中国人観光客のマナーについて 上海駐在員事務所 藤光 雅之 昨年から、日本を訪れる中国人観光客が急激に増えており、日本政府観光局(JNTO)の 発表によると、2014 年度の中国人の訪日客数が 240 万人と前年比 83.3%の驚異的な伸びと なりました。国・地域別に見ても台湾(282 万人)、韓国(275 万人)に次いで第3位と なっています。 中国からの観光客が増えた要因は、①中国人の所得が向上したこと、②円安が進行した こと、③ビザ要件が緩和されたこと、等が挙げられます。 そのため、最近の報道などで、皆さんも一度は見かけたことがあるかも知れませんが、 炊飯器・温水便座等の電化製品やおむつ・医薬品等の日用品に至るまで「爆買い」が 目立つようになりました。 それとともに問題になっているのが、中国人のマナーです。例えば、「街中や電車の中等 で大声でしゃべる」、「公共の場で唾を吐く」、 「トイレでトイレットペーパーを流さずゴミ 箱に捨てる」 、「落書きをする」等々です。これらは主に生活習慣の違いから生じるもので あり、国・文化が違うため仕方のない面もありますが、日本だけではなく世界各地でも 同様に問題となっており、中国政府としてもこの事を問題視するようになりました。 そこで中国では、本年 4 月 6 日付で「遊客不文明行為記録暫行弁法」が施行されました。 【遊客不文明行為記録暫行弁法とは】 「航空機や電車、バスなどの公共交通機関で秩序を乱す。衛生環境を損ねる」 、「訪問先 の社会の風習や習慣に反する行為をする」、「訪問先の文化財を破壊する」、「訪問先の社 会に大きな悪影響を与える」などがあった場合、中国当局はその当事者を記録(いわゆ るブラックリストに掲載)し、罰則を与える法律。 今般、この法律に基づき4人がマナー 違反観光客として記録され、インターネッ ト上で公開されました。この内最も重い 10 年間の記録掲載の罰を受けたのは、と ある地方都市において、観光地の立像に上 って写真を撮った男性でした。 中国社会では信賞必罰が前提となって います。ルール違反をしたら罰せられるこ とが明白となれば、今後マナーも改善して いくことでしょう。中国が真の大国になる ためには、国民一人ひとりが意識を変えて エジプトの観光地での落書き(出所:新華網) いくことが今後のカギとなると思います。 (2015 年 6 月)
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