30P-am205

30P-am205
膵 β 細胞インスリン分泌調節におけるタイプ I ジアシルグリセロールキナーゼの
役割
◯金子 雪子 1 ,
小林 洋輔 1 ,
元木 啓介 1 ,
白井 康仁 2 ,
坂根 郁夫 3 ,
石川 智久 1
2
3
( 1 静岡県大院薬,
神戸大バイオシグナル研セ,
千葉大院理)
【目的】膵 β 細胞において、ジアシルグリセロール (DG) は PKC 活性化などを
介し、インスリン分泌に影響を与えることが知られている。さらに DG のリン酸
化体であるホスファチジン酸(PA)も膵 β 細胞における生理活性脂質として知ら
れている。これら DG や PA を量的に制御しているジアシルグリセロールキナー
ゼ(DGK)は、細胞内局所的な DG 枯渇/PA 増大シグナリングを介し、膵 β 細胞
において機能している可能性が考えられる。しかし、DGK の膵 β 細胞における
発現や機能については一切わかっていない。そこで本研究では、
typeⅠDGK(DGKα,β,γ)に着目し、膵 β 細胞における役割を明らかにすることを目
的とした。【方法】マウス膵島、および膵 β 細胞株である MIN6 細胞において、
RT-PCR 法および Western blotting 法により、DGK の発現を検討した。また、免疫
染色法により、DGK の細胞内局在を観察した。さらに MIN6 細胞に GFP 融合
DGK を強制発現させ、各種刺激による DGK の細胞内局在の変化をライブイメー
ジングにより解析した。細胞内 Ca2+濃度([Ca2+]i)は、Ca 蛍光指示薬として FuraPE3
を用い経時的に測定した。MIN6 細胞から放出されたインスリンは RIA により定
量した。
【結果・考察】マウス膵島、MIN6 細胞において typeⅠDGK である DGK α, γ
の発現が認められた。さらに、MIN6 細胞において、高濃度 KCl 溶液処置により、
DGKγ が細胞質から細胞膜近傍へと移行することが明らかとなった。さらに type
IDGK の特異的阻害薬である R59949 10 μM の処置により、高濃度グルコースお
よび高濃度 KCl 応答性インスリン分泌は有意に抑制され、グルコース誘発 [Ca2+]i
上昇反応も抑制された。以上の結果から、膵 β 細胞において typeIDGK が細胞内
脂質バランスを制御し、インスリン分泌を調節している可能性が示された。