MIJAC 技術開発と人材育成 「MIJAC 研究成果報告会 2014」 過給機の配置見直しによる燃費向上 2015年4月22日 株式会社マリタイムイノベーションジャパン 機関プラントチーム 吉光 寛晃 1 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 目次 1.背景および燃費向上の着眼点 2.開発の目的 3.配置見直し効果の検証(2013年度) 4.実用検討(2014年度) 5.単筒試験機による実証試験(2014年度) 6.まとめ 7.今後の取り組み 2 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 1.背景および燃費向上の着眼点 1. 2. EEDI規制強化により2025年までにCO2の30%削減が義務付けられ、大幅な 燃費削減が求められている。 出力レンジの低い低速機関では、更なる効果的な省エネ化技術及び環境適 合技術の開発が求められている。 CO2削減技術 ①機関の高効率化 • 電子制御 • ディレーティング • UEC-LSH ②部分負荷性能の改善 • 過給機カット • 過給機可変タービンノズル(VTI) • シーケンシャル過給機 • 排気ガスバイパス(EGB) ③排熱回収の追及 • スーパーターボ発電装置(STG):蒸気+ガスタービン • ハイブリッドターボ発電装置 • ターボ発電装置:蒸気タービン • 低沸点媒体廃熱回収システム(ORC) • 掃気バイパスによる空気潤滑システム 3 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 1.背景および燃費向上の着眼点 【機関部省エネ技術】 MIJACのプラットフォームを活用した 研究開発 機関単体 機関単体の改良 による熱効率向上 電子制御による 熱効率/NOxの トレードオフ改善 減速運航対応技術 の掘下げ 過給機系技術の追求 最適な排熱回収 プラントの追求 高効率ガスタービン プラントの追求 トップレベルの省エネ技術 総合プラント 4 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 1.背景および燃費向上の着眼点 ①圧力損失低減 【見直し後の配置】 【現状の配置】 過給機をエンジン本体に極力コンパクトに搭載 過給機 排気流れ 掃気流れ 排気流れ・掃気流れの圧力損失が性能低下を招く 掃気・排気の圧力損失を小さくするように配置を見直せば、掃気空気量アップし、 燃費向上が期待できる 5 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 1.背景および燃費向上の着眼点 ②吸込み温度の低下 【サイレンサカバーを付けた試験事例】 【現状の配置】 過給機のサイレンサ両側で温度差を改良するため、低い吸込温 度の空気のみ吸い込めるようにカバーを取り付けて試験 試験結果: 吸込温度において約7℃低下の効果(平均値) エンジン本体の放射熱の影響 を受けている 吸込温度計測結果 空気吐出温度 吸込温度 約7℃の低下で約0.5%の燃費向上効果がある 出典:三菱重工舶用機械エンジン エンジン本体の放射熱の影響を無くせば、燃費向上が期待できる。 6 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 2.開発の目的 【開発の目的】 1. 圧力損失や吸込温度上昇により性能低下を生じている 過給機配置を見直し、掃排気系配管の圧力損失低減効果、 燃費向上効果を検証する 2. 高効率かつ実用性のある新コンセプトエンジンを開発する 7 3.配置見直し効果の検証(2013年度) © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC (1)圧力損失低減効果の把握 ①配置概略検討 ②掃気系・排気系CFD解析 ③掃排気系圧力損失の評価 (2)機関性能向上の把握 ④掃気流量増加量 ⑤燃費向上効果 ⑥掃気バイパス増加量 8 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 3.配置見直し効果の検証(2013年度) 【①配置概略検討】 最小圧損位置 過給機 実用範囲での 最適位置 6.2mが最小圧損位置だが、機関室配置の 制約が多くなると判断し、適正に近い4mを 最適位置とした 9 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 3.配置見直し効果の検証(2013年度) 【②掃気系・排気系CFD解析】 現状配置 新配置 流速アンバランス 均一な流速分布 エアクーラ入口では比較的均一な流速分布となり、圧力損失低減効果を確認 10 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 3.配置見直し効果の検証(2013年度) 【③掃排気系圧力損失の評価】 4.8 kPa低減 現状 [kPa] 新配置 [kPa] 低減効果 [kPa] 掃気(ブロア出口∼掃気逆止弁) 11 6 5 排気(排気静圧管入口∼タービン入口) 3.8 4 -0.2 14.8 10 4.8 合計 11 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 3.配置見直し効果の検証(2013年度) 【④掃気流量増加量】 【⑤燃費向上効果】 0.3 %向上 1.8 %増加 【⑥掃気バイパス率増加量】 1.4 %増加 12 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 3.配置見直し効果の検証(2013年度) 【吸込み温度低下による効果】 吸込み温度が7 ℃低下とすると、吸込み密度は 2.3 %アップ 空気流量が 2.3 %アップ 【配置見直しによる効果】 • 圧損低減+吸込み温度低下により 0.8 %の燃費向上を期待 あるいは • 掃気バイパス量アップに適用した場合、掃気バイパス率の3.7 %アップを期待 例えばバイパス率が現状 8 %の場合、11.7 %(50 % バイパス量)の増加 燃費向上効果 [%] 掃気バイパス率増加量 [%] 圧損低減 効果 吸込温度低下 効果(※1) 合計 圧損低減 効果 吸込温度低下 効果(※1) 合計 燃費向上仕様 (掃気バイパス無) 0.3 0.5 0.8 − − − 掃気バイパス量 アップ仕様 − − − +1.4 +2.3 +3.7 (※1)吸込み温度はサイレンサカバーの試験結果と同等の7 ℃低下すると仮定 13 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 4.実用検討(2014年度) 1.実用化検討 (a) 配置の詳細検討 (b) 掃気系・排気系CFD解析 (c) 圧力損失の改善 (d) 数値解析によるエンジン性能評価 2.単筒試験機による実証確認 (e) 圧損低減効果 (f) 掃気バイパス率と燃料消費率との相関性 (g) 省エネ効果のまとめ 14 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 4.実用検討(2014年度) (a)配置の詳細検討 造船所と協議し、過給機をエンジン後端部に配置 15 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 4.実用検討(2014年度) (b)掃気系・排気系CFD解析 掃気系 排気系 掃気系・排気系ともに極端な高流速部がなく、一様速度で流入し、 想定通りの圧力損失低減になっている 16 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 4.過給機配置の実用検討(2014年度) (c)圧力損失の改善 静圧管出口位置の変更(後端配置による) ▲4.8 kPa ▲7.4 kPa 静圧管出口形状の変更 ベルマウス形状に変更 排気・掃気圧力損失を7.4kPaまで低減 (d)数値解析によるエンジン性能評価 括弧内は2013年度配置による効果 燃費向上効果 [%] 掃気バイパス率増加量 [%] 圧損低減 効果 吸込温度低下 効果(※1) 合計 0.4 (0.3) 0.5 (0.5) − − 燃費向上仕様 (掃気バイパス無) 掃気バイパス量 アップ仕様 圧損低減 効果 吸込温度低下 効果(※1) 合計 0.9 (0.8) − − − − +2.2 (+1.4) +2.3 (+2.3) +4.5 (+3.7) (※1)吸込み温度はサイレンサカバーの試験結果と同等の7 ℃低下すると仮定 17 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 5.単筒試験機による実証試験(2014年度) 試験装置・試験方法 過給機効率 調整バルブ 【単筒試験機 仕様】 項目 単位 仕様 ボア mm 330 ストローク mm 1400 定格回転数 rpm 158 定格出力 kW 553 MPa 176 平均有効圧力 排気静圧管 煙突 掃気室 単筒試験機 220 kWブロア 220 kWブロア サージタンク 逃がしバルブ クーラー メインバルブ オリフィス ① 逃がしバルブの開度により掃気圧力を調整(圧損低減による掃気圧アップ) ② 圧損低減による過給機効率向上をシミュレートし過給機効率調整バルブ開度の調整 18 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 5.単筒試験機による実証試験(2014年度) (e)圧損低減効果 単筒試験結果は性能計算結果と一致し、燃費向上効果が実証できた 19 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 5.単筒試験機による実証試験(2014年度) (f)掃気バイパス率と燃料消費率との相関性 掃気バイパス率と燃料消費率には比例関係があることを確認 負荷 燃費向上効果 [%] 掃気バイパス率 [%] 100% 0.35 +3.5 75% 0.40 +4.0 20 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 5.単筒試験機による実証試験(2014年度) (g)省エネ効果のまとめ 燃費向上効果 [%] 負荷 燃費向上仕様 (掃気バイパス無) 圧損低減 効果 (推定) (試験 結果) 100% 0.35 0.35 75% 0.40 0.40 吸込温 度低下 効果 (※1) 掃気バイパス率増加量 [%] 合計 (推定) (試験 結果) 0.85 0.85 0.90 0.90 圧損低減 効果 (推定) 0.5 掃気バイパス量 アップ仕様 (試験 結果) − 50% 0.30 0.30 0.80 0.80 25% 0.18 0.18 0.68 0.68 +1.9 100% − 吸込温 度低下 効果 (※1) − (推定) − +3.5 (試験 結果) − +4.2 +5.8 +4.5 +6.3 +2.3 − +2.2 75% 合計 +4.0 (※1)吸込み温度はサイレンサカバーの試験結果と同等の7℃低下すると仮定 燃費向上効果は各負荷において数値解析(推定値)と同等の結果を得た。 掃気バイパス率増加量は100%負荷で+3.5%、75%負荷で+4.0%であり、 推定値よりも高い結果を得た。 21 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 6.まとめ 1. 掃排気系圧力低減、吸込み温度低下効果に着目し、 過給機配置の見直しを行った。 2. 数値解析ならびに単筒試験機による検証を行い、 下表の省エネ効果を得た。 燃費向上効果 バイパス率増加効果 圧力損失低減 圧損低減と吸込み温度低下 による効果合計 燃料消費率 △0.35% 燃料消費率 △0.85% 掃気バイパス量 約35%アップ (バイパス率+3.5%) 掃気バイパス量 約55%アップ (バイパス率+5.8%) @100%負荷 3. 配置の見直しには、造船所と協議し、実用性のあるエンジン後端 部配置とした。 22 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation MIJAC 7.今後の取り組み 1. MIJACのプラットフォームを活用した完成度の向上 2. 掃気バイパス空気潤滑適用船における燃費向上効果の検証 3. 低負荷運転域での燃費向上・掃気バイパス量増加検証 4. 排熱回収装置との組合せによるメリット検証 5. 低圧EGRシステムとの組合せによるNOx低減と燃費率の最適化 23 © Copyright 2013 Maritime Innovation Japan Corporation
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