大型車両用モノコートソリッド の開発 Development of Mono-Coat-Solid for Large-size Vehicles 1. はじめに 関西ペイント販売㈱ 自補修塗料本部 製品技術部 関西ペイント販売㈱ 自補修塗料本部 製品技術部 竹内茂紀 西澤安明 Shigeki Takeuchi Yasuaki Nishizawa メタリック原色 ホワイト原色 約40% カラー原色 鉄道車両やトラック・バス等の大型車両は一般に耐用年数 が長いため、 一定期間毎に整備と合わせ再塗装を行ない外 観の維持向上を図っている。従って、大型車両用補修塗料 新技術 には、 良好な仕上がり性と耐久性はもちろんのこと、 幅広い 塗装作業環境に対応でき、 かつ作業時間の短縮と使用量低 クリヤー 減によるコスト削減が可能な塗料開発が求められてきた。 図2 出荷比率より算出したレタンPGフリート使用時の 揮発溶剤量の割合 近年これら従来からの要求に加え、 地球環境意識の高ま りに併せ、 法令(PRTR法:化学物質排出移動量届出制度、 大気汚染防止法等)への対応と、塗装作業者及び近隣住民 の健康に配慮し、 有害性が低く、 かつVOC量の低減など環 さらに、 レタンPGフリートを構成する製品の中で、 ホワイ 境配慮型塗料の開発が急務となっている。 ト原色の出荷量は約3 0%と最も多く (図1) 、 塗装時のVOC 弊社のこれまでの大型車両用補修塗料である「レタンP 排出量は全体の約4 0%を占めている (図2) 。従って、 このホ G フリート」は、2液型速乾性ウレタン樹脂系で、その仕上 ワイト原色中の溶剤量を低減することは総合的なVOC量の がり性と塗装作業性、 及び塗膜の耐久性については、 大型車 削減に効果的である。 このVOC削減を目的に、 環境配慮型 両業界で高い評価を得ている。今回、 環境配慮への要求に ハイソリッド2液ウレタンモノコートソリッド「レタンPGエコ 対応するため、塗料中のトルエン・キシレンなどのPRTR対 フリートHSホワイト」も開発した。 象物質を1%未満まで削減し、 耐久性向上を図った環境配慮 この2種の開発品について以下に紹介する。 型2液ウレタンモノコートソリッド「レタンPGエコ フリート」 を開発した。本塗料は、鉄道車両のようにさらに大型塗装 2. 機能目標とコンセプト 設備を要し、かつ全体を均一に加熱することが難しい乾燥 設備でも短時間の乾燥後にマスキングやステッカー張りなど 一般的な大型車両の補修塗装工程を図3に示す。 の工程へ移行できるという乾燥性を有することを特長として 外板の 傷や凹みにパテを埋めて、中塗りのプライマーサー いる。 フェーサー(以下、 プラサフと称する) を塗装して平滑な塗装 面とした後に、 上塗りを塗装し、 乾燥させる。 カラー原色 19% メタリック原色 3% ホワイト原色 29% 硬化剤 13% クリヤー 13% フリートシンナー 23% 補修塗膜 カラーベース プラサフ 新車塗膜 パテ 鋼板 図3 大型車両損傷部の補修工程(断面) 図1 レタンPGフリートの年間出荷比率 塗料の研究 No.147 Mar. 2007 カラーベース (2色目) ステッカー 60 大型車両用モノコートソリッドの開発 乗用車の補修では上塗りまでの工程は対象部位だけの る。しかし、大型車両の塗装においては塗装面積が広く、1 部分的な補修を行う場合がほとんどであるが、大型車の場 つの色の塗装に時間が掛かり、この間における塗料の可使 合は、パテ、プラサフは部分的であるものの、上塗り工程で 時間(ポットライフ) をより長くする必要があり、 さらに、 種々 は車体全体を塗装する場合が多く、 塗装面積が大きい。 さら の塗装機器に適用可能でなくてはならない。 に、 企業カラーやデザインなどの意匠性が要求されるため数 従って、 「レタンPGエコ フリート」 は従来品と同等以上の 色に塗り分けたり、 塗り重ねたりするための速乾性や、 ステッ 仕上がり性、耐久性を有し、かつ、塗装現場での要求が強い カー類の貼り付け性も求められる。更に大面積を塗装する 作業効率の向上(乾燥性向上)を機能目標とした。併せて ことから、 塗装作業効率向上のため、 エアスプレー塗装機だ 環境対応の面から、 PRTR対象物質の削減を行った。 また けでなくエアレス塗装機、静電塗装機など 様々な塗装機器 様々な塗装機器が現場ごとに使用されていることから、 顧客 が使用されている。 の現行塗装システムを変更せずに使用可能な塗装仕様を設 定した。 (塗り分け) ①1色目塗装 また、 「レタンPGエコ フリートHSホワイト」 は、 環境への ②2色目塗装 配慮を主目的とし、 PRTR対象物質の削減はもちろんのこ 60℃×30分 乾燥 と、 VOC量の削減を行いつつ、 従来のレタンPGフリートが 使用されてきたような、 ある程度乾燥設備の整った塗装現場 において、 高塗装作業性、 高仕上がり性を確保することを機 塗装部 能目標とした。 マスキング テープ・マスキングシート跡発生 表1にホワイト原色における開発品の機能目標をまとめ た。 ②帯塗装 60℃×30分 乾燥 2.1 仕上がり性と硬化性の両立 塗装作業効率向上のためには、マスキングが 可能になる までの乾燥時間の短縮が必要であるが、硬化性が速くなる 塗装部 マスキング とポットライフが短くなり、さらに塗装∼乾燥過程での塗膜 の平滑性が阻害されることから、 仕上がり外観が低下する。 図4 多色塗り時の塗装工程 そのため、 「レタンPGエコ フリート」は従来品であるレタン 図4に大型車両の多色塗り工程の一例を示す。通常1色 PGフリート同等以上の仕上がり性とポットライフを確保し 目の上塗りを塗装した後、 常温乾燥もしくは短時間での強制 つつ、 マスキング可能時間を短縮することを目標とした。 乾燥後に、 テープやシートなどでマスキングを行い、 2色目以 降を塗装する。そのため、塗装後短時間で、テープ、シートで 2.2 法規制への対応 のマスキングが可能な硬化状態の塗膜となることが要求さ 2.2.1 PRTR法対応 れる。 「レタンPGエコ フリート」、 「レタンPGエコ フリートH 主剤と硬化剤を塗装直前に混合する2液混合型ウレタン Sホワイト」とも、有害性のある化学物質の使用量を届け出 塗料は耐久性に優れ、 乾燥温度や硬化触媒による硬化速度 ることを定めたPRTR法への対応として、トルエン、キシレ のコントロール幅が広く、 これら条件を満たすのに適してい ンなどの対象物質を1%未満とすることを目標とした。 表1 機能目標(ホワイト原色) レタンPGフリート(従来品) レタンPGエコ フリート レタンPGエコ フリートHSホワイト PRTR届出義務 ×(有り) ○(無し) ○(無し) 消防法区分 第 4 類第 2石油類 第 4 類第 2石油類 第 4 類第 2石油類 VOC規制(EU)対応 × − 420g/L以下 塗装時加熱残分(%) 41% 50% 以上 65% 以上 仕上がり性 ○ ○ ◎ ◎ ○ 乾燥性 (マスキング可能時間) 60℃×30分以内 or 20℃×6時間以内 塗装作業性 ○ ◎ ◎ 塗膜性能(耐候性) ○ ◎ ◎ 注)○:レタンPGフリート同等 ◎:レタンPGフリート同等以上 61 塗料の研究 No.147 Mar. 2007 新技術 (塗り重ね) ①1枚塗り塗装 大型車両用モノコートソリッドの開発 2.2.2 VOC量の削減 60 2 0 0 6年4月1日から施行されている改正大気汚染防止法 希釈粘度:IHS(25℃)/s では、業種や企業規模に応じた法律による規制と事業者の 自主的取り組みによるベストミックス方式を基本としており、 VOC削減は自主的に取り組むべき課題として要求されてい 40 る。 従って、 日本国内では塗料ごとのVOC規制値が設定され ていないが、将来動向を視野に入れて、 「レタンPGエコ フ 20 リートHSホワイト」の上市に際しては、 すでにVOC排出規 塗装可能範囲 制を行っている欧州塗料工業(CEPE) の規制値である 「4 2 0g/L」以下に適合することを目標にした。 0 0 2 4 2.3 各種塗装機器適性 6 経過時間/h 塗装現場に導入されている塗装機器は1つの工場内でも 触媒追加なし 種々異なる装置が使用されている。 『レタンPGエコ フリー 触媒追加 ト』は、最も一般的なエアスプレーでの条件設定はもちろん 触媒追加+ナノ粒子 のこと、微粒化にエアーを用いないエアレス塗装機、塗着効 図5 塗料粘度の変化 仕上がり外観:ShortWave(指数) 良好 等の仕上がりを確保することを目標にした。 3. 開発のポイント 150 3.1 乾燥性とポットライフの両立 100 多色塗り時の作業効率向上のためには、 塗装後に短時間 でマスキング作業ができ、 かつ、 マスキング跡が残らないよう にするには塗膜の乾燥から硬化速度を高めるのが最も有 効な手段である。 しかし、 単純に硬化速度を上げるだけでは ポットライフが短くなるという問題が発生し、 これにより、 塗 膜の平滑性が得られる適正な塗装粘度の保持時間が短く なってしまう。 そこで、 チタン白 (顔料) 粒子の約1/1 0の大きさ 50 目視 ○ 0 追加触媒なし 触媒追加 や仕上がり外観の低下を起こすことなく (図5、6) 、短時間 70 60 60 乾燥温度/℃ 70 50 40 従来品 40 マスキングテープ 30 10 40 乾燥時間/min. 20 乾燥時間/min. ●:触媒追加 ○:触媒追加なし ◎:触媒追加+ナノ粒子 △:従来品 図7 塗装後マスキング可能乾燥条件の比較 塗料の研究 No.147 Mar. 2007 触媒追加+ ナノ粒子 50 マスキングシート 30 ○ 図6 従来品との仕上がり外観の比較 でのマスキング作業が可能となった (図7) 。 20 ○ 数値が小さい方が良好。 せることで改良を試みた。 その結果、 ポットライフの短時間化 30 10 × 注)ShortWave:ツヤ感を表す指標。 である透明性ナノ粒子を添加し、硬化触媒増量と組み合わ 乾燥温度/℃ 新技術 率の高い静電塗装機各種において、エアスプレー塗装と同 62 30 40 大型車両用モノコートソリッドの開発 ナノ粒子なし ナノ粒子あり 溶剤揮発 固形分41% 溶剤揮発による収縮力 固形分50% 【塗料時】 ナノ粒子 顔料 硬化剤 樹脂 硬化による収縮力 【乾燥時】 仕上がり外観の確保、ポットライフの延長 ○溶剤量が少なくなるため乾燥が速い。 マスキングテープ、シート可能時間の短縮 新技術 ○樹脂と硬化剤の間にナノ粒子があるため、 硬化反応の影響が少なくなる。 図8 ナノ粒子による乾燥速度の調整(断面) ナノ粒子を添加した塗料モデルを図8に示す。ベースにナ 一方で、 塗料中の溶剤量を減らし (図10) 、 ナノ粒子を添加 ノ粒子を添加して、NCO/OH=1となるように硬化剤を配 することにより、 乾燥性が向上しており、 硬化の程度を示すゲ 合すると、塗膜中の基体樹脂と硬化剤を合わせた樹脂含有 ル分率がほとんど変化していないにもかかわらず、 塗膜硬度 量が減少することから (図9) 、反応基濃度が低く反応基間 が上がった (図11) 。この結果、 マスキング可能になるまでの 距離が長くなる。 このことにより、 硬化反応速度が遅くなり、 乾燥時間の短縮が可能となった。 ポットライフが長くなって、仕上がり外観が良好となる塗料 粘度が長時間維持できたと思われる。 100 100 80 60 40 20 0 含有量 / wt% 含有量 / wt% 80 樹 脂 比 率 60 40 20 触媒追加なし 触媒追加 0 触媒追加+ ナノ粒子 基体樹脂 硬化剤 ナノ粒子 その他 樹 脂 比 率 触媒追加なし 固形分 触媒追加 触媒追加+ ナノ粒子 溶剤量 図10 塗料中の溶剤量の比率 図9 塗膜中の硬化剤量の比率 63 塗料の研究 No.147 Mar. 2007 大型車両用モノコートソリッドの開発 80 H 60 HB 40 2B 20 4B 0 触媒追加 触媒追加なし 触媒追加+ ナノ粒子 塗着固形分/% ※塗装後 50℃× 20 分乾燥後、1 時間静置し測定 エンピツ硬度 ゲル分率/% 100 6B 塗装後経過時間/min. 塗装固形分67% 塗装固形分50% 塗装固形分45% 図11 ゲル分率と硬度の比較 3.2 PRTR物質削減と低VOC化 図13 塗装時固形分とエアスプレー塗装での塗着固形分 「 レタンPGエコ フリート」、 「 レタンPGエコ フリート HSホワイト」 とも、 基体樹脂を含む塗料中の溶剤から、 PR TR対象物質を大幅に削減し、 届け出対象外とした。 仕上がり外観:ShortWave(指数) 良好 一般的に、 補修用塗料は、 塗装環境におけるゴミの付着を 150 少なくするために指触乾燥性を速くしており、 これに用いる 基体樹脂のガラス転移点温度(Tg) は常温(2 0℃) よりも高 く設定されている。 このため単純にVOCを減らして塗料の 100 固形分を高くすると塗装時の粘度が非常に高くなる (図12) 。 更に、被塗物へ塗着した際の固形分はさらに上昇するため (図13) 、 塗装後の平滑化が阻害されて仕上がり外観が低下 する (図14) 。そこで 「レタンPGエコ フリートHSホワイト」 では、 基体樹脂の低分子量化と溶剤選択により低粘度化検 討を行った。図15に塗装粘度を示す。 さらに先に述べた透明 性ナノ粒子を利用することによって、 粘性を制御し (図16) 、 よ 50 0 目視 ○ ○ × 塗装固形分40% 塗装固形分50% 塗装固形分67% 図14 塗装時固形分と仕上がり外観 り良好な平滑性を得ることができた (図17) 。 これら種々検討の結果、 EUでのVOC規制値(4 2 0g/L) を満たし、かつ現行同等以上の塗装作業が可能な粘度、仕 上がり性を確保できた。 35 35 30 30 希釈粘度:IHS(25℃)/s 希釈粘度:IHS(25℃)/s 新技術 3.3 低VOC化 25 20 15 塗装可能範囲 10 5 0 塗装固形分41% 塗装固形分50% 図12 塗装時固形分と塗装粘度 塗料の研究 No.147 Mar. 2007 溶剤種変更 25 20 15 塗装可能範囲 10 5 0 塗装固形分67% 基体樹脂低分子量化 ① ② ④ 図15 固形分濃度67%での粘度比較 64 大型車両用モノコートソリッドの開発 粘度 /Pa・s 1000 3.4 塗装機器適性 高固形分化でも 仕上がり肌 良好な粘性 100 一例として、ある塗装現場の気温2 5℃におけるエアスプ レー塗装と同等程度に仕上げるのに最適な溶剤の蒸発速度 を塗装機器別に示した (図18) 。 エアスプレー塗装とエアレス 10 塗装では溶剤がほぼ同じ速度で揮発すると良好な仕上がり 1 となり、静電塗装ではやや遅い蒸発速度である必要があっ た。 これらに対応する検討の結果、 蒸発速度が異なる5種類 0.1 のシンナーから成る環境配慮型であるシンナー「レタンPG 0.01 0.01 1 0.1 10 100 エコシンナー」の各種組み合わせによりこのような蒸発速度 1000 の調整が可能となった。図19はレタンPGエコシンナーの組 シェアレート /s−1 み合わせによる蒸発速度を、図20はこのように組み合わせ レタンPGエコ フリートHSホワイト レタンPGエコ フリート レタンPGフリート た場合の各機器での光沢と平滑性を示した。 塗装機器が 異なってもシンナーの組み合わせにより、 ほぼ同等の仕上が 塗膜中の溶剤残量(指数) りを確保することができた。 100 50 100 80 60 40 0 ◎ 静電塗装とほぼ同等 20 0 目視 ○ 新技術 仕上がり外観:ShortWave(指数) 良好 図16 ナノ粒子添加による粘性の制御(測定:Haake社製 RS-150) エアスプレー、 エアレス とほぼ同等 500 0 1000 1500 2000 経過時間/s 注)ShortWave:ツヤ感を表す指標。 数値が小さい方が良好。 #20シンナー #20シンナー/#30シンナー=1/1 #30シンナー 注)#20シンナー、#30シンナー:レタンPGハイブリッドエコシンナー#20 および#30PRTR物質 1%以下の環境配慮型希釈シンナー 図17 従来品との仕上がり外観の比較 図19 レタンPG ハイブリッドエコシンナー種による蒸発速度 レタンPGフリート レタンPGエコ フリートHSホワイ ト 仕上がり外観:ShortWave(指数) 良好 塗膜中の溶剤残量(指数) 100 80 150 60 100 40 20 0 0 500 1000 1500 2000 経過時間/s エアスプレー エアレス 静電塗装 50 0 目視 ○ ○ ○ エアスプレー エアレス 静電塗装 93 93 光沢(60° グロス) 93 図20 塗装機器別の仕上がり性 図18 塗装機器別に適した蒸発速度 65 塗料の研究 No.147 Mar. 2007 大型車両用モノコートソリッドの開発 4. 開発塗料の特長 4.2 塗装作業性の向上 事例紹介として、ある塗装現場における塗装結果を示し 4.1 法規制への対応 た (図24) 。 「レタンPGエコ フリート」 は乾燥性が向上してお 4.1.1 VOC削減効果 り、 マスキング可能時間(乾燥時間) が短縮され、 従来品より 今回の開発品は塗料中のトルエン・キシレン等のPRTR 工程時間が約2 0%短縮される結果となった。大型車両用 対象物質を1%未満まで削減しており、排出量、移動量の届 に使用される種々の塗装機器にも希釈シンナー種を調整す け出が不要となっている (図21) 。 ることにより柔軟な対応が可能となった。 また高固形分とす また、 「 レタンPGエコ フリートHSホワイト」 はEUでの ることで、 VOC削減と同時に、 塗装回数が削減され、 結果と VOC規制値(4 2 0g/L) を満足した (図22) 。 これにより、 レ して塗料使用量の低減にも繋がった (図25) 。 タンPGフリートと比較すると排出溶剤は約2 0%削減され ることになる (図23) 。 作業時間(指数) 新技術 含有率/% 40 20 0 約20%減 100 60 1%以下 1%以下 色3 色2 50 色1 0 レタンPGフリート レタンPGエコ レタンPGエコ フリート フリートHSホワイ ト エチルベンゼン トルエン レタンPGフリート キシレン 乾燥 図21 従来品とのPRTR物質含有量の比較 セッティング 塗料使用量(指数) VOC量(指数) 100 約33%減 EUのVOC 規制値 0 レタンPGフリート カラー原色 マスキング 約20%減 約40%減 50 0 レタンPGエコ フリートHSホワイ ト 図22 従来品とのVOC量の比較 メタリック原色 塗装 図24 3色塗り時の従来品との作業時間の比較 100 50 レタンPGエコ フリート レタンPGフリート レタンPGエコ フリート レタンPGエコ フリートHSホワイ ト 図25 塗料使用量の比較 4.3 塗膜品質の確保 ホワイト原色 表2にホワイト原色での性能試験結果を、 図26に促進耐候 試験(キセノンウェザーメータ2 0 0 0時間)の結果を示した。 今回開発し た 「レタンPGエコ フリート」、 「レタンPGエコ HSホワイト」は従来品 (レタンPGフリート) と同等以上の高 クリヤー 全体の約20%削減 い塗膜性能が得られ、 また、 従来他社品に比べても良好な耐 レタンPGエコ フリー トHSホワイトへ置き 換えによる溶剤削減量 候性を有している。 図23 出荷比率より算出したレタンPGフリート ホワイト原色⇒ レタンPGエコ フリートHSホワイト置き換え時の揮発溶剤量の割合 塗料の研究 No.147 Mar. 2007 66 大型車両用モノコートソリッドの開発 5. おわりに 参考文献 今回紹介した「レタンPGエコ フリート」は塗装作業効率 1)樋口和信:塗料の研究、143、p.56(2005) の向上 (作業時間短縮) を、 そして、 「レタンPGエコ フリート 2)鈴木竜一:塗料の研究、145、p.65(2006) HS ホワイト」はVOC排出量削減を目的に開発したもので 3)環境庁ホームページ http://www.env.go.jp/ あり、 できるだけお客様が使い易いことをもう1つの重要なコ 4)欧州塗料工業会 (CEPE) ホームページ ンセプトとしている。補修塗装市場においては、 環境保護と http://www.cepe.org/homepage.htm ともに更なる省力化・低コスト化が求められており、 今後もこ 5)中手 靖、森 慎典:塗料の研究、115、p.54(1988) れらに応えるべく製品開発に努めていく所存である。 6)境 博之:塗料の研究、146、p.56(2006) 表2 ホワイト原色での塗料・塗膜性能 環境対応、 法令等 レタンPGフリート レタンPGフリート改 レタンPGエコ フリートHSホワイト PRTR 届出対象外 × ○ ○ EU VOC規制対応 × × ○ 第 4 類第 2 石油類 第 4 類第 2 石油類 第 4 類第 2 石油類 41% 50% 67% 消防法 塗装時固形分 12 秒 19 秒 3分 3分 5分 タレ限界膜厚 /20℃ 38μm 50μm 51μm ○ ○ ◎ 2.5H 5H 2.5H 60℃×30 分 60℃×20 分 60℃×30 分 6H 4H 4H 付着性 100 100 100 耐水性 ○ ○ ○ 耐水性 2次付着性 100 100 100 H H H 良好 良好 良好 塗装時粘度(IHS/25℃) 塗装 作業性 仕上がり外観 ポットライフ(25℃) マスキングテープ 貼り付け可能時間(強制乾燥) マスキングテープ 貼り付け可能時間(室温乾燥) 塗膜性能 鉛筆硬度 促進耐候性 キセノン2000H 光沢(60°グロス) 100 80 60 40 20 0 0 500 1000 1500 2000 経過時間/h レタンPGエコ フリート レタンPGエコ フリートHSホワイ ト 他社製品 図26 促進耐候試験時の光沢比較 67 塗料の研究 No.147 Mar. 2007 新技術 12.5 秒 指触乾燥性 /20℃
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