PKS(パームヤシ殻)の輸入状況 2015 年 8 月 株式会社FTカーボン 1. 概要 2030 年のエネルギー見通しの改定が行われており、PKS などの輸入木質バイオマス燃料の 木質バイオマス発電の導入拡大が見込まれている。また、木質バイオマス発電所においても、 国内産の木質バイオマス燃料の供給には限界があると想定されており、輸入 PKS を石炭や国内 産の木質バイオマスと混焼する計画が増加している。 PKS の 2014 年の輸入量は、約 23 万 t となり、前年比で約 2 倍に増加した。 PKS を輸入する税関(港)も増加しており、今後とも、PKS による木質バイオマス発電が増 加していくと考えられるが、安定的な確保が課題である。 本レポートにおける記載は、弊社独自の分析であり、弊社の見解で記載しております。本レポ ートの記載内容を引用するなどして損害を被った場合でも、一切の責任は負いませんので、ご 了承ください。 1 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 2. PKS の輸入動向 PKS の輸入量は、年々増加し、2014 年の輸入量は約 23 万 t(前年比約 2 倍) 。 インドネシアとマレーシアから、ほぼ同量を輸入。 徳山と高知における輸入が多い。 ただし、毎月の輸入量には大きな変動がある。 表 1 直近 3 年間の国別の PKS 輸入量 250,000 200,000 150,000 アメリカ フィリピン (t) タイ インドネシア 100,000 マレーシア 50,000 0 2012年 2013年 2014年 (出典)財務省貿易統計 2 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 表 2 2014 年の各月の PKS 輸入量 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 (t) 20,000 15,000 10,000 5,000 0 (出典)財務省貿易統計 表 3 2014 年の税関別の PKS 輸入量(上位 5 位) 輸入量(t) 徳山 94,058 高知 84,793 姫路 20,593 直江津 15,556 伏木 10,890 (出典)財務省貿易統計 3 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 3. 直近の PKS の輸入動向 2015 年は、前年を上回る輸入量で推移。 徳山の輸入量が多い。 昨年末以降、釧路(北海道)、苫小牧(北海道)、新潟、境(鳥取)、岩国(山口)、細 島(宮崎) 、油津(宮崎)における輸入が始まっている。 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 2014年輸入量 (t) 2015年輸入量 20,000 15,000 10,000 5,000 0 1月 2月 3月 図 1 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2014 年と 2015 年の各月の PKS 輸入量 (出典)財務省貿易統計 4 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 4. PKS の輸入単価 PKS の輸入単価は 12 円/kg 程度。 マレーシアとインドネシアでは、大きな価格差はない。 表 4 直近 3 年間の国別の PKS 輸入単価(単位:円/kg) マレーシア インドネシア タイ フィリピン アメリカ 総平均 2012年 8.6 9.8 23.3 23.0 9.2 2013年 12.8 10.6 2014年 12.4 11.8 46.2 11.8 12.1 5 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 5. PKS を燃料利用する木質バイオマス発電所 FIT 制度で認定済みの木質バイオマス発電所のうち、15 か所程度で、PKS を燃料とす る木質バイオマス発電所が稼働あるいは計画されている。 この他、未認定の木質バイオマス発電所においても、PKS の利用が予定されている。 数字は発電出力 (単位1,000kW、100の 単位で四捨五入) ◎稼働済み(FIT前) ○稼働済み(FIT後) ▲2015年度稼働予定 ●2016年度以降稼働 予定or詳細不明 ●34 ●50 PKSの輸入税関 (年千t以上) ●6 ●12 ●20 ◎30 ●7 ▲13 ▲17 ◎13 ▲20 ●45 ●57 ▲49 ○9 図 2 PKS を利用する木質バイオマス発電所 (出典)各種報道資料等から㈱FTカーボン作成 6 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved. 6. 2030 年の木質バイオマス発電の導入見込量と PKS の発電利用 政府が発表した 2030 年の木質バイオマス発電の導入見込量では、一般木材、農産物残 渣による木質バイオマス発電が大きく伸びると見込まれており、現状比 390 万 kW(現状 比 40 倍)増加する。国内の製材端材の大半は、既にエネルギー利用等されているため、 輸入木質燃料(チップ、PKS 等)による発電が想定されている。 しかし、 390 万 kW の発電を PKS で賄う場合には、 PKS が年間 2,000 万 t 程度必要で、 現状の PKS 輸入量が年間 20 万 t 程度の状況において、PKS の輸入量の確保が大きな課 題である。 表 5 2030 年のバイオマス・廃棄物発電の種類別導入見込量 (単位:万kW) 2030年 見込出力 【最大値】 2014年 導入済出力 未利用間伐材等 一般木材、農産物残渣 建設廃材 バイオガス 一般廃棄物等 RPS 合計 3 10 33 2 78 127 253 増加出力 24 400 37 16 124 127 728 21 390 4 14 46 0 475 (出典)総合エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し小委員会(第 8 回) 以上 7 Copyright © FT Carbon 2015 All Rights Reserved.
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