み、授業の工夫の情報交換。 討論後は、MC として 3 分以内で意見を整理し、発表しましたが、これが、なかなか勉強になります ね(^-^) ・ はじめて参加させていただきましたが、素晴らしい会で感動しました。参加されている皆様も熱心で 素晴らしい英語教師であるだけでなく、お人柄もいい方ばかりでとても楽しい一日となりました。集 合写真もありがとうございました。翌日の赤目でみなさん楽しまれたと思いますがいかがでしたでし ょうか?お天気もよかったですよね。名張にいらしてくださりありがとうございました。 5 基調講演 中井 弘一 大阪女学院大学 「ことばと発想:日本語と英語はどう異なるのか」 文法を覚えるルールとしてではなく、伝わる英語表現指導として、そこにある考え方・発想を生徒に わかりやすく説明する工夫を普段の英語の授業にどのように組み入れるかについて考える。 「ことばと発想:日本語と英語はどう異なるのか ー伝わる英語表現としての文法指導」 報告:三重県立名張高等学校 井海 崇史 1.はじめに 大阪女学院大学で毎月開催される「英語の教え方教室」に参加されている有志の先生方が集まり、「英 語の教え方教室合宿」が三重県名張市で行われた。シンプルかつ分かりやすい講演でこの場で学んだ事は 非常に価値があり、今の日本における英語教育のあり方を考え、今後の英語教育の実践に向けてプラスに なることばかりであった。 合宿には関西圏(滋賀、兵庫・京都・大阪・奈良)から 30 名の先生方が参加された。伊賀地域は忍び の国と言われ、伊賀忍者や伊賀牛で有名な他、伊賀上野城や忍者屋敷、赤目の滝など古い歴史や多くの観 光地を有する。この伊賀の地で熱い思いを胸に秘めた先生方と学びを共有し、現場で活かすことのできる 指導を考えることはこの上ない喜びである。 講演の目的は日本語と英語の発想の違いを認識した文法指導の在り方を考え、英語教師として英語の 教え方を向上させることである。200 枚を超えるスライドで、すべてが興味深い内容であった。中井先生 が紹介してくださった文化の捉え方の違いや表現例の違いからいくつか抜き出して報告させていただく。 2.講演内容紹介 ①日本語文化と英語文化 日本の地理的な特徴、風土、自然、神に対する信仰および考え方、民族性などの影響 ・Why is a rice ball triangular?(なぜおにぎりは三角形なのか) 日本には至る所に神々が住んでおり、中でも山は神聖な地で信仰の対象であった。古来の日本人は 山を神格化し、その神の力を授かるために米を山型にして食べた。つまり山々を結んで霊力を取り 入れた説があり、その文化習慣が今も残っているのである。 ・「山を登る」の意味 日本は山を信仰の対象としていた。一方で西洋は山を登ることで征服すると考えられていた。自然 をコントロールするという感じである。 ・I(私)の意識の違い 日本人は自分の周りにいる相手の意見や行動に合わせることが多い。以心伝心という言葉があるよ うに言葉を言わなくても分かりあえる文化が日本にはある。村落共同体が生活の基盤で周りとの協 調が最優先される。周りとの関係で自分を表現する。自分の意思をあまり出さず自己主張をするこ とを避けがちである。自分と周りの人の関係は相対的である。よって日本で I の意識は育たない。 しかしながら、西洋では自分がまずあり、存在をアピールすることに意義がある。I think therefore 6 I am.という言葉が示すように誰がいようといまいと「我思う故に我あり」と I は絶対的な存在で ある。 ・初対面の挨拶 日本はおじぎをする。 西洋は握手をする。握手をすることによって初めて相手を認める。契約を することを意味し、信頼を築く。 ②日本語と英語の発想の違い ・日本語は主語なしで会話が成り立つ。一方で英語は主語を必要とする。 I hate you. 憎らしい(人)。 I love you. 好きです。 I believe you. もっともです。 I expect you to work hard. よく勉強するのよ。 I want to see you. お会いしたい。 I want you to come. 来てほしい。 状況から判断できると考える言語文化。 ・以心伝心のコミュニケーション (テレパシー) 妻:「あのダイヤモンドええな…」 私:「そやな…」 ・・・・・・ 妻:「ほな、いこか…」 私:「そやな、いこか…」 ③日本語で覚えてしまっている言葉の意味は曖昧になる:gift と present の違い This is a gift from my boss. <gift は値打ちのあるもので格式のあるもの> Honey, your birthday present. <present は友人の間で気楽に贈るもの> ④日本語の多様な言葉の使い分けと英語の表現の合理性 英語では身につけるものはすべて wear で表現するが、日本語では「帽子を被る」、 「上着を着る」、 「ズボンをはく」、「リボンを付ける」、「靴を履く」、「ブーツを履く」など wear の言い方が 目的語によって変化する。 ⑤他動詞の感覚:直接目的語に力が及ぶ 日本語と英語の discuss の捉え方の違い *We discussed about the problems we faced at this school. (about をつけると非文) 米国:率直に主張することを議論の前提にしている。 日本:相手の主張を理解することを議論の前提にしている。 会議に臨む考え方が異なる。discuss は他動詞であると言う感覚 ⑥「ありがとう」という言葉をいつ、誰に、どのように使いますか。 Thanks.→Thank you.→I thank you very much.→I can t thank you enough.→ I really appreciate it.→I m very grateful to you.→I thank you from the bottom of my heart.の順でフ ォーマルになっていく。 ⑦物の捉え方:普通名詞(?)common noun(共通名詞!) 文法用語の「普通名詞」はわかりにくい。普通ではない「異常名詞」があるように思える。英語で は common noun と呼んでいる。「共通名詞」の方が理解しやすいのではないか。ある共通した特 徴を持つものを総称する名詞が、common noun。文庫や新書、単行本などサイズや厚さが違って 7 いても、 book と「本というもの」でくくっている。その中から一つを取り出すと、 a book book this book the my book などと冠詞など限定する表現を使うことになるというのが英語の考 え方。 a のイメージ いくつかあるうちの一つ ⑧英語教室で行われている文法指導・学習 ・ 文法用語の意味を明確にしないで、その用語で説明している。 ・ 「なぜ」「なぜそう使うの」という問いに答えていない。 ・ Native の無意識の言語使用感覚を複合・総合的に体系化して学ぶことがなく、「なるほど」という 感覚が得られていないので、丸暗記になっている。 ・ 本来の文法指導はコミュニケーション能力の育成を支えるもの ・ 文法は表現のためにある ・ 文法はコミュニケーションを支える ・ 「なるほど」と分かる文法がコミュニケーション活動を豊かにする。 ⑨文法項目の導入提示・説明の方法 ・ 図・表を使って提示・説明する ・ 対話を使ってその使い方を考えさせる ・ 「場面」を設定し考えさせる ・ 意味・形の似たものを比較して説明する ・ 場面を視覚に訴えて ・ テキストでの使われ方を考えさせる ・ 実際に使われている例を取り出して説明(広告・歌・警告など) ビートルズの In My Life という曲の歌詞→それぞれの時制はどうして異なるのかを考えさせる。 Yesterday Once More という曲の歌詞→I believe yesterday. と I believe in yesterday.ではど う違うのか考えさせる。 90 分という時間があっという間に過ぎ、サービス精神旺盛で盛りだくさんの内容であったので資料の後 半部分が積み残しになった。ただ、自分で読めば今後の授業に役立つ内容、参加者が授業で文法説明など 使えるように配慮された資料であった。 3.皆さんの参考までに:井海流「伊賀の名物と英語教育」 ・忍者・・・忍者は忍者であることを隠す必要があり、7 つの仕事をこなしたとも言われています。 → 歌を歌う、寸劇ができる、スピーチをするなど英語教師は何でもできないと! ・忍者屋敷・・・忍者屋敷の中はからくりがいっぱい。 → 生徒をドキドキわくわくさせるような工夫を授業で! ・へこきまんじゅう・・・さつまいもで作られています。 → アクティビティーやペアワークなど、場合によってはネーミングも大事かも! ・伊賀牛・・・肉の横綱。伊賀牛ブランドです。 → 一流の英語教師に! ・B級グルメ伊賀牛汁・・・一度食べればあの味は忘れられません。 → 生徒にもう一度あの先生の授業が受けたいと言わせよう! ・赤目四十八滝・・・本当に絶景です。滝の水量、石や岩の数、木々、そこに住む動物など。 8 ちょうどよい数、量、自然の調和がとれています。ちなみに四十八は「多く、多数」という意味です。 → 4 技能を統合したバランスのよい授業を! かなり無理やり結びつけました。魅力ある伊賀へ!一度も伊賀へ行ったことが無い方は是非一度お 越しください! 4.まとめ この講演では自分が日本人であるということを再認識するとともに、日本で英語教育を行う難しさを 考えることができた。今後、日本で多くの教員が英語教育の分野で生徒のコミュニケーション能力を向 上させるために実践をし、生徒が英語を使ってコミュニケーションをする場が増えることをさらに期待 したい。大好きな英語を生徒に教えて自分が生きている。なんと幸せなことではないか。同じ志を持つ 仲間がいる限り英語教育の未来は明るい。 スライド紹介(中井) 9 討論①簡易報告 報告者:三重県立名張高等学校 1. グループ討論①前半 ■事前課題 岡本 泰 「教科書における文法の指導」 「現在完了形の指導」 ①あなたならこのテキストで「現在完了形」をどのように扱いますか?指導と言語活動内容をできるだ け具体的に考えてみて下さい。全体の授業でなく文法を扱う部分だけを取り出して考えて下さい。 ・この文法内容を指導する時間は 10∼15 分程度とし、最大 20 分以内で行うものとする ・学習言語活動には、生徒が英語で表現するコミュニケーション活動を盛り込むこととする。 ・従来の文法指導にありがちな、文法の説明に終始するということがないように考えてみて下さい。 各グループ討論MCのよるまとめの概要 A グループ MC (良県立青翔中学校・高等学校 松川 慈) ・グループ討論①前半 高校のどの科目で現在完了を扱うかによって扱い方が違ってくる。 今回の課題はコミュニケーション英語の教科書なので、見開きページの左の本文の内容は非常に面白 い。一方で右側のページは本文の各パートの内容理解や文法など指導内容が多岐にわたっているので、 そちらをゆっくり丁寧に教えると、本文の内容が薄れてしまう。 コミュニケーション英語で文法を扱う場合にはあれもこれも欲張らないことが大切である。現在完了 をここで教えたいということであれば、本文とリンクさせて扱えばよいけれども、本文の内容をしっか り押さえたいのであれば、現在完了を含むターゲットセンテンスはさらっと扱ってしまって、本文の内 容把握をしっかり行う。本文終了後に、現在完了を使わせるような活動を持ってきてはどうかと思う。 その際、生徒が想像しやすいような、自分の生活に関わる身近な素材を持ってきて教えるのがいいので はないかと思う。 ・グループ討論①後半 仮定法について 仮定法を使う状況を自分のことと結びつけて表現できるような練習をしていきながら、仮定法はこう いう使い方をするのだということをわからせていくといいのではと思う。 歌を取り上げるのであれば、Beyonce の「If I were a boy」を流して、歌詞の中の仮定法が使われて いる一文を取り上げて、どのように仮定法が使われているかを生徒に考えさせ、その文の後に、自分な らどのような文を付け加えるかを考えさせる。 また「If I won a lottery, I would 」という書き出しを与え、実際に文を書かせた後にペアで作った 文を発表しあうというアイデアも出された。 B グループ MC 京都市立堀川高等学校 川久保 和代 ・グループ討論①前半 現在完了を使って生徒が自分たちの事を英語で表現できるように Since this April, I have ∼という 書き出しを与えて、ペアでお互いに発表させる。次に相手が言ったことを英語で報告させるために、主 10 語を I から You に変えて言わせる。次にペア以外の生徒が言った文を基に、主語を He, She, Mr. Tanaka, Takeshi など三人称に変えて言わせるといった活動が考えられる。また芸能人や有名人などについて現 在完了形を使った文を作り、発表させるのもよいし、身近な存在である先生やクラスの人気者について、 文を作り発表させるのもよいと思う。 今回の取り上げた教科書には Blog の事も本文で触れられていたので、Facebook など SNS を使った ことがあるかを、現在完了を使って言わせるのもよい。 ・グループ討論①後半 関係詞について 典型的な関係詞の文法問題以外に、例えば、映画の中に関係詞が使われている場面を取り出して授業 で紹介するとか、英語のことわざで使われている例文を紹介するなどといったことがグループの意見と して出された。 C グループ MC 滋賀県立伊香高等学校 坂本 美佳 ・グループ討論①前半・後半まとめて 中学校では明示的な文法の説明はなく、活動ベースで授業が組み立てられる。会話から始まり、パタ ーンプラクティスをし、最後に書かせるといった流れで、生徒に文法を落とし込んでいく。高校では活 動する時間があまり取れないので、文法の説明が指導のメインになっている。 高校では文法の明示的な説明をされるときに図を書くとより生徒が理解しやすい。日本語の例文を必 要に応じて文法の理解のために使用することもある。 文法の Form, Meaning, Use の中で、特に Use に焦点をあてて指導している先生が多い。 文法の活動は、場合によってはコミュニケーション英語の教科書の内容と切り離して行う。 文法の 指導にあまり力を入れてしまうと、コミュニケーション活動をする時間がとれなくなる。特に重要な文 法項目であれば、定着をさせるためにコミュニケーション活動をスモールステップにして、生徒が理解 しやすいように工夫する。 高校では明示的な文法の説明が多いのに対して、中学では活動ベースで文法を指導している。高校 でも活動ベースで授業を組み立てたいが、説明と活動の適切なバランスを考えるのが難しい。 D グループ MC 神戸大学附属中等教育学校 篠原 泰子 ・グループ討論①前半 現在完了形の指導をする際、指導方法について3つのグループに分かれた。 1、スピード感のあるパターンプラクティスを使い、トレーニング中心に指導。 2、使われる状況 を設定して指導。なぜ完了形を使うのかを考えさせて、表現活動に持っていく。3、日本語訳を意識さ せて指導。 中学校の先生は、生徒の興味関心を引き付けるために、写真や動画を使ったり、また実際に演技を生 徒の前でみせたりしてその状況をつかませる。また現在完了が使われている文の When What Where Who を生徒に意識させて指導している。 ・グループ討論①後半 チャンツを利用して指導している。教師と生徒のやり取りをチャンツのリズムに乗せて行う。例えば、 He walks. He walked. He will walk.などパターンプラクティスを口頭で行い。生徒が慣れてきたら、 He walks slowly.などと文を長くして増やしていく。 高校の授業における日本語の使用については、大学入試があるため、日本語英訳(英語和訳)を生徒 11 が気にするため、無視できないといった意見もあった。 E グループ MC 三重県立名張高等学校 井海 崇史 ・グループ討論①前半・後半まとめて 生徒が現在完了形の概念を理解するために、まず過去と現在完了形の違いを説明する必要がある。導 入としては Have you ever been to ∼?という質問から入るといいのではないかと思う。活動として は現在完了形を使って有名人にインタビューするという意見が出された。 不規則動詞が定着していない生徒に対しては、特に解決法はなく、努力して覚えることが必要である。 ビンゴゲームの要領で、完了形を練習させるのも一つの方法である。 ライティングで完了形を使って10の文を作らせるというアイデアに対して、何を書いてもいいので あれば、自由度が高く、生徒も書きにくいので、もっとトピックを限定して書かせたほうがよいのでは という意見があった。 F グループ MC 滋賀県立守山中学校・高等学校 戸田 行彦 ・グループ討論①前半・後半まとめて 生徒の Noticing(気付き)をどのように与えるか? スキーマ構築をするのか、オーラルイントロダクションをするのか、演繹的なアプローチをするのか色々 と方法はあるが、Visual Aids の手法がカギになるという点でみんなの意見が一致した。 具体的には、比較の項目を教える時に3つの色付きの風船を用意する。3人の生徒に風船を一斉に膨 らませ、それを先生が This balloon is the biggest. That balloon is bigger than yellow one. This balloon is smaller than the others. などと実況放送を英語でする。この後は、4人グループを 作り2人がやっているのを見て、後の2人が英語でレポートしあうという活動が考えられる。このよう に、英語の意味と形と場面(使われ方)の3観点を生徒に示すことができる。 生徒を如何に reflective learner に育てていくか、そして教師自身も reflective practitioner になる 必要がある。 生徒と1対1の関係を大切にし、また生徒全体も大切にしながら、クラスを facilitate していくとよ い。 12 討論② 簡易報告 三重県立名張高等学校 岡本 泰 事前アンケートまとめ 「指導上の工夫・悩み」まとめ ■語彙指導 ①場面に応じた表現ができるように、語彙の定着を、どのように工夫すれば、効果的になるか、考えて います。 ■ライティング・自己表現活動 ②生徒のライティングの誤りを赤ペンで指摘し返却するが、あまり効果が見られない。ライティング指 導の効果的な方法があれば知りたい。 ③書く意欲を高めるとともに、正確な英文を書くための手立てを知りたい。 ④『英語表現』の授業において、ゴールは和文英訳や整序作文ではなく自己表現活動に設定したい。そ のゴールのために、どのような指導を行うことができるか。現時点のアイデアとしては、グラマーデ ィクテーションや四コマ漫画の描写、自由度の高い条件英作文等を行うことを考えている。 ⑤授業でのアウトプットで、なにか易しく、生徒が楽しめる活動がないか試行錯誤の毎日です。ペアワ ークやグループワークでフォローしながら取り組めるものを探しています。 ⑥プレゼンテーションの指導について知りたい。 ■文法指導 ⑦今年度、文法指導のクラスが増えました。個人的には、細かい文法の指導よりも、英作文をもっと重 点的にしていきたいと思っていますが、テキストの兼ね合いでなかなかできません。テキストを有効 に使いつつ、表現力豊かな文章を書けるように指導していきたいです。 ⑧現在完了時制の結果の用法が使えるシチュエーションを作るのに苦労している。現在完了時制の結果 の用法が使われている、二人の会話があまり作れないので困っています。対話でこそ、現在完了時制 の結果の用法を簡単に分からせたいと思っている。 ■音読 ⑨音読活動をしても思うように進まない。熱心に読んでいる生徒とまったく声を出さない生徒といった ようなばらつきが見られる。何とか音読させたとしても、発音の指導というまでには至らない。また、 スピーキングの評価を成績にどう反映させておられるのかについて、他の先生がされているやり方を 教えていただきたいと思っています。 ⑩生徒のレベルに合わせた指導やスピーキング能力の向上に向けた指導。 発表へむけたスモールステップであるサマリーの質 ■スローラーナー ⑪スローラーナーへのアウトプット活動。 ⑫学習意欲の低い・英語が読めない生徒への音読指導。そのような生徒への英語学習の動機付け。 ■プロジェクト活動 ⑬使用教科書は開隆堂 sun shine で、3課ごとに年3回、3年間で計 9 回、My Project というページ がある。開隆堂の営業の方曰く、このページが売りで、この9回をきちんとやってもらえたら力が付 く、と言っていた。それを実行したいのだが、そのための工夫を模索したいと思っている。 13 ■授業の組み立て ⑭単位数が非常に少ない(週に 1 コマ)ので、input-intake-output の流れまでもっていけず、 消化不良 になってしまう。 ■その他 ⑮年間をきちんと見据えた計画、またそれをもとにした各年度の計画を立てなければと思いながら、年 度当初に発表される担当学年でじっくり話し合うことなく進めてしまっている。皆さんがどのように 年度末、年度始めの学年会議や教科会議での話し合いをされているのか、是非教えていただき参考に したい。 ⑯今年度の新科目・コミュニケーション英語Ⅲに、受験も意識した生徒達を相手に、どのようにアクテ ィブ・ラーニングなどの言語活動を織り交ぜていくか。 ⑰文法の説明に終始し、授業中に英語を頑として使わない英語教員と、どのように協力して授業計画を 進めていくか。(私の悩みでもあり、工夫した部分もあります。)(同僚性、英語科としての指導力) ⑱教材が多すぎる。仕事量が多すぎて教材研究に時間があまり割けずおざなりな授業になってしまうこ とが多々ある。回収した生徒の成果物を見て返却してあげる時間が十分に取れない。 ⑲新しい学校に変わったばかりで、まだ授業も始まったばかりです。工夫/悩みはまだこれからです。 今までの学校でなら記憶することが勉強だと思っている生徒をどうするか?が課題でした。 ⑳生徒のモチベーションをいかにアップするか、また、英語検定試験の導入についての取り組みについ て。 文法訳読から抜けきれない。 「コミュニケーションイングリッシュ」と名前が変わっても従来通りの指導に終わっているように思 う。 2学年後半より、入試問題での英文を扱うことが多い。その読解の授業では、どうしても訳読中心の 授業になってしまいがちである。かと言って、英問英答だけでは、内容を深く読ませることができな いようにも思っている。 子供たちが持っている力を生かしながら、読めない文を読めるようにしていくためのアイデア、引き 出しを増やしたい。 宿題のさせ方について 本文の内容理解をさせる時に、どこまで構文の説明をしたり、文法の説明をしたらいいのかわからな い。 リーディング指導で、精読指導をどのように進めればよいかわからない。たとえば、一時間の授業の なかで、「前時復習(音読)→本文 Part 毎の読解→本文音読」という流れでやっているのですが、読 解の際に文法の説明を日本語でし過ぎるのか、授業に山場がない感じです。※進学校の指導は初めて なので、現在模索中 各グループ討論MCのよるまとめの概要 A グループ MC 大阪女学院高等学校 李 由紀子 英語表現の教科書を使いながら、コミュニケーション英語の活動を中心に指導する必要があり、ライ ティングの活動をする時間がとれない。もっと表現活動をしたいが、時間がなくて悩んでいる。 リーディングでプロジェクト活動に取り組みたいが、生徒がしんどいので、内容理解をさせるだけで 14 精いっぱいである。 プロジェクト活動として、ある学校では週に一回しか授業がないため、反転授業(家庭で生徒が個々 に授業を受け、学校でその復習や応用を行う)を行っている。Edmodo と呼ばれる教育系 SNS を使い、 授業を動画に落として、家庭で生徒に視聴させている。 B グループ MC 大阪府立長尾高等学校 久保田 親夫 パラグラフライティング指導を行っている。スモールステップを設けることで徐々に指導を深めてい き最終的にワンパラグラフ書けることを目的とする。事実と意見を分けて書かせている。最終的に A∼ D で評価する。 内容理解と文法指導のバランスをどうとればいいかで悩んでいる。 ディベートの活動を取り入れ、コミュニケーション英語で取り上げた内容を発展させて、例えば、ど のレストランがよいかを考えさせ、最後に生徒に判断・評価させる。 電子黒板を導入したが、合わせてデジタル教材を買ったら、1、2年まで使用してきた教科書と違う 教科書になって、レベルが急に上がってしまい戸惑っている。 C グループ MC 兵庫県立尼崎小田高等学校 二森 正人 コミュニケーション英語の授業で四技能を統合した活動についての工夫を話し合った。 Small Talk のやり取りをし、その中で気付きを得て理解させていく。 レッスンに応じて、切り口を変えて、補助プリントを作っている。生徒の英語力のレベルの差が大きい ので、個別に応じたレベルの教材を準備している。 複数の教員で同じ科目を教える場合には、評価やテストの部分も大事で、担当者同士でしっかりと話を していくことが授業の中身に大きく関わっていくことで、欠かすことのできない大切な部分である。 3年次に課題研究の発表をする生徒がいるため、普段の授業のなかでそのための英語力をどうつけてい けばよいのかを考えていきたい。 D グループ MC 滋賀県立八幡高等学校 中西 勝弘 授業における日本語の介在の問題。高校時代和訳の授業が多かった。6月に教育実習があるので、ど うしたらよいか。 解決策として、和訳シートを予習にする。3分間ペアで和訳を埋める。授業中の日 本語使用を減らすために、40問の英問英答プリントを作成し、集中的に生徒に取り組ませているなど の提言があった。 文法指導に充てる時間をどれほどとればよいか。 文法がプロダクション活動にはすぐに役立たなく ても、何年か先に役立つこともあるので、教えることは必要である。 教育実習中に自分が苦手とする UNIT を担当することになったらどうしたらいいか。 教科横断的に、 英語の先生だけでなく、必要があれば他教科の先生にも協力をして頂く。「英語を教える」のではなく、 「英語で教える」という姿勢をもつ。 E グループ MC 大阪府立枚方津田高等学校 池田 裕 仕事量が多すぎて、授業の準備が充分にとれない。 英語のことわざを教えているが、同時に日本語や日本文化も教えることになる。授業中どうすれば生 徒を眠くさせないようにできるか? プロジェクターなどの AV 機器を使っている。教科書の中で 15 gamification(ゲーム化すること)という概念が出てきた。授業の中でちょっとした「ごほうび」があ れば生徒は興味・関心を持ってくれる。ポイントは生徒に刺激を与えて、今勉強をしていることは役立 つのだというメッセージを上手く伝えたい。 F グループ MC 神戸大学附属中等教育学校 泉 美穂 新しい教え方にチャレンジしたいものの、大学入試を控えた生徒を前にして、従来の訳読式の指導方 法から脱却しづらい。同僚の先生も全員年上で教える環境を変えづらい。 スモールステップの大切さを感じている。生徒が最後に PowerPoint を使ったプレゼンテーションの 発表をしている。年間の計画を見通して段階的な指導ができるように考えてシラバスを作られている。 合宿を終えて(反省と次年度に向けて) (報告者 三重県立名張高等学校 岡本 泰) 今年の勉強会では、グループ討論①前半、①後半、②と3つの討論を設けました。討論①前半は中・高 で事前課題を示し、現在完了形の指導を考えてくるという流れであったので、議論もしやすかったのでは ないかと思いますが、①後半は、文法項目によっては、テーマが大きすぎて、議論しにくいものがあった という参加者の声もあったので、もう少し文法項目を絞り込んでテーマを提示するべきであったと思いま す。 討論②については、昨年度までと同じですが、今年は各分野の指導に分類して提示しました。参加者の 中には、同じ悩みを持ち、同じ分野に興味がある参加者と話し合いをしたかったという方が見えました。 事前に尋ねた参加者の希望分野が結構多岐にわたっていたので、異なる悩みや興味をもっている方でのグ ループ編成になりました。改善策としては討論が終わった後に、15∼20分ぐらい参加者が自由に誰と でも話ができる時間を設ければよかったかもしれません。 また参加者の持ち寄り資料に関して、配布資料35部全てに表紙を添付していただくつもりで事前に連 絡したのですが、表紙を1部だけ作り、持ってこられていた参加者が何人か見えて、当日表紙をコピーし、 添付するという作業をしました。もっとわかりやすく連絡すればよかったと思います。 今回の反省を生かす意味で次年度に向けての提言としては以下の3点です。 ①グループ討論は可能な限り、無理のない形でテーマを絞り込む方が参加者は話しやすく、議論もかみ合 います。 ②グループ討論を深めるためには、まず、みんなの意見を聞いたうえで、重要な課題を、1∼2に絞って、 更にその課題について討論をし、MC が発表してはどうでしょうか。 ③事前課題は準備が必要なため、早い目(1∼2か月前)に連絡をしますが、再度合宿の1週間くらい前 にもリマインダーを送ることで、参加者の課題の準備の意識づけを喚起することができます。 16 勉強会・合宿の様子(写真) 17 18 19 20 21
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