平成27年 月 特定社会保険労務士 佐竹 康男 平成27年 月1日から、パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の改正法が施行されます。改正法の主な内容は、 次のとおりです。 パートタイム労働者(1週間の所定労働時間が、正社員より短い人をいいます)を雇用している会社では、 月1日までに対策を講じておかな ければなりません。 1 パートタイム労働者の待遇の原則の新設 パートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合、その待遇の相違は、職務の内容(業務の内容と責任の程度をいいます)、人材活 用の仕組み(人事異動等の有無や範囲をいいます)、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないことが、パートタイ ム労働者の待遇の原則として定められました。 上記待遇の原則は、すべてのパートタイム労働者が対象になります。 働者の雇用管理を行わなければなりません。 月1日以後は、この原則を念頭に、パートタイム労 正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の範囲の拡大 パートタイム労働者であることを理由として、正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者について、改正前は、 ❶ 職務の内容が正社員と同じであること ❷ 人材活用の仕組みが正社員と同じであること ❸ 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者であること と規定されていました。 今回の改正では、上記❶、❷に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者でも正社員との差別的取扱いが禁止されます。 パートタイム労働者が上記❶、❷に該当すれば、労働時間以外のすべての待遇(賃金、教育訓練、福利厚生、休憩、休日な ど)について、正社員との差別的取扱いが禁止されます。 たとえば、正社員には支給されている手当をパートタイム労働者に支給していなかった場合、もしそのパートタイム労働者 が正社員と職務の内容も人材活用の仕組みも同じであれば、正社員と同様の手当を支払わなければならなくなります。 パートタイム労働者雇入れ時の説明義務の新設 パートタイム労働者を雇用したときは、実施する雇用管理の内容を、事業主が説明しなければならないことになりました。 これまでも事業主は、その雇用するパートタイム労働者から自らの待遇について説明を求められたときは、その内容について説明しなければな りませんでしたが、改正後は、パートタイム労働者を雇い入れたときにおいても、同様の説明義務が課せられました。 雇入れ時の説明内容としては、賃金制度はどうなっているか 、どのような教育訓練や福利厚生施設の利用の機会があるか、 どのような正社員転換推進措置があるか、などです。 また、パ−トタイム労働者を雇い入れたときは、パ−トタイム労働者から自らの待遇についての説明の求めがない場合にお いても、説明をしなければなりません。 相談のための体制の整備 事業主は、パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備することが義務付けられました。 相談のための体制の整備とは、具体的には「相談担当者を決め、相談に対応させる」「事業主自身が相談担当者となり、相 談対応を行う」こと等が想定されています。 また、パートタイム労働法で従来から義務付けられている雇入れ時の文書明示事項(昇給、賞与、退職手当の有無)に、「相 談窓口」が追加されます。 勧告に従わない事業主の公表の新設 上記 、 、 等に関する措置の規定に違反している事業主に対して、厚生労働大臣が是正の勧告をしたにもかかわらずこれに従わない場合に は、厚生労働大臣は、その事実等を公表することができるようになりました。 以上のように、事業主に対する義務規定が追加・改正されたため、会社が受ける影響は大きなものとなります。 パートタイム労働者の雇用管理に問題が生じて労働問題に発展しないよう、パートタイム労働法を順守し、改正内容に関して適切に対応しまし ょう。 さ たけ やす お 佐竹 康男(特定社会保険労務士) 著者紹介 昭和61年社会保険労務士開業、㈲オフィス・レイバ代表取締役、 年金研究会PLAZA−21代表、日本年金学会会員。 【事務所】京都市左京区岩倉 ▶著書 「税務・労務ハンドブック (共著)」 他
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