物性研究所短期研究会 スパコン共同利用成果発表会 日時:2014 年 11 月 13~14 日 場所:本館6階大講義室 組織委員: 《所外》小口多美夫(阪大)、柚木清司(理研) 、山本量一(京大)、 《所内》常行真司、藤堂眞治、野口博司、杉野修、赤井久純、尾崎泰助、川島直輝、渡辺宙志、笠松秀輔、芝隼人、 野口良史、森田悟史、松田巌、原田慈久 物性研スーパーコンピュータの利用者による成果報告会を本年度も行った。延べ 154 名の参加者があり、活発な討論が なされた。 物性研では、2013 年度 4 月から、物性研スーパーコンピュータ、システム C として、FX10 の運用を開始した。また、 主力機であるシステム A、B は導入後 5 年目の最終年にはいり、大規模並列計算による成果が多数出てきている。スーパ ーコンピュータの共同利用のユーザに加えて、他の計算物質科学を研究者を交えて、最新の研究成果の情報を交換すると ともに今後の発展について議論する場を設けるため、本研究会を企画した。また、システム A、B の後継機種を想定した 計算科学の展望について、ユーザの意見を集め、今後の共同利用スパコン運営に反映することをねらった。今回は、11 月 12 日に物性研計算物質科学研究センターのシンポジウムをあわせて開催された。12 日のセンターシンポジウムでは、 「計 算科学の産業応用」をキーワードとして、尾崎所員と共同研究をしている新日鉄住金の澤田氏にもご講演いただいくなど、 社会に対する計算科学の役割についても討論された。このキーワードに関連して、2 日目以降の共同利用報告会でも、い くつかの講演があった。とくに特別講演として、物質・材料研究機構の館山氏にご講演いただいた。館山氏は、最近固体 電池に関する第一原理計算を用いた計算で顕著な業績をあげている。また、2014 年度共同利用スパコン年次報告書におい て、巻頭論文執筆をお願いした、酒井(理研)、星(鳥取大)、芝隼(物性研)の 3 氏にも講演いただいた。 京コンピュータのソフトウェア利活用プロジェクトであり、物性研がそのひとつの重点課題の代表機関となっている HPCI 戦略プログラムも残すところあと1年あまりとなり、大規模並列計算への展開が物性科学コミュニティにもたらし たものを総括すべき時期にさしかかっているが、ソフトウェアの整備状況に関して、藤堂(東大)、尾崎、赤井(物性研)、 吉本(東大)の4氏からソフトウェア公開の状況に関して報告があり、HPCI 戦略プログラムの後継プロジェクト(フラッ グシップ 2020)に関して、常行氏(物性研)はその展望を説明した。(※その後、物性研を代表機関とするフラッグシップ 2020 に関する提案は9つの課題のうちの1つとして採択され、2015 年度から 6 年間の予定でプロジェクトが始まること になった。) また、会期中に若手を対象とした発表の審査が行われ、京都大学の田中宗氏がポスター賞、北海道大学の国貞雄治氏が ビジュアル賞を受賞した。 いつものことながら、研究会の運営には、物性研共同利用係、各研究室秘書室、CMSI 事務局のスタッフの方々のサポ ートをいただいた。ここに深く感謝する。 (文責:川島) ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 物性研だより第 55 巻第 1 号 15 プログラム 11/12(水) 13:00 挨拶/瀧川所長(物性研) 13:10 Stefan Bluegel(Juelich) Computing Materials: past, present, future 13:50 島川祐一(京大) 秩序構造ぺロブスカト酸化物における磁気相互作用/ 14:30 尾崎泰助(物性研) 第一原理低次スケーリング電子状態計算手法の開発と実問題への応用/ 15:10 BREAK 15:40 澤田英明(新日鉄住金) 計算材料科学の鉄鋼応用 16:20 尾崎泰助、赤井久純、藤堂眞治、吉本芳英(物性研/東大) 物質科学計算アプリ紹介 17:00 常行真司(東大) ポスト「京」に対する物性コミュニティからの提案の状況 17:40 朝倉大輔(産総研) 軟 X 線分光によるリチウムイオン電池電極材料のオペランド解析 18:30 16 懇親会 物性研だより第 55 巻第 1 号 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 11/13(木) 10:00 酒井志郎(理研)<巻頭論文講演> 銅酸化物の高温超伝導機構-隠れたフェルミオンの存在の数値計算による実証 10:40 鈴木隆史(兵庫県立大) 2 次元一般化 Heisenberg 模型の有限温度転移 11:05 BREAK 11:30 柚木清司(理研) 層状ペロブスカイト構造を持つ 5d 遷移金属イリジウム酸化物における新奇な絶縁体と超伝導 12:10 新城一矢(京大) 拡張したキタエフ・ハイゼンベルク模型の密度行列繰り込み群法による研究 12:35 LUNCH 13:40 館山佳尚(NIMS)<特別講演> 全固体電池表面界面の第一原理計算解析 14:20 小谷岳生(鳥取大) MTO+APW を用いた混合基底法にもとづく準粒子自己無撞着 GW 法とその応用 14:45 ポスターセッション 16:10 星健夫(鳥取大)<巻頭論文講演> 「京」での 100 ナノ電子状態計算とその展望/ 16:50 斎藤晋(東工大) グラフェンおよび六方晶窒化ホウ素原子膜からなる系の幾何構造と電子物性 17:15 渡辺一之(東京理科大) 時間依存密度汎関数法のナノスケール電子放射と電子回折への応用 11/14(金) 10:00 渡辺宙志(物性研) 多重気泡生成過程における気泡間相互作用の数値的解析 10:25 渕崎員弘(愛媛大) 変形 Lennard-Jones 系の基準化に向けて 10:50 BREAK 11:15 芝隼人(物性研)<巻頭論文講演> 構造ガラスのダイナミクスの大規模数値計算–動的不均一性を視点として- 11:55 古川亮(東大) モデル微生物系における流体力学的相互作用の効果 12:20 金鋼(新潟大) ガラス転移におけるフラジリティと動的不均一性 12:45 ■ ■ ■ ■ ■ ■ Closing ■ 物性研だより第 55 巻第 1 号 17
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