(2015 年 5 月号掲載) 高崎駅周辺地域の動きと今後の課題 群馬経済研究所主任研究員 ― 要 約 伊勢和広 ― 1. 高崎駅周辺では、利便性や将来性が高いため、多くのマンションが建設されてお り、近年の販売状況は好調である。今後もマンションには一定の需要が見込めるも のの、建設に適した土地は少なくなってきている。 2.駅周辺のオフィス需要については、高崎の空室率は北関東3県では比較的低い状 況にあるものの、全体的に新規需要は少ないとみられる。 3. 駅周辺の人口・世帯数は、マンションの増加もあって、ここ5年間は増加基調で 推移している。一方、街のにぎわいを表す歩行者・自転車通行量は近年低調であっ た。にぎわいを取り戻すためには、定住人口だけではなく、今後は観光等で高崎市 を訪れる人(交流人口)を増やす必要がある。 4.こうしたなか、高崎駅周辺ではイオンモールの出店、高崎文化芸術センターや高 崎市新体育館の建設など再開発プロジェクトが予定されている。これら集客力の高 い施設の建設は、交流人口を増やす絶好のきっかけとなり、高崎市も交流人口の増 加につながる街づくりを支援する方針である。 5. また、交流人口を増加させるためには、世界遺産の富岡製糸場の見学客が高崎に も足を運ぶような仕組みを作るなど、周辺の自治体と民間が一緒になって、交通面、 観光面、産業面など様々な切り口の連携を目指す必要がある。また、交流人口のな かでも、たくさんの消費をしてくれる「県内滞在者」を増やすためには、 「高崎以外 にはない」、「群馬以外にはない」ものを来訪者に示すことも重要だと思われる。全 国あるいは世界との「交流人口」を増やすことは、高崎駅周辺だけではなく、本県 全体の発展につながることとなろう。
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