1 - NPO法人地域健康づくり支援会ワンツースリー

2015年
正会員の現況(平成27年4月1日時点)
区 別
4月10日発行
春号
NO.25
正会員
内 訳
人 数
サポーター
3,031
インストラクター
2,378
重 複
486
一般会員
合 計
1
4,924
認定NPO法人地域健康づくり支援会ワンツースリー
〒001-0023 札幌市北区北23条西6丁目1-45 浜ビル1階
もくじ
理事長挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
ステップ:春がきた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
フォーカス 薬師寺清幸さん・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
事務局からのお知らせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
大阪府堺市で 5 年続いているふまねっとカフェ。
平成 27 年 2 月 21 日には、16 人の生徒がステ
ップと会話を楽しみに集まりました。
理 事 長 挨 拶
北澤 一利
はじめに
正会員の皆様には、日頃より当法人の活動にご理解を賜り、地域支援活動にご尽力を頂いており
ますことに、この場をかりてあつくお礼を申し上げます。当法人は平成 27 年 5 月で設立 10 周年
を迎えることになりました。新年度の活動を始めるにあたり、今後の 10 年の進むべき方向を検討
したいと思います。
半分サイズのふまねっとの「成功」
平成 26 年度は、釧路市と札幌市の 2ヶ所で「ふまねっとハウス」のモデル事業に取り組みました。
この事業の詳細は、昨年の「ふまねっとひろば春号」でご紹介いたしました
(ホームページから全
ての「ひろば」のダウンロードが可能です)
。
その目的は、要介護認定者を減らしたり、介護度が重度化することを防ぐために、
「いつでも、
何度でも、ふまねっと運動に参加できる場所=ハウス」を開設することにあります。1 年間行って
きたモデル事業の経過をご報告申し上げます。
まず始めに、昨年 4 月に、厚労省の外郭団体である独立行政法人福祉医療機構
(通称 WAM)
に、
この事業への助成を申請したところ 700 万円の助成が認められました。さい先がよいスタートでした。
しかし、実際にはじめてみると候補となるハウスの物件の選定には多くの時間と困難を要しまし
た。当初検討していた空き家の利用は、利用開始までの改修にかなりの金額が必要となり、その改
修費が捻出できないのが壁となり断念しました。
借家の場合、高齢者が通いやすく、しかも指
導するサポーターが近くに多く居住している地
域となると家賃が高額となったり、駐車場など
の点で不自由がありました。そのため、最終的
には、釧路では駐車場に余裕がある物件を、札
幌では地下鉄の駅近くの物件を選ぶことにしま
した。通いやすい条件の場所で選定することに
したのです。その結果、家賃は釧路で 13 万円、
札幌で 16 万円と高額な物件になりました。
リハーサルの風景(平成26年10月釧路市)
このような高額な物件でモデル事業を行った理由は、新しいふまねっと運動プログラムである、
「ふ
まねっとホームワーク」に対する高齢者の率直な感想や反応を知りたかったからです。
もし、便利な場所にハウスがあるのに、そこで行っている「ふまねっとホームワーク」をやりに
来るお客さんが少ないとすれば、それは、
「ふまねっとホームワーク」が面白くないことを意味します。
しかし、もし多くの高齢者が通ってくるように
なれば、それは「ふまねっとホームワーク」が楽
しいプログラムとして完成したことを意味するの
です。つまり、便利な場所にハウスを開設するこ
とによって、
「ふまねっとホームワーク」の評価を、
白黒はっきり決着つけることができるだろうと考
えたのです。
幸い、新しい「ふまねっとホームワーク」は予
想以上に大好評でした。釧路でも、札幌でも、
「ふ
まねっとホームワーク」は、お客様に歓迎されま
築 30 年の事務所を改装したふまねっと
ハウス浦見(平成 26 年 12 月釧路市)
した。これは、平成 26 年度の「ふまねっとハウス」
のモデル事業の最大のチャレンジが成功したこと
を意味しています。
「ふまねっとホームワーク」とは、縦 4 マスの半分サイズのふまねっとで行うふまねっと運動で
す。一般的な民家にある 6 畳間の部屋を使って、在宅で実施できるように考案しました。今回のモ
デル事業の成果として、今後は家賃が安い一戸建ての民家を使っても、
「ふまねっとハウス」を開
設できるという手応えを得ることができました。つまり、
「ふまねっとハウス」は、どこに出しても、
一定のニーズに応えることができるとわかりました。たいへん大きな収穫を得たと確信しております。
2
ふまねっとひろば 2015. 春号
釧路市ふまねっとハウス浦見教室参加者対象アンケート結果
(2月 16 日〜 26 日教室 53 回分、延 207 人実施)
<ふまねっとハウス浦見参加者概要>
実人数 61 名(男性 9 名、女性 52 名)
平均年齢 73.3 歳
介護度 要支援1:1 名、要介護1:1 名、要介護2:1 名、要介護3:1 名
有料化への反応:ふまねっとハウスのモデル事業
今回のモデル事業には、もう一つ、大きなチャレンジがありました。それは、ふまねっとハウス
の有料化です。いつでも、何度でも、ふまねっと運動に参加できるような場所があったら、ここに
通うために高齢者はいったいいくらまで授業料を負担するのだろうか。これを実験する必要があり
ました。
当初は、1ヶ月 2,000 円の月謝という選択が有力でした。しかし、最終的には、1ヶ月 3,000 円
の月謝に決まりました。この金額で、釧路では平成 27 年 2 月から有料化し、61 人の生徒が月謝
を納めて下さいました。札幌では、同年 3 月から有料化し、同じく 48 人の生徒から月謝を頂きま
した。初回月にしては、どちらも予想以上の好スタートとなりました。ふまねっとハウスで行われ
ている、「ふまねっとホームワーク」が評価を得たことになります。
この「ふまねっとハウス」の成功は、
たいへん大きな意義があります。一
つは、この事業が高齢者中心のふま
サポーターの感想記録(サポーター手帳抜粋) 66 歳女性
ねっとサポーターが行っていること。
これが、高齢者の生きがいや社会参
加の機会に繋がり、有力な介護予防
活動プログラムとしての役割を果た
します。もう一つは、ふまねっと運
3
動を提供できる場所を一戸建てなどを利用して増やすことができます。この二つの成果を利用すれ
ば、高齢化率が 40%を越えている過疎地が多い北海道の市町村で、介護予防活動を住民の手によ
り進めることができるようになります。
しかし、課題としては、そのための準備に投じなければならない時間や経費が必要となることで
す。今回、モデル事業に協力して下さったサポーターを、ふまねっとハウスが担当できる「認定ハ
ウスサポーター
(仮称)
」として養成するまでの過程には、説明会 2 回、研修会 3 回、運営会議毎月
1 回、自主練習会各自 2 回以上、リハーサル期間 1 週間を要しました。8 月から 10 月まで、まる 3
ヶ月かかりました。
さらに、これらを通過したサポーターには、認定試験を受けてもらいました。認定試験は、一人
1 時間の実技試験、採点と評価にはさらに 1 時間
がかかります。そして、「ふまねっとハウス」の
運営のためには、毎月 1 回のシフトの調整、毎
日の前日確認連絡、出欠記録、日報作成が必要
になります。以上の運営に関わるコストがかか
るのです。
今回のモデル事業では、参加するサポーター
の皆様には費用の負担がありませんでした。し
かし、本格的に始める場合には、サポーター自
ふまねっとハウスの教室風景
(ふまねっとハウス北 18 条)
身からもふまねっとハウスのスタッフになるた
めの研修費が必要になるでしょう。
謝辞と今後の展望
平成 26 年度のモデル事業では、多くの成果を上げることができたと考えられます。しかし、釧
路市と札幌市のふまねっとハウスは、現状は、まだ採算がとれておりません。そこで、今後は経営
上の課題を克服するために、次のような準備を進めたいと計画しております。
一つは、介護保険制度が求める「新しい総合事業」の中に位置づけられた、NPO や地域住民の
ボランティアが担うプログラムの一つとして「ふまねっとハウス」を提案し、高齢者の社会参加を
支援することです。これによって、過疎地における生活支援・介護予防サービスを充実することが
できます。もう一つは、デイサービスやグループホーム、あるいは個人の正会員の皆様に、ふまね
っとハウスの開設ができるように支援を行うことです。平成 27 年度中に、
「ふまねっとハウス開
設のてびき」を作成し、候補地を募集したいと思います。
今回、本事業のために、多くの正会員の皆様からご寄付を頂戴致しました。ご寄付は、大切にふ
まねっとハウスの事業に使わせて頂きました。この場をかりてあつく感謝とお礼を申し上げます。
正会員の皆様におかれましては、釧路市や札幌市にお越しの際には、是非、ふまねっとハウスにお
立ち寄り下さいますようお願い申し上げます。また、釧路市と札幌市で活動するふまねっとサポー
ターの皆様には、事業の多くをボランティアで担当して頂きました。ご協力を下さったサポーター
の皆様には心よりお礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
4
ふまねっとひろば 2015. 春号
春がきた
8
32
きた
30
29
27
7
6
【指導の手順】
25
で練習しましょう。
ステップができるように
なったら…
23
里にきた
22
21
20
19
5
4
26
24
山にきた
17
「1、2、3、4
とゆっくりとしたテンポ
28
野にも
まずは
1、2、3、4」
31
18
16
15
きた
14
13
11
3
12
どこに
9
①・「1」で手拍子
10
「4」で手拍子
・「3」
②歌を歌いながら挑戦 をしてみましょう。
2
8
7
春がきた
6
5
3
1
4
春がきた
1
A
5
2
B
C
住民主体の健康教室を実践している各地のふまねっとサポーターの中か
ら、毎回キーパーソンをお訪ねして、その活躍の背景やお人柄にせまって
みたいと思います。
薬師寺清幸さん
1959年7月4日生(55歳)
一般財団法人長寿社会開発センター企画振興部長
薬師寺さんは、平成25年度からふまねっとサポーターの養成講師のお一人とし
て、全国で行われる講習会でご支援をして下さっております。
●ふまねっとを始めたいきさつを教えてください。
私が勤務している「一般財団法人長寿社会開発
センター」は、高齢者の生きがいづくりや健康づ
くりに取り組む厚労省の外郭団体です。
「全国健
康福祉祭(ねんりんピック)
」を開催したり、高齢
者の地域活動を全国レベルで推進したりしていま
す。
NPO 法人ワンツースリーには、平成 17、18、
21 年に活動助成をしました。平成 21 年に地域活
動に取り組む高齢者の中央研修会があり、ワンツー
2010年5月22日三鷹市井之頭病院で行われたふ
まねっと健康教室で指導する薬師寺さん。
スリーの尚和(現副理事長)
さんに発表をしてもら
いました。そこで、私もふまねっとを体験するこ
とになりました。
症の方やご家族まで毎回 30 人以上集まり、とて
その後、各都道府県の明るい長寿社会づくり推
も楽しそうにふまねっとをやっている笑顔に出会っ
進機構の職員研修会があって、ふまねっとを体験
たんです。それから 6 年、この教室のボランティ
させたいと思ったとき、ふまねっとをやるには資
アに通い続けています。
格が必要ですよと言われました。たまたまその時、
「教える役」が「高齢者」というのが、長寿社
三鷹市の井之頭病院で講習会がありましたのでこ
会開発センターが支援する事業としてもふさわし
れを受講しました。これがきっかけです。
いと思います。平成 24 年度から、長寿社会開発
センターでは、5 つの活動の全国普及に取り組ん
●受講後はどんな活動をしましたか?
でいます。ふまねっとはそのうちの一つです。
井之頭病院では、地域住民対象の健康教室を、
毎月 2 回土曜日に開催していることがわかり、試
●ふまねっとにはどんな印象を持ちますか?
しにそこにボランティアで参加することにしまし
ふまねっとは、初めから高齢者を「教える役割」
た。そこで実際にやってみると、これは意外とい
としてとらえ、力をつけていこうとしたことがす
いなあと感じました。杖をついている人から認知
ばらしいと思います。高齢者をケアの対象やお客
6
ふまねっとひろば 2015. 春号
さんとして扱うサービスは沢山ありますが、これ
歓迎されるんですね。
は常識的で普通です。これに対して、ふまねっと
よく、サロンなどで、お茶を飲みながらコミュ
のように、高齢者をサービスの提供者として扱う
ニケーションしましょうといいますが、そんなこ
プログラムは、あることはありますが、実際には
といわれたって無理です。人と人との関係が複雑
なかなかうまくいきません。
で、神経質で、希薄化しているので、かえって緊
ふまねっとサポーターを見ていると、
「教える
張しちゃいます。だから、コミュニケーションが
役割」を担う高齢者に、何か人に「やってあげて
できるようなお膳立てが重要なんです。コミュニ
いるんだ」という負担感は見られないですね。皆
ケーションができるようになるためには、相手に
さん「よろこんで」やっています。ふまねっとを
関心を持って、注意して見なければならないと思
教えてあげると、来た人の歩行が改善したり、喜
うんです。そのようなことが、ふまねっとでは、
んでくれたり、にこにこ笑って帰っていくからで
自然に簡単にできるようになりますね。しばらく
すね。こうして活動を通して「共感」が生まれる
すると、参加者全員で一体となって、互いに励ま
のですね。
し会いながら応援するようなムードができます。
活動がうまくいくというのは、「共感」できる
それがすばらしいと思います。
かどうかということなんでしょうね。この活動は
いいなと皆さんが共感できるからこそ、
「教える
役割」の高齢者が増えていく。この「教える役割」
の高齢者がどんどん広がっていくというのがすご
いと感じます。誰かに「やらされて」いるわけで
はなく、高齢者に、これを「やってみよう」とい
う気持ちにさせるところがすごいです。
ふまねっと運動では「間違いを指摘しない」と
う方針があります。これも私には、考えつかない
発想です。これらの「共感」や「発想」が、ふま
ねっとに対する強い印象です。
2015年2月28日東村山市で行われたサポーター
養成講習会で手本を示す薬師寺さん。
●ワンツースリーの今後の活動に期待することは?
現在、釧路と札幌でモデル事業として進められ
しかし課題も感じています。今後ますますふま
ている「ふまねっとハウス」のような場所は、こ
ねっとが広がっていき、ふまねっとを取り入れた
れから本当に重要になってくると思います。人と
いという自治体が増えてくると思います。このよ
人との交流のきっかけにもなっています。ひとり
うなニーズに、今のワンツースリーの体制では応
暮らしの人が、そこに参加する場所ができる。身
じきれないのではないでしょうか。自治体がやり
体を動かして、しゃべって、笑って、帰って行く。
たいと思っても、結果的にスタートを切れなくな
そこで、初めは生徒さんから、やがてボランティ
ることが心配です。ですから、講習会を担当でき
アになって社会参加につながる。そんな場所が身
るような講師をふやすこと、そしてその講師たち
近にできるのはたいへん重要だと思います。
がチームを組んで研修を行うなどしてワンツース
私個人としても、全然知らない人と、腹を抱え
リーと一体となって全国普及することを検討して
て笑って、一緒に運動することができています。
はどうでしょうか。
ふまねっとがあれば、誰とでも楽にコミュニケー
とにもかくにも、私はふまねっとがこれからの
ションを始めることができるし、どこへ行っても
高齢社会日本を救うと信じています。
7
の
事務局から
せ
お知ら
重要
総会の成立に必要となりますので、
総会の出欠返信ハガキを必ずご返送ください。
第 10 回 NPO 法人地域健康づくり支援会ワンツースリー定期総会を北海道釧路市で開催いたし
ます。総会の成立には過半数の出席(書面表決含む)が必要となります。同封の議案書とハガキを
ご確認の上、皆様のご出欠と表決を同封のハガキにて 5 月 15 日までに必ずご回答くださいますよ
うお願い申し上げます。
5月 日(金)
22
5月 日(土)
23
内容・場所
ふまねっとハウス見学会
場所:ふまねっとハウス浦見
(釧路市浦見4丁目2-3)
時 間
備 考
12 時 30 分〜 受付開始
13 時 00 分〜 教室見学、解説、質疑応答
(15 時 00 分終了)
懇親会 「浜番屋」(釧路市入舟3-6-1)
18 時 00 分〜
電話 0154-43-0114
当日受付します。
設立10周年記念講演会
場所:北海道教育大学釧路校小ホール
(釧路市城山1-15-55)
受付開始
講演「ふまねっとハウスで地域
社会を支えよう」講師 北澤一利
昼休み
10 時 00 分〜
10 時 30 分〜
12 時 00 分〜
平成27年度定期総会 場所:同上
13 時 00 分〜
同封の議案書をご確認下さい
活動紹介・交流会 場所:同上
15 時 00 分〜 (17 時 00 分終了)
懇親会 場所:キャッスルホテル
(釧路市大川町2-5)
電話 0154-43-2111
18 時 00 分〜
事前受付、会費 4,000 円
持ち物 認定証、昼食、議案書 当日の連絡先 080 - 6087 - 8641(青木)
☆定期総会にご出席できるのは、正会員に限ります。
☆定期総会では、平成 26 年度事業報告及び決算、平成 27 年度の事業計画及び予算、定款の変更
について協議します。正会員の皆様が NPO の運営に直接参加して、
意見をのべる貴重な機会です。
ぜひ積極的にご参加下さい。
ご寄付のお礼
平成 26 年度の一年間で、合計 913 名の皆様から総額 3,080,530 円のご寄付を仰ぐこ
とができました。今回皆様から頂戴したご寄付は、ふまねっとハウスのモデル事業の苦境を
救い、本法人の運営を支える貴重な支援となりました。誠にありがとうございました。皆様
のご厚意に心よりお礼を申し上げます。
このご寄付は、一円たりとも無駄にせずに厳格に運用し、今後のふまねっとハウス事業の
成果を、正会員の皆様、ご家族、そして高齢化を迎える日本のために生かしたいと存じます。
ありがとうございました。 理事長 北 澤 一 利
8