東北大学 工学研究科・医学系研究科 『工学と生命の倫理』・『生命倫理』 Tohoku University Ethics of Engineering and Life / Life Ethics 2015 年度 講師: 中里 第3回(4 月 22 日) 信和 題目: てんかん医療と倫理 NAKASATO Nobukazu Medical and ethical aspects of epilepsy <概要・Summary> (受講者のレポートからの抜粋・Selected from the students' assignments) 1. てんかんという病は,神経病であり,脳ある動物は誰でもなる可能性がある.感染はなく, 100 人に 1 人がてんかんであると言われている.てんかん発作にも様々な種類があり,日常 生活の中で突発的に起こる.発作があったとしても周囲の人が落ち着いて対処すれば普通の 生活を送ることは十分可能であり,安い薬で発作を抑えることもできる.しかし,患者自身 も症状を認知していない場合や,医者でさえも気づかないことがある.また,世間的にもて んかんについての認識があまりなく,差別や偏見があるのが現状である. 2. Even in the modern era, it is still no so common of people to be aware of what exactly epilepsy is, and that is the biggest problem for people who suffer from epilepsy to be faced with. The symptom of epilepsy differs, from the generalized seizure to the simple partial seizure, thus it becomes harder for the people around the patients to figure that out. So the education, in another word, the spread of the epilepsy knowledge is the most important solution to the all problems at present. If only their life environment be equipped with this, the patients could get rid of the inconvenience and the discrimination in the daily life. 3. てんかんとは脳の異常活動によって引き起こされる病気である.脳の様々な部分が活発化さ れるため,発作の種類は多岐にわたり症状によっては日常生活に支障をきたす.てんかんの ほとんどが薬で治療することが可能であり,薬で治療できない場合は手術が行うこともでき る.なお診療の際は問診が重要となる.てんかんの症状が原因で引き起こされた事故等によ り,てんかん患者に対する差別は今なお存在する.これらの差別はてんかんへの理解不足に 起因しており,これを解消するためには社会のてんかんやその患者に対する理解を深めるこ とが肝要である. <意見・Opinion> (受講者のレポートからの抜粋・Selected from the students' assignments) 1. この講義を受ける前と後では、てんかんについての印象がまったく異なるものとなった。私 はてんかんについての知識がほとんどなく、受講前のてんかんのイメージは体が発作により 急に痙攣したりしてしまうというイメージだった。今まで実際にてんかんを持つ人を見たこ とがなく、発作に遭遇したこともなかったため、てんかんの動画は衝撃的だった。また、こ んなにもたくさんの種類のてんかんが存在するとは思わなかった。この講義により私のてん かん、てんかんの方に対する理解は非常に深まったと感じる。 私は、一般の人はてんかんに関する知識、及びてんかん発作への対策知識が十分でないと考 える。そのことは、今回の講義でもてんかんをみたことがない人が大多数いたことから感じ たし、日常生活においても普段接することがないと感じる。よって、まさに中里先生のよう に一般の人々に周知していく活動が必要であると考える。そうすることによって、社会全体 がてんかんに対する理解を深めることができ、他人あるいは自分が発作を起こしたときに正 しい対応ができると考える。また、てんかんへの偏見や差別も少なくできると考える。 2. てんかんとは,全身けいれんが起きること,治らない病気であることと思っていたが間違い だった.てんかんには様々な症状があること,薬や手術で発作が止まる人は 7 割にも達する ことを初めて知った.てんかん患者と聞き,自動車事故を思い出した.当時,ニュースや新 聞による報道はてんかん患者の免許取得に否定的な意見が多かった.自分自身もてんかん患 者に対して偏見を持っていたが,それはてんかんに関する知識を持っていないからであるこ とに気づいた.てんかんに関する知識を習得することでてんかん患者に対する偏見をなくす ことができる.そして,てんかんに対して偏見を持つ人に自分の習得した知識を伝えていき たい. 3. 私はベトナムの田舎から日本に来て、今回の授業のきっかけで、自分の住んでいた村のこと を思い出しました。私の村で、てんかんがかかる人がいて、周りの人はてんかんに関する知 識がなかったので、悪魔がその患者さんに取り付いていると信じました。また、その患者さ んがてんかんの病気をかかっているから、働かせませんでした。当時、自分がまだ小さかっ たので、ものことを考えなく、ただその人が怖いなと思いました。しかし、今回の授業を通 して、てんかんについていろいろなことを分かってきました。自分でもてんかんが起きる可 能性があることや、てんかんに対する対応を分かってきました。 4. Before this class, i did not know anything about epilepsy except that it is a horrible disease. We watched many videos of different epilepsy patients, which shocked me greatly. But we shouldn't discriminate them. We know that there is a treatment gap because of the lack of trained staff, poor access to anti-epileptic medicines, societal misconceptions, poverty and low prioritization for the treatment of epilepsy. They need people's understanding and the society's love. When we meet a patient, we should help them. Even a smile or hug, it will make the society much better. 5. 私は,てんかんに関し多くの人にその病気について教育を行うことは良いことだと思う。て んかんに関して誤解などが一般人のみならず医師などにもあることが多くの患者さんを治 療から遠ざけているのではないかと思った。また,患者さん側に立ってみても,てんかんに 関して誤解や自身の病状を過度に楽観視している現状が危険であることがわかり,そのよう な状況を改善すべきではないかと思った。今回はてんかんについてのお話であったが、エイ ズなど他の病気でも誤解によって避けられたりするなど同じような歴史を繰り返してきた のではないかと思った。このようなことを何度も繰り返さないように多くの人が医学に触れ て正しい行動ができるような社会の仕組みづくりということも今後議論する必要があるの ではないかと思った。 6. This was a great class regarding epilepsy. The slides were the best I've seen so far in any lecture this semester. Very informative, very visual. Japanese professors tend to use so many words on their slides and just read what we can already read anyways. This presentation was good and it also had many videos for us to clearly understand each type of epileptic seizure. It cleared any misunderstanding regarding epilepsy patients and also brought to light some problems they have to deal with. These kind of problems can even be categorized as discrimination which is why it is a very controversial topic, however, one that must be discussed. I appreciate the doctor's (lecturer's) will to promote awareness of epilepsy and fight for epileptic patients welfare and rights. I was really touched by the story of Cassie the epileptic elementary school girl whose professor's aided by making the class aware of the disease and assuring her friends and classmates were understanding of her situation. I am glad this doctor is taking the same approach here by celebrating Cassie day and holding symposiums for epilepsy. 7. てんかんという病気は,これまでは名前は知っていても,具体的な症状や対処方法など,基 本的な知識がなく,以前に「てんかんが原因で仕事を辞めさせられた」といったことを聞い たときは,そういうものなのかと思っていましたが,今回の講義でその認識が大きな間違い であったと感じました.世間には以前の私と同じような認識の人が多くいると思います.て んかんを持っていても普通に生活できるのに医者や世間の間違った認識のために肩身の狭 い思いをしたり,不自由に思ったりするのは,一人の人間としてとても悲しく思います.今 後てんかんを持つ人にあったり,てんかんの話題があがったりした時には,中里先生のよう にいつものように接したり,少しでもてんかんに対する認識を変えたりできるようにしたい と思います. 8. 今回の講義を通じて,正しくてんかんという病気について学んだ。まず一番にマスコミで取 り上げられるてんかんのイメージと,今回の講義によって知ったてんかんのイメージが全く 異なることに驚いた。以前は治らない病気であったかもしれないが,てんかんは投薬により 症状を抑えることができ,普通の生活が送れるようになってきたことを,もっと取り上げて いくべきだと感じた。さらに今回の講義のように症状を再現することで,患者だけでなく非 罹患者も意識改革ができうると考えられる。また情報化社会に身を置く中で,正しい知識を 身につけ,情報を鵜呑みにするのではなく,自分で考え判断することの重要性を改めて実感 した。 9. マスコミによる,てんかん患者による痛ましい事故の報道を受けて,発作のおそれがあるの であれば運転免許の取得には否定的な意見を持っていた。しかし今回の講演で,誰でもかか りうること,また新薬開発や外科治療の向上により健常者と変わらない生活を送ることが出 来ることを学んだことにより,私は安易な意見を持っていたことを自覚した。特に若年の男 性よりもてんかんを患っているドライバーのほうが事故率がかなり低い(1/5 程度)ことを聴 き,確かにてんかんを持っている人に運転免許を与えないというのは間違った考え方であっ た。私の周りにはてんかん患者はいないが,世界中の 100 人に 1~2 人がてんかんを患って いるため,患者が倒れる瞬間に立ち会う可能性がある。そのような状況になった際の対処法 も教えていただき,大変意義のあるものになった。 10. 正直、てんかんというものはニュースで聞いたかぎり自動車を運転中に発作で意識を失うこ とがあり事故を引き起こす可能性のある病という認識でした。交通事故を起こす可能性の高 いてんかんの患者は自動車を運転するべきではないと思っていました。ですが今回の公演を 聞いて認識が変わりました。てんかんの発作の頻度は薬によってかなり抑えることができる 場合もあるということを聞いて免許の交付を認める必要かもしれないと思いました。発作の 可能性があるひと全員へ免許の交付を禁止すれば発作による事故は減るかもしれないが、も し自分がてんかん患者であれば 3,4 年も発作がないのに車が運転できないという不利益を 被るのは納得できない。しかし、もし自分が事故の被害者の家族となれば免許の交付に反対 するかもしれない。非常に難しい問題なのだとわかりました。そういう意味で今回の公演は 有意義でした。
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