自由空間光通信(FSO)研究分野について

早稲田大学基幹理工学部 電子光システム学科・電子光システム専攻
早稲田大学大学院 国際情報通信研究科
松本充司 研究室
自由空間光通信(FSO)研究分野について
1.概要
本研究は、光無線通信の研究をしています。FSO とは光を用
いて行う無線通信のことで、FSO には大別すると従来型と次世代型と
なるフル光接続型の 2 種類があります。本研究ではフル光接続型の
FSO についての研究を行っています。
一方、次世代型の FSO は光ファイバからの光をそのまま大気
中を伝搬させ、再び光ファイバに接続して、シームレスな接続を実現
したもので、フル光接続型と言われます。上記の従来型とは違い受光
部にデバイスを用いていないため、高速・大容量化が望めます。
2.FSO の背景
日本では主に光ファイバによる有線通信と携帯電話網 (3G
や LTE)に代表される無線通信によって行われています。しかし、有
線通信は敷設やメンテナンスのコストが掛り、採算的に提供しにくい
地域が存在します。また、都市部においても光ファイバの引き込みが
困難な建築物は多く存在します。そのような場所には無線通信による
サービスが提供されています。しかし、無線電波には電波が届かない
地域があるうえ、電波は有限資源であるため使用できる帯域が限られ
ているという問題があります。
これらの問題に対する解決策の 1 つとして、FSO があります。
FSO は有線通信の速度・容量を持ちつつ、無線の柔軟性・整備迅速性
を持ち、無線のための周波数を確保する必要がない通信方式です。ま
た、無線電波を光信号に変換して FSO で通信する RoFSO(Radio on Free
Space Optics)により、無線電波の届かない地域にも無線電波を届く
ようにすることも研究されています。
図 3 フル光接続光無線
http://evangelion.ml.giti.waseda.ac.jp/images/033fso3_r4_c1.gif
4.FSO の現在、考えられている活用法
FSO はその特性上、ビル間通信や災害時の臨時回線、宇宙空
間での衛星間通信などでの使用が期待されています。
図4
ビル間通信
http://www.freespaceoptics.org/freespaceoptics/default.cfm
図1
RoFSO の概略
http://www.nict.go.jp/press/2010/12/03-1.html
3.FSO とは
図5
FSO とは光を用いた無線通信です。従来型 FSO では、送受信
部で信号を光に変換(E/O 変換)し送信、自由空間を伝送された光を PD
(フォトダイオード)というデバイスで再び光から電気信号へ変換
(O/E 変換)、受信を行う方式です。この方式ではデバイスの応答速度
の関係上、高速化が望めないという問題があります。
FSO 利用例[6]
5.松本研究室での研究
現在、松本研究室では上記の光無線システムの検討を行い、実用化
に関する研究を行っております。そのために、実際に実験を行ったり、
数値計算を基にシミュレーションによる検討を行ったりしています。
6.参考文献
1. FSO 伝送時における通信品質評価 坂田友秀
2011
2. FSO におけるガラス越し通信時の号品質評価 中川剛
3. 自由空間光通信に与える地震の影響の検討
堀田翔
2012
2012
4. FSO における鏡面反射通信時の信号品質評価 松本雄輔 2013
5. http://evangelion.ml.giti.waseda.ac.jp/en/home/research_fso
図 2 従来型 FSO
http://evangelion.ml.giti.waseda.ac.jp/images/033fso3_r2_c1.gif
6. Studies on Performance of radio on Free Space Optical Communication
Systems
Bekkali Abdelmoula 2010