災害復興支援資材としての組手什(くでじゅう)活用 組手什おかげまわし協議会 長坂 洋 2011年3月の東日本大震災被災地での支援を通じて、災害時の一時避難所および仮設住宅の生 活環境の確保、並びに支援センターの補助に、組手什が有効であることが知られた。今後の緊 急支援資材としての組手什の活用を、1.災害支援センターにおける活用 2,一時避難所、 3.仮設住宅、4.組手什生産のネットワークづくり、として以下、報告いたします。 緊急時、非常時に活用できる組手什の特徴 提供する機能 1. 2. 3. 4. 5. 6. 保管時の収納容積が小さい。 大きさ、形状の要求に合わせて、その場で対応が可能。 単一部材で組み上がる。部材の過不足、作業の迷いが無い。 状況変化に対応して分解、再組み立てが可能。避難所 >仮設住居 >本住居まで 簡易な手道具で制作が可能。~のこぎり、紐が必要。 子供(4~5才以上)からお年寄りまで、広い年代で共同作業ができる その他の付記事項 1. 2. 3. 4. 5. 地元産材を使用。森林資源を活用します。日本全国あり余る森林資 源があり、その製品の副次的な部材で生産が可能です。 通常の建具店、木工所に設備があれば加工が容易。単純な加工 天然資材のため、アレルギー、化学物質過敏などの波及が少ない。 現在4カ所(愛知、鳥取、宮城2箇所)の組手什は、どこのものとも 混在して組み上げ可能。加工標準による仕様共用化を実施。 組手什の説明については割愛。 組手什(くでじゅう)とは ~ これまでの実績 ~ 組手什による災害支援 実績、事例 組手什は、2011年東日本大震災において、国土緑化推進機構の緑の支援募金事業を受け、成果実績を上げ ました。愛知、鳥取からの支援に加え、即座に宮城県の2カ所が生産を開始し、避難所支援が始まりました、 しかし、広域大規模な震災被害に対し、その時点から始まった生産供給はわずか一部の地域の支援しか行え ませんでした。これは残念に思っています。もう一足早く全国的な組手什生産が出来ていれば、早期の避難 所生活をもう少し改善できたことでしょう。 一方、提供し得たわずかな地区ではその利便性を評価いただけた。下記にいくつかの実例を紹介します。 1.災害支援センターにおける活用 宮城県登米市内の旧小学校体育館に置かれたボランティアセンター本部に、組手什を供給しました。本部 では支援物資の整理と、ボランティアの受け入れ環境を整えるにあたり、収納整理棚として活用されました。 靴、衣服、食料、衛生資材、などの支援物資は、用途、性別、サイズ、頻度などに応じて仕分けされて、組 手什の棚へ収納されました。これらは、必要と思った当事者たちが、即時組み立てました。 仮設診療所:薬品棚を提供。 南三陸町の仮設診療所では、急遽集められた薬品類が、箱詰めのまま積み上げられた状態でした。薬品が 要求されても、探したり取り出したりに手間をとられていました。そこへ支援ボランティアの紹介で組手什 が提供されました。この組手什の組み立て設置作業は、ボランティアの指導の下、避難所の子供たちが設計、 製作しました。薬品棚が出来て、素早い対応が可能になりました。 2.一時避難所内における組手什の活用 一時避難所の多くでは、各戸単位に区画された仕切りのない限られた空間で避難生活が始 まっていた。着の身着のままに避難された方々は、歯ブラシやタオルを床に置き、体育館等の 避難所では就寝時には床に寝具を直接延べることになります。視線は素通しで周囲に気兼ねし ながらの暮らしです。 ① ② ③ ④ プライバシー保護と隣人関係維持のための、間仕切り 被災者持参品および配給物品の整理収納棚 支援物資の一時保管棚、仕分け棚 協働組立作業による交流 3.仮設住宅内における組手什の活用 東日本大震災被災地の仮設住宅では、国際赤十字から家電製品が各戸に寄贈された。電子レ ンジ、冷蔵庫、炊飯器、洗濯機と液晶テレビです。しかし、仮設住宅の狭小な床面積では十分 な衣類の収納スペースが確保されておらず、本来床おきではない電子レンジ、炊飯器、液晶テ レビは、台所や居室の床に並べられていました。 宮城県内の避難所で活用された組手什は、転居時に使用者自らが分解し、仮設住宅での新た な暮らしの什器として再活用されました。 ① 玄関周りの整理:靴箱(長靴)、傘立て、ゴミ出し ② 台所周りの整備:調理家電の配置 ③ 居間、生活周りの整頓:テレビ台、書庫、机など ④ 共有部分での書棚、共同作業による交流 4,緊急支援物資としての組手什、これからの展開 発災後直ちに国土緑化推進機構の使途限定「緑の募金」事業が設置され、愛知、鳥取からの 組手什による初動支援が開始された。この活動に併行して宮城県内2カ所への技術移転を実施し た。現地での組手什の生産が開始され、地元材を使って支援の輪が広がりました。地元の方達 が中心になることで、より細かい支援が出来たのでは無いかと想っています。 しかし、広域大規模な被害に対し、残念ながらわずか一部の地域への支援にとどまったこと を踏まえて、全国的な組手什支援のネットワークが出来きることで、今後のより迅速な被災地 支援体制が可能と想います 提供された製品事例
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