日本市場の空売り制度の概要 (2015年4月時点) 空売りの原則禁止 (金融商品取引法第162条第1項第1号) 相場を売り崩す相場操縦的行為を一般的に防止する目的 但し、関連法令により以下の“空売り”は可能に 株式を借りて売る空売り 信用取引 制度信用 証券金融会社の調 達力により“空売り” 銘柄が限定 一般信用 各証券会社によって 株式調達力が異なり 取扱い銘柄も違って いる 貸株市場より調達 自社顧客より調達 大株主より直接調達 価格規制 明示・確認義務 前日若しくは当日10%以上 下落した場合の売り下がり禁 止(アップティック・ルール) 証券会社が“空売り”を確認す る必要がある 株式手当てない空売り禁止 株式手当てを証券会社が確 認 空売りポジション報告義務 一定規模以上の空売りポジ ション保有者は、取引所へ報 告、取引所は公表へ “空売り”に関するネット証券の工夫 信用取引(一般信用)の拡充 新興市場銘柄など、制度信用で は“空売り”出来ない株式の調達 ニーズにどうこたえるか “空売り”対象銘柄数の増加 一日信用取引での対象銘柄数拡充 直接、間接に貸株市場への参加 自社顧客への貸株サービス強化 自社信用取引(一般信用)での信用買い 株式の活用 自社内、株式の有効活用 貸 株 調 達 力 強 化 短期間信用取引での空売り銘柄拡充 “空売り”の課題 貸株調達力 アップティック・ルール運用 空売り情報 空売りの代替機能 • 証券会社によって貸株調達力の差が出ており、ネット証券間でも 今後の信用取引顧客獲得競争のポイントとなる • 貸株市場は相対市場なので、貸株及び貸株コスト情報が一部証 券に偏在しやすい(結果、証券会社と投資家の情報格差が大き い) • 2013年11月より、同ルールは緩和(10%株価下落の場合適 用)されているが、個人のネット取引では指値以外、殆どの証券会 社が適用したまま(証券会社のシステムの問題か)で、個人が同 ルール緩和の恩恵を受けていない。 • リーマンショック後導入された大口(発行済みの0.2%以上)空売り 報告が恒久化され、取引所で公衆縦覧(公表分は発行済みの 0.5%以上)されるが、報告基準日にバラつきがあり正確性を欠く • この情報の代替として、貸株状況に関する情報公開があるが、現 状は証券保管振替機構で検討中(2014年1月より、全ての貸株は 機構でDVP決済されるので、貸株取引状況の銘柄毎把握も可能) • 個人の信用取引による空売りの代替として、個別株CFD(Contract For Difference=差金決済取引)があるが、今までは個人向けCFD を撤退する証券会社が多かった。 • デリンティブ取引なので、空売り規制の対象ではないが、個人の場 合はロスカット・ルールの対象となり、現物取引、信用取引との併 用が難しかった。 空売り動向 (2015年4月時点) 株式の売買代金に占める空売り(金額ベース) 個人の信用売り 億円 800,000 93,646 100,000 700,000 90,000 76,169 80,000 600,000 70,000 500,000 470,317 400,000 60,000 59,094 50,000 40,000 300,000 30,000 200,000 48,802 20,000 10,000 162,318 空売り(価格規制有り) 空売り(価格規制なし) 実注文 ※空売りの価格規制なしは、 ・新株予約権付社債などのつなぎ売り ・指数先物との裁定取引 ・個人投資家の50単位までの信用売り 等 2015年3月 2015年2月 2015年1月 2014年12月 2014年11月 2014年10月 2014年9月 2014年8月 0 2014年7月 2014年4月 0 2014年6月 100,000 2014年5月 億円 個人の取引に占める 55~65%程度が信用取引 個人信用取引の買い越し額 億円 3,524 4,000 3,009 3,000 1,000 -2,362 2015年3月 2015年2月 2015年1月 2014年12月 2014年11月 2014年10月 2014年9月 -3,000 2014年8月 -2,000 2014年7月 -1,000 2014年6月 0 2014年5月 ※東証の統計資料から、弊社作成 2,000 2014年4月 取引(金額ベース)の 3割程度が空売り 貸株(日本株レンディング)市場のイメージ 株式の貸し手 株式の借り手 貸株市場(日本株レンディング) 裁定取引・トレーディ ング目的の売り (ヘッジファンド・証券 会社・プロップハウス 等) 大株主(個別契約等) 中長期保有目的の機 関投資家(年金・保険・ ファンド 等) 証券会社や外国証券・ 信託銀行などが 直接・間接に貸出す取引 自社顧客の保有分 一般信用 証券会社 制度信用 証券金融会社 信用取引の売り (主に個人投資家) ※信用取引以外は相対取引なので、全体像 は把握しにくいが、借りる目的は空売りなので、 結果は見ることが可能 ※2014年1月より、日本株に関する全ての 貸株取引は、証券保管振替機構でDVP(株 式と担保資金の同時受渡し)決済される 制度信用の買い
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