化 学 分 析 部 門 課 題 1 課題 キレート滴定法により試料水中のCa及びMgの定量を行うことにより試料水の各硬度を求め,測定結果 報告書を提出する。 2 実験概要 (1) 実験手法は,JIS K0101:1998 工業用水試験法に準ずる。 (2) 妨害物質を含まない試料の全硬度・カルシウム硬度・マグネシウム硬度を求める。 (3) 全硬度及びカルシウム硬度は滴定法により求め,マグネシウム硬度は測定で得られた全硬度・カル シウム硬度を使用し,計算によって算出する。 (4) 実験操作や器具の使用は,化学実験の基本的な操作法に従う。 (5) 課題を進める際には,化学反応式,化学計算を考慮して行う。 3 実験要件 (1) 実験方法は JIS K0101:1998 工業用水試験法の 49.1 および 50.1 に準じる。 ただし,Fe(Ⅱ),Ni などの妨害物質は含まないものとする。 硬度:水中のカルシウム塩やマグネシウム塩の含有量を示すものを硬度という。 水1000mL 中に含まれる炭酸カルシウム(CaCO3)の mg 数で表す。 (2) 実験操作や器具の選択については,準備された器具の容量や化学実験の基本的な操作法を考慮して 行う。 (3) 課題を進める際には,実験マナー・安全・分析技術・測定精度を考慮する。 (4) 実験器具は,準備されているものから適正な器具を使用すること。 (5) 実験報告は,時間内に必要事項を報告書に記載し提出すること。 (6) コンテスト当日に実験室の施設・設備の説明を受け,さらに各自の実験器具の準備及び操作の確認 を行う。 4 注意事項 (1) 白衣(実習服)・電卓・保護メガネ・筆記用具・作業靴等は競技者が用意する。 電卓はプログラム機能付きでないものを使用する。関数電卓は使用できる。 ただし,ポケコンを使用する場合は,競技前にリセットする。 (2) 実験中は化学実験室でのマナーを遵守すること。 (3) 安全には十分配慮すること。 (特に保護メガネと安全ピペッターを必ず使用すること) 5 審査・採点基準 (1) 競技規定 1) 競技者は,実験を行い,後片付けを終了し,その後報告書を作成し提出する。競技時間は 2 時 間 30 分とする。 2) ビュレットの測定値は,最小目盛りの 1/10 まで目分量で読み取る。滴定結果の最小値と最大値 の差が 0.20mL 以内である 3 つ以上の滴加量を平均して滴加量の平均値を算出する。 3) 測定値は含まれる誤差を考慮して確実な数字すべてと,いくらかの不確かさを持つ数字 1 つで 示す。 4) 数値の取り扱いについては,(4)報告書への記載事項に示した有効数字の桁数に丸める。また, 丸め方については四捨五入とする。 5) 器具,薬品等は大会事務局で用意する。競技者は用意されたものの容量,濃度等を確認し,問題 があれば申し出て交換することができる。ただし原則として競技開始後の再支給は行わない。 (2) 結果の配点 基準値との差 配点 ±0 mgCaCO3/L 以上~3.0mgCaCO3/L 未満 25 ±3.0mgCaCO3/L 以上~6.0mgCaCO3/L 未満 22 ±6.0mgCaCO3/L 以上~9.0mgCaCO3/L 未満 19 ±9.0mgCaCO3/L 以上~12.0mgCaCO3/L 未満 16 ±12.0mgCaCO3/L 以上~15.0mgCaCO3/L 未満 13 ±15.0mgCaCO3/L 以上~18.0mgCaCO3/L 未満 10 ±18.0mgCaCO3/L 以上~21.0mgCaCO3/L 未満 7 ±21.0mgCaCO3/L 以上~24.0mgCaCO3/L 未満 4 ±24.0mgCaCO3/L 以上~27.0mgCaCO3/L 未満 1 ±27.0mgCaCO3/L 以上 0 ※ 基準値とは,本大会の方法に則って測定し,その結果に基づいて定めたものとする。 (3) 競技所要時間の配点 (「測定値の正しさ」 (全硬度+カルシウム硬度 50 点満点)に対する掛率 ) 競技所要時間 掛率 競技所要時間 掛率 競技所要時間 掛率 100 分以内 1.50 120 分以内 1.30 140 分以内 1.10 102 分以内 1.48 122 分以内 1.28 142 分以内 1.08 104 分以内 1.46 124 分以内 1.26 144 分以内 1.06 106 分以内 1.44 126 分以内 1.24 146 分以内 1.04 108 分以内 1.42 128 分以内 1.22 150 分以内 1 110 分以内 1.40 130 分以内 1.20 150 分を超える 1 112 分以内 1.38 132 分以内 1.18 114 分以内 1.36 134 分以内 1.16 116 分以内 1.34 136 分以内 1.14 118 分以内 1.32 138 分以内 1.12 測定値の正しさ,実験の正確さ,迅速さ(満点 225点)の計算式 結果の配点(満点 25×2点) × 競技所要時間の配点(満点1.50) × 審査員人数(3) (4) 報告書への記載事項 1) EDTA・2Na 採取量(0.0001g まで) 2) 0.01mol/L EDTA・2Na 標準溶液のファクター計算式とファクターの値(有効数字4桁) 及びラベルの添付(ラベルには,溶液名・ファクター・調整年月日・調整者氏名記載) 3) 全硬度測定における 0.01mol/L EDTA・2Na 標準溶液滴加量(0.01mL まで)と 滴加量平均値(0.01mL まで) ,及び平均値算出に用いた値の表示(○印) 4) カルシウム硬度測定における 0.01mol/L EDTA・2Na 標準溶液滴加量(0.01mL まで)と 滴加量平均値(0.01mL まで) ,及び平均値算出に用いた値の表示(○印) 5) 全硬度,カルシウム硬度,マグネシウム硬度の計算式及び結果(0.1mgCaCO3/L) 6) その他 ゼッケンNo. ・氏名・学校名を記載する。 6 評価の観点 (1) 作業態度 (ア)安全に配慮できているか。 (イ)実験環境に配慮できているか。 (ウ)実験マナーは守られているか。 (2) 技術度 (ア)実験操作方法は正確かつ計画的でスムーズであるか。 (イ)ガラス器具等,機器類の取り扱いは適切かつ正しいか。 (ウ)秤量・計量の方法は安全かつ正確か。 (エ)薬品・試料等の取り扱いは安全かつ適切か。 (オ)滴定操作・終点判断は適切か。 (3) 完成度 (ア)報告内容は適切か。 (イ)化学反応を理解し,正しく結果を求めることができたか。 (ウ)計測・計量・計算等の誤差を考慮し,適切な処理ができているか。 (エ)結果は正しいか (オ)実験は迅速であったか 7 審査基準 評価項目 作 安全 業 実験環境 態 度 実験マナー 術 観 点 配 点 服装・作業姿勢は適切か (基準点6点)×3人=18点 満点 安全を配慮した実験ができているか (基準点6点)×3人=18点 満点 廃液等の処理は適切か (基準点6点)×3人=18点 満点 実験台は清潔に保たれているか (基準点6点)×3人=18点 満点 器具・薬品類の配慮は適切か (基準点6点)×3人=18点 満点 迷惑行為・危険行為はなかったか (基準点6点)×3人=18点 満点 実験手順は正しいか (基準点6点)×3人=18点 満点 状況を判断し,適切な行動がとれているか (基準点6点)×3人=18点 満点 器具・機器類の選択は正しいか (基準点6点)×3人=18点 満点 器具類・機器類の配置は適切か (基準点6点)×3人=18点 満点 器具・機器類の取り扱いは適切か (基準点6点)×3人=18点 満点 計量・秤量の方法は適切か (基準点6点)×3人=18点 満点 目盛りを読み取る姿勢は正しいか (基準点6点)×3人=18点 満点 試薬・薬品類の選択は正しいか (基準点6点)×3人=18点 満点 試薬・薬品類の配置は正しいか (基準点6点)×3人=18点 満点 試薬・薬品類の取り扱いは適切か (基準点6点)×3人=18点 満点 手際よく滴定操作できているか (基準点6点)×3人=18点 満点 終点の判断は適切か (基準点6点)×3人=18点 満点 反応式・計算式などの記載漏れがないか 75点 満点 計算処理 化学計算が適正であるか 30点 満点 誤差考慮 誤差を考慮したか 30点 満点 結果は正しいか 50点×1.5×3= 実験は迅速であったか 225点 満点 器具・機器類 秤量・計量 試薬・薬品類 滴定・終点操作 報告書 測定値 所要時間 計144点 破損器具・こぼした薬品等の後始末は適切か (基準点6点)×3人=18点 満点 (基準点6点)×3人=18点 満点 度 完 成 度 ・ 結 果 価 使用後の後始末は適切か 計画性 技 評 計216点 計360点 総計720点満点 ※作業態度・技術度の基準点の 6 点が満点であるが,審査員が高い評価をしたい場合 6 点を超える評価が 可能である。 ※ 合計点が同じ場合は,全硬度とカルシウム硬度の実験結果の基準値との差の合計値がより少ない者を上 位とする。合計値も同じなら,所用時間がより短い者を上位とする。
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