石油市場に関する考察 (中間報告) - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報

石油市場に関する考察
(中間報告)
2015年5月21日
調査部
〔石油市場チーム〕
1
石油市場分析:
目的・目標
「昨今の原油価格低下は、石油市場構造の大きな変革
を受けてのものではないか」という観点から、JOGMEC
に原油価格の動向を分析する体制を構築し、継続的に
情報収集・分析を加え、結果を機構内外に提供する。
〈方法〉
a.2014年年末に、調査部内に体制を整備し、公表データ、専門機関のデータ、石油会
社・専門家からの聞き取りなどによりデータ・情報収集を行い、評価・分析を行う。
b.また、内外のノウハウを利用して、定量的なモデル分析を行う。
→ 今回は、その中間結果。
2
中間報告
中間報告
供給
米国
シェールオイ
ル見通し
米国以外
主要産油国
見通し
需要
石油需要見
通し
(中期)
需給以外の
要素
足元
短期的分析
投資変化
中期的視野
長期的視野
(10-20年)
(3年~5年)
ヘッジ
掘削変化
供給予想
投資動向
IOC/NOC
生産量モデル予測
内部
OPEC
非OPEC
各機関予想
外部
政府方針とその評価
政府・民間投資とその評価
共通見解と要因分析
探鉱・発見
技術向上
見通し
外資導入
対外開放
地政学リ
産油国価
スク
格戦略
経済成長
産業構造
変化
利用技術
気候変動
金融要素
心理的要素
3
構成
1.供給見通し
(1)米国のシェールオイル
企業の投資行動やヘッジ等の動向
モデルによる生産量見通しスタディ
(2)米国を除く主要産油国
非OPEC(カナダ、ブラジル、メキシコ、ロシア)、
OPEC(サウジアラビア、UAE、クウェート、イラク、
イラン等)
2.需要見通し
世界の需要量予想、主要消費国・地域(米国、欧州、
中国)の消費動向と変動要因(経済成長等)
3.需給バランス
上記に基づき、需給バランスを分析評価。
4
《近年の増産地域(国別)》
(単位:日量万バレル)
2009
2014
増減
<需要>
世界全体
8,560
9,243
683
<主要国等供給>
米国
743
1,175
433
カナダ
320
416
96
ブラジル
204
233
30
コロンビア
67
99
32
ロシア
1,021
1,093
72
中国
381
420
39
サウジアラビア
980
1,165
186
イラク
248
341
93
イラン
422
345
-76
リビア
166
50
-116
英国
147
86
-62
ノルウェー
236
188
-48
バイオ燃料
158
218
60
(上記供給計)(参考)
5,091
5,829
738
注)NGL及び非在来型石油資源含む
出所:IEAデータより作成
5
《近年の増産地域(国別グラフ)》
(千b/d)
石油生産量の増減(2011年~2014年 年別)
6,000
2011‐12
2012‐13
5,000
4,000
非OPEC諸国
2012‐13
2013‐14
世界全体
OPEC諸国
3,000
2,000
1,000
(2,000)
Total
Saudi Arabia
Kuwait
UAE
Qatar
Iraq
Iran
Ecuador
Angola
Gabon
Egypt
Venezuela
Nigeria
Libya
(1,000)
UK
Norway
Mexico
Australia
Oman
China
Brazil
Colombia
Russia
Canada
US
0
データ:IEA
6
供給見通し(1)米国:まとめ
①掘削リグが減少しているが、生産性が向上(坑井当り生産量
増加、効率の良い地点に集中投資)
②価格ヘッジにより油価変動による生産への影響は緩和
③企業の上流投資は減少するが、生産見通しは堅調
 主要3鉱床のリグ当り生産量:年率1-2割向上
 ヘッジ状況(北米企業48社より)
-2014年 生産量に対し54% 平均ヘッジ価格94.61ドル/bbl
-2015年 生産量に対し31% 平均ヘッジ価格87.35ドル/bbl
 石油開発企業による探鉱・開発資本支出の削減予定(2015)
-企業平均で30%前後の削減(各種見通しより)
-ただし、メジャーは10~15%の削減
 企業の生産見通し(2015):微減~60%増(企業見通し等より)
7
供給見通し(1)米国:
米国石油水平坑井リグ稼働数と原油価格
原油価格下落後、リグ稼動数は2014年10月にピーク、12月以降急激に減少し、現在5
割以上の減少。
2014年10月24日の週:1,262基
2015年5月15日の週:564基
15/2/13 15/2/20 15/2/27
石油水平坑井掘削リグ稼働数(基)
原油価格(WTI)(ドル/バレル)
876
51.14
849
51.99
819
49.53
15/3/6 15/3/13 15/3/20 15/3/27
770
50.40
725
47.67
692
44.34
681
48.89
15/4/3 15/4/10 15/4/17 15/4/24
677
48.88
644
51.79
622
54.81
595
56.54
15/5/1
583
58.28
15/5/8 15/5/15
572
59.72
データ:EIA, Baker Hughes
564
60.01
8
供給見通し(1)米国:
米国石油水平坑井リグ稼働数と原油生産量
リグ稼動数の下落から5ヶ月程度遅れ、生産量は頭打ち
15/2/13 15/2/20 15/2/27
石油水平坑井掘削リグ稼働数(基)
原油生産量(日量万バレル)
876
928
849
929
819
932
15/3/6 15/3/13 15/3/20 15/3/27
770
937
725
942
692
942
681
939
15/4/3 15/4/10 15/4/17 15/4/24
677
940
644
938
622
937
595
937
15/5/1
583
937
15/5/8 15/5/15
572
937
生産量ピーク
564
NA
9
データ:EIA, Baker Hughes
供給見通し(1)米国:
主要7鉱床(主にシェール)生産量
• 7鉱床(主にシェール)の生産量は減少を始めた。米国エネルギー情報局によると、同
生産量は4月に頭打ちとなり、5月、6月は微減の見込み。
• 主要なシェールBakken、Eagle Fordで減少の見込み。Permianは増加の見込み
千b/d
千b/d
各月の生産量を前月と比べると、
2015年5月は57千b/d減、
2015年6月は86千b/d減となる見込み
データ:EIA
10
シェール生産の主要7鉱床
EIAより
11
供給見通し(1)米国:
シェールオイルの損益分岐点
• 損益分岐点(break-even points)は、各地域の地質に応じて異なり、同じシェール構造
内でもバラつきがある。40ドル~70ドル台が損益分岐点との評価が多い
• 価格下落を受けて、生産性が低い地域の掘削計画がキャンセルされている
損益分岐点の構成比率(米国シェールオイル生産量比)
IEA/ 中期見通し 2015年版より
《各機関の損益分岐点評価》
損益分岐
《シェール別損益分岐点》
コンサル
タントA
コンサル
タントB
Bank of America
Citigroup
50ドル~
69ドル
65ドル~
70ドル
55ドルで企
業の50%が
赤字
40ドル近
辺
(JOGMECワシントン事務所調べ)
シェール構造
損益分岐点
Permian中央部Wolfcamp(テキサス州)
Eagle Ford東部(テキサス州)
Bakken東部(ノースダコタ州)
Eagle Ford西部(テキサス州)
Bakken西部(ノースダコタ州)
Utica(ペンシルバニア州)
43ドル~51ドル
43ドル~51ドル
49ドル~60ドル
51ドル~64ドル
57ドル~69ドル
62ドル~75ドル
(出所:2014年1月20日付けBloomberg)
供給見通し(1)米国:
シェールオイルの減退率(生産ロングテール)
既存坑井からの生産量減退率は初年度45‐70%と在来型油田より大きいものの、5年目
以降も10~20%の生産量は維持される。
既存シェール生産井全体の減少幅の推定(前年比)
既存坑井全体からの減少幅、2014年で210万bbl/d(≒約60%減/年に相当) 《コンサルタントA》
既存坑井全体からの減少幅、約70%減/年
《Lambert》
シェール生産井の地域別減退率推定(シェール別、坑井当り、年当り)
生産1年後
生産2年後
生産3年後
生産4年後
生産5年後
初期生産レート*に対する
5年後の残存生産量の割合
Eagle Ford
55%
40%
30%
20%
20%
12.1%
Bakken/Three Forks
43%
35%
30%
20%
20%
16.6%
Permian
50%
40%
30%
20%
20%
13.4%
タイトオイル
出典:Leonardo Maugeri “The Shale Oil Boom: A U.S. Phenomenon” よりJOGMEC作成
*初期生産レート=生産開始30日平均値
Eagle Ford 生産井の年別減退率(坑井当り)
既存坑井からの生産量が残るイメージ図
坑井タイプカーブと坑井数想定積上げ(Bakkenタイプ カーブ)
1年後
2年後
3年後
4年後
2009
70%
30%
20%
20%
2010
68%
39%
28%
42%
2011
65%
47%
27%
2012
64%
48%
2013
69%
出典:EIA
13
作図:JOGMEC
供給見通し(1)米国:
生産までに要する時間
掘削開始から生産開始まで、1.5~7か月(EIAによると4か月)程度かかることが、リグ
稼働数下落から生産量減少までタイムラグがある一因
見解
・掘削準備(4~8週間)、リグ稼働(4~5週間)、フラッキング(2~5日)という過程後、全体2~4ヶ月で完了する。
(ExxonMobil)
・3~5日のフラッキングを含む井戸建設の全体の過程は、概して2~3ヶ月で完了する。(ConocoPhillips)
米国の公共機関 ・バッケンにおける掘削から井戸完成(Spud‐to‐completion)の期間は、2008年の原油価格ピークの前は平
均して約70日間、原油価格ピーク後は130日以上となった。2011年以降は、120日以上という水準で安定し
ている。(EIA)
・当方は許可申請から生産までのタイムフレームに関する見積を持っていない。ただし、掘削許可は発行か
ら2年間有効である。掘削が始まれば、広範囲に渡る要因が井戸の掘削から完成までに要する時間に影
響を与える。(RRC)
・掘削許可を得るまでには約45日、掘削許可が得られてから何日で掘削が開始されるかはわからない。
・掘削には約20日間かかり、掘削後フラッキングを受けるまでには3~6ヶ月間のタイムラグがあるのが典型
的である。フラッキングの完了までに約14日間かかり、概してフラッキング完了後まもなく生産を開始する。
※上記最短では掘削許可申請~生産開始まで169日(≒5.6ヶ月)ということになる。
※掘削~生産開始までは124日ということになる。(以上、DMR)
・リース取得(数週間~数年間)、掘削許可(数週間~数ヶ月)、道路・パッド建設(数日~数週間)、掘削・井戸完
成(数週間~数ヶ月) (National Energy Technology Laboratory )
専門家/コンサル ・時間枠は企業毎、技術や立地に応じて変わる。一般的な時間枠として2~3ヶ月、あるいは2~4ヶ月のように
タント
見える。(ITTA)
・地域毎に異なる。既に掘削が行われている地域では、そのプロセスは非常に早い。(P.K.Verleger)
・関係する幅広い時間枠があるが、一般的に許可発行から掘削活動までの時間枠はおよそ3~6ヶ月である
(大抵はこの範囲の短い方に向かう)。(コンサルタントA)
・主要プレイでは掘削開始から生産開始まで平均100~200日かかる。バッケンやイーグルフォードは100日
に近い。(コンサルタントB)
・シェールガス、シェールオイル、タイトオイルの開発・生産は90日サイクルを辿る。これはファイナンスや許
可に始まり、生産に至るまでの期間である。(コンサルタントC)
(JOGMECワシントン事務所調べ)
メジャー石油会
社
供給見通し(1)米国:
生産性向上①
• 新規坑井当りの1か月目の生産量は年2‐4割増加
• 主要3鉱床のリグ当り生産量は、8年4か月で4‐16倍増加
リグ当り
初期生産量
(bbl/d)
Bakken
Eagle Ford
Permian
2007年
1月
112
42
62
2015年
5月
610
700
270
増加率
(8年4か月)
546%
1635%
435%
増加率
(年率)
23%
40%
19%
(出典:EIA) 15
供給見通し(1)米国:
生産性向上②
生産性向上の背景(a):スウィートスポットへ集中
 複数の企業が、スウィートスポットへ投資を集約すると発表
 掘削コストや資金調達コストを低減させ、これらの地域のスウィートスポットを鉱区として有する企業は、
2015年において高い生産性を有する井戸に対して掘削を続けるだろう。(EIA, Short‐Term Energy Outlook, January)
 生産企業は掘削を削減するが、残りの部分は最も利益率の高い“スウィートスポット”(最善、最大の
生産機会)に焦点が当てられる。(LPI Pugliaresi)
 生産性の低い(生産量200b/d以下)坑井が、坑井数の70%、Capexの40%に当たるものの、生産量の
16%を占めるのみ。(コンサルタント)
生産性向上の背景(b):掘削期間短縮、リグ当り坑井数増加(左図)、水平井の割合増(右図)
【左:掘削日数、リグ当り年間坑井数/LPI Pugliaresi、右:垂直性/水平井比率/EIA】
【WS事務所作成】
16
供給見通し(1)米国:
北米企業のヘッジ状況
《北米48社の価格ヘッジ》
企業区分
(生産量)
Large Size
(10万b/d以上)
Middle Size
(5万b/d以上)
Small Size
(5万b/d以下)
48社合計
2014(実績値)
2015(予測値)
ヘッジ総量
対米国シェー
ル生産量%
ヘッジ価格
($/bbbl)
ヘッジ総量
対米国シェー
ル生産量%
ヘッジ価格
($/bbbl)
979千b/d 47%
96.75
501千b/d 22%
86.58
668千b/d
70%
91.40
334千b/d
48%
88.19
343千b/d
61%
92.82
281千b/d
47%
87.74
1,788千b/d
54%
94.61
1,117千b/d
31%
87.35
※企業区分について:シェールオイルを生産する任意の48社を生産量を基準に区分。
同母数の石油生産量合計は米国石油生産量(2015年3月)の59%に相当。
ご参考:
出所:JOGMEC集計作成
87ドル/bbl 2014年9月30日頃
17
供給見通し(1)米国:
北米企業のヘッジ状況
①北米企業48社の集計結果によれば、2015年予測生産量の
31%にあたる100万b/d強に対し、平均$87/bblでヘッジが
かかっており、当該生産量分は油価に影響を受けない。
② また、2014年実績値と比較すると、2015年予測値は生産量
カバー率は23%減少、ヘッジ価格は$7.2/bbl下がっている。
③大企業の方がヘッジ利用が少なく(例えば、3社が以前から
ヘッジしておらず、さらに4社が2015年からヘッジをしないこと
としている)、中小企業の方がよりヘッジを活用している。
④たとえば、企業が2014年にヘッジ価格$87/bblで期間1年間
のヘッジを行っていたとすれば、2015年9月ごろに期限が切
れるだろう。
18
供給見通し(1)米国:
北米企業のヘッジ状況
《ヘッジ状況データ1》
企業
米国での
石油生産量
(千bbl/d)
2014年米国
シェール生産量
に対する割合
2014 4Q
%
EOG Resources
Devon Energy
Anadarko
Marathon
Conoco
Occidental Petroleum
Apache
Continental Resources
Hess Corporation
Chesapeake Energy
EnCana
Pioneer
Whiting Petroleum
Concho Resources
Linn Energy
Denbury Resources
Noble Energy
Murphy Oil
QEP Resources
Newfield Exploration
SM Energy
EP Energy
282
239
220
206
199
189
153
137
136
124
106
101
92
82
72
71
70
58
58
57
55
55
2014 (as of year-end 2014)
Hedged Vol.
(千bbl/d)
5.0%
4.3%
3.9%
3.7%
3.5%
3.4%
2.7%
2.4%
2.4%
2.2%
1.9%
1.8%
1.6%
1.5%
1.3%
1.3%
1.2%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
2015(E)
%Production Hedge price
Hedged
median($/bbl)
192
213
106
0
0
0
57
101
35
91
95
90
51
66
67
57
42
8
32
53
40
49
68%
89%
48%
0%
0%
0%
37%
74%
26%
73%
89%
90%
56%
80%
93%
81%
60%
14%
55%
93%
72%
90%
%Production Hedge price
Hedged
median($/bbl)
96.19
91.73
101.94
0.00
0.00
0.00
95.42
100.28
106.25
94.25
97.34
98.78
85.66
92.74
92.77
92.52
86.58
93.19
92.61
90.36
89.97
97.77
36%
58%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
63%
65%
100%
7%
52%
70%
76%
33%
0%
45%
80%
50%
96%
90.78
90.37
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
94.58
62.18
82.78
82.95
84.15
96.23
86.70
84.76
0.00
76.16
90.00
90.00
91.19
出所:公表データよりJOGMEC調べ
19
供給見通し(1)米国:
北米企業のヘッジ状況
《ヘッジ状況データ2》
企業
Cimarex Energy
Oasis Petroleum
Energy XXI
Halcon Resources
Ultra Petroleum
Sandridge Energy
WPX Energy
Antero Resources
BreitBurn Energy
Laredo Petroleum
Carrizo Oil & Gas
Sanchez Energy
W&T Offshore
Rosetta Resources
Cabot Oil&Gas
Stone Energy Corp
Penn Virginia
PDC Energy
Comstock Resources
Range Resources
Bill Barrett Corp
Swift Energy
Gulfport Energy
Approach
Exco Resources
Goodrich Petroleum
Total
He dge amou nt(vs
He dge amou nt(vs
2014 Hedge price
2015 Hedge price
出所:公表データよりJOGMEC調べ
米国での
石油生産量
(千bbl/d)
2014年米国
シェール生産量
に対する割合
2014 4Q
%
47
45
42
38
38
33
32
30
26
24
23
20
20
20
15
15
13
13
12
12
11
9
8
6
6
6
2014 (as of year-end 2014)
Hedged Vol.
(千bbl/d)
0.8%
0.8%
0.7%
0.7%
0.7%
0.6%
0.6%
0.5%
0.5%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
33 2 4.2 31
5 9.2%
2014 4Qproduction) * we ighted ave rage
2015 production) *weighted ave rage
*weigh ted ave rage
*weigh ted ave rage
14
33
42
28
13
31
20
3
22
19
17
7
6
8
3
10
12
9
7
11
8
3
1
5
5
6
%Production Hedge price
Hedged
median($/bbl)
29%
74%
100%
74%
33%
95%
63%
9%
85%
79%
75%
37%
29%
42%
21%
67%
90%
73%
57%
97%
80%
35%
13%
81%
86%
95%
85.00
93.93
91.87
89.80
93.19
94.64
96.01
95.22
94.00
89.90
93.55
93.30
97.38
89.86
97.00
96.10
94.00
90.98
96.60
90.03
93.93
98.24
101.50
87.16
97.85
93.65
2015(E)
%Production Hedge price
Hedged
median($/bbl)
0
57%
71%
80%
0%
107%
66%
7%
94%
97%
55%
66%
0%
111%
0%
44%
82%
0%
0%
70%
94%
0%
23%
82%
50%
70%
0.00
89.49
79.18
90.32
0.00
92.44
94.88
62.58
93.51
80.99
92.98
78.70
0.00
79.97
0.00
92.00
90.20
0.00
0.00
90.57
90.58
0.00
62.25
87.90
91.09
96.11
54%
31%
94 .6 1
8 7.35
20
供給見通し(1)米国:
企業の生産量見通しと支出削減
米国生産量見通しは、各社微減~6割増
–
–
–
北米中心に活動する任意の10社: 横ばい~6割増(各社発表)
メジャー: 横ばい~1割増(各社発表)
世界18社平均:単純平均で前年比16%増、加重平均で6%増(LPI Pugliaresi)
米国企業の2015年投資予算額は、 2014年比で3割程度減少
–
–
–
–
–
–
30%減(米国企業41社平均/コンサルタントB)
25%減(世界90社以上平均/コンサルタントB)
30%減(米国企業30社平均/OIES Fattouh)
34%減(世界19社平均/LPI Pugliaresi)
9‐15%減(メジャー5社/各社発表)
多くの企業が、リグ数削減や仕上げの延期等を発表(各社発表)
支出削減の一部は、サービス費低下により吸収される
–
–
コスト単価は、2015年で15%低下見込み(コンサルタントA)
サービス企業3社も、サービス費低下の圧力を受けている(JOGMECヒューストン事務所聴取)
21
供給見通し(1)米国:
企業の生産量見通しと支出削減
《北米インディペンデント》
上流支出額
(百万ドル)
企業
Apache
Devon
Energy
生産量
見通し
特記事項、方針等
2014年 2015年 増減
2015年
9,100 3,800 -58% 1-3%増
5,355
4,250
-21% 20-25%増
【コスト減】
【効率向上】
【作業減】
EOG
6,600
4,000
-39% 横ばい
【エリア選別】
Hess
Marathon
Sanchez
Occidental
5,600
5,536
870
4,700
3,521
650
-16%
-36%
全体
10-13%増
Bakken
14-27%増
5-7%増
(リビア除く)
-25% 約40%増
・25%の開発コスト削減をめざし、すでに10%のコスト削減を達成。
・2014年生産量増の主要因は井戸設計の効率性up(10%)。井戸設計とコスト削減
を通じて、2015原油生産は20-25%増の見込み。油価が90$代だった時と同様の
利益を追求できる。
・仕上げを遅らせる。2015年頭で200の未仕上げ井戸(backlog)、年末までには
285まで増加予定であり、これは生産中坑井数では2014年度比40%の削減。油価
が$60/bまで回復すればQ3までに坑井仕上げを再開予定。
・Capex削減の中心はガス生産から原油生産への集中であり、ガス生産量は徐々
に低下する見通し。
【作業減】
・油価下落で、Bakkenシェールの掘削リグ数を2014年の17基から2015年半ばまで
に8基に減らすが、同シェールの生産量は前年比14~27%増の9.5~10.5万boe/d
とする計画。
【コスト減】
【コスト減】
【作業減】
【エリア選別】
・油田サービスコストの削減等で、2015年にすでに2.25億ドルのコストを節減した。
・一般経費や管理費を減らすため350~400人の人員削減に取り組んでいる。
・3月末までにシェールプレイで稼働中のリグ数を33基から、3月末までに18基、年
央までに14基に削減する。
・Capexの70%を3エリアに集中。
【効率向上】
【コスト減】
【エリア選別】
サービス部門の価格下落と効率の向上で坑井の費用は減少する見通し。
・探鉱・開発等の資本支出額を286万ドルに削減(-33%)
・エリアとしては主としてPermianに集中。2015年は生産量5~10%増加を期待。
出所:各種情報より作成 22
供給見通し(1)米国:
企業の生産量見通しと支出削減
《北米インディペンデント》
企業
Anadarko
Continental
Resurces
Whitning
Petroleum
Pioneer
上流支出額
(百万ドル)
生産量
見通し
2014年 2015年 増減
2015年
特記事項、方針等
8,560
5,600 -35% 5%増
【コスト減】
【コスト減】
【作業減】
4,050
2,700 -33% 16-20%増
【作業減】
6%増
3,200
1,850 -42%
※2015年のブレークイーブン価格はWTI$55/bbl(Wood Maclenzie)
【作業減】
【コスト減】
EnCana
2,511
2,100 -16% 60%増*
【エリア選別】
【効率向上】
Newfield
Exploration
QEP
Resources
・削減額内訳:54~58億ドルー米陸上最大38億ドル、大水深・海外14億ドル(うち探
鉱最大6億ドル)
・2015年は短期的生産量増大目的の支出をすべて削減(2014年は29億ドル)
・探査活動は昨年度比30%の削減。400程度の井戸をbacklog。
・2014年4Q中に、リグ稼働数を23から12まで削減済みであり、backlog数は127。
2015年1Q中にバッケンの井戸の内4分の1の完成を見送り予定。
2,000
1,200 -40%
【エリア選別】
1,681
975 -42%
【コスト削減】
【効率向上】
・北米の水平掘削リグ数を16にまで削減(50%減)。2月末までに垂直掘削リグを
廃止。
・2014年は25%の人員削減をし、約$150milのコスト削減を達成。現在の資本計
画はWTI$50/bを基準にしたもの。
・より高マージンな原油生産への移行のため、生産エリアを主要4エリアへ集中。
Capexに占める4地域割合は80%。
・サプライチェーンの効率化を通じて15%のコスト削減を目指す。また、開発のサイ
クル、掘削の効率化により$75milのopexを削減予定。
・capexのうち70%をAnadarkoエリアに費やす。今後SCOOP(South- Central
Oklahoma Oil Province)に集中的に投資。
2014年の坑井コストの削減と、オペレーション効率向上を受けて、2015年度は資
本支出を40%以上削減。
*2014年にAthlon Energyを買収、Permian Basinに参入するなど、ガス中心の生産から石油生産増を目指している。
出所:各種資料より作成
23
供給見通し(1)米国:
企業の生産量見通しと支出削減
《メジャー》
企業名
BP
Chevron
探鉱・開発
2015年
資本支出額
生産量
2014年→2015年
見通し
(百万ドル)
差額
変化率
2015年
上流資
本支出
(百万ド
ル)
31,600 ‐
2,900 ‐
5,515 ‐
3,300 ‐
3,000 ExxonMobil
Shell
Total
34,000 20,000 特記事項、方針等
[支出削減] 探鉱費の削減幅は「相当程度」(数字は示さず)。未FIDプロジェクトの後ろ倒しは、
Mad Dogなどが候補だが未定。2015 年1月に300人の人員削減を発表。
[支出削減] FID前および探鉱支出は現在の価格を基準に厳選・作業ペースの緩和・削減。
[主な支出項目] FID済および建設中のプロジェクト向けが140億ドル、ベース生産とシェールが120
‐15%
‐
億ドル。ベース生産については柔軟性が低いが、シェール向け支出は原油価格および費用の動
向次第で上下する。
[2017年末生産量見通し] 310万boe/d(2014年実績257万boe/d)。
[支出削減] 上流資本支出は削減、中下流は増加。
[2014年生産量] 397万boe/d
2%増 [2015年末生産量見通し] 410boe/d(うちliquidsは7%の上昇)
[2017年末生産量見通し] 430boe/d
(2015~2017年の間に、16の主要な石油・天然ガス事業が開始する見込み)
[支出削減] プロジェクトの後ろ倒し、サプライヤー・サービス企業の費用低下、権益の縮小・撤退
によって行う。事業タイプ・地域別の内訳なし(資産買収を除く)
‐9%
‐
[投資効率改善] これまで通り全世界の資産ポートフォリオを見直す。昨年はシェール事業のリス
トラを強力に推進。2015年もリストラポテンシャルあり。
‐13% 横ばい
‐13% 8%増
[支出削減] 削減30億ドルの約3割が新規事業(Utica, Zinia 2, Bonga SW等)の計画後ろ倒し。その7
割がマージナルな生産中フィールド(成熟型西アフリカ・北海など)の費用削減による。探鉱費3割
減の19億ドルに削減。また、操業コストを8億ドル減(2015年末まで新規雇用の凍結、自然減等に
より従業員を1.55万人まで削減、ロジスティクス効率化、サービス企業の料金低下、など)
出所:各種情報より作成
24
供給見通し(1)米国:
企業の生産量見通しと支出削減
《欧州ほか》
企業名
Statoil
Eni
探鉱・開発
2015年
資本支出額
2015年
上流資
2014年→2015年 生産量
本支出
(百万ドル)
見通し
(百万ド
変化
ル)
差額
率
16,500 11,860 -2,000 ‐11%
-4,407 ConocoPhi
llips
11,500 -5,200 BG
- 2,900 BHP Billiton
Woodside
6,500 2,000* -2,000 1,160 189 特記事項、方針等
‐
[支出削減]:2015年2月に1,900人の人員削減を発表。
[支出削減] 対2014年で全社で20億€削減。うち30%が探鉱(これまで通りフロンティアを減
らし既存フィールド周辺と評価に集中)50%が開発。20%がガス販売・電力、下流・石化。
‐32% 3%増 上流削減の50%が難易度の高い事業のスケジュール後ろ倒しによる。G&A費用5億€削
減(2014年の削減費の2倍)。
[効率向上] 1boeあたりの生産費を14%削減。
費用を削減しながら生産量2~3%増するために、サービス費用の支出削減の余地を探
2~3% す。サービス費用関連で2015年5億ドルのコスト低下を見込む。そのほとんどが米国48州
‐31%
増 での非在来型事業による。全世界で毎月20数件のコスト削減項目を見出して、2015年と
それ以降に積極適用させる。
[支出削減] 開発費86→57億ドル削減の内訳:ブラジル同額、豪州36億ドルを半減、ベー
7~14% ス資産26億ドルを最大50%減。探鉱費横ばい。
‐31%
[2014年生産量]60.6万boe/d
増
[2015年生産量]65~69万boe/d
[費用削減] 米国のシェール掘削用リグを6月末までに26基から16基に削減。
[効率向上・費用削減] Black Hawkエリアにシフト。 Permian と Hawkvilleのシェール投資を
‐50%
‐
削減。
*オーストラリアの会計年度(7月から6月)。米国陸上のみの上流支出額。
12~1% [開発費内訳]Pluto2.2億ドル, North West Shelf2億ドル, その他2億ドル
19%
[2015年生産量見通し] 84~94百万boe(2015年 95.1百万boe)
減
出所:各種情報より作成 25
供給見通し(1)米国:
サービス会社の対応
・原油価格下落の影響は石油会社(オペレーター)よりもサービス会社の方が大きいと言わ
れており、当面市場シェアの維持・拡大を目指して各社間の激しい競争となる見込み。市場
シェアの維持と利益率維持とのバランスが最重要課題。
・単なるコストダウンでなく、品質を高めたサービスで生産性向上を追及。
・業界第2位Halliburtonと第3位Baker Hughesが企業統合 2014/11発表
・サービス企業は主に以下の分野にてコストカットに取り組み中。
✓人員削減(別表)
✓新技術による生産性の改善
✓資本の効率的利用
✓諸経費の削減 等
・顧客(石油会社側)と共同して、費用の最適化に取り組む。
・効率性に関しては、Non‐Producing Time (NPT)といった指標を重要視
価格低下に伴う人員削減(発表内容ベース)
大規模な人員削減
Halliburton
2014/12 1,000人の人員削減を発表
2015/4 9,000人(10%)人員削減実施と発表。
Baker Hughes
2015/1 7,000の削減を発表
2015/4 10,500人に拡大。
Schlumberger
2015/1 9,000人の人員削減を発表。
2015/4 11,000人の人員削減計画へ変更。
(JOGMECヒューストン事務所調べ)26
供給見通し(1)米国:
専門機関による生産見通し(減少しにくい理由)
見解
米国の公的 ・掘削済み未完成の井戸は、掘削と許可発行の急激な減少を相殺するクッションとして機能する。
機関
・米国の主要プレイにおいては、このクッションによる効果は3~7ヶ月の範囲にある。
・掘削活動の減少が長引き、掘削済み未仕上げの井戸が消費して新しい生産井の数が減少していけば、生
産量は減少し始める。(以上、EIA)
・高い生産性の当初生産量とその持続性によって、高い生産量の維持を可能にする。
・当初生産量が最も高いエリアへの特化もまた生産量を維持するのに貢献している。(以上、DMR)
エネルギー ・E&P投資の減少により生産に影響が出始めるのは今年、実質的な影響は2016~2017年、生産量が減少し
専門家
て現れるのは2018年と見ている。(CSISカルーソ)
・生産中の既存の井戸は、単位あたりの、1)コアアセットへの最適化、2)リース契約の生産保持条項の存
在、3)リスクヘッジ、4)掘削コストの減少、という4つの理由から生産は増加する可能性がある。収入が操業
コストを上回るために生産を継続する。
・また、多数の掘削済み未仕上げ井の数は、2015年の上半期に生産量を増加させるのに十分であろう。(以
上、LPI Pugliaresi)
・休止中のリグは低い生産性のリグである。掘削事業者は稼働中リグの生産性を高めることに取り組んで
いる。さらに、ベストなプロスペクトに掘削を集中させている。原油生産量に大きな減少が生じることは疑っ
ている。増産割合は緩慢なものになるだろう。(P.K.Verleger)
コンサルタ ・EIAの掘削済み未完成井戸と生産井との関係に同意する。(ITTA)
ント系
・既存の契約の存在や掘削済み完成未満井戸の存在も生産減少が見られない一要因である。
・全体としては生産全体の減少は生じず、フラットになるだけと見積もっている。(以上、コンサルタントA)
・2014年末になされた大量の掘削と、掘削と井戸仕上げにかかる時間差による。
・最も効率的なエリアでは掘削開始から生産開始まで約3ヶ月間を要する。〈以上、コンサルタントB)
・リグ数が減少する一方で、2,3ヶ月間成長し続けることは常に予想される。
・生産量の減少が早く訪れるとは予想していない。恐らくは2015年第3四半期までは米国原油生産の成長を
見るであろう。近年の掘削・井戸技術の進展は当初生産量を改善させており、それは2015年における油価
下落に対する産業の抵抗力を高めることに貢献するだろう。
・掘削済み未仕上げ井の存在もまた生産減少までのタイムラグに寄与するだろう。(以上、コンサルタントC)
27
(JOGMECワシントン事務所調べ)
米国シェール生産量見通し(内部スタディ)
Oil Price
想定:価格シナリオ(固定)
1.
2.
3.
4.
50$/bbl
60$/bbl
70$/bbl
80$/bbl
28
米国シェール生産量見通し(内部スタディ)
Well Count
スタディ仮定:原油価格の変動に応じて, シェール地域ごとのリグ稼動数が増減する。
掘削した井戸は、5ヵ月後から生産を開始する。
例示: Eagle Ford
83%
74%
66%
Assumption
1) 価格水準によって、開発可能な面
積が増減する。
2) その比率に応じて掘削井戸数が
決定される。
80USD/bbl
70USD/bbl
60USD/bbl
90‐120
41%
80‐90
50USD/bbl
Local Crude Price 開発対象エリア
50ドル
41%
60ドル
66%
70ドル
74%
80ドル
83%
60‐80
50‐60
30‐50
% under breakeven price
出所: 各種資料からの推定(伊原賢)
29
米国シェール生産量見通し(内部スタディ)
Well Count
* 例示: Oil Price 60ドルケース<リグカウント推定>
Bakken Well Count
Eagle Ford Well Count
Permian Well Count
30
米国シェール生産量見通し(内部スタディ)
仮定:掘削後に生産が開始されるまでの期間:5ヶ月
結果:Bakken
生産井の減退率(タイプカーブ) 60%/年
Base Production減退率:39%/年、6.2%/月 参考:EIA推定のLegend Production減退率=6.0%/月
Bakken生産量は2015年6月にピークを迎え、価格70ドルでほぼ生産量はピーク水準を維持。
60ドルの場合にはピーク後、2015年末にピーク時から5%の減少を示す。
<注釈>Base ProductionとLegend Productionは定義が異なる。
●Base Production減退率の定義:井戸を全く掘らなかったとした場合の、過去の生産分の減退率
●Legend Production減退率の定義:前の月に生産を開始した分とBase Productionを足したものの減退率
31
米国シェール生産量見通し(内部スタディ)
仮定:掘削後に生産が開始されるまでの期間:5ヶ月
結果:Eagle Ford
生産井の減退率(タイプカーブ) 60%/年
Base Production減退率:55%/年、8.1%/月 参考:EIA推定のLegend Production減退率=8.0%/月
生産量は2014年6月にピークに達し、価格60ドルの場合、その後2016年夏ごろまで減産傾向
であるが、その後再び増加する。
32
米国シェール生産量見通し(内部スタディ)
結果:Permian
仮定:掘削後に生産が開始されるまでの期間:5ヶ月
生産井の減退率(タイプカーブ) 60%/年
Base Production減退率:26%/年、3.9%/月 参考:EIA推定のLegend Production減退率=3.5%/月
生産量は2015年6月にピークを迎え、60ドルの場合には、2016年秋にピーク時の10%減に
達する。
33
米国シェール生産量見通し(内部スタディ)
3 plays全体
設定:掘削後に生産が開始されるまでの期間:5ヶ月
生産井の減退率(タイプカーブ) 60%/年
生産量は2015年6月にピークに達し、価格70ドルでピーク水準をほぼ維持し、60ドルの場
34
合には2016年8月~9月までに10%程度の減産となる。
米国シェール生産量見通し(内部スタディ)
本スタディの推定結果に影響する他の要素
•
生産量見通しに影響を及ぼす下記事項を考慮すると、本スタディの生産量見通しは保
守的(よって小さ目な評価)と考えられる。現段階では、リグ数減少の影響が大きく下
記要因は吸収されてしまったと考えられる。
影響する要素
生産性向上
説明
・リグ当りの生産量は上昇しているが、本スタディで
は数値化できず加味していない。今後も生産性が向
上すれば、生産量はより増加する。
生産量への影響
+
・本スタディでは掘削開始から生産開始まで5か月の
掘削済・未仕
ラグを設定しているが、未仕上げ坑井(back log)は短
上げの坑井在
期間(3ヶ月ほど)で生産開始が可能。油価上昇局面
庫(back log)
ではより迅速に生産量が上昇する可能性がある。
+
価格ヘッジ
・油価低下しても価格ヘッジによってカバーしている
生産量分の収入は維持されるだろうが、本スタディで
はそのプラス影響を加味していない。
+
油価急落を経
験した心理的
影響
・油価急落した心理的影響から、油価回復しても資金
調達が難しい・投資意思決定しづらい等によって、生
産量の回復幅が小さくなる可能性がある。
-
35
供給見通し(1)米国:
米国のシェールオイル 【小括】
≪現況≫
• 価格の急落を受けて、2014年12月以降、米国の水平坑井リグ稼動数は急速に下落。
• 足元油価は60ドル前後であり、各機関によるシェールオイルの損益分岐点は予測で
40‐70ドル台。損益分岐点を割り込み生産を停止する地域も出始めたと見られ、主要7
鉱床の生産量の伸びは鈍化し始めた(4月に頭打ちとなり、5月、6月は微減の見込み)。
• 今回の調査を通じて、掘削数の下落開始から4ヶ月~5ヶ月程度を経て、シェールの増
産への影響がみられるとの見解。実際の米国生産動向に符合する。
≪短期見通し(1~2年)≫
• 他方、シェールオイル開発各社発表の短期生産見通しは微減~6割増となる。その理
由として今般の分析から得られた視点は次の通り。
• シェールオイルの特徴的な生産挙動であるロングテールの生産カーブにより、短
期では急速な生産減退があるものの長期にわたり少量の生産が残り、多数の坑
井を掘削する開発方法の結果これが積み上がること、また、企業の価格ヘッジ
の効果等によって、大幅な下落をせず、生産量を下支えする可能性がある。
• シェールオイル生産量に係る内部シミュレーションの結果、2015年年央に生産ピ
ークを迎え、1年後にピーク水準の10%減と推定された(原油価格60ドル想定)。
これは価格下落後の2014年12月時の生産水準。2017年央になるとピーク時の
20%減。
36
供給見通し(1)米国:
米国のシェールオイル 【小括】
≪今後の分析の方向性≫
• 今般、シェールオイル生産予想スタディの実施及び企業・専門家へのヒアリング調査
を通じ、主に足元の石油市場の見通しを行った。
• 他方、中期(3~5年)における生産量見通しを検討する際は、短期の影響がシェール
オイル開発会社に与えた影響を踏まえる必要があると考えられるため、以下に掲げる
視点を盛り込み分析を今後行う。
• 今般の油価下落を経験したシェールオイル開発各社の動向
• シェールオイル開発各社の財務状況 他
• また中期においては、今般の油価下落による短期の生産量変動や需要量挙動の結
果、将来の油価形成に与える影響(再帰的影響)を解明することを目的とした、より精
度の高い油価分析モデルの構築を行う。
37
供給見通し(2)主要産油国:
米国を除く主要産油国の生産量 まとめ
①米国を除く主要産油国政府は増産志向。2020年頃
まで供給量は漸増の見通し。
②2020年頃までは、UAE、イラク、イラン、ブラジル、カ
ナダで増産が見込まれるが、クウェート、ベネズエラ
の減産が見込まれる。世界全体(NGL含む)で450~
520万b/d程度の増加。
③2014年11月の減産見送り以降OPECに生産調整を
行う意思は見られず。一部OPEC加盟国の非OPEC
産油国との協調の試みは不調。
38
供給見通し(2)主要産油国:
主要13対象国
主要産油国生産比率(2014年)
地域
国
OPEC
中東・北アフリカ
サウジアラビア、
UAE、クウェート、
イラン、イラク
OPEC
中東以外
ベネズエラ、リビ
ア、ナイジェリア、
アンゴラ
非OPEC
旧ソ連
非OPEC
北米・中南米
ロシア
カナダ、メキシコ、
ブラジル
主要国
(OPEC・中
東)
25%
その他
31%
米国
14%
主要国(非
OPEC)
23%
主要国
(OPEC中東
以外)
7%
主要13か国の原油生産
(2014年)4,807万b/d(全体の
55%、OPECは32%)原油生産量
(2014年)8,689万b/d IEA OMRにもとづき作
成
39
供給見通し(2)主要産油国:
主要13対象国
主要産油国原油生産、増加量、成長率(IEA見通し)
(百万bbl/日)
増加
CAGR
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 (15~20年) (15~20年)
主 要 13か 国
47.72
52.53
53.09
53.59
54.1
54.6
55.33
2.8
1.0%
主 要 国 ( OPEC)
27.52
32.31
32.75
33.07
33.33
33.61
33.98
1.67
1.0%
主 要 国 ( 非 OPEC)
20.2
20.22
20.34
20.52
20.77
20.99
21.35
1.13
1.1%
米国
11.81
12.42
12.89
13.06
13.37
13.66
13.96
1.54
2.4%
非主要国
22.96
22.52
22.31
22.38
22.42
22.36
22.08
‐0.44
‐0.4%
Total Crude
82.48
87.50
88.27
89.02
89.86
90.62
91.35
3.9
0.9%
10.78
11.13
11.44
11.53
11.63
11.72
11.82
0.69
1.2%
NGL、Process Gains、Biofuels
Supply Total
93.26
98.63
99.71
100.55
101.49
102.34
103.17
4.59
2.1%
IEA MTOMR(2015年2月)にもとづき作成
OPEC 2015年以降はSustainable production capacity
原油生産量、増加量、成長率(2015~2020年,IEA)
主要13か国原油生産:2020年5,533万b/d (内、OPEC加盟国は生産能力ベース)
2015~2020年で280万b/d増加、年率1%
OPEC前掲9か国(生産能力ベース):3,398万b/d(167万b/d増加、 1.0%)
非OPEC前掲4か国:2,135万b/d(113万b/d増加、1.1%)
世界全体(原油のみ):9,135万b/d(385万b/d増加、 0.9%)
世界全体(コンデンセート、プロセスゲイン、バイオ燃料を含む):1億317万b/d(459万b/d増加、
2.1%)
40
供給見通し(2)主要産油国:
主要13対象国
主要産油国原油生産、増加量、成長率(調査部試算)(百万bbl/日)
増加
主 要 13か 国
主 要 国 ( OPEC)
主 要 国 ( 非 OPEC)
米国
非主要国
Total Crude
NGL、Process Gains、Biofuels
Supply Total
CAGR
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 (15 ~20年) (15 ~20年)
47.72
50.16
50.58
51.56
52.41
52.81
53.59
3.43
1.3%
27.52
30.16
30.36
31.05
31.45
31.49
31.93
1.77
1.1%
20.20
20.00
20.22
20.51
20.96
21.32
21.66
1.66
1.6%
11.81
12.42
12.89
13.06
13.37
13.66
13.96
1.54
2.4%
22.96
22.52
22.31
22.38
22.42
22.36
22.08
‐0.44
‐0.4%
82.49
85.10
85.78
87.00
88.20
88.83
89.63
4.53
1.0%
10.78
11.13
11.44
11.53
11.63
11.72
11.82
0.69
1.2%
93.27
96.23
97.22
98.53
99.83
100.55
101.45
5.22
2.3%
IEA MTOMR(2015年2月)、Woodmac、メキシコエネルギー省、独自推計等により試算
原油生産量、増加量、成長率(2015~2020年,IEA)
主要13か国原油生産:2020年5,359万b/d
2015~2020年で343万b/d増加、年率1.3% ←主要国の生産増加量はIEA見通しより63万b/d多
い(特に 主要国13カ国のうちUAE・メキシコの生産増加が大きい)
OPEC前掲9か国:3,193万b/d(177万b/d増加、 1.1%)
非OPEC前掲4か国:2,166万b/d(166万b/d増加、1.6%)
世界全体(原油のみ):8,963万b/d(453万b/d増加、 1.0%)
世界全体(コンデンセート、プロセスゲイン、バイオ燃料を含む*):1億145万b/d(522万b/d増加、
2.3%) ←2020年の世界全体の石油供給はIEA見通し(2015年2月)より63万b/d高い
*米国、コンデンセート・バイオ燃料生産はIEA MTOMRによる
41
供給見通し(2)主要産油国:
政府方針、短・中期見通し
地域
OPEC
政府方針 直近
(2015年)
サウジアラビア 現状並み 現状並み
中期
(~2020年)
現状並み
UAE
増産
現状並み
増産
クウェート
増産
現状並み
漸減
成熟巨大油田の減退
イラン
増産
現状並み
現状並み
イラク
増産
現状並み
増産
老朽油田・新規油田開発に時間
がかかる
主力油田開発
南米
ベネズエラ
増産
財政、投資制約、プロジェクト遅
現状並み
現状並み
下振れリスク 下振れリスク 延、熟練技術者流出で低迷
アフリカ
リビア
増産
(復旧)
増産
増産(復旧) 増産(復旧) 既存油田生産復旧
下振れリスク (政治・治安)
緩慢な深海油田開発、盗掘・設
現状並み
現状並み
中東
国
備考
成熟超巨大油田の減退、陸上旧
中立地帯などでの生産増
既存油田の回収率向上と新規油
田の開発が進展
(経済)
ナイジェリア
非OPEC 旧ソ連
アンゴラ
増産
現状並み
ロシア
増産
現状並み
増産
現状並み
北米、中 カナダ
メキシコ
南米
ブラジル
備損壊
既存油田減退、緩慢な深海油田
現状並み
開発
既存油田減退、新規油田生産開
現状並み
下振れリスク 始 (経済制裁)
増産
増産
現状並み
増産
増産
現状並み
増産
オイルサンド(進行中)
成熟油田増進回収
42
プレソルト(進行中) 出所:JOGMEC
供給見通し(2)主要産油国:
短・中期見通し
生産見通しに関するコメント
(JOGMEC調査部各担当)
サウジアラビア:成熟した超巨大油田の減退があるが、
陸上旧中立地帯などで生産増。UAE国境を跨ぐ油田開 百万b/d
発のリスクに留意。
12
UEA:既存油田の回収率向上と新規油田開発が進展
クウェート:成熟巨大油田の減退で漸減。北部重質油田
からの生産は2023年以降にずれ込む見通し。
10
イラン:制裁解除の如何にかかわらず、短期の増産は
困難(外資がイランに戻り、老朽油田・新規油田の開発
が軌道に乗るまでに時間を要する)
8
イラク:主力の開発中油田の開発が進むが南部におけ
るインフラ整備の遅延により短期の大幅増産は困難
ベネズエラ:PDVSAの財政、投資制約、プロジェクト遅延、
6
技術力のある労働者の流出で生産量の停滞続く(デ
フォルトリスクあり)
リビア:政治解決で既存油田の生産が復旧(さらなる混
乱による減産リスクあり)
4
ナイジェリア:法改正遅延、設備損壊等で開発投資鈍化
アンゴラ:既存油田の減退、深海開発投資の鈍化により
生産増の鈍化
ロシア:西シベリア等既存油田の減退、他方で東シベリ
アなど新規油田の生産開始で、全体横ばい
(経済制裁強化による下振れリスクあり)
カナダ:オイルサンドプロジェクトは進行中のものは継続、
新規は保留または遅延
サウジアラビ
ア
UAE
主要13カ国の生産量見通し
クウェート
イラン
イラク
ベネズエラ
リビア
ナイジェリア
アンゴラ
ロシア
カナダ
2
メキシコ
0
ブラジル
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
JOGMEC調査部
メキシコ:成熟油田の増進回収
ブラジル:プレソルトは進行中事業の開発は継続
43
供給見通し(2)主要産油国:
OPECによる生産方針に関する発言(GCC)
OPEC、またはサウジアラビアにより生産調整(減産)への積極性は見られず
産油国
OPEC事務局
年月日
2015/1/26
2015/3/8
2014/12/21
2015/3/4
2015/3/18
サウジ アラビア
2015/3/22
2015/3/22
2015/4/7
発言者
バドリ
( 事務局長)
バドリ
( 事務局長)
ヌア イミ
( 石油鉱物資源相)
発言内容
① OPEC ・ 非OPEC 国が減産について 協議するま でに4 ~5 か月かかるであろうし、 実際に減産に
向けた具体的な努力が為されるま で は、 少なく とも半年は要するで あろう。
① 2 0 0 万b/ dの供給過多にある今、 石油市場の安定化に向けて OPECと非 OPEC産油国は連携す
べき。 ただ、 OPEC はシ ェールオイルの増産と引き換えに減産すべきで はない。
① 非 OPEC産油国が減産するな らば歓迎するが、 我々は減産しな い。 原油価格下落の主な要因
は、 主要な非 OPEC産油国の協力の欠如、 誤解を招く情報、 そして 投機家の金銭欲。 現在の原
油価格では、 長期的な エ ネルギ ー投資を刺激しな いで あろうし、 高コス ト生産者は増産を継続
できな い。
ヌア イミ
① サウジ の石油政策の中心は、 以前と変わらず、 バランスの取れた市場を目指すこと。
( 石油鉱物資源相)
② サウジ は1 9 8 0 年代に減産措置を取ったが、 成功しな かった。 同じ過ちを繰り返すつもりはな
い。 より 国際的なア プローチが必要。 サウジは引き続き市場の均衡を支援するが、 非OPEC 諸
国の協力が必要な状況。 サウジは、 常にコンセンサスを追求して いる。
トルキー
① 低油価状態が想定よりも長期化したとしても、 サウジ アラビアが生産調整に踏み切る可能性は
( 王子、 元諜報機関トッ プ)
低い。
ヌア イミ
① OPECによる減産見送り の決定の裏にいかなる「 策略」 もない。 我々は、 市場の安定性、 需給
( 石油鉱物資源相)
のバランス 、 市場原理による価格の決定を維持したいと願う者たちの味方で ある。
② OPEC が単独で 油価高騰の責任を負うつもり はない。 石油市場全体におけるOPEC のシェア は
3 0 % で、 非OPEC 産油国は7 0 % に上る。 価格を安定させたいな ら、 皆が一緒に取り組むべきだ。
③ ( 生産能力を1 , 2 5 0 万b/ dから更に上げる計画があるかとの質問に対し) もし需要が高ま ればそ
うすることも可能であるが、 現時点で需要がな いため計画はな い。
マディ
① サウジ アラビアの石油政策は商業性と経済性の観点から決められて おり 、 政治的側面は含ま
( OPEC 理事)
れない。 OPEC の関心は市場のバランスを実現することで あり 、 価格をコントロールすることでは
ない。 価格は市場によって決ま り、 市場は需給によって 方向づけられる。
ヌア イミ
① 非OPEC 産油国の協力を得られるな らば、 合理的で 適切な方法で 原油価格回復を支援する用
( 石油鉱物資源相)
意が依然としてある。 サウジ アラビア、 湾岸産油国、 あるいはOPEC のみが責任を負うことはな
い。
出所:報道等より作成 44
供給見通し(2)主要産油国:
OPECによる生産方針に関する発言(GCC)
OPEC(GCC):生産調整を行わない方針に賛意、強気の姿勢
2014/12/8
2015/1/7
マ ズ ルーイ
( エ ネルギ ー相)
マ ズ ルーイ
( エ ネルギ ー相)
UAE
2015/1/13
マ ズ ルーイ
( エ ネルギ ー相)
2015/1/18
ザンギ ャネ
( 石油相)
2015/3/18
ザンギ ャネ
( 石油相)
2014/12/16
オメール
( 石油相)
2015/1/14
オメール
( 石油相)
2015/3/17
オメール
( 石油相)
イラン
クウェート
① 原油価格が 1バレル当たり 40ドルにま で下落しても、 OPECとしては減産しないという決定を維
持するであろう。
① 油価下落は石油部門で の重要な投資を手控えさせることにはな らな い。 UAEの石油・ ガス産業
は十分発達しており、 成熟した産油国として 価格の変動で我々の計画を変更することはな い。
UAEは2 0 1 7 年ま でに日量3 5 0 万バレルへと原油生産能力を増強する計画。 大部分のプロジ ェ
② クトは仕掛り 中で、 能力拡張が遅延するとは見て いな い。 しかし能力の拡張とその利用は別問
題。 世界の需給動向を考慮に入れ賢明に行動する。
① OPEC が減産しな いという戦略に変更はない。 最もコストの高い石油を生産する者が、 ま ずは撤
退か減産かというのが原理で あり 市場の鉄則。 この時期に( OPEC が) 会合を開催し何かを実
施するということは合理的ではな い。 様子を見て6 月の会合ま で待つ。 結論は急がない。
① イランは( 緊急時総会を開催する) 計画はな いし、 現在他のOPEC 加盟国と原油価格急落を防
止しようとする相談は行って いるが、 それはま だ実を結んでいない。
② イランは原油生産を削減する予定はな いし、 サウジ アラビアと会談を持つ予定もな い。 2 5 ドルに
ま で原油価格が下落しても、 イランの石油産業は脅かされな いだろう。
① 各国のクオータを設けることな くOPEC 全体の生産上限を設定するのは間違い。 ある国が他国
のシ ェアを不当に奪うことを可能にしてはいけな い。 イランは制裁前の市場シ ェアを取り戻した
い。
① 市場は現在日量 180万バレルの供給過剰で、 それが原油価格の主要因。 原油価格は高コス ト
の原油生産が停止すれば、 改善するで あろう。 クウェートの開発プロジ ェクトは原油価格下落に
よっても影響を受けない。
① 原油価格のこの下落幅は予想しな かったもので 、 クウェートや他の原油輸出国に影響してい
る。 ただ、 ( OPECの) 決定は正しかったと考え ている。 もしクウェートが減産して も、 我々の市場
シ ェアは他の産油国にいってしま う。 OPEC緊急時総会に対する要請はな い。
① 石油市場で のシェア を維持する必要があるため、 OPEC として生産を抑制するという選択肢は
な い。
出所:報道等より作成
45
供給見通し(2)主要産油国:
OPECによる生産方針に関する発言(非GCC)
OPEC(非GCC):生産調整について非OPECとの協調を試みるが不調
2014/12/14
ベネズ エ ラ
2015/1/12
2014/12~
アルジ ェリア
2015/1/21
ロシア
ラミ レス
( 外相)
マドロ
( 大統領)
ユースフィー
( エ ネルギ ー大臣)
ドボルコビッ チ
( 石油省次官)
① 原油価格の下落は誰にとって も良く ない。 1バレル当たり 100ドルが公正な価格。
① サウジ アラビアを訪問、 サルマン皇太子と会談し、 減産を呼び掛ける。
① OPEC・ 非OPEC 産油国が共に協力して 減産し、 市場の安定に寄与する必要を呼び掛ける。 す
でにアゼルバイジ ャン、 カザフス タン、 ロシ ア、 オマーン、 メキシ コな どに対して呼び掛けを行っ
ている模様。
① ロシア は自然減退で最大日量1 0 0 万バレルの生産が減少する可能性はあるが、 OPEC と協調
して 減産する予定はな い。 原油価格が長期間5 0 ドルにとどま れば、 一部のプロジェクトは魅力
的ではな くな り、 小規模油田の減退が始ま る。 しかし目的を以て 減産するわけではな い。 最大
で自国生産量の1 0 分の1 を失うかもしれないが、 より可能性が高いのは日量3 0 ~4 0 万バレル
程度であろう。 それ以上大きな 減退は根拠がない。
出所:報道等より作成
価格下落前から、サウジのヌアイミ石油大臣は生産調整役を放棄する発言
“we (Saudis) have learned our lesson. Every time we go to quotas, who bears the brunt? Us. We have learned the lesson. We are no longer the swing producer. Who needs quotas?” MEES, Dec 6, 2013
46
需要(1):
各機関による需要見通し
• 各機関とも2020年頃の需要量として、96‐99MMbbl/d程度を見通す。
• 2015年以降年間の増分として、1MMbbl/d/年、増加率は1%程度。
• 過去20年間の年率2%程度の伸びから、2015年以降は年率1%程度に鈍化。
IEA WEO2014
Global
(百万bbl/d/年)
2015
2016
2017
2018
2019
2020
92.43
93.34
94.47
95.68
96.86
98.00
99.05
平均
期間増分**
-
2015~2020
(増分)
-
0.91
1.13
1.21
1.18
1.14
1.05
1.10
(増加率)
-
0.98%
1.21%
1.28%
1.23%
1.18%
1.07%
1.16%
OECD
45.60
45.60
45.60
45.50
45.50
45.30
45.10
-
Non-OECD
46.80
47.80
48.90
50.20
51.40
52.70
54.00
-
91.10
92.30
93.20
94.10
95.00
96.00
-
OPEC WOO2014 World
(百万bbl/d/年)
-
(増分)
-
1.20
0.90
0.90
0.90
1.00
-
0.98
(増加率)
-
1.32%
0.98%
0.97%
0.96%
1.05%
-
1.05%
OECD
45.80
45.80
45.70
45.50
45.30
45.20
-
Developing countries
40.10
41.20
42.20
43.20
44.30
45.40
-
-
5.20
5.20
5.30
5.30
5.40
5.40
-
-
2030
2040
平均
-
Eurasia
EIA IEO2014*
2014
World
(百万bbl/d/10年)
(百万bbl/d/年)
1980
1990
2000
2010
2020
63.10
66.50
76.80
86.80
97.60
107.40
119.40
(増分)
-
3.40
10.30
10.00
10.80
9.80
12.00
9.38
-
0.34
1.03
1.00
1.08
0.98
1.20
0.94
(増加率)
-
5.39%
(増加率・年平均)
-
13.02%
12.44%
10.04%
11.17%
11.26%
1.13%
0.54%
1.55%
1.30%
1.24%
1.00%
1.12%
OECD
41.60
41.60
48.30
46.00
46.40
45.30
44.70
-
Non-OECD
21.50
24.90
28.50
40.70
51.20
62.10
74.70
-
*World petroleum and other liquid fuels consumption by region
2014~2019
4.90
-
(増分・年平均)
15.49%
5.71
期間増分平均
期間増分**
2010~2020
増分平均5カ年分
5.20
5.27
**増分計の計算においては、2020年に⾄る直近5年間の需要量増分を積算。IEA WEO2014においては2015〜2020、OPEC WOO2014において
は2014〜2019、EIA IEO2014においては2010〜2020年の増分平均の5か年分とした。
出所:各機関見通しより作成
需要(1):
各機関による需要見通し
需要要因
①燃費効率の改善で先進国の石油需要の伸びは
限定的。
②これまで世界の石油需要の伸びをけん引してきた
中国も、人口問題、経済減速、燃費効率改善、
エネルギー転換等で需要伸び悩み(但し非OECD
諸国では、今後も経済発展や自動車保有台数の
増加により需要が堅調との見方も)。
48
需要(1):
各機関による需要見通し
IEA/EIA/OPECの3機関の需要量見通しを当面の対象とし、
以下の観点から分析中。
• 需要量の算出方法
→各発表資料の原典から、需要量算出の考え方を整理
• 算出に用いられる前提条件、その妥当性
→主に需要量算出の前提となる経済成長シナリオの
妥当性を分析
分析に用いる発表資料は以下。
• IEA:短期 Oil Market Report(2015年まで、四半期毎)
中期 Midterm Oil Market Report(2019年まで、年毎)
長期 World Energy Outlook(2040年まで)
• EIA:短期 Short Term Energy Outlook
長期 International Energy Outlook
• OPEC:World Oil Outlook この他ExxonMobil, BP発表データを参照
49
需要(1):
各機関による需要見通し
これまでの分析により得られた観点(IEA、IMF)
機関
IEA
需要見通し影響を与える要因
•
•
•
•
•
IMF
•
•
•
需要量:93.34MMbbl/d(2015)、99.05MMbbl/d(2020)
世界のGDP成長率は2012~2040年にかけ年率3.4%の成長
世界の人口は年平均0.9%の伸び率で増加し、2040年には90億人に達する見
込み(2012年半ばに70億人、2013年に71億人)
世界の需要の伸びは、過去20年間の年率2%超から2025年以降は年率1%へ
と顕著に鈍化。これは、価格や政策の効果および、世界経済におけるサービス
業や加工型製造業などへの構造変化によるもの
世界全体の乗用車・トラック保有台数が2040年までに2倍以上に増加するも、燃
費基準の達成により、運輸部門の石油需要は4分の1の増加にとどまる見込み
世界的な景気減速により、2014年の世界経済成長は3.3%、2015年は3.5%、
2016年は3.7%に下方修正(対WEO‘14Aprで各々0.3ポイント減)
2014年の米国経済は、第1四半期の落ち込みが大きかったものの、第2四半期
には回復を見せたことから、弱含みの傾向は一時的との見方
2014年の欧州経済は、第2四半期に投資と輸出の減退により停滞。経済成長
の減速状態が続くことへの不透明感を醸成。日本経済は、消費増税による国
内需要の落ち込みが予想より大きく、ロシア及びCIS経済は、地政学的リスクの
高まりに起因する外国投資、国内生産の落ち込みの影響が顕著。世界経済見
通しの下振れ要因となる
出所:JOGMEC作成
50
需要(1):
各機関による需要見通し
これまでの分析により得られた観点(OPECほか)
機関
需要見通し影響を与える要因
OPEC
•
•
•
需要量:96.0MMbbl/d(2019)
2013年~2019年にかけての中期石油需要は、年平均で1MMb/dで増加
OECD諸国の需要量は減退するものの、途上国の需要増により増加
EIA
(米国)
•
•
需要量(世界):98.0MMbbl/d(2020)、119.0MMbbl/d(2040)
移民数の減による人口伸び率の減により、2040年米国人口見通し6%減(米国
統計局(USCB)、対AEO2013 Reference case)
LDV(Light Duty Vehicle, 総重量4.5トン以下)の燃費改善により、実走距離の伸
びを相殺
産業・輸送部門のエネルギー消費効率化による需要減
民生部門の照明用、温水用、冷暖房用エネルギー消費改善
•
•
•
出所:JOGMEC作成
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需要(2):
三大需要圏における実需に与える要因分析
需要量が大きい米国・中国・欧州を対象として分析。
-各国/地域が発表する需要量見通し(需要(1)と同様の手法)
-各国/地域の需要量に影響を与えるマクロ的要因
• 社会構造(人口構造)
• 産業構造
-各国・地域の需要量に影響を与えるミクロ的要因
• 各種製品補助金施策
• エネルギー転換・効率化施策
• 需要性向
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需要(2):
三大需要圏における実需に与える要因分析
米国:石油需要は減少傾向
• 移民の減少による人口増加率の低下、GDP鈍化
2040年 6%の人口減少見通し(移民数の減による)
•
燃費性能向上による総消費燃料量の低減
LDV*の燃費改善(2012年21.5mpg→2040年37.2mpg、年2%の改善)
*Light Duty Vehicle(総重量4.5t以下)
•
•
エネルギー消費効率化(産業・運輸)による消費量の低減
再生可能エネルギー起因の発電量増加
欧州:石油需要は減少傾向 (今後、経済成長以外の要因を分析予定)
• 2014年の欧州経済は、第2四半期に投資と輸出の減退により
停滞。経済成長の減速状態が続くことへの不透明感を醸成。
• 中期的には先進国での景気停滞と低潜在成長率、新興国の
潜在成長率の低下がリスク。
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需要(2):
三大需要圏における実需に与える要因分析
中国:伸び率は抑制局面へ
-経済の減速、構造の変化(“新常態”*)
2014年の経済・消費動向
GDP成長7.4%
石炭消費2.2%減(13年3.7%増)、天然ガス消費9%増(13年12%増)、
電力消費3.8%増(13年7.5%増)
*“新常態”(New Normal):経済の減速、重工業からハイテク産業へ、投資主導から消
費・サービス産業主導への構造転換
-エネルギー効率向上
GDP単位あたりエネルギー消費4.8%削減(2014年 前年比)
-環境政策(大気汚染・気候変動)
「大気汚染防止行動計画」(国務院、2013年9月)
「エネルギー発展戦略行動計画(2014~2020年)」
(国務院、2014年11月)
(JOGMEC竹原2015「 中国:石油・天然ガス消費鈍化の要因と今後の見通し」引用)
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石油在庫量:
OECD諸国の原油在庫(IEA、2015年4月)
OECD諸国の原油在庫は62日分と過去最高水準
(IEAデータ等よりJOGMEC作成)
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石油在庫量:
米国原油在庫(EIA、2015年5月8日現在)
米国の原油在庫量も、過去の在庫水準を大幅に超えて積みあがり。
(EIAデータよりJOGMEC作成)
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石油市場分析:
中間評価(まとめ①)
 価格の急落を受けて、米国ではリグの稼動数が落ち込み生産量も
減退の兆しである。
 米国のシェールオイル生産量は、その特性であるロングテールの生
産カーブ、現在の各社の技術改善や収益維持努力、また生産に対
する価格ヘッジを考慮すれば、急速に減退するとは考えにくい。
 また生産量見通しに関わるスタディを実施したところ、シェールオイ
ル生産量は2015年年央にピークを迎え、その1年後にピーク時の
10%減(想定60ドル/バレル)になると推定された。今後、投資動向
等をも織り込み、より精度の高い推定値に修正していく必要がある。
 米国以外は、短期的には、大産油国は現状維持から供給増の見通
しである。しかしながら、欧米諸国の石油在庫量は記録的な高水準
に達し、市場の供給余剰感はいまのところまだ強い。
 したがって、当面、需給関係が引き締まるといっても、非常にゆっく
り進行し、あるいは現状とあまり変わらない状況(供給過剰感)が足
元続くことを想定しておく必要がある。
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石油市場分析:
中間評価(まとめ②)
 短期的には、需要回復のタイミングや地政学的リスク次第ではあ
るものの、市場の供給過剰感が速やかに払拭されて原油価格の
底値感が広がる時期はしばらく先になることが予想される。
 中期的には、価格低迷が続けば上流開発投資の遅延が生産水準
に影響を及ぼすものと考える。2020年頃までは、UAE、イラク、イラ
ン、ブラジル、カナダで増産が見込まれるが、クウェート、ベネズエ
ラの減産が見込まれ、世界全体で450万‐520万b/d程度の増加。
 世界需要量の増加幅は、過去の趨勢に比べ減速し、年100万b/d
程度の増加に留まるとの見通し。
 よって、中期的な需給関係を評価すると、世界供給の増分は450
万b/d‐520万b/d程、需要増分は490万‐570万b/dで多少の供給不
足が予想される。今後どのように価格上昇が起きるかを考える上
では、金融市場の変動要素などを含めた追加的な調査が必要と
なる。
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