TruSight™ HLA シーケンスパネル

Data Sheet: HLA Sequencing
TruSight ™ HLA シーケンスパネル
次世代シーケンサーにより、フェーズ情報をもった高解像度 HLA タイピングを 1 回のアッセイで
表 1:TruSight HLA は 11 の HLA 遺伝子座をタイピング
特長
• 包括的なアッセイ
1 回のアッセイで 11 の HLA 遺伝子座を高解像度でシー
ケンス
• 明瞭な結果
長いインサートのペアエンドリードおよびディープシー
ケンスにより、全てのエクソンおよびイントロンのフェー
ジングが可能になり、HLA タイピングの精度および解像
度が向上
• サンプルからレポートまでのトータルソリューション
ライブラリー調製、シーケンス、データ解析、およびレポー
トの出力までが含まれるワークフロー
遺伝子座
シーケンス領域
HLA-A
4.1kb(遺伝子全域)
HLA-B
2.6kb(エクソン 1~7 + イントロン)
HLA-C
4.2kb(遺伝子全域)
HLA-DRB1/3/4/5
4.1kb(エクソン 2~ イントロン 4)
HLA-DQB1
7.1kb(エクソン 1~3’UTR)
HLA-DPB1
9.7kb(エクソン 2~3’UTR)
HLA-DQA1
7.3kb(遺伝子全域)
HLA-DPA1
10.3kb(遺伝子全域)
HLA 遺伝子配列をフルカバー
TruSight HLA パネルは、一般的にタイピングされている HLA
はじめに
ヒト白血球抗原(HLA)は、侵襲性細胞、異物細胞、感染細胞、
または機能不全を起こした細胞を認識して免疫応答を開始する機
能において重要な役割を果たしており、病気との闘いおよび健康
全般の維持を助けます。適正に機能している場合、免疫システム
はこれらの細胞を効果的に取り除きますが、場合によっては不必
要、または不当な応答を起こすことがあります。 HLA 変異は、
自己免疫疾患、がん、移植拒絶反応、および薬剤感受性に関わっ
ています 1–4。
HLA 領域に対する理解を深めることで、様々な疾患および状態
に関する重要な知見が得られます。しかし、HLA 遺伝子をコード
するゲノム領域は配列相同性が高く多型性に富んでいるため、こ
れまで HLA のシーケンスは困難なことで知られていました。現
行の手法で HLA 領域を解読するには、手間のかかるアッセイを
何度も行わなければならず、得られる結果には不明瞭さが残りま
す。 TruSight HLA シーケンスパネルは、実績あるイルミナの次
世代シーケンス(NGS)テクノロジーを用い、11 の HLA 遺伝
子座において、
フェーズ情報が確定された高精度な HLA シーケン
ス結果を 1 回のアッセイで得ることにより、これらの問題を克服
します。
遺伝子座全てに加え、最近疾患との関連が指摘されている遺伝
子座をカバーしています(表 1)。これによって、遺伝子のカバー
領域がクラス I のエクソン 2、3、4 およびクラス II のエクソン 2、
3 を超える領域に広がっており、免疫応答がいつどのように起こ
るのかを知るためのさらなる情報を得られます。加えて、これら
の領域をフルカバーしているため、新しいアリルが見いだされた
時にそれらを同定することができます。 TruSight HLA を使用す
れば、得られたデータを活用するために新たにプライマーを設計
したり新しいアッセイを実施したりする必要はありません。
サンプルからレポートまでのワークフロー
TruSight HLA は、ハイスループット HLA タイピングにおいて、
サンプルからレポートまでがひとつになった包括的なソリュー
ションを提供し、必要な試薬および HLA 解析用に最適化され
たソフトウェアも含んでいます(図 1)。 ロングレンジ PCR と
Nextera® ライブラリー調製を組み合わせることにより、長いイン
サートのペアエンドリードを生成し、1 回のアッセイでエクソンお
よびイントロンの正確なフェージングを可能にします。 特定の
HLA タイプを同定するために追加のアッセイを行う必要はありま
せん。シンプルなワークフローは最大 24 サンプルまでのマルチ
プレックス化が可能で、結果を得るまでの時間を短縮し、生産性
を向上させます。
ロングレンジ PCR
ライブラリー調製
シーケンス
各遺伝子座特異的なプラ
イマーが、シーケンス対象
となる HLA 遺伝子を増幅
HLA 遺伝子用に最適化さ
れたプロトコールを用い、
MiSeq システムでシーケン
スを 行うた め の ライブラ
リーを調製
フローセルにライブラリー
を添加
MiSeq システムをスタート
図 1:サンプルからレポートまでが統合された HLA タイピングのワークフロー
データ解析
サンプルを
デマルチプレックス
遺伝子座のコンセンサス配
列および特異的なアリルに
リードをアライメント
レポート作成
Conexio Assign ソフトウェ
アにより HLA タイプの 特
定 およびレポ ート作 成 を
実施
Data Sheet: HLA Sequencing
研究室の特定のニーズに対応する柔軟性
柔軟性の高いキット構成により、研究室におけるサンプルスルー
プットのニーズに容易に対応できます。本キットは 4 から 24 サン
プルの調製に対応しています。
ゲノム DNA
変性
アニーリング
HLA タイピングのための
先進的な NGS ケミストリー
TruSight HLA は、 ロングレンジ PCR お よ び HLA 特 異 的 な
Nextera ライブラリー調製テクノロジーを活用しており、高精度
で明瞭な HLA タイピング結果を、1 回のアッセイで得ることがで
きます(図 2)。加えて、独自のマルチプレックス化技術により、
1 度に最大 24 サンプルをプールして解析できます。
TruSight のワークフローに従い、まずは遺伝子座特異的なプラ
イマーを用いたロングレンジ PCR による HLA 遺伝子の増幅から
始めます(図 2A)。次に、HLA タイピング用に最適化されたラ
イブラリー調製ステップにおいて、増幅された DNA をアダプター
が結合したライブラリーへと変換します(図 2B)。 Nextera によ
る DNA タグメンテーションは、DNA の断片化とタグ付加を同時
に行うもので、機械的な断片化は必要はありません。バーコード
により 1 度に最大 24 サンプルをプールできます。続いて、ライ
ブラリーを一本鎖 DNA に変性すると、MiSeq システムにそのま
まロードしてシーケンス可能な状態になります。
伸長
増幅
A. 遺伝子座特異的なロングレンジ PCR により、HLA 遺伝子を増幅
トランスポゾン
高品質なペアエンド 250bp × 2 リードで HLA 遺伝子座のシー
ケンスを行うことにより、正確なフェーズ確定が可能になり、高
精度な HLA タイピング結果が、シーケンスデータからダイレクト
に得られます。サンプルから始まりレポート作成まで、3.5 日以
内に終了します。
ゲノム DNA
800–2,000bp
タグメンテーション
800–2,000bp
P5
実績ある MiSeq システム
®
MiSeq システム(図 3)は比類ない信頼性および正確性を持ち、
HLA タイピングに適したシステムとなっています。最も広く使用
されている NGS テクノロジーを使用したデスクトップ型シーケン
サーの MiSeq は、あらゆる研究室で様々なシーケンスアプリケー
リード 2 シーケンスプライマー
Index 2
Index 1
リード 1 シーケンスプライマー
P7
PCR 増幅
シーケンス可能なライブラリー
ションの実施を可能にします。
B. 増幅 DNA をアダプター付きライブラリーに変換
最適化されたデータ解析
装 置に内 蔵されて いる MiSeq Reporter ソフトウェアにより、
TruSight HLA 濃縮ライブラリーから生成されたシーケンスデー
タが解析されます。ライブラリー調製の過程で各遺伝子座を個別
にバーコード化することにより、1 遺伝子座につき 2 つの FASTQ
ファイルが作成され(各ペアエンドに 1 ファイルずつ)、極めて高
い精度でアライメントが行われます。デマルチプレックス化およ
び FASTQ ファイル作成の後、ファイルは直接 Conexio Assign
に読み込まれ、シーケンスリードの HLA 遺伝子座へのアライメン
トが行われます。最初のアライメントの後、シーケンスは、IMGT
(ImMunoGeneTics Information System)/ HLA データベース
で特定されているアリルの中でよく一致するものにリアライメント
されます。 Conexio Assign ソフトウェアは TruSight HLA 用に
最適化されたソフトウェアです。本ソフトウェアにより、シーケン
スデータを統一的に眺望し、迅速な解析およびタイピングを行い、
HLA タイピング結果を柔軟に出力することができます。
図 2:イルミナの NGS ケミストリーを用いた TruSight HLA アッセイ
図 3:MiSeq システム TruSight HLA はイルミナの NGS テクノロジーを MiSeq
システム上で活用し、信頼性の高い HLA タイピングを行います。
Data Sheet: HLA Sequencing
表 2:アリルの数または割合
HLA 遺伝子座
リファレンスタイピング
を有するアリル
一致アリル
一致率
c
c
CWD 同定アリル d
CWD 一致率 d
同定アリル e
同定率 e
No./
Percent
Alleles
A
B
C
DPA1
DPB1
DQA1
DQB1
DRB1
DRB3
DRB4
DRB5a
1481b
234
233
233
119
156
104
155
232
6
9
0
b
1466
233
229
233
119
156
104
155
222
6
9
0
99.0%
99.6%
98.3%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
95.7%
100.0%
100.0%
NA
1459
233
229
233
119
156
104
155
222
6
2
0
98.5%
99.6%
98.3%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
95.7%
100.0%
22.2%
NA
1342
229
215
231
118
139
104
146
152
6
2
0
90.6%
97.9%
92.3%
99.1%
99.2%
89.1%
100.0%
94.2%
65.5%
100.0%
22.2%
NA
a. NA:該当せず
b. TruSight HLA により得られた結果がリファレンスタイピングと一致しない、15 のアリルが存在しました。各サンプルに関して、TruSight HLA で複数回のランを行ったところ、
いずれのランにおいてもミスマッチが持続しました。一致しない 15 のアリルのうち、11 のアリルは新規の配列であることが再現良く示されました。残り 4 つの不一致アリルのう
ち、3 アリルは一塩基ミスマッチに基づきヘテロ接合体とコールされたホモ接合体リファレンスであり、残りの不一致の 1 アリルに関してはマニュアルによる 3 塩基位置の編集が
必要でした。
c.TruSight HLA 結果が、コアエクソン(クラス I のエクソン 2、エクソン 3 およびエクソン 4、およびクラス II のエクソン 2 およびエクソン 3)における変異なしでリファレンスタイ
ピングとマッチする場合にアリルが一致すると見なしました。一致結果は不明瞭となる可能性があります。
d. Common and well-documented(CWD)同定は、TruSight HLA 結果が、不明瞭さを含まずに CWD アリルと一致していることを示します。
e. 同定とは、結果が不明瞭さ(一般的または稀有)を含まずに一致することを示します。
高精度 HLA タイピング
サンプル
TruSight HLA シーケンスパネルを使用して達成することが可能
な高品質のタイピングを示すために、合計 1481 のリファレンス
アリルを有する 117 サンプルの解析 * を行い、パネルを使用し
た同定および一致率の計算を実行しました。得られた結果を、す
でにタイピングされているサンプルおよび国際組織適合性ワー
キンググループ(IHWG)のリファレンスパネル由来のデータと
比較しました(表 2)。
比較試験に使用されたサンプルの起源は以下のとおりです。
* 117 のサンプルのうち、1510 のアリルには一致および同定率の計算のため
に使用可能な公表済みリファレンスタイピングが存在しますが、29 のリファ
レンスアリルを解析から除外し、11 のリファレンスアリルを改変しました。解
析から除外したアリルのうち 26(89%)のアリルは DQ および DP であり、
TruSight HLA タイピングとリファレンスの間の差はエクソン 2 の外側でした。
残りの 3 アリルは、1 アリルが B(血縁サンプルリファレンスの 27:03 に対し、
結果は 27:05)、1 アリルが C(リファレンスの 06:06 に対し、タイピング
結果は 06:02)、1 アリルが DRB 1(リファレンスの 14:01 に対し、タイピン
グ結果は 14:54)に存在しました。リファレンスアリルは、CE シーケンスま
たは文献による確認後に改変されました。その結果、1481 のリファレンスア
• HLA ホモ接合性家系であることが同定されている第 10 回
ワークショップ由来の細胞株からなる、IHWG 血縁リファレン
スパネル由来の 48 サンプル
• 第 13 回ワークショップの時点において高頻度でシーケンス特
異的方法を使用してタイピングされた、51 サンプル(血縁リ
ファレンスパネル由来の 10 サンプルも含む)の組合せである、
リファレンスパネル由来の 41 サン
IHWG シーケンス多型(SP)
プル
• 世界の異なる地域に由来する 15 のサンプル(SP リファレン
スパネル由来の 11 サンプルも含む)からなる IHWG 人類学
リファレンスパネル由来の 4 サンプル
• SBT による高解像度 HLA タイピングが入手可能な Centre
Etude du Polymorphisme Humain(CEPH)細胞株由来
d’
の 24 サンプル
リルが同定および一致率の計算のために解析されました。
結果
TruSight HLA タイピングの結果から、各リファレンスパネルとの
高い一致および高いサンプル同定が示されました(表 2)。
Data Sheet: HLA Sequencing
まとめ
TruSight HLA は臨床研究者の皆様へ、簡潔で迅速な HLA 領域
の評価を目的とした、幅広いカバレッジを持つ超高解像度の HLA
タイピングソリューションをお届けします。 TruSight HLA により、
正確で、フェーズ情報が確定された HLA タイピングを 1 回のアッ
セイで行うことができます。シーケンスパネルのカバレッジが拡
大されており、これによって最も高いレベルの解像度が得られま
す。追加実験に時間とリソースを費やすことなく、確実なタイピン
グ結果を得られます。
表 3:製品情報
製品名
TruSight HLA Sequencing Panel
(24 Samples)
MiSeq System
MiSeq Reagent Kit v2
(500 Cycles)
MiSeq Reagent Nano Kit v2
(500 Cycles)
Nextera XT Index Kit v2 Set A
(96 Indexes、384 Samples)
Nextera XT Index Kit v2 Set B
(96 Indexes、384 Samples)
Nextera XT Index Kit v2 Set C
(96 Indexes、384 Samples)
Nextera XT Index Kit v2 Set D
(96 Indexes、384 Samples)
カタログ番号
備考
FC-142-1001
ソフトウェアを含みます。 192 遺伝子座分(24 サンプル、各 11 遺伝子座)。マルチプレックス用の
ロングレンジ PCR 用の試薬、HLA 特異的な Nextera 試薬、および Conexio Genomics Assign
インデックス、シーケンス試薬、および MiSeq システムは別途ご購入ください。
SY-410-1003
MS-102-2003
MiSeq シーケンス 1 ランあたり、TruSight HLA で調製した最大 24 サンプルに対応します。
MS-103-1003
MiSeq シーケンス 1 ランあたり、TruSight HLA で調製した最大 6 サンプルに対応します。
FC-131-2001
TruSight HLA によって調製した最大 96 ライブラリー(12 サンプル、各 11 遺伝子座)に対応します。
ライブラリー調製 4 回分(384 ライブラリー)の試薬が含まれています。
TruSight HLA で調製した最大 96 ライブラリー(12 サンプル、各 11 遺伝子座)に対応します。
FC-131-2002
ライブラリー調製 4 回分(384 ライブラリー)の試薬が含まれています。 Set A との組み合わせで、
FC-131-2003
TruSight HLA で調製した最大 96 ライブラリー(12 サンプル、各 11 遺伝子座)に対応します。
ライブラリー調製 4 回分(384 ライブラリー)の試薬が含まれています。 Set A、B との組み合わ
せで、最大 288 ライブラリー(36 サンプル、各 11 遺伝子座)をマルチプレックスできます。
FC-131-2004
ライブラリー調製 4 回分(384 ライブラリー)の試薬が含まれています。 Set A、B、C との組み
最大 192 ライブラリー(24 サンプル、各 11 遺伝子座)をマルチプレックスできます。
TruSight HLA で調製した最大 96 ライブラリー(12 サンプル、各 11 遺伝子座)に対応します。
合わせで、最大 384 ライブラリー(48 サンプル、各 11 遺伝子座)をマルチプレックスできます。
詳しい情報
参考文献
TruSight HLA シーケンスパネルおよび MiSeq システムに関す
る詳細な情報は www.illuminakk.co.jp/hlaseq をご覧ください。
1. Center for Comparative Genomics. HLA associated diseases and
phenotypes (ccg.murdoch.edu.au/private/yurek_kulski/mhc/Table4.
html).
2. Ayala García MA, González Yebra B, López Flores AL, Guaní Guerra
E The major histocompatibility complex in transplantation. J
Transplant. 2012;2012:842141.
3. Anasetti C, Amos D, Beatty PG, et al. Effect of HLA compatibility on
engraftment of bone marrow transplants inpatients with leukemia or
lymphoma. N Engl J Med. 1989;320:197–204.
4. The International HIV Controllers Study. The major genetic determinants of HIV-1 control affect HLA Class I peptide presentation.
Science 2010;330: 1551-1557.
イルミナ株式会社
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Pub. No. 070-2014-J002 19MAY2015