2014 年 10 月 1 日発行第 146 号 2014 年 10 月号司祭ディミトリイ田中仁一〒250-0011 神奈川県小田原市栄町四丁目 4-1 TEL/FAX : 0465-22-2792 携帯 070-5079-3408 E-mail: [email protected] 日本ハリストス正教会教団 HP: http://www.orthodoxjapan.jp/ 郵便振替口座: 00270-6-15226 きんちくものさいわい義のために窘逐せらるる者は福なりてんごくかれら天國は彼等のものなればなりマトフェイによる聖福音５章 10 節真福九端（9）現代の聖人として、世界の正教会に広く知られている聖人、聖ネクタリオス。貧しい家庭に生まれつつも、神の恩寵と彼の努力とによって、アテネ大学神学部を首席で卒業した。やがてペンタポリスの主教としてエジプトで活動するが、嫉妬によってありもしない噂を広められて、エジプトから追い出されてしまう。無一文でギリシアに渡った聖ネクタリオスは、主教であるにもかかわらず一介の説教師として信徒に神の言葉を伝え続けた。ここでも聖ネクタリオスを追放しようとする企みもあったが、信徒たちの熱意が彼を助けて、リザリオン神学校の校長となった。そして、そこで多くの優秀な聖職者を教育することに力を注いだ。老年になり、彼はエギナ島に女子修道院を設立した。身を削っての建立だった。現在もエギナ至聖三者修道院は、聖ネクタリオスの指導を受け継ぎながら生き生きと活動している。 ●五旬祭後第十七主日聖体礼儀・執事会 10 月 5 日 (日) 10:00～ (9:30 痛悔) 第 8 調使徒経：コリンフ後 6：16-7：1 福音経：ルカ 5：1-11 ●五旬祭後第十九主日聖体礼儀（10：00）・月例パニヒダ聖歌練習と聖書講話 (午後) 10 月 19 日 (日) 第2調 10:00～ (9:30 痛悔) 使徒経：コリンフ後 11:31-12:9 福音経：マト 7:11-16 西湘・伊豆・駿府日時： 2014 年10 月12 日(日)13:30～13 日(祝)11:00 『西湘・伊豆・駿府の教会案内』第三回このイコンは柏久に人の性を与えるために神に用いられただけな保教会のイコノスタのだから、彼女をテオトコス（神の母）などと呼ぶスに描かれた「生神のはまちがいだ」という意見があらわれました。女マリヤ」です。近くこの教理上の大問題を解決するために、431 で見るとマリヤの頭年、エフェソスという場所で大きな教会会議が開の両側に ΜΡ と ΘΥ かれました。第三回全地公会議です。このとき、という記号が描かれ当時コンスタンティノープル総主教であったネスています。トリオスという人が、母マリヤの役割は人としてのマリヤにはギリシアイイススにしか関係していないのだから、彼女を語で「テオトコス」とい「神の母」ではなくて「ハリストトコス」（ハリストスのう称号があり、それを母）と呼ぶように提案しました。しかし大論争のそのまま日本語にし末、ネストリオスの見解は「異端」として退けられたものが「生神女」でました。その理由は、「『ハリストトコス』という名称す。この言葉が日本語として一般的に受け入れられるようになるには、おそらく長い時間が必要では、イイスス・ハリストスは神と人の 2 つの性を．．．．『分たれず』持っているという聖書の教えに反すでしょう。とりあえず、今は「生神女」という称号がる」からです。こうして、「テオトコス」というイイススどのようにして使われるようになったのか、生神の母マリヤの呼び名が確立されました。女のイコンに描かれている ΜΡ ΘΥ は何を意味異端として退けられたネストリオスの見解は消するのかをお話しします。滅したわけではなく、現在でもシリアやアルメニア、教会では紀元 3 世紀頃からすでに、イイスス・コプトなどのいわゆる「東方教会」に受け継がれてハリストスの母であるマリヤへの呼びかけや呼びいます。西暦 600 年代には「景教」として中国でも名として、「セオトコス」または「セオミトル」が用い広く栄え、日本にも一部伝えられたと言われていられていました。「セオ」とは、すなわち「神」、「トます。コス」とは「産む者」という意味です。一方、「セオミテルセウイコンでは、生神女マリヤの周囲に ΜΡ ΘΥ ミトル」は「神の母」という意味です。教会の聖師という記号が必ず描かれます。その記号が意味す父たちも祈祷文や書簡の中でこの言葉を頻繁にるのはミテル（メーテル）が「母」、セウが「神」です。用いています。いずれもギリシア語の単語を省略したものです。少し分かりにくいですが、「テオトコス」や「テオ松本零士原作の SF アニメ「銀河鉄道 999」をごミトル」という呼び名をイイススの母マリヤに対し存知でしょうか。これにメーテルという女性が登て使うことには聖書に由来する神学的根拠があ場します。主人公と一緒に星の海を旅する謎のります。それは、マリヤが産んだイイススは、完全美女として描かれていますが、彼女は主人公のなる神であると同時に完全なる人なので、イイス．．．．スは神性と人性の二つの性を「分たれず」に持母親にそっくりなのです。原作者はきっと物語のつ、ということです。味する「メーテル」という名前をこの女性に与え核心に迫るキーワードとしてギリシア語で母を意あるとき「マリヤは神ではない。マリヤはイイススたのでしょう。 2 （写真提供：柏久保教会雨宮博執事）最近の出来事・消息小田原 v 東京復活大聖堂教会子供会訪問 9 月6 日（土）午後、教会学校で長年ご奉仕されているイリナ大槻姉・シモン山本兄・ウラシイ佐藤兄が、こどもたちとその保護者、総勢30名で小田原教会を訪問しました。またイリヤ武井徹輔祭様、そして教会学校の責任者をされていて、先月永眠されたパウエル松井貢司神父様のマトシカ景子姉も付添として来会されました。司祭から小田原教会の簡単な歴史が説明され、続いて、聖ニコライの感謝祈祷を行いました。ご祈祷ではお祈りの一部を子供たちが共に唱和しました。神父から祝福を頂いた子供たちは、教会から用意されたお菓子と飲み物、そして竹とんぼをもらって喜んで帰りのバスに乗って行かれました。五旬祭後第 13 主日 9 月7 日（日）、10 時より、聖体礼儀が行われました。この日は 6 月 22 日（日）に洗礼を受けられた有川アリーナ姉の長女のジョルジアナちゃんが、お母さんに抱えられて参祷しました。7 月の会報では「ゲオルギーナ」ちゃんとご紹介しましたが、ルーマニア語の発音にならい、「ジョルジアナ」ちゃんが正しいお名前です。大変失礼いたしました。生神女誕生祭 9 月 21（日）10 時より、生神女誕生祭が行われました。これは教会が行う十二大祭のひとつで、主ハリストスを産むマリヤが旧約聖書時代に預言されていたとおりの流れで生まれ出ることを証し記念する祭です。この後月例パニヒダが行われ、新たに永眠されたたくさんの方々の名も記憶されました。柏久保晩課 9 月 13 日（土）主日晩課を行いました。ご祈祷には金沢より来られた杉山与志さんが参祷されました。杉山与志さんは金沢美術工芸大学美術学専攻でイコン画家イリナ山下りんの作品を研究しています。今回は柏久保教会のイコノスタスと至聖所にあるイコンを調査したいという希望があり、来会された次第です。ご祈祷後には柏久保教会のイコンは、彼女の作品の中でもかなり後期のものであることなど、教えて頂きました。静岡新聖堂建設計画の進捗状況執事会及び建設委員会で再検討された新聖堂建設資金計画案は 9 月 4 日の宗務総局会議で承認されました。今後は建設委員会・執事会において新聖堂の内装・外観の具体的な形を作るために、信徒からのご意見を賜りながら具体的な調査・検討を進めて参ります。9 月 28 日に行われる執事会にて、その第一歩となる話し合いが行われます。聖堂を建築ため、まだ長い道のりが続きます。どうぞ引き続きお祈りください。廻家祈祷 9 月より、廻家祈祷を行っています。今回は司祭の都合によりなかなかご希望に添えない状況で行いましたことを、心よりお詫び申し上げます。なお、教会では廻家祈祷に限らず、信徒兄弟姉妹そして永眠された方々を記憶しています。月命日や家族の記念日などを、教会でのご祈祷にもぜひご参祷下さい。聖歌練習 9 月には高校生のソフィヤ堀池瑞紀姉も練習にご参加されました。一般の合唱とは一味違う、聖歌の練習は、毎月第一日曜に行っております。詳しくは会報表紙でご案内しておりますので、ご確認の上、ぜひご参加ください。より多くの方々のご参加をお待ちしております。修善寺聖体礼儀 9 月 14 日（日）聖体礼儀を行いました。ご祈祷には金沢より来られた杉山与志さんが、前日の柏久保教会に続いて参祷されました。この2日間、イコンがお祈りの中で生かされている状態を体験され、金沢へ帰られました。墓地祈祷 9 月 14 日（日）聖体礼儀、修善寺教会共同墓地にて祈祷が行われました。また別の日程で、三島、沼津、御殿場の各墓地においても、眠られるご家族様の霊の安息のためにご祈祷が行われました。平塚 9 月 6 日（土）の定例集会が横田姉宅にて行われました。旧約聖書の中の伝道の書から人として生きる上で、正教徒としての意味と神との関わりについて学びました。お茶菓子をご用意くださったエリザベタ横田祥子姉に感謝いたします。教区 9 月 14 日（日）15 日（祝）の 2 日間、教区聖歌リーダー研修会が行われました。小田原、柏久保、修善寺、静岡の各教会から、山口ノブ子姉、神谷智子姉、日比野惠美子姉、山口静子姉、津田富子姉、津田里子姉、近藤満里彌姉、そして前川さつき姉が出席され、イルモスを中心に聖歌の学びと実践を行いました。永遠の記憶ソフィヤ澁谷雪江姉（10４歳・平塚教会）が永眠され、9 月 11 日に納棺、9 月 14 日（日）・15 日（月）、ＪＡセレモニーホールにてパニヒダおよび埋葬式を行いました。永遠の記憶をお祈り申します。永遠の記憶シメオン廣石豊兄（73 歳・小田原教会）が永眠され、9 月 16 日（火）・17 日（水）、カルチャーボンズ小田原にてパニヒダおよび埋葬式を行いました。永遠の記憶をお祈り申します。永遠の記憶アキラ神谷忠兄（81 歳・小田原教会）が永眠され、9 月 17 日に納棺、9 月 19 日（金）・ 20 日（土）、小田原教会にてパニヒダおよび埋葬式を行いました。永遠の記憶をお祈り申します。ご家族のうちに洗礼をご希望されている方がおられましたら、教会までご相談ください。人生のあらゆる節目に祝福を！  ３歳５歳、7 歳など、お子様の成長に祝福がありますように  入学、新学期、就職、成人式、人生の大きな門出に  銀婚式、金婚式…お二人の生活への感謝と更なる祝福がありますように  病床で過ごす時に神様の豊かな恩寵が賜りますように  産前・産後のための祈祷  新たに購入した乗り物等の成聖またご家族の洗礼、記念祭など、教会はいつでもご質問をお待ちしています。管轄司祭、または各教会執事に遠慮なくご連絡ください。 4 5 10 月の永眠者一覧（敬省略）永眠日聖名１日ミハイル假野松樹２００１年假野美枝２日ニコライ渡辺忠１９２３年渡辺宏２日ノンナ田村清子２００９年４日イオアン重田恒吉１９２９年重田仁５日ロマン山口活次１８８９年山口晃５日グリゴリイ飯塚正男２００４年６日マトフェイ小杉実１９３６年小杉英男７日フォカ廣石(赤子) １９０９年廣石利恵８日ミハイル中根藤吉１９８９年８日アルセニイ秋澤英治２０１１年９日シメオン澁谷正男１９８９年澁谷道子１７日イサアク山口以撒１８９２年山口晃１８日アレキセイ日比野１９５５年日比野勇１８日マリヤ多喜かく１９９７年廣石利恵１９日マルコ澁谷新治１９６６年澁谷道子２３日イアコフ紺野雅治１９２５年紺野弥生２３日イアコフ石井勝治１９４６年石井愛子２５日ルカ繁２０１２年２６日ニカ山口かつ１９８８年山口晃２７日パウエル中島基一１９４６年岡野康子２７日ルカ澁谷政吉１９２５年澁谷道子２７日オリガ上野みゆき１９８５年上野攻川辺久雄１９９１年川辺康弘岡野康子３０日氏名山本永眠年平蔵３０日ワルワラ中島たま１９４６年３０日ナデジダ吉竹恵子１９９９年小田原正教会では毎月第 3 週（原則）に永眠者の記憶を祈る「パニヒダ」を行っています。聖堂は皆さんのお祈りの場、そして皆さんのたましい霊が永遠に養われる場です。ロ－ソクを灯して少しの間、ご家族のために祈りに来られるだけでも大変結構です。どうぞ遠慮なさらずお越しください。（月例パニヒダの日は必ず会報をご確認ください。） 6 縁故者山本山本保保聖致命者百夫長ロンギン記憶日10 月29 日/10 月19 日（新暦）聖ロンギン（ロンジンまたはロンギヌス）はユダヤ地方を治めるポンティ・ピラトの下で軍を率いる百夫長であった。主ハリストスが十字架に架けられたとき、脇腹を槍で刺したのは、この聖ロンギンである。この時に主の血と水を浴びた聖ロンギンは患っていた目を癒された。こうして彼は皆の前で告白する。「彼は真に神の子であった。」（マトフェイ 27：54）主ハリストスを墓に納めたあと、ピラトは墓に見張りを置いた。その時にも聖ロンギンが立ち会い、他の兵士と共に主の復活を目の当たりにした。これに対して当局は「弟子たちが彼の遺体を盗んだ」というよう賄賂を差し出したが、聖ロンギンと数人の兵士は受け取らず、聖使徒たちのところへ行って洗礼を受け、軍隊から脱退した。その後、聖ロンギンは彼の故郷であるカッパドキアへ帰り、復活の福音を伝えた。福音は瞬く間に街中に広がった。噂を聞きつけたピラトは、軍に聖ロンギンの首を持って帰ってくるよう命じた。聖ロンギンを見つけた兵士は聖ロンギンを斬首して、その首をィエルサリムに持って帰った。そしてピラトの命令に従って、城壁の外にあるゴミ集積所にその首を投げ捨てた。あるカッパドキアの盲目の老婆が、息子と一緒に聖地を巡礼しようとやって来たが、ィエルサリムに着いて間もなく息子が死んでしまった。悲しみのうちに眠っていると、夢に聖ロンギンが顕れた。「私の首をゴミの山から見つけて、息子さんと一緒に葬りなさい。そうすればあなたの目は癒され、息子さんも私と共に光あふれる天国に共にいるでしょう。」老婆は必死になって聖ロンギンの首を見つけ出した。その時、彼女の目が癒された。老婆は息子と共に聖ロンギンの首をカッパドキアへ持って帰り、丁重に葬った。献金報告すきまでコラム：乳香正教会の特徴の一つと言っても過言ではないのが、乳香と呼ばれる香を使うことである。理由は分からないが、そもそも香は古代から人が神に捧げており、教会においても少なくとも１500 年以上前から使われていたようである。文字として記録に残っているのは 9 世紀で、この時にはすでに現代の私たちが聖堂で見る、あの香を振る儀礼が行われていた。神は昔から変わらない存在であり、言うまでもなく人の流行によって変わるような神では困るのである。そもそも、私たちの霊も流行によって変化するものではない。現代を生きる私たちの生活は明らかに昔とは違うけれども、私たちは一部でもいいから自分を神のリズムに合わせる。それは必ず私たちの体と霊にとっての益をもたらす。教会には人が集う。それは個々に神様との時間を過ごすことが前提である。『願わくは我が祈りは香炉の香りの如く、汝の顔の前にのぼり…』私たちの霊が求めることを香の香りに乗せて神のところまで届けよう。 7 糖飯講習会糖飯講習会について一言、ということで、はじめはいつも作っているものだから、特に気にしていませんでした。でも糖飯の意味の話を聞いて、日本 8 は火葬とかのお葬式の習慣も外国と違う中で、よくこの習慣が私たちの手元にあるなと思いました。しかもその糖飯の歴史が 1700 年あるというので驚きました。これからはより美味しい糖飯を作って、糖飯のことを聞かれたらそういうことも教えられるようになりたいと思いました。（匿名） 9