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脊椎関節炎の診断と管理に関する画像検査:EULAR recommendation
金沢大学附属病院 リウマチ・膠原病内科
鈴木 康倫
1. Axial SpA:診断
A. 従来の仙腸関節単純写真は axial SpA の一症状である仙腸関節炎を診断する最初の
画像検査として推奨する。若年者や罹病期間の短い患者では、最初の画像検査とし
て仙腸関節 MRI も選択肢である。
B. 臨床所見や単純写真で axial SpA の診断が困難だが、疑われる場合、仙腸関節 MRI
を推奨する。MRI では炎症変化(初期には骨髄浮腫)および構造変化(骨びらん、
骨新生、硬化、脂肪浸潤など)を検討すべきである。脊椎 MRI は一般に axial SpA
の診断には推奨しない。
C. 単純写真と MRI 以外の画像検査法は一般に axial SpA の診断には推奨しない。
2. Peripheral SpA:診断
Peripheral SpA が疑われる場合、エコーまたは MRI が末梢付着部炎の検出に有用であ
り、診断を支持するかもしれない(may)。更に、エコーまたは MRI は末梢関節炎、腱滑
膜炎、滑液包炎の検出に有用かもしれない(might)。
3. Axial SpA:活動性モニタリング
仙腸関節かつ/または脊椎 MRI は、axial SpA の活動性評価とモニタリングに有用であ
り(may)、臨床および生化学的評価に追加情報を与える。MRI を再検するタイミングは
臨床状況による。一般に STIR で炎症の検出には十分であり、造影剤は不要である。
4. Axial SpA:構造変化モニタリング
仙腸関節かつ/または脊椎 MRI は axial SpA における構造変化、特に骨新生の長期観察
に有用かもしれない(may)。その場合、1 年おきより頻回に施行すべきではない(should)。
MRI は追加情報を与えるかもしれない(may)。
5. Peripheral SpA:活動性モニタリング
エコーおよび MRI は peripheral SpA における滑膜炎や付着部炎などの活動性評価に有
用であり(may)、臨床および生化学的評価に追加情報を与える。エコー/MRI を再検する
タイミングは臨床状況による。高感度カラー・パワードプラーで炎症の検出に十分であ
り、超音波造影剤の使用は不要である。
6. Peripheral SpA:構造変化モニタリング
Peripheral SpA において、構造変化のモニタリングを要する臨床状況では単純写真を
推奨する。MRI かつ/またはエコーは追加情報を与えるかもしれない(might)。
7. Axial SpA:予後/重症度予測
強直性脊椎炎(nr-axial SpA ではない)において、初期の腰椎および頸椎単純写真が
syndesmophyte の検出に推奨される。これは新たな syndesmophyte 形成の予測因子で
ある。MRI における椎体 corner の炎症や脂肪変性も同様に新たな syndesmophyte 形
成の予測因子として有用である。
8. Axial SpA:治療効果予測
特に強直性脊椎炎患者の椎体において MRI における広範な炎症所見(骨髄浮腫など)
は、axial SpA に対する抗 TNF-α阻害薬の治療反応性の予測因子である。身体診察と
CRP に加えて MRI が、抗 TNF-α阻害薬開始を決断する助けとなるかもしれない
(might)。
9. 椎体骨折
Axial SpA における椎体骨折が疑われる場合、単純写真を最初の画像検査として推奨す
る。単純写真で陰性であった場合は CT を施行すべきである(should)。MRI は CT の代
替検査で、軟部組織病変の情報を与える。
10. 骨粗鬆症
単純写真で腰椎に syndesmophyte を認めない axial SpA 患者では、hip DXA および
AP-spine DXA で骨粗鬆症の評 価を行うべきである (should)。単純 写真で腰椎 に
syndesmophyte を認める患者では、hip DXA で骨粗鬆症の評価を行うべきである。側
面像の spine DXA または椎体の QCT(quantitative CT)も評価を補完する。
多発性付着部炎研究会事務局より
EULAR recommendation の原文はメーリングリストに添付します。