水道用耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管 K 140

JWWA K 140:0000(水道用耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管)
規格改正案(公開縦覧版)
日本水道協会規格
JWWA
水道用耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管 K 140:0000
Chlorinated polyvinyl chloride lining steel pipes for water supply
適用範囲
1
この規格は,給水装置の構造及び材質の基準に関する省令に基づき,使用圧力 1.0 MPa 以下及び使
用温度 85 ℃以下の水に使用する耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管(以下,ライニング管という。)
について規定する。
引用規格
2
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これ
らの引用規格は,その最新版(追補を含む)について規定する。
JIS B 0203
管用テーパねじ
JIS B 7502
マイクロメータ
JIS B 7507
ノギス
JIS G 0404
鋼材の一般受渡し条件
JIS G 3452
配管用炭素鋼鋼管
JIS K 6776
耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管
JIS S 3200-7
水道用器具-浸出性能試験方法
JIS Z 8401
数値の丸め方
JIS Z 8703
試験場所の標準状態
用語及び定義
3
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
使用圧力
通常の使用状態における水の圧力であって,“最高使用圧力”(静水圧)
。
3.2
原管
内面ライニング及び/又は外面塗覆装を施す以前の鋼管。
3.3
内面ライニング
原管内面に内面用ビニル管を接着した状態。
3.4
常温
JIS Z 8703 に規定する標準状態の温度を 20 ℃とし,その許容差を JIS Z 8703 の 3.1(標準状態の
温度の許容差)の温度 15 級(±15 ℃)とした温度状態で,20 ℃±15 ℃。
1
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種類及び記号
4
ライニング管の種類及び記号は,表
表 1 による。
表 1-種類及び記号
種類及び記号
種類
記号
原管
外面
SGP-HVA
JIS G 3452 の黒管
一次防せい塗装
水道用耐熱性硬質塩化ビニル
ライニング鋼管 A
内面性能
5
5.1
物性
ライニング管の内面性能は,10.3~10.5 によって試験を行い,表
表 2 に適合しなければならない。
表 2-内面性能
内面性能(物性
内面性能 物性)
物性
単位 MPa
性能項目
5.2
性能
適用試験箇条
接着力
1.0 以上
10.3
曲げ性(呼び径 50 A 以下)
割れ及び ひびがない。
10.4
へん平性(呼び径 65 A 以上)
割れ及び ひびがない。
10.5
浸出性
ライニング管の浸出性は,附属書
附属書 A による。
6
外観及び形状
ライニング管の外観及び形状は,次による。
a)
ライニング管の外観は,使用上有害なきず,割れなどの欠点があってはならない。
b)
ライニング管の形状は,実用的に真っすぐで,その両端面は管軸に対して直角でなければならな
い。また,内外面は滑らかでなければならない。
c)
ライニング管の内面用ビニル管の色は茶色とし,また,外面色は濃い灰色(暗灰緑色など)とする。
d)
ライニング管の管端における内面ライニング部の軸線方向の縮みは,内面用ビニル管の厚さの半
分までとする。
e)
7
ライニング管の両端は,プレンエンドとする。
寸法及びその許容差
ライニング管の寸法及びその許容差は,表
表 3 による。
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表 3-ライニング管の寸法及び許容差
ライニング管の寸法及び許容差
単位 mm
ライニング管
呼び径
鋼管部
外径
15 A
21.7
20 A
27.2
25 A
34.0
外径の許容差
内面用ビニル管部
厚さ
a)
長さ
b)
厚さの許容差
2.5
±0.2
鋼管部
ライニング管
厚さ
の近似内径
(参考)
(参考)
2.8
11.1
2.8
16.6
3.2
22.6
3.5
29.7
3.5
35.6
3.8
46.9
4.2
60.9
4.2
72.7
4.5
97.3
±0.5
32 A
42.7
40 A
48.6
50 A
60.5
65 A
76.3
80 A
89.1
100 A
3.0
4 000
±0.3
±0.7
3.5
±0.8
4.0
114.3
注 a) 厚さは,ビニル管製造時の数値とする。
注 b) 長さは,特に指定のない限り 4 000 mm とする。
材料
8
ライニング管の材料は,次による。
原管は,JIS G 3452 の黒管を用いる。ただし,縮径法に使用する原管は,その規格の外径寸法よ
a)
り大きなものを用いる。
ライニング管の内面用ビニル管は,JIS K 6776 の箇条 9(材料)によって製造された耐熱性硬質
b)
ポリ塩化ビニル管で,附属書
附属書 A 及び附属書
附属書 B を満足しなければならない。
原管の内面に使用する接着剤は,耐熱性があるゴム系又は合成樹脂系のものを用いる。
c)
製造方法
9
9.1
内面ライニング
ライニング管の内面ライニングは,次による。
原管内面及び内面用ビニル管の外面に付着した有害なごみ,油分,ミルスケールなどは,機械的
a)
又は化学的方法によって除去する。
b)
a)の処理が終わった原管に内面用ビニル管を差し込み,内面用ビニル管の加熱膨張又は原管の縮
径によって接着剤を介し,ライニングを行う。
9.2
外面処理
ライニング管の外面処理は,一次防せい塗装を行う。
10
試験方法
10.1 外観及び形状
3
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ライニング管の外観及び形状は,目視によって調べる。
10.2 寸法
ライニング管の寸法は,JIS B 7502 のマイクロメータ,JIS B 7507 のノギス若しくは円周メジャー
又はこれらと同等以上の精度をもつものを用いて測定する。
なお,測定は,ライニング前後のどちらで行ってもよいが,内面用ビニル管部の厚さに限っては,
ビニル管の製造時又はライニング前に測定するものとし,縮径法による場合,鋼管部の外径はライニ
ング後に測定するものとする。
10.3 接着力試験
ライニング管の接着力試験は,ライニング管製造後,8 時間以上経過した供試管の任意の箇所から
軸線方向に長さ 2 cm のものを 3 個切り取り,試験片とする。その試験片を常温において受け台上に
水平に置き,図
図 1 の方法で徐々に荷重を加えて,接着面が剝離したときの荷重を測定し,3 個の試験
片それぞれについて,次式によって接着力を算出する。
F =
W
S
S =3.14×d×l
ここに,F:接着力
(MPa)
W:接着面の剝離荷重(N)
S:接着面積
(mm2)
d:原管の平均内径
(mm)
l:試験片の長さ
図 1-接着力試験
接着力試験
20 mm
10.4 曲げ試験
ライニング管の曲げ試験は,供試管の任意の箇所から適当な長さのものを 1 個切り取り,試験片と
する。その試験片を常温において,半径が D×8(D は原管の外径)のジグに沿って 10°以上曲げる。
10.5 へん平試験
ライニング管のへん平試験は,供試管の任意の箇所から長さ 50 mm 以上のものを 1 個切り取り,
試験片とする。その試験片を常温において,図
図 2 のように 2 枚の平板に挟んで,平板間の距離が原管
の外径の 2/3 以下の高さになるまで徐々に圧縮する。
図 2-へん平試験
10.6 浸出試験
ライニング管の浸出試験は,附属書
附属書 A による。
10.7 試験結果の数値の表し方
4
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10.2 及び 10.3 の試験結果は,規定の数値より 1 桁下の位まで求め,JIS Z 8401 の規則
規則 B によっ
て丸める。
検査
11
ライニング管の検査は,次による。
ライニング管の検査は,表
表 4 の検査項目及び試料数について行い,箇条 5 ~箇条 7,箇条 12 に
a)
適合しなければならない。
表 4-検査項目及び
検査項目及び試料数
検査項目及び試料数
検査項目
試料数
外観及び形状
全数行う。
寸法検査 a)
呼び径 15 A~50 A は,呼び径ごとに 2 000 本
接着力検査
又はその端数を 1 組として 1 本抜き取る。
曲げ検査
呼び径 65 A~100 A は,呼び径ごとに 1 000
へん平検査
本又はその端数を 1 組として 1 本抜き取る。
表示検査
全数行う。
注 a) 寸法検査のうち,内面用ビニル管の厚さは,ビニル管製造時に行う。
b)
接着力,曲げ又はへん平検査が箇条 5 に適合しなかった場合は,JIS G 0404 の 9.8.2.2 a)(試験
単位が製品 1 個のとき)によって,不適合品を除いたその組から再検査を行うことができる。
なお,この検査で全てが適合した場合,その組を合格とする。
12
表示
次の事項は,容易に消えない方法で,ライニング管の外面に表示しなければならない。
a)
) | ( の記号
b)
製造業者名又はその略号
c)
種類の記号
d)
呼び径
e)
製造年月
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附属書 A
(規定)
浸出性及び浸出試験方法
A.1
浸出性
ライニング管の浸出性は,給水装置の構造及び材質の基準に関する省令によることとし,表
表 A.1 の
基準に適合しなければならない。
表 A.1-ライニング管の浸出性
ライニング管の浸出性
項目
基準
鉛及びその化合物
給水装置の構造及び材質の基準に関する省令の
亜鉛及びその化合物
別表第一“給水装置の末端以外に設置されてい
有機物[全有機炭素(TOC)の量] る給水用具の浸出液,又は給水管の浸出液に係る
基準”による。
味
臭気
色度
濁度
残留塩素の減量
90 ℃±2 ℃の浸出液
1 以下
常温の浸出液
0.7 以下
mg/L
特に指定がない場合は 90 ℃±2 ℃の浸出液によって浸出試験を行う。ただし,残留
塩素の減量は,常温の浸出液でも試験行う。
A.2
共通的な条件
共通的な条件は,JIS S 3200-7 の 5.(共通的な条件)による。
A.3
浸出液の調整方法
浸出液の調整方法は,JIS S 3200-7 の 6.(浸出液の調整方法)による。ただし,残留塩素の減量の
試験に用いる浸出液の遊離残留塩素濃度は,1.0 mg/L~1.2 mg/L とする。
A.4
試料液の調製
試料液の調製は,JIS S 3200-7 の 7.1.2(給水管)及び 7.3(試料液の保存)による。ただし,コン
ディショニングを行う場合は 7.1.2 b) 2)(加熱した水を通水することを目的とした給水管)に,また,
浸出は 7.1.2 c) 2)(加熱した水を通水することを目的とした給水管)による。
A.5
供試管
供試管は,製造する最小呼び径のライニング管,又は内面用ビニル管を用いる。
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A.6
分析方法
検水の分析方法は,JIS S 3200-7 の 8.(分析方法)による。
A.7
評価(判定
評価 判定)
判定
評価(判定)は,A.1 に適合していなければならない。
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附属書 B
(規定)
内面用ビニル管(耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管)
B.1 性能
内面用ビニル管の性能は,表
表 B.1 に適合しなければならない。
表 B.1-内面用ビニル管の性能
内面用ビニル管の性能
性能項目
引張降伏強さ
性能
MPa
23 ℃における引張降伏強さが 45 以上
熱間内圧クリープ性
破損があってはならない。
耐圧性
破損があってはならない。
へん平性
割れ及びひびあってはならない。
ビカット軟化温度
℃
95 以上
B.2 試験方法
内面用ビニル管の試験は,JIS K 6776 の箇条 10(試験方法)によって行う。ただし,耐圧試験の試
験水圧は 1.0 MPa 以上とする。
B.3 検査
内面用ビニル管の検査は,ビニル管製造時に B.2 によって行い,B.1 に適合しなければならない。
なお,料採取方法は受渡当事者間の協定による。
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附属書 C
(参考)
取扱上の注意事項
C.1
保管及び輸送上の注意事項
保管及び輸送する上での注意事項は,次による。
ライニング管の保管は,なるべく平たんな場所を選び,必要な場合には枕木を敷いて,管の自
a)
重による曲がりなどが発生しないように保管する。
なお,保管は屋内とする。やむを得ず屋外に保管する場合は,直射日光又は雨を防ぐため,
シートなどによって覆いをする。
b)
落下などによって,曲り,変形が生じるような衝撃を与えてはならない。
c)
火気又は熱源に近付けてはならない。
d)
運搬には,ナイロンスリング,クッション材などを使用し,外面にきずが付かないようにする。
C.2
配管上の注意事項
配管上の注意事項は,次による。
a)
配管に当たっては,内外面の状態をよく確かめる。万一,取扱い時に発生した有害な欠点が認
められた場合は,その部分を切断除去する。
b)
管の切断に当たっては,自動金のこ盤,旋盤などを用いて,切断部に高温が発生しないように
する。
なお,ガス切断,アーク切断,高速と(砥)石及びパイプカッターは使用してはならない。
c)
管の接合は,ねじ接合とし,ガス溶接及びアーク溶接を行ってはならない。
d)
管をねじ加工するときは,ねじゲージなどを用い,JIS B 0203(管用テーパねじ)の寸法に仕
上げる。また,切削油は水道用ねじ切り油剤を使用し,管内及びねじ部に付着したねじ切り油
剤は,水洗いする。
e)
管端の内面ライニング部は,面取りを行う。
f)
防食シール剤は,水道用耐熱性液状シール剤を使用する。
g)
ねじ継手には,水道用耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管用管端防食形継手を使用すること
が望ましい。
h)
管のねじ込みに当たっては,表
表 C.1 に示す標準トルクを参考に行うことが望ましい。
i)
ねじ戻しは,漏水,管端腐食の原因となるため,行ってはならない。
j)
外面のきず及び余りねじ部は,補修剤,仕上げ塗料などで処理する。
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規格改正案(公開縦覧版)
表 C.1-標準トルク
標準トルク
単位 N・m
C.3
呼び径
標準トルク
15 A
40
20 A
60
25 A
100
32 A
120
40 A
150
50 A
200
65 A
250
80 A
300
100 A
400
その他の注意事項
寒冷地における解氷作業には,直火を用いてはならない。
なお,解氷には蒸気又は熱湯を使用する方法,電気的な方法がある。
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