札幌市 [日本語:PDF:969.33KB]

SUCCESS STORY
札幌市
課 題
オープンなアーキテクチャに基づく札幌市の新
基幹系情報システムは、5 カ年計画で開発が進
められている。先行して本番稼働を果たした住
記および税務システムでは、従来型のネットワー
ク技術が採用されたが、アプリケーション開発
に際して要件の追加や変更がたびたび発生し、
ネットワークの設定変更に多くの作業工数を要
していた。そこで、後発となる保険・福祉システ
ムでは、ネットワークの再構成や設定変更を柔
軟に行えるシンプルなネットワークの実現が強
く望まれた。
導入製品
• Brocade VDX 6740 スイッチ
ソリューション
保険・福祉システムのサーバ群を接続するスイッ
チとして Brocade VDX シリーズスイッチを配置
し、トポロジフリーのシンプルなレイヤ 2 ネッ
トワークを構成
メリット
• シンプルで設定も容易な Brocade VCS ロジ
カル・シャーシにより、ネットワークの設計変
更や運用管理にかかる工数を大きく削減した。
• 広帯域のイーサネット・ファブリックでサーバ
間を接続することにより、システム全体の処
理能力を最大限に引き出せるネットワーク基
盤を実現した。マイナンバーへの対応に伴う
将来の機能追加やシステム間の接続時に、ブ
ロケード製品ならではのシンプルさや優れた
拡張性が大きく期待される。
イーサネット・ファブリックで基幹系情報システム基盤を構築
シンプルな設計と優れたスケーラビリティでマイナンバーなどへの対応にも期待
北海道・石狩平野の南西部に位置する札幌市は、約 194 万人の人口を擁する政令指定都市である。
同市は、20 年以上にわたって大型汎用機による基幹システムを運用してきたが、大型汎用機の老朽
化に伴い、オープンなアーキテクチャに基づく新基幹系情報システムへと移行を進めている。先に本
番稼働を開始している住記(住民記録)および税務システムの構築時には、従来型のネットワーク技
術に起因する設計・設定の複雑さが課題とされたことから、新たに取り組んだ保険・福祉システムでは、
ブロケードのイーサネット・ファブリックが採用された。今後、マイナンバーへの対応も想定される中
で、シンプルなネットワーク構成と柔軟な拡張性を両立できるブロケード製品が大きな強みを発揮し
そうだ。
札幌市は、道内総人口の 3 割ほどにあたる約
194万人を擁する政令指定都市である。
同市は、
情報化が進んだ電子自治体への取り組みにも
積極的で、1989 年には大型汎用機を用いた
基幹業務のオンライン化に着手している。その
後、20 年以上にわたって住記(住民記録)・印
鑑オンラインシステム、税務オンラインシステ
ム、国民健康保険・国民年金オンラインシステム、
保健福祉総合情報システムなどを安定的に運用
してきた。その一方で、業務システムごとにまっ
たく独立して開発を行ってきた関係からシステ
ム構成の複雑化が進み、システム全体のブラッ
クボックス化と維持コストの増加を招いていた。
オープンなアーキテクチャに基づく新基幹系
情報システムへ
札幌市は、このような状況を解消するため、大
型汎用機の老朽化を大きな契機として、2010
年度に新基幹系情報システムの再構築事業を立
ち上げている。ここでは、硬直化した基幹系シ
ステムを抜本的に改革する目的から、透明性の
高い『グラスボックス』なシステムを目指した。
これにより、発注者である札幌市自身が質の高
い住民サービス提供のために本当に必要なシス
テムを柔軟に開発・運用できるようにするのが
狙いだ。
総務局 情報化推進部 情報システム課(システム
開発担当課)の岩間雅巳氏は、
「新基幹系情報
システムは、札幌市汎用電子計算機システム検
討委員会からの提言を踏まえ、ベンダーロック
インの回避を大きな目標に定めました。これに
より、地場のさまざまな企業が幅広く参入でき
るようになり、これらの企業が大規模のシステ
ム開発を経験することで、地場の技術力育成に
もつなげられます」と説明する。
同市は、新基幹系情報システムを支える共通基
盤フレームワークとして、産総研包括フレーム
ワーク(札幌市版)を採用している。独立行政
法人産業技術総合研究所が公開している包括フ
レームワークを札幌市向けに最適化したこの枠
組は、オープンな共通基盤上にさまざまな業務
システムを構築していくことで、信頼性と効率に
優れたシステム開発を実現するものだ。
札幌市
総務局 情報化推進部
システム開発担当課
システム開発担当係長
小野寺 良順 氏
札幌市
総務局 情報化推進部
情報システム課
(システム開発担当課)
岩間 雅巳 氏
総務局 情報化推進部 システム開発担当課 シ
ステム開発担当係長の小野寺良順氏は、
「新基
幹系情報システムは、これからの 20 年を支え
る札幌市の重要な情報基盤となります。当然、
20 年の間には技 術が大きく移り変わります。
オープンなアーキテクチャを採用していれば、新
しい技術を取り込みやすくなりますので、時代
の変化にもきちんと対応していけます」と語る。
保険・福祉システムのネットワーク要件は
シンプルさと柔軟さ
新基幹系情報システムはきわめて大規模な案件
であり、また制度改正にも足並みを えなが
ら構築していかなければならない。このような
理由から、5 カ年計画でプロジェクトが進めら
れている。2011 年には住記システムの基盤構
築と税務システムのアプリケーション開発がス
タート、2012 年には住記システムが本番稼働
を果たしている。また、税務システムに関して
も、2013 年に基盤構築を開始し、作業の進
を見ながら機能ごとに本番稼働へと移行して
いる。
このように、業務システムごとに並行開発の形が
とられている関係から、アプリケーションの追加
や仕様変更に伴いネットワークの再構成もたび
本庁
たび発生している。小野寺氏は、
「システム基盤
は、アプリケーションの開発に先行して構築しな
ければなりません。このため、その後のアプリ
ケーション開発中に生まれる要件によって、ネッ
トワークの再構成や設定変更がどうしても発生
します。また、特に住記システムと税務システム
は、かなり複雑なネットワーク構成をとっていま
すので、これらのシステム間を相互に接続する際
には、ネットワークの再設計にかなりの作業工数
を必要としました」と述べている。
2014 年に入ると、保険・福祉システムの構築
プロジェクトがスタート。札幌市は、住記およ
び税務システムでネットワーク構成の複雑さが
課題となっていたことを踏まえ、保険・福祉シス
テムの基盤には、シンプルで設計も運用も容易
な技 術の採用を重視した。岩間氏は、
「保険・
福祉システムを構築するにあたり、長期的な視
点でどのようなシステム構成が望ましいかを関
係者同士で議論しました。ネットワークは従来、
これまでに導入実績のある技術やアーキテク
チャを採用してきた経緯がありましたが、新し
い基幹系情報システムでは、頻繁に発生するネッ
トワークの再構成作業にも柔軟に対応できるシ
ンプルなネットワークをどうにか構築できない
か、と考えました」と説明する。
区役所・拠点
データセンター
WAN
本番環境
既設基幹システムサーバ群
(住記、税など)
運用監視
システム
ネットワーク
L3スイッチ
VDX6740
クライアント
L2スイッチ
VDX6740T
今後は、保険・福祉システムを中心にアプリケー
ションの開発をさらに進めていき、2016 年 1
月に新基幹系情報システムへの完全移行を果
たす予定である。また、マイナンバーへの対応
もすでに視野に入れている。2015 年 10 月に
は、社会保障、税、災害対策などの各分野で社
会保障・税番号制度が施行され、国民 1 人 1 人
に 12 桁の個人番号(マイナンバー)が発行され
る。マイナンバーに対応したシステム基盤の整
備では、新基幹系情報システムに対しても新た
な要件が加わることから、シンプルなネットワー
ク構成を維持しながら柔軟に拡張していける
Brocade VDX が大きな強みを発揮するだろう。
運用監視
L3スイッチ
VDX6740T
保険・福祉
システムサーバ群
ブロケードのイーサネット・ファブリックによって
迅速なネットワーク設定を実現
札幌市では、保険・福祉システムの構築に関する
競争入札が行われ、2014 年 9 月に構築作業を
受託するシステムインテグレータが決定している。
入札時のネットワーク要件としては、
従来型のネッ
トワークに比べてシンプルなネットワークを実現
できるイーサネット・ファブリック技術が掲げられ、
このような同市のニーズを満たすネットワーク製
品としてシステムインテグレータが最終的に選
定したのが Brocade VDX シリーズ スイッチだっ
た。技術面での優位性に加え、新しい技術であ
りながらも大規模なクラウド事業者のデータセ
ンター基盤など多くの実績があることと、SDN
などの将来の技術にも追従していけるアーキテ
クチャであることなどが Brocade VDX シリーズ
が選定された理由となっている。保険・福祉シス
テムは、同年 10 月から構築が始まり、12 月に
ステージング環境、2015 年 1月に本番環境が
サービスインを果たしている。ステージング環境
には Brocade VDX6740 が 4 台、本番環境に
は同モデルが 8 台導入され、それぞれの環境で
Brocade Virtual Cluster Switching(VCS)ファ
ブリックの構成がとられている。また、スイッチ
間は 40 ギガビットイーサネットによって相互に
接続される。
ステージング環境
ネットワーク
L3スイッチ
VDX6740
サーバ群
(既設基幹系/保険・福祉)
運用監視L3兼
クライアントL2スイッチ
VDX6740T
運用監視
システム
図1. 札幌市 新基幹系情報システム 構成図
ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社
〒 100-0013 東京都千代田区霞ヶ関 1-4-2 大同生命霞ヶ関ビル
TEL.03-6203-9100 FAX.03-6203-9101 Email:[email protected]
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岩間氏は、
「保険・福祉システムのネットワークは、
Brocade VCS ロジカル・シャーシにより、統一し
たユーザインタフェースで迅速に設定を進められま
した。マイナンバーの導入を視野に入れますと、こ
れからも機能の追加や各種システム間の連携が求
められます。その際にはネットワークの設定変更
も必要になりますが、Brocade VDX ならスムーズ
に作業を進められると期待しています。Brocade
VDX のメリットは、むしろこれからもっと体感でき
るようになるのではないでしょうか」と語る。