「基本練成講義」テキスト(PDF)

労働基準法
-1-
労 働 基 準 法
ポイント
内
容
ページ
Point1
労働基準法の基本原則
p3-8
Point2
労働契約と契約期間・労働条件の明示
p9-12
Point3
解雇・解雇制限・解雇予告
p13-15
Point4
労働時間・休憩・休日
p16-22
Point5
みなし労働時間・裁量労働制
p23-24
Point6
変形労働時間制
p25-28
Point7
年次有給休暇
p29-33
Point8
賃金・平均賃金・休業手当・割増賃金
p34-44
Point9
年少者
p45-47
Point10
妊産婦等
p48-50
Point11
就業規則
p51-53
Point12
寄宿舎・帳簿・時効その他
p54-56
Point13
労基法 縦断 その1 労使協定
p57
Point14
労基法 縦断 その2 認定・許可
p58
出題ランクについて
A+ … 確実に押さえたい項目、周辺知識も整理
A
… 確実に押さえたい項目
B
… できれば押さえたい項目
C
… 時間的余裕があれば
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Point1 労働基準法の基本原則
ランク B
1 目的(労働基準法1条)
① 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでな
ければならない。
② この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者
は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その
向上を図るように努めなければならない。
□ 労働条件とは、賃金、労働時間等のほか、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎の施設
等を含む労働者の職場におけるすべての待遇のことである。
□ 労働基準法1条が禁止しているのは、労働基準法に規定があることを労働条件低下の
決定的な理由とすることである。社会経済情勢の変動等他に決定的な理由がある場合
は抵触しない。
2 労働条件の決定(労働基準法2条)
① 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
② 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々そ
の義務を履行しなければならない。
□ 労働基準法1条・2条は訓示規定で、罰則は設けられていない。
□ 訓示規定等であり罰則の適用がないもの
法1条(労働条件の原則)
法2条(労働条件の決定)
法94条1項(寄宿舎における私生活の自由)
⇒2項(寄宿舎生活に必要な役員の選任に干渉した場合は罰則の適用あり)
法95条4項(寄宿舎規則の遵守)
法附則136条(年次有給休暇の取得に係る不利益取扱い)
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3 均等待遇(労働基準法3条)
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その
他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
□ 「解雇」は労働条件に含まれるが、「雇入れ」は労働条件に含まれない。
例えば、その者の信条を理由として雇入れを拒否しても法3条違反とはならない。
4 男女同一賃金の原則(労働基準法4条)
使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取
扱いをしてはならない。
□ 女性であることのみを理由とする賃金についての差別の禁止を定めている。
(職務の能率、技能等によるものは禁止されない。)
□ 不利に取扱う場合だけでなく有利に取扱う場合も禁止。
□ 賃金額そのものの他、賃金体系、賃金形態等についての差別的取扱いも禁止。
□ 就業規則に、賃金について差別待遇の規定があっても、現実に差別的取扱いが行われ
ていない場合には、その就業規則の該当規定が無効になるだけで、法4条違反とはな
らない。
均等待遇(法3条)
男女同一賃金の原則
(法4条)
差別理由
差別禁止事項
国籍、信条又は社会的身分
賃金、労働時間その他の労働条件
女性であること
賃金
5 強制労働の禁止(労働基準法5条)
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によっ
て、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
本条が適用されるには、労働を強制する使用者と強制される労働者との間に労働関係が
あることが前提となる。この労働関係は、労働契約の成立にかかわらず、事実上労働関係
が存在すると認められる場合であれば足りる。
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□ 強制労働の禁止(法5条)違反⇒1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以
下の罰金(労基法上最も重い罰則)
6 中間搾取の排除(労働基準法6条)
何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を
得てはならない。
□ 「法律に基いて許される場合」とは、職業安定法に規定する有料職業紹介事業等が該
当する。
□ 「業として」とは、同種の行為を反復継続することをいう。1回の行為であっても、
反復継続する意思があれば足り、主業か副業かは問わない。
□ 労働者派遣は、派遣元と労働者との間の労働契約関係及び派遣先と労働者との間の指
揮命令関係を合わせたものが全体として当該労働者の労働関係となるものであるため、
所定の手続を踏まないで行われている違法な労働者派遣事業であっても、当該労働者
派遣事業の事業主が業として労働者派遣を行う行為は、「何人も、法律に基づいて許
される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」と規定する
労働基準法6条の中間搾取には該当しない。
7 公民権行使の保障(労働基準法7条)
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務
を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。ただし、権利
の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。
該当事例
公民権の行使
① 選挙権、被選挙権の行使
② 最高裁判所裁判官の国民審査
③ 行政事件訴訟法に規定する民衆
訴訟、地方自治法に規定する住民
訴訟
個人としての訴権の行使
不該当事例
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公の職務
① 衆議院議員その他の議員、
陪審員、労働委員会の委員、
検察審査員、労働審判員、
裁判員
② 民事訴訟法による証人
① 予備自衛官が防衛招集、訓
練招集に応ずること
② 非常勤の消防団員
□ 「市議会議員をはじめとする公職に就任しようとするときは、会社の承認を受けなけ
ればならず、これに反して承認を得ずに公職に就任した者は懲戒解雇に付する」旨の
就業規則の規定は、無効である。
□ 公民権行使等の時間については、使用者に賃金支払義務は課されていない。
8 賠償予定の禁止(労働基準法16条)
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約
をしてはならない。
□ 本条は、金額を予定することを禁止するのであって、現実に生じた損害について賠償
を請求することを禁止する趣旨ではない。
□ 違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約の締結は、労働者本人に限定されてい
ないため、親権者、身元保証人等との間で契約することも禁止されている。
□ 労働基準法16条違反は、違約金やあらかじめ定めた損害賠償額を徴収したときに成立
するのではなく、これらの契約を締結したときに成立する。
9 前借金相殺の禁止(労働基準法17条)
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはな
らない。
□ 労働者が合意又は同意した場合であっても、使用者は前借金その他労働することを条
件とする前貸の債権と賃金を相殺することはできないが、労働者が自己の意思によっ
て相殺することはできる。
□ 労働者からの申出に基づき、生活必需品の購入等のための生活資金を貸し付け、その
後この貸付金を賃金より分割控除する場合においても、その貸付の原因、期間、金額、
金利の有無等を総合的に判断して、労働することが条件となっていないことが極めて
明白な場合には、本条の規定は適用されない。
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10 強制貯金の禁止(労働基準法18条)
雇入時
労働契約に附随して、貯蓄の契約又は貯蓄金を管理する契約はできない
雇入後
労働者の委託を受ければ、貯蓄金の管理契約ができる
労
協
使
定
貯 蓄金
管理規程
利
子
預金の管
理状況の
報告
そ の他
社内預金(直接管理)
通帳保管
必要(届出⇒必要)
(イ) 預金者の範囲
(ロ) 預金者一人当たりの預金額の限
度
(ハ) 預金の利率及び利子の計算方法
(ニ) 預金の受入れ及び払戻しの手続
(ホ) 預金の保全の方法
必要(届出⇒不要。労働者に周知)
必要(届出⇒必要)
労使協定に記載した事項及びそれらの
具体的取扱い
―
必要(届出⇒不要。労働者に周
知)
(イ) 預金先の金融機関名及び預金
の種類
(ロ) 通帳の保管方法
(ハ) 預金の出入れの取次ぎ方法
等
不要
必要(年5厘以上)
必要
(毎年、3月31日以前1年間における
不要
預金の管理状況を、4月30日までに所
轄労働基準監督署長に報告)
労働者が、貯蓄金の返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還しなけれ
ばならない。この場合に使用者が遅滞なく貯蓄金を返還しないときは、所轄
労働基準監督署長は、使用者に対して、その必要な限度の範囲で、当該貯蓄
金の管理の中止を命ずることができる。中止を命ぜられた使用者は、中止命
令に示された範囲の貯蓄金を労働者に返還しなければならない。
□ 「労働契約に附随して貯蓄の契約をさせる」とは強制貯蓄契約のことであり、いかな
る場合にも許されない。
□ 貯蓄金管理規程は、使用者に作成・周知義務が課されているものであり、行政官庁へ
の届出義務は課されていない。
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11 労働者・使用者
労 働 者
使 用 者
職業の種類を問わず、事業に使用される
事業主又は事業の経営担当者その他その事
者で、賃金を支払われる者をいう。
業の労働者に関する事項について、事業主
のために行為をするすべての者をいう。
□ 「使用者」とは、労働基準法上の義務についての責任を負う者で、部長、課長等の形
式にとらわれることなく実質的に一定の権限を与えられている者をいう。
したがって、単に上司の命令の伝達者にすぎない場合には、使用者とみなされない。
□ 「事業主」とは、その事業の経営の主体をいい、個人企業にあってはその事業主個人、
会社その他の法人組織の場合は法人そのものをいう。
□ 「事業の経営担当者」とは、事業経営一般について責任を負う者をいい、会社の取締
役、個人企業の支配人等がこれに該当する。
① 派遣元、派遣先に対する労働基準法の適用関係(責任の所在)
派遣元
派遣先
労働契約、賃金、年次有給休暇、産前産後
労働時間(⇒非常災害時の時間外労働、
の休業、災害補償、就業規則、労使協定、
公民権行使の保障、育児時間、生理休
等
暇、等)、休憩、休日
② 出向の場合
在籍型出向
移籍型出向
在籍型出向の出向労働者については、出向
移籍型出向とは、出向先との間について
元及び出向先の双方とそれぞれ労働契約関
のみ労働契約関係がある形態であり、出
係があるので、出向元及び出向先に対して
向元と出向労働者との労働契約関係は終
は、それぞれ労働契約関係が存する限度で
了している。移籍型出向の出向労働者に
労働基準法等の適用がある。すなわち、出
ついては、出向先とのみ労働契約関係が
向元、出向先及び出向労働者三者間の取決
あるので、出向先についてのみ労働基準
めによって定められた権限と責任に応じて
法の適用がある。
出向元の使用者又は出向先の使用者が出向
労働者について労働基準法における使用者
としての責任を負う。
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Point2 労働契約と契約期間・労働条件の明示
ランク A+
1 労基法の基準に達しない労働契約(労働基準法13条)
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については
無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。
2 契約期間(労働基準法14条)
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定め
るもののほかは、3年(次の①又は②のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)
を超える期間について締結してはならない。
① 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のも
のとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高
度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
② 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(①に掲げる労働契約を除く。)
(原則)
契約期間は3年を超えてはならない
(例外1)
3年を超えて契約す
ることができるもの
(例外2)
5年以内の契約期間
を定めることができ
るもの
① 一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの
② 労基法70条の職業訓練を受ける必要がある場合(職業訓練
を修了するまでの期間内)
③ 専門的な知識、技術又は経験であって高度のものとして厚
生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労
働者との間に締結される労働契約
④ 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約
□ 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定める
もののほかは、3年(一定の労働契約については5年)を超える期間について締結し
てはならないが、違反した場合には使用者にのみ罰則の適用がある。
□ 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、そ
の期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(高度の専門的知識等を有す
る労働者及び満60歳以上の労働者を除く。)は、当分の間、民法628条(中途契約の
原則禁止)の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以
後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
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3 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
① 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の
満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、
使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項
についての基準を定めることができる。
② 行政官庁(所轄労働基準監督署長)は、①の基準に関し、期間の定めのある労働
契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
□ 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する使用者の基準
雇止めの予告(1条)
使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算し
て1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新し
ない旨明示されているものを除く。次条第2項において同じ。)を更新しないことと
しようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、そ
の予告をしなければならない。
雇止めの理由の明示(2条)
① 前条の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証
明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
② 有期労働契約が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかっ
た理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
契約期間についての配慮(3条)
使用者は、有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算
して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合
においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り
長くするよう努めなければならない。
更新①
2か月
更新①
2か月
更新②
2か月
更新②
2か月
雇止め(予告不要)
2か月
更新③
2か月
雇止め(予告必要)
2か月
更新①
5か月
雇入れ
雇止め(予告必要)
更新②
5か月
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5か月
1年
4 労働条件の明示 その1
絶 対 的
明示事項
相 対 的
明示事項
労働条件の範囲
明示方法
① 労働契約の期間に関する事項
② 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関
する事項(期間の定めのある労働契約であって当該労働契
約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるも
のの締結の場合に限る。)
③ 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
④ 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有
無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分
けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
書面
⑤ 賃金(退職手当及び臨時の賃金等を除く)の決定、計
算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに
昇給に関する事項
(昇給に関する
⑥ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
⑦ 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当
の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時
期に関する事項
⑧ 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及び
精勤手当、勤続手当、能率手当並びに最低賃金額に関す
る事項
⑨ 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関す
る事項
⑩ 安全及び衛生に関する事項
⑪ 職業訓練に関する事項
⑫ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑬ 表彰及び制裁に関する事項
⑭ 休職に関する事項
書面
事項を除く)
書面
書面又は口頭
は、就業規則の絶対的必要記載事項に含まれていない。
□ 「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」については、雇入れ直後の就業の場
所及び従事すべき業務を明示すれば足りるものであるが、将来の就業場所や従事させ
る業務を併せ網羅的に明示することは差し支えない。
□ 「所定労働時間を超える労働の有無」は、労働契約締結の際の絶対的明示事項である
が、就業規則の絶対的必要記載事項にはなっていない。
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□ 「書面の交付により明示すべき事項」については、当該労働者に適用する部分を明確
にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えない。
□ 「始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並
びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項」に
ついては、当該労働者に適用される労働時間等に関する具体的な条件等を明示しなけ
ればならない。なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、
労働者の利便性をも考慮し、所定労働時間を超える労働の有無以外の事項については、
勤務の種類ごとの始業及び終業の時刻、休日等に関する考え方を示した上、当該労働
者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りる。
□ 「退職に関する事項」については、退職の事由及び手続、解雇の事由等を明示しなけ
ればならない。なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、
労働者の利便性をも考慮し、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅
的に示すことで足りる。
□ 労働者が出向(在籍出向・移籍出向とも)する場合には、出向先と労働者との間で新
たに労働契約関係が成立することになるため、出向に際して出向先は当該事業場にお
ける労働条件を明示する必要がある。なお、この場合の労働条件の明示は、出向元が、
出向先に代わって明示しても差し支えない。
5 労働条件の明示 その2(労働基準法15条2項・3項)
① 明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は即時に労働契約
を解除することができる。
② ①の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に
帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
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Point3 解雇・解雇制限・解雇予告
ランク A+
1 解雇制限(労働基準法19条)
原 則
例 外
① 業務上負傷し、又は疾病にかかり療
養のために休業する期間+30日間
(イ)、(ロ)の場合には、解雇可
(イ) 左記①の場合で、法81条の規定によ
② 産前産後の女性が法65条の規定によ
って打切補償(平均賃金の1,200日分)
って休業する期間+30日間
を支払った場合
(ロ) 左記①、②の場合で、天災事変等に
より事業の継続が不可能となった場合
(⇒行政官庁の認定必要)
2 解雇予告
① 少なくとも30日前に予告
(イ)、(ロ)の場合には、解雇予告せず、即時
② 30日分以上の平均賃金を支払う
解雇可
③ ①+②≧30日
(イ) 労働者の責めに帰すべき事由による
場合(⇒行政官庁の認定必要)
(ロ) 天災事変等により事業の継続が不可
能となった場合(⇒行政官庁の認定必
要)
3 解雇予告の適用除外
①から④のいずれかに該当する者につい
①から④に該当する者であっても、下記の
ては、解雇予告不要
場合には解雇予告が必要
① 日日雇入れられる者
1月を超えて引き続き使用
② 2か月以内の期間を定めて雇用
される者
所定の期間を超えて引き続き使用
③ 季節的業務に4か月以内の期間を
定めて雇用される者
④ 試みの使用期間中の者
14日を超えて引き続き使用
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□ 業務外の私傷病による休業期間については解雇が制限されず、また、業務上の傷病によ
り治療中であってもそのために休業しないで出勤している場合は解雇の制限を受けない。
□ 労働者の責めに帰すべき事由があっても、解雇制限期間中は解雇することができない。
解雇制限期間中 →
労働者の責めに帰すべき → 解雇不可
解雇予告期間中 →
重大な過失等
→ 認定を受けて解雇可能
□ 予告期間の30日間は労働日ではなく暦日で計算されるので、その間に休日又は休業日
があっても延長されない。日数計算は解雇予告がなされた日の翌日から起算する。
12 日
解雇予告
8/14
8/26
8/15
平均賃金の18日分の解雇予告手当の支払が必要
□ 即時解雇の場合における予告手当(30日分以上の平均賃金)の支払いは、解雇の申し
渡しと同時に行うべきものである。
□ 解雇予告期間中に解雇制限事由である業務上の負傷・疾病の療養のために休業した場
合には、予告期間が満了しても解雇することはできない。しかし、当初の解雇予告自
体は当然に無効となるわけではなく、治ゆ後、改めて解雇予告をする必要はない。
(ただし、休業期間が長期にわたる場合を除く)
□ 最高裁判所の判例によると、使用者が労働基準法20条所定の予告期間をおかず、又は
予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇とし
ては効力を生じないが、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、通知後同条所
定の30日の期間を経過するか、又は通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたとき
は、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきであるとされている。
□ 法19条及び法20条による認定は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべきも
のであるが、法19条1項ただし書及び20条1項ただし書の認定は、ただし書に該当す
る事実があるか否かを確認する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使
用者は有効に即時解雇をなし得るものと解されるので、即時解雇の意思表示をした後
で、解雇予告除外認定を得た場合であっても、その解雇の効力は使用者が即時解雇の
意思表示をした日に発生すると解される。
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4 退職時等の証明(労働基準法22条)
(1) 退職時の証明
労働者が退職の際、下記事項についての証明書を請求した場合においては、使用者
は遅滞なくこれを交付しなければならない。
① 使用期間
② 業務の種類
③ その事業における地位
④ 賃金
⑤ 退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあってはその理由を含む)
□ 労働者の請求しない事項は、法定証明事項であっても記入してはならない。
□ 使用者は、退職理由によって証明書の請求を拒否することはできない。
(2) 解雇の理由についての証明書
解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、労働者から当該解雇の理由
について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなけれ
ばならない。
ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した
場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
□ この規定は、解雇予告義務がない即時解雇の場合には適用されない。即時解雇の通知
後に労働者が解雇の理由について証明書を請求した場合には、使用者は「(1)退職
時の証明」に基づいて解雇理由についての証明書の交付義務を負う。
(3) ブラックリストの禁止
使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労
働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は退職時
等の証明書に秘密の記号を記入してはならない。
□ 禁止事項は限定列挙であり、これ以外の事項についてリストを作成し通信するような
ことがあっても労働基準法には違反しない。
5 金品の返還(労働基準法23条)
① 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合に
おいては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問
わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
② ①の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分
を、7日以内に支払い、又は返還しなければならない。
□ 退職手当は、あらかじめ就業規則などで定められた支払時期に支払えばよい。
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Point4 労働時間・休憩・休日
ランク A+
1 労働時間の原則と特例
① 原則
② 特例事業場
(常時10人未満の労働者を使用する商業、映
画・演劇(映画の製作の事業を除く)、保健
衛生、接客娯楽の事業)
1週40時間、1日8時間
1週44時間、1日8時間
※ 年少者には、この特例措置は適用
されない
修学時間を通算して、1週40時間、1
日7時間
③ 児童の労働時間
□ 労働基準法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間
をいい、この労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置
かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働
契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない。労
働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者か
ら義務づけられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外にお
いて行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情がない限り、使
用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、
それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当
するとするのが最高裁判所の判例である。
2 労働時間の算定における注意事項
労働時間に含まれるもの
① 労働安全衛生法上の安全衛生教育
② 特殊健康診断
③ 交替制の自動車の運転で、運転しない者
が助手席で休憩又は仮眠している時間
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労働時間に含まれないもの
① 使用者の実施する教育・研修に要
する時間(自由参加のものに限る)
② 一般健康診断
③ 坑内労働者が作業終了後、入浴す
る時間
3 休憩時間の原則
労働時間
6時間を超え8時間までの場合
8時間を超える場合
休憩時間
少なくとも45分
少なくとも1時間
□ 所定労働時間が7時間の場合に2時間延長する場合は、労働時間が9時間となり、45分
の休憩のほかにさらに15分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。この
場合、延長時間が何時間であっても、15分の休憩を追加して与えれば違法ではない。
4 休憩時間の付与の方法
休 憩 時 間
原則
途中付与
一斉付与
≪休憩付与の除外≫
① 運輸交通業、商業、
警察官・消防吏
① 運輸交通業
金融・広告業、映画・
員・常勤の消防団員
ア 電車、列車、船舶又
演劇業、郵便・電気通
及び児童自立支援施
は航空機等の乗務員で
信業、保健衛生業、接
設に勤務する職員で
長距離にわたり継続し
客娯楽業、官公署※
児童と起居をともに
て乗務するもの
例外
自由利用
①
② 坑内労働
する者
イ アの乗務員のうち、
①②以外の事業であ
長距離にわたり乗務し
っても労使協定(労使
施設、障害児入所施
ない者のうち、業務の
委員会の決議を含む・
設に勤務する職員で
性質上休憩時間を与え
届出不要)で一定の事
児童と起居をともに
ることができないと認
項を定めれば可
する者(所轄労働基準
められる場合で、勤務
②
乳児院、児童養護
監督署長の許可が必
中の停車時間等の合計
要)
が休憩時間に相当する
③ 坑内労働
者
② 屋内勤務者30人未満
の日本郵便株式会社の
営業所(郵便窓口業務
を行うものに限る。)
において郵便の業務に
従事するもの
※ ただし、満18歳未満の年少者には、この規定が適用されないので、これらの事業に
おいて満18歳未満の年少者に一斉に休憩を与えないこととするには、労使協定が必要。
-17-
5 休日の与え方
原則
毎週少なくとも1回
4週間を通じ4日以上の休日(変形休日制)
例外
ただし就業規則その他これに準ずるものにおいて4週間の起算日を定める
必要がある。(労基則12条の2第2項)
□ 4週間を通じ4日以上の休日を与える場合は、特定の4週間に4日以上の休日があれ
ばよく、どの4週間を区切っても4日の休日が与えられていなければならないという
趣旨ではない。
□ 休日とは、原則として1暦日(午前0時から午後12時まで)の24時間の休みのことで
あるが、番方編成による交替制の場合等、2暦日にわたる継続24時間を休日としても
差し支えない。
6 休日労働
(イ) 休 日 振 替
休日を振り替えて、もと休日であった日に労働させても休
日労働にはならないため、割増賃金を支払う必要はない。
休日振替の手続をとらないで休日に労働させた場合は、た
(ロ) 代
休
とえ事後に代休を与えても、休日労働をさせたことに変わ
りはなく、割増賃金の支払義務は免れない。
休日労働がそれ自体、法定の枠を超える労働であり、休日
(ハ) 休日の時間外労働
に労働基準法上の時間外労働という問題は起こらない。
したがって、休日に8時間を超えて労働しても、深夜業に
該当しない限り、3割5分増で差し支えない。
出張中の休日に、出張先での業務が命ぜられている場合は
割増賃金を支払うべきことは当然であるが、休日に旅行す
(ニ) 出 張 中 の 休 日
るような場合については、旅行中における物品の監視等別
段の指示がある場合のほかは、休日労働として取り扱わな
くても差し支えない。したがって、割増賃金を支払う必要
もない。
-18-
7 非常災害の場合等の時間外・休日労働
非 常 災 害 時
事 由
効 果
災害その他避けることのできない事由
公務のため
臨時の必要がある場合
法定労働時間、変形労働時間制による労働時間及び労働時間の特例による労
働時間を延長し、又は法定休日に労働させることができる。
原則
手 続
公 務
行政官庁(所轄労働基準監督署
行政官庁(所轄労働基準監督署
長)の許可
長)の許可は不要
例外 事態急迫の場合、事後に遅滞なく
届出
年少者
時間外・休日労働 → ○
時間外・休日労働・深夜業 → ○
深夜業
→×
□ 非常災害時については、年少者を時間外、休日労働、深夜業に就かせることができる。
(公務の場合、深夜業は不可)
8 労働時間・休憩・休日の適用除外
適用される
適用されない
農業、畜産業、水産業
・深夜業
(林業は含まない)に従事する者
(割増賃金必要)
事業の種類にかかわらず
・年次有給休暇
① 監督若しくは管理の地位にある者
(付与義務)
② 機密の事務を取り扱う者
・産前産後に関す
監視又は断続的労働に従事する者
・労働時間
・休憩
・休日
る規定等
(労働基準監督署長の許可を受けた者)
□ 「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化」につ
いて
次の場合などは管理監督者性を否定する重要な要素になる。
(1) パート・アルバイト等の採用・解雇について権限がない
(2) 遅刻・早退等により減給または人事考課で不利益な取扱いを受ける
(3) 時間単価に換算した賃金額が店舗所属のパート・アルバイト等の賃金額に満たない
-19-
9 36協定(労働基準法36条)
① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合におい
てはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働
者の過半数を代表とする者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場
合においては、労働時間又は休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めると
ころによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑
内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1
日について2時間を超えてはならない。
② 厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、①の協定で定める労
働時間の延長の限度、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項
について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定める
ことができる。
③ ①の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協
定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が②の基準に適合したもの
となるようにしなければならない。
④ 行政官庁は、②の基準に関し、①の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の
過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
□ 協定の内容
① 時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由
② 業務の種類
③ 労働者の数
④ 1日及び1日を超える一定の期間(1日を超え3か月以内の期間及び1年間)につ
いて、延長することができる時間又は労働させることができる休日
⑤ 有効期間
□ 労働者の過半数で組織する労働組合がない事業場において36協定を締結する場合の労
働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」の労働者の範囲には、①病気、
出張、休職期間中等によって当該協定の締結当時出勤していない者又は出勤が予定さ
れない者、②パートタイム労働者のような時間外労働・休日労働がまったく予定され
ない者、③36協定があっても時間外労働・休日労働させることができない年少者、④
法41条2号のいわゆる管理監督者もすべて含まれる。
-20-
□ 36協定の有効期間について自動更新の定めがなされている場合には、更新について労
使両当事者のいずれからも、異議の申出がなかった事実を証明する書面を届け出るこ
とをもって足りる。
□ 変形労働時間制を採用し、就業規則等により、その日の所定労働時間が10時間である
ときは、これに2時間を加えた12時間まで有害業務に労働させることができる。
■ 労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準の
一部改正
(
は平成22年改正)
一定期間についての延長時間の限度(限度基準第3条)
① 労使当事者は、時間外労働協定において一定期間についての延長時間を定めるに
当たっては、当該一定期間についての延長時間は、別表第一の左欄に掲げる期間の
区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければな
らない。ただし、あらかじめ、限度時間以内の時間の一定期間についての延長時間
を定め、かつ、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情
(臨時的なものに限る。(注))が生じたときに限り、一定期間についての延長時間
を定めた当該一定期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間
を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨及び限度時間を超える
時間の労働に係る割増賃金の率を定める場合は、この限りでない。
② 労使当事者は、上記①ただし書の規定により限度時間を超える一定の時間まで労
働時間を延長することができる旨を定めるに当たっては、当該延長することができ
る労働時間をできる限り短くするように努めなければならない。
③ 労使当事者は、上記①ただし書の規定により限度時間を超える時間の労働に係る
割増賃金の率を定めるに当たっては、当該割増賃金の率を、法第36条第1項の規定
により延長した労働時間の労働について法第37条第1項の政令で定める率(2割5
分)を超える率とするように努めなければならない。
(注) 「臨時的なもの」とは、一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要があるもの
であり、全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものであって、具体的な
事由を挙げず、単に「業務の都合上必要なとき」又は「業務上やむを得ないとき」と
定める等恒常的な長時間労働を招くおそれがあるもの等については、「臨時的なも
の」に該当しないものとされている。
また、「特別の事情」は「臨時的なもの」に限ることを徹底する趣旨から、特別条
項付協定には、1日を超え3か月以内の一定期間について、原則となる延長時間を超
え、特別延長時間まで労働時間を延長することができる回数を協定するものと取り扱
-21-
うこととし、当該回数については、特定の労働者についての特別条項付協定の適用が
1年のうち半分を超えないものとすることとされている。
□ 時間外労働協定において、①1日を超え3か月以内の期間及び②1年間について延長
時間を定めなければならないこととされており、①及び②の期間の双方について特別
条項付き協定を締結する場合には、それぞれについて限度時間を超える時間外労働に
係る割増賃金率を定めなければならない。
□ 特別条項付き協定において限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率が定められ
ていないなど特別条項付き協定が限度基準に適合していない場合には、労働基準監督
署長による助言及び指導の対象となる。
□ 限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率は、「賃金の決定、計算及び支払の方
法」として就業規則に記載する必要がある。
-22-
Point5 みなし労働時間・裁量労働制
ランク A+
1 裁量労働制
事業場外
専門業務型
企画業務型
労働時間の全部又は一部
について事業場外で従事
した場合において、使用
者の指揮監督が及ばず労
働時間を算定し難いとき
厚生労働省令で定める業
務〔対象業務(新商品、
新技術の研究開発等の業
務や弁護士の業務など19
業務に限定)〕であること
・事業の運営に関する事項に
ついての企画、立案、調査
及び分析の業務
・当該業務の性質上これを適
切に遂行するにはその遂行
の方法を大幅に労働者の裁
量に委ねる必要がある
・当該業務の遂行の手段及び
時間配分の決定等に関し使
用者が具体的指示をしない
こととする業務であること
① 労使協定(労使委
員会の決議を含む)
で一定の事項を定め
る
② 協定で定める時間
が法定労働時間を超
える場合、労使協定
を所轄労働基準監督
署長に届出(労使委
員会の決議は届出不
要)
① 労使協定(労使委員会
の決議を含む)で一定の
事項を定める
② 労使協定を所轄労働
基準監督署長に届出(労
使委員会の決議は届出
不要)
① 賃金、労働時間その他の
当該事業場における労働条
件に関する事項を調査審議
し、事業主に対して当該事
項について意見を述べるこ
とを目的とする労使委員会
の設置
② 労使委員会の委員の5分
の4以上の合意により一定
の事項を決議
③ 労使委員会の決議を所轄
労働基準監督署長へ届出
当該業務を遂行するた
めには通常所定労働時
間を超えて労働するこ
とが必要となる場合、
当該業務の遂行に通常
必要とされる時間労働
したものとみなす
労使協定で定める時間労
働したものとみなす
決議で定める時間労働したも
のとみなす
-23-
2 労使協定において定める事項・労使委員会の決議事項
事業場外
専門業務型
① 業務の遂行
① 対象業務のうちから労働者
に通常必要と
される時間
に就かせることとする業務
企画業務型
① 対象業務の範囲
② 対象労働者の範囲
② 当該業務の遂行の手段及び
③ 労働時間として算定する時間
時間配分の決定等に関し当該
④ 対象労働者の同意を得なけ
業務に従事する労働者に対し
ればならないこと、及び同意
具体的な指示をしない旨
をしなかった当該労働者に対
③ 労働時間として算定される
して解雇その他不利益な取扱
時間
いをしてはならないこと
④ 対象労働者の健康及び福祉
⑤ 対象労働者の健康及び福祉
を確保するための措置
⑤ 対象労働者からの苦情処理
を確保するための措置
⑥ 対象労働者からの苦情の処
に関する措置
理に関する措置
⑥ 協定の有効期間(※)(労働
⑦ 決議の有効期間(※)の定め
協約の場合を除き、労使委員
会の決議である場合を含む)
⑦ ④⑤に関する労働者ごとの
⑧ ④の同意⑤⑥に関する労働
記録を⑥の有効期間中及び当
者ごとの記録を⑦の有効期間
該有効期間満了後3年間保存
中及び当該有効期間満了後3
すること
年間保存すること
※ 3年以内が望ましい
<企画業務型の指針の公表>
厚生労働大臣は、対象業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るために、労
働政策審議会の意見を聴いて、労使委員会が決議する事項について指針を定め、これを公
表するものとする。
<企画業務型裁量労働制の定期報告>
労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施
状況を、労使委員会の決議が行われた日から起算して6か月以内に1回、及びその後1年
以内ごとに1回(当分の間は、6か月以内ごとに1回)所轄労働基準監督署長に報告しな
ければならない。(専門業務型には定期報告義務なし)
-24-
Point6 変形労働時間制
ランク A+
1 変形労働時間制の比較
1か月
1か月以内の
一定の期間を
平均し、
変形の内容
採用するた
めの手続
就業規則等
で特に定め
る内容
フレックスタイム
清算期間(1か月
以内)を平均し、
1年
1か月を超え1
年以内の一定期
間(対象期間)
を平均し、
法定労働時間/週(1年単位は40時間/週)を超えなけ
れば、特定の週や日に法定労働時間を超えて労働させ
ることができる
就業規則等
就業規則等
or
+
労使協定
労使協定
労使協定
変形期間にお 始業及び終業の時
ける各日、各 刻を労働者の決定
週の所定労働 にゆだねること
時間※1
1週間
労働時間40時間
/週以内と定め
れば、10時間/
1日まで労働さ
せることができ
る※3
労使協定
労使協定の
締結
労使協定の
届出
規模業種に
よる制限
△※2
○
○
○
必要※2
不要
必要
必要
法定-一般
法定-特例
40時間
44時間
40時間
40時間
常時使用する
労働者数が30
人未満の小売
業・旅館・料
理店・飲食店
の事業
40時間
40時間
40時間
44時間
※1 労使協定による場合には、あわせて就業規則において、変形期間、変形期間の各労働
日の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日等の必要な事項等を定めなければならない。
※2 就業規則等により採用した場合は不要。
※3 1週間が始まる前に、書面によりあらかじめ労働者に通知しなければならない。緊
急の場合は、その変更しようとする日の前日までに書面による通知することで、労
働時間を変更することができる。
-25-
2 労使協定の内容
1か月単位
① 変形期間
(1か月以内)
フレックスタイム
① 清算期間
(1か月以内)
② 変形期間の
起算日
② 清算期間の起算日
③ 変形期間に
おける各日、
各週の所定労
働時間
③ 対象となる労働者
の範囲
④ 清算期間における
総労働時間
⑤ 標準となる1日の
労働時間
⑥ コアタイム及び
フレキシブルタイ
ムを設ける場合に
は、その開始及び
終了の時刻
④ 有効期間
(※1)
1年単位
① 対象期間
(1か月を超え1年
以内)
② 対象期間の起算日
③ 対象となる労働者
の範囲(※2)
④ 対象期間における
労働日及び労働日
ごとの労働時間
(対象期間を1か
月以上の期間ごとに
区分することとした
場合には、対象期間
の最初の期間におけ
る労働日及び当該労
働日ごとの労働時間
並びに当該最初の期
間を除く各期間にお
ける労働日数及び総
労働時間)(※3)
⑤ 特定期間
(対象期間中の特
に業務が繁忙な期
間)
1週間単位
① 1週間の所
定労働時間(40
時間以内)
② 1週間に40
時間を超えた
時には、割増
賃金を支払う
こと
⑥ 有効期間
(※1) 就業規則等による場合は④は必要なし
(※2) 対象となる労働者が対象期間中に退職した場合、当該労働者について、当該労働
させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合(※1)にお
いては、その超えた時間(※2)(法33条又は法36条第1項の規定により延長し、
又は休日に労働させたことにより、すでに時間外労働・休日労働として扱われ
ている時間を除く。)の労働については、法37条の規定の例により割増賃金を支
払わなければならない。
(※3) 最初の期間を除く各期間の初日の少なくとも30日前に、当該事業の労働者の過半
数で組織する労働組合(ない場合においては労働者の過半数を代表する者)の
同意を得て、書面により、次の事項を定めなければならない。
-26-
・当該労働日数を超えない範囲内で各期間における労働日
・当該労働時間を超えない範囲内で各期間における労働日ごとの労働時間
□ 1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、変形期間における所定労働時間の総枠
の計算は、次の式によって行う。
・40時間(44時間)×変形期間の暦日数÷7
3 1か月単位の変形労働時間制
常時10人未満の労働者を使用する事業場において、「就業規則その他これに準ずるも
の」において、1か月単位の変形労働時間制を採用した場合には、これを行政官庁に届け
出る必要はない。
事業場の規模
採用
方法
常時 10 人未満の労働者を使用
常時 10 人以上の労働者を使用
①
②
③
④
労使協定
就業規則その他こ
れに準ずるもの
①又は②による場合には届出が必要
③による場合には、届出は不要
④による場合には法89条(就業規則の変更)により届出が必要
4 フレックスタイム制
(イ) 過剰分の繰り越し
総労働時間として定められた時間分はその期間の賃金支払日に支払うが、それを超えて
働いた時間分を次の清算期間中の総労働時間の一部に充当することは、その清算期間内に
おける労働の対価の一部がその期間の賃金支払日に支払われないことになり、法24条(賃
金の全額払い)に違反し許されない。
清算期間における総労働時間
11 月
賃金
過剰
12 月
30 万円(不足)
30 万円 ×
-27-
(ロ) 不足分の繰り越し
総労働時間として定められた時間分の賃金はその期間の賃金支払日に支払うが、それに
達しない時間分(不足分)を翌月の総労働時間に上乗せして労働させることは、法定労働
時間の総枠の範囲内である限り、差し支えない。
清算期間における総労働時間
11 月
不足
12 月
賃金
30 万円(過払い)
30 万円 ○
法定労働時間の総枠
5 1年単位の変形労働時間制
対象期間における1日及び1週間の労働時間の限度並びに連続して労働させる日数の
限度
1日
① 原則 (対象期間が3か月を超える場合は一定
の制約あり※)
② 積雪地域の建設業の屋外労働者等 (則第65条)
③ タクシー業の隔日勤務者 (則第66条)
10時間
1週間
52時間
16時間
6日 (特定期間については、
1週間に1日の休日が確保でき
る日数)
④ 連続労働日数の限度
※ 対象期間が「3か月を超える」場合 (上記表中②の場合には、(イ)の要件のみ)
対象期間について1年当たり、
原則として、「280日」とする
こと
(イ) 労働日数の限度
(ロ) 対象期間において、その労働時間が48時間を
3以下であること
超える週が連続する場合の週数
(ハ) 対象期間をその初日から3か月ごとに区分し
た各期間(3か月未満の期間を生じたときは、
3以下であること
当該期間)において、その労働時間が48時間を
超える週の初日の数
-28-
Point7 年次有給休暇
ランク A+
1 発生要件
① 6か月間継続勤務(雇入れの日から起算)
② 全労働日の8割以上出勤
2 出勤率の算定
① 業務上の負傷により療養のため休業する期間
出勤したものとみなす
② 産前産後の女性が法第65条の規定により休業する期間
③ 育児・介護休業法による育児休業又は介護休業した期間
④ 年次有給休暇を取得した日
① 所定の休日に労働した日
② 不可抗力による休業日
全労働日に含めない
③ 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
④ 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供
が全くなされなかった日
⑤ 労働者が代替休暇を取得して終日出勤しなかった日
□ 「使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日」は、全労働日に含まれないも
のであり、当該日を出勤したものとみなすことはできない。
□ 育児・介護休業法に規定する「子の看護休暇を取得した日」や「介護休暇を取得した
日」は、出勤したものとはみなされない。
□ 裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受け
て会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労
働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった
日は、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含ま
れるものとする。
-29-
3 付与日数
勤続年数
6か月
付与日数
10日
1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月
11日
12日
14日
16日
18日
20日
□ 認定職業訓練を受ける労働者である未成年者の年次有給休暇は、最低12労働日である
ことに注意。
□ 各期間の出勤日数が全労働日の8割未満 → その後の1年間は有給休暇を付与しな
くてよい。
雇入日
9割出勤
6か月
7割出勤
8割出勤
8割出勤
年休10日
年休0日
年休12日※
1年
1年
1年
※ 11日ではなく12日となる。
4 時季変更権
派遣中の派遣労働者について、当該派遣労働者が年次有給休暇を取得すれば派遣先の事
業の正常な運営を妨げるような場合であっても、年次有給休暇の時季変更権の行使に係る
事業の正常な運営を妨げるかどうかの判断は、「派遣元」の事業についてなされる。
5 比例付与
① 比例付与対象者(次のア及びイの両方の要件を満たしている場合)
ア 週所定労働時間数が30時間未満である者
イ 週所定労働日数が4日以下の者(週以外の期間で所定労働日数が定められている
場合には、年間の所定労働日数が216日以下の者)
② 比例付与の日数(小数点以下切捨)
=通常の労働者の付与日数×
比例付与対象者の週所定労働日数
通常の労働者の週所定労働日数(5.2日)
□ 比例付与の適用を受ける労働者について、年度途中で週所定労働日数が変更された場
合であっても、年度の途中で付与日数は変更されない。
-30-
6 計画的付与
① 労使協定を締結(届出不要)
② 年次有給休暇のうち5日を超える部分(前年度からの繰越分を含む)
□ 計画付与が決まった日数については、時季指定権、時季変更権とも行使できない。
□ 事業場全体の一斉付与により、有給休暇の権利のない者を休業させる場合
⇒特別の休暇を与える等の措置をとらない限り、休業手当を支払わなければならない。
□ 計画的付与は当該付与日が労働日であることを前提に行われるものであり、その前に
退職することが予定されている者については、退職後を付与日とする計画的付与はで
きない。したがって、退職予定者から年休の請求があった場合には、計画的付与前で
あっても当該請求を拒否できない。
・
□ 育児休業申出前に育児休業期間中の日について、労働基準法第39条第5項の規定の基
づく年次有給休暇を与える時季に関する定めをしている場合には、当該日に年次有給
休暇を取得したものと解される。
【具体例】
➊ 計画付与(労使協定締結)
▽(4月1日)
➋ 育児休業申出
(5月1日)
8月6日~8月10日(5日間)
育児休業終了
(12月31日)
育児休業開始
(6月1日)
申出により、この間の労働義務が免除
-31-
7 時間単位年休(労基法39条4項、労基則24条の4)
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労
働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する
者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、①に掲げる労
働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、有給休暇
の日数のうち②に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定
めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
① 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲*1
② 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(5日以内に
限る。)*2
③ 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の1日の時間数(1
日の所定労働時間を下回らないものとする)*3
④ 1時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、その時間
数(1日の所定労働時間に満たないものとする)*4
*1 時間単位による取得は、例えば一斉に作業を行うことが必要とされる業務に従事す
る労働者等にはなじまないことが考えられる。このため、事業の正常な運営との調
整を図る観点から、労使協定では、時間単位年休の対象労働者の範囲を定めること
とされている。なお、年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の自
由であることから、利用目的によって時間単位年休の対象労働者の範囲を定めるこ
とはできない。
*2 当該年度に取得されなかった年次有給休暇の残日数・時間数は、次年度に繰り越さ
れることとなるが、当該次年度の時間単位年休の日数は、前年度からの繰越分も含
めて5日の範囲内となる。
*3 1日分の年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するかについては、当該労
働者の所定労働時間数を基に定めることとなるが、所定労働時間数に1時間に満た
ない時間数がある労働者にとって不利益とならないようにする観点から、1日の所
定労働時間数を下回らないものとされており、労使協定では、これに沿って定める
必要がある。具体的には、1時間に満たない時間数については、時間単位に切り上
げる必要がある。なお、「1日の所定労働時間数」については、日によって所定労
働時間数が異なる場合には1年間における1日平均所定労働時間数となる。
-32-
*4 2時間や3時間といったように、1時間以外の時間を単位として時間単位年休を与
えることとする場合には、労使協定で、その時間数を定める必要がある。「1日の
所定労働時間数に満たないものとする」とは、1日の所定労働時間数と同じ又はこ
れを上回る時間数を時間単位年休の単位とすることは、時間単位年休の取得を事実
上不可能にするものであることから、そのような労使協定の定めはできない。
□ 時間単位年休についても、使用者の時季変更権の対象となるものであるが、労働者が
時間単位による取得を請求した場合に日単位に変更することや、日単位による取得を
請求した場合に時間単位に変更することは、時季変更に当たらず、認められない。ま
た、事業の正常な運営を妨げるか否かは、労働者からの具体的な請求について個別的、
具体的に客観的に判断されるべきものであり、あらかじめ労使協定において時間単位
年休を取得することができない時間帯を定めておくこと、所定労働時間の中途に時間
単位年休を取得することを制限すること、1日において取得することができる時間単
位年休の時間数を制限すること等は認められない。
□ 時間単位年休は、労働者が時間単位による取得を請求した場合において、労働者が請
求した時季に時間単位により年次有給休暇を与えることができるものであり、法39条
6項の規定による計画的付与として時間単位年休を与えることは認められない。
□ 年次有給休暇の半日単位による付与については、年次有給休暇の取得促進の観点から、
労働者がその取得を希望して時季を指定し、これに使用者が同意した場合であって、
本来の取得方法による休暇取得の阻害とならない範囲で適切に運用される限りにおい
て、問題がないものとして取り扱うこととしているところであるが、この取扱いに変
更はない。
8 年次有給休暇中の賃金
① 平均賃金
3つのい
ずれか
② 所定労働時間労働した場合に
就業規則その他これに準ずるもの
支払われる通常の賃金
③ 標準報酬日額
労使協定(労使委員会の決議を含む)
が必要(届出は不要)
□ 労使協定(労使委員会の決議を含む)により、③を選択した後は、それを就業規則その
他これに準ずるものに定めなければならない。
-33-
Point8 賃金・平均賃金・休業手当・割増賃金
ランク A
1 平均賃金(法12条)
平均賃金 =
算定事由発生日以前3か月間に支払われた賃金の総額
算定事由発生日以前3か月間の総日数
(1) 起算日
労働者に解雇の通告をした日(解雇の予告をした後において、
(イ) 解雇予告手当
当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合であっても、当
初の解雇の予告をした日)
(ロ) 休業手当
(ハ) 年次有給休暇
(ニ) 災害補償
(ホ) 減給の制裁の
制限額
その休業日(2日以上にわたるときは、その最初の日)
その年次有給休暇を与えた日(2日以上にわたるときは、その
最初の日)
死傷の原因となる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が
確定した日
減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日
※ 賃金締切日があるときは、直前の賃金締切日から起算する。
(2) 平均賃金の算定基礎となる賃金に含めないもの
① 臨時に支払われた賃金
② 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金
③ 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの
□ 6か月ごとに支給される通勤定期券は、本来各月ごとに支払う通勤手当の前払い的な
ものである。したがって、平均賃金の算定の基礎となる賃金に算入しなければならな
い。
-34-
(3) 平均賃金の算定基礎から控除される期間及び賃金
① 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
② 産前産後の女性が、法65条の規定によって休業した期間
③ 使用者の責めに帰すべき事由により休業した期間
④ 育児休業・介護休業法に基づく育児休業又は介護休業をした期間
⑤ 試みの使用期間
□ 「通勤災害」による療養のために休業した期間については、平均賃金を計算する場合、
その日数及びその期間中の賃金は控除しない。
(4) 平均賃金の最低保障
(イ)
賃金が、日
給、時間給、出
算定事由発生日以前3か月間に支払われた賃金の総額
来高払制その他
算定事由発生日以前3か月間の労働日数
×
60
100
の請負制の場合
(ロ) 賃金の一部が
「月、週その他一定の期間によって定められている賃金の部分
月、週その他一
の総額をその期間の総日数で除した金額」と「(イ)の方法で求め
定の期間によっ
た金額」の合計額を最低保障額とする
て定められてい
る場合
(5) その他例外的な平均賃金の算定方法
(イ) 試みの試用期間中に算定事由が発生し その期間中の日数及び賃金により計算
た場合
する
(ロ) 控除期間が3か月以上にわたる場合
都道府県労働局長の定めるところによ
(ハ) 雇入れ当日に算定事由が発生した場合
る
その従事する事業又は職業について、
(ニ) 日日雇い入れられる者
厚生労働大臣が定める金額
□ 雇い入れ後3か月に満たない者の平均賃金
⇒雇い入れ後の期間で算定(この場合でも、賃金締切日がある場合には、直前の賃金
締切日から起算)
-35-
2 賃金の支払
原 則
例 外
(イ)
具体例
法令に別段の定め
のある場合
(ロ)
労働協約に別段の
定めのある場合
(ハ)
通
貨
払
厚生労働省令で定
(現在存在しない)
現物給与(通勤定期券等)
労働者の同意を得た場合
める賃金について、
① 賃金の支払について、その者が指定
確実な支払いの方法
する本人名義の金融機関の預金・貯金
で厚生労働省令で定
めるものによる場合
への振込み、証券総合口座への払込み
② 退職手当の支払について、上記①の
方法によるほか、一定の小切手・郵便
貯金銀行がその行う為替取引に関し負
担する債務に係る権利を表章する証書
を交付する方法によることができる
直
接
払
使者(妻子等)に渡す
(イ)
全
額
払
法令に別段の定め
のある場合
(ロ)
労使協定がある場
合
(イ)
所得税、社会保険料等の源泉控除
購買代金、組合費等事理明白なものにつ
いて控除する
臨時に支払われる
賃金
毎月1回以上
一定期日払
(ロ) 賞与
(ハ)
厚生労働省令で定
める賃金
1か月を超える期間を基礎として支給さ
れる精勤手当、勤続手当、奨励加給、能
率手当等
□ 賃金の所定支払日が休日に当たる場合には、就業規則等の定めにより、その支払日を
繰り上げ又は繰り下げることはかまわない。
□ 通貨払いの例外は労働協約、全額払いの例外は労使協定(届出は不要)
-36-
賃金の全額払いの違反とならない端数処理
(イ) 1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の 30分未満⇒切り捨て
各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合
30分以上⇒1時間に切り上げ
(ロ) 1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に1円未満
の端数が生じた場合
50銭未満⇒切り捨て
(ハ) 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の 50銭以上⇒1円に切り上げ
各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合
(ニ) 1か月間の賃金
支払額(賃金の一
部を控除して支払
う場合は、控除後
の額)
(ⅰ) 100円未満の端数が生じ
た場合
50円未満⇒切り捨て
50円以上⇒100円に切り上げ
(ⅱ) 1,000円未満の端数が生
じた場合
翌月の賃金支払日に繰り越し
て支払う
3 非常時払い(労働基準法25条)
使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合※の
費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に
対する賃金を支払わなければならない。
※ 労働者又は労働者の収入によって生計を維持する者の出産、疾病、災害、結婚、死亡
及びやむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合をいう。
4 休業手当(労働基準法26条)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当
該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
□ 最高裁判所の判例によると、労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、取引
における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点も踏まえた概念というべきであっ
て、民法536条2項の「債権者の責に帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する
経営、管理上の障害(機械の故障、材料の供給不足など)を含むものと理解するのが
相当である、とされている。
□ 休業手当は、民法536条2項によって全額請求し得る賃金のうち、平均賃金の100分の
60以上を保障しようとする趣旨のものであるから、労働協約、就業規則又は労働契約
-37-
により休日と定められている日については、休業手当の支払い義務は生じない。
□ 派遣労働者の場合の使用者の責めに帰すべき事由があるかどうかの判断は、派遣元の
使用者についてなされる。
5 出来高払制の保障給(労働基準法27条)
出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応
じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
□ 休業が使用者の責めに帰すべき事由による場合には、使用者は、休業手当を支給しなけ
ればならないが、労働者は就業してないので、出来高払制の保障給を支払う必要はない。
6 時間外、休日及び深夜の割増賃金(労働基準法37条)
(
は平成22年改正)
① 使用者が、法33条(災害等臨時の必要がある場合)又は法36条1項の規定(36
協定)により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間
又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分
以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払
わなければならない。
ただし、当該延長して労働させた時間が1か月について60時間を超えた場合にお
いては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以
上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
② 上記①の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考
慮して定めるものとする。
③ 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその
労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表
する者との書面による協定により、第1項ただし書の規定により割増賃金を支払うべ
き労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払わ
れる休暇(第39条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところ
により与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したとき
は、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得
した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項
ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。
④ 使用者が、午後10時から午前5時までの間において労働させた場合においては、
その時間の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以
上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
-38-
(注意) 当分の間、資本金の額若しくは出資総額が一定額以下の中小事業主又は常時使用
する労働者の数が一定人数以下の中小事業主については、①のただし書及び③
は適用されない。
◆ 割増率
割増率
割増賃金政令
時間外労働
2割5分以上5割以下の範
2割5分以上
休日労働
囲内で政令で定める率以上
3割5分以上
1か月について時間外労働が60時間を
超えた場合の60時間を超える時間
5割以上
深夜労働
2割5分以上
時間外労働が深夜の時間帯に及んだ場合
5割以上(2割5分以上+2割5分以上)
休日労働が深夜の時間帯に及んだ場合
6割以上(3割5分以上+2割5分以上)
割増賃金の計算の基礎に含まれない賃金
ア 家族手当、イ 通勤手当、ウ 別居手当、エ 子女教育手当、オ 住宅手当、カ 臨時
に支払われた賃金、キ 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
内容
割増賃金の基礎から除外される住宅
割増賃金の基礎に算入される住宅
手当
手当
住宅に要する費用、費用に定率を乗
住宅に要する費用以外の費用に応じ
じた額とするものや、費用を段階的
て算定される手当や、住宅に要する
に区分し費用が増えるにしたがって
費用に関わらず一律に定額で支給さ
額を多くするもの
れる手当
(イ) 賃貸住宅居住者には家賃の一定
(イ) 賃貸住宅居住者には2万円、
割合、持家居住者にはローン月額
持家居住者には1万円を支給す
の一定割合を支給することとされ
ることとされているようなもの
ているもの
具体例
(ロ)
扶養家族がある者には2万
(ロ) 家賃月額5~10万円の者には2
円、扶養家族がない者には1万
万円、家賃月額10万円を超える者
円を支給することとされている
には3万円を支給することとされ
ようなもの
ているようなもの
(ハ) 全員に一律に定額で支給する
こととされているもの
-39-
□ 労基法33条(災害等臨時の必要がある場合)又は36条1項(36協定)の規定により労
働時間を延長し、又は休日に労働させた場合はもちろんのこと、これらの規定による
手続きをとらずに行なわれた違法な時間外労働等についても、割増賃金の支払義務が
ある。
□ 労基法41条に該当する管理監督者等については、時間外又は休日の割増賃金の支払義
務は生じないが、深夜業の規定は適用されるため、深夜の割増賃金は支払わなければ
ならない。
□ 派遣労働者に対して割増賃金の支払義務を負うのは、派遣元の使用者である。
□ 「危険作業に従事した場合にのみ支給される危険作業手当」は、その危険作業が法定
の時間外労働として行われた場合には、割増賃金の算定の基礎となる賃金に算入しな
ければならない。
<通常の労働時間の賃金(1時間あたりの賃金額)の算出方法>(労基則19条)
賃金形態
① 時間給
計算方法
その金額
その金額を1日の所定労働時間数(日によって所定
② 日給
労働時間数が異なる場合には、1週間における1日
平均所定労働時間数)で除した金額
その金額を週における所定労働時間数(週によって
③ 週給
所定労働時間数が異なる場合には、4週間における
1週平均所定労働時間数)で除した金額
その金額を月における所定労働時間数(月によって
④ 月給
所定労働時間数が異なる場合には、1年間における
1月平均所定労働時間数)で除した金額
⑤ 月、週以外の一定期間に
①~④に準じて算定した金額
よって定められた賃金
⑥ 出来高払制その他の請負
制によって定められた賃金
その賃金算定期間中に受けた賃金の総額をその期間
・・・・・・
中の総労働時間数で除した金額
-40-
<時間外労働をした場合に支払われるべき金額>
その賃金額は所定労働時間中の労働に対して支払われてお
(1) 日給制や月給制な
どの場合
り、時間外の労働に対しては支払われていない。
したがって、時間外労働をした場合には、1時間当たり賃金
の1.25倍の割増賃金を支払わなければならない。
(2) 出来高払制その他
の請負制の場合
1.25のうち1.0の部分は支払われているわけだから、残りの
0.25の部分だけを追加支給すれば足りる。
□ 1か月について60時間を超えて時間外労働をさせた場合
通常の賃金×1.5
0.25
通常の賃金×1.25
0.25
0 時間
法定時間内
60時間
労使協定(※)
を締結すれ
ば、割増賃金
の支払に代え
て、有給の休
暇付与も可能
1か月の時間外労働
時間外労働
※ 労使協定では、次の①~③の事項について協定しなければならない。
① 代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法(注1)
② 代替休暇の単位(1日又は半日とする)(注2)
③ 代替休暇を与えることができる期間(時間外労働が1か月について60時間を超え
た当該1か月の末日の翌日から2か月以内とする)(注3)
-41-
(注1)
代替休暇として与えることができる時間の時間数
=(1か月の時間外労働時間数-60)×換算率
労働者が代替休暇を取得しなかった場
合に支払うこととされている割増賃金
労働者が代替休暇を取得した場合に
-
率(5割以上)
支払うこととされている割増賃金率
(2割5分以上)
(注2) 代替休暇として与えることができる時間の時間数が労使協定で定めた代替休暇の
単位(1日又は半日)に達しない場合であっても、「代替休暇以外の通常の労
働時間の賃金が支払われる休暇」と合わせて与えることができる旨を労使協定
で定めたときは、当該休暇と代替休暇とを合わせて1日又は半日の休暇を与え
ることができる。「代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇」
としては、代替休暇の実施に伴って任意に創設される休暇を想定しているもの
であるが、事業場の既存の休暇制度や法39条4項の時間単位年休を活用するこ
とも差し支えない。
なお、「代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇」と代替休暇
とを合わせて与えた場合においても、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の
支払に代えることができるのは、代替休暇の部分に限られる。
(注3) 時間外労働が1か月について60時間を超えた当該1か月の末日の翌日から2か月
以内とされており、労使協定では、この範囲内で定める必要がある。なお、代
替休暇を与えることができる期間として労使協定で1か月を超える期間が定め
られている場合には、前々月の時間外労働に対応する代替休暇と前月の時間外
労働に対応する代替休暇とを合わせて1日又は半日の代替休暇として取得する
ことも可能である。
□ 対象となる時間外労働
1か月について60時間を超えて時間外労働をさせた場合には、その超えた時間の労働に
ついては、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わな
ければならないが、この場合の 「1か月」とは、暦による1か月をいうものであり、その
起算日を「賃金の決定、計算及び支払の方法」として就業規則に記載する必要がある。
なお、1か月の起算日については、毎月1日、賃金計算期間の初日、時間外労働協定
における一定期間の起算日等とすることが考えられるが、就業規則等において起算日の
定めがない場合には、労使慣行等から別意に解されない限り、賃金計算期間の初日を起
算日とするものとして取り扱う。
-42-
□ 休日労働との関係
週1回又は4週4日の休日(「法定休日」という)以外の休日(「所定休日」とい
う)における労働は、それが法定労働時間を超えるものである場合には、時間外労働に
該当するため、「1か月について60時間」の算定の対象に含めなければならない。なお、
労働条件を明示する観点及び割増賃金の計算を簡便にする観点から、就業規則その他こ
れに準ずるものにより、事業場の休日について法定休日と所定休日の別を明確にしてお
くことが望ましい。
□ 代替休暇の取得日及び割増賃金の支払日
① 労働者の代替休暇取得の意向については、1か月について60時間を超えて時間外労働
をさせた当該1か月の末日からできる限り短い期間内において、確認されるものとする。
代替休暇を取得するかどうかは、労働者の判断によるため、代替休暇が実際に与えられ
る日は、当然、労働者の意向を踏まえたものとなる。
② 1か月について60時間を超える時間外労働に係る割増賃金の支払日については、労働
者の代替休暇取得の意向に応じて、次のようになる。
(イ) 労働者に代替休暇取得の意向がある場合
現行でも支払義務がある割増賃金(2割5分以上の率で計算した割増賃金)につ
いて、当該割増賃金が発生した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払う。なお、代
替休暇取得の意向があった労働者が実際には代替休暇を取得できなかったときには、
法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金について、労働者が代替休暇を取得できない
ことが確定した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払う必要がある。
(ロ) 労働者に代替休暇取得の意向がない場合、労働者の意向が確認できない場合等
法定割増賃金率の引上げ分も含めた割増賃金(5割以上の率で計算した割増賃
金)について、当該割増賃金が発生した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払う。
なお、法定割増賃金率の引上げ分も含めた割増賃金が支払われた後に、労働者から
代替休暇取得の意向があった場合には、代替休暇を与えることができる期間として
労使協定で定めた期間内であっても、労働者は代替休暇を取得できないこととする
ことを労使協定で定めても差し支えない。また、法定割増賃金率の引上げ分も含め
た割増賃金が支払われた後に労働者から代替休暇取得の意向があった場合について、
代替休暇を与えることができる期間として労使協定で定めた期間内であれば労働者
は代替休暇を取得できることとし、労働者が実際に代替休暇を取得したときは既に
支払われた法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金について精算することとすること
を労使協定で定めることも妨げられるものではない。
-43-
【具体例】
・賃金締切日が月末
・賃金支払日が翌月15日
・代替休暇は2か月以内に取得
・代替休暇を取得しなかった場合の割増賃金率50%
・代替休暇を取得した場合の割増賃金率25%
(イ) 労働者に代替休暇取得の意向がある場合
意向確認
賃金支払日:25%の割増賃金
⇒代替休暇の取得の意向あり
の支払い
15 日
4月
6月
5月
月60時間を超える時間
7月
代替休暇の取得
外労働
(ロ) (イ)以外の場合(労働者に代替休暇取得の意向がない場合、労働者の意向が確認でき
ない場合等)
意向確認
賃金支払日:50%の割増賃金
⇒代替休暇の取得の意向なし
の支払い
15 日
4月
5月
6月
7月
月60時間を超える時間
外労働
□ 代替休暇と年次有給休暇との関係
労働者が代替休暇を取得して終日出勤しなかった日については、正当な手続により労
働者が労働義務を免除された日であることから、年次有給休暇の算定基礎となる全労働
日に含まないものとして取り扱う。
-44-
Point9 年少者
ランク B
1 最低年齢(労働基準法56条)
① 使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、こ
れを使用してはならない。
② ①の規定にかかわらず、非工業的業種の事業(別表第1第1号から第5号までに
掲げる事業以外の事業)に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、
その労働が軽易なものについては、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、満13歳
以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の
事業については、満13歳に満たない児童についても、同様とする。
2 年少者の取扱い
満13歳
▼
児童
年少者
満15歳に達した日以後の最初の3月31日
▼
満18歳未満
▼
労働者として使用不可
労働者として使用可
非工業的業種、健康・福
子役は可
祉に有害でない、軽易な
(許可必要)
職業(許可必要)
年齢を証明する戸籍証明書
学校長の証明書
親権者又は後見人の同意書
-45-
3 労働時間及び休日
児童(満15歳に達した日以後の最初
の3月31日が終了するまでの者)
修業時間を通算して
1週間 40時間
1日
7時間
原
則
労
働
時
間
例
外
休
日
労
働
時
間
外
労
働
と
原
則
例
外
そ
の
他
年少者(満18歳未満の者)
1週間 40時間
1日
8時間
以下の規定は適用されない
① 労働時間の特例(労基則25条の2〈1週44時間〉、26条)
② 1か月単位の変形労働時間制(労基法32条の2)
③ フレックスタイム制(労基法32条の3)
④ 1年単位の変形労働時間制(労基法32条の4)
⑤ 1週間単位の非定型的変形労働時間制(労基法32条の5)
15歳以上(15歳に達した日以後の最
初の3月31日までの間を除く)18歳
未満の者
① 週法定労働時間内において、1
日の労働時間を4時間以内にすれ
ば、他の日※に10時間まで労働さ
せることができる
② 1週48時間、1日8時間を超え
ない範囲内で
・1か月単位の変形労働時間制の例
・1年単位の変形労働時間制の例
により、労働させることができる
以下の規定は適用されない
① 時間外及び休日の労働(労基法36条)
② 労働時間及び休憩の特例(労基法40条)
非常災害及び公務による臨時の必要(労基法33条)があるとき、農業や水
産・畜産業の事業に使用される場合等(労基法41条)は労働させることが
できる
休憩の特例(労基則31条~33条)の規定は適用されない
・・・・休憩付与の除外、一斉付与の例外(労使協定で除外できる)、
自由利用の例外
□ ※「他の日」とは他の1日に限られない。週休2日制の場合、1日の労働時間を4時
間にした場合、他の2日を各10時間、残りの2日を各8時間として労働させることが
できる。
-46-
4 深夜業
原
則
深
夜
業
例
外
児童(満15歳に達した日以後の最初
年少者(満18歳未満の者)
の3月31日が終了するまでの者)
使用してはならない深夜の時間帯
(原則)
満15歳以上(満15歳に達した日
…午後8時から午前5時
以後の最初の3月31日までの児
…午後9時から午前6時※
童を除く)18歳未満の者
…午後10時から午前5時
① 交替制で使用する満16歳以上の男性
② 非常災害による臨時の必要があるときは労働させることができる
(⇒許可又は事後遅滞なく届出)
③ 農林畜産水産業、保健衛生の事業、電話交換の業務
④ 交替制によって労働させる事業において、労働基準監督署長の許可を受
けた午後10時から午後10時30分までの30分
※ 演劇の事業に使用する児童が、演劇を行う業務に従事する場合。
5 危険・有害業務、帰郷旅費
児童(満15歳に達した日以後の最初の3
月31日が終了するまでの者)
危
険
有
害
業
務
坑
内
労
働
帰
郷
旅
費
年少者(満18歳未満の者)
原
則
禁 止
例
外
職業訓練の認定を受けた訓練を受ける訓練生は労働させることができる※1
※2
原
則
禁 止
例
外
職業訓練の認定を受ける訓練生で満16歳以上の男性については、労働させる
ことができる※1※2
原
則
解雇の日から14日以内に帰郷する場合
例
外
労働基準監督署長の認定を受けて満18歳に満たない者の責めに帰すべき事由
に基づき解雇するときは、負担する義務はない。
※1 都道府県労働局長の許可を受けた使用者が、職業能力開発促進法に基づく認定職業
訓練として行う場合に限る。
・・・・
※2 認定職業訓練を受けている未成年者(20歳未満)の年次有給休暇は、初年度に12労
働日を付与しなければならない。
-47-
Point10 妊産婦等
ランク B
1 坑内業務の就業制限
使用者は、次の①・②に掲げる女性を、当該①・②に定める業務に就かせてはならない。
① 妊娠中の女性及び坑内で行われる業
務に従事しない旨を使用者に申し出た
坑内で行われるすべての業務
産後1年を経過しない女性
② ①に掲げる女性以外の満18歳以上の
女性
坑内で行われる業務のうち人力により行
われる掘削の業務その他の女性に有害な
業務として厚生労働省令で定めるもの
□ 女性技術者が行う管理・監督業務について、坑内で行うことができる。
2 危険有害業務の就業制限(労働基準法64条の3)
① 使用者は、妊産婦を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における
業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。
② 妊産婦以外の女性については、①の業務(全部で24業務)のうち妊娠又は出産に
係る機能に有害である業務に就かせてはならない。
妊婦
産婦
妊産婦以外
の女性
1号(重量物)
18号(有害物を発散する場所にお
ける一定の業務)
就業制限業務
(24業務)
24業務
⇒すべて禁止
24号(著しい振動業務)
⇒3業務は禁止
上記3業務以外(13号・14号を
1号、18号
⇒2業務は禁止
除く※)については、本人から
従事したくない旨の申出がなけ
れば可
※ 13号(深さが5メートル以上の場所における業務)、14号(高さが5メートル以上の
場所における業務)については、産婦を就業させることができる。
-48-
3 産前産後・妊産婦の時間外労働の制限
妊婦
産婦
6週間経過前
① 請求による産前休暇6週間(多
6週間経過後
産婦の請求+その者に
胎妊娠は14週間)
ついて医師が支障がな
強制休業
② 請求があれば他の軽易な業務※
いと認めた業務に就か
に転換させなければならない
せることはできる
※ 新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではない。
□ 他の軽易な業務への転換請求の規定は、管理監督者についても適用される。
妊産婦が請求した場合(原則)
妊産婦である管理監督者
① 変形労働時間制(フレックスタイム制を
「労働時間・休憩・休日」に関する規
除く)を採用する場合であっても、1日8
定が適用されないことから、①・②は
時間、1週間40時間の法定労働時間を超え
適用されない
てはならない
② 以下の場合であっても、時間外労働、休
日労働させてはならない。
ア 災害その他やむを得ない事由により臨
時の必要がある場合
イ 公務のために臨時の必要がある場合
ウ 36協定を締結している場合
③ 深夜業をさせてはならない
深夜業に関する規制は適用されるた
め、これらの者が請求した場合には、
深夜業が制限される。
-49-
4 育児時間(労働基準法67条)
① 生後満1年に達しない生児を育てる女性は、労基法34条の休憩時間のほか、1日
2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
② 使用者は、①の育児時間中は、その女性を使用してはならない。
□ 1日の労働時間が4時間以内であるような場合には、1日1回の育児時間を付与すれ
ば足りる。
5 生理休暇(労働基準法68条)
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生
理日に就業させてはならない。
-50-
Point11 就業規則
ランク A+
1 就業規則の作成及び届出の義務
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なけ
ればならない。(変更した場合も同様)
絶対的必要記載事項
相対的必要記載事項
① 始業及び終業の時刻、休憩時間、休
① 退職手当の定めが適用される労働者の
日、休暇並びに労働者を2組以上に分
範囲、退職手当の決定、計算及び支払の
けて就業させる場合における就業時転
方法並びに退職手当の支払の時期に関す
換に関する事項
る事項
② 賃金(退職手当及び臨時に支払われ
② 臨時に支払われる賃金(退職手当を除
る賃金等を除く。)の決定、計算及び
く)、賞与及びこれらに準ずる賃金並び
支払の方法並びに賃金の締切り及び支
払の時期、昇給に関する事項
③ 退職に関する事項(解雇の事由を含
む。)
に最低賃金額に関する事項
③ 労働者に負担させるべき食費、作業用
品その他に関する事項
④ 安全及び衛生に関する事項
⑤ 職業訓練に関する事項
⑥ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関す
る事項
⑦ 表彰及び制裁に関する事項
⑧ その他事業場のすべての労働者に適用
される事項
□ 就業規則の作成時点または変更時点において、常時10人以上の労働者を使用する使用
者が対象となる。したがって、例えば、就業規則を作成・届出をした使用者で、当該
就業規則の変更した時点において常時10人未満の労働者しか使用しない場合には、就
業規則の変更に関して、届け出る必要はない。
□ 必要記載事項を欠いている場合には、それが相対的必要記載事項である場合であって
も、作成義務を果たしているとはいえず、処罰の対象となる。(⇒このような必要記
載事項の一部が記載されていない就業規則についても、効力の発生については他の要
件を具備する限り有効である。)
□ 事業場の一部の労働者について、他の労働者と異なる労働条件を定める場合には、当
該一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することはできる。
-51-
(就業規則の本則において、別個の就業規則の適用を受ける者についての適用除外規
定と委任規定を設けることが必要)
□ 法41条により労働時間、休憩、休日の規定が適用除外される者についても、法89条
(就業規則)は適用されるため、これらの者についても就業規則に始業及び終業の時
刻を定めなければならない。
□ フレックスタイム制において、労使協定でコアタイム、フレキシブルタイムを設ける
場合には、これらに関する事項も始業及び終業の時刻に関する事項であるため、就業
規則で定めておかなければならない。
□ 休職に関する事項は、その事業場の労働者のすべてに適用される定めであれば就業規
則の相対的必要記載事項である。
□ 派遣労働者に関して、就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の
労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者である。
2 作成の手続
労働組合が
労働者の過半数で組織する労働組合がある
当該労働組合の意見を聴く
ある
労働者の過半数で組織する労働組合はない
当該事業場の労働者の過半
労働組合が
数を代表する者の意見を聴
ない
く
3 制裁規定の制限
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1
回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の
10分の1を超えてはならない。
□ ここでいう「就業規則」は、常時10人以上の労働者を使用する使用者が作成する就業
規則に限られないため、就業規則を作成する必要がない使用者にも適用される。
□ 「一賃金支払期における賃金の総額」とは、当該賃金支払期に現実に支払われる賃金
の総額をいう。したがって、一賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤等のた
め少額となったときは、その少額となった賃金の総額の10分の1以内としなければな
らない。
□ 総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超える部分の減給は、次期以降
の賃金支払期に繰り越して行うことができる。
-52-
減給の制裁に該当する
減給の制裁に該当しない
(イ) 就業規則で30分に満たない遅刻、早
(イ)
遅刻、早退又は欠勤があった場合
退を常に30分に切り上げる定めをする
に、労働の提供がなかった時間に相当
こと
する分の賃金額を控除すること
(ロ) 制裁として、従来と同一の業務に従
(ロ) 就業規則に制裁として、出勤停止及
事しているにもかかわらず賃金額だけ
びその期間中の賃金を支払わない定め
を下げること(降給、減俸)
をすること
(ハ) 就業規則に、昇給の欠格条項を定め
ること
(ニ) 制裁として、運転手を助手に格下げ
し、賃金額も助手の賃金に低下させる
こと
-53-
Point12 寄宿舎・帳簿・時効その他
ランク B
1 労働者名簿・賃金台帳
内容
労働者名簿
使用者は、各事業場ごとに労働
者名簿を、各労働者(日日雇い入
れられる者を除く)について調製
し、労働者の氏名、生年月日、履
歴その他厚生労働省令で定める事
項を記入しなければならない。
【厚生労働省令で定める事項】
(イ) 性別
(ロ) 住所
(ハ) 従事する業務の種類※
(ニ) 雇入の年月日
(ホ) 退職の年月日及びその事由(退
職の事由が解雇の場合にあって
は、その理由を含む)
(ヘ) 死亡の年月日及びその原因
賃金台帳
使用者は、各事業場ごとに賃金
台帳を作成し、各労働者各人別
に、賃金計算の基礎となる事項、
賃金の額その他厚生労働省令で定
める事項を賃金支払の都度遅滞な
く記入しなければならない。
【厚生労働省令で定める事項】
(イ) 氏名
(ロ) 性別
(ハ) 賃金計算期間
(ニ) 労働日数
(ホ) 労働時間数
(ヘ) 時間外延長時間数、休日労働
時間数、深夜労働時間数
(ト) 基本給、手当その他賃金の種
類毎にその額
(チ) 賃金の一部を控除した場合に
は、その額
不要
必要
(1か月を超えて引き続き使用さ
れている場合を除き、賃金計算期
間については記入不要)
日日雇い入
れられる者
保存期間
労働者の死亡、退職又は解雇の日
から3年間
※ 常時30人未満の労働者を使用
する事業については、従事する業
務の種類の記載は不要
その他
-54-
最後に記入した日から3年間
法41条による労働時間等の適用除
外者(管理監督者等)については、
(ホ)の労働時間数、(ヘ)の時間外延
長時間数及び休日労働時間数は、
これを記入することを要しない(→
「深夜労働時間数」は記入しなけ
ればならない)
2 記録の保存義務…「3年間」
書
類
労働者名簿
賃金台帳
雇入れ又は退職に関する書類
災害補償に関する書類
賃金その他労働関係に関する重要な書類
(出勤簿、タイムカード、36協定等)
3年間の起算日
労働者の死亡、退職又は解雇の日
最後の記入をした日
労働者の退職又は死亡の日
災害補償の終った日
その完結の日
3 寄宿舎規則の必要的記載事項
作成・変更について寄宿労働者の過半数
を代表する者の同意
必要的記載事項
①
②
③
④
⑤
起床、就寝、外出、外泊に関する事項
行事に関する事項
食事に関する事項
安全及び衛生に関する事項
建設物及び設備の管理に関する事項
必
要
不
要
4 付加金の支払(労働基準法114条)
裁判所は、使用者が以下に該当する場合に、労働者の請求により、使用者が支払わ
なければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ず
ることができる。ただし、この請求は、違反のあった時から2年以内にしなければなら
ない。
① 解雇予告手当を支払わないとき
② 休業手当を支払わないとき
③ 割増賃金を支払わないとき
④ 年次有給休暇の日の賃金を支払わないとき
□ 付加金の支払を命ずるのは、「裁判所」である。
□ 賃金の全額払の義務に違反して賃金を支払わなかった使用者に対して、付加金の支払
を命ずることはできない。
□ 付加金支払義務は、使用者が解雇予告手当等を支払わない場合に、当然発生するもの
ではなく、労働者の請求により裁判所がその支払を命ずることによって、初めて発生
するものと解すべきであるから、使用者に法20条の違反があっても、既に予告手当に
相当する金額の支払を完了し使用者の義務違反の状況が消滅した後においては、労働
者は付加金請求の申立をすることができないものと解されている。
-55-
5 時効
2年間
5年間
賃金(退職手当を除く)
退職手当の請求権
災害補償その他の請求権
(年次有給休暇、退職時の証明など)
6 両罰規定
① 労働基準法の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事
業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業
主に対しても各本条の罰金刑を科する。ただし、事業主(事業主が法人である場合に
おいてはその代表者、事業主が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者
又は成年被後見人である場合においてはその法定代理人(法定代理人が法人であると
きは、その代表者)を事業主とする。②において同様。)が違反の防止に必要な措置
をした場合においては、この限りでない。
② 事業主が違反の計画を知りその防止に必要な措置を講じなかった場合、違反行為
を知り、その是正に必要な措置を講じなかった場合又は違反を教唆した場合におい
ては、事業主も行為者として罰する。
□ 法人の代表者(事業主)が違反の事実を知りながら、是正に必要な措置を講じなかっ
た場合においては、法人の代表者(事業主)も行為者として罰せられる。
-56-
Point13 労基法 縦断 その1 労使協定
① 貯蓄金管理に関する協定
② 賃金の一部控除
③ 1か月単位の変形労働時間制
※1
④ フレックスタイム制
⑤ 1年単位の変形労働時間制
⑥ 1週間単位の非定型的変形労働時間制
⑦ 時間外労働、休日労働に関する協定
⑧ 代替休暇
⑨ 事業場外のみなし労働時間制
⑩ 裁量労働(専門業務型)みなし労働時間
制
⑪ 一斉休憩の適用除外
⑫ 時間単位の年次有給休暇
⑬ 年次有給休暇の計画付与
⑭ 年次有給休暇中の賃金を健康保険の標
準報酬日額で支払う場合
(イ)
(ロ)
○
○
○
○
○
(ハ)
○
○
○
○
(ニ)
(ホ)
○
○
○
○
(ヘ)
(ト)
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
△
※2
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
※1 労使協定により採用した場合
※2 労使協定で定める時間が8時間を超える場合
(イ) 有効期間を定める必要のあるもの
(ロ) 届出が必要なもの
(ハ) 届出が必要だが、届出をしなくとも罰則の適用がないもの
(ニ) 届出をしなくても免罰効果は発生しているが、届出をしなかったことをもって罰則
の適用があるもの
(ホ) 届出をしないと、免罰効果そのものが発生しないもの
(ヘ) 労使委員会の決議(委員の5分の4以上の多数による議決)で代替できるもの
(ト) 労働時間等設定改善委員会の決議(委員の5分の4以上の多数による議決)で代替
できるもの
有効期間
不要
必要
労使協定が労働協約である場合
決議により、労使協定に代えた場合
-57-
届出
必要
不要(⑦を除く)
Point14 労基法 縦断 その2 認定・許可
行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定が必要なもの
認定事由
① 解雇制限
天災事変等により事業の継続が不可能となった場合
(1) 天災事変等により事業の継続が不可能となっ
② 解雇予告
た場合
(2) 労働者の責めに帰すべき事由による場合
満18歳に満たない者がその者の責めに帰すべき事由
③ (年少者の)帰郷旅費
により解雇された場合
④ 休業補償、障害補償の例外
労働者が重大な過失によって業務上負傷し、疾病に
かかった場合
行政官庁の許可が必要なもの
項
目
許 可
① 非常災害時の時間外・休日労働
② 休憩時間の自由利用の例外
③ 監視又は断続的労働
④ 宿直又は日直の勤務
所轄労働基
⑤ 満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの間にあ
準監督署長
る児童を労働者として一定の職業について修学時間外に使用
⑥ 交替制によって勤務させる事業における午後10時30分までの30分
の深夜業
⑦ 職業訓練に関する特例
所轄都道府
県労働局長
-58-