Message Graduate School of Frontier Sciences The University of Tokyo 東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 「学融合」という概念で 新しい学問領域を創出する Transdisciplinary approaches enable us to pioneer the frontiers of science. 新領域創成科学研究科は、学際性をさらに推し進めた「学融合」という概念で新しい学問領 域を創出することを目指して 1998 年に設置されました。ナノ、物質・材料、エネルギー、情報、 複雑系、生命、医療、環境、国際協力など、伝統的な学問体系では扱いきれなくなった分野横 断的な重要課題に取り組むために、各分野をリードする意欲的な教員が集結しました。組織の壁 を取り払った自由でオープンな研究教育環境の中で多様なメンバーが密に交流・協力し、人類が Transdisciplinary Creativity 直面する新しい課題に挑戦していくことが研究科の基本理念です。 学生の教育においては、幅広い教養と深い専門性を併せ持つ人材を育成するために、数々の 横断的教育プログラムが実践されています。柏キャンパス内のカブリ数物機構、宇宙線研、物性 研、大気海洋研と連携した深くかつ幅広い専門教育とともに、社会のリーダーとなるための知力 と体力を高めるプログラムや付属施設の充実にも力を入れています。また、産学連携や地域との 連携においても、新しい取り組みを展開しています。2014 年に柏の葉キャンパス駅前に竣工し た東京大学フューチャーセンターや柏の葉アーバンデザインセンターを拠点として、柏スマートシ ティの社会実験への参加や、ベンチャー企業への支援が行われています。さらに大学の国際化 においては、留学生の居住施設を備えた学住一体の国際カレッジ化を推進しており、東京大学の 国際化の窓口としての役割を担っています。 本研究科は現在、基盤科学研究系、生命科学研究系、環境学研究系に属する 11 専攻と、全 系にまたがるサステイナビリティ学グローバルリーダー養成大学院プログラム、特徴のある 5 つ の研究センターとから構成されています。200 名余の教員、1,300 名余の大学院学生を擁し、 豊かな緑と先進的な都市機能を融合させた未来指向都市の中核をなすキャンパスの中で、新天 地の開放感を享受しながら成長を続けています。 http://www.k.u-tokyo.ac.jp/ 2015. 04 2 基盤科学研究系 先端エネルギー工学専攻 Transdisciplinary Sciences 複雑理工学専攻 生命科学研究系 先端生命科学専攻 Biosciences GRADUATE SCHOOL OF FRONTIER SCIENCES 既存領域の壁を乗り越え 知の最前線を拓く 物質系専攻 メディカル情報生命専攻 自然環境学専攻 海洋技術環境学専攻 THE UNIVERSITY OF TOKYO 環境学研究系 Environmental Studies 環境システム学専攻 人間環境学専攻 社会文化環境学専攻 国際協力学専攻 Crossing Boundaries to Pioneer the Frontier 「 学 融 合」が 生み出すモノ 研究科附属施設 サステイナビリティ学ム グローバルリーダー養成 大学院プログラム 生涯スポーツ健康科学研究センター/オーミクス情報センター/バイオイメージングセンター ファンクショナルプロテオミクスセンター/革新複合材学術研究センター 未来は常に新しい知を求めています。 新領域創成科学研究科は、東京大学のすべての部局の全面的な協力のもとに新設された修士・ 立ちふさがる難問に穴を穿ち、その先への道を示す健全で力にあふれた知を。 博士課程のみの大学院(独立研究科) です。本研究科を構成する基盤科学、生命科学、環境学 の各研究系に共通する特徴は、既存の個別学問分野から派生する未開拓の領域を研究・教育 東京大学新領域創成科学研究科は の対象とし、人類が解決を迫られている課題に取り組んでいることです。 先端的な 3 つの研究系を緑豊かなキャンパスに結集し、 この新たな領域に果敢に挑戦するため、本研究科では「学融合」を基本理念に、多様なバック 自由闊達な学の融合により、未開拓領域の研究・教育を推し進めています。 グラウンドを持つ教員を、内外の研究・教育機関から結集し、領域横断的な研究課題をカバー するように配置しました。これまでに約 7,000 名の修了者を世に送り出し、現在 1,300 名余 の学生が在籍しています。 「新物質」 「エネルギー」 「宇宙」 「脳」 「資源」 「国際協力」 「医療」 「情報」 「生命・バイオ」 。 人類の未来を担う研究分野のひとつひとつが エネルギー 基盤科学研究系 宇宙 脳 学融合 知の冒険 医療 未だ見ぬ知恵と想像力、直観と情熱を求めています。 資源 新物質 環境学研究系 国際協力 情報 生命・バイオ 誰も知らない未開拓領域に臨み、知の最前線を拓く。 その冒険に、あなたも参加しませんか。 3 生命科学研究系 4 5 新しい「学び」のための最適環境 研究成果を社会に活かす仕組みと環境 新領域創成科学研究科では、研究成果の社会還元を目的に、柏市、流山市、千葉県、千葉大、周 Offering a Superb Environment for Innovative Studies 辺企業とともに地域連携、産学連携、国際交流を積極的に進めています。 平成18年の柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)の開設をはじめとして、平成20年には フューチャーセンター推進機構(FC機構)を設置、 「柏の葉国際キャンパスタウン構想」を策定し 柏キャンパスのもうひとつの特長はキャンパスの外にあります。 ました。 それは、あふれる緑と快適な都市機能を融合させたコミュニティ。 柏市は、平成21年に「ITS実証実験モデル都市」、平成23年に「環境未来都市」及び「地域活性 フューチャーセンター推進機構をはじめとする先進的な施設が 化総合特別区域」に指定されていますが、これらは超高齢社会に対応した未来指向都市(スマー コンパクトで洗練された「学び」の環境を提供します。 トシティ)の社会実験を目的としています。本学はそのための先端技術を開発提供しており、そう 駒場、本郷に並ぶ東京大学の最新キャンパスが、 した技術を基礎にした新たな産業の創出も目指しています。 コミュニティ全体であなたの知の冒険をサポートします。 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 未来を切り拓く教育研究の新たな拠 点として、成熟度の異なるディシプ 領域横断的な研究を先導する最新キャンパス 柏 専門領域の継承と内在的発展を目指す本郷キャンパス、 新しい学問分野の 創成 学際的な教育と研究を使命とする駒場キャンパスに加 リンの融合による大学院教育と研究 学生主催のイベントを開催しています。社会実験の中心拠点である FC 機構は同駅前に6,000 平 を行い、知の冒険を試みながら、新 米に及ぶ総合研究棟を擁しています。産学連携の分野では、東葛テクノプラザ(千葉県) と東大柏 しい学問分野の創成を目指します。 え、新設された柏キャンパス。既存の専門領域を基礎に さかのぼって組み替え、学問の壁にとらわれない領域横 断的な教育と研究を追求します。 駒場 本郷 学際的学問分野 伝統的学問分野 全学の学部前期教育を受け持つほ 「三極構造」の重心をなすキャンパ か、異なるディシプリンの相互作用 スとして、伝統的なディシプリンを や社会との交流を基本として、学 基礎とし、学部後期課程から大学 部後期課程、大学院にも及ぶ学際 院に及ぶ教育と研究を行います。 的な教育と研究を行います。 6 地域連携を担う UDCKは、柏の葉キャンパス駅前に専用の施設を持ち、 地域住民へのセミナーや ベンチャープラザ(中小機構)を拠点とした東大発のベンチャー企業が育っています。国際交流に 関しては、国際センター柏オフィスが留学生や海外研究者の来日手続きや生活支援を行っていま す。柏Ⅱキャンパスには外国人専用の寮もあり、学生と研究者が学住一体の環境で学ぶことがで きます。 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) フューチャーセンター推進機構(FC 機構) 東葛テクノプラザ 7 基盤科学研究系 Transdisciplinary Sciences 物質系専攻 物質系専攻、先端エネルギー工学専攻、複雑理工学専攻の3つの専攻からなり、 未来科学の基盤となる新分野をつくりだします。 また新しい基盤科学を担う人材を育成します。 複雑理工学専攻 http://www.k.u-tokyo.ac.jp/materials/ 世界に羽ばたく物質科学研究者をここから育てる http://www.k.u-tokyo.ac.jp/complex/ マルチスケール複雑系科学・技術の創成を目指して 物質系専攻は、物質に関する総合的・系統的な教育・研究を行う世界拠 す。 そして、多彩な現象の機構解明と理論構築、新たなデバイスの創成、革新 複雑理工学専攻は、 理学と工学を融合した今までにないアプローチによっ 本専攻では、 「脳・バイオ」 「アストロバイオロジー」 「極限物質」の3つのモ 点としての役割を追究しています。理化学研究所などの外部研究機関との 的物性測定手段の確立などを通して、21世紀基盤技術の創造を目指してい て「複雑性」を解明し、新しいパラダイムを創成できる研究者・技術者を養成 ジュールを中心に、 ナノから宇宙にわたるマルチスケール複雑系の学融合を 連携も深めています。 ソフトマテリアル、準結晶、有機エレクトロニクス、 プラ ます。学生は、外国人を含むこれら著名な教授陣による基礎から先端レベル することを目的としています。 自然物・人工物を問わず実世界には複雑な非 推進し、新しい複雑系科学・技術の創成を目指しています。 また、 これらの分 ズマ材料プロセス、単分子反応制御・計測、超短パルスレーザー分光、超伝 までの講義・演習を受けるチャンスに恵まれ、物性の基礎から工学の応用ま 線形現象が数多く存在し、複雑な系を単純な系の線形的な重ね合わせで構 野に共通する数理・情報・可視化・機械学習などの理論と技術に基づく 「複雑 導、 マルチフェロイクス、放射光計測、 ナノテクノロジーによる先端計測技術 で、基礎科学のフロンティアに直接触れることで、物質科学のトータルな教 成することは必ずしもできないという事実に我々は直面しています。 カオス 系プラットフォーム」を構築することにより研究と人材育成を促進し、新たな などの分野において、世界的に注目される研究成果を収める教授陣が集結 育・研究環境の中で充実感を持った大学院生活を味わうことができます。 やフラクタルといった新しい非線形概念の形成を契機として、多数の非線形 展開を図っています。 し、 “物質”の奥底に潜む未知の機能を引き出すために研究に邁進していま 要素が強く相互作用する複雑系が至るところに存在し、実世界の複雑系の 理解は21世紀の新しい科学技術を創成する原動力となり得ることが明らか になってきました。 ボロン系 複雑系プラットフォーム 脳・バイオモジュール ボロン系とアルミ系正 20 面体クラスター個体 の多重殻構造 アルミ系 機械学習に基づくデータ処理 アストロバイオロジーモジュール 架橋点が自由に動く環動高分子材料。 コーティングや 防振材など、様々な分野への応用展開が進行中。 脳や五感の機能解明とその応用展開 極限物質モジュール タンパク質の変性を防ぐシャペロンの分子模型 先端エネルギー工学専攻 かつて温暖湿潤気候をもっていた火星 http://www.k.u-tokyo.ac.jp/ae/ 高温プラズマ閉じ込め 装置 TST-2 グラフェン表面の原子像 最先端エネルギーの開拓と有効利用に挑戦 先端エネルギー工学専攻では、現代のエネルギー関連工学の枠を超え、 エネルギーの効率的利用・貯蔵・輸送と、超電導による高磁場利用、太陽や むしろ未来のエネルギー工学に発展することが期待される先端的な研究を 宇宙のプラズマ物理、非線形科学などの基礎研究や、 プラズマ核融合エネル 行っています。宇宙エネルギーシステム工学、先端構造/材料工学、超電導 ギーや将来型宇宙輸送機の開発研究、資源や環境を考慮したエネルギーシ 応用工学、電気エネルギーシステム工学、制御工学、 プラズマ理工学、核融 ステム、宇宙環境利用、知的構造・材料開発、 トーラスプラズマ生成・合体、超 合工学などの分野を横断的に扱い、 「エネルギー」をキーワードとした総合 電導磁気浮上、 スマートグリッド、電気自動車、非接触給電システムなどの応 的な教育・研究を行うことが特徴です。 用研究です。 「エネルギー」に関わるラディカルな諸問題に果敢に挑戦する 具体的には、超高温状態(プラズマ)や高エンタルピー状態のような物質 人材を育成するために、常に最先端の研究プロジェクトを実施し、かつ国際 の極限状態におけるエネルギーの発生・変換・制御や、極限構造・材料工学、 的、 学際的に開かれた研究環境を創出しています。 風洞 ー燃焼 タルピ 高エン 極超 音速 風洞 マッハ 7 で飛行する ロケット頭部の流れ (流れは左から右へ) プラズマ閉じ込め装置RTー1 8 柏キャンパス極超音速高エンタルピー風洞 4輪駆動電気自動車Kanon 9 生命科学研究系 Biosciences 21世紀は「生命科学の世紀」であるといわれ、生命観は、大きく変容し、 医療や農業にも新たな潮流をもたらしています。 既成概念にとらわれず、 さらなる次世代生命科学を拓く人材を育成します。 メディカル情報生命専攻 http://www.ib.k.u-tokyo.ac.jp/ http://www.cbms.k.u-tokyo.ac.jp/ 先端生命科学専攻では、 ゲノム情報を基礎にして生命現象の素過程とそ 命科学の新しい学問分野の創設や発展に貢献できる人材、 すなわちフロン 20世紀後半は分子生物学の大きな発展が見られ、 ゲノムを基盤とするシ の連携機構を研究し、 これに基づいて生命の普遍性と多様性、生命体の協 ティア精神に溢れた創造性に富む人材の育成を目指します。 このような能力 ステムである生物について、原理的理解が急速に進みました。 これを受けて 調性と競合性、 ならびに生命の起源と進化などを、構造と機能の両面から研 は、決して「受け身」で身に付くものではなく、研究に対する学生の積極的な 21世紀は生命科学の応用の時代、 ライフイノベーションの時代といわれて 究しています。構造からのアプローチを行う構造生命科学大講座では、生命 姿勢があって初めて獲得されるものです。従って本専攻では、 「能動的アティ います。 しかしながら、生命現象は複雑なものであり、それを多数の構成分 体の基本分子である生体高分子およびそれらと相互作用する低分子有機化 テュードの教育」を基本理念とし、個々の資質を活かした豊かなオリジナリ 子と素過程に分解し、単純化して原理を見出すことのみで理解さらには応用 情報に基づく新たな医 科学の創造と展開 情報による生命科学の リノベーション 企業 医療現場 大学・研究所 医療・科学技術行政 5 博士後期課程:40名 メディカル情報生命専攻 年一貫カリキュラム 新たな専攻設立の背景と理念 バイオ知財コース 生命科学の先端分野が融合して、フロンティアを切り開きます ! 修士 卒業生 合物 の「かたち」や「つくり」に注目し、生命現象を支える根本原理の解明と ティーの追求を奨励します。 できるわけではありません。 そのためには複雑な生命現象を全体として解析 その応用研究を行っています。機能からのアプローチを行う機能生命科学大 本専攻では専門のみならず基礎も重視した教育プログラムを通じて、 「論 し、それに関わる多数の要素とその関係を明らかにした上で、それを制御す 講座では、主に生物が持つ「はたらき」や「能力」に注目し、複雑な生物機能 理的に考える力」 「コミュニケーション能力」 「チャレンジする意欲」を育む教 る方法を見出す必要があります。 このような技術革新こそがライフイノベー を分子・細胞レベルから器官・個体のレベルに至る様々な切り口で解析し、 育を行い、既存の領域を超えた研究分野を開拓する人材を育成することを ションの時代を先導する上で必須と考えられます。 未知の生物機能を解明するための研究を行っています。 目指しています。例えば、研究計画の立案から成果発表に至るまでを習得で 近年のDNA配列解読技術、 オミックス解析技術あるいはイメージング技 先端生命科学専攻は、生命科学の急速な展開に即応できる教育研究組織 きる演習(「先端生命科学総合演習」)、科学技術の急速な発展に対峙し研究 術等の急速な発展は、多種多様な生体高分子の網羅的解析をはじめて可能 研究現場でのオン・ザ・ジョブ・トレーニングを積極的に取り入れ、情報科学 を確立することを目指して、様々な学問的背景をもった教員が理、農、工、薬 者倫理について考察する講義(「科学技術倫理討論演習」) を必修としていま にし、複雑な生命現象を全体として解析することの糸口となりました。 またこ と医科学の融合的な基礎教育の環境を実現し、新たな専門性を持った人材 などの既存の学部から結集して組織されました。 「先導的かつ横断的な教育 すし、 「生命科学英語特論」や「生命科学英語演習」では、英語論文作成や海 れと同時にもたらされた、生命分子についての大量の情報解析がライフイノ の育成を図っていく必要があると考えています。 このような人材は、 単に医学 研究」を共通の理念とし、 これからの生命科学関連諸問題の解決に資する人 外での学会発表に必須な技術を磨きます。 このような基礎科目に加えて、本 ベーションの焦点となることも明らかにしました。生命科学の情報化の時代 のためばかりでなく、他の農学、薬学、環境学、生命工学等の応用分野でも必 材を育成するとともに、分子レベルから個体レベルまでを研究対象とし、基 専攻は魅力ある大学院教育を目指して、従来の学問の枠組みにとらわれな には、情報技術の革新こそが、生命現象に関わる多数の要素とその相互関 要です。我々が理想とする新専攻は、そのような人材を教育できる日本で唯 礎から応用までを網羅する次世代生命科学を創出することを目標としていま い横断的視野を身につける機会を提供しています。東京大学の他の生命科 係を理解し、 その制御を考えるために必須となります。 一の専攻として、生命科学の応用の時代といわれる21世紀の日本の研究を す。生命科学に対する時代の要請は、 「ポストゲノム時代」を切り開くことに 学系大学院と連携して開講される「生命科学大学院共通講義」や「生命科学 医学はその切実なニーズから、応用生命科学の先頭を常に走ってきまし リードしつつ、生命科学の情報化とライフイノベーションに貢献する人材を あり、 そのためには、様々な学問分野を背景にもつ研究者の叡智を結集する 大学院共通セミナー」は学生の知的好奇心を大いに刺激することでしょう。 たが、生命科学の情報化の時代においても例外ではありません。 ヒトにおい 広く供給していくことを目指しています。 ことが不可欠です。 また「知の冒険」と 「学融合」を標榜する柏のキャンパスこ また、修士課程中間発表、修士論文発表、博士課程予備審査において、専攻 ては、パーソナルゲノムの収集が著しく進展し、疾患に関連する変異を迅速 そが、時代の要請に応える場に相応しいでしょう。 の全教員が参加して評価と指導を行っていることも大きな特色です。指導教 に推定することが可能になり、臨床への応用が本格化しようとしています。 さ ゲノム生命科学の急速な展開と、今後ますます高度化し複雑化する一途 員と研究領域が異なる教員からのアドバイスは、多くの学生に自分の研究を らに様々な網羅的解析情報のみならず、医療情報という形で大量の表現型 の現代社会の中で、生命科学研究者の社会的需要と課せられる社会的使命 見直すきっかけを与えています。 情報が蓄積されているため、新たな情報技術の対象として最も適している 学部 はさらに増大し多様化することが予想されます。先端生命科学専攻では、生 博士前期課程:60名 理学 工学 農学 薬学 医学 歯学 獣医学 野生生物とも考えられるので、 生命科学の情報化の時代には、 医科学分野が 他の分野を先導する展開が期待されます。 以上のような時代認識を背景に、 メディカルゲノム専攻と情報生命科学専 攻が併合して、国内でも類を見ないユニークな新専攻を設立するに至りまし た。 この新専攻は、生命科学の情報化を先導し、 ライフイノベーションに大き く貢献しつつ、その成 トランスオミクスネットワーク 果を臨床の現場にト タバコの細胞分裂における微小 管(GFPで標識) と液胞(赤色蛍 光物質で標識) の挙動 ランスレーションして 行くことのできる人 材を教育することを 緑色蛍光タンパク質(GFP)で可視化したゼブラ フィッシュ網膜の紫外線感受型視細胞 目標としています。そ (左から時計回りに) クモザル、マウス、キイロショウ ジョウバエ、 ヒロハノマンテマ、 出芽酵母、 カイコガ のためには、情報学 ■基幹講座 ● 医薬デザイン工学 ● 分子認識化学 ● 細胞応答化学 ● 生命応答システム ● 遺伝システム革新学 ● 動物生殖システム ● 植物生存システム ● 人類進化システム ● 資源生物制御学 ● 資源生物創成学 ● 植物全能性制御システム解析学 鳥の糞から柑橘類の葉へ、擬態紋様を切り替えるアゲハ幼虫(左=4齢幼虫、 右=5齢幼虫) ■連携講座・兼担 ● がん先端生命科学 (国立がん研究センター) ● 応用生物資源学 (農業生物資源研究所) ● 同位体生態学 (東京大学総合研究博物館) ● 先端海洋生命科学 (東京大学大気海洋研究所) ● 進化発生システム (東京大学分子細胞生物学研究所) MGS基礎演習Ⅰ ■ 情報生命科学群 □ 情報生命科学講座 ● 大規模オーミクス解析分野 ● ゲノム情報解析分野 ● 生命システム観測分野 ● 大規模知識発見分野 ● 大規模バイオ情報解析分野 ● 生命ネットワーク解析分野 ● オーミクス情報センター ■ 学内協力講座 ○ 生物情報科学分野 (理学部生物情報科学科) ○ 生物機能情報講座 (分子生物学研究所) ■ 学外協力講座 ◎ 分子機能情報学講座 (産業技術総合研究所) ◎ システム情報生物学講座 (理化学研究所) と医科学の最先端の 真核生物の遺伝暗号解読を支える タンパク質によるtRNA分子擬態 Nova RNA結合タンパク質の3次元構造 ■ イノベーション政策研究講座 ■ メディカルサイエンス群 □ バイオイノベーション政策分野 (バイオ知財コース担当) □ メディカルサイエンス講座 ■ 学外協力講座 ● 分子医科学分野 ◎臨床医科学講座 (東京都医学総合研究所) ● 微生物ゲノムシステム学分野 ◎生命機能分子工学講座 (産業技術総合研究所) ● 生命分子遺伝学分野 ◎システム構造生物学講座 (高エネルギー加速器研究機構) ● クリニカルシークエンス分野 ◎感染制御分子構造機能学講座 (理化学研究所) ● ゲノムシステム医療科学分野 ◎がん分子標的治療学講座 (がん研究会) ● 病態医療科学分野 ■ 学内協力講座 ○ 分子医療科学講座 (医科学研究所) ○ 細胞情報システム講座 (分子生物学研究所) 生物学実験と情報解析の融合 10 ゲノム情報分析に夢中 11 環境学研究系 Environmental Studies 自然環境学専攻 人類を取り巻く環境を、自然・文化・社会の観点から解析して、 将来の人類のための政策立案、技術開発に必要な教育研究を行い、 環境学の様々な問題に的確に対処できる人材を育成します。 環境システム学専攻 http://www.nenv.k.u-tokyo.ac.jp/ 自然環境と人間活動の関係を探求し、より良い環境の形成を目指す http://envsys.k.u-tokyo.ac.jp/ 21 世紀のあるべき環境を創成するシステム開発と評価 自然環境は地圏・気圏・水圏からなる無機環境と植物や動物からなる生物 自然環境学専攻では、陸域から海洋を網羅した地球全体を対象に、自然 人類の活動に伴う環境排出やエネルギー消費が、大気、水、土壌、人体及 環境により構成され、人類の生活や文化の基盤となっています。無機環境と を観察・観測し、自然環境の構造・機能とその変化過程、及び自然環境と人 び地球全体の環境に及ぼす諸問題をトータルシステムとして把握し、 これら カリキュラムの特色として、環境問題を技術で解決するためのエンジニア 生物環境は相互に物質・エネルギー循環を行う地球生態系を形成し、 そこで 間活動との相互作用の理解と評価を行い、 さらに、 より良い環境を形成する の解決に必要な対応策を見出す必要があります。そのために、工学/保健 リングセンスを養成する「環境技術者養成プログラム」と、政府や地方自治 生命活動が営まれています。 ための理論構築、 これらを検証するための実験・調査というフィードバックシ 学・生態学/経済・政策科学などの手法を適宜融合して、環境システムの分 体の行政官や企業の管理職の立場で環境施策立案や環境リスク管理のセン 現在、地球規模で進行している自然環境の悪化は、地球生態系の構造や ステムによって自然環境を研究しています。 また、試行錯誤を繰り返しながら 析及び総合化の体系を創成し、 環境問題の解決に資する研究・教育を目指し スを養う 「環境管理者養成プログラム」があります。 また環境の実態把握を 機能の一部が壊れてしまったことに起因しています。 こうした環境悪化に対 も、研究遂行能力を高めていくという機能的でバランスの取れた実践的環 ています。 目的としたフィールド・ワーク実習を実施しています。 処するためには、 自然環境の構造や機能、変動の実態を理解し、 自然環境と 境教育を行いつつ、 これを受け入れる社会システムの構築を行うことのでき 具体的な研究の対象は、温暖化ガス制御、廃棄物処理システム、地球ダイ さらに、 (独)国立環境研究所との連携講座「循環型社会創造学」分野を設 人間活動との相互作用を適切に評価し、生態系の破綻を回避するための方 る人材育成を目指しています。 ナミクス、化学物質リスク評価、環境安全、超臨界流体環境技術、環境調和シ 置しています。 策を創出するとともに、自然が持つ「環境維持力」を高度に引き出すべき施 化対策の評価、 金融工学に基づく環境政策の影響分析等があります。 ステムデザイン、海洋環境変動の予測、人工物による環境の創造、地球温暖 策を構築することが不可欠です。 自然環境野外総合実習(多摩川河口干潟) 里山林におけるバイオマス資源量調査 (千葉県柏市) 海洋技術環境学専攻 海洋環境臨海実習 (岩手県大槌湾) 水素生成反応実験 人間環境学専攻 http://www.otpe.k.u-tokyo.ac.jp/ 海洋を機軸に 21世紀の諸問題の解決に貢献する人材の輩出を目指す LPG地下備蓄基地建設現場視察 海洋環境調査 http://www.h.k.u-tokyo.ac.jp/ 超高齢社会の課題解決と低炭素社会の実現に挑む 地球の表面の約70%を占める海洋は、地球規模の環境保全や、食糧・水・ 海洋技術政策や海洋環境政策に通じ、海洋資源開発、海洋エネルギー利 先進国が直面する重要な課題に、超高齢社会への対応と低炭素化があり なく、将来のエネルギー供給・消費システム、 すなわち、風力発電、太陽光発 資源・エネルギーの確保など、21世紀に人類が直面する様々な問題の解決 用、海洋環境保全、海洋情報基盤などの学問を修め、 また水槽実験や海洋現 ます。我が国はこれら課題の最先進国であるため、その解決のための技術 電、 スマートグリッド、 コージェネレーション、 ヒートポンプ、電気自動車や家 に重要な役割を果たすことが期待されます。海洋技術環境学専攻は、海洋を 場観測等の体験により、高度な専門性と国際性をもって海洋関連政策の立 開発と産業化を期待されています。 この課題は、一方の解決が他方を悪化 庭用燃料電池の普及等を見据えた上で、新たな要素技術とシステム技術の 我が国の存立基盤、産業国際競争力の源泉を担う重要な分野と位置付け、 案、海洋産業振興、海洋環境保全の実現に貢献・活躍できる人材の育成を目 させるという二律背反性を持つため、従来の個別の技術開発では解決しま 研究開発が必要となります。 また情報システムや物流においても直接エネル 以下の教育・研究を推進します。 指します。 また、生産技術研究所との協力講座や(独)海洋研究開発機構との せん。多様な技術をシステム化し、社会における効果を評価し、必要なら社 ギーを消費する要素の評価に加え、時間的な波及効果を含めたシステムと ● 海洋資源利用による、食糧・鉱物資源・エネルギー供給基盤の強化 連携講座や、東京大学の学内連携組織「海洋アライアンス」などを通して海 会制度も変えなければなりません。同時に、従来と異なる評価指標に対応す してトータルなエネルギー消費を考える視点を常に持つことが肝要です。 ● 海洋資源・沿岸防災・海上安全の確保等のための海洋観測強化、 地球環境 洋に関する分野横断的な教育にも取り組んでいます。 る新たな個別技術も必要です。 本専攻では環境学、情報学、工学など既存の学問分野の融合を図り、超高 ● 理解による安全・安心の確保 超高齢社会への対応における課題は、日常的な健康管理と健康増進、医 齢社会への対応と低炭素社会の実現に向けた様々な要素技術の研究開発 持続的に開発を進めるための環境との共生、海の再生・創造、環境低負荷 療・介護システムの充実、住環境の整備、社会参加の促進、モビリティの確 とシステム設計を進め、それらの成果を社会実証実験により評価し、課題の 型あるいは環境負荷低減目的の海洋活動 保、生活物資の購入支援などですが、既存の技術とシステムをそのまま拡張 解決策を社会に示していくことを研究の目的とします。 して適用すれば社会的コストとエネルギー消費は増大し実現性は乏しいの です。解決策の研究開発においては、 個々の課題に対する研究成果の効果と その影響を、高齢者の健康と生活の向 上という第一義的な目標以外に、エネ ルギー、情報、物流、経済など社会全体 に関わる多面的な評価軸で総合的に 評価しなければなりません。 一方、低炭素社会の実現のためには 既存の設備や機器の効率向上による AUV Tri-TON 2 12 南極観測隊への参加 模擬砂層孔隙中のガスハイドレート 生成シミュレーション エネルギー消費の低減を目指すだけで オンデマンドバス実証実験の様子 認知動作型マシンでトレーニング 13 環境学研究系 Environmental Studies 専攻の垣根を越えた教育プログラム 社会文化環境学専攻 http://sbk.k.u-tokyo.ac.jp/ 教育プログラム サステイナビリティ学グローバルリーダー養成大学院プログラム http://www.sustainability.k.u-tokyo.ac.jp/ja/ ひと・建物・地域をデザインする人材の育成 サステイナブルな社会の構築に貢献するグローバルリーダーをめざして 我々が居住する都市という環境は、 人の集まりであると同時に、 建築や社会 然科学及び人文社会科学の多 基盤施設などのハードウェアによって形成されています。 また、都市も自然環 面的なアプローチを用いて研 21世紀において人類は、気候変動、生物多様性の喪失、激甚災害、資源の枯 の進行管理を行い、学術的成果を得、それを社会に向けて発信するまでを総合 境に依存せずには存続ができません。 環境保全と環境形成はこのような様々 究・教育を行い、環境学のさま 渇、貧困、超高齢化社会など、さまざまな課題に直面しています。東京大学は、 的に扱う修士・博士研究、の特徴ある3つの要素から構成されています。 こうした な事象の相互作用の中で捉える必要があります。 そのために社会文化環境学 ざまな問題に的確に対処でき 2005年以来、 サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S) とサステイナビリティ カリキュラムに加え、新領域創成科学研究科の他の専攻をはじめ、東京大学内 専攻は新領域創成科学研究科のキーワードである学融合の理念を専攻レベ る人材を育成します。 学教育プログラム (GPSS) を設置し、持続可能な社会の実現をめざす「サステイ の他研究科や研究所、 さらにはこれまでIR3Sとともに構築してきた国内・外の ルで具現化しようとしています。 また、環境に関わる総合的な設計(デザイン)の実践的能力養成を目的と ナビリティ学」の樹立のための研究・教育、 さらにその成果の社会への応用や普 研究・教育ネットワークや国際連合大学、 アフリカを中心に拡大する海外のリー 本専攻は、人文環境学・空間環境学・循環環境学の3つの基幹大講座に した「環境デザイン統合教育プログラム」の中核的な役割を果たし、 「環境マ 及に関して世界を牽引してきました。 この成果をもとに、2011年に、 サステイナ ディング大学との連携により、 サステイナビリティ学にかかわる広範な知識と高 空間情報学協力講座が加わった4つのグループから構成されます。建築・都 ネジメントプログラム」の運営にも協力しています。 「柏の葉アーバンデザイ ビリティ学グローバルリーダー養成大学院プログラム (GPSS-GLI) は、設置され 度な専門性を修得できるよう、本プログラムはデザインされています。特に、 これ 市・地域・地球という各種スケールの物理的環境及び人文社会的環境を対 ンセンター(UDCK)」との社会連携や教育研究活動においても中心的な役 ました。 らの連携を駆使した演習やインターン、各界のリーダーによるインタラクティブ 象とした分析・評価・予測・形成・管理に関する研究・教育を行っています。 自 割を果たしています。 GISを用いた公共交通利便性の解析 汚染物大気降下 流出・浸食 面源 工場排水 地下水 グローバルリーダーには、激甚災害のような短期的リスクと気候変動のよう な講義などは、 グローバルリーダーにとって不可欠な国際経験や社会経験、現場 な長期的リスクに対して、社会としてのレジリエンスを高めることに貢献できる 経験を積むための貴重な機会となります。本プログラムの講義・演習はすべて英 深い専門性と、広い教養にもとづく俯瞰力・提案力、 さらには国際経験や社会経 語で実施され、在学生の半数以上は世界各国・地域から集う多国籍の留学生で 験、現場経験に裏付けられた高いコミュニケーション能力を備えたグローバル 構成され、卒業後に活躍が期待される国際社会の縮図ともいうべき研究・教育 リーダーシップが求められます。 これを醸成するため、本プログラムのカリキュ 環境が構築されています。 また、その学問的背景も理系から文系まで、 きわめて ラムは、1) サステイナビリティ学に関する基礎及び専門の講義、2) コミュニケー 多岐にわたります。本プログラムの履修には、 プログラム独自の入試を受験する ション能力、 システム思考、社会調査の方法、データ解析などのスキルを、現場 必要があります。 プログラム修了者には「修士・博士(サステイナビリティ学)」が 経験や相互討論を通じて獲得するための演習、3)課題の発掘からプロジェクト 授与されます。 河川 水循環と人間社会・生態系の調和 国際協力学専攻 UDCKのジオラマ模型とデザインスタジオ 三内丸山遺跡・縄文時代の生態系復元 http://inter.k.u-tokyo.ac.jp/ 開発協力、環境・資源、制度設計の問題を実践的に解決 国内・外での演習 今日の世界は、 途上国開発、 貧困削減、 環境破壊、 資源管理、 国際政策協調、 題が起こっている現場における観察を重視し、理論と実証を融合させて解決 グローバルガバナンスなど、 国際協力に関連した数々の課題に直面していま 策を実践していく必要があります。 す。 国際協力学専攻は、 これらの問題を大きく 「開発協力」、 「環境・資源」、 「制 したがって、専攻の教員は経済学、工学、農学、社会学、政治学などの多様 度設計」の3つにわけ、 それぞれの分野において研究・教育を行っています。 な専門性を持ちつつ、 フィールドワークに基づく学融合的な研究を行ってい その上で、 ます。 そして、 その成果を社会に還元するために、積極的に内外の政府機関、 1.その解決や予防に向けて具体的な方策を提案して実践すること 援助機関、 企業と連携しています。 2.政策立案能力と実務マネジメント能力を備えたグローバル人材を育成すること 同様に、専攻の学生たちも多様です。文科系・理科系学部の卒業生が偏り を通じて、社会に貢献することを専攻の目的としています。 なく混在しており、 アジア・アフリカをはじめとする世界各国からの留学生も これらの問題を分析し解決するためには、個々の学問分野による取り組 少なくありません。 また、博士課程においては社会人の入学を積極的に推進 みだけでは不十分で、それらをうまく融合させて革新的な知見を生み出す しており、開発関連機関や国際機関の現職・出身の学生もたくさん在籍して 「学融合的」アプローチが必要です。 また、 これらの問題に対処するには、問 います。 開発協力 途上国における 開発・貧困問題 各界のリーダーとの対話 在学生が語る新領域創成科学研究科の魅力 山本奈央子 河口理紗 栗林慧介 物質系専攻 修士課程2年 メディカル情報生命専攻 博士課程2年 社会文化環境学専攻 修士課程2年 視野が広がる環境 バイリンガルで領域を超える 作るから、 育てるパラダイムへ 本研究科には、高い専門性と同時に「幅 近年の生命科学の分野ではゲノム情報な 便利であることは豊か 現代以前の社会では、 広い視野」を身に付けることの出来る環境 どの大量のデータを利用してどのように生命 であることでした。 しかし、 現代においては、 便利 が整っています。多様な講義が開講されてい を理解するか、 ということが大きなテーマと であることは必ずしも豊かであることではなく て、専攻の枠を越えて履修しやすい仕組みが なっています。 私の専攻では生命科学と情報 なっています。 なぜなら、 便利であることには、 そ 作られています。 また私の所属する物質系専 科学の両分野を学ぶことで、 巨大なデータの れに付随した危険や矛盾が存在していることを 攻では、異分野の先生や学生の前で研究発 背後にある複雑な生命システムを解き明かす 人々が学んだからです。 そして、 このような危険 表をする機会が定期的にあり、自分と異なる ことを目指しています。 このように領域横断的 や矛盾などの制御不能な現象といかにつき合っ 制度設計 環境・資源 視点からの助言や質問を通して知識や思考 な研究が盛んに行われているとともに、 柏キャ ていくかを考える学問が、 いわゆる 「環境学」 であ 国際政策協調 越境的環境問題 の幅が広がりました。本研究科で学ぶ中で得 ンパス全体も国際色豊かであるという点で多 り、 その中でも 「社会文化環境学」 とは、 社会にお グローバルガバナンス 資源管理問題 た経験、分野を超えた人との繋がりは一生の 種多様な “バイリンガル” が集う研究科なので ける問題をいかにそれぞれの国や地域が持つ 財産になると思います。 はないかと思います。 農村でのインタビュー調査 途上国農村での社会ネットワーク構造 14 Interview 多彩なバックグラウンドの学生同士の討論 (2014年度卒業) 文化の力によって成熟させていくかを考えること だと思います。 15 専攻の垣根を越えた教育プログラム 基盤系教育プログラム 教育プログラム 核融合研究教育プログラム 環境系教育プログラム 教育プログラム 基盤科学領域創成研究教育プログラム 教育プログラム 環境マネジメント (環境MOT) プログラム 教育プログラム 環境デザイン統合教育プログラム http://www.k.u-tokyo.ac.jp/fusion-pro/ http://www.k.u-tokyo.ac.jp/crets/ http://www.k.u-tokyo.ac.jp/mot http://webpark1013.sakura.ne.jp 核融合研究の最先端をこの手で開拓します 最先端学融合領域において活躍できる人材を育成します 環境学に関わる技術経営に必要なスキルを身につけよう 環境学研究系の所属専攻にとらわれることなく、環境技術を総合的に学習・ 環境デザインのプロフェッショナルを 目指す人のための 6 つのデザインスタジオ 核融合は、豊富な資源量を有する環境に優しい人類究極のエネルギー源で 分野を問わず私たちが行っている「イメージングから空間・時間情報を検出す す。 日本は、核融合研究分野において顕著な成果を挙げてきており、核燃焼プラ る」 「情報を認知し概念化する」 「シミュレーションして問題解決法をデザインす 構想・開発し、技術移転、起業することに関心を持つ者に対して、環境 MOT 21世紀型の環境デザイナーには環境を新たにつくる技術に加え、それを育て、 ズマの実現を目指した国際プロジェクト「ITER 計画」を主導的に推進していま る」ことについて新しい方法論、哲学を探究します。各専攻で提供される主プロ (Management of Technology)教育プログラムを提供します。MOT とは、 維持し、管理することが求められます。従来の縦割り型専門領域を超え、幅広い す。未来の核融合研究を国際的に先導していく優秀な人材を継続的に育成する グラムに対し、短期集中型(夏休み、冬休み)の副プログラム教育を提供し、横断 技術を事業の核とする企業・組織が次世代の事業を継続的に創出し、持続的 知識を備えた環境デザインの専門家の養成を目的とする 6つのデザインスタジオ ため、本研究科では、先端エネルギー工学専攻と複雑理工学専攻が連携し、「核 的なカリキュラムで視野の広い人材を育てます。 さらに、学融合ビジュアライゼー 発展を行うための創造的、かつ戦略的なイノベーションのマネジメントです。 は、新領域創成科学研究科の設立理念である学融合の教育における実践です。 融合研究教育プログラム」を平成20年度に開設しました。本教育プログラムは、 ションシンポジウムの企画開催など、新たな融合的研究分野を創成する基盤を 広範な基礎学術を総合的かつ体系的に学べる「学融合教育カリキュラム」と、先 提供しています。 端的な研究プロジェクトによる「実践的研究教育カリキュラム」を二本の柱として おり、着実に教育・研究成果を挙げてきております。 教育プログラム 生命系教育プログラム 教育プログラム バイオ知財コース 環境技術者養成プログラム バイオビジネスにおいて必要な知財人材を養成します! http://envsys.k.u-tokyo.ac.jp/cur_education.html 環境問題を技術で解決するための エンジニアリングセンスを身につけよう! 環境施策立案や環境リスク管理のセンスを磨こう! 題を技術で解決するためのエンジニアリングセンスを育成するための教育プロ 学専攻で指定された講義科目を履修することによって修了が認定されます。ま た、環境技術者養成プログラムと同様にフィールド実習も履修科目となります。 [履修内容キーワード]●環境技術開発 ●エネルギー・資源 ●環境材料システム ●環境化学工学 ●環境シミュレーション ●物質・反応システム です。メディカルゲノム専攻の本コースでは、バイオ分野の基礎研究を産業化 に繋ぐための知財戦略を系統的に学習すること及びバイオ・医療分野における 政府や地方自治体の行政官や企業の管理職の立場で、環境施策立案や環境 リスク管理のセンスを養うことを目的とした教育プログラムです。環境システム グラムを実施しています。教育プログラムの指定講義科目として、通常の講義 に加えてフィールド実習の講義科目も設置されています。 バイオ産業発展のためには基礎研究と応用研究を結びつけることが不可欠 環境管理者養成プログラム http://envsys.k.u-tokyo.ac.jp/cur_education.html 環境システム学専攻では、企業や研究所の技術者や研究者として、環境問 http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/bioipcourse/ 教育プログラム [履修内容キーワード]●社会システム ●環境リスク ●環境経済 ●環境安全 ●自然システム ●環境生態学 ●地圏環境 ●ライフサイクル評価 イノベーション創出と知財戦略との相関を実証的に研究することを目的として、 バイオ・知財法・ビジネスの全体像を踏まえて知財をビジネスへハンドリング できる人材養成を目指しています。 教育プログラム メディカルゲノムサイエンス・プログラム http://www.k.u-tokyo.ac.jp/mgs/MGSP/ 生命科学と現代の医療を橋渡しする先導的な研究の担い手に! 本プログラムは、本専攻の教育の軸となっており、理工系出身者から、 ゲノム に基づく最先端の生命科学をもとに新たな医学・医療への橋渡し的な研究を志 向する生命科学医科学研究者・技術者を養成することを目的としています。本プ ログラムを修了した学位取得者には「修了証」が授与され、単に基礎科学の分 野にとどまらず、TR研究や医療と工学・情報学の融合研究の先導的な担い手と なることが期待されます。 16 メディカルゲノムサイエンス・プログラム 修了証概念図 17 研究科附属施 設 Facilities バイオイメージングセンター http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/bioimaging/ 可視化を通して生命現象を科学する研究拠点 見えないものを可視化することは、 科学の領域 用いて膨大な情報処理を研究している専門家、 こと、 さらには、 教育面にも積極的に取り組み、 広 でしばしば大きなブレークスルーとなってきまし さらには生命現象を捉えるための最先端デバイ い視野をもつ人材の育成にも努めていきます。 た。 とりわけ生命科学の分野においては、分子・ スを開発する教員など、広範な研究領域を網羅 原子のナノレベルで起こる反応を一つの切り口と する優れた人材が数多く揃っています。 これらパ して、 ミクロな細胞の動き、 そしてマクロな組織・ イオニアの総力を結集させ、 「イメージング」 とい 個体の統合的なシステムを理解することが求め うキーワードのもとに、 複雑で動的な生命現象を られています。バイオイメージングとは、 これら膨 解明することを目指したバイオイメージングセン 大な分子等の動きを可視化によって捉え、 ひいて ターを2009 年に設置しました。本センターは、 は生命システムを理解しようという試みです。複 右の4 つの分野で構成され、本研究科の7つの 生涯スポーツ健康科学研究センター 雑な生命現象を理解するためには、複雑な事象 専攻から計18 名の教員がセンターに参画し、新 の絡みあった膨大な情報の中から、本質となる たな分野横断的な研究領域の模索を開始しまし http://webpark1277.sakura.ne.jp/ 情報を抽出してこなければなりません。 本研究科 た。 4 つの部門が緊密に相互の連携を図るととも は、 分子、 細胞、 組織・個体といった多様な研究対 に、全学的な連携や学外諸研究機関との共同研 象を扱うバイオの研究者に加え、数理的手法を 究等において、 本センターが新たな牽引力となる スポーツを通じて健康長寿社会の実現を目指す 少子高齢社会の進行に伴って、 「生活習慣病予 その成果を広く社会に還元することを目的として 防」や「寝たきり予防」への取り組みが緊急の課 います。例えば実験室ベースでは、 ウェアラブル 題となっています。生涯にわたる健康、及び健康 センサを装着し歩行動作や走行動作の特徴を簡 長寿社会の実現は、現代社会において実現され 易に評価する研究や、低酸素・高酸素といった酸 るべき最も重要な課題のひとつです。 素濃度の異なる環境を運動時に応用する研究と 本センターでは、子どもから高齢者までの幅広 いった、社会への応用を目指した研究を行ってい い年齢層の人々、あるいは現在健康な人から疾 ます。 また地域に在住する関節疾患を有する人々 患や障がいを有した人々を対象にして、運動実 を対象に、 ポールを利用したウォーキング教室を 践を通じて健康で活動的な状態を維持すること、 実施し、関節疾患があっても気軽に実践できる新 また心身ともに健やかで質の高い生活を享受す しい運動方法の開発とその普及活動を行ってい ることを目指した実践的、応用的研究を推進し、 ます。 ポールを用いて歩くノルディックウォーキング実践 オーミクス情報センター 互作用解析、 低分子スクリーニング、 さらには情報 (FPXC) では、 新領域における様々なタンパク質 学的相互作用予測などを統合して研究するととも の機能解析に関する各要素技術を融合させ、 さら に、 解析スループットを上げ、 コストを下げるため には新規のタンパク質機能解析技術を自ら創造 の機器や情報学的方法論を研究開発する予定で して、 タンパク質機能制御性低分子化合物を効率 す。 FPXCでの研究は基礎研究ばかりでなく、 創薬 よく見い出す技術として開発し、 それを様々なター プロセスに直接関係するため、 機器メーカーある ゲットについて応用していくことを目指していま いは、 創薬企業、 バイオ関連企業と連携して、 研究 す。 FPXCでは、 ターゲット同定、 タンパク質生産、 相 開発を進めることができればと考えています。 http://www.smart.k.u-tokyo.ac.jp/TJCC/index.html ス、 トランスクリプトミクス、 メタゲノミクス、 エピゲ の学術融合、 各キャンパスとの全学的な連携、 学 やタンパク質(Proteomics)などの生物データ ノミクスなどのオーミクス研究を先導していきま 外諸機関との共同研究や研究支援を通じ、未来 の「すべて」を集約し、解析する研究領域を言い す。本センターは、 生命科学のみならず他分野と 型のゲノム科学研究拠点の構築を目指します。 ます。昨今における世界的な超高速DNAシーク 能力と高インフォマティクス解析能力を融合した 「オーミクス情報センター」を新領域創成科学研 究科・柏キャンパスに設立しました。 本センターで は、 様々な計測・情報融合技術を開発し、 ゲノミク 炭素繊維強化プラスチック複合材 (CFRP) の航 います。 これにより、 航空産業の産業力強化 (CFRP 空宇宙分野での製造開発力という視点からは、 日 の航空機の機体、 エンジンへの適用拡大) 、 低炭素 オーミクス情報センター 本が世界トップレベルに位置しています。 しかし、 化社会への実現 (航空機、 自動車、 船舶等の軽量 国際的な競争は激しく、 更なる日本のCFRP生産 化) 、 安全・安心社会の実現 (航空機、 自動車、 船舶 新たなゲノム・情報生命科学分野の開拓と推進 次世代シークエンサー・バイオインフォマティクス・共同研究・解析支援 技術の差別化・高付加価値化のためには、 これま 等の信頼性向上) を達成していきます。 で以上に学術基盤に裏打ちされた、 日本独自の TJCCでは、現在、内閣府SIP革新的構造材料プ 研究開発の推進が必要です。 本センターは、 光ファ ログラムの拠点研究のひとつである「航空機用 イバセンサネットワークなど特徴ある 「先進可視 高生産性革新PMCの製造・品質保証技術の開 化技術」 と 「計算科学」 を駆使して、 複合材構造の 発」を実施しており、 とくに『成形プロセス・ライフ ものづくり技術を発展させ、 強固な学術基盤に裏 サイクルモニタリングによる品質保証技術』の研 打ちされた、 試行錯誤に依存しない日本独自の研 究を進めています。 微生物メタゲノム解読 トランスクリプトーム解析 エピゲノム解析 各種ゲノム解読 超高速インフォマティクス ヒトゲノム再解読 生命科学 FPXC 相互作用解析 知財戦略 立体構造解析 HTS法の開発 創薬 デザイン 物理化学測定 工学・化学 先進複合材構造の『知的ものづくり科学』の構築を目指して 究開発の 『知的ものづくり科学』 の構築を目指して 18 次世代ゲノム解析 タンパク質合成系 ファンクショナルプ ロテ オミクス センター ゲノム情報ビッグバン時代をリードする未来型ゲノム科学研究拠点 オーミクス (Omics) とは、 ゲノム (Genomics) 個体・組織 イメージング 分野 http://www.k.u-tokyo.ac.jp/FPXC/ 革新複合材学術研究センター(TJCC) つつあります。 そこで、国内有数の高データ生産 細胞 イメージング 分野 ファンクショナルプロテオミクスセンター http://www.k.u-tokyo.ac.jp/omics/ 量を取り扱う生命科学の時代へと大きく変革し 数理 イメージング 分野 力を合わせて創薬の基盤を作る 酸素濃度を変えて運動実践ができる環境シミュレーター室 エンス技術の進歩はこれまでの数桁の生物情報 分子 イメージング 分野 Lay-up Optical fiber network Curing Operation Temperature, flow and/or cure monitoring Usage and health monitoring Life cycle Deformation monitoring Non-uniform temperature Cooling and demolding Residual strain monitoring Distortion Damage AssemblyStrain monitoring Joints 製品が市場に登場してから退場するまで 19 キャンパスライフ Campus life な閲覧室が利用でき、メディアホールでは各種講演会が開催されます。美しく整備された柏の葉公園が目の前に 柏I.C. あり、研究の合間に散策が楽しめます。柏の葉キャンパス駅周辺は、美観と利便性を兼ね備えたスマートシティ 常 磐 自 動 車 道 として発展を続けています。 沿革 1998. 4 大学院新領域創成科学研究科設置 2005. 4 生涯スポーツ健康科学研究センター設置 1999. 4 学生受け入れ開始 2006. 3 環境棟竣工 2001. 3 生命棟竣工 2008. 4 海洋技術環境学専攻設置 オーミクス情報センター設置 基盤情報学専攻 工学系研究科へ 2003. 4 情報生命科学専攻設置 9 基盤棟 (2期)竣工 12 基盤科学実験棟竣工 2004. 4 メディカルゲノム専攻設置 10 総合研究棟竣工 2015. 4 メディカル情報生命専攻設置 16 柏Ⅱキャンパス 生涯スポーツ 健康科学研究センター 47 47 柏の葉 キャンパス駅 7 ス レ プ ス ク エ 柏の葉キャンパス駅から 柏駅から ば く つ ■ 路線バス(西口・東武バス 2 番のりば) • 西柏 01 国立がん研究センター行き (柏の葉公園経由) 東大西、東大前、下車 ■ タクシー 柏駅西口から約 20 分 〒 277-8561 千葉県柏市柏の葉 5-1-5 TEL: 04-7136-4003 FAX: 04-7136-4020 16 初石 流山おおたかの森駅 つくばエクスプレス JR常磐線・東武野田線 柏キャンパス 新領域事務室 至 20 常磐自動車道柏インター千葉方面出口から国道16号線へ。 500m 先「十余二工業団地入口」交差点を右折。 1km 先右手が東京大学柏キャンパスです。 ■ シャトルバス • 柏の葉キャンパス駅 ~東大柏キャンパス ■ 路線バス(西口・東武バス 1 番のりば) • 西柏 03 流山おおたかの森駅東口行き • 西柏 04 江戸川台駅東口行き • 西柏 10 江戸川台駅東口行き 東大西、東大前、下車 ■ タクシー 柏の葉キャンパス駅西口から約 5 分 国立がん 研究センター 柏の葉公園 2009. 4 バイオイメージングセンター設置 2011. 4 ファンクショナルプロテオミクスセンター設置 12 革新複合材学術研究センター設置 柏キャンパス 柏たなか駅 つ く ば エ ク ス プ レ ス 線 2002. 3 基盤棟 (1期)竣工 柏I.C.から 生涯スポーツ 健康科学研究センター Access 至つ くば 広々とした柏キャンパスでは、バーベキュー、餅つき、ミニコンサート、テニスやバスケットボールの大会など、 様々な交流イベントが開催され、柏Ⅱキャンパスのスポーツ施設も開放されています。図書館では、広くて快適 至 水戸 線 磐 21
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