平成 23 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会 講演番号: 98 動物型 4 脚歩行ロボットの歩容生成と印象評価 Gait Generation and Impression Evaluation for Animal Type Quadrupedal Gait Robot 土屋聖也 1 Seiya Tsuchiya 渡邊香 1 Kaori Watanabe 鈴木秀和 1 Hidekazu Suzuki 1 西仁司 2 Hitoshi Nishi 2 東京工芸大学 Tokyo Polytechnic University 福井工業高等専門学校 Fukui National College of Technology 1 緒言 近年,ロボットセラピーが注目されている.ロボット セラピーでは静的なセラピーによる効果が報告されてい るが,動的なロボットセラピーを考慮した場合,歩く・ 走るといった基本動作が今後重要になってくる. これまでの研究により犬型ロボット「AIBO」を用いて 実環境に適応した歩容生成を可能としているが,ロボッ トが学習する際に人による歩行距離の計測を必要とする などの外的要因を必要としてしまう問題点がある [1]. そこで本研究では,リカレンスプロット法をもちいた 学習システムを提案する.学習システムの歩容の評価部 分にリカレンスプロット法を用いることで外的要因を必 要としない学習システムの構築を目指した. また,ロボットセラピーにおけるセラピー効果に影響 を及ぼす要因としてロボットが人間に与える印象が重要 であるため,本報告ではアンケート調査を行い,多変量 解析の主成分分析を用いて印象評価を試みた. 0.6 スピーディーな 機敏な 0.4 気軽な 第1主成分 -0.5 -0.4 陽気な 進歩的な 親しみやすい -0.3 -0.2 0 -0.1 0 0.1 真面目な 洗練された -0.2 理知的な 本格的な やさしい 0.2 0.3 安全な 0.4 0.5 丈夫な 力強い タフな -0.4 -0.6 第2主成分 図1 分析結果:プリインストールされた歩行 0.6 スピーディーな 本格的な 0.4 機敏な 0.2 2 -0.5 精密な 力強い 洗練された 進歩的な 知的な 0 第1主成分 リカレンスプロットを用いた歩容生成 本研究では動物型 4 脚歩行ロボットの AIBO を用い て歩容生成を行う.脚軌道の最適化には,遺伝的アルゴ リズム (GA) を用い,GA の評価値に AIBO に搭載され ている加速度センサの値を用いて歩容を評価する.しか し,加速度センサの値を評価値とすることが困難である ため,加速度センサの値に対して解析を行い,歩容の評 価を行う必要がある.そこでカオス時系列解析に用いら れる手法の一つであるリカレンスプロット法を用いて加 速度センサの値を解析し,歩容の評価を行う.リカレン スプロット法は,周期的な振る舞いやカオス的な振る舞 いから生じる時系列データの定常性を視覚的にとらえる のに有効な手法である.実際にリカレンスプロット法を 用いて実環境での歩容学習を行った結果,外的要因を必 要としない学習システムを構築することができた. 精密な 知的な 0.2 -0.4 -0.3 タフな -0.2 -0.1 0 理知的な 丈夫な 真面目な 0.1 陽気な 0.2 0.3 0.5 気軽な 親しみやすい 0.4 -0.2 安全な -0.4 やさしい -0.6 第2主成分 図 2 分析結果:学習後の歩行 示す.結果から,プリインストールされた歩行について は第一主成分に「丈夫な」や「タフな」が特徴的に表れ ていることから第一主成分は頑健性を表していると言え る.学習後の歩行については第一主成分に「陽気な」や 「気軽な」が特徴的に表れていることから第一主成分は 親近感を表していると言える.このことから,2 種類の 歩行はそれぞれ違った印象を与えていることが分かった. 3 印象評価 ロボットセラピーにおいて動物型ロボットが人間に与 える印象が重要であり,セラピー効果に影響を及ぼす大 きな要因である.本報告では,学習によって生成された 歩容に対してアンケート調査を行い,アンケート結果に 対して,多変量解析の主成分分析を用いることで印象評 価を行う.学習後の歩行と比較するために AIBO にプリ インストールされた歩行に対しても同様に印象評価を行 う.図 1,2 にプリインストールされた歩行と学習後の歩 行のアンケート結果に対して主成分分析を行った結果を -98- 4 結言 リカレンスプロット法を用いた歩容生成法を提案し, 安定した歩容の生成を可能とした.また,AIBO の歩行 に対して主成分分析を用いることで印象評価を行い,歩 容学習後の歩行とプリインストールされた歩行について 印象が変化することを確認した. 参考文献 [1] 鈴木 秀和, 西 仁司, 瀧 晃司, ”人間の感性に基づく動物型ロボット のための 4 脚歩容生成”, 日本知能情報ファジィ学会誌, Vol. 21, No. 5, pp. 653-662 (2009.10) Copyright © 2012 IEICE
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