国際会議概要 2015・ 2015・6・2 ※正式案内文 ※正式案内文は 9 月中旬に公開予定。 月中旬に公開予定。 国際会議:核・原爆と表象/文学 国際会議:核・原爆と表象/文学 ――原爆文学の彼方へ―― International Conference: Nuclear Energy and Its Literary Representations ――Beyond the Atomic Bomb Literature―― ―― ―― 一般に、原爆文学とは、1945 年 8 月の広島・長崎の体験に端を発する、まずは体験者自身の手による文 学を、のちには非体験者の文学も含みこんだ、日本文学の特殊なジャンルと見なされてきた。しかしそうし た見方は、広島・長崎に限定された経験を描いた、 「当事者」の文学として押し込め、あるいは、戦後日本と .. いう空間において、原爆の悲惨さを伝えるもののみとして利用されることにもなった。こうした囲い込みか ら、原爆文学の解放の可能性を探るにはどうしたらよいのか。 【セッション1 セッション1 移動する原爆-文学 移動する原爆-文学】 る原爆-文学】は、原爆体験や記憶の移動、受容、変容という問題を通して、原 爆と文学の関係をあらためて議論する。ある言語で書かれた文学が、翻訳や流通を通して、別の国や言語へ テクストが移動する際に、どのような文学的・思想的反響や展開があったのか。さらにそれは、原爆体験や 記憶にどのような新たな意味を生みだしているのか。 核廃棄物貯蔵施設のある台湾・蘭嶼に住み、反核・先住民運動と創作活動を続けるシャマン・ラポガン氏 の【特別講演】 【特別講演】は、核や原爆と文学の関係についてさらに深い問いかけをもたらすだろう。 【特別講演】 【セッション 2 原爆を視る】は、映画、写真、絵画などが生み出す表象、メディア性を議論する。字義 原爆を視る】 的に原爆文学を解せば、それは言語表現を意味する。しかし、 「文学」と「非文学」の境界はどこにあるのか。 文学というメディアが生み出すイメージやメッセージは、異なるメディアとどのような交渉や関係をもち、 どのような新たなイメージやメッセージを生み出したのか。 核や原爆が、文学や視覚表現などで具体的にどのように表現され、受け止められたのかという議論はもと より大事だが、こうした具体的次元を超えて、ある空間において、個人や集団が心のなかで思い描き、保持 し、更新する「物語」というレベルにまで、議論を拡げる必要があろう。文学で語られる、映像で語られる、 あるいは日本語で語られる、英語、中国語、韓国語で語られるといったこと、そこで起こる出来事を含めた 文化事象の全体を論じる視座としての、 「想念のうちなる核・原爆物語」 、認識枠組みとしての「メタ原爆文 学」といったレベルである。こうした問題と関わるのが、 「ディスクール」 (言説)である。 【セッション セッション 3 冷戦文化と核】は、国際的な地政学を踏まえ、冷戦期における核をめぐる言説とその布 冷戦文化と核】 置、それを介しての文化や社会のありようを議論する。 「想念のうちなる核・原爆物語」をつくりだすディス クール、それらをふくめた空間のディスクールの問題を前景化することは、原爆文学を支えてきた枠組みを とらえ直すことにもつながるのではないだろうか。 原爆文学とは、1945 年 8 月の惨劇とそれに続く現代という時代に向き合うために、先人たちが発見した 世界認識の方法をめぐる仮構意識といってもよい。 だからこそ、 これまでも不断にそのありようを問い続け、 問われ続けてきたのであって、いずれもっと大きな認識の方法、意識の回路を見つけることができれば、原 爆文学という言葉それ自体は手放される日が来るかもしれない。核や原爆にまつわる表象/文学は、どのよ うな歴史的、社会的条件のもとで生み出され、読まれ、位置づけられたのか。それに関わった多くの人たち は何を思い、生きてきたのか。それらを議論することは、原爆文学という言葉の彼方に位置する無数の存在 を含みこんだ、 「私たち」のありように思いをめぐらすことにもなるだろう。 会場/Place 会場/Place 九州大学西新プラザ大会議室(福岡市早良区西新 2-16-23) http://nishijinplaza.kyushu-u.ac.jp/ 主催/Sponsored 主催/Sponsored by 科学研究費(基盤 B) 「核・原爆と表象/文学に関する総合的研究」 (代表:川口隆行) 原爆文学研究会(第 49 回例会) タイムテーブル/ タイムテーブル/Timetable 2015 年 12 月 12 日(土)/ 日(土)/ Dec. Dec. 12 (Sat.), (Sat.), 2015 進行/Moderator 中谷いずみ(奈良教育大学) 13:30‐13:50 開会の辞(趣旨説明)/Opening Address 川口隆行(広島大学) 13:50‐ 50‐16:30 【セッション 1/Session 1 移動する原爆 移動する原爆- 原爆-文学】 文学】 司会/Chair 中谷いずみ(奈良教育大学) ○島村輝(フェリス女学院大学) 、松永京子(神戸市外国語大学) 、齋藤一(筑波大学) コメンテーター/Commentators 吉田裕(東京理科大学) 、中野和典(福岡大学) 16:30‐16:50 休憩/Break 16:50‐ 50‐18:20 【特別講演/ 特別講演/A Guest Speaker's Lecture】 Lecture】 司会/Chair 李文茹(淡江大学) ○シャマン・ラポガン 夏曼・藍波安(小説家) コメンテーター/Commentator 髙野吾朗(佐賀大学) 19:00‐21:00 懇親会/Post-conference party 2015 年 12 月 13 日(日 日(日)/ Dec. Dec. 13 (Sun.), (Sun.), 2015 進行/Moderator 中谷いずみ(奈良教育大学) 10: 10:00‐ 00‐12:40 【セッション 2/Session 2 原爆を視る】 原爆を視る】 司会/Chair 楠田剛士(宮崎公立大学) ○マイケル・ゴーマン(広島市立大学) 、野坂昭雄(山口大学) 、紅野謙介(日本大学) コメンテーター/Commentators 岡村幸宣(原爆の図丸木美術館) 、鷲谷花(早稲田大学演劇博物館特別 招聘研究員) 12:40‐14:00 ランチ/Lunch 14: 14:00‐16:40 【セッション 3/Session 3 冷戦文化と核】 冷戦文化と核】 司会/Chair 川口隆行(広島大学) ○アン・シェリフ(オバリン大学) 、林泰勲(成均館大学) 、山本昭宏(神戸市外国語大学) コメンテーター/Commentators 市川浩(広島大学) 、高榮蘭(日本大学) 16:40 閉会の辞(会議総括)/Closing Address 長野秀樹(原爆文学研究会世話人代表、長崎純心大学)
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