センターだより39号を掲載しました

年・春号
「語り部の立石おじさん」として有名な立石憲利氏。味のある岡山弁で民話の魅力を語る
が策定され、本県としては、平成 24 年度から3年
平成 25 年4月の障害者総合支援法の施行に伴
い、これまでの「手話通訳等」を行う者の派遣又は
養成という表現から、
「意思疎通支援」という名称に
変更され、概念的に幅広く解釈できるようになりま
した。また、手話通訳者等の養成を行う事業につい
ては、市町村と都道府県の役割分担が明確化され、
手話通訳者や要約筆記者の養成は都道府県の必須事
計画で、要約筆記奉仕員を対象に補習講習(32 時
間)を実施し、専門性の高い要約筆記者を養成して
きました。この度、この移行期間が終了したため、
新年度から要約筆記者養成事業(84 時間)を実施
します。また、今年度まで実施してきた岡山県独自
の登録試験は廃止し、
「全国統一要約筆記者認定試験」
を実施する予定です。
業と規定されました。このような制度改正を受け、
当センターでは、新年度から意思疎通支援を行う者
の養成事業を強化します。
新しい事業を実施するには、多額の経費が必要
です。昨年の夏以来、県と協議を重ねてきました。
事業の必要性については、共通の認識を持つことが
まず、手話通訳者養成事業です。昨年から全日
本ろうあ連盟及び全国手話研修センター発行の「手
話通訳者養成講座」のテキストが全面的に改訂され
でき、本県の厳しい財政状況の中ですが、県の担当
課の尽力により、この度、必要な経費が予算措置な
されました。
ました。このテキストは従来の厚生労働省カリキュ
ラム準拠のテキストに比較して履修時間が 30 時間
障害者総合支援法の見直し規定や障害者差別解
も増加、一方、市町村が実施する奉仕員の養成講座
消法の施行、また、全国的に拡大する手話言語条例
は 10 時間減少しています。手話通訳者の養成は、
の成立など、意思疎通支援を行う方々の活動の場や
県と市町村の役割が明確に区分され、この混乱を回
範囲は飛躍的に拡大すると思われます。意思疎通支
避するため、新年度から新テキストに準拠した講座
援者の養成は、当センターの使命です。ノーマライ
を実施しすることにしました。
ゼーションの理念の浸透を目指す環境整備のために
も、多くの方々に当センターの養成講座を受講して
次は、要約筆記者養成事業です。平成 23 年3
月に厚生労働省の「要約筆記者養成カリキュラム」
いただきたいと願っています。
(所長
芦田
和正)
2 月1日(日)
、きらめきプラザ 301 会議室で、災害救援専門ボランティア研
修会を開催しました。県聴覚障害者災害対策本部との共催で行い、手話通訳者、
要約筆記者、聴覚障害者など 73 名の参加がありました。日野ボランティアネッ
トワークの山下弘彦氏を講師に迎え、
「土砂災害から命を守る~広島市大規模土
砂災害の教訓~」と題して、パワーポイントを使いながらご講演いただきました。
続いて、本研修会としては初めてのグループ演習がありまし
た。平素はあまり一緒に活動をすることがない、手話通訳者・
要約筆記者・聴覚障害者(ろう者・難聴者)が同じグループに
なり、自己紹介から始まりました。次に「自らが助けになるた
めに必要なこと」と「自らが助かるために必要なこと」のふた
つのテーマが提示され、各自思っていることや気を付けている
こと、地域での取り組みなど活発な意見が出されました。最後
に、話しあった内容をグループごとに発表した後、講師から解
説を頂き理解を深めました。
2 月 22 日(日)、きらめきプラザ 401 会議室で、県登録手話通訳者を対象と
した聴覚障害者関係地域ボランティア研修会を開催し、68 名が参加しました。
午前は事例検討、午後は全日本ろうあ連盟監事の中西久美子氏を迎え、「手話通
訳のあり方~暮らしからの事例をもとに~」と題しご講義いただきました。手話
通訳技術を高める研修をおろそかにしないこと、通訳活動での問題はろう運動に
返していくことが必要だということを、聴覚障害者の立場から、ユーモアをまじ
えてのお話でした。
3 月1日(日)
、きらめきプラザ 705 会議室で、要約筆記
者等を対象とした聴覚障害者関係地域ボランティア研修会を
開催し、63 名が参加しました。午前は、昨年秋に全要研が策
定した「要約筆記者の倫理綱領」について学習しました。グ
ループに分かれ、じっくりと本文を読み込み、身近な事例に
結びつけながら議論を深めました。午後は、岡山民俗会名誉
理事長の立石憲利氏を講師にむかえ、
「おかやまの昔話」と題
して、民話の魅力をたっぷりとお聞かせ頂きました。
1月 22 日(木)
・23 日(金)、香川県高松市「情報通信交流館e-とぴあ・かがわ」で、全国聴覚
障害者情報提供施設協議会中国・四国ブロックのビデオ制作担当職員研修会が開催され、センターから
も参加しました。技術研修では、e-とぴあ・かがわの専門講師よ
り企画の立案から、撮影・編集、及び完成までの一連の流れについ
ての講義がありました。その後、実際にビデオカメラを使って実習
を行ったので理解が進みました。また、意見交換会もあり、初心者
にも、学びがいのある充実した内容でした。この研修で学んだこと
を活かし、より良い作品を制作できるよう努めます。
※お申込の方法など詳細は岡山県聴覚障害者センターへお問い合わせください。
平成 27 年度から、厚生労働省カリキュラム
より履修時間が 30 時間増加された新テキスト
に対応した手話通訳者養成講座が始まります。
次のとおり「基本課程(手話通訳Ⅰ)
」を2
か所で開講します。
【①岡山会場】
■期間:平成 27 年 5 月 2 日~9 月 26 日、毎週
土曜 10~12 時(14 回)及び 10~15 時(7
回) 計 21 回
■会場:岡山県聴覚障害者センター
■教材費:2,000 円(別途テキスト代が必要)
■申込み締切:4 月 18 日(土)
■受講試験:4 月 25 日(土)10 時~
【②倉敷会場】
■期間:平成 27 年 6 月 12 日~12 月 25 日、毎
週金曜 18 時 45 分~20 時 45 分 計 28 回
■会場:くらしき健康福祉プラザ
■教材費:2,000 円(別途テキスト代が必要)
■申込み締切:5 月 29 日
■受講試験:6 月 5 日(金)19 時~
平成 27 年度から、要約筆記者養成講座を本格
的に実施します。厚生労働省の「要約筆記者カリ
キュラム」(84 時間)に基づき、6 月から 12 月まで
の 7 か月間、全 19 回開講します。実技は手書き
かパソコンのいずれかを選択していただきます。
■期間:平成 27 年 6 月 7 日~12 月 13 日、毎週
日曜 12 時 30 分~16 時 30 分(15 回)及び 10
時~16 時 30 分(4 回) 計 19 回
■会場:岡山県聴覚障害者センター
■教材費:2,000 円(別途テキスト代が必要)
■申込み締切:5 月 22 日(金)
洋服の青山さんのご協力で「スーツを着こなそう!」が完成しました。この作
品は、入学式や卒業式、及び就職活動や通勤、講演会や定期総会などで着ること
が多いスーツについて、洋服の青山から講師をむかえ、どう着こなしたら良いか
わかりやすく説明して頂きました。
これを見れば、メンズもレディスもスーツの着こなしはバッチリになれる!?
■手話通訳士 昨年 10 月に実施された厚生労働大臣公認手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)の結果
が今年 1 月に発表され、1 名が合格しました。(受験者数 8 名、合格率 12.5%)
■手話通訳者 昨年 12 月 6 日(土)に実施した手話通訳者認定登録試験(全国手話通訳者統一試験)の結果
が 3 月に発表され、4 名が合格しました。(受験者数 36 名、合格率 11.1%)
■要約筆記者 昨年 12 月 15 日(日)に実施した岡山県要約筆記者登録試験の結果が 3 月に発表され、29
名が合格しました。(受験者数 35 名、合格率 82.8%)
■
手話通訳
者養成講座応用課程が 3 月に終了し、16 名に
修了証書を授与しました。
■
岡山市後楽館高校から依頼を受け、
1 月 29 日(木)にセンター職員が学校を訪問
し、1 年生(170 名)の科目「産業社会と人
間」の学習で聴覚障害についての講義を行いま
した。
■
昨年 4 月から配置されてい
た要約筆記者育成人材確保事業の安井利江さん
と、手話通訳者育成人材確保事業の紺谷一十三さ
んが、事業の終了に伴い、
3 月末で退職されます。
お疲れ様でした。
また、3月から同事業の拡充で次の職員 2 名が
新たに配置されました。任期は来年2月までです。
・手話通訳者育成人材確保事業
・要約筆記者育成人材確保事業
山本優子さん
山口千枝さん
おすすめ
こんにちは。ビデオ担当の追中(おいな
か)です。今回はパソコンのお話。
今回ご紹介するのは、センター自主企画の1作
品と、他の機関が制作または所蔵する映像作品に
センターが字幕をつけた5作品です。
当センターの映像編集用パソコンは3
台あります。昨年末、メインで使っている
1台が故障してしまいました。8月から撮
影・制作した編集データが全て使えなくな
『スーツを着こなそう』
り、初めから制作しなければならなくなり
制作:岡山県聴覚障害者センター(26 分)
詳細は前ページで紹介しています
ました。
別のパソコンで作業を始めましたが、幸
『幸せの黄色い道』
いそれまでの資料を保管していたので、作
制作:顔晴れ OKAYAMA(16 分)
点字ブロックを考案し、幾多の苦
業は大変ではありませんでした。もし、資
難を乗り越え、世界に普及させた、
知れません。
料がなかったらもっと苦労していたかも
岡山県出身の三宅精一さんの生涯
壊れたパソコンは保証期間内だったた
に焦点をあてた作品です。
『曹源寺の蓮守 ~武野
め、無償で修理できました。保証期間を過
篤~』
ぎていたら、有償で修理しなければならな
所蔵:岡山県立図書館(10 分)
曹源寺(そうげんじ)は素晴らしい蓮(はす)の花を
いところでした。
咲かせるお寺。その蓮の世話をする武野篤さんは、
して中身を調べたことがあります。部品の
寺の隣に居住し、常に蓮を想い、蓮と関わりながら
取り替えだけの簡単な故障なら何とかな
見事な花を咲かせています。
りますが、専門的な故障だとお手上げで
私個人のパソコンが故障したとき、分解
す。こんな時はプロにお願いするのが良い
『珍しい蝶! ミカドアゲハ -曹源寺-』
のですが、修理代がいくらかかるのか想像
所蔵:岡山県立図書館(11 分)
2013 年に曹源寺で発見された珍しい蝶「ミカドア
ゲハ」の生態を子どもたちと観察した記録です。
もつきません。場合によっては新品のパソ
コンが買える金額なってしまうこともあ
ります。
『津田永忠』
パ ソ コ ン は 高 額 な 機 器で
制作:岡山県郷土文化財団(30 分)
す。衝撃や静電気を与えない
『特別名勝 後楽園』
制作:岡山県郷土文化財団(13 分)
など、皆さんも大事に扱いま
しょうね。
休館日:毎週火曜日、祝日、火曜日が祝日の場合その翌日も休館
※4 月 29 日(水)、5 月 3 日(日)~7 日(木)は休館となります。
●開館時間
月・水~金曜日 9 時~19 時
第 39 号 2015 年 3 月 発行(年 4 回)
土・日曜日 9 時~17 時
発行 岡山県聴覚障害者センター
〒700-0807 岡山市北区南方 2-13-1 岡山県総合福祉・ボランティア・NPO 会館(きらめきプラザ)4 階
TEL:086-224-0221 FAX:086-224-0236 URL:http://www.kirameki-plz.com/~okatyo
◆◆編集後記◆◆
表紙の写真の立石氏は、民
話研究者でもあります。民話
はそれぞれの地域で語り継
がれるので、調べるためには
その土地へ行き、民話の語り
部を探し、直接話を聞いて書
き留めるという、時間のかか
る地道な作業の繰り返しだ
そうです。語り部の中には千
話以上も語れる方がいらっ
しゃるのに、高齢化等で継承
されぬままだと民話は消え
てしまいます。語り継がれて
きた地域の財産として、後世
に残す大切さを
強く感じました。