バイオ・ラッド セミナー アンタイボディオミクスの創成 抗体による蛋白のシステム生物学 2002年10月16日(水) 第75回日本生化学大会 バイオインダストリーセミナー 2002年10月18日(金) 笹川記念会館 1. 微量培養上清でサイトカイン17種類の同時測定から全体像の解明へ 2. リン酸化蛋白質の同時測定でシグナル伝達の系統的解析 3. Bio-Plexのビーズの仕組み 4. 高感度のモノクロナール抗体の選定 5. ゲノム時代の蛋白のLoCoMo情報解析 6. 進むモノクロナール抗体の系統的作成 1. 微量培養上清でサイトカイン17種類の同時測定から全体像の解明へ ∼ 1滴のサンプルで17種類のサイトカインを測定 ∼ 求められる多種類同時測定 ゲノム解読とともに人間の遺伝子は約4万個と推定され有限であることが示され、生命情報は包 括的に解析する時代にはいりました。サイトカインなどはシグナル伝達や疾患で相補的に働き、1 種類の測定で得られなかった情報が多数の同時測定により容易に得られることがわかってきまし た。様々な免疫反応や細胞生物学研究で、1滴の血液または培養サンプルで多数の蛋白質の同時測 定が必要になっています。 1滴で17種類のサイトカイン、ケモカインの同時測定 Bio-Plexでは、世界で初めて実験室レベルで1滴の血液、または培養液で17種類のヒトサイトカ イン、ケモカインの同時測定を可能にしました。培養液では50μrで測定可能ですので、96ウェル プレートのサンプルで測定が可能です。主要なサイトカインがほぼ網羅的に測定可能になり、そ れぞれのサイトカインの重要性を個別に検討でき、全体のパターンの変化も解析できます。 pgオーダーの高感度測定 Bio-Plexはバックグラウンドを非常に低くすることを可能とし、pgオーダーの高感度で多数の サイトカイン測定が可能で実用性が非常に高くなっています。 Bio-Plex セミナー 日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ、東京大学先端科学技術研究センター 寿見 孝一 1 2. リン酸化蛋白質の同時測定でシグナル伝達の系統的解析 ∼ 6種類の蛋白質リン酸化を同時測定 ∼ 求められるシグナル伝達の同時解析 ゲノム解析の結果、ヒトゲノムにはチロシンキナーゼが106種類、セリンスレオニンキナーゼが 395種類あることがわかってきました。これらのキナーゼはリダンダントにまたは相互抑制的に働 きます。細胞内のシグナル伝達も多数、同時に測定することが求められています。 1mg以下の細胞蛋白質で6種類の蛋白質リン酸化を同時測定 Bio-Plexでは研究室レベルで世界で初めて、6種類の蛋白質のリン酸化の同時定量を可能としま した。JNK、p38、stat3、ERK、IкBα、ATF2のリン酸化が同時に定量できます。これは、 Luminexのビーズ技術の上に、バイオ・ラッドが、キャプチャー抗体と検出抗体の高感度組み合わ せを系統的にスクリーニングした成果です。 微量測定でもウェスタン法とよく一致 微量細胞蛋白質からの定量にもかかわらず、従来のウェスタン法と比較してもよい一致を示し ます。さらにBio-Plexではリン酸化蛋白量を定量化できますので、それぞれのシグナルの相加的、 相乗的または抑制的効果も同時に解析できます。 Bio-Plex セミナー 日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ、東京大学先端科学技術研究センター 寿見 孝一 2 3. Bio-Plexのビーズの仕組み 蛍光をもったビーズで100種類の同時測定 どのように100種類のビーズを分離するか Bio-PlexはLuminex社の開発した、マルチプレックスビーズ法を用いています。この方法は2種 類の蛍光をもった素材を混合比10段階にし、100種類のビーズをフローサイトでレッドレーザーで 励起してでてきた蛍光を光センサーによって電流変換します。 非特異的吸着が少なく、驚異的な高感度検出が可能です. Bio-Plexの抗体ビーズは表面の非特異的吸着を非常に低くすることに成功しています。またビ ーズは液体中で抗原抗体反応をおこなうため、蛋白相互作用がおこりやすく、洗浄の効率も非常 によくなります。このため抗原抗体反応でのノイズを驚異的に低下でき、少量のサンプルでも安 定的に蛋白質濃度を測定できます。 Bio-Plex セミナー バイオ・ラッド ラボラトリーズ 3 4. 高感度のモノクロナール抗体の選定 キャプチャー抗体と検出抗体の組み合わせが高感度測定の鍵 ビーズ表面での抗原抗体反応 それぞれのビーズ表面は異なったキャプチャー抗体でコートされています。キャプチャー抗体 は添加されたサンプル中の抗原蛋白質を高い効率で捕捉します。キャプチャーされた抗原は、フ ィコエリスリンで標識されたディテクション抗体でサイドイッチ法で検出されます。 多種類同時測定に最適化した抗体組み合わせを選定 多種類同時測定しますと多数のキャプチャー抗体とディテクション抗体を用います。この抗体 の中に1種類でもビーズを凝集させる抗体や非特異的な反応性をもつ抗体があるとノイズが大きく なってしまいます。Bio-Plexでは抗原抗体反応に永年の経験とノウハウを有するバイオ・ラッド 社が、最適化した抗体組み合わせをキット化して提供するため、抗原抗体反応の重なりによるノ イズを極めて少なくすることに成功しています。17種類同時高感度測定など他の追随を許さない システムです。 カスタム化による様々な蛋白相互作用の同時測定 Bio-Plexでは様々な蛋白相互作用の同時測定のカスタム化が可能です。医薬品の多数同時スク リーニングや、実験室での蛋白複合体解析のカスタム化に最適です。 Bio-Plex セミナー バイオ・ラッド ラボラトリーズ 4 5. ゲノム時代の蛋白のLoCoMo情報解析 生命情報の包括的解析へのBio-Plex 蛋白詳細情報=LoCoMo情報の重要性 ヒトゲノム解読とともに、生命情報の包括的解析 が進んでいますが、ゲノム、トランスクリプトーム と比べて蛋白情報解析には大きな違いがあります。 それはDNA、RNAは配列情報で多くの情報が決定さ れているのに比べて、蛋白の場合はLocalization, Complex formation, Modificationという局在、複合体、 修飾の詳細=LoCoMo情報がもっとも重要ということ です。 アンタイボディオミクス 従来のプロテオミクスでは質量分析で蛋白配列を 同定することが追求されてきましたが、生命科学の 進展からLoCoMo情報を含めた多数情報を同時に取得 する技術がもとめられてきました。蛋白の3次元構 造を認識するモノクロナール抗体を系統的に用いて、 蛋白情報を系統的に取得する学問体系アンタイボデ ィオミクスのため国家レベルのプロジェクトが核蛋 白や膜蛋白についてスタートしています。 DNAチップからBio-Plexへ Bio-Plexはゲノム情報に基づいて系統的に作成されたモノクロナール抗体を用いた多数蛋白の 同時解析を可能にします。東京大学先端科学技術研究センターでは世界最大級のトランスクリプ トームデータベースを作成し、開示しています。たとえば動脈硬化形成において脂質沈着にはコ レステロール負荷と低酸素が重なると進展することが示されその過程がDNAチップで解析され、 IL6とIL8のmRNAの上昇を示しています。その過程での蛋白の詳細情報がBio-Plexで解析されてい ます。 Bio-Plex セミナー 東京大学先端科学技術研究センター 教授 児玉 龍彦 5 6. 進むモノクロナール抗体の系統的作成 ゲノム情報からアンタイボディオミクスへ 核蛋白のアンタイボディオミクス 東京大学先端科学技術研究センターでは、パスツ ール研究所とテキサス大学との国際共同研究で48種 類の核内受容体、98種類のコファクターのモノクロ ナール抗体作成を進めています。すでに過半数の核 内受容体のモノクロナール抗体が樹立されています。 Bio-Plexを用いて核蛋白複合体の系統的解析技術の 開発が進められています。 膜蛋白のアンタイボディオミクス 従来発現の困難であった膜蛋白もバキュロウィルスの表面に多量に発現する技術が開発され、 このバキュロウィルスを免疫して膜蛋白へのモノクロナール抗体を作成する技術が開発されてい ます。 修飾蛋白のアンタイボディオミクス 今回のBio-Plex技術でも示されているようにリン酸化などの修飾蛋白を認識する抗体を多数用 いた同時解析は、様々な経路をもつ細胞内シグナルの解析や医薬品の作用同定、開発に極めて大 きな有用性を持ちます。今後、アセチル化やメチル化、また複雑な糖鎖や酸化的修飾の解析にも 有効と思われます。 Bio-Plex セミナー 東京大学先端科学技術研究センター 教授 児玉 龍彦 6 日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社 ライフサイエンス 事業部 本 社 神奈川営業所 つくば 営 業 所 大 阪 営 業 所 名古屋営業所 福 岡 営 業 所 〒116-0014 東京都荒川区東日暮里5ー7ー18 コスモパークビル 〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜2ー7ー3 フジビル 〒305-0031 つくば市吾妻1ー15ー1 筑波司法会館 〒532-0025 大阪市淀川区新北野1ー14ー11 第一生命ビル 〒465-0093 名古屋市名東区一社3ー121ー1 MIDORIビル 〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2ー18ー30 八重洲博多ビル 1(03) 5811ー6270 1(045) 476ー0351 1(0298) 52ー0835 1(06) 6308ー6568 1(052) 702ー2358 1(092) 475ー4856 FAX.(03) 5811ー6272 FAX.(045) 476ー0350 FAX.(0298) 52ー0829 FAX.(06) 6308ー3064 FAX.(052) 702ー2812 FAX.(092) 475ー4858
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