運動器検診モデル事業説明会 質疑応答まとめ - 千葉県医師会

運動器検診モデル事業説明会(4/9・4/23) 質疑応答内容
1. 全学年に実施しなければいけないのか?
A:平成 28 年度以後は法律上すべての学年に実施することになっている。
ただし本モデル事業に関しては、一部の学年または学年の中の一部のクラスのみでも構わない。
2. 「受診時の動作」をするスペースは?
A:1m 四方のスペースがあればよいと思われる。
3. 数人のグループで一緒に動作をしても良いか?
A:各学校でやり易いと思われるやり方でやっても構わない。
ただし地方によっては、できない子がいじめの対象となる可能性もあるので注意が必要である。
4. 平成 28 年度からの運動器検診は、各学校医には周知されているのか?
A:県医師会としては、あらゆるメディアを使って周知していく予定である。
5. 「しゃがみ込み」の検査の時は、両膝をつけた方が良いか。
A:脚は肩幅に開いて膝をくっつけずにしゃがんでもらえればよい。
6. 「頭の後ろで手を組む」動作は問診票には記されていないがなぜか?
また、実際の動作の中で「後屈」がないのはなぜか?
A:バンザイしてから腕を前に持ってくる場合には、1 回肘をまげて手を組んだ方がスムーズに
いき、時間短縮になるからである。実際の動作に後屈がないのは時間がかかるからである。
7. 担任による「後屈」および「しゃがみ込み」のチェックはなぜ必要か?
A:この二つの手順は全国版の調査票には入っていないため、別にやってもらうことにした。試
行錯誤中なので、本番には変わるかもしれない。
8. 健診と同時では大変なので、秋の体力測定の際に運動器検診をしてはいかがか?
A:学校保健安全法の解釈では、学校健診内でやらなければいけないことになっている。
9. 運動器に病的なものがあればすでに受診しているはずであるが、運動器検診で改めてみる必要
はあるのか?
A:先天股脱の中には、強い症状が現れずに遅く発見される子もいる。
また、ペルテス病も早期発見が大切である。さらに、肩・肘の障害に関しては部活でレギュラ
ーを取りたいばかりに隠す子供もいるため、検診をした方が良いと考えられる。
10. 学校医の負担が大きすぎるのではないか?法律の施行を先延ばしすることはできないのか?
また、問診票のみで済ますことはできないか?
A:準備不足は否めないが、法律で決まってしまったことを変えることは非常に難しいことをご
理解いただきたい。問診票のみで済ませた場合には、診ていなかったことになってしまう。診
ていれば、見逃していても法律違反にはならない。今後、できるだけ学校医に負担を掛けない
ように配慮したい。
11. 本モデル事業について、各学校の校長や養護教諭への周知はされているのか?
A:各学校への周知は教育委員会を通してお願いした。また養護教諭会にも周知をお願いしてある。
運動器検診モデル事業説明会(4/9・4/23) 質疑応答内容
12. 保護者に対する運動器検診の説明は、十分になされているのか?
A:本モデル事業に関しては、配布資料にある「依頼文」のみである。しかし 28 年度からの本
番に関しては、文科省または日本学校保健会から、保護者に対する何らかのガイドラインが出
るものと思われる。
13. 検診で異常を指摘された場合の、整形外科医の受け皿はあるのか?
A:今後、各学校に配布予定の「健康スポーツ医名簿」に、各スポーツ医の専門分野も記載され
ているので参考にしてもらえると思う。
14. 2 次チェックと 3 次チェックを分ける必要はあるのか?
すべて担任がチェックするのではいけないのか?
A:学校医の前で何らかの動作をすることが大切である、と認識している。
15. 受診時の動作を行うクラスと行わないクラスを分けるのはなぜか?
A:本来、すべてのクラスに動作を行って欲しいところである。しかし動作を行うクラスばかり
にすると時間がかかりすぎると思われる。そのため、一部のクラスだけでも構わないという意
味で記載した。
16. 保護者に保健調査票を書かせることは、学校健診として問題はないか?
A:日本学校保健会から発行予定のマニュアルも、保護者に書いてもらう方向で考えられている。
17. モデル事業としてどのくらいの数を想定しているのか?
少ないようであれば追加の事業を依頼するのはいかがか?
A:最低でも 3,000 人は参加していただきたいと思っている。5,000 人に達してくれればありが
たいと思っている。しかし保健調査票は 10,000 枚用意したので、今回もし参加者数が足りない
ようであれば、追加の事業をお願いすることも考慮したい。
18. 保護者が所見を記載した場合に、学校医がこれを否定するのは大変である。
また、異常か異常でないかを判断するのは難しい。
A:基本的には学校医の判断にゆだねたい。健診と診療は違い、健診は診ることに意味があると
考える。様々な分野で学校医のレベルに差があるはずなのに、なおかつ学校健診が続いている
のはそれなりの意味があるからだと思われる。受診を勧めるか否かに関しても学校医の判断で
よいと考える。
19. 本モデル事業は小中学校だけを対象としているのか?
A:28 年度以降は小・中・高すべてが対象となる。
今回は小中学校に限定してお願いをしているが、高校からの手挙げも歓迎したい。
20. 保健調査票に保護者の記入がない場合は、どうしたらよいか?
A:保健調査票のコピーを用いて、本人への聞き取り等で対応をお願いしたい。
21. 保護者の記入がない場合は改めて医療機関を受診してもらい、無料で健診をしてもらえる
ようなシステムはいかがか?
A:今回はモデル事業であり、運動器検診実施の義務はないためそこまでの配慮はしていない。
28 年度以後に関しては今後検討していきたい。
22. 学校医の前での前屈は必要か?
A:脊椎側弯症を見る意味で必要と考える。
運動器検診モデル事業説明会(4/9・4/23) 質疑応答内容
23. 受診勧奨の「異常部分」の記載方法はどうしたらよいか?
A:異常部分の表現に関しては「~の動作に異常が疑われる」でもよいと思うが、詳細は学校
医の判断に任せたい。
24. 今回のモデル事業と 28 年度の本番とでは、検診方法に違いはあるのか?
A:本モデル事業をデザインしていただいた先生は、日本医師会の学校保健委員会委員でもあ
る。このため、本モデル事業は比較的本番に近いものであると考えている。
25. 保健調査票に記載がない人が多い場合には、そのままにしておいてもよいと考えるのか?
A:問診票の回収率が悪い場合、その扱いは日本学校保健会等で検討してもらうことを考えたい。
26. 今年度、この後もこのモデル事業を各学校医に周知する予定はあるか?
A:時期的にはかなり厳しいと思われるが、可能な限り周知していきたい。
27. 異常および受診勧奨についての解説がない状況で、保護者が納得できるか?
A:今回は解説まで手がまわらなかった。学校医の判断で多少説明を追加していただけるとあり
がたい。今後、学校保健会からのマニュアルに解説があることを期待したい。ない場合には、
県医師会で何らかの対応をしていきたい。
28. 担任が行う 2 次チェックの記載欄がない。また、数年間継続して使用できる欄が欲しい。
さらに、外国語の問診票もあるとありがたい。
A:2 次チェックを当初は想定していなかったため、記載欄を用意できなかった。空欄に記載し
てほしい。今後、学校保健会のマニュアルにも保健調査票が載る予定であるが、そこに複数年
記載できる欄があることを期待したい。外国語に関しても、学校保健会のマニュアルを待ちた
い。もし、ない場合には県医師会で検討したい。
(森本副会長コメント)文部科学省の見解では「健診はあくまでも健診」であって専門性が問われ
るような診療ではない。したがって、たとえば耳鼻科検診に関して、耳鼻科専門医のいない学校で
は他科の医師が診ても問題はないということである。今回のモデル事業も、学校健診を健診として
どこまで洗練させることができるかを検討する視点も大切と思われる。学校関係者も是非積極的
に協力していただき、いろいろ工夫してほしい。