第3回 - 流通経済大学

1.変調(Modulation)とは
❒信号伝送技術のひとつ。
❒送りたい情報(信号)を、アナログ通信路へ送り出す際に行わ
れる変換処理。
逆の変換を復調(Demodulation)という。
※情報の中身は変えない。
※変調しない伝送は「ベースバンド伝送」と呼ばれる。
機器 変調
通信路の条件に合うような
信号に変換
通ネ第3回(0424・0427) 情報の伝送方法
受信機
アナログ通信路
有線、無線(電波)
流通経済大学
復調 機器
受信者
情報源
送信機
変換したものを元に戻す
Ⓒ増田 2015
1
2.なぜ、変調を行うのか(必要性)?
通ネ第3回(0424・0427) 情報の伝送方法
・
・
・
・
・
・
❒変調の必要性は3つ
機器 変調
●雑音対策
音声、画像、データなどに
機器から出る信号を
対応する、通信路とは異
雑音対策された通信路 なる色々な信号
が扱える信号に合わせ
るため
●多重化
異なる周波数の信号に 機器 変調1
変調すると複数の信号
を同一通信路に同時に
変調n
機器
流せる
●伝送容量の拡大
ディジタル変調(後述)
流通経済大学
アナログ通信路
電話網の回線、ラジオ/TV放
送の電波、携帯回線の電波
など、雑音などに強い決まっ
た信号を運ぶように設計され
ている
アナログ(多重)通信路
変調1、・・、変調nの結果の
信号を異なるものにすると、
同じ通信路で同時に伝送でき
る(多重化)
Ⓒ増田 2015
2
3.アナログ信号の波形を決める3要因
①
①振幅(Amplitude)
振れ幅
②周波数(Frequency)
単位時間当たり繰り返す波の数
単位はヘルツ(Hz)
※ひとつの波にかかる時間を周期
②
という。周期=1/周波数
③位相
③位相(Phase)
横(時間)軸上での波形のずれ
の大きさ
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4.アナログ変調(*)の3方式
(*)アナログ信号を別なアナログ信号へ変換
❒AM(Amplitude Modulation、振幅変調)
❒FM(Frequency Modulation、周波数変調)
雑音の影響受け易い。データ伝送に不向き。
ラジオ放送で使用
T
T´
ラジオ放送、アナログ式携帯電話で使用
❒PM(Phase Modulation、位相変調)
同じ雑音条件では、FMよりも伝送効率が良い
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5.アナログ変調(*)の3方式(続)
(*)アナログ信号を別なアナログ信号へ変換
機器 変調
受信機
アナログ通信路
復調 機器
受信者
情報源
送信機
振幅
変調
原信号
(相手に届けたい信号)
AM(原信号の変化を振幅の変化に対
応づけて運ぶ。) 例.AM放送
周波数
変調
FM(原信号の変化を周波数の変化に対
応づけて運ぶ。)。例.FM放送
搬送波あるいはキャリア
(原信号の情報を運ぶため
の電波。通信路側の都合
で決まっている)
通ネ第3回(0424・0427) 情報の伝送方法
PMは、あまり
使われない
位相
変調
PM(原信号の変化を位相の変化に対応
づけて運ぶ。)
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6.周波数分割多重化(FDM)
(1)周波数変調(FM)の技術を用いる。
(2)送信側は変調において異なる周波数帯の搬送波(f1、・・、fn)を使用。
受信側はフィルタを用いて各周波数帯を取り出し復調して元の信号へ。
(3)アナログ電話網の中継回線、アナログ式携帯電話、放送などで採用
変調
#1
f
回線1
f2
・・
・・
#n
f1
f
+
f1
回線2
f2
回線n
・・
fn
f
1本の物理回線に
nチャネルを多重化
fn
多重化
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復調
f1
f1-1
・・
#2
f
フィルタ
フィルタ
復調
fn
fn-1
分離
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7.ディジタル変調(*)の3方式
(*)ディジタル信号を対応するアナログ信号へ変換
❒ディジタルの1、0情報をアナログの信号に対応づける。
振幅変調
周波数変調
ASK:Amplitude Shift Keying
FSK: Frequency Shift Keying
PSK: Phase Shift Keying
位相変調
「SK」は偏移変調と呼ばれる。
PSK方式は、ディジタル式
携帯電話で採用
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8.PSK(位相偏移変調)の例
1秒当たり何回変調
をかけるかを示す
値のこと
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参考 携帯電話での変調方式
❐送信側では、伝達すべき情報を無線で使用する周波数帯の信号に変換して送信(変調)
受信側では、受信した信号を元の情報に復元(復調)
❐分類
アナログ変調方式 ==>アナログ信号を変調。アナログ携帯電話で使用
ディジタル変調方式 ==>ディジタル信号を変調。ディジタル携帯電話で使用
携帯電話
基地局
2012年3月末に
サービス終了
(ドコモのmova)
わが国のディジタル携帯
(PDC)で使用
❐アナログ変調方式の例 ==>アナログFM方式
❐ディジタル変調方式の例 ==>GMSK、BPSK、QPSK,π/4シフトQPSK
※)QPSK: Quadrature Phase Shift Keying. 4相位相偏移変調
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9.ASKとPSKの組合せ
❐QAM(直交位相変調):ASK(振幅)とPSK(位相)の組み合わせ
例.8-QAM(2振幅、4位相)
1秒当たりの変調回数。
この例では8回。
101(振幅:大、位相:180°)
※デジタル無線通信、電話回線用モデム、ケーブルモデムなどで採用
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10.アナログからディジタルへ変換するPCM
❒Pulse Code Modulation(パルス符号変
調)と呼ばれる
❒以下の3ステップで実現
① 標本化:入力信号の最高周波数の2倍
以上の周期で電圧値を読む(シャノンの
標本化定理)
② 量子化:標本化した電圧値(アナログ値)
を適切なビット数で表現される離散値で
近似(品質と経済性を考慮)
③符号化:量子化した電圧値を2進符号
で表す
縦軸の各サンプル値は実数値(≠整数値)
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
入力信号
時間
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
時間
0111
0101
0110
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1101
1011
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0101
11
参考 シャノンの標本化定理(サンプリング定理)
❒情報理論の分野で、非常に重要な定理。
❒1928年にナイキスト(Nyquist)によって発見され、1949年に
シャノン(Shannon)及び日本の染谷によって独立に証明された。
❒定理の内容
・「原信号に含まれる最高周波数を f とするとき、2f 以上の頻度
で標本化すると原信号の波形を完全に復元することができる。」
※例えば、原信号に含まれる最高周波数が f=22.05kHz だった場合、
その2倍の44.1kHz以上の頻度で標本化(即ち、1秒間に44100回
以上の値を取得)すれば、原信号の波形を完全に復元することが
できる。
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参考 シャノンの定理の正しさのイメージ
❒最高周波数が1kHzという条件で、その倍の2kでサンプリングした(下図の実線)。
サンプリング点を通る他の形の波は存在しない。
【説明】
仮に、サンプリング点を通る任意の曲線(一点鎖線のような波)を描くと、この波
の周波数は1kHzよりも大きくなってしまう。下線部の条件に矛盾。
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参考 CODEC(PCM符号化回路)
Pulse Code Modulation、パルス符号変調
❒PCM符号化とは
音声などのアナログ信号をそれと等価なディジタル符号に変換する方式
アナログ
ディジタル
回線へ
(PCM)
IP電話機
ディジタル
アナログ
回線へ
(PCM)
アナログ電話機
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アダプタ
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11.電話音声(アナログ信号)のディジタルへの変換
❐電話音声の最高周波数は4KHz
==>2倍の8Kでサンプリング
(8000回/秒)
❐サンプリング値を256段階に
量子化
❒256段階を8ビットで符号化
デジタル
(64Kbits/秒)
アナログ信号
(~4KHz)
8bits
8bits
10100111 00011010
サンプリング間隔:125μs(=1s/8000回)
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125μs
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参考 デジタル録音にもPCM符号化が
主な特長
・原音を圧縮せずにありのままの音を記録する「リニア
PCM」録音に対応
・汎用性に優れた「MP3」形式での録音に対応
・低ノイズ・高感度録音を実現する新開発・高性能マイク
ユニット搭載
・使用シーンに最適なマイク感度・録音レベルを選べる録
音モード
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200901/09-0121/
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参考 ハイレゾ音源
■ハイレゾとは
・High Resolution(高解像度)のこと。即ち、高音質の音源。CDの音質を超える高音質のこと。
■CD音質の解像度
サンプリング周波数が「44.1KHz」(即ち、1秒間あたり44100回の頻度で音の記録をとり)、各サンプル
値を「16ビット」(2進数の16桁、即ち、65536段階のひとつの値)で、表現する。
■ハイレゾ音源の解像度
・{サンプリング周波数=44.1KHz~96KHz}×{サンプル値を表現するビット数=16~24ビット}の領域。
・例えば、イーグルスの「ホテルカリフォルニア」という楽曲(全体で6分30秒)の場合、データ量は、CD
の場合が66MB(メガバイト)に対し、ハイレゾの場合は140MBなどとなる。
・ハイレゾの場合は息づかいまで感じる臨場感や音の立体感まで味わえる。
■ハイレゾ音源の利用
・ハイレゾ音源配信サイトからダウンロード・購入し、それに対応するスマホやイヤホン・ヘッドホンを利
用したり、その他、PC経由で各種対応再生機器にコピーしたりして楽しめる。
・配信サイトとして以下のようなところが知られており、それぞれ以下のような数の楽曲が提供されてい
るようです。
・e-onkyo music・・・約8万曲、
・mora(モーラ)・・・約6万4000曲、
・OTOTOY(オトトイ)・・・約2万曲
・VITOR STUDIO HD Music.・・・約1万5000曲
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