名称 著作者等 発行者 見えないだけ ことばの冠 牟礼慶子 花神社 1989

国語2
出典
教材名
季
節
の
し
お
り
春
新
し
い
短
歌
の
た
め
に
短
歌
を
味
わ
う
名称
著作者等
発行者
発行年次等
花神社
1989
筑摩書房
1962
見えないだけ
ことばの冠
牟礼慶子
アイスプラネット
書きおろし
椎名 誠
春の岬旅のをはりの鴎どり
浮きつつ遠くなりにけるかも
三好達治全詩集 新装版
せりなづな ごぎやうはこべら ほとけの
ざ すずなすずしろ これぞ七草
書きおろし
外にも出よ触るるばかりに春の月
現代の俳句6 自選自解 中村
汀女句集
中村汀女
白凰社
1969
枕草子(原文)
枕草子 新編日本古典文学全
集18
清少納言
小学館
1997
生物が記録する科学
―バイオロギングの可能性
書きおろし
佐藤克文
メディアと上手に付き合うために
書きおろし
池上 彰
新しい短歌のために
書きおろし
馬場あき子
くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の
針やはらかに春雨のふる
子規全集 第六巻 短歌 歌
会稿
正岡子規
講談社
1977
なにとなく君に待たるるここちして出で
し花野の夕月夜かな
定本 與謝野晶子全集 第一
巻 歌集一
与謝野晶子
講談社
1979
ただひとつ惜しみて置きし白桃のゆた
けきを吾は食ひをはりけり
齋藤茂吉全集 第二巻
斎藤茂吉
岩波書店
1973
海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれ
は両手をひろげていたり
寺山修司全歌集
寺山修司
講談社
2011
思い出の一つのようでそのままにして
おく麦わら帽子のへこみ
サラダ記念日
俵 万智
河出書房新社
1989
麦のくき口にふくみて吹きをればふと
鳴りいでし心うれしさ
窪田空穂全集 第一巻 歌集
Ⅰ
窪田空穂
角川書店
1965
白鳥はかなしからずや空の青海のあ
をにも染まずただよふ
若山牧水歌集
若山牧水
岩波書店
1997
不来方のお城の草に寝ころびて/空
に吸はれし/十五の心
石川啄木全集 第一巻 歌集
石川啄木
筑摩書房
1978
つばくらめ空飛びわれは水泳ぐ一つ
夕焼けの色に染りて
馬場あき子全集 第一巻 歌
集
馬場あき子
三一書房
1995
観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一
日我には一生
水惑星 栗木京子歌集
栗木京子
雁書館
1984
校庭の地ならし用のローラーに座れ
ば世界中が夕焼け
ドライ ドライ アイス
穂村 弘
沖積舎
1992
言葉の力
「ことばの力」の一部に,筆者
が加筆したもの。
大岡 信
花神社
1978
世界で一番の贈り物
世界で一番の贈り物
マイケル・
モーパーゴ
佐藤見果夢 訳
評論社
2005
1
三好達治
編集委員会
国語2
出典
教材名
コ
読
ラ
書
ム
季
節
の
し
お
り
夏
季
節
の
し
お
り
秋
漢
詩
の
風
景
季
節
の
し
お
り
冬
名称
著作者等
発行者
発行年次等
北 杜夫
新潮社
1965
与謝野晶子
講談社
1979
たまには,少し変わった本を
書きおろし
一雨ごとに落葉松の玉芽が膨らん
でくる。……既にさわやかな初夏の風
が梢を渡るようになる。
幽霊
―或る幼年と青春の物語―
夏のかぜ山よりきたり三百の牧の若馬
耳ふかれけり
定本 與謝野晶子全集 第一
巻 歌集一
盆土産
冬の雁
三浦哲郎
文藝春秋社
1980
字のない葉書
眠る盃
向田邦子
講談社
1982
モアイは語る―地球の未来
書きおろし
安田喜憲
馬追虫の髭のそよろに来る秋はまなこ
を閉ぢて想ひ見るべし
長塚節全集 第五巻
長塚 節
河出書房
1948
萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみ
なへし また藤袴 朝顔が花
萬葉集② 新編日本古典文学
全集7
山上憶良
小学館
1995
赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり
日本詩人全集2 正岡子規
高浜虚子
正岡子規
新潮社
1969
音読を楽しもう 平家物語(原文)
平家物語① 新編日本古典文
学全集45
作者未詳
小学館
1994
音読を楽しもう 平家物語(訳文)
平家物語 日本古典文庫13
扇の的―「平家物語」から(原文)
平家物語② 新編日本古典文
学全集46
扇の的―「平家物語」から(訳文)
平家物語 日本古典文庫13
仁和寺にある法師―「徒然草」から
(原文)
徒然草全注釈 上巻 日本古
典評釈・全注釈叢書
兼好法師
漢詩の風景
書きおろし
石川忠久
春望
漢詩選9 杜甫
目加田誠
君は「最後の晩餐」を知っているか
書きおろし
布施英利
落葉松
白秋全集 4
北原白秋
小さな町のラジオ発―臨時災害放送
局「りんごラジオ」
書きおろし
髙橋 厚
国境の長いトンネルを抜けると雪国
であった。夜の底が白くなった。信号
所に汽車が止まった。
川端康成全集第五巻 雪国
街をゆき子供の傍を通る時蜜柑の香
せり冬がまた来る
木下利玄全歌集
赤き実と見てよる鳥や冬椿
太祇句集
2
柴田元幸
中山義秀 訳 河出書房新社
作者未詳
小学館
中山義秀 訳 河出書房新社
1988
1994
1988
角川書店
1967
集英社
1996
岩波書店
1985
川端康成
新潮社
1969
木下利玄
岩波書店
1951
太祇
天靑堂
1926
国語2
出典
教材名
古
典
広
の
げ
世
る
界
を
郷
土
ゆ
か
り
の
作
家
・
作
品
名称
著作者等
発行者
発行年次等
太宰 治
筑摩書房
1917
花神社
1977
走れメロス
太宰治全集 3
科学はあなたの中にある
書きおろし
最相葉月
鍵
自分の感受性くらい
茨木のり子
ゼブラ
ZEBRA
訳しおろし
五重の塔はなぜ倒れないか
「五重塔はなぜ倒れないか」を
本書のために書き改めたもの。
上田 篤
新潮社
1996
「枕草子」から(原文)
第二百三十七段
第百四十五段
枕草子 新編日本古典文学全
集18
清少納言
小学館
1997
「徒然草」から(原文)
第五十五段
第百十七段
徒然草全注釈 上巻 日本古
典評釈・全注釈叢書
兼好法師
角川書店
1967
しらなみの寄せて騒げる/函館の大
森浜に/思ひしことども
一握の砂・悲しき玩具(石川啄
木歌集)
石川啄木
新潮社
1952
しらしらと氷かがやき/千鳥なく/釧
路の海の冬の月かな
一握の砂・悲しき玩具(石川啄
木歌集)
石川啄木
新潮社
1952
「や! 富士。いいなあ。」と私は叫
んだ。富士ではなかった。津軽富士と
よばれている一千六百二十五メートル
の岩木山が,満目の水田の尽きる所
に,ふわりと浮かんでいる。
太宰治全集第七巻
太宰 治
筑摩書房
1967
いま前に展く暗いものは/まさしく北
上の平野である/薄墨いろの雲につ
らなり/酵母の雪に朧ろにされて/海
と湛へる藍と銀との平野である
新編 宮沢賢治詩集
宮沢賢治
新潮社
1991
世の中はかくても経けり象潟の海士の
苫屋をわが宿にして
後拾遺和歌集 新 日本古典
文学大系8
能因法師
岩波書店
1994
象潟や雨に西施がねぶの花
松尾芭蕉集② 新編日本古典
文学全集71
松尾芭蕉
小学館
1997
秋はうつろふ樹々の色に/名のみな
りけり青葉山/図南の翼風弱く/恨
は永く名は高き/君が城あと今いか
に。
日本近代文学大系 第18巻
土井晩翠・薄田泣菫・蒲原有
明集
土井晩翠
角川書店
1972
みちのくの母のいのちを一目見ん一
目みんとぞただにいそげる
日本詩人全集10 斎藤茂吉
斎藤茂吉
新潮社
1967
陸奥をふたわけざまに聳えたまふ蔵
王の山の雲の中に立つ
日本詩人全集10 斎藤茂吉
斎藤茂吉
新潮社
1967
あれが阿多多羅山,/あの光るのが
阿武隈川。/かうやつて言葉すくなに
坐つてゐると,/うつとりねむるやうな
頭の中に,/ただ遠い世の松風ばか
りが薄みどりに吹き渡ります。
日本詩人全集9 高村光太郎
高村光太郎
新潮社
1966
3
ハイム・ポトク
金原瑞人 訳
1998
国語2
出典
教材名
郷
土
ゆ
か
り
の
作
家
・
作
品
名称
著作者等
発行者
発行年次等
長塚 節
春陽堂書店
1977
畑のへりの茶の木の花は白々と光を
帯びている。筑波山はみるみる濃い
紫に染まってきた。秋の末の晩稲を刈
るころから夕日の差しかげんで筑波山
は形容しがたい美しい紫を染め出
す。
長塚節全集 第二巻
あらたうと青葉若葉の日の光
松尾芭蕉集② 新編日本古典
文学全集71
松尾芭蕉
小学館
1997
暫時は滝にこもるや夏の初
松尾芭蕉集② 新編日本古典
文学全集71
松尾芭蕉
小学館
1997
両手をどんなに
大きく大きく
ひろげても
かかへきれないこの気持
林檎が一つ
日あたりにころがつてゐる
山村暮鳥全詩集
山村暮鳥
彌生書房
1964
野菊がよろよろと咲いている。民さん
これ野菊がと僕は我知らず足を留め
たけれど,民子は聞こえないのかさっ
さと先へ行く。僕はちょっとわきへ物を
置いて,野菊の花を一握り採った。
現代日本文学全集11 正岡子
規 伊藤左千夫 長塚節集
伊藤左千夫
筑摩書房
1975
四里の道は長かった。その間に青
縞の市の立つ羽生の町があった。田
んぼにはげんげが咲き豪家の垣根か
らは八重桜が散りこぼれた。
現代日本文学全集20 田山花
袋集(一)
田山花袋
筑摩書房
1975
自分は,大川端に近い町に生まれ
た。家を出て椎の若葉に覆われた,
黒塀の多い横網の小路を抜けると,
すぐあの幅の広い川筋の見渡される,
百本杭の河岸へ出るのである。
芥川龍之介全集 第一巻
芥川龍之介
岩波書店
1977
鎌倉のいわゆる谷の奥で,波が聞こ
える夜もあるから,信吾は海の音かと
疑ったが,やはり山の音だった。
遠い風の音に似ているが,地鳴りと
でもいう深い底力があった。
現代日本文学全集66 川端康
成集
川端康成
筑摩書房
1975
白い燈台があった。三角のシャッポ
をかぶっていた。ピカピカの海へ白日
の夢を流していた。古い思い出のに
おいがした。佐渡通いの船が一塊の
煙を空へ落とした。
風と光と二十の私と・いずこへ
他十六篇
坂口安吾
岩波書店
2008
雪は朝方やみ,確かに純白の光彩
が街全体に敷きつめられた筈なの
に,富山の街は,鈍い燻銀の光にくる
まれて暗く煙っている。
螢川
宮本 輝
筑摩書房
1978
4
国語2
出典
教材名
郷
土
ゆ
か
り
の
作
家
・
作
品
名称
著作者等
発行者
発行年次等
室生犀星
筑摩書房
1975
うつくしき川は流れたり/そのほとりに
我は住みぬ/春は春,なつはなつの
/花つける堤に坐りて/こまやけき本
のなさけと愛とを知りぬ
現代日本文学全集53 菊池寛
室生犀星集
おれは荒磯の生れなのだ/おれが生
れた冬の朝/黒い日本海ははげしく
荒れていたのだ/怒濤に雪が横なぐ
りに吹きつけていたのだ
三十五歳の詩人
高見 順
中央公論社
1977
三七七八米の富士の山と,立派に
相対峙し,みじんも揺るがず,何と言う
のか,金剛力草とでも言いたいくら
い,けなげにすっくと立っていたあの
月見草は,よかった。富士には,月見
草がよく似合う。
太宰治全集第二巻
太宰 治
筑摩書房
1967
急に,熱い雨が落ちてきた。雷の音
も聞こえた。浅間はふもとまで隠れて,
灰色に煙るように見えた。いくつかの
雲の群れは風に送られて,私たちの
頭の上を山の方へと動いた。
藤村全集第五巻
島崎藤村
筑摩書房
1967
鵜匠は舳先に立って十二羽の鵜の
手縄を巧みにさばいている。舳先の
篝火は水を焼いて,宿の二階から鮎
が見えるかと思わせる。
川端康成短編全集
川端康成
講談社
1965
例年より早い冬がやって来た。十一
月の初めにはもう富士は真っ白だっ
た。そして同じ月の終わりには,天城
続きの一帯の山々に初雪が降った。
あすなろ物語・緑の仲間〈井上
靖小説全集6〉
井上 靖
新潮社
1972
名も知らぬ遠き島より/流れ寄る椰子
の実一つ/故郷の岸を離れて/汝は
そも波に幾月
日本近代文学大系 第15巻
藤村詩集
島崎藤村
角川書店
1971
町を外れてまだ二里程の間は平坦
な緑。I湾の濃い藍が,それの彼方に
広がっている。裾のぼやけた,そして
全体もあまりかっきりしない入道雲が
水平線の上に静かにわだかまってい
る。
檸檬
梶井基次郎
新潮社
1967
紀の国の五月なかばは/椎の木のく
らき下かげ/うす濁るながれのほとり
現代日本文学全集58 佐藤春
夫集
佐藤春夫
筑摩書房
1975
近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もし
のに古思ほゆ
萬葉集① 新編日本古典文学
全集6
柿本人麻呂
小学館
1994
あかねさす紫草野行き標野行き野守
は見ずや君が袖振る
萬葉集① 新編日本古典文学
全集6
額田王
小学館
1994
5
国語2
出典
教材名
郷
土
ゆ
か
り
の
作
家
・
作
品
名称
著作者等
発行者
発行年次等
いったい私はあの檸檬が好きだ。レ
モンエロウの絵の具をチューブから搾
り出して固めたようなあの単純な色も,
それからあの丈の詰まった紡錘形の
格好も。
檸檬
梶井基次郎
新潮社
1967
海恋し潮の遠鳴りかぞへては少女と
なりし父母の家
日本詩人全集4 与謝野寛
与謝野晶子 吉井勇
与謝野晶子
新潮社
1967
ふるさとの和泉の山をきはやかに浮け
し海より朝風ぞ吹く
與謝野晶子全集 第三巻
与謝野晶子
文泉堂出版
1976
あをによし奈良の都は咲く花の薫ふが
ごとく今盛りなり
萬葉集① 新編日本古典文学
全集6
小野老
小学館
1994
み吉野の山の秋風さ夜更けて故郷寒
く衣打つなり
新古今和歌集 新編日本古典
文学全集43
藤原雅経
小学館
1995
燈火の明石大門に入らむ日や漕ぎ別
れなむ家のあたり見ず
萬葉集① 新編日本古典文学
全集6
柿本人麻呂
小学館
1994
淡路島かよふちどりのなくこゑにいく
夜ねざめぬ須磨の関守
金葉和歌集 詞花和歌集 新
日本古典文学大系9
源兼昌
岩波書店
1989
お盆にのせて椎の実出されふるさと
尾崎放哉全句集
尾崎放哉
筑摩書房
2008
春の山のうしろから烟が出だした
尾崎放哉全句集
尾崎放哉
筑摩書房
2008
私は古京町の生まれであって,古京
町には後楽園がある。子供のときから
朝は丹頂の鶴のけれい,けれいと鳴
きわたる声で目を覚ました。
現代日本文学全集47 中勘助
内田百閒集
内田百閒
筑摩書房
1975
八雲立つ出雲八重垣妻籠みに八重
垣作るその八重垣を
古事記 新編日本古典全集
1
小学館
1997
峠 三吉
風土社
1970
金子みすず
岩波書店
1957
壺井 栄
筑摩書房
1975
ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ
わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ
峠三吉全詩集 にんげんをか
えせ
にんげんの にんげんのよのあるかぎ
り
くずれぬへいわを
へいわをかえせ
朝焼小焼だ/大漁だ/大羽鰮の/
大漁だ。
日本童謡集
百戸余りの小さなその村は,入り江
の海を湖のような形に見せる役をして
いる細長い岬の,そのとっぱなにあっ
たので,対岸の町や村へ行くには小
舟で渡ったり,うねうねと曲がりながら
続く岬の山道をてくてく歩いたりせね
ばならない。
現代日本文学全集 補巻5
壺井榮集
6
国語2
出典
教材名
郷
土
ゆ
か
り
の
作
家
・
作
品
名称
著作者等
発行者
発行年次等
子供の頃,春は巡礼の鈴の音に
乗って運ばれてくるものと思ってい
た。その爽やかな鈴の音と物哀しい巡
礼歌は,吉野川ぞいの黄金色の菜の
花畑のかげろうの中から湧いてきた。
瀬戸内寂聴随筆選 第五巻
旅・見はてぬ地図
瀬戸内寂聴
ゆまに書房
2009
鶏頭の十四五本もありぬべし
日本詩人全集2 正岡子規
高浜虚子
正岡子規
新潮社
1969
蕎麦白き道すがらなり観音寺
河東碧梧桐全集 第二巻
河東碧梧桐
短詩人連盟
2002
金亀子擲つ闇の深さかな
日本詩人全集2 正岡子規
高浜虚子
高浜虚子
新潮社
1969
一面,緑に覆われた山を下る沢や
谷は,水を絶やすことなく四万十川に
流れを注ぎ続ける。四万十川は,その
流れを自分に集め,下るにつれて水
量を増し,その様相を変えていく。
四万十川-あつよしの夏
笹山久三
河出書房新社
1991
ほうつほうつと蛍が飛ぶ……/しとや
かな柳河の水路を,/定紋つけた古
い提灯が,ぼんやりと,/その舟の芝
居もどりの家族を眠らす。
北原白秋詩集(上)
北原白秋
岩波書店
2007
次郎は,お浜の娘のお兼とお鶴とを
相手に,地べたに蓆を敷いて,ままご
と遊びをしている。場所は古ぼけた小
学校の校庭だが,森閑として物音ひと
つしない。
昭和文学全集58 下村湖人集
下村湖人
角川書店
1955
炭小屋で我々は初めて自分たちが
到着した場所がどこであったかを教え
てもらいました。長崎から十六レグワ
の距離にあるトモギという漁村なので
す。
沈黙
遠藤周作
新潮社
1981
馬は草をたべてゐる/艸千里浜のと
ある丘の/雨に洗はれた青草を 彼ら
はいつしんにたべてゐる/たべてゐる
日本詩人全集21 三好達治
三好達治
新潮社
1967
市九郎は,岩壁にすがりながら,お
ののく足を踏みしめて,ようやく渡り終
わってその絶壁を振り向いた刹那,彼
の心にはとっさに大誓願が,勃然とし
てきざした。
菊池寛 短編三十三と半自叙
伝
菊池 寛
文藝春秋
1977
幾山河越えさり行かば寂しさの終てな
む国ぞ今日も旅ゆく
若山牧水歌集
若山牧水
岩波書店
2004
ふるさとの尾鈴の山のかなしさよ秋も
かすみのたなびきて居り
若山牧水歌集
若山牧水
岩波書店
2004
崖の上に,落日に染められた桜島
岳があった。私が歩くにしたがって,
樹々に見え隠れした,赤と青との濃淡
に染められた山肌は,天上の美しさで
あった。
現代日本文学全集82 椎名麟
三 野間宏 梅崎春生集
梅崎春生
筑摩書房
1975
蛇皮線の島/泡盛の島//詩の島
/踊りの島/唐手の島
世界の詩60 山之口貘詩集
山之口貘
弥生書房
1968
7