参考資料第 1 号 - 原子力規制委員会

参考資料第1号
日本原子力発電株式会社
東海第二発電所
敷地・敷地周辺の地質・地質構造及び基準地震動に関する検討の整理(案)
平成 22年11 月22日
原子力安全委員会事務局
1.陸域の調査結果について
たなくら
①棚倉破砕帯西縁断層(の一部)について
■コメント要旨
(第 21 回WG1)
どうめ き
こむろ
あしま
○百目木より南側(小室から芦間に至るまで)のリニアメントについて、データを
用いて調査結果を説明すること。
(第 32 回WG1)
○リニアメントとして判読している根拠、成因の考察を先ず資料に示し、その上で、
棚倉破砕帯西縁断層(の一部)に限らず、日本原子力発電(株)が今回説明した他
の断層、リニアメントについても、活動性に係る認定の論理をわかりやすく再構
築し、説明資料に反映すること。
○中染付近の断層の活動性に係る認定根拠として、百目木の断層と変位センス、性
状が同じであり、百目木で高位段丘堆積物に変位・変形を与えていないことを挙
げているが、高角で横ずれが卓越する断層の場合には根拠が弱い。釜の平~田ヶ
町で認められる断層が、中染付近にないこと、段丘の食い違いが見られないこと
を示すこと。
■WG1の検討状況
(第21回WG1
11月24日)
日本原子力発電(株)より、調査結果に基づき、以下の内容が説明された。
○棚倉破砕帯西縁断層(の一部)
(※名称は、
「新編 日本の活断層」による)につ
いては、取上北~百目木の長さ約 13km について、耐震設計上考慮するものとし
て、取り扱う。
とりあげきた
○取上北を北のトメとする根拠として、確認された断層面は、平面的でなく、破砕
た
が まち
部が固結していること、また、釜の平~田ヶ町で確認された断層が左ズレ卓越の
1
変位センスであるのに対して、取上北では、右ズレ卓越の変位センスであること
を挙げている。
○百目木を南のトメとする根拠として、高位段丘堆積物に変位・変形を与えていな
い複数の断層が認められるが、破砕部は固結していること、釜の平等と同性状の
断層でないことを挙げている。
○釜の平~田ヶ町で確認された断層は、高角度傾斜、平面的であるが、後期更新世
以降の活動を直接判断できる根拠がないことから、釜の平の北に位置する取上北、
田ヶ町の南に位置する百目木までの長さ 13km を、耐震設計上考慮するものとし
て、取り扱う。
(第32回WG1
5月28日)
どうめ き
こむろ
あしま
コメントを踏まえ、日本原子力発電(株)より、百目木より南側(小室から芦間に
至るまで)のリニアメントについて、資料に基づき以下の内容が説明された。
○百目木より南方の中染付近のリニアメント近傍の露頭で確認された断層は、①い
ずれも断層面が平面的でなく、破砕部が固結している、②断層性状、変位センス
は百目木地点のトレンチで確認された断層と同様であり、高位段丘堆積物に変
位・変形を与えていないことから、後期更新世以降の活動はないと判断される。
こ む ろ せいほう
わ だて
○西染付近(小室西方、和舘)のリニアメントは、①小室西方で確認された断層は
いずれも断層面の破砕部が固結し、和舘付近では断層面が癒着している。②リニ
アメントの西側は割れ目の少ない砂岩が分布し、リニアメント直下、東側では断
層が卓越していることから、西染付近のリニアメントは割れ目の分布密度等に起
因する侵食の抵抗差を反映したものと考えられる。
○なお、百目木では、高位段丘堆積物に変位・変形を与えていないことから、活動
性が否定されるが、田ヶ町~百目木の断層について、活動性を否定する材料が見
つからないため、釜の平~田ヶ町で確認された断層を、百目木まで延長するもの
して扱う。
また、質疑応答の中で以下の回答があった。
○敷地から 30km の範囲で検討用地震動の検討に関わる陸域の活断層は、棚倉破砕
帯西縁断層(の一部)のみである。
(第33回WG1)
○第 32 回WG1において、上記の断層、リニアメントの活動性に係る認定の論理
を再構築することを求めたコメントの趣旨は、露頭の観察結果に基づき、活動性
を評価するばかりでなく、断層、リニアメントの成因をも考察した上で、活動性
を評価することを要望したものである。
2
(第35回WG1
11月4日)
コメントを踏まえ、日本原子力発電(株)より、棚倉破砕帯西縁断層(の一部)
のほか、他の断層、リニアメントについて、活動性の認定に係る論理を再構築し、
釜の平~田ヶ町で認められる断層が、中染付近にないこと、段丘の食い違いがない
ことを含めて、以下の内容が説明された。
○百目木より南に位置する中染付近において、左横ずれを示唆する地形は認められず、
判読されたリニアメント付近には釜の平等で確認された断層と同性状の断層は認
められない。また、中染付近のリニアメント近傍で確認された断層(西側は砂岩か
らなる西染層、東側は礫岩からなる東金砂山層)は、平面的でなく、破砕部は固結
しており、百目木で確認された同性状の断層は高位段丘堆積物に変位・変形を与え
ていない。このことから、中染付近のリニアメント近傍で確認された断層は少なく
とも後期更新世以降の活動はないと判断され、判読されたリニアメントは岩質の違
いに起因する浸食の抵抗差を反映したものであると考えられる。
3
②棚倉破砕帯東縁付近の推定活断層について
■WG1の検討状況
(第21回WG1
11月24日)
日本原子力発電(株)より、調査結果に基づき、以下の内容が説明された。
○棚倉破砕帯東縁付近については、
「新編
日本の活断層(1991)」によれば確実度
Ⅲのリニアメント、「活断層詳細デジタルマップ」によれば推定活断層が示され
ている。
なかいしい
おりや
どうせい
みょうじん
○北方の中石井地点、川上西地点から、折屋地点、道清地点、 明 神 峠に見られる
断層は、いずれも固結した破砕部であって、平面的でなく、後期更新世以降の活
動はない。
○明神峠から南方の折橋の間のリニアメント付近に分布する中新統には断層は認
められない。
○以上の点から、棚倉破砕帯東縁付近の推定活断層については、耐震設計上考慮す
る断層としては、対象外とする。
この日本原子力発電(株)の調査結果の解釈について、問題はないと考える。
4
③関口-黒磯リニアメントについて
■コメント要旨
(第 21 回WG1)
○「新編
よねだいら
日本の活断層(1991)」に示される関口-米 平 リニアメント(No.10)
のみならず、中間報告の中で取り上げているリニアメントについて、ひととおり、
データを用いて調査結果を説明すること。
■WG1の検討状況
(第21回WG1
11月24日)
日本原子力発電(株)より、調査結果に基づき、以下の内容が説明された。
関口-黒磯リニアメントは、以下の点から、地層境界に概ね一致しており、これ
らの浸食の抵抗性の差を反映したものと考える。
おおきたがわ
○大北川のリニアメント直下におけるボーリング調査の結果、一部に断層破砕部が
認められるが、性状は古く、連続性に乏しい。
た
た
ら
ば かわ
○多々良場川地点では、断層は認められず、桑作地点では、面が癒着した小断層は
認められるが、後期更新世の断層はない。
わ
の
○和野地点で、リニアメントを横断して分布するM1段丘面(東傾斜)に、変動地
形は認められない。
この日本原子力発電(株)の調査結果の解釈について、問題はないと考える。
5
なめかた
④鹿島台地・行方大地の活傾動について
■コメント要旨
(第 21 回WG1)
○M1段丘堆積物基底面について、データを用いて、基底面が引かれることを説明
すること。
○東側に高度差が付いている成因について、説明すること(WG1 第 21-1 号 p96
の右上のM1段丘面上の高度差)。
(第 32 回WG1)
○東側に高度差が付いている成因については、研究事例がある(岡崎氏)ので、文
献調査をし、検討すること。
■WG1の検討状況
(第21回WG1 11月24日)
日本原子力発電(株)より、調査結果に基づき、以下の内容が説明された。
鹿島台地・行方台地の活傾動について、文献で指摘される地形面の高度差は、以
下の点から、テクトニックな要因によるものではないと考える。
○変動地形調査では、リニアメントは判読されない。
○白斑状生痕及びM1段丘堆積物基底は、ほぼ水平に連続して分布する。
○M1段丘堆積物基底のコンターマップから、文献が示す活傾動に調和する形状は
認められない。
(第32回WG1
5月28日)
コメントを踏まえ、日本原子力発電(株)より、鹿島台地・行方台地の活傾動に関
して、以下の内容が説明された。
○M1段丘堆積物基底面が引かれる根拠として、M1段丘堆積物の基底には、明瞭
な削剥(侵食)面(貝殻片などを含む)が基底面として連続して存在する。
○東側に高度差が付いている成因として、鹿島台地の高まり(ローム層)の下に、
硬くしまった砂が分布しており、この砂の溜まり具合によって高度差がついてい
る。
また、質疑応答の中で以下の意見と回答があった。
【意見】
○沿岸に砂州が出来て、三角形の断面を持つ高まりができる場合には、内側は内湾
性のものが溜まり、外側はビーチが形成されるが、内側の堆積環境がこの鹿島台
地の高まりとは異なる。
○ 米国のバリアー島など沿岸に出来るものに近いと思う。研究事例がある。
6
○ P39 において、海浜砂丘の堆積物の上面を2と8、下面を9と8で結ぶことがで
きると考えてよいか。海浜砂丘の堆積物の成因によっては、外洋面側と内湾側
とで、堆積環境が異なる場合もあるため、白斑状生痕の分布のみをもって、結
ぶのは必ずしも適切でない。
【回答】
○p39 と p40 では、鹿島台地の高まりの堆積物の表記(海浜・砂丘の堆積物、淘汰
のよい硬砂からなる)が違うが、層相として淘汰のよい硬砂であり、評価として
は海浜砂丘の堆積物として考えているという趣旨である。
○活傾動の下に活断層がないことの根拠としては、M1段丘堆積物の基底に、明瞭
な削剥面があり、水平に分布していること、その上位に白斑状生痕が水平に分布
していることである。
(第35回WG1
11月4日)
コメントを踏まえ、日本原子力発電(株)より、鹿島台地・行方台地の活傾動に
関して、東側の高度差に関する文献調査結果について、以下の内容が説明された。
○鹿島台地・行方台地周辺の堆積環境に関する文献としては、岡崎・増田(1989)、
岡崎・増田(1992)、増田(1992)、横山(2005)等があり、両台地にバリアー島
が形成されていたとしている。
この説明に対して、以下の意見と回答があった。
【意見】
○岡崎・増田(1992)等で示されているバリアー島の内湾型と外洋型の堆積物を比
較した場合に、層の順序は変わっていないが堆積環境として層厚が違う点や、白
斑状のヒメスナホリムシの生痕が見られる層の高さが違う点が認められる。この
点について、事業者の調査・評価結果と整合しているか。(西村委員)
○バリアー島の位置は、鹿島台地・行方台地の東側に高度差が付いている位置と一
致しているか。(西村委員)
○バリアー島は M1 面、白斑状生痕が堆積してから形成されたのか。また、なぜバ
リアー島が形成されたのか。(海野委員)
【回答】
○東側に高度差が付いている成因の特定は難しく、今回の文献調査結果ではバリア
ー島が形成されていたとされている。文献で検討されている内湾型と外洋型の堆
積環境等について、事業者の調査結果との整合性までを示すことはできないが、
両台地の高まりがテクトニックな要因で作られたということではなく、堆積環境
で形成されたとしているという点では整合していると考えている。
○横山(2005)が鹿島台地の高まりの位置に、貝塚ほか編(200)、増田(1992)が
行方台地の高まりの位置に該当する。
○バリアー島は M1 面、白斑状生痕が堆積してから形成された。バリアー島は海外
にも事例が見られ、海底が比較的浅く、両側に島がある地形の場合に、砂州が発
達して形成されると考えている。
7
⑤関東平野北西縁断層帯の南東延長部について
■WG1の検討状況
(第21回WG1
11月24日)
日本原子力発電(株)より、調査結果に基づき、以下の内容が説明された。
○関東平野北西縁断層帯については、地震調査委員会(2000)の評価と同様、長さ
82km として耐震設計上考慮する。
○関東平野北西縁断層帯南東延長部(伊奈町付近以南)では、撓曲は認められない。
○関東平野北西縁断層帯南東延長部(伊奈町付近以南)のボーリング調査の結果、
き おろし
後期更新世の木 下 層上部は、地表の標高と関わらず、ほぼ平坦で、地震調査委
員会(2000)の評価と調和的である。
この日本原子力発電(株)の調査結果の解釈について、問題はないと考える。
8
よねだいら
⑥関口-米 平 リニアメントについて
■コメント要旨
(第 32 回WG1)
○熱水変質のようなミクロの説明から入るのではなく、リニアメントの成因を先ず
説明し、侵食部が線状に見え、活断層として考慮する必要がないというように、
認定に係る根拠を吟味して、論理をわかりやすく再構築すること。その際、活断
層を否定する根拠として、土木学会の考え方を参考にすること。
○左屈曲については、約 500m の区間よりも、花貫川の北東の小さな川が曲がって
いる点の方が新しい動きを示唆しているかもしれないが、25,000 分の 1 縮尺地図
によれば、尾根は曲がっておらず、屈曲に系統性が見られない。そういう点を認
定の論理に組み込み、わかりやすく再構築すること。
■WG1の検討状況
(第32回WG1 5月28日)
日本原子力発電(株)より、調査結果に基づき、以下の内容が説明された。
○リニアメントを横断する花貫川及び関根前川に左屈曲が認められるが、関根前川
に約 500m の左屈曲が認められる地点の北東約 200m よりも北東側にはリニアメン
トは認められない。
○リニアメント近傍では熱水変質を受けた破砕部が認められるが、熱水変質部は固
結し、せん断面は認められるが連続性は悪く、これらを切る新期の断層は認めら
れない。
○これらから、関口-米平リニアメントは、熱水変質を受けた破砕部と周辺の花崗
岩類の侵食に対する抵抗差を反映したものと考えられる。
また、質疑応答の中で以下の意見と回答があった。
【意見】
かなり
○金成北東の露頭(SY-3)に、白水層群を挟み熱水変質が認められるとしているが、
熱水変質の時期が白水層群よりも後であるとする評価は可能だが、断層が相当変
位しないと白水層群を挟めないのではないか。
【回答】
○屈曲が認められる花貫川及び関根前川の周辺(特に北側)に正断層はない。
○井戸を使った熱流量観測は行っていないが、熱水変質は後期更新世より古い年代
に破砕部が熱水により変質したものと考える。
○金成北東の露頭(SY-3)に認められる白水層群を挟んだ箇所について、断層変位
は評価していない。
9
(第35回WG1
11月4日)
コメントを踏まえ、日本原子力発電(株)より、関口-米平リニアメントについ
て、以下の内容が説明された。
○判読されたリニアメントを横切る尾根には、屈曲が見られない箇所や見かけ上右
屈曲が見られる箇所があり、全体としては屈曲に系統性が認められない。リニア
メント近傍では熱水変質を受けた破砕部が認められるが、熱水変質部は固結して
いる。本熱水変質部にせん断面が認められるが、その連続性は悪い。また、これ
らを切る新規の断層は認められない。原位置試験の結果、熱水変質を受けた破砕
部は、周囲の花崗岩に比べ強度が小さい。このことから、関口-米平リニアメン
トは、熱水変質を受けた破砕部とその周辺の花崗岩類との侵食に対する抵抗差を
反映したものと考える。
この説明に対して、以下の意見と回答があった。
【意見】
○熱水変質について、阿武隈岩体とは別枠の火成活動があったと考えているのか。
熱水変質作用は、必ずしも火山活動に限らず、比較的高い温度の地下水が断層に
沿って地表にスクィーズされて生じたとも考えられるのではないか。
【回答】
○熱水変質の具体的な年代は特定できないが、年代的に古い時代にあったと考えて
おり、現在は当該地域に火山活動の指摘はない。ただし、古いというのは熱水変
質作用があるということだけでなく、せん断面が認められるが連続性が悪く、新
規の断層が認められないということで、破砕部として古いということを考えてい
る。
10
⑦関谷断層について
■コメント要旨
(第 32 回WG1)
○p56 と 57、58 の位置の対応関係(例.大峠、三本槍岳、茶臼岳)がわかるように
図面を改訂すること。
■WG1の検討状況
(第32回WG1 5月28日)
日本原子力発電(株)より、調査結果に基づき、以下の内容が説明された。
○敷地から 80km 以上離れているため、基準地震動の評価には影響しない。
○地震調査委員会(2004)と同様に、長さ 40km の活断層として評価している。
(第35回WG1
11月4日)
コメントを踏まえ、日本原子力発電(株)より、関谷断層の変動地形調査結果に
係る説明資料の改訂版が提出された。
また、質疑応答の中で以下の回答があった。
○関谷断層の南の止めについては、寺山付近以南でリニアメントは認められないが、
地震調査委員会(2004)の評価を尊重して、喜佐見までとし、長さ 40km の活断
層として評価している。
11
⑧その他のリニアメントについて
■WG1の検討状況
(第32回WG1 5月28日)
日本原子力発電(株)より、調査結果に基づき、以下の内容が説明された。
○前記①~⑦以外に、敷地から 30km 前後の範囲内に、LDランクのリニアメントを
11 条判読している。
○それらは、いずれも後期更新世以降の活動はないと判読される断層、ないし岩質
の相違による侵食に対する抵抗差を反映したものである。
この日本原子力発電(株)の調査結果の解釈について、問題はないと考える。
12
2.海域の調査結果について
①敷地周辺・海域の地質・地質構造(海域)について
■コメント要旨
(第 34 回WG1)
○グループ B とグループ H についての活動性の評価結果を比較した場合、同じ B1
層が欠如している領域であるが、後期更新世以降の活動性を判断する論拠が一貫
しているか。再整理すること。
○資料(WG1 第 34-3 号 P10 の凡例)の中で「伏在」の用語の使い方については誤解
を与えるところがある。凡例に記載されている括弧書きの注釈の説明文の方が正
しいので、書き方を見直すこと。
○敷地前面海域の正断層について、成因を説明すること。グループ E の F8 断層が
唯一逆断層に見える点についても、応力場との関係を含め、成因を説明すること。
○グループ I の F22 断層、F26 断層について、海底地形面に断層と調和した地形が
あるようにも見える。C1 層に変位・変形を与えていないと解釈しているが、根拠
を説明すること。
○グループ H の F3 断層、F4 断層について、耐震設計上考慮するとして、長さを約
16km としている根拠(トメの位置、測線との関係等)を資料に示して説明するこ
と。
○F1C 断層の解釈断面(WG1 第 34-4 号 P15)について、C1 層上面の境界線の引き方
(特に JNB2-1W 測線の shot No.400 付近の駆け上がり部分)の根拠を説明するこ
と。
(会合外のコメント)
○海底下の地層の年代の決定について、「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する
安全審査の手引き(案)」(1.3 項(3)~(5)の規定)に照らしても、十分な
信頼性があることを説明すること。
(第 35 回WG1)
○沿岸部に分布する正断層については、成因、応力場との関係等を示すことは困難
であり、活動性の評価に重点を置いているとの点については理解したが、陸域を
含めた構造発達史を整理しておいた方が良い。(徳山委員、西村委員)
○常陸沖-1 ボーリング(資料 P12)及び鹿島沖 SK-1 ボーリング(資料 P9)につい
て、コアリングしているか。サンプリングした試料は、各地層がミックスした状
態になっていたということはないか。サンプルの信頼性を確認の上、説明のこと。
(徳山委員)
○資料 P13 の左右の図のつながりがわかりやすく見えるように、資料を整理するこ
と。(徳山委員)
○F4 断層の南の止めの位置について、基準地震動の策定に係る検討において、不確
かさとして、延長して考える必要があるか否かを整理すること。(大谷委員)
13
【会合外のコメント】
○F4 断層の南の測線 13GS の音波探査記録について、B2 層上部に変位・変形を与え
ていないことから、南の止めとしているが、深部の C1 層には断層が認められる
ことから、13GS の位置も活動し得る範囲と考えるべきではないか。また、その場
合、南の止めは測線 31W との交点とするべきではないか。(大谷委員)
○原子力安全・保安院によるF1C断層の解釈断面(WG1第34-4号P15)のJNB2-1W測線
のshot No.400付近の赤と青に挟まれた地層と、事業者によるF1断層付近のC1層
上面(WG1第35-3号P2、5)の地層とが矛盾なく読み取れるか。(隈元委員)
○資料(WG1第35-3号)P7~13から、
(WG1第34-4号P15)のJNB2-1W測線のshot No.400
付近よりも西側の海底面直下の地層がC層であることが読み取れるか。(隈元委
員)
○資料(WG1第35-3号)P19において、F1断層の北部については、後期更新世以降の
活動性を評価できないという点では、F3断層、F4断層との相違はない。資料(WG1
第35-3号)P19において、F1断層の総合評価に関して、北部と南部の地層分布の
相違、活動性の南北でのコントラストの相違、陸上延長部に変位地形が見られな
いことは、隠れ活断層のような短い活断層がF1断層の付近にだけ顔を出している
可能性をも否定することはできない。F1断層の総合評価(後期更新世以降の活動
はないと判断)について、隠れた活断層の概念との関係において、妥当性を説明
すること。
(隈元委員)
■WG1の検討状況
(第34回WG1
10月22日)
コメントを踏まえ、日本原子力発電(株)より、敷地前面海域の海上音波探査記録
等を基に、活動性の評価結果について、以下の内容が説明された。
○敷地前面海域の地層区分については、海上音波探査記録を基に、A 層~E 層に区
分しているが、この地層区分については、文献(奥田(1986)
「鹿島灘」、棚橋ほ
か(2001)「塩屋崎沖」)と対比させ、位置が整合していることを確認している。
また、日本原子力発電(株)による D2 層以浅の地層の年代については、鹿島沖 SK-1
ボーリング結果(米谷ほか(1981)による有孔虫化石の分帯、高柳(1984)によ
る酸素同位体比による年代)と対比させて、年代を特定している。
○敷地前面海域の沖合のコンターによれば、音響基盤(E 層)上面に盆地状の構造
があり、その西縁付近に調和的な N-S 方向の褶曲、断層構造が認められるが、中
新世以降は盆地を形成する運動は穏やかであったと考えられる。沿岸には、音響
基盤(E 層)上面に張り出しが二箇所あり、北側の張り出しは NW-SE 方向の断層
と調和的であるが、鮮新世以降は二箇所とも張り出しが不明瞭である。
○敷地前面海域には複数の断層が分布していることから、断層の性状(走向、地層
の落下方向、累積変位量)が類似するものをグループ(A~J)に分類して、活動
性を評価した。敷地前面海域の沖合(B1 層【上部更新統】分布域)の断層は B2
層【中部更新統】上部以上の地層に変位・変形は認められない(グループ E、F、
G、I、J)。沿岸域(B1 層欠如)には、一部区間(グループ C を除く)で海底面付
14
近まで変位・変形が及んでいる断層がある(グループ A、B、D、H)。
○グループ A の断層については、C2 層【下部鮮新統】以上の地層に変位・変形は認
めらないこと、グループ B の断層については、B2 層上部以上の地層に変位・変形
は認められないこと、また、グループ A、B の断層はともに、陸域延長部に活断
層を指摘する文献はないこと、空中写真判読から変動地形は認められず、海岸付
近の中位段丘面の旧汀線高度は南方へ緩やかに傾斜していることから、後期更新
世以降の活動はないと判断している。
○グループ D の断層については、D3 層【古第三系】よりも深部に断層構造が認めら
れず、海底面付近まで認められる変位・変形は、地震を起こすような断層ではな
いと判断している。
○グループ H の断層のうち、F3 断層、F4 断層を除く断層については、B3 層【下部
更新統】以上の地層に変位・変形は認められないが、F3 断層中北部、F4 断層南
部については、海底面付近(B2 層最上部)まで変位・変形が認められる(陸域に
F3 断層、F4 断層と類似する断層構造はない)
。
○以上のことから、グループ H の F3 断層、F4 断層については後期更新世以降の活
動の痕跡はないが、明確に否定する根拠が十分でないことから、一連の断層構造
(長さ約 16km)として耐震設計上考慮するものとして取り扱う。
クロスチェックとして原子力安全・保安院が実施した海上音波探査の結果につい
て、原子力安全・保安院から以下の内容が説明された。
○全体として、事業者による調査結果と概ね整合的であったが、以下の箇所につい
ては、後期更新世以降の断層活動が不明であるか、又は否定できない。
・F1 断層について、JNB2W、JNB2B、JNB3A、JNB4-1W、JNB4-1B 測線付近(A 層、
B1 層~B2 層もしくは B1 層~B3 層が欠如し、海底面付近の地層の変形の判読が
困難)。
・F4 断層について、JNB15W、JNB15B 測線付近(A 層、B1 層が欠如し、B2 層に変
形が認められる。)。
この原子力安全・保安院によるクロスチェックの結果を基に、日本原子力発電
(株)は原子力安全・保安院から、F1 断層について、①海上音波探査のデータ処理の
結果の差異が、記録に与える影響を確認すること、②全測線の音波探査記録、解釈
記録を整理すること、③断層と海底地形との関係について検討すること、④評価の
更なる補足検討を行うように指示を受け、日本原子力発電(株)が確認、検討を行っ
た結果は、以下のとおりである。
○海上音波探査のデータ処理については、日本原子力発電(株)がデータ処理した結
果の方が反射面が深部まで認められるなどの差異がある。また、F1 断層に係る
JNB2B 測線について、日本原子力発電(株)でデータ処理を行った結果、C1 層上部
に変位・変形を与えていない。
○F1 断層に、B3 層上部よりも新しい地層に変位・変形は認められない。
○F1 断層周辺の海底地形の凹凸は顕著であり、断層直上の海底地形は必ずしも東側
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が相対的に高い地形ではない。
○F1 断層が更新世以降繰り返し活動して大きな地質構造を形成している形跡はな
い。また、現在の応力場から、F1 断層は地震を発生する断層とは考えられない。
○以上のことから、クロスチェックの結果、日本原子力発電(株)と原子力安全・保
安院とで、海上音波探査記録の解釈に差異がある F1 断層については活動性を考
慮しない。
また、質疑応答の中で以下の意見と回答があった。
【意見】
○保安院として F1 断層を考慮しない根拠を説明すること。
○F1 断層について、保安院では現在の応力場では正断層をメカニズムとする地震を
発生させるような断層ではないとしているが、どのような意味か(インバージョ
ンは考えていないのか。)
【回答】
○更新世以降に繰り返し活動し大きな地質構造を形成しているような形跡がない
こと、海底地形面は必ずしも東側が高いとは言えないこと、B3 層の上部の地層に
変位・変形を与えていないこと、広域の応力場から大きな地震を起こす断層とは
認められないことを根拠している。
○F1 断層の全記録においてインバージョンの痕跡は見られないことから、インバー
ジョンしたとは考えていない。
(第35回WG1
11月4日)
コメントを踏まえ、日本原子力発電(株)より、以下の内容が説明された。
○F1c 断層東側(駆け上がりの部分)の C1 層上面の境界線の引き方の根拠として、
ウォーターガン、ブーマの両記録にともに不整合が確認されることから、C1 層上
面境界として設定した。
○海域の地質層序については、海上音波探査記録の特徴に基づき地層を区分し(A
~E 層)、その地層境界の妥当性を、文献(奥田(1986)、棚橋ほか(2001))と比
較し整合していることを確認している。また、鹿島沖 SK-1、常陸沖-1 のボーリ
ング結果との対比や、敷地近傍の陸域から海域にかけて東西方向に実施した調査
結果(ベイ・ケーブル、ウォータガン)に基づく地層の対比から、地層の年代を
評価している。
○測線 M86-14 の E 層、D 層に、逆断層(F8、F16、F17)、背斜(A-1、A-2a)が認め
られ、広域圧縮が卓越している場で形成されたものと考えている。これらは後期
更新世以降の活動はないと判断している。沿岸部に分布する正断層については、
成因や応力場との関係等を示すことは困難であり、このことから後期更新世以降
の活動の有無に重点を置いて評価を行っている。
○グループ B の F1 断層とグループ H の F3 断層、F4 断層とを比べた場合、共通事項
として、いずれも B1 層(後期更新統)が分布せず、そのため断層の一部に海底
面付近まで変位・変形が及んでいるものの、後期更新世以降の活動性が評価でき
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ない範囲がある中で、耐震設計上、前者は考慮せず、後者は考慮することとして
いる。その論拠として、まず F1 断層については、南部では C1 層上部、B3 層上部
に変位・変形を与えていないこと、北部~南部の断層構造は性状が同一であり、
変位量もほぼ同じである。このことから、F1 断層については、北部が南部よりも
活動的とは言えず、また陸域延長部にも後期更新世以降の活動を示唆する地形が
認められない点を総合的に評価して、後期更新世以降の活動はないと判断した。
次に F3 断層、F4 断層については、海底面付近に分布する B2 層上部まで変位・変
形が及んでいること、その他の範囲では B2 層上部堆積以降の活動性が評価でき
ないことから、耐震設計上考慮するものとして扱う。
○F3 断層、F4 断層については、F3 断層と F4 断層が近接して分布しており、走向、
変位センス等が類似していることから、一連の断層構造(長さ 16km)として評価
している。北側は、F3 断層の延長部付近(測線 SN94-A、23A)に断層が認められ
ないことから、止めの位置を測線 23A との交点としている。南側は、F4 断層の
B2 層上部に変位・変形を与えていない 13GS との交点を止めの位置としている。
その南北の間の約 16km を耐震設計上考慮する断層長さとして設定している。
○グループ I の F22 断層、F26 断層の海底地形面に断層のように見える箇所がある
が、C1 層、B2 層に変位・変形が認められないことから、断層に起因した地形で
はないと判断される。
○第 34 回会合におけるコメントを踏まえ、資料(WG1 第 34-3 号 P10)の凡例の注
釈の説明文を見直しした。
この説明に対して、以下の意見と回答があった。
【意見】
○F1C 断層の解釈断面(WG1 第 34-4 号 P15)について、C1 層上面の境界線の引き方
(特に JNB2-1W 測線の shot No.400 付近の駆け上がり部分)についてのコメント
は、資料(WG1 第 35-3 号)P2 の音波探査記録には、マルチプルが連続している
ので、連続しているのではないかと指摘するコメントは、もっともである。P2
に比べて、解像度を上げた P5 を見ると、海底面に対して勾配の違った堆積層が
認められ、その下に不整合境界が認められることから事業者の解釈は間違ってい
ないと思う。ただし、リンギングが見られ、データ処理の仕上がりについてはも
う少し向上させることも可能と思う。資料 P5 に示されている B3 層と C1 層が傾
斜している理由は何か。(徳山委員)
○今後は、資料(WG1 第 35-3 号)P12 の音波探査記録に B1 層が薄く示されている
箇所等で、説明性向上の観点からピストンコアで確かめることも考えること。
(徳
山委員)
○F1C 断層の解釈断面(WG1 第 34-4 号 P15)との関連で、C 層上面のコンター(資料
WG1 第 35-3 号 P15)によれば、鮮新統の上面が沖合にいっても崩落していること
が見られ、急傾斜になっているとの解釈については、エロージョン・サーフェイ
スによるものかもしれない。(徳山委員)
○グループ B の F1 断層とグループ H の F3 断層、F4 断層との総合評価の比較に関し
て、陸域おける断層の長さ、活動性に係る評価と同様に整合が取れるように、同
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じような基準をもって考える上で、資料はその材料になると思う。(西村委員)
○今後は変位・変形の判断に当っては、サイドルッキングソナーを使って面的な評
価により判断を行うことを奨励する。(徳山委員)
【回答】
○F1C 断層の解釈断面(WG1 第 34-4 号 P15)について、C1 層上面の境界線の引き方
(特に JNB2-1W 測線の shot No.400 付近の駆け上がり部分)のところは、C 層上
面のコンター(資料 WG1 第 35-3 号 P15)に示すとおり、鮮新統の上面が沖合にい
っても崩落していると考えている。
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3.その他
■コメント要旨
(第 33 回WG1)
○ 原子力安全・保安院の報告書の中で、以下の点については、今後のWG1の会
合の中で、詳細説明を行うこと。
・ 地震発生層について、上端を深さ 6km、下端を深さ 18km と設定しているが、
F3~F4 断層の上端深さを 5km としている根拠を説明すること。
・ 入力地震動の決め方については、今後、WG1において、施設の会合、断
層・地震動の会合、各々の会合において説明すること。
・ プレート間地震として選定している鹿島灘の地震の震源モデルの設定につ
いて、その根拠を説明すること。
・ 地下深部構造の不整形性の影響について検討した内容を説明すること。
・ 敷地前面海域の F1 断層がセグメントに分けられる根拠を説明すること。
・ F3 断層の長さの根拠を説明すること。
■WG1の検討状況
(第33回WG1 10月5日)
原子力安全・保安院より、資料 WG1 第 33-2 号に基づき、日本原子力発電(株)東
海第二発電所耐震安全性に係る評価のうち、断層の調査、認定、基準地震動の策定
範囲について説明がなされた(説明内容の記載は省略)。
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